規模の経済性と寡占的市場構造の形成 url right · 油 化 単 産 業 等 の 資...
TRANSCRIPT
Hitotsubashi University Repository
Title 規模の経済性と寡占的市場構造の形成
Author(s) 大西, 幹弘
Citation 一橋論叢, 85(5): 695-715
Issue Date 1981-05-01
Type Departmental Bulletin Paper
Text Version publisher
URL http://doi.org/10.15057/13165
Right
( 95 ) 規模 の 産済 性 と寡占的 市湯構 造 の 彪成
l
】
ぜ
与
l
.
∈
.
り
鵡
規
模の
経済性と
寡占的市場構造の
形成
は
じ
め
に
寡占は
現代
資本主
義経
済の
主
要な
産業部門に
お
け
る
支
配
的な
傾向で
あ
る。
そ
れ
は
鉄
鋼
業、
石
油化
単産業等の
資
本
財生
産
部門の
み
な
ら
ず、
乗用
車、
自動二
輪車等の
耐久
消
費財生
産部門及び
我
国に
お
け
る
ビ
ー
ル、
バ
タ
ー
等の
非
耐久消
費財生
産部門に
至る
まで
財の
用途仁
は
拘り
な
く
広
範に
散見し
得る
傾向で
ある
。
言う
迄も
ない
こ
と
で
あ
る
が
産
業の
存在様式ほ
寡占に
限定さ
れ
ない
。
原子
的
競争及
び
独
占も
産業の
あ
り
得ぺ
き
存在様式の
一
員を
構成す
る
の
で
あ
る。
こ
こ
か
ら
直ちに
次の
疑問が
生
じ
る。
す
なわ
ち、
あ
る
産業が
寡占とい
う存
在様式を
取る
の
は
如何
なる
理
由に
基くの
で
あ
ろ
うか
。
本
稿は
極め
て
限定的な
条件下に
お
い
て
で
は
あ
る
が、
こ
の
間題に
対
する
解答を
試み
る
もの
で
あ
る。
以下
で
は
分
析の
対
象を
製品
差別の
存在し
ない
寡占
、
す
なわ
ち
純粋寡占に
限定し
、
外
国
貿易を
捨象し
た
封鎖
体
系を
仮定する
。
企業の
内
部的成
長に
よ
りこ
の
純粋寡占が
形成さ
れ
る
過
潅を
規
模の
経済性と
需要成
長率の
二
要因に
お
い
て
把握し
ょ
うと
い
うの
が
本
稿で
の
我々
の
基
本
的立
場
で
あ
る。
論文の
構成は
第一
章で
分
析の
対
象た
る
寡占的
市
場構造の
概念を
明
らか
に
し、
第二
章で
分
析の
基
軸た
る
規
模の
経済性を
考察する
。
以
上の
手
続を
経て
第三
章で
は
寡
占
的市場構造の
形成
過
潅が
分
析の
狙
上に
載せ
ら
れ
る。
第一
章
寡占的
市場構造の
概念
封鎖体系の
もと
で
企
業の
内部的
成
長に
ょ
り
純粋寡占が
鰯
一 席論叢 第八 十五 巷 第五 号 ぐ9 6 )
形成さ
れ
る
過
幕を
分
析の
対
象と
す
る
我々
に
とっ
て
寡占概
念の
明
確化は
議論の
出
発点
をな
す。
本章で
ほ
寡占
及び
そ
れ
と
密接な
関連を
持つ
寡占的市場構造の
概念を
明
らか
に
し
第二
章以
後の
分析の
端緒と
し
た
い。
我々
は
ま
ず分
析の
基礎的範噂た
る
市
場構造に
つ
い
て
論じ
、
次い
で
寡占
的市
場構造の
考察に
向か
うこ
と
に
する
。
一
其礎的
範疇と
して
の
市場構造
企
業は
そ
の
経済活
動に
お
い
て
様々
な
意思決定を
行
な
う。
(
1)
こ
の
意思
決
定の
対
象は
次の
二
つ
の
部分に
ょ
り
構成
さ
れ
る。
ま
ず
第一
に
企業経営上の
事項で
あ
る。
、産出量
、
価格
、
製
品計
画、
広告
、
販
売促進活動
、
投資
、
研
究開発等が
その
内容を
な
す。
こ
れ
ら
ほ
い
すれ
も
月己の
企
業体
と
して
の
維
持・
再生
産に
関わ
る
事項で
あ
る。
第二
に
同一
産業部
門に
属す
る
他
企
業との
関係に
つ
い
て
の
事項
、
す
な
わ
ち
対ラ
イ
バ
ル
政
策が
あ
げら
れ
る。
協調
或い
は
競争
、
意見の
調
整、
共同行為等が
それ
で
あ
る。
企
業は
以
上に
述べ
た
事項に
関
し
て
意思
決定を
行ない
実行する
。
我々
は
こ
れ
を
「
市場行
動+
と
呼ぶ
こ
と
に
しょ
う。
とこ
ろで
市場行動は
そ
の
多様
性に
も
拘ら
ず三
つ
の
タ
イ
プ
に
類型化
する
こ
と
が
可能で
あ
る。
他企
業の
行動に
ほ
関わ
り
な
く
市場で
決定さ
れ
る
価椅
に
従っ
て
自己の
生
産活動を
遂行する
タ
イ
プ、
他企
業との
甜∂
共同
行為に
よ
り
佃希
・
産出量を
調
整す
る
タ
イ
プ、
及
び
自
己の
裁量で
価格
・
産出量の
決定を
行な
うタ
イ
プ
が
そ
れで
ある
。
言う
迄も
な
く
第一
の
タ
イ
プ
は
原子
的
競争
、
第二
の
タ
イ
プ
は
寡占
、
第三
の
タ
イ
プ
は
独
占と
呼ば
れ
る。
そ
れ
で
は
こ
の
様な
市
場行動の
相違は
何に
基づ
くの
で
あ
ろ
うか
。
我々
は
こ
こ
で
「
市
場構
造+
の
概念に
逢着す
る。
市場構造
と
は
ナ
S・
せ巴n
に
拠れ
ば
「
市
場内に
お
け
る
競争の
性質
及び
価格設
定に
戦略的に
影響する
と
思
わ
れ
る
市
場の
阻
(
2)
織+
と
定
義さ
れ
て
い
る。
すな
わ
ち
市
場構造
と
ほ
市場行
動
を
規定
する
市場の
諸
要因に
他な
ら
ない
。
そ
れ
故、
寡占の
形成
過
程を
考察の
対
象と
する
我々
に
とっ
て
市場構造ほ
分
析の
基礎的範疇と
な
る
の
で
あ
る。
さ
て
市場構造の
内容と
して
ほ
売り
手集中度
、
買い
手集中
度、
製品
差別の
有無と
その
濯度
、
参入
障壁
、
需要成
長率
、
需
雫の
価格弾力
性及
(
3)
び
短
期の
固定費用-可
変費用比
率が
指摘さ
れ
て
い
る
が、
こ
の
うち
市場行
動を
規定す
る
基本
的要因と
し
て
我々
は
売
り
手
集中
度、
参入
障
壁、
需要成
長率を
あ
げる
こ
とが
で
き
る。
こ
れ
ら三
つ
の
要因が
何
故に
「
基本的+
で
あ
る
の
か
に
つ
い
て
は
節を
改
めて
述べ
る
こ
とに
する
。
′
4
甘
-
け
+
.
1
.
.
.ト
あl
( 9 7 ) 規模 の 轟済性と 募占的市場構 造 の 形成
一
+
†
、
t
J
感
二
寡占的市場構造の
特
質
既に
述べ
た
様に
寡占と
は
市
場行
動の
特定の
タ
イ
プ
を
指
す
概念で
あり
、
市
場行動ほ
直接に
ほ
企業次
元で
論じ
得る
と
して
も
そ
の
企業の
所属する
産業を
離れ
て
は
あり
得ない
。
市場行
動に
は
対
ラ
イバ
ル
政
策が
含ま
れ
る
か
らで
あ
る。
従
っ
て
我々
ほ
寡占を
「
企
業間に
相
互
依存性の
認識が
存在す
る
に
十
分な
ほ
ど
企
業数が
少ない
産
業+
と
定
義する
こ
と
が
(
4)
で
き
る。
と
こ
ろ
で
前節に
お
い
て
我々
は
市場行動を
規定す
る
基本的
要因と
して
売り
手集中
度、
参入
障壁
、
需要成長
率の
三
つ
を
指摘した
。
以下
本節で
は
こ
れ
ら三
要因の
「
基
本的+
た
る
所以を
寡占的市
場構造の
特質と
の
関連に
お
い
て
論じ
る
こ
と
に
する
。
定義か
ら
直ちに
明らか
な
様に
売り
手
集中度は
寡占と
密
接な
関連を
持っ
て
い
る。
売り
手
集中度ほ
別に
生
産集中度
或い
は
特定集中度と
も
呼ばれ
、
産業を
構成
する
企業数並
び
に.
その
規模別
分
布を
もと
に
計測さ
れ
る
の
で
ある
が
通
常
(
5)
ほ
上
位数社の
市場占有率が
用い
ら
れ
る。
こ
の
値の
上
昇と
と
も
に
上
位企業は
自己
及び
他の
上
位企業の
市場に
及
ぼ
す
影響力を
認知する
こ
と
が
可
能と
な
り、
「
企業間に
相
互
依
存性の
認識が
存在する+
事態が
生
じる
で
あ
ろう
。
か
か
る
意味に
お
い
て
届い
売手
集中
度は
寡占の
別
表現に
他
な
ら
な
い
の
で
あ
る。
とこ
ろ
で
売り
手集中度を
規定す
る
もの
は
部
門内企
業数と
その
規模別
分
布及び
市場規模で
あ
る。
こ
の
ぅち
部門内企
業数に
関して
は
寡占は
次の
二
つ
の
特徴を
持
っ
て
い
る。
第一
に
企
業数が
少
数で
安定して
お
り、
第二
に
そ
の
構成
員が
不
変で
あ
る
と
い
う事で
あ
る。
こ
れ
は
新企業
の
参入
及び
既存企
業の
退
出が
発生
しに
くい
事、
言い
換え
れ
ば
部門間資本移動が
困
難なこ
と
を
意味する
。
その
原
因
は
高い
参入
障壁の
存在と
需要の
安定
的推移に
あ
る。
参入
障壁と
は
新規企
業の
当該産
業部門へ
の
参入を
阻害す
る
諸
要因の
総称で
あ
り、
こ
れ
が
高けれ
ば
高い
ほ
ど
他の
条件に
して
等しい
限り
売り
手集中
度は
上
昇す
る。
供給者の
絶対
数が
減少する
か
らで
あ
る。
参入
障壁は
資金
調
達力に
関す
る
障壁と
比
率効果に
関す
る
障壁と
に
分
けて
論じる
の
が
便
利で
あ
ケフ
。
資金調
達力に
関する
障
壁と
は
新規企
業が
そ
の
産業に
お
い
て
標
準的な
もの
と
なっ
て
い
る
生
産設備並
び
に
製品版
売網を
入
手
する
の
に
要す
る
資金の
調
達の
難易
度
の
こ
と
で
あ
る。
調
達すべ
き
資金
量が
巨
額に
なれ
ば
な
る
ほ
ど
難易
度は
上
昇し
、
参入
可
能な
企
業の
数は
減少する
で
あ
ろ
う。
い
わ
ゆ
る
ビ
ジ
ネス
・
デモ
ク
ラ
シ
ー
の
仮説に
従
う限
即
一 棟論叢 第八 十五 巻 第五 号 ( 98 )
りか
か
る
参入
障壁は
存在しない
。
しか
し
なが
らこ
れ
は
極
(
6)
めて
非現
実的な
想定で
あ
る
と
思わ
れ
る。
此
率効果に
関す
る
障壁と
は
参入に
伴う捻供給量の
増加に
ょっ
て
製品
価樽
が
低下
する
度合い
を
指し
、
低下
率が
大き
い
ほ
ど
参入ほ
困
難と
な
る。
こ
の
際麿は
他の
条件に
し
て
等しい
限り
当
該産
業で
の
標準的な
生
産規模の
増大と
と
もに
高まる
で
あ
ろ
う。
寡
占に
お
い
て
は
新規企
業の
参入ほ
殆ど
見られ
ない
。
そ
れ
ほ
高い
参入
障壁の
存在を
証明す
る
もの
であ
る。
一
方、
需
要の
安定的
推移は
新
企業の
参入を
防ぐ
と
同
時に
既存企業
の
退出を
防ぐ
条件で
も
ある
。
急激な
需
要成長は
比
率効果
に
関する
参入
障壁を
低下
さ
せ
新規参入
を
引き
起こ
すで
あ
ろ
うし
、
急激な
需要減少は
既存企業の
経営を
困
難な
もの
と
し
遂に
ほ
退
出を
余儀な
く
さ
せ
る
で
あ
ろ
う。
い
ずれ
も
売
り
手集中
度に
影響を
及ぼ
す。
従っ
て
寡占が
維持さ
れ
る
た
め
に
は、
需
要成
長率が
0
も
し
くは
正の
一
定の
範囲内に
存
在せ
ね
ば
な
ら
ない
。
か
く
して
我々
は
寡占的市場構造
を、
高い
売り
手
集中度
、
高い
参入
障壁
、
ある
特定の
範囲内で
の
需要成
長率に
よっ
て
特徴付け
る
こ
と
が
で
き
る。
売り
手
集中度ほ
市場行動の
バ
ロ
メ
ー
タ
ー
で
あ
り、
参入
障壁と
需
要成長率に
ょ
り
規定さ
れ
る。
こ
の
認識こ
そ、
こ
れ
ら
三
要
因を
我々
が
市場行動を
規定する
基本的要因と
呼ん
だ
理
由
棚
に
他な
ら
ない
。
とこ
ろで
寡占的
市場構造を
特
徴付
ける
高い
参入
障壁の
主た
る
構成
要素と
して
しば
しば
指
摘さ
れ
るの
は
規模の
経
済性で
あ
る。
規模の
疑済性と
ほ
工
湯乃
至
企業の
規模が
拡
大すれ
ばする
ほ
ど
製品単位当り
平
均生
産費が
低下
す
る
事
態を
指す
。
従っ
て
競争戦に
勝ち
残る
た
めに
企業は
大規模
化せ
ざ
る
を
得ない
。
規模の
経済性の
存在ほ
二
重に
参入
障
壁を
高める
。
す
な
わ
ち一
方で
ほ
その
産業に
お
ける
企業の
標準的規模を
拡大さ
せ
る
こ
とに
ょっ
て
資金調達力に
関す
る
参入
障壁を
高め
、
他方で
は
需要条件に
して
等しい
限り
比
率効果に
関する
参入
障壁を
高める
。
規模の
経
済性が
寡
占的市
場構造の
形成と
密接な
関連を
持っ
て
い
る
こ
とほ
明
らか
で
あ
ろ
う。
本稿の
課題は
こ
の
規模の
経
済性と
需要成
長率を
用い
て
寡占形成を
説明
す
る
こ
と
で
あ
る。
我々
は
ま
ず規模の
経済性の
具体
的内容を
検謝する
こ
と
か
ら
始め
よ
1
フ0
3 2 1
■
i
心r
今
井・
字沢
他
〔
9〕
勺
p●
岩い
-岩谷
B已ロ
.
ナ
∽一
〔
3〕
や
N
CPく0切
、
P〔
4〕
ワ
ー
小
〆
■1
.
卜
■恥.
( 9 9 ) 規模の 経済性 と寡占 的市易溝造 の 形成
。
一1
、
1
J
■我.・
(
4)
越後
〔
5〕
p・
¢
(
5)
実際の
計
測
上の
問題に
つ
い
て
は
宮
沢
〔
1 6〕
第六
章二
節
参照
(
6)
只已票打r
]
芦
〔
1 1〕
勺
り
望-思
策二
幸
規模の
経済性・
■
規模の
経済性とは
生
産規模の
拡大に
伴っ
て
製品の
単位
当
り
平均生
産
費が
低下
する
事態を
指す
概念で
あり
、
短
期
費用
曲線の
包路線た
る
長期費用曲
線が
右下が
りと
な
る
こ
とに
ょっ
て
示さ
れ
る。
本革で
は
ま
ずこ
の
規模の
経済性が
発生
する
根拠に
つ
い
て
論じ
、
然る
後に
石
油精製業及び
自
動
車工
業を
例に
と
り
そ
の
具体
的な
発現
形態を
観察する
。
一
規模の
経済性の
発生
因
規模の
経済性は
二
つ
の
経路を
通じ
て
発生
す
る。
製品
一
単位当
りの
物的
投入
量の
減少
、
すな
わ
す原材料及び
労働
投入
量の
減少に
基づ
く
場合と
物的投入
量は
不
変の
ま
ま
で
そ
の
価格が
大量取引に
伴い
低下
す
る
場
合で
あ
る。
ナ
S・
出巴n
ほ
前者の
径路を
「
実質的経
済性(
蒜巴
計O
nO
m訂
且+
、
後者の
径路を
「
厳密に
金
銭上
の
経
済
性(
研
t
ネロt】
y
pe
c
苧
(
1)
ロ
ぎ
項①
8nO
m訂且+
と
命名して
い
る。
我々
ほ
考察を
実質
的経
済性に
限
定し
ょ
う。
何故な
ら
あ
る
産業に
お
け
る
標準
的企
業規模は
、
■主と
して
実質的経
済性に
よ
り
決定さ
れ、
厳密に
金銭上の
経済性に
ょっ
て
影
響さ
れ
る
頼度は
非常に
小
さ
い
と
考え
ら
れ
る
か
らで
ある
。
し
か
し
なが
らこ
れ
は
我
々
の
事実認識に
すぎ
ない■。
さ
て
実質的経
済性に
は
工
場レ
ベ
ル
で
発生
する
もの
と
企業レ
ベ
ル
で
発生
する
もの
と
が
あ
容積増加 の 経済性
分 割不 可能 性 に 基 づ く経済性
多数琴海 の 経済性
優 秀な 生産 組織 の 採用
倍 数原理 に よる 経 済性
多数 資源 の 経済性
物的 流通 費の 節 約
一 般管理 費の 節約
Jl
(
レ べ ′レ
レ′べレ
湯
葉
工
企
′
-
-
-ノヽ
-し
二表
実質的経済性
る。
表二
-一
に
従っ
て
個々
の
内容を
検討して
お
くこ
と
に
し
ょ
う。
工
場レ
ベ
ル
で
発生
す
る
実質的
経済性と
して
ま
ず挙げ
られ
る
の
は
容積増加の
経済性
で
あ
る。
こ
れ
は
設
備の
産出能
力の
増加率が
費用の
増加率よ
り
も
大と
な
る
事態を
指し
、
パ
イ
プ・
タ
ン
ク
等に
お
い
て
典型
的に
見ら
れ
る
経済
性で
ある
。
い
ま
壁厚を
一
定と
すれ
ばタ
ン
ク
の
産出能力
(
=
容量)
ほ
体
積に
比
例し
、
費用は
表面積に
一qU
\
比
例する
。
こ
の
場合の
費用と
甜
一 橋論叢 第八 十 五 巷 第五 号 ( 1 0 0)
は
資材
費及
び
加工
費の
稔計で
あ
る。
例え
ば
球形タ
ン
ク
の
場合
、
壁厚
、
使用材料に
して
同一
な
らば
費用の
増加率は
能力増加率の
2
丁
乗と
な
り、
高さ
が一
定の
パ
イ
プ
に
つ
い
(
2)
て
は
1一
2
乗と
な
る。
一
般に
「
0 ・6
乗則+
と
呼ば
れ
る
もの
が
こ
れ
で
あ
る。
次に
、
専門
化
さ
れ
た
資本設備に
は
ある
一
定
の
産出量に
お
い
て
初めて
効率的た
り
得る
もの
が
多い
。
こ
の
様な
特質を
持つ
資本
設備の
うち
産出量の
よ
り
大き
な
も
の
を
導入
する
こ
とに
よっ
て
平均
費用の
低下が
もた
ら
さ
れ
る
場合
、
分割不
可能性(
旨di
5 .
巴
gi
t小
謡)
に、基づ
く
経済性
打
発生と
呼ば
れ
る。
多数資源の
経済性と
は、
使用設備数
の
増加に
つ
れ
て
必
要と
さ
れ.
る
予
備部品
数が
相対
的に
減少
する
事実を
指す
。
こ
れ
は一
種の
在庫の
節約とい
え
よ
う。
優秀な生
産組
織の
採用と
は、
産出量の
増大を
必
然化
さ
せ
る
様な
新た
な
生
産方
式の
採用の
こ
とで
あ
り、
一
例と
して
バ
ッ
チ
生
産シ
ス
テ
ム
か
ら
流れ
作業方
式へ
の
転換が
挙げ
ら
れ
る。
倍
数原理に
ょ
る
経済性と
は一
工
場内で
異種の
機械
が
そ
れぞ
れ
異なっ
た
最
適能力
を
持つ
場合
、
エ
場の
最適規
模ほ
そ
れ
ら
各最適能力の
最小
公
倍数に
等し
く
な
けれ
ばな
(
3)
ら
ない
事か
ら
発生
す
る
経
済性で
ある。
但しこ
の
場合技術
革新に
伴う機械の
最適能力の
変化に
よっ
て
ほ工
場の
最適
規模が
縮小
する
可
能性も
残さ
れて
い
る。
以
上
が
エ
場レ
べ
007
ル
で
の
実
質的凝済性の
内
容で
あ
り、
後に
見■
る
様に
そ
の
支
配的
要因は
産業に
ょ
り
異な
る。
次に
企
業レ
ベ
ル
で
の
実質
的経済性に
つ
い
て
述べ
よ
う。
工
場レ
ベ
ル
で
の
そ
れ
と
区
別
さ
れ
た
意味で
の
企
業レ
ベ
ル
に
お
ける
実
質
的
経
済
性と
は
「
同一
の
工
程を
担当す
る
多数工
場を
同時に
経営す
る
こ
と+
に
伴う経済性
、
す
な
わ
ち
多数工
場企業の
経済性に
他な
ら
(
4)
ないら
表二
-一
で
最初に
挙げら
れ
た
多数
資源の
経済性は
エ
場レ
ベ
ル
の
そ
れ
と
同一
の
内
容を
持つ
。
予
備部品
及び
原
材料の
在庫に
関して
こ
の
要因に
基づ
く
経
済性は
大き
く
作
用す
る
で
あ
ろ
う。
物的流通
費の
節約と
は
消費地が
地
理
的
に
分
散し
て
い
る
場合
+
各消費地
或い
は
そ
の
近
傍に
工
場を
建設
する
こ
とに
ょ
り
製品
輸送費が
節約さ
れ
る
事態を
指す
。
市場が
全
国的な
広が
り
を
持つ
製品で
運
賃費用が
大き
い
場
合に
は
と
り
わ
け
重
要と
な
る
要因で
ある
。
最後に
一
般管理
費の
節約とは
、
企
業規模が
あ
る一
定の
大き
さ
に
達す
る
と
コ
ン
ピ
ュ
ー
タ
ー
の
導入
に
よ
り
人
件費の
節約が
可
能と
な
る
(
5)
等の
事態を
指す
。
そ
れ
で
は
規模の
経済性に
上
限は
存在し
ない
の
で
あ
ろ
う
か。
規模の
拡大に
つ
れ
て
平均生
産費ほ
絶え
ず低下
し
続け
ド
‥
軒,
l
一
丸.
-
( 1 0 1) 規模 の 経済性 と寡占 的市場構造 の 形成
奇
\
吋
ィ
叫
此叩
★
る
の
で
あ
ろ
うか
。
我々
は
こ
の
問題を工
湯レ
ベ
ル、
企業レ
ベ
ル
そ
れ
ぞ
れ
に
つ
い
て
考察する
こ
と
に
し
よ
う。
工
場レ
べ
(
6)
ル
に
関し
て
は
戸C・
「e
まn
の
分
析が
参考に
な
る。
「e
く
ど
に
拠れ
ば
規模の
拡大に
対
する
制約要因の
一
つ
ほ
製品の
費
用関数の
裡に
ある
。
製品
一
単位当
り
平均費用は
生
産
規模
の
拡大と
と
もに
低下し
て
い
く
逓減的部分
(
0 ・6
乗則に
従
う
部分
、
事務所や
制御室等の
共
通
安部分
、
機器の
監
視・
維持
費等)
、
規模の
拡大に
は
か
か
わ
り
な
く一
定値を
と
る
部
分
(
原材料費
、
直接労働費)
及
び
規模と
と
もに
増
加
し
て
い
く
部分
(
巨大組織の
調
整費用)
の
三
つ
の
部分
か
ら
構成さ
れ
て
い
る。
こ
の
うち
最後の
費用部分は
工
場レ
ベ
ル
で
よ
り
は
企業レ
ベ
ル
で
生
じる
傾向
を
持つ
た
めこ
こ
で
ほ
無視する
こ
と
に
し
ょ
う。
さ
て
生
産規模の
拡大すな
わ
ち
産出量の
増
加に
伴い
製品
一
単位当り
平均
費用に
占め
る
逓減的部分の
割合は
低下
し
不
変部分の
相対
的比
率が
上
昇する
。
逓減部
分の
比
重
低下ほ
総費用の
低下
を
次
第に
小
さ
な
もの
と
して
い
く。
そ
の
結果
、
一
定の
産出量水
準を
越え
る
と
製品
一
単
位あ
た
り
平均費用は
目立っ
た
低下を
見せ
な
く
な
る。
こ
の
産出量水
準こ
そ
最
小
最
適
生
産
規
模
(
邑已m巴
○
官i
ヨ已
S
O
巴①
)
に
他な
らない
。
単位あた
り
平均費用に
占める
逓減
部分の
比
重
低下
を
原因と
し
て
生
産規模の
拡大が
制
約さ
れ
る
効果を
「0
まn
は
ぎs
鼠n
琵c
p
ロC
e
e
持
票t
、
と
呼ん
で
い
る。
また
彼は
技術上の
院
路
(
♂Ott-
e
ロ2
C
打ひ
〕
に
よっ
て
も
規模
の
拡大が
制
約さ
れ
る
と
指摘して
い
る。
あ
る
種の
資本設備
の
設
計や
建
造の
困
難
等が
そ
れ
で
あ
る。
へ
ど巴粥
ロi
PO
P
ロC
e
巾
持ec
t.
に
ょっ
て
規模の
経
済性が
消失
し
た
場
合、
最小
最
適規模の
拡大は
不
変費用に
対
する
逓減費用の
割合を
高め
る
方
向で
の
技術革新に
ょ
り
達成
さ
れ
る
こ
と
に
な
る。
こ
の
様な
例は
原
料が
単位あ
た
り
平均費用の
大き
な
部分を
占め
る
産業に
見ら
れ、
原
料は
不
変費用で
ある
た
め
技術革新ほ
原料
節約型に
なる
。
そ
の
際用い
られ
る
手段は
同
量の
原料
か
ら
よ
り
多くの
最終生
産物を
製造
する
か、
或い
は
同じ
最
終生
産物を
生
産す
る
た
めに
よ
り
安価な
原料を
使用する
か
の
い
ずれ
か
で
ある
。
又
古Ot
t】
①
ロe
C
k切
、
に
ょっ
て
規模
拡
大
が
妨げ
ら
れ
て
い
る
場合に
は
技術革新に
よ
り
そ
の
陸路を
突
破する
か
或い
は
障害を
克服する
新工
頼を
造出する
か
の
い
ずれ
か
で
ある
。
一
方
墟
業レ
ベ
ル
に
お
け
る
規模の
経済性の
拡大を
妨げる
要因と
して
は
先
鍵
述べ
た
調
整
費(
0
0∽
t
Of
30
a-
ロPt-
○
ロ)
の
増大が
挙げ
られ
る。
上
れ
は
企業規模が
巨大に
なる
に
つ
れ
内部
機構が
復姓化し
、
鼠織内の
意思
疎
m
一
様論叢 弟八 十五 巻 第五 号 ( 1 02)
通が
柔軟性を
欠く
様に
な
り、
企
業者機能の
本質たる
調整
機能が
円
滑に
作動しな
く
なる
こ
と
に
由来す
る
不
経済性で
あ
る。
ロ
A・
G・
RO
Ens
O
n
は
こ
の
こ
と
を
次の
様に
比
喩
して
い
る。
「
歩兵
小
隊
長の
間
違い
は
即
座に
一
言『
も
と
へ
!』
と
い
え
ば
よ
い。
軍司
令官の
間違い
は、
正
し
くす
る
(
7)
た
めに
何日
もの
努力を
要する+
。
■
以
上
我々
は
規模の
経済性の
発生
因を工
場レ
ベ
ル、
企業
レ
ベ
ル
そ
れ
ぞ
れに
つ
い
て
考察し
、
併せ
て
規模の
不
経済性
を
も
た
ら
す
諸要因に
も
論及し
た。
次に
個々
の
産業に
お
い
て
実際に
規模の
経済性が
どの
よ
うに
発現
して
い
る
か
を
石
油精製業
、
自動車工
業を
例に
と
り
検討して
お
くこ
とに
す
る。
こ
の
二
つ
の
産業を
選
ぶ
理
由は
前者が
装
置産業の
、
後
者が
組立
産業の
そ
れ
ぞ
れ
典型と
さ
れて
い
る
か
らに
他
な
ら
ない
。
二
石
油精製業に
お
け
る
規模の
経済性
石
油精製と
は
油田
に
お
い
て
採取
さ
れ
た
原
油に
物理
的或
い
ほ
化学的処理
を
施し
各
種石油製品を
製造
する
エ
程を
指
す。
そ
の
プ
ロ
セ
ス
は、
ま
ず脱塩
処理
か
ら
始まる
。
こ
れ
は
原油に
混
在する
無機塩
澤を
除去する
た
め
で
あ
る。
脱塩
処
理
を
受けた
原油ほ
蒸留さ
れ、
沸点の
差に
ょっ
て
ガ
ソ
リ
ン
、
灯油
、
軽油
1
重
油に
分
離さ
れ
る。
分
離さ
れ
た
こ
れ
ら
各種
湖
石油製品
は
不
純物除去及
び
品
質改
善の
た
め
薬品
洗浄
、
水
素化
精製
、
溶剤抽出
、
分
解、
改
質等の
化学的或い
は
物理
(
8)
的処
理
を
受け
完成品
と
な
る。
石油精製業で
は
以
上の
エ
濯
を
担
当
する
精製装
置の
他に
ユ
ー
テ
ィ
リ
テ
ィ
設備
、
貯抽
・
送油設備
、
廃物処理
設備及
び
受入
・
出荷用
港湾設
備等を
必
要と
する
。
従っ
て
設
備投資は
巨
額に
上る
が、
その
主
要
な
部分は
容器や
機械の
製作及
び
購入に
あ
て
られ
る
機器
費
に
よっ
て
占め
ら
れ
て
い
る。
例え
ば
精
製装
置で
は、
加熱炉
、
塔、
タ
ン
ク、
熱交換器
、
ポ
ン
プ、
圧
縮器
、
パ
イ
プ、
バ
ル
ブ
等が
、
ユ
ー
テ
ィ
リ
テ
ィ
設
備で
は
こ
れ
らに
加え
て
蒸気ボ
イ
ラ
ー、
タ
ー
ビ
ン
発電機
、
変圧
器
等が
、
ま
た
貯油及
び
送
油設備で
は
各種タ
ン
ク、
パ
イ■
プ、
パ
ル
プ
等の
機器が
使用
さ
れ
る。
そ
れ
故石
油精製業に
お
ける
規模の
経済性を
考察
する
場合
、
ま
ず機器
費の
分析か
ら
始める
必
要が
あ
る。
さ■
て
前節に
お
い
て
我々
は
規模の
経済性の
発生
因の
一
つ
と.し
て
容積増加の
経済性に
つ
い
て
述べ
た。
すな
わ
ち
タ
ン
ク、
パ
イ
プ
等で
は
壁厚
、
使用材料に
変化が
ない
限り
、
産出能
力は
体
積に
比
例し
費用は、表面
積に
比
例する。
能力
増加率
は
常に
費用
増加
率を
上
回
る
か
ら
大
規模化す
る
ほ
ど
単位あ
ー
、
ヰ
r
.過甘
一
浪ふ
一
昨
卑
叫
。
.
小
、
一
朝.+
叫
.H
・ 一
( 1 0 3) 規模の 経済 性 と寡 占的市易構造 の 形成
表 = 一 二 石 油精製用 器費 に 関 す る 「 規模係数+
機 器 名 事例数
規 模 係 数 ( b)
0 . 4 0 0.4 0 0
.5 0 0 .6 0 0 .7 0 0 .8 0 0 .9 0 1 .0 0
以下 - 0.4 9 - 0 .5 9 - 0 .6 9 - 0 .7 9 - 0 .8 9 - 0 .9 9 - 1 .0 9
熱交換器 ,コ ン デ ン サー 1 0
2
1
2
1
2
4 3 1
1
4
2
2
1
2
1
1
1
1
タ ン ク 1 6 5 5 3
ポ ン プ 1 3 2
1
2
1 4
6
3
ガ ス ホ ′レ ダ ー
バ ー ナ ー
,コ ン ベ ア
フ ィル タ ー
3
8
9
2
1
1
1
3
2
塔 ,コ ン プ レ ァ サ
ー 1 2 2
3
3
電 動 機 6 2 2
蒸 発 器,‾粉 砕 機 1 1 3 1
乾 県 欝 , 炉 1 0 2 1 1 2 2
ガ ス 発生 装 置,そ の ノ
他 4 1 1 1 1
今 計 1 02 6 1 0 1 9 2 8 1 7 1 2 8 2
首 分 此 1 0 0 .0 5 .9 9 .8 1 8 .6 2 7 .5 1 6 .7 1 1 .8 7 .8 2 . 0
T ゐβ O iJ 曲 G が J ¢併 ′竹 d,
S ept . 2 8 . 1 9 6 4
, p . 糾
た
り
平均費用は
低下する
。
石
油精製業で
使用さ
れ
る
機器
に
は
こ
の
容積増加の
経済性に
従
うもの
が
多い
。
い
ま
機器
費を
C、
産出能力を
g
と
して
次の
様な
費用関数を
仮定し
て
み
ょ
う。
q=中
内○
き~
二叶
ゝ1ヾ
↓
≠
-
こ
の
と
き
ひ
<-
な
ら
ば
規模に
関する
収穫逓増
、
すな
わ
ヰ
(
9)
規模の
経済性の
存在を
意味す
る。
あ
を
「
規模係数+
と
呼
ぶ
こ
と
に
し
ょ
う。
W,
W≡訂
ヨ∽
号・
、
C・
H・
C
E-
t
O
ロ
ら
は
ア
メ
リ
カ■の
資料を
も
とに
石油精製に
用い・ら
れる
主た
る
機
器に
関し
て
規模係
数を
測定し
て
い
る。
表二
-二
が
そ
れ
で
あを。
規模係数が
一
以
上で
ある
の
はバ
ー
ナ
ー、
コ
ン
ベ
ア
八
例中の
一
例、
及
び
塔、
コ
ン
プ
レ
ッ
サ
ー
十二
例中の
一
例
に
すぎ
ない
。
百分
比で
み
た
場合
、
最も
分
布が
高い
の
ほ
規
模係数
0 ・ 6 0
-0 ・6 9
の
範囲で
あ
る。
従っ
て
主
要機器に
関する
限
や
石油精製業に
お
ける
規模の
経済性の
存在は
明ら
か
で
あ
ろ
う。
そ
の
主
た
る
発生
因は
容積増加の
経済性に
ある
と
考
え
ら
れる
。
とこ
ろで
設備投資に
ほ
今述べ
た
主要機器に
関
する
費用以
外に
保
温、
配管等の
補助
的
機器
費、
装
置建設
費等が
含ま
れ
る。
】・
出p
等0-
は
こ
れ
ら
に
つ
い
て
も
規模の
(
凹)
経済性が
存在する
こ
と
を
示
し
た
(
表二
-三)
。
主要機器
湖
仁′
ヰ
r■
蓉
㌦
●や
.
.
絹
.
か
妙-
一
け
.
†
・
一 橋論叢 第八十 五 巷 第五 号 ( 1 0 4)
表 =一
三 設備費算 出表 の 一 例
項 目 l 機 器 費 労 務 費
容 器
塔, 現 場取立
塔, 組 立 ずみ
熱交 換器
ポ ン プ,
コ ン プ レ ッ サ ー
,そ の 他
計測機 器
r基本 費目合 計 (A - F )
保 温
配 管
基 礎
建 屋
架 台
消 火設 備
電気関 係
塗 装 , 清掃
機器 費, 労務費合計
間 接 費
建設 費合計
エ ン ジ ニ ア リ ン グ費 ( 建設費の1 0 % )
予 備費 ( 建設 費 の1 0 % )
設 備 費 稔計
A
B
C
D
E
F
G
H = G X ( 5 ” 1 0) %
Ⅰ = G X ( 4 0 ′ - 5 0) %
J = G X ( 3 ” 5) %
E = G X 4 %
L = G X 4 %
班 = G x ( 1/2 - 1) %
N = G X ( 3 - 6) %
0 = G x ( 1/2 ′- 1) %
P
P X 3 0 %
P X 1 3 0 %
P X 1 3 %
P X 1 3 %
P X 1 5 6 %
A X l O %
B X ( 3 0 ・ - 35) %
C X ( 1 0 ” 15) %
D X l O %
E X l O %
F X ( 1 0 ・- 1 5) %
E X 15 0 %
Ⅰ × 10 0 %
J x 1 5 0 %
E X 7 0 %
L X 2 0 %
M X (5や0 一 郎0) %
N X 1 5 0 %
0 ×( 5 0 0 ′ - 8 0 0) %
J o b l H a p p el,
C ゐβ桝 i 血 P ro cβぶぶ E co 仰 才c ざ,1 9 5 8 ・ (東洋 レーヨ ン 工 研訳 『化学 プ ロ セ ス の 経済評
価』1 9 6 6,
9 5 ベータ)
に
規模の
経済性が
存在す
る
こ
と
は
朗一7
既に
見た
が、
それ
らの
据付
け
労務
費は
表に.
明ら
か
な
様に
各機器
費に
此
例して
変動する
。
従っ
て
機器費
に
規模の
経済性が
存在す
る
限り
据
付け
費に
も
規模の
経済性が
存在す
る。
補助
的
機器
費は
主
要機器
費捻
額の一
定率と
して
算定さ
れ
る。
ま
た
補助
的機器
据付け
労務費ほ
補助
的機器
費に
比
例して
変動す
る。
主
要機器
費に
規模の
経済性が
存在す
る
限り
、
い
ずれ
の
費目に
鳩
規模の
経済性が
存在する
こ
と
は
明らか
で
あ
る。
間接費
、
エ
ン
ジニ
ア
リ
ン
グ
費、
予
備費に
つ
い
て
も
同
様の
関係
が
成り
立つ
。
よっ
て
石油
精製
業に
お
ける
設備投資に
ほ
全体
と
して
規
模の
経済性が
存在す
る
と
言うこ
と
が
で
き
る。
以
上の
事柄を
製品
原価
の
面か
ら
述べ
る
な
ら
ば、
規模の
拡
1
、
ナ
1
亀「
叫
叫
一
■朝
′
。
「ト
大と
と
もに
製品
一
単位当り
減価償却費が
低下
して
い
く
事
態を
意味す
る。
製品
原価に
は
こ
の
他原
料費
、
ユ
ー
テ
ィ
リ
ティ
費、
直接労働費
、
補修費等が
含ま
れ
る
が、
原料費
、
ユ
ー
テ
ィ
リ
テ
ィ
費は
規模の
如何に
拘ら
ず製品
単位当り
一
定で
ある
。
一
方
直
接労働費は
その
監視労働と
して
の
特性
か
ら、
又
補修費ほ
建設費の
一
定率と
して
計上
さ
れ
る
こ
と
(
1 1)
か
ら
共に
規模の
経済性が
働く
。
か
く
して
設備規模の
拡大
と
と
もに
製品
一
単位当
り
減価償却費
、
.直接労働費及び
補
修費は
低下
して
い
く
が、
原料費
、
ユ
ー
テ
ィ
リ
ティ
費は
不
変に
留まる
。
R・
C・
「①
5 .
P
の
J
ns
首口
許n
p
nc
O
血
愚0¢
ぺ
の
(
㍑)
発生
を
もっ
て
こ
の
規模の
拡大は
停止す
る。
石
油精製業に
お
け
る
規模の
経
済性の
発現
は
以
上で
あ
る。
( 1 0 5) 規模 の 経済性と寡 占的 市象構造 の 形 成
園=- 一 自動車 の 製造 工 程
オ⊥一「形粗購 入 素 材
物物材
鋳鋳粗造
鉄
鉄
赦
免
非鋳
鉄
鋼
鋼
属金
通殊
鉄
普
特非
受
庄造工程
車体姐立工程
車体塗
程
鍛 造工程
クランクシャフトアイ ビーム
アクスルチエー7
熱処理工 程
フ レ ー
ム
組 立工程エ ンジン, ミッ シ ョ ン
. アクスル
分 品
こジ頬 .
その他
) 捻 組 立 工 程
l
l
団 互遠亘二]- - - - - - … - - ヰ ヨこ= 亘= ]
岩越忠恕r自動車工業論J p . 74
三
自動車工
業に
お
ける
規模の
経
済性
自動車工
業は
代表的な
組立
産業で
あ
り、
そ
の
製造工
程は
幾つ
か
の
サ
ブ
プ
ロ
セ
ス
か
ら
成り
立っ
て
い
る。
図二
-一
に
従っ
て
そ
れ
ら
各プ
ロ
セ
ス
間の
相
互
関連
、
全
体と
し
て
の
製造工
蕪の
概
要を
み
て
お
くこ
と
に
し
ょ
う。
自動車製造は
部品
、
素材
、
及び
粗
形材の
購入に
始ま
る。
購入
さ
れ
る
部
品に
は
タ
イ
ヤ、
硝子
、
ネ
ジ
等が
、
素
材に
ほ
銑鉄
、
普通
鋼等が
、
又
粗
形材
に
は
各種鋳物が
含ま
れ
る。
受入
検査
を
経て
こ
れ
ら
各品目
は
そ
れ
ぞ
れ
の
工
棚
一
棟 論叢 弟八 十五 巻 第五 号 ( 1 06)
鍵に
配属さ
れ
る。
こ
の
うち
部品は
その
使途に
応じて
初期
工
薄か
ら
最終工
巷に
至る
ま
で
様々
な工
藤に
流れ
て
い
く。
素材及び
粗
形材は
鋳造
、
鍛造
、
圧
造の
各工
笹に
回
さ
れる
。
鋳造工
程で
は
シ
リ
ン
ダ
ー、
ブレ
ー
キ
ド
ラ
ム
、
、、
、
ァ
シ
甘
ン
ケ
ー
ス
が、
鍛造工
程で
は
ク
ラ
ン
ク
シ
ャ
フ
ト、
ア
イ
ビ
ー
ム、
ア
ク
ス
ル
チュ
ー
ブ
等が
製造
さ
れ
る。
後者は
そ
の
後熱処理
を
受け
、
前者と
と
もに
機械
加工
工
礎、
ユ
ニ
ッ
ト
組立工
程
に
入
り、
エ
ン
ジ
ン
、
ト
ラン
ス
、
、
、
ァ
シ
ョ
ン
、
ア
クス
ル
と
し
て
組立て
られ
る。
一
方
圧
造工
程すな
わ
ちプ
レ
ス
工
程は
車
体、
サ
イ
ド
レ
ー
ル
の
製造を
行い
、
こ
れ
ら
ほ
車体
組立工
程、
車体
塗装工
程、
車体臆装工
笹、
或い
ほ
部品
塗装工
薙、
フ
レ
ー
ム
組
立工
凝を
経て
エ
ン
ジ
ン、
ト
ラ
ン
ス、
、
、
ァ
シ
ョ
ン、
ア
ク
ス
ル
とと
もに
総組立工
程へ
入る
。
自動
車の
製造は
こ
の
エ
笹を
以て
終り
、
組立て
られ
た
自動車は
諷整
・
検査の
後完成車と
して
出荷さ
れ
る。
なお
メ
ー
カ
ー
に
よっ
て
は
機
械加工
土
餐や
プ
レ
ス
工
程、
取立工
濯の
一
部を
外
部企
業に
(
1 3)
発注する
こ
と
もあ
る。
さ
て
自動車工
業に
お
け
る
規模の
経済性に
関して
は、
ま
ず優秀な
生
産覿織の
採用か
ら
述べ
ね
ば
な
ら
ない
。
当
初自
動車工
業で
使用さ
れた
生
産
組
織はバ
ブ
チ
シ
ス
テ
ム
(
臼P・
t
O
F
Sy
乳e
m)
で
あっ
た。
こ
の
方
式の
も
と
で
は
自
動
車の
僻7
基底
部(
シ
キ
シ
ー)
ほ
作業場内の
一
点に
固定さ
れ、
そ
こ
に
エ
ン
ジ
ン
、
車輪等の
部品
が
運ば
れ
熟練工
に
よ
り一
台ず
つ
組立て
られ
る。
こ
れ
と
対
照的に
H.
句○
邑
の
導入し
た
流れ
作業方
式で
は、
シ
ャ
シ
ー
が
部品の
配置さ
れ
て
い
る
組
立ラ
イ
ン
に
沿っ
て
移動しで■い
く。
すな
わ
ち
作業対
象が
作
業員か
ら
作業員へ
と
自動的に
運
搬さ
れ
て
い
くの
で
あ
る。
その
結果
、
各作業貝の
無駄
な
労働が
排除さ
れ、
エ
場内分
業ほ
急速な
進展を
み
せ
る。
バ
ッ
チ
シ
ス
テム
か
ら
流れ
作業
方
式へ
の
転換に
ょ
り
生
産量は
飛躍
的に
増大し
、
生
産費ほ
(
川)
著し
く
低下す
る。
ま
た
作業員が
個々
の
作業に
専門
化
する
た
め
学習効果が
発生
し、
製品の
品
質が
高ま
る。
優秀な生
産組
織の
採用に
基づ
く
規模の
経済性の
発生
が
こ
れ
で
ある
。
次に
分
割不
可
能性に
基づ
く
経済性に
つ
い
て
述べ
よ
う。
分
割不
可
能性に
基づ
く
経済性と
は、
あ
る一
定の
産出量
水準に
お
い
て
初め
て
効率的と
なる
機械設備の
導入に
よ
り
費用
低下が
もた
ら
さ
れ
る
場合を
指す
。
自動車工
業で
の
ト
ラ
ン■
ス
フ
ァ
ー・
マ
シ
ン
、
プ
レ
ス
用高額金型の
導入は
その
好例で
ある
。
ト
ラ
ン
ス
フ
ァ
ー・
マ
シ
ン
と
は
部品の
加エ
、
移動を
すべ
て
自動化し
た
もの
で、
加工
順に
配列さ
れ
た
専
ト
.
ヰ
.
r
浄
.ト
小
鴫
、
ト
醸.ト
ド干.
-
-
十
、
葡}
叶
一
。
一
叫
蔦1
†
、
。-
一
用工
作機械の
間をコ
ン
ベ
ア
に
乗っ
た
部品が
移動して
い
く。
こ
の
ト
ラ
ン
ス
フ
ァ
ー
・
マ
シ
ン
の
導入
は
直
接労働費を
大き
(
1 5)
く
減少さ
せ、
量産に
ょ
る
コ
ス
ト
低下を
もた
ら
す。
一
方
プ
レ
ス
用高額金型ほ
、
プ
レ
ス
機に
取り
付け
ら
れ
連続的に
使
用さ
れ
る
こ
と
に
よ
り
規模の
経済性を
実現
する
。
自動車に
特有の
モ
デル
・
チェ
ン
ジ
の
存在は
、
ボ
ディ
加工
に
用い
ら
れ
る
プ
レ
ス
用金
型の
道徳的磨損を
早
める
た
め、
短期間に
連続的に
多数の
圧
延
作業が
行な
わ
れ
ね
ば
な
ら
ない
。
高額
(1 0 7) 規模 の 経済性 と寡占的 市易構造 の 形成
園 二 一 二 乗用事 の コ ス ト ス ケ ー ノレ ・ カ ー プ
ポン ド
(
U(
U
爪V
O
O
O∧
U∧
U
O∧
U
OO
O∧V
O
OO
O∧
U
爪V
1 00 20 0 30 0 4 00 50 0 60 0 7 00 8 00 90 0 10 0 0
年 間生 産量( 千台)
一
台
当りコ
ス
ト
G . M a x c y a n d A ・ Silb e r st o n,T b e M ot o r I n d u st 叩 , ト 94
金型で
は
型を
取
り
換え
る
こ
と
な
くこ
れ
が
可
能で
あ
り、
量産に
ょ
る
コ
ス
ト
低下を
も
(
16)
一
た
らす
。
優秀な
生
産
覿織の
採用
、
分割不
可
能性
に
基づ
く
経済
性と
並
ん
で
自
動卓二
業に
規模の
経済性を
も
た
ら
す
要因ほ
、
倍数原理に
よ
る
経済性で
あ
る。
工
場内に
異種の
廃城が
存在しそ
れ..
ぞ
れ
異なっ
た
最適規模を
持つ
と
き、
工
場全
体の
最適規模は
そ
れ
らの
最小
公
倍数に
等し
く
な
けれ
ば
な
ら
ない
とい
うの
が
倍数原理の
経済性で
あっ
た。
こ
の
経済性は
、
い
くつ
か
の
加工
・
組立工
程を
持つ
自動車工
業に
顕著に
あ
ら
わ
れ
る。
ま
ず主要工
寝別の
最適規模を
見る
こ
とに
しょ
う。
但し
以
下の
数字ほ
すべ
て一
九五
〇
年代初期の
イ
ギ
リ
ス
自動
車工
業に
つ
い
て
の
もの
で
あ
る。
組立工
程で
は、
流れ
作業方
式
を
採用する
場合
、
年産六
万
台は
最低限必
要で
あ
り
十
万
台
で
そ
の
経済性は
尽きて
し
ま
う。
一
方
機械加工
工
程の
最適
規模は
、
高価棒の
専用機械を
使用す
る
こ
と
も
あっ
て
年産
五
〇万
台で
あ′る
。
プ
レ
ス
工
程は
、
先
程述べ
た
高額金
型の
五
〇万
台で
あ′る
。
+
(
1 7)
使用に
ょ
り
最適規模は
極め
て
大き
く
年産百
万
台で
あ
る。
従っ
て
倍数原理に
基づ
く工
場の
最適
規模は
十
魔の
取立工
程、
二
組の
機械
加工
工
程、
一
組の
プ
レ
ス
工
程を
持つ
年産
百
万
台の
水
準と
な
る。
こ
の
こ
と
を
明
瞭に
示
すの
が
図二
1
(
旭)
二
の
「
シ
ル
バ
ー
ス
ト
ン
曲線+
た他な
ら
ない
。
年産六
1十
万
台水
準で
は、
組立工
程へ
の
流れ
作業方
式の
導入を
基礎
と
して
費用低下が
進む
け
十万
台を
越える
と
機械加エ
エ
寧
仰
一 橋論叢 第八 十 五 巻 第五 号 (1 08)
に
ト
ラ
ン
ス
フ
ァ
ー
・
マ
シ
ン
が
導入さ
れ、
自動化が
進行す
る。
五
十
万
台に
至
る
と
機械加工
工
程は
最適規模に
達し
、
以
後百万
台に
至る
まで
の
費用低下の
主た
る
担い
手は
ブ
レ
ス
エ
程で
あ
る。
み
て
き
た
様に
自動車工
業に
お
け
る
規模の
経済性は
、
優
秀な
生
産組織の
採用
、
分
割不
可
能性
、
倍数原理の
三
者か
ら
発生
する
。
そ
れ
は、
規模の
経済性が
主と
し
て
容積増加
の
経済性か
ら
発生
した
石油清製菓と
は
対
照的で
あ
る。
四
小
括
規模の
経済性は
様々
な
要因に
よ
り
発生
す
る。
我々
は
第
一
節に
お
い
て
その
一
般的な
考察を
行ない
、
二、
三
節に
お
い
て
石
油棉製業
、
自動車工
業を
例に
と
り
具体的発現
状況
を
観察し
た。
我々
は
以
上の
分
析に
よっ
て
次の
二
点が
明
ら
か
に
なっ
た
と
考え
る。
第一
に、
等し
く
規模の
経
済性が
存
在す
る
と
い
っ
て
も、
そ
の
発生
因は
産
業ご
とに
大き
く
異な
る
と
い
うこ
と
で
あ
る。
石
油精製業に
お
け
る
規模の
経
済性
実現の
主
た
る
担い
手は
容積増加の
経
済性で
あり
、
自動車
工
業で
は、
優秀な
生
産
組織の
採用
、
分
割不
可
能性
、
及び
倍数原
理で
あっ
た。
石
油精製業は
、
タ
ン
ク、
パ
イ
プ
等を
多量に
使用する
産業で
あ
り、
い
わば
「
シ
リ
ン
ダ+
集約型
産業(
の
盲nd
苧叫
邑名S
才①
呂.
d
宏t
r
y)
+
と
呼ぶこ
と
が
で
き
鵬
(
望
7
る。
そこ
で
ほ
直接労働の
比
重は
極め
て
低い
。
⊥
方、
自動
車工
業は
多量の
直接労働を
必
要と
す
る
産業で
あ
り、
コ
ス
ト
ダ
ウ
ン
ほ、
それ
ら
直接労働の
適切
な
管理
、
或い
ほ
機械
に
よ
る
代替に
ょっ
て
可能と
な
る。
以
上に
述べ
た
石油棉製
業と
自動
車工
業と
の
産業特性上の
相異が
、
両
者に
お
け
る
規模の
経
済性の
発生
国の
相
違を
もた
ら
すの
で
あ
る。
第二
に、
ある
産業に
お
い
て
規模の
経済性が
発生
す
る
た
めに
は、
本来的に
そ
の
産業に
大
規模化の
利益を
受け
や
すい
産業特
性が
備わっ
て
い
る
か、
そ
うで
な
けれ
ば、
規模の
拡大を
必
然化
さ
せ
る
様な
技術革新が
行なわ
れ
ね
ば
な
ら
ない
と
い
う
事で
あ
る。
石
油精製業が
、
そ
ゃソ
リ
ン
ダ
ー
集約型
産
業と
して
の
特性故に
容積増加の
経済性を
享受した
の
は
前者の
例で
あ
り、
自動車工
業に
お
け
る
流れ
作業方
式、
或い
は
ト
ラ
ン
ス
フ
ァ
ー・
マ
シ
ン
等の
導入
は
後者の
例で
あ
る。
我々
はこ
こ
で、
規模の
経済性の
発生に
際して
の
技術革新の
重
要性を
確認
して
お
くこ
と
に
し
よ
う。
と
こ
ろで
二、
三
節に
お
ける
我々
の
分析は
エ
易レ
ベ
ル
で
の
規模の
経済性に
限
定■さ
れ
て
い
る。
そ
の
理
由ほ
、
一
、
企
業レ
ベ
ル
で
の
規模の
経済性に
つ
い
て
の
実証研
究が
乏
しい
。
イ
.
r
海-
_
≒
-
.
r
鴫
し
.
ト
姶
ヽ
J
.
-
( 10 9) 規模 の 潅済 性と寡 占的市湯構造 の 形成
ナ
、
血¶ヾ
、
-
二、
ほ
と
ん
ど
唯一
の
実
証
研
究で
あ
る
出巴n
の
研
究
に
よ
れ
ば、
確か
に
企
業レ
ベ
ル
に
お
い
て
も
規模の
経済性が
存在
(
2 0)
する
け
れ
ど
も、
そ
の
重
要度ほ
極めて
低い
、
こ
とに
よ
る。
従っ
て、
一
企業
一
工
場を
産業に
お
ける
標準的な
企業規模
と
仮定
し
て
差し
支え.
ない
と
思
われ
る。
以
上
我々
は
規模の
経済性の
発生
因、
石
油精製業及び
自
動車工
業に
お
け
る
そ
の
発
現状況を
考
察し
、
規模の
経済性
の
発生
因が
産業に
ょ
り
異な
る
こ
と、
規模の
経済性の
発生
に
際し
て
は
技術革新が
重
要な
役割を
演じる
こ
と
を
明
らか
に
し
た。
次に
我々
は、
こ
れ
らの
分析結果を
踏ま
えつ
つ、
寡占的市
場構造の
形成過
程を
論ずる
こ
と
に
し
ょ
う。
(
1)
出
巴ロ
ー
ナ
S一
〔
2〕
p.
h
N
(
2)
越後編
〔
6〕
p一
宏
(
3)
ヨ0
1
e
ロ
冨.
勺・
S,
〔
7〕
勺勺.
-
00
-N
O
(
4)
越後〔
5〕
ワ
ー
毘
(
5)
以
上の
実
質的
経
済性に
関す
る
議
論は
、
主
と
し
て
越
後
〔
5〕
に
拠る
。
(
6)
Je
まロ
.
戸C.
〔
1 2〕
(
7)
ROb
ど
容ロ
、
E・
A-
G-
〔
柑〕
p.
会
(
8)
越後編〔
6〕
胃一
旨-山
-
(
9)
C
の
g
に
関
する
二
次
導関
数が
負と
な
る
こ
とに
よる
。
( ( ( ( ( ( ( ( ( ( (・
J 1
2 0 19 1 8 1 7 1 6 1 5 1 4 1 3 1 2 1 1 1 0) ) ) ) ) ) ) ) ) ) )
ギ
一
朝イ
、
一
.1
1
越後
編
〔
6〕
p.
山
¢
越後編
〔
6〕
p
p.
畠-蓋
新飯
田・
小
野霜
〔
1 7〕
ワ
ー
冒
岩
越
〔
1 0〕
p.
¶
山
岩越〔
1 0〕
p
ワ
00
○
-巴
越後編
〔
6〕
p勺
■
-
岩-
-
-
-
越
後窮
〔
6〕
勺p・
-
○
か
--
ON、
岩越
〔
1 0〕
p.
00
叫
越後編
〔
6〕
勺
勺・
-
O
h
-岩て
岩
越〔
1 0〕
p.
笥
宣
告C
y-
G・
2-
d
∽-
旨¢
邑呂.
A●
〔
1 4〕
p.
窒
「e
まロ
ー
河-
C●
〔
1 2〕
u巴ロ
ー
ナ
S・
〔
3〕
勺.
-
況
第三
章
寡占的
市場構造の
形成
本稿の
課題は
企
業の
内部的成
長を
通じ
て
寡
占的市場構
造
が
形成
さ
れ
る
過
超を
理
論的に
解
明す
る
こ
とで
ある
。
我
々
は
第一
章に
お
い
て
分
析の
対
象た
る
寡占的市場構造の
概
念を
明ら
か
に
し、
第二
草で
は
分
析基
軸と
考え
られ
る
規模
の
経済性を
考察した
。
こ
れ
ら
を
基礎と
して
、
本章で
は
寡
占的市
場構造の
形成が
論じ
ら
れ
る。
我々
は
ま
ず分
析に
際
して
の
幾つ
か
の
前提を
述べ
る
こ
と
か
ら
始め
よ
う。
一
分
析の
諸
前授
7()9
一 橋論叢 第八 十五 巷 第五 号 (1 1 0)
以
下の
分析で
は
初期
状態と
し
て
原子
的市易構造が
仮定
さ
れ
る、
こ
れ
は
本稿に
お
ける
我々
の
問題設定か
ら
必
然的
に
要請さ
れ
る
仮定で
あ
る。
単純化の
た
めに
一
企
業一
工
場
と
し、
白然的或い
ほ
制度的条件は
各企
業と
も
同一
、
ま
た
輸出入
、
製品差別
化は
存在し
ない
もの
と
し
よ
う。
各時点
に
は
そ
れ
ぞ
れ
標準的
な生
産技術
、
及び
そ
れ
に
対
応し
た
最
小
最適生
産規模が
存在する
。
標準的企
業規模ほ
、
一
企業
一
工
場の
仮定の
下で
は、
こ
の
最小
最適生
産規模に
等しい
。
と
こ
ろで
寡占的市場構造の
形成は
売り
手集中度の
上
昇と
して
現わ
れ
る。
第
〓早
で
み
た
様に
売り
手集中度は
参入
障
壁と
需要成
長率に
ょ
り
規定さ
れ
る
の
で
ある
か
ら、
後二
者
を
用い
て
前
者の
・上
昇を
説明す
る
こ
とが
本
章に
お
ける
我々
の
課題と
な
る。
分
析に
進む
前に
解決して
お
か
ね
ばな
ら
な
い
問題が
一
つ
残っ
て
い
る。
そ
れ
は
参入
障壁の
内容と
して
何を
想
定す
る
か
とい
う
問題で
あ
るd
一
般に
参入
障壁の
内
容と
して
挙げ
ら
れ
る
もの
は、
規模の
経
済性
、
製品
差別
化、
(
1)
絶対
的費用
格差の
三
者で
あ
る。
こ
の
うち
製品差別化に
基
づ
く
参入
障壁は
本
稿で
は
仮定に
ょ
り
存在し
ない
。
絶対
的
費用格差に
基づ
く
参入
障壁と
は、
参入
者の
平均生
産
費が
標準的企
業規模で
の
そ
れ
よ
り
も
大幅に
高い
こ
と
に
由来す
る
障壁で
あ
り、
規模の
経済性に
基づ
く
参入
障壁と
は、
鹿
川
に
述べ
た
様に
標準的企業規模の
拡大に
伴っ
て
発生
する
障
壁で
あ
る。
我々
ほ、
.本稿の
仮定の
下で
ほ、
前者ほ
後者の
特殊な
発現
形態に
すぎ
ない
と
考え
る。
何故な
を一
、
自
然的
・
制
度的条件に
関し
て
企業間格差が
存在しない
場合
、
絶対的
費用格差に
基づ
く
参入
障壁の
発生に
心
技衛革新が
不
可
欠で
あ
り、
こ
の
点に
お
い
て
第二
章で
明
らか
に
さ
れ
た
規模の
経済性に
基づ
く
参入
障壁の
形成
と
同一
で
あ
る
こ
と、
二、
平均生
産費を
低下
さ
せ
る
技術革新ほ
、
一
般に
最小
最
(
2)
適生
産規
模の
拡大を
伴っ
て
お
り、
従っ
て
絶対
的
費用格差
に
基づ
く
参入
障壁の
発
生
は
規模の
経済性に
基づ
く
参入
障
壁の
形成の
一
側面を
述べ
たに
すぎ
ない
こ
と、
三、
両
者の
相
違ほ
参入
者が
新生
産技術に
関する
知識を
保有して
い
る
か
香か
に
あ
り、
絶対
的費用
格差に
基づ
く
参入
障
壁は
、
こ
の
点に
つ
い
て
規模の
経済性に
基づ
く
参入
障壁の
特殊な
場
合を
示
すと
考え
ら
れ
る
こ
と、
に
拠る
。
従っ
て
以
下の
分析
で
ほ、
参入
障壁は
規模の
経済性に
基づ
くもの
に
限
定さ
れ
る。
第二
章で
の
規模の
経
済性に
関する
詳細な
議論は
、
か
か
る
認
識に
由来する
もの
で
あっ
た。
分析の
諸前凍は
以
上
で
あ
る。
我々
は
寡占的市場構造の
形成過寒の
考察に
向か
■
浄
r
ゲ
㌢
-
-
′-
ト
曲什
も
`
←
・
( 1 1 1) 規模 の 経済 性と寡 占的市場構 造 の 形成
曲T
l
†
一
一
一
山
句.
一
一
うこ
とに
し
よ
う。
二
寡占
的市場構造の
形成
寡
占的
市場構造は
高い
参入
障
壁を
特
質と
して
持つ。
こ
の
高い
参入
障壁は
寂著な
規模の
経済性の
存在を
意味する
。
従っ
て
寡占的市場構造に
お
い
て
は
最小
最適生
産規模が
極
めて
大き
い。
一
方、
初
期状態と
して
の
原
子
的市場構
造で
は
参入
障
壁は
極め
て
低く
、
最小
最適生
産規模が
著し
く小
さ
い。
そ
れ
故、
原子
的市場構造か
ら
寡占的市場構造が
形
成さ
れ
る
た
めに
は、
既に
第二
章で
考察し
た
様に
技術
革新
に
ょっ
て
最小
最適生
産規模が
拡大し
て
行か
ね
ば
なら
ない
。
と
こ
ろで
技術
革新とは
企
業に
よ
る
新生
産
技術の
採用を
意
味する
か
ら、
前提と
して
そ
の
開発が
不
可
欠で
ある
. 。
こ
の
新生
産技術の
開発が
企
業の.研
究開発
投資に
ょ
り
行な
われ
(
3)
る
か、
或い
は
全く
別の
径路を
通
じて
行な
わ
れ
る
か
に
つ
い
て
は
検討の
余地が
残さ
れ
て
い
る
が、
本
稿で
は
新生
産技術
ほ
企業に
とっ
て
常に
所与で
あ
る
と
仮定し
ょ
う。
する
と
問
題は
、
.企
業が
最小
最適生
爵規模の
大きい
、
よ
り
効率的な
生
産技術を
採用し
うる
条件は
何か
、
と
い
うこ
とに
な
る。
こ
こ
で
我々
は
需要成
長率を
問題と
せ
ざ
る
を
得ない
。
企
業
が
よ
り
大き
な
最小
最適生
産規模を
持つ
新生
産
技術を
採用
す
る
た
めに
は
高い
需要成長が
必
要と
な
る
か
らで
あ
る。
何
故な
ら、
一
、
企業に
投資誘因を
与
える
た
めで
あ
る。
需要が
停滞
、
或い
は
減少
して
い
る
場合に
は
既存企
業ほ
拡張投資を
行な
わ
ず、
新企業の
参入
も
見ら
れ
ない
で
あ
ろ
う。
二、
藷
企
業、
と
り
わ
け
既存企
業の
資金
調
達力
を
高める
た
めで
ある
。
よ
り
大卓
な
最小
最適生
産規模を
持つ
生
産技
術を
採用す
る
に
は一
般に
ょ
り
多くの
設備投資資金が
必
要
に
なる
と
考え
ら
れ
る。
企業の
資金
調
達方
法に
は
利潤か
ら
の
内
部留保
、
及び
減価償却
費に
基づ
く
内
部資金ル
ー
ト
と、
銀行借入
、
社
債・
株式発行に
基づ
く
外
部資金ル
ー
ト
と
が
存在する
が、
高い
需要成
長は
既存企業に
超過
利潤を
発生
さ
せ
内部
資金ル
ー
ト
に
ょ
る
資金
調
達力を
高め
る。
また
順
調な
企業漂績は
対
外的
信用を
高め
外部資金ル
ー
ト
に
ょ
る
資金
調
達を
有利に
す
る
で
あ
ろ
う。
高い
需
要成
長率は
企
業が
新生
産技術を
採用する
誘因と
な
り、
資金
調
達力の
強化を
通
じ
て
技循革新を
進
行さ
せ
る
の
で
ある
。
し
か
し
最小
最適生
産規模の
拡
大は
直ちに
売り
手集中度の
上
昇を
意味し
ない
。
市
場規模も
拡大
して
い
る
一
⊥
か
らで
ある。
そ
れ
故、
寡占的市場構造を
特徴づ
ける
高い
〃
一 橋 論叢 弟八 十五 巻 第 五 号 ( 1 1 2)
売り
手集中度の
実現に
は
更に
別の
条件が
必
要と
な
る。
い
ま
上
位数社の
市場占有率と
して
定義さ
れ
る
売り
手集中度
の
指標に
部門
内企
業数
を
とる
こ
と
に
しょ
う。
明
らか
に、
部門内企
業数の
減少と
と
もに
売■り
手集中度は
高ま
る。
従
っ
て
寡占的市場構造が
形成さ
れ
る
た
めに
は、
需要が
成
長
しっ
つ
部門内企業数が
減少
して
行か
ね
ば
な
ら
ない
。
一
企
業一
工
場の
仮定の
下
で
こ
れ
を
可
能に
す
る
条件は
最小
最適
生
産規模の
拡大
率が
需要成
長率よ
り
大きい
こ
と
で
あ
る。
最小
最適生
産規模の
拡大率が
需要成長率よ
り
も
小さ
い
場
合に
は、
既
存企
業の
拡張投資の
み
で
は
増大する
需要を
賄
い
きれ
ず、
新企
業の
参入
を
招き
部門内企業
数は
増加す
る。
最小
最適生
産規模の
拡大率が
需要成
長率と
等しい
易合に
は、
需要増分は
既存企
業の
拡張投資に
よ
り
吸
収さ
れ、
部
門内企業数は
変化し
ない
。
一
方、
最小
最適生
産規模の
拡
大率が
需要成長
率よ
り
大きい
場合に
は、
既存諸
企業の
拡
張投資は
過
剰能
力の
発生
を
も
た
ら
す。
過剰能力の
存在は
企業間競争を
激化さ
せ、
価希切
下げ
競争に
拍車を
か
け
る
で
あ
ろ
う。
こ
の
過
程を
通
じて
限
界的な
企業が
淘汰さ
れ、
過
剰能力は
消
滅する
。
需要成長は
続い
て
い
る
の
で
あ
る
か
ら
再び
諸
企業に
超過
利潤が
発生
し、
拡
張投
資が
行な
わ
れ
る。
以
上の
プ
ロ
セ
ス
を
繰甥
返すこ
と
に
よ
り
部門内企
業数
㍑
は
減少
して
行き
、
遂に
佃
「
企業間に
相
互
依存性の
認
識が
存在す
る+
事態に
立
ち
至
る
で
あ
ろ
う。
か
くして
寡
占的市
場構造
を
特徴付
ける
高い
売り
手
集中度の
実現に
は、
需要
成
長率を
上
回る
最小
最適生
産規模の
拡大が
必
要と
なる
の
(
4)
で
ある
。
以
上、
我々
は
参入
障壁と
需
要成
長率を
用い
て、
企業の
内部的成
長に
基づ
く
寡占的市場構造の
形成を
論じた
。
寡
占的市場構造の
特質た
る
高い
参入
障壁は
諸
企業の
技術革
新の
産物で
あ
り、
技術革新は
新生
産技術の
開
発と
高い
需
要成
長率の
存在を
前提する
。
一
方、
寡占的市場構造の
別
表現た
る
高い
売り
手
集中度の
実現に
は
需要成
長率を
上
回
る
最小
最適生
産規模の
拡大が
不
可欠で
あっ
た。
よっ
て
我
我は
次の
様に
結論する
こ
と
が
で
き
る。
企
業の
内
部的成
長
に
基づ
く
寡占的市場構造の
形成に
ほ、
最小
最適生
産規模
の
拡大を
も
た
ら
す
新生
産技術の
存在
、
企
業に
その
採用を
可
能と
さ
せ
る
高い
需要成
長率の
存在
、
需
要成長率を
越え
る
最小
最適生
産規模拡大率の
存在
、
の
三
つ
の
条件が
必
要
で
ある
、
と。
(
1)
B
巴ロ
.
】-
S一
〔
2〕
n
F
山.
中.
山、
Cp
く2∽
.
声〔
4〕
c
F
帖
曲甘
r
r
わ
ー
れゝ
( 1 1 3) 規模 の 経済性 と寡占的市場構 造の 形成
葡ヽ
†
叫
。
.
硝
■
領イ∵
.
■
≠
〝
(
2)
PO
5 .
ロ.
廿r
C●
〔
1 2〕
〔
1 3〕
(
3)
こ
の
場合の
モ
デル
が
Je
5 .
ロ
〔
1 3〕
で
あ
る。
(
4)
以
上の
議論は
主
と
し
て
「e
5 .
n
〔
1 3〕
に
拠っ
て
い
る。
但し
新生
産技術の
開
発、
需要成
長率を
外
生
的に
与
える
点に
おい
て
我々
の
モ
デル
は
氏の
それ
よ
りシ
ン
プ
ル
で
あ
る。
お
わ
り
に
産業組織論.
で
は、
市場構造の
相違に
基づ
き
幾つ
か、の
市
場の
型が
抽出さ
れ、
各に
つ
い
て
解剖学的
、
或い
は
生
理
学
的分析が
行な
わ
れ
る。
事実に
即した
具体的な
研究を
積み
重
ねる
こ
と
に
ょ
り、
そ
れは
理
論的分
析の
検証の
瘍と
な
り、
同時に
適切な
産業政
策の
立
案へ
向け
て
の
出発点と
も
な
る。
とこ
ろで
従
来の
産業組織論は
主と
し
て
此
較静学的分
析に
留まっ
て
お
り、
市
場の
一
つ
の
些か
ら
他の
型へ
の
移行に
つ
い
て
の
分
析、
すな
わ
ち
市場構造の
動学分
析は
必
ずし
も
十
分と
は
言え
ない
状況に
ある
と
思わ
れ
る
(
新野〔
1 5〕
勺p.
-
○
い
-岩山
参照)
。
一
つ
の
例外は
「
ナ
N-
日日巧m巴-
の
研
究
〔
19〕
で
あ
る
が、
彼の
分析は
、
需要の
価格弾力
性及び
供給の
価格弾力性そ
れ
ぞ
れの
特定備に
対
する
企業者意識
の
相違に
ょ
り
市湯構造の
変動が
規定さ
れ
る
と
する
点、
極
めて
主
観的で
あ
り、
客
観的検証に
耐え
得る
と
は
言い
難い
。
産業組織論に
関す
る
以
上の
認
識に
基づ
き、
我々
は
本稿の
課題を
寡占的市場構造の
形成
過
頼の
解明に
置い
た
の
で
あ
る。
本稿の
分
析は
技術開発
、
需要成
長を
外
生
的に
与え
る
点に
お
い
て
動学分
析と
して
は
不
十
分
な
もの
で
ある
。
け
れ
ど
も
最小
最適規模成
長率及
び
需要成長率の
二
要因に
基づ
き
市場構造の
変動を
考察する
視角を
提出した
点に
お
い
て
此
較静学分
析を
越え
る
もの
で
あ
る
と
我々
は
考え
る。
ナ
S・
哲r
-
n
は
虜占の
形成
径路と
し
て
次の
三
つ
の
ル
ー
ト
を
指摘して
い
る
(
Up-
n
〔
1〕
勺勺
・
N
3-N
コ)
。
一
、
産業の
創設時か
ら
寡占で
あ
る
瘍合
二、
原子
的構造で
あっ
た
もの
が
企
業の
内部的成長に
よ
り
寡占に
転化
する
場
今
三、
原子
的構造で
あ■つ
た
もの
が
企
業合
併を
通じて
寡占
と
なる
場合
本稿に
お
ける
我々
の
考
察は
二
の
ル
ー
ト
に
限定さ
れ
て
い
る
が、
そ
れ
は、
原子
的市場構造は
時の
経過
と
と
もに
必
然的
に
寡占的或い
ほ
独
占的市場構造へ
移
行する
とい
う根強い
見解
(
例え
ば
本間〔
8〕
第四
章参照)
を
批判する
た
め
で
あっ
た。
こ
の
見解は
二
及び二一
の
径路の
融合と
して
寡占形
∽
一
橋 静養‾第八 十五 巻 第五 号 ( 1 1 4)
成を
論じ
る
けれ
ど
も、
最低必
要資本
量の
増大を
論理
構成
の
不
可
欠の
一
環と
して
い
る
こ
とた
も
示
さ
れ
て
い
る
様に
、
基本的に
は
二
の
径路に
基づ
く
見解と
考え
ら
れ■る。
既に
み
た
通り
、
我々
は
原子
的
構造の
寡占へ
の
転化が
必
然的で
あ
る
と
は
考え
ない
。
標準的
企業規模を
拡大
さ
せ
る
技術の
萱
場、
企業に
その
採用を
可能と
さ
せ
る
需
要成
長の
存在
、
企
業数の
減少を
もた
ら
す
最小
最適規模拡大率と
需要成
長率
間の
特定の
関偶の
出現
、
こ
れ
らの
条件な
く
して
ほ
二
の
径
路に
基づ
く
寡占形成は
起こ
り
得ない
の
で
ある
。
、
以上
、
本稿は
、
市場構造の
動学分析の
試み
、
及び
原子
的構造の
寡占へ
の
必
然的移行論に
対
する
批判
、
の
二
つ
の
意義を
有す
る
もの
で
あ
る。
文
献
〔
1〕
せ巴ロ
ー
ナ
S・
-
勺3 .
b恥
り
訂○
づ.
-O
F
日
Wi
-
巾
y
紆
SO
日仏
-
H
pc.
-
、
h
N
〔
2〕
せ巴ロ
ー
l・
S-
.
加
筆3 .
軍功
、
○
宅
違
CQき
尽h
鼓託Q
達.
H
胃・
く
賀d
亡已く0
詔芹y
守e
軍、
訣
〔
3〕
田
巴n
、
l一
S.
.
一連丸
字亀3
.
已
Q
式白
革訂已訂竜
.
N
ロ
ー
e
d.
-
1
0
Fロ
W-
-
e
y
紆
∽○
ロ切
.
H
ロ
P.
、
か
00
〔
4〕
Cp
くe
切.
声.
ゝ
ま等訂
§ヽ逮
丸ま叫、
づ㍉
h腎
邑、
崇
記.
nQ
逮乱
雲♪
叱屯
バ
甘ヽ
S中世
岩♪
守0
ロt
訂?
H巴-
1
日
P.
、
監T
〔
5〕
越後和
典
『
寡占経済の
基礎構造』
新評論
一
九六
九
年
由一7
〔
6〕
越後和
典
窮
『
規模の
経済性』
新評
論
一
九
六
九
年
〔
7〕
ヨ㌢e
P
き勺.
S.
.
→
訂
卜
畳b
旦
旨札
邑き
~
Q
式
邑・
L
岩
ぎ声
只e
gp
ロ
勺p
已.
Tre
ロ
已-
、
T
2廿
ne【
紆
C
〇.
Jt
P.
.
山
山
〔
8〕
本
間
要一
郎
『
競争と
独
占』
新
評
論
一
九
七
四
年
〔
9〕
今
井・
字訳
他
『
価椿理
論Ⅲ』
岩波
書店
一
九
七二
年
〔
1 0〕
岩越忠恕『
自
動車工
業論』
東京
大学出版会
一
九
六三
年
〔
1 1〕
只巴e
P打i
-
]
芦.
→
訂Q
8十
色
内岩達Q
邑b
七ヾ
よ由
§訂h
.
や
A-】
e
n
p
nd
en
wi
ロ
トt
P.
、
h
盲
〔
1 2〕
Je
5 .
ロー
声
C・
-
.
Tec
F
2 .
C
巴
CF
2-
笥
pn
包
Opti
m巴
∽c
巴¢
、
.
叫Q
邑計⊇
如旨莞
Y
菖訂
ヽQ
ま
⊇
阜
≦)
-.
皇T
.
.
ヨ
〔
1 3〕
「0
く
早
R-
C■
.
.
Te
已
召i
巾
已
CF
pロ
笥.
拙宅ユ0
記{
O
E
苧
t【
y.
pn
一
己
買付Ot
∽t
20
t
亡
岩.
、
也8達Q
§訂き
く○-
.
鼓
弓〇.
-
00
○、
宅○
く.
.
叫
恥
〔
1 4〕
呂P
当U
¥
P
巴-
P
∽-
-
訂宗t
中ロ
、
A.
.
り
計
ら
き"
Q
ヽ
ヽ3
丸
ミ・
≠、
-ヾ
〔
1 5〕年
〔
1 6〕年
〔
1 7〕九
年
〔
1 8〕
G.
A-
-
e
n
知
己口
弓i
ロ
Jt
戸.
、
h
¢
新野
幸次
郎『
現
代
市
場構造の
理論』
新評
論
一
九
六
八
宮
沢
健一
『
産業の
経済学』
東
洋
経済
新報
社
一
九
七五
新飯田・
小
野編
『
日
本の
産業
組歳』
∵
岩波書店
一
九
六
RO
bi
ロ
冒ロ
、
E・
A・
G・
、
→訂
惣⊇Q
ぎ岩
見
CQさ
尽h
恵k
ざQ
.
〆.
簿r
h
や
♭
絆.
ト、′
.き.
.
片
-