臨床実習後客観的臨床能力試験に向けて求められる...

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聖マリアンナ医科大学雑誌 Vol. 48, pp. 1–6, 2020 1 聖マリアンナ医科大学 医学教育文化部門 医学教育研 究分野 2 聖マリアンナ医科大学 内科学 (循環器内科) 臨床実習後客観的臨床能力試験に向けて求められる医学教育上の変化と工夫 もち づき あつし 1 じま ティナ宏 ひろ 1 明石 あかし よし ひろ 2 ゆき 1 (受付:令和 2 2 12 ) 我が国では2020 年度から診療参加型臨床実習後客観的臨床能力試験が正式導入されること となり各大学ではカリキュラムの整備が行われている現在進められている医学教育分野別 認証ではアウトカム基盤型教育に基づいたカリキュラムの構築が求められ臨床実習の在り 方についても医学生が様々な医療ニーズに応えることができる臨床体験をするべく多様性の あるトレーニング環境の整備が求められている卒前臨床実習から卒後臨床研修に向けたシー ムレスな臨床能力トレーニングを構築する中で臨床実習でも外来患者の診察から臨床推論を 基に必要な検査を立案する能力を養成する必要があり総合診療科等での外来実習を経験させ る必要があるが実習用の診察室や指導医の確保など実習環境の整備上の課題は多い一方実習内容について医学生に求められる臨床現場における実務的臨床能力が明確化され現行 の臨床実習はそれに合わせた変化と工夫が求められている聖マリアンナ医科大学では臨床 実習期間に到達すべき臨床能力として臨床実習共通評価項目を設定し共通評価項目を順 次性をもって達成できるようプログラムを作成した日本の医学教育はグローバリゼーションという外的要因によって国際基準への準拠に大き く舵を切ることとなった各大学は自学の教育方針を堅持しつつ制度変化にマッチした医師 養成を行うべく教育上の変化と工夫とが求められている索引用語 共用試験臨床実習後客観的臨床能力試験 (Post-CC OSCE)クリニカルクラークシップ医学教育分野別認証 1. はじめに 我が国では2020 年度から医療系大学間共用試験 実施評価機構による診療参加型臨床実習後客観的臨 床能力試験 (post clinical clerkship objective struc‐ tured clinical examination, Post-CC OSCE) が正式導 入されることとなり各大学ではそれに向けたカリ キュラムの最終的な整備が行われている2020 年の 医師臨床研修制度の見直しの時期に合わせて 医学 教育モデルコアカリキュラム臨床研修の到 達目標として別建てで設定されていた到達目標の 一元化が行われ卒前臨床実習から卒後臨床研修に 向けたシームレスな臨床能力トレーニングが行われ ることとなった現在進められている日本の医学教育分野別認証で アウトカム基盤型教育に基づいたカリキュラム の構築が求められ全国の医学部でカリキュラムの 改編が進められているこれに伴い臨床実習の在 1 1

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総 説 聖マリアンナ医科大学雑誌Vol. 48, pp. 1–6, 2020

1 聖マリアンナ医科大学 医学教育文化部門 医学教育研究分野

2 聖マリアンナ医科大学 内科学 (循環器内科)

臨床実習後客観的臨床能力試験に向けて求められる医学教育上の変化と工夫

望もち

月づき

  篤あつし

1 田た

嶋じま

ティナ宏ひろ

子こ

1 明石あ か し

嘉よし

浩ひろ

2 伊い

野の

美み

幸ゆき

1

(受付:令和 2 年 2 月 12 日)

抄 録我が国では,2020 年度から診療参加型臨床実習後客観的臨床能力試験が正式導入されること

となり,各大学ではカリキュラムの整備が行われている。現在進められている医学教育分野別認証では,アウトカム基盤型教育に基づいたカリキュラムの構築が求められ,臨床実習の在り方についても医学生が様々な医療ニーズに応えることができる臨床体験をするべく,多様性のあるトレーニング環境の整備が求められている。卒前臨床実習から卒後臨床研修に向けたシームレスな臨床能力トレーニングを構築する中で,臨床実習でも外来患者の診察から臨床推論を基に必要な検査を立案する能力を養成する必要があり,総合診療科等での外来実習を経験させる必要があるが,実習用の診察室や指導医の確保など,実習環境の整備上の課題は多い。一方,実習内容について,医学生に求められる臨床現場における実務的臨床能力が明確化され,現行の臨床実習はそれに合わせた変化と工夫が求められている。聖マリアンナ医科大学では,臨床実習期間に到達すべき臨床能力として「臨床実習共通評価項目」を設定し,共通評価項目を順次性をもって達成できるようプログラムを作成した。

日本の医学教育はグローバリゼーションという外的要因によって,国際基準への準拠に大きく舵を切ることとなった。各大学は自学の教育方針を堅持しつつ,制度変化にマッチした医師養成を行うべく,教育上の変化と工夫とが求められている。

索引用語共用試験,臨床実習後客観的臨床能力試験 (Post-CC OSCE),

クリニカルクラークシップ,医学教育分野別認証

1. はじめに

我が国では,2020 年度から医療系大学間共用試験実施評価機構による診療参加型臨床実習後客観的臨床能力試験 (post clinical clerkship objective struc‐

tured clinical examination, Post-CC OSCE) が正式導入されることとなり,各大学ではそれに向けたカリ

キュラムの最終的な整備が行われている。2020 年の医師臨床研修制度の見直しの時期に合わせて “医学教育モデル・コア・カリキュラム” と “臨床研修の到達目標” として別建てで設定されていた到達目標の一元化が行われ,卒前臨床実習から卒後臨床研修に向けたシームレスな臨床能力トレーニングが行われることとなった。

現在進められている日本の医学教育分野別認証では,アウトカム基盤型教育に基づいたカリキュラムの構築が求められ,全国の医学部でカリキュラムの改編が進められている。これに伴い,臨床実習の在

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表 1 医学教育モデル・コア・カリキュラムにおける学生を信頼し任せられる役割

り方についても,単に実習期間の延長化だけでなく,医学生が様々な医療ニーズに応えることができる臨床体験をするべく,多様性ある臨床トレーニングの場を整備することが求められることになった。また,実習内容についても,医学教育モデル・コア・カリキュラム1)に “学生を信頼し任せられる役割 (entrust‐

able professional activities, EPA)” の概念が導入され(表 1),医学生に求められる臨床現場における実務的臨床能力が明確となった。Post-CC OSCE でも,EPA に沿った基本的臨床能力を評価する方針となり,現行の臨床実習はそれに合わせた変化と工夫が求められることとなった。

2. 卒前医学教育

現在,日本の医学教育は医学教育モデル・コア・カリキュラム1)によって医学部卒業時の到達目標が示されており,全学修内容の 3 分の 2 程度を目安にしてモデル・コア・カリキュラムを参考に各大学のカリキュラムを構築し,3 分の 1 程度を各大学が自主的に編成するものとされている。また,世界医学教育連盟のグローバルスタンダードに準拠した医学教育分野別評価基準2)では,卒前の臨床実習は修学する全期間の 3 分の 1 である約 2 年間 (70 週前後,2000

時間超) を充てることとされ,我が国における 2017

年度の統計では,全国平均で 60.3 週 (44〜88 週),2174.1 時間の臨床実習を実施している3)。

将来医師として必要最低限の診療技術を習得するためには,指導医の下で診療に関する実務を経験する必要があると考えられてきたが,臨床実習中の医

学生による医行為について,明文化したものがなかった。医療現場の見学と一部の介助に留まっていた臨床教育を充実することが求められ,1991 年に厚生労働省臨床実習検討委員会の報告書,いわゆる「前川レポート」4) が作成された。その中では,学術的見地から医学生が行う医行為について一定条件下で許容される基本的医行為が例示された。その後 20 年以上が経過した現在,医療技術の進歩や医学教育を取り巻く環境の変化,各大学で実施されている臨床実習の実態調査を踏まえ,2018 年に “医学部の臨床実習において実施可能な医行為について” の研究結果,いわゆる「門田レポート」5) がまとめられた。

3. 臨床実習前の共用試験

先に述べた「前川レポート」の中で,医学生が医行為を行う違法性を阻却する条件の 1 つとして,臨床実習開始前に医学生を評価することが提言された4)。これを受けて,全国の医科大学・大学医学部等,歯科大学・大学歯学部が参加し,臨床実習開始前の学生の能力を全国的に一定水準に確保するために,大学間で共通の評価試験を実施することを目的として 2002 年 4 月に共用試験実施評価機構が創設された。

医学教育においては,医学教育モデル・コア・カリキュラムに臨床実習開始前に到達しておくべき態度・技能・知識のレベルが教育内容ガイドラインとして提示されている。臨床実習前の共用試験は,この医学教育モデル・コア・カリキュラムに準拠して,臨床実習開始前に,コンピューターを用いた客観試験 (computer based testing, CBT) で知識の総合的理解度を評価し,OSCE で態度・基本的臨床技能を評価することにより,一定水準以上の学生を臨床実習に参加させるべく,医学系全 80 大学,歯学系 28 大学が協力して推進している評価システムである (図1)。つまり,臨床実習に臨む医学生の知識と態度に大きな問題が無いかを確認し,医療面接や身体診察の型や手順が評価できるわけである。なお,OSCE

で評価される項目は,“診療参加型臨床実習に参加する学生に必要とされる技能と態度に関する学習・評価項目”7)にまとめられている。

2006 年度から CBT および臨床実習前客観的臨床能力試験 (pre-clinical clerkship objective structured

clinical examination, Pre-CC OSCE) が正式実施され,その合格者が臨床実習に進むことが許されるこ

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望月 篤 田嶋ティナ宏子 ら2

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図 1 日本の医学教育の流れ

図 2 機構提供課題の試験実施方法

ととなった。合格基準に関しては,当初,各大学が独自に定めていたが,2014 年に全国医学部長病院長会議が臨床実習を行う医学生に対する呼称を “Stu‐

dent Doctor” に統一し,2015 年には最低合格基準(項目反応理論) が設けられた。2016 年度からは臨床実習開始前における医学生の能力,適正の厳正な評価と,「資格化」による国民の理解が深まることを目的に全国医学部長病院長会議が各大学での試験結果を基に認定証 (Student Doctor) を発行している。更に,2019 年 11 月,医道審議会医師分科会は CBT とPre-CC OSCE の公的化と Student Doctor を法的に位置付けること等を盛り込んだ報告書 (案)6)をまとめ,厚生労働省は 2020 年の通常国会への医師法改正案の提出を目指すこととなった。

4. 臨床実習後OSCE

医師法第 9 条には,「医師国家試験は,臨床上必要な医学及び公衆衛生に関して,医師として具有すべき知識および技能について,これを行う」8) とあるが,これまで我が国で技能を問う試験が行われたことはない。医師国家試験に技能試験を導入すべきという意見は以前からあり,2003 年には「厚生科学研究による報告書」9) がまとめられたが,正式に実施まで至らなかった。その後,共用試験実施評価機構で導入への取り組みが始まっていたが,2015 年 3 月に医師国家試験改善検討委員会の報告書 10)で改めてPost-CC OSCE について 2020 年からの導入が言及された。

Post-CC OSCE は,臨床実習を終了した学生の卒業時の能力,すなわち臨床研修開始時に必要な臨床能力を評価するための共用試験であり,社会の要請に応える優れた医師を養成するために不可欠な共用

試験システムである11)。2016 年度から全国トライアルが開始され,2020 年度からの正式実施が公的に決定された。

Post-CC OSCE は,機構が提供する課題と各大学が独自で作成した課題とのセットで実施することが推奨されている。大学独自課題の併施が推奨されるようになったのは,各大学が独自に取り組んできた臨床教育の総括として,その大学の独自性を尊重した結果であり,大学独自課題の設定 (内容,時間等)

は各大学に一任されている。共用試験実施評価機構は,モデルコアカリキュラムに謳われている EPA の考え方を基に Post-CC OSCE で求める臨床能力を「研修開始時に身につけておくべき臨床能力」としてまとめ,機構課題ではその中の「適切な医療面接ができる」,「診断仮説に基づいた身体診察ができる」,「得られた所見から適切な臨床推論ができる」,「適切なプレゼンテーションができる」の 4 点に絞り測定するものである。機構提供課題の設計は,1 試験室での試験時間は 16 分間で,ある症候の患者が外来に初診で訪れた場合を想定し,模擬患者を相手に医療面接と身体診察を 12 分間行い,その後 4 分間で得られた情報を整理し,指導医へのプレゼンテーションを行うものである (図 2)。

5. 臨床実習への課題

1. 外来教育の充実化1960 年代頃までの卒前臨床実習は,「ポリクリ」

と呼ばれた外来実習と「臨床講義」からなり,外来実習では学生が実際の患者を診察し,教授の診察を見学した後に質疑応答が行われた。その後,病棟で患者を受け持ち,ベッドサイドで患者管理,治療,多職種協働,患者や患者家族とのコミュニケーション等を学ぶ病棟実習が中心の臨床実習が行われるようになった。ベッドサイドでの臨床実習は,医学生数名でチームを編成し,各診療科を 1 から数週間ずつローテーションする形式で行われてきたが,時代の変遷と共に医療倫理,コミュニケーション能力の育成,技能・態度教育および医療における安全性へ

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臨床実習後 OSCE に向けた教育の変化 3

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表 2 聖マリアンナ医科大学臨床実習共通評価項目の順次性と評価法

の配慮と危機管理に関する教育を充実させ,学生も診療に参加する実習に転換することが強く求められ,医学生が診療チームの一員となって参加する診療参加型の臨床実習 (クリニカルクラークシップ) の導入へと繋がっていった。しかし,現在ではプライマリ・ケアを重視する動きから再度外来教育の重要性が高まり,卒後臨床研修では 2020 年度からの制度見直しで 4 週以上の外来研修が必修化された12)。卒前の臨床実習でも,紹介患者ではない外来患者を診察し,得られた情報から臨床推論を基に必要な検査を立案する能力を養成する必要があり,総合診療科等での外来実習を経験させる必要があるが,2020 年度からの研修医の外来研修の必修化が開始される中,実習用の診察室や指導医の確保など,外来実習環境の整備は困難を極めている。

2. EPAの達成とその評価聖マリアンナ医科大学では,「医学教育モデル・コ

ア・カリキュラム」や「研修開始時に身につけておくべき臨床能力」を基に,臨床実習期間に到達すべき臨床能力として「臨床実習共通評価項目」を設定し,臨床実習期間中に実習生が様々な順番で診療科をローテーションしても,共通評価項目を順次性を

もって達成できるようプログラムを作成した (表 2)。共通評価項目の評価方法は,既に本学の臨床研修で臨床現場での評価として 10 年以上実績のある簡易版臨床能力評価法 (mini-clinical evaluation exercise,

Mini-CEX) を導入し,診療記録の記載,基本的臨床手技,態度領域の評価はそれぞれ e-ポートフォリオ,電子カルテへの記載,各科 OSCE 等で評価することとした。

医学的知識,技能,態度の全てを 1 回の Post-CC

OSCE で評価することはできない。臨床実習期間中に各診療科での日々の観察記録や,指導教員だけでなく多職種から評価を受ける 360 度評価と併せ,最終的に総括評価 (卒業判定) することが重要である。

おわりに

国民の「安心・安全の医療」に対するニーズの高まりから,日本の医学教育は飛躍的に変化し,卒前の共用試験制度の導入や卒後の臨床研修制度改革に続き卒前卒後にわたる一貫性のある目標設定の下の臨床能力教育へと発展した。全国の医学部でアウトカム基盤型教育に基づいた新カリキュラム下に教育を受けた学生が卒業を迎える時代となり,大学は研修開始時に必要な臨床能力を獲得させることができ

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望月 篤 田嶋ティナ宏子 ら4

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たか否かの評価を臨床の現場で指導医や医療従事者,そして患者 (社会) から受けることになる。勿論,医師の養成は短期的なものではなく,生涯にわたって継続しなければならないものであり,教育する側もPDCA サイクル (plan-do-check-act cycle) を回し続け,常に時代の流れを敏感につかみながら変化していかなければならない。

日本の医学教育は医学教育のグローバリゼーションという外的要因によって,国際基準への準拠に大きく舵を切ることとなった。つまり,単に欧米の制度の後追いではなく,少子高齢化や地域間医療格差問題を抱える日本の医療事情に合った医学教育制度が望まれている。その上で,各大学医学部には自学の教育方針を堅持しつつ,目まぐるしい制度変化にマッチした医師養成を行うべく,教育上の変化と工夫とが常に求められている。

利益相反

開示すべき利益相反はない。

参考文献

1) モデル・コア・カリキュラム改定に関する連絡調整委員会,モデル・コア・カリキュラム改定に関する専門研究委員会編.医学教育モデルコアカリキュラム 平成 28 年度改定版. https://www.mext.go.jp/component/b_menu/

shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/

2017/06/28/1383961_01.pdf (2019 年 12 月 27

日閲覧)

2) 一般社団法人日本医学教育評価機構.医学教育分野別評価基準日本版 Ver. 2.32 世界医学教育連盟 (WFME) グローバルスタンダード2015 年版準拠. https://www.jacme.or.jp/pdf/

20191118_01.pdf (2019 年 12 月 27 日閲覧)

3) 全国医学部長病院長会議編.平成 29 年度医学教育カリキュラムの現状,2018.

4) 厚生省健康政策局編.臨床実習検討委員会最終報 告. https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/

iryou/__icsFiles/afieldfile/

2013/03/13/1329799_01.pdf (2020 年 1 月 30 日閲覧)

5) 門田守人,鈴木康之,他.医学部の臨床実習において実施可能な医行為の研究.https://www.mhlw.go.jp/content/

10803000/000341168.pdf (2019 年 12 月 27 日閲覧)

6) 厚生労働省.医道審議会医師分科会報告書(案) 〜シームレスな医師養成に向けた共用試験の公的化といわゆる Student Doctor の法的位置づけについて〜. https://www.mhlw.go.jp/content/

10803000/000568452.pdf (2020 年 1 月 30 日閲覧)

7) 公益社団法人医療系大学間共用試験実施評価機構診療参加型臨床実習後客観的臨床能力試験医学系運営委員会編.診療参加型臨床実習に参加する学生に必要とされる技能と態度に関する学習・評価項目,2019.

8) 厚生労働省.医師法.https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?data

Id=80001000&dataType=0&pageNo=1 (2019 年12 月 27 日閲覧)

9) 医事試験制度研究会.臨床実技能力評価の指針医師国家試験の改善と Advanced OSCE の指針,選択エージェンシー,2003.

10) 厚生労働省.医師国家試験改善検討部会報告書2015 年 3 月. http://www.mhlw.go.jp/file/05-

Shingikai-10803000-Iseikyoku-Ijika/

0000079678.pdf (2019 年 12 月 27 日閲覧)

11) 公益社団法人 医療系大学間共用試験実施評価機構 診療参加型臨床実習後客観的臨床能力試験医学系運営委員会編.2019 年度共用試験医学系診療参加型臨床実習後 OSCE トライアル実施要項,2019.

12) 厚生労働省医政局医事課医師臨床研修推進室 平成 30 年度厚生労働行政推進調査事業費 「新たな臨床研修の到達目標・方略・評価を踏まえた指導ガイドラインに関する研究」研究班編.医師臨床研修指導ガイドライン—2020 年度版—.https://www.mhlw.go.jp/content/

10800000/000496242.pdf (2020 年 2 月 12 日閲覧)

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臨床実習後 OSCE に向けた教育の変化 5

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1 Research Institute for Medical Education, St. Marianna University School of Medicine2 Division of Cardiology, Department of Internal Medicine, St. Marianna University School of Medicine

Abstract

Educational Changes and Schemes Required for Medical Schools in

Post-Clinical Clerkship Objective Structured Clinical Examination

Atsushi Mochizuki1, Hiroko Tina Tajima1, Yoshihiro Akashi2, and Miyuki Ino1

In Japan, the Pre-Clinical Clerkship Objective Structured Clinical Examination (Pre-CC OSCE) will offi‐cially be introduced from the 2020 school year, and medical schools have incorporated this change into theircurriculum. The WFME Global Standards for Quality Improvement require development of a curriculum basedon outcome-based education, and to provide clinical experience in which medical students can respond to vari‐ous medical needs in terms of clinical practice, a diverse training environment is needed. In the building ofseamless clinical ability training from pre-graduate to post-graduate clinical training, the ability of medical stu‐dents to plan necessary tests based on clinical reasoning gained from outpatient examinations in clinical trainingmust be developed. Although they need to experience outpatient training in general medical departments, thereare many issues in improving the training environment, such as securing consultation rooms and instructors fortraining. However, regarding the contents of the practical training, practical clinical abilities required of medicalstudents in clinical settings have been clarified, and the current clinical training requires changes and ingenuityto meet these requirements. St. Marianna University School of Medicine has established “Common EvaluationItems for Clinical Practice” as clinical abilities to be attained during the clinical training period and has created aprogram to sequentially achieve these common evaluation items. External factors of globalization have steeredJapanese medical education largely toward compliance with international standards. While maintaining theirown educational policies, universities need to make educational changes and devise ingenious solutions to traindoctors in line with changes in the system.

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