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一般的な共変ゲージを用いた弦の場の理論の解析
浅野雅子(大阪府大)
M. Asano and M. Kato,
`New covariant gauges in string field theory,’PTP 117 (2007) 569 (hep-th/0611189)
`Level Truncated Tachyon Potential in Various Gauges,'JHEP01(2007)028 (hep-th/0611190)
`General Linear Gauges and Amplitudes in Open String Field Theory,'NPB807(2009)348 (arXiv:0807.5010)
(2009.2.27)
弦の場の理論 ・・・弦の第二量子化
開弦
閉弦
相互作用
c.f.)
1.Introduction弦理論
・ 重力を含む統一理論
・ 発散が現れない → 量子化可能プランク長さ程度 (~10-33 cm)
・ 「D-ブレイン」 → 双対性、タキオンの解釈、さまざまなモデルが可能、…
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場の理論
場
・ スカラー場
作用
運動量表示
・ ゲージ場
運動量表示
ゲージ自由度
2
弦の場の理論
ゲージ対称性
(Witten, 1986)
・ 弦の場 (ghost # = 1)
・ 作用
場string states
3
)(σμX
・ ∞個の場、・ ゲージ自由度(∞) → ゲージ固定が必要
・ 相互作用:非局所的・ 時間座標が定まらない.→ 正準量子化が不可能
特徴
タキオン場 ゲージ場
ゲージ変換
⇒ 弦の場の理論の量子論的性質を調べたい。
ゲージ固定作用、振幅、…4
弦の場の理論によるタキオン凝縮の解析 (’99~)
Senの予想
タキオンポテンシャル
摂動的真空: 不安定
非摂動的真空: より安定
D25-brane
D25-brane
(⇔ 閉弦の真空)
⇒ SFTによる解析
1. レベル切断近似
2. 厳密解 Schnabl (2005) Schnablゲージ
Siegelゲージ、a-ゲージ
5
ゲージ固定 (g=0)
一般の線形ゲージ固定条件:
1. Siegel gauge
2. a-gauge [A-K]
3. linear b-gauge [Schnabl, Kiermaier-Sen-Zwiebach]
例:
今日の話
弦の場の理論の一般的な線形ゲージ固定条件に基づき、物理的振幅のゲージ不変性を示す。
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2.弦の場の理論のゲージ固定
level :
(n: ghost # = #c - #b)
7
0,},{ mnmn cb += δ
ゲージ固定作用
一般論: (ゲージ固定作用の求め方)
+ ghost, anti-ghost, NL fields
※ S にゲージ対称性が残っている場合、さらに を加える。
‘ghost for ghost, …’
弦の場の理論の場合: ∞個のghostが必要
ゲージ固定作用
・ ゲージ対称性なし・ BRST 変換に対して不変
⇒ 弦の場をすべての ghost# に拡張
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ゲージ固定作用を求める
1. Φ を一般のghost数の場に拡張
2. 一般の線形ゲージ固定条件を与える:
※ のゲージ対称性:
3. ゲージ固定項 を加える
⇒
※ は、g=0 の場合のゲージ対称性をすべて固定するように選ぶ。
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○ は、BRST変換に対して不変。
※ ただし 、 が必要。
⇒ それぞれのゲージに対して、ゲージ固定作用の2次の項からプロパゲーターを求めることができる。
⇒ 振幅の計算
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3.さまざまなゲージ
1. Siegel gauge
2. a-gauge [A-Kato]
特徴: ・ 1-parameter: a をもつ。・ 同じレベル(質量)の場の間の関係式・ ゲージ理論の共変ゲージと対応・ a=0 のときSiegel gauge と一致。
特徴: ・ もっとも簡単なゲージ。・ すべての場が「対等」
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ゲージ固定作用 (レベルN=1、 2次の項)
Nakanishi-Lautrup 場
FP ghost (anti-ghost) 場
Feynman ゲージ(Siegel ゲージ)
Landau ゲージ
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3. linear b-gauge [Schnabl, Kiermaier-Sen-Zwiebach]
Schnabl gauge
特徴: ・ のlinear な組み合わせ → レベルを混ぜる。・ タキオン真空解(厳密解)の解析に便利(Schnabl gauge)
nb
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・・・ ghost, ghost for ghost, …・・・ anti-ghost, …
・・・ 補助場
ゲージ固定作用 (2次の項)
※
※
ゲージ固定条件:
変形
逆行列
4.プロパゲーター
プロパゲーター
性質
※ 異なるゲージ固定によるプロパゲーター∆ と ∆' の関係は、一般に
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3. linear b-gauge
N=1, ゲージ場の部分のプロパゲーター
: 共変ゲージでのゲージ場のプロパゲーター
2. a-gauge
1. Siegel gauge
例:
16
例:・ tree, 4点
⇒
5.振幅
振幅
17
1 5
432
6
61 5
432
1
5
43
2
6
+(cyclic perm.)
+
+ +
・ tree, 6点
18
+ perm.
・ 1-loop, 1点
⇒
2-string vertex :
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n-loopの計算
・ 一つのグラフに対して、tree グラフを与えるように、n箇所で「切断」し、と をそれぞれの端点につける。
⇒ tree グラフと同様に計算
※ 計算結果は、「切断」する箇所によらない(符号因子が重要)
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・ 1-loop, 2点
world-sheetトポロジーが異なる
振幅(1-loop, 2点)
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:外線の弦場 が、 を満たす場合の振幅
on-shell振幅
定理1
定理2
6.on-shell振幅のゲージ不変性
(on-shell 振幅はゲージによらない。)
※ 以上が、ループの数ごと、振幅のトポロジーごとに証明できる。
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証明のポイント
・異なる2つのゲージによるプロパゲーターの関係:
・ は、スター積で分配される。
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・ を用いて、プロパゲーターを「つぶす」
→ プロパゲーターがつぶれたグラフは、異なるグラフからの寄与と相殺。
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以上により、定理1、定理2が「トポロジー」ごとに証明できる。
・tadpole ループに がかかると消える。
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まとめ
・ 開弦の場の理論の一般の線形ゲージ固定条件:
に対し、BRST不変なゲージ固定作用を求め、プロパゲーターを計算した。
・ プロパゲーターの一般的性質
により、on-shell振幅のゲージ不変性を示した。
・ 振幅の一般的枠組み → 対称性、量子論・ 一般のゲージの world-sheet 的な解釈
展望
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