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鳥取県立船上山少年自然の家 主催事業 平成30年度「キッズアドベンチャー」 実施報告書 ~おっきい探検隊!伯耆国の五神霊獣物語~ Ⅰ 事業の概要 1 期日 平成30年8月8日(水)~8月12日(日)(4泊5日) 2 日程(総合計約50kmのロードウォーク) 「1日目:火の道」米子市立淀江小学校~むきばんだ史跡公園 ロードウォーク【徒歩】(約5㎞) (出会いのつどい、古代火おこし体験、竪穴式住居にて宿泊) 「2日目:木の道」むきばんだ史跡公園~大山町立中山小学校 ロードウォーク【徒歩】(約23㎞) (小林観光ブルーベリー園にてブルーベリー狩り体験 中山小学校テント泊) 「3日目:金の道」中山小学校~旧以西小学校 ロードウォーク【リヤカー】(約12km) (抹茶体験、たたら製鉄ゆかりの神社巡り、山川地区公民館に宿泊) 「4日目:土の道」旧以西小学校~船上山少年自然の家 ロードウォーク【リヤカー】(約7㎞) (夏野菜カレー作り、キャンドルF、船上山少年自然の家で館内泊) 「5日目:水の道」谷川探検【徒歩】(約3㎞) (環境省レンジャーと谷川探検・水質調査体験、別れのつどい) 3 趣旨 4泊5日の長期キャンプを通して、自分たちで気づき、考え、行動しようとする力や、友達と協力し ながら問題を解決する力を育てる。 4 対象 小学校4年生~中学生(募集定員36名) 5 応募者数 36名(6名のキャンセルため、当日参加者数30名) 6 参加費 小学生:16,530円、中学生17,000円(差額は、入浴代などの違いによる) 7 学生ボランティア 9名 (鳥取大学1名、島根大学7名、佛教大学1名) 8 救護 倉吉病院より看護師1名(8/8~10までの3日間) <当日参加者の内訳> 男子(小学生18名、中学生2名)、女子(小学生10名)

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鳥取県立船上山少年自然の家 主催事業

平成30年度「キッズアドベンチャー」 実施報告書

~おっきい探検隊!伯耆国の五神霊獣物語~

Ⅰ 事業の概要

1 期日

平成30年8月8日(水)~8月12日(日)(4泊5日)

2 日程(総合計約50kmのロードウォーク)

「1日目:火の道」米子市立淀江小学校~むきばんだ史跡公園 ロードウォーク【徒歩】(約5㎞)

(出会いのつどい、古代火おこし体験、竪穴式住居にて宿泊)

「2日目:木の道」むきばんだ史跡公園~大山町立中山小学校 ロードウォーク【徒歩】(約23㎞)

(小林観光ブルーベリー園にてブルーベリー狩り体験 中山小学校テント泊)

「3日目:金の道」中山小学校~旧以西小学校 ロードウォーク【リヤカー】(約12km)

(抹茶体験、たたら製鉄ゆかりの神社巡り、山川地区公民館に宿泊)

「4日目:土の道」旧以西小学校~船上山少年自然の家 ロードウォーク【リヤカー】(約7㎞)

(夏野菜カレー作り、キャンドルF、船上山少年自然の家で館内泊)

「5日目:水の道」谷川探検【徒歩】(約3㎞)

(環境省レンジャーと谷川探検・水質調査体験、別れのつどい)

3 趣旨

4泊5日の長期キャンプを通して、自分たちで気づき、考え、行動しようとする力や、友達と協力し

ながら問題を解決する力を育てる。

4 対象 小学校4年生~中学生(募集定員36名)

5 応募者数 36名(6名のキャンセルため、当日参加者数30名)

6 参加費 小学生:16,530円、中学生17,000円(差額は、入浴代などの違いによる)

7 学生ボランティア 9名 (鳥取大学1名、島根大学7名、佛教大学1名)

8 救護 倉吉病院より看護師1名(8/8~10までの3日間)

<当日参加者の内訳>

男子(小学生18名、中学生2名)、女子(小学生10名)

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Ⅱ 実施状況

■1日目の活動の様子<8月8日(水)火の道 天候:晴>

9時30分、淀江小学校の体育館にて出会いのつどい。比較的風通

しのよいドアの近くで行った。「自分の意志でこの企画に応募した

人?」と尋ねると、大半の子どもたちの手が勢いよく挙がった。今回

の事業への期待とやる気がひしひしと伝わってきた。 続いて、交流

レクリエーション。指導員の自己紹介も兼ねて、「整列ゲーム」「番長

皿屋敷」「キャッチ」「じゃんけん7」などのゲームを、それぞれ担当

を決めて行った。どのレクでもたくさんの笑顔が見られ、5日間の活

動への弾みになった。

11時、白鳳の里へ約2kmの徒歩移動。気温は高かったが、風が靡

いており、参加者は軽快な足取りで目的地を目指した。白鳳の里に着く

と、昼食。上淀レストランで「名水とうふ会席」をいただいた。「このう

どんには、どんぐりの粉が使われています。」という従業員さんの説明

に、どよめきが起こった。デザートの「どんぐりソフトクリーム」や足

湯も堪能。自然の恵みを満喫した。

13時30分、むきばんだ史跡公園へ約3kmの徒歩移動。全員余裕の表情で淀江町から大山町に突入。

14時、むきばんだ史跡公園に到着。まず、職員さんから今日の宿泊予定の竪穴式住居と高床倉庫の解説。

建物の中は涼しく、40人程が一度に入れる広さにみんな驚いていた。次に、古代流火起こし体験。「まいぎ

り」「火吹き竹」などの珍しい道具を使って、組ごとに火おこしに挑戦。

「焼き芋のにおいがする!」と参加者は目を輝かせながら取り組んだ。

テレビカメラの取材が回る中、見事着火すると「やったー」と喜びの声

をあげていた。そして、自分たちが起こした火を使っての古代土器炊

飯。メニューは「炊き込みご飯風おかゆ&ツナサラダ&インスタント味

噌汁」。かまど係と調理係とに分かれて取り組み、全ての組が無事完成。

自分たちで苦労して作った食事に、子どもたちは舌鼓を打っていた。食

事中に、今日の取材の様子が放映されるというサプライズがあり、全員

がテレビに釘付けとなった。参加者がテレビ画面に映ると、「ばんざー

ーい!」という歓喜の声がこだました。全員最後に、夜の天体観測。弓

ヶ浜半島や米子市のネオンが一望できる広場に全員が腰を下ろした。金

星や夏の大三角、カシオペア座などの星を見つけるたびに、「星に手が

届きそう。」「星座が落ちてきそうだ。」というため息があちことから聞

こえた。古代人の生活を全身で感じた一日を思い出しながら、竪穴式住

居で就寝。

■2日目の活動の様子<8月9日(木)木の道 天候:曇時々晴>

8時20分、朝食を食べ終え、むきばんだ史跡公園を出発。小林観光ブルー

ベリー園に向けて、約8kmの徒歩移動。なだらかな上り坂ではあったが、子

どもたちは給水ポイントなどで適宜休憩をしながら、歩を進めた。

11時、小林観光ブルーベリー園に到着。昼食を挟みつつ、ブルーベリー狩

りを体験した。ブルーベリーは大変甘く、全員が午前中の徒歩の疲れを忘れ

て、夢中で頬張っていた。

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12時30分、中山小学校へ約12kmの徒歩移動。5日間の中で、距離・時間共に一番長い移動である。楽

しみを感じながら参加者に歩いてもらうことを考え、道中の給水ポイントで指導員による果物の配給を行っ

た。スイカ、梨、巨峰、パイナップルのシロップ漬け。甘い果物を口にしながら、全員が目的地を目指した。

17時15分、全員が中山小学校に到着。はじめに、中山小学校の校庭

で部屋ごとにテント設営。みんな初めてとは思えない手つきで、あっと

いう間に設営完了。次に、夕食。カップラーメンと炊き出しのカルビ丼

で疲れた体にエネルギーを補給。そして、入浴。中山温泉ナスパルへ往

復3kmの移動。湯船に加え、水風呂やサウナもあり、みんな嬉々とし

た顔で2日間の汗を洗い流した。常連客の方から「どこから歩いてきた

の?」「明日はどちらへ?がんばってね。」と声をかけられると、子どもたちは誇らしそうな顔で受け答えして

いた。夕涼みをしながら中山小学校に戻り、テント泊。

■3日目の活動の様子<8月10日(金)金の道 天候:晴のち曇>

9時、河本家住宅へ5kmのリヤカー移動。いよいよ最終ゴールの船上山

少年自然の家がある琴浦町に突入する。この日からは、船上山少年自然の家

まで、各自の荷物や調理コンテナをリヤカーで引きながらの移動となる。前

の持ち手を持つ人、後ろから押す人、地図を持つ人など。組の中で役割を交

代しながらリヤカーを引く姿が印象的だった。

10時30分、河本家住宅に到着。建築されて300年余りが経過すると

いう歴史ある建物の説明を聞いた後、抹茶体験。赤い絨毯の上に正座し、抹

茶とお菓子をいただいた。抹茶を立てるのに使ったお湯は、鉄瓶で沸かした

ものである。抹茶が一段とまろやかな味わいに感じられ、まさに「金の道」

にふさわしい体験だっただろう。時間が止まったかのような落ち着いたひと

時を過ごした。

12時30分、昼食を終え、旧以西小学校へ約7kmのリヤカー移動。そ

の道中で、「たたら製鉄ゆかりの神社オリエンテーリング」を実施。参加者

は組ごとに、豊栄神社、大森神社、高木神社で、仲間づくりゲームに挑戦し

た。ちなみに豊栄神社は、伯耆国がたたら製鉄で盛んだった時代に、その繁

栄を願って建てられた神社である。そのような歴史と絡め、ゲームに合格す

ると、「鉄分たっぷりの食材が獲得できる」という設定にした。ちなみに獲

得した食材は、4日目の夏野菜カレー作りで使用する具材である。ゲームの

目的が分かると、子どもたちは目の色を変えてゲームに挑戦した。「UFOキャッチャー」「パイプライン」「シ

ークレットコード」。一筋縄ではいかないゲームもあったが、全員が声を掛け合いながらあきらめずに取り組

み、全ての組が食材を手に入れることができた。

16時30分、旧以西小学校に到着。明るいうちに振り返りをした後、調

理室で夕食作り。コッヘルとバーナーを使って、麻婆豆腐丼とポトフを作っ

た。コッヘルの容積が小さく、ポトフの具材が全て入りきらないというアク

シデントが発生。しかし、スープをいったん取り出して野菜を先に煮込むな

どの工夫をしている組があった。また、まな板が小さくて豆腐が切りにくい

と感じた組では、手のひらに豆腐を置いて切るという離れ業をやってのけて

いた。物や場所に限りがあるが故に、創意工夫を凝らそうとする子どもたちの姿が素晴らしかった。全ての組が

料理を完成させ、料理をおいしそうにたいらげた。この日の夕方、5年前に実施されたキッズアドベンチャーに

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携わったOB指導員より、差し入れのジュースをいただいた。夕食後、みんなでここまで来た道のりと苦労を振

り返りながら、オレンジジュースを味わった。疲れを感じさせない笑顔がそこにはあった。後片付けを終えて、

体育館で就寝。

■4日目の活動の様子<8月11日(土)土の道 天候:雨のち曇>

6時50分、朝食。ツナスパゲティとサラダを作った。スパゲティは、予

め水に浸してやわらかくした麺をお湯にくぐらせるという時短調理である。

滞りなく料理を完成させ、大盛りのスパゲティをみんなで完食した。

8時、最終目的地の船上山少年自然の家へ約5kmのリヤカー移動。上り

坂が続く道で、しかもにわかに雨が強くなってきたが、間もなくゴールとい

うこともあり、子どもたちは喜び勇んで駆け上がっていった。こうして全て

の組がゴール。栄光のレッドカーペットを歩き、組ごとで記念写真を撮った。

10時30分、船上山少年自然の家の野外炊飯場での夏野菜カレー作

り。昨日の神社オリエンテーリングで獲得した食材を使っての野外炊飯で

ある。初日以来の薪割による火起こし炊飯である。食事作りもこれで4回

目であり、参加者は手際よく活動に取り組んでいた。ニンジン、ジャガイ

モ、タマネギ、豚肉という基本食材に加え、オクラ、ピーマン、トマト、

トウモロコシ、ナスの夏野菜を使った超

豪華カレーライス。栄養満点の昼食に、

子どもたちは大満足であった。

14時、ダム湖活動&河川プール活動。ダム湖では、船上山少年自然の家

が誇る夏の名物活動「カヌー」に挑戦。華麗なパドルさばきで、ダム湖活動

を満喫した。源流かけ流しの河川プールも大人気。4日分の汗を洗い流すか

のごとく、参加者全員が冷たいプールの中を泳いだり浮かんだり身を沈めた

りしていた。

19時、キャンドルファイヤー。第1部の火を迎える式と第3部の火を送

る式とでは、各組代表の5人が火の守となり、大学生ボランティア扮する火

の神から、大事そうに火をいただいた。暗闇に灯る火の向こうに、子どもた

ちは自分の心を見つめていた。この4日間に歩んできた道のり、体験、苦

楽、仲間の顔など、様々な思い出が脳裏に去来したことと思う。会場全体が

卒業式さながらの厳粛な雰囲気に包まれていた。第2部は、親睦の火。「エル

ボータッチニータッチ」「太郎君次郎君」「パラソル」「猛獣狩り」など、指導員の全力レクリエーションを、参

加者も力いっぱい楽しんだ。9日以来のお風呂で心身の疲れを癒し、船上山少年自然の家で館内泊。

■5日目の活動の様子<8月12日(日)水の道 天候:晴時々曇>

8時30分、パークレンジャー任命式。環境省パークレンジャーの方をお

招きし、国立公園について話をしていただいた。ハンザキ協会の方にも来て

いただき、サンショウウオなど船上山周辺に生息する生物についての解説を

していただいた。「パークレンジャーさんは、具体的にどんな『見張り』を

されるのですか?」「オオサンショウウオは、どうして普段は動きがゆっく

りなの?」等、鋭い質問が子どもたちから飛び交う、示唆に富んだ講話だっ

た。

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10時、鱒返し滝入口に移動し、水生生物調査活動。水中の石を裏返してみ

ると、サワガニやヘビトンボの幼虫など、様々な生物が観察できた。ハコネサ

ンショウウオという希少な生物も確認され、子どもたち一同、自分も見つけよ

うとタモと洗面器を手に、無我夢中で生物採集に没頭した。捕獲した生物と生

物調査表とを照らし合わすと、船上山の谷川が大変きれいな水質であることが

分かり、鳥取県の豊かな生態系を大切にしていこうという気持ちが高まった。

10時30分、谷川探検。滝壺目指して、片道20分の沢登りに挑戦。密林

のような道を進んだり、ロッククライミングの要領で岩場を登ったり、スリル

満点だった。滝壺では、滝壺ダイビングにトライ。8月の滝壺はとても気持ち

よく、参加者は心行くまでダイビングを楽しんだ。雨模様の天気だったため、

昼食は、鱒返し滝入口ではなく、所内で食べることに変更。シャワーでさっぱ

りした後、組ごとに談笑しながらお弁当を食べた。

13時30分、食堂で振り返り記入。5日間の様々な思いがたくさん脳裏を

よぎったのだろう。「最後の行まで感想を書きます。」と指示すると、鉛筆の音だけが食堂に響いていた。ちなみ

にこのような振り返り記入は、5日間を通して、毎日取り組んできた。書き終わった人には、認定印として「五

神霊獣スタンプ」が貰えるシステムである。スタンプを押してもらうと、嬉しそうに自分の振り返り用紙を見つ

める子どもたちの表情が印象的だった。

14時50分、別れのつどい。スライドショーでは、5日間の自分自身の姿

を、子どもたちは食い入るように見つめていた。組ごとの感想発表では、凛と

した声で発表する代表者を含め、全日程を修了した30人に惜しげのない拍手

が贈られた。学生サポーターの発表では、参加者と苦楽を共にした学生一人一

人が、思い思いの言葉でメッセージを伝えていた。最後に全員で記念撮影をし

て解散。5日分の荷物と思い出がたくさん詰まった大きな旅行かばんを抱えて

船上山少年自然の家を後にする子どもたち。その一人一人の表情は、この大きな探検をやり遂げたという達成感

に満ち溢れていた。

Ⅲ 総 括

1 参加者の感想(抜粋)

・みんな学校がばらばらで、最初は他の人とあまり話ができませんでした。しかし、他のグループの女の子が

自己紹介してくれて、だんだんとみんなと話をするようになりました。最終日の昼食では、同じ組の友達と

弁当を食べていて、笑い涙が出ました。無事に5日間すごせたのは、同じ組の仲間やお兄さん・お姉さん、

送り迎えをしてくれたお家の人のおかげです。別れはさみしいけど、たくさんの人に感謝しながら家に帰り

たいと思いました。

・むきばんだ史跡公園での夜景がとてもきれいでした。竪穴住居に泊まるのは初めてで怖かったです。ブルー

ベリーをおなかがはち切れる程に食べました。とても甘くて、疲れが吹き飛びました。がんばって歩いた後

の夜ご飯は、何とも言えないくらいに最高でした。温泉に入れて気持ち良かったです。抹茶体験でのおまん

じゅうがすごいおいしかったです。神社オリエンテーリングのゲームは、けっこう難しかったです。生き物

探しでは、ハコネサンショウウオを見たくて本気で探しました。滝壺ダイビングが楽しくて、5日間の辛か

ったことが全部ふっとびました。また参加したいです。

・一番辛かったのは、2日目の22kmのロードウォークです。途中から足が痛くなり、もう歩きたくないと

思っていたとき、同じ組の人が「大丈夫?」と聞いてくれて、もう少しがんばってみようと思いました。長

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い距離を歩いたこと。みんなとゴールしたときの嬉しさ。長い間、親元を離れて生活したこと。そして、み

んなと団結・協力したりした5日間を絶対忘れません。あっという間の5日間でした。

・けんかもあったけど、その時その時に力がついたと思います。嫌いなトマトやたくあんが食べられるように

なりました。カレーも苦手だったけれど、みんなで一緒に作るカレーは世界で一番のようにおいしかったで

す。一人ではできないことも、みんなででやればできるということが分かってよかったです。

2 学生ボランティアの感想(抜粋)

・子どもたちが集団生活の中で苦難を乗り越え成長していく姿は、自分にとって一生の思い出となった。課題

としては、元気な子どもたちに気がとられて、控えめな子どもたちと話す機会が少なくなってしまった。ま

た、メリハリに欠ける場面もあったので、適切な声かけ・対応ができるように心がけていきたい。教壇に立

つ上で、今回の事業で得た経験を余すことなく活用していく。

・子ども同士のけんかや男女間の壁に悩んだこともあったが、失敗を次に活かしてくれることを願い、なるべ

く子どもたち同士で解決できるよう見守った。このような接し方が本当に正しいかは分からない。しかし最

終日には、子どもたちがお互いに名前で呼び合っている姿に嬉しさを感じた。

3 成 果

・ロードウォークについて。道中で様々な体験や活動を取り入れたことで、参加者は常に期待と目的を持ちな

がら長距離を歩き続けることができた。50kmという道のりを自分たちの足で踏破できたという体験は、

子どもたちにとって大きな自信につながったと言える。

・日程全体について。第1に、全員が大きな事故なく活動できたこと。熱中症対応に向けて準備した大型扇風

機や氷、給水ポイントの設置などが子どもたちの疲労軽減につながった。天候にも恵まれたことも大きかっ

た。第2に、本事業の中心となるロードウォークにゆとりを持って取り組めたこと。朝食を準備が簡単なパ

ン食中心にしたことで、午前中の活動に早めに取り掛かることができた。第3に、荷物輸送を大きな混乱な

く行えたこと。たくさんの物資や道具を運ぶのに、「いつ・誰が・どの車で」運ぶのかをテープで表示した

ことが功を奏した。大型トラックを1日余分に手配できた点もよかった。

・子どもたちの成長について。「一人では不可能なことでも、みんなでやれば実現できること。」「けんかやロ

ードウォークなど辛いこともあったが、乗り越えていく中で自分の力に変えられたこと。」「様々な人のおか

げで、5日間やり遂げられたこと。」このような振り返りが子どもたちの感想には書かれていた。人と共に

生きていく上で何が大切か。本事業のねらいを指導員がとやかく言わなくとも、5日間の体験を通して、子

どもたち自身が気付き学んでいた。どんなことがあっても常に前を向き、笑顔で歩を進め続けた子どもたち

に心より敬意を表したい。

・保護者の意見として、「費用がかかっても、このような企画に積極的に取り組んで欲しい。」という声が多か

った。今後も継続していく方向で検討したい。

4 課 題

・参加者の様子の把握について。病気やトラブルなどの早期発見・対応のため、朝の健康観察やミーティング

の在り方を検討していかなければならない。

・事前研修について。今回は台風のため実施できなかったが、せめて職員だけでもルートの下見をしておく必

要がある。また、テント設営やバーナーを使った調理など、学生ボランティアも事前に経験しておくこと

で、当日の活動がより円滑に進んだと思われる。