基調講演...

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基調講演

「トークンエコノミー」

2018年6月28日

AnyPay株式会社代表取締役 CEO大野紗和子

NTT DATA Open Innovation Forum

「豊洲の港から」


自己紹介

AnyPay株式会社代表取締役 CEO大野紗和子 (おおのさわこ )

大阪府出身東京大学・大学院 (化学専攻修士)

株式会社ボストン・コンサルティング・グループに入社。その後、Google株式会社にてインダストリーアナリストとして、経営・マーケティングのアドバイザリーを行うと共に、オンラインマーケティング関連のリサーチプロジェクトに従事。

東京大学教育学研究科特任研究員を経て、2016年よりAnyPay株式会社にて、取締役COOを務める。

2018年6月より同社代表取締役 CEOを務める。


１．弊社ご紹介

２．トークンエコノミーとは

３．様々なトークンの種類と事例

４．トークンエコノミーのトレンドと

今後の発展に向けた可能性

アジェンダ


<会社概要>

<会長木村新司>2003年株式会社ドリームインキュベータ2005年株式会社シリウステクノロジーズ2007年株式会社アトランティス設立 (2011年売却)

2012年株式会社Gunosy創業、元代表取締役(2015年IPO)

2016年 AnyPay株式会社設立

現在、AnyPay株式会社会長、Das Capital Director、株式会社Gunosy取締役を務める

Gunosy, gumi, Wantedly, Bitceller, AnyPerk, bitFlyer,

アメリカ、インド、タイ、マレーシアなど約30社に投資

会社名：AnyPay（エニーペイ）株式会社本社所在地：東京都港区赤坂9-7-1

ミッドタウン・タワー8F

設立：2016年6月27日取締役会長：木村新司代表取締役：大野紗和子、井上貴文従業員数：30名資本金：9,000万円

テクノロジーに包まれた社会を実現する

会社紹介：AnyPay株式会社


弊社の手がける事業領域

毎日が楽しくなるわりかんアプリ

いつでも誰でも簡単に、販売が出来る決済サービス

決済事業 (法定通貨)

スマートフォンを中心とした決済サービス

ブロックチェーン事業

• ICOコンサルティング• ブロックチェーン関連新規サービス開発

法定通貨/ 仮想通貨に関わらずFintechの仕組みで社会に価値を生み出すことを目指す


マーケティング／PR技術設計／開発サポート

多面的な視点から

ワンストップでICO実施までをサポート

トークンスキーム設計

・ビジネス内容／ICO目的に照らしたトークン機能とスキームの設計支援

・トークンセールのマーケ戦略の構築

・コミュニティマネジメント戦略構築・サポート

・トークンの技術的設計へのアドバイス・開発サポート

概要ICO Conference開催

ICOに関して理解を深めるカンファレンスを2017年10月に開催

600名以上の投資家、起業家などが参加

（ビットフライヤー加納社長、メタップス佐藤社長、valu小川社長、gumi國光社長登壇）

ICOコンサルティング事業







アジェンダ


仮想通貨の現状

出所：Coin Market Cap (2018年6月末時点), Bank for International Settlements (2017年12月時点)

仮想通貨は1,600通貨以上存在

法定通貨との比較（’17/12時点）

（10億米ドル）

スイスフラン

ロシアルーブル

400 800 1,200

米ドル

ユーロ

人民元

日本円

Bitcoin

インドルピー

英ポンド

韓国ウォン

1424

1210

1000

856

260

250

117

103

76

74

Bitcoinは流通額にして5位

仮想通貨全体の時価総額推移

‘13 ‘14 ‘15 ‘16 ‘17 ‘18

$250B

$500B

$750B今年1月のピーク時には、約80兆円


ICOによる調達が増加

4月末時点で約1.4兆円の累積調達額

出所：: Coindesk (2018年5月時点）


ICOプロジェクトのトレンド

2%

4%

36%35%

12%

1～10億

～1億

100億円～50~100億

10～30億

11%

30～50億

（円）

出所： ICObench, coinschedule（2018年5月現在）

調達額割合

0 100 200 300

306

299

269

240

232

194

179

130

150

101

101

84

83

金融

コミュニケーション

ビッグデータ

AI・機械学習

メディア

小売・流通

医療・ヘルスケア

不動産

教育

カジノ・ギャンブル

観光・旅行

エネルギー

スポーツ

製造業 83

カテゴリー別累積件数

（件）

120

ブロックチェーンインフラ


ブロックチェーンの技術的特徴

ブロックチェーンの特徴：P2Pネットワークによる価値の交換

• 非中央集権型(Decentralized)

• P2Pネットワークを構成するNodeが、それぞれのトランザクションを承認して、同期することにより成り立っていることが多い

• 中央管理者なしで、お互いに信用を持たない参加者同士が金銭的価値を送受信することが可能（33~51%以上が裏切らなければ正しく動作する）

• イーサリアムのように、スマートコントラクトを持つブロックチェーンも存在


ブロックチェーンの技術的特徴

活用例

メリットデメリット

①：改ざんがされにくい②：情報の共有が容易③：記録の透明性④：恣意性のない契約実行

①：記録化にコストがかかる②：処理時間がかかりやすい

資金調達(ICO)

決済手段分散型P2P

プラットフォーム

権利の保存・移転


“トークン” とは何か

• 企業や個人がブロックチェーン上で発行する固有の名称／単位を持った価値の記録例）イーサリアム上で発行されるERC20トークン

• 従来の法定通貨のコインや株券とは異なり、トークンそれ自体に、スマートコントラクトによってガバナンスのルールが技術的に組み込まれている

“A token is a unit of value that an organization creates to

self-govern its business model, and empower its users to interact

with its product, while facilitating the distribution and sharing of

rewards and benefits to all its stakeholders. ”

- Karthik Iyer


法定通貨の持つ機能

価値の尺度

価値の保存価値の移転

モノやサービスの価値が誰にでもわかる様に示す、共通の価値のものさし

価値を蓄積・保存でき、必要なときにいつでも使える

モノやサービスを交換したり、それらの価値に対して報酬を支払ったりする手段


トークンの持つ機能

価値の可視化

価値の保存価値の移転

サービス等の持つ様々な価値をトークンという単位に落とし込む事によって可視化し、定量的に価値が定義される様にする

改ざんしづらいというブロックチェーンの性質を生かした価値の保存

• ブロックチェーン上の新たな記録の承認による価値の移転• 国際送金等への利用


トークンエコノミー（= トークン経済圏）とは

この様な性質を持つ様々なトークンが発行され、それぞれ流通することによって生まれる新たな経済圏


一人の人が特定の地域に暮らしつつ、複数の経済圏に生きる世界

トークンAの経済圏

トークンBの経済圏

トークンCの経済圏

従来の法定通貨の世界

“国”という地理的な範囲で形成される法定通貨による経済圏・価値基準

(日本円、米ドル、ユーロ…）

トークンエコノミーの世界







アジェンダ


トークンの種類 / トークン価格が何に連動するのか

そのトークン経済圏単体の価値

価格が何に連動するか

そのトークンが利用できるプラットフォームの流通規模・コンテンツの人気度やトークンの持つ機能による需給バランスから価格が決まる

外部の指標/価値

ドル／金／石油価格等にペッグされたトークン

(ペッグコイン)

配当する収益は何に紐づくか

企業

株式に近い形で発行 or 株式をトークン化

事業

事業ごとの収益をトークン化

アセット

不動産や車・ローン債権等の特定のアセットに紐づく収益のトークン化

cf. アセットファイナンス

cf. プロジェクトファイナンス

cf. エクイティ

A. ユーティリティ型トークン

(配当無し)

• 経済圏の決済手段• 利用券/投票券• 割引等のサービスが受けられる会員権等

B. セキュリティ型トークン

(配当有り)

• 投資商品









企業


事業


アセット




cf. エクイティ


(配当無し)



(配当有り)

• 投資商品


セカンダリ市場に上場し価格がつくことを、前提としているものがほとんど

現時点ではセカンダリ市場への上場はない(CFに基づく価値)

今後、合法なセキュリティトークン取引所が出てくれば、上場可能性も










企業


事業


アセット




cf. エクイティ


(配当無し)



(配当有り)

• 投資商品


Binance

登記国：

• BVI（運営拠点は香港）

事業内容：仮想通貨取引所

• 140万取引／秒の高速処

• ICOtokenを含む約100通貨

• 多言語対応（英,中, 韓, 露, 独, 仏,等）

ユーザー数：

• 600万人以上の登録者

• 取引高では世界1～3位

ICO/ トークン概要企業/事業概要

• トークン名：BNB

• ICO実施時期：2017年17月

• ICO調達金額：$15M

• トークン用途：

− 取引所の手数料50%割引

− 但し、割引き率は年々下がり、５年後にはゼロになる

− 取引所内での基軸通貨

− 様々なトークンとの交換が可能

− Binance上場トークンを決める投票

• トークン価格の推移：

ICO時の約300倍（’18/1/12時点）

全仮想通貨コイン中、時価総額21位（約1,500億円）


Bread

ICO/ トークン概要企業/事業概要

• 所在地：スイス

• 事業概要：

• 完全分散型の仮想通貨ウォレットを提供

• 約4,500億円相当の資産がbread内に存在*

• 仮想通貨初心者にも簡単で安全なユーザーインターフェース

• 業界最先端の安全性と、プライバシーの保護を提供

• トークン名：BRD

• ICO実施時期：2017年12月

• ICO調達金額：約35億円

• トークン用途：

• 消費により、有料サービスの支払いに充当可能

• 保有により、トークン保有者限定のサービスを利用可能

* ブロックチェーン上のトランザクションより推計

直接口座振込

決済

公共料金支払

ローン

貯金

投資


Electrify.Asia

事業概要：

東南アジアを中心としたP2Pの電力売買プラットフォーム

• スマートコントラクトにより、仲介マージンが不要になり、安価な電力を選択可能に

• 国：シンガポール

• ICO時期：’18年2月

• 調達額：30億円

ICO後の展開：

• シンガポール国内ではほとんどの電力小売事業者が加盟したマーケットプレイスが実現

• 電力売買プラットフォームの共同開発のため、東京電力との提携が決定

• ユーザは電気料金として、法定通貨による支払い、もしくはトークンによる支払いを選択できる

• 事業者は、参加時にデポジットとしてトークンの払い込みが必要であり、また電力対価は専用のWalletに支払われる構造

ICOにより構築する事業トークンの機能










企業


事業


アセット




cf. エクイティ


(配当無し)



(配当有り)

• 投資商品


ペッグコインの例

• 三菱東京UFJ銀行が開発した円ペッグの独自コイン

• ’17年から約1500人の社員が実証実験に参加

• ’18年、買い物での支払いを想定した10万人規模の実証実験を予定

MUFGコイン

出典：Cointelegraph Japan

Petroコイン

• ベネズエラ (南アメリカの国家)が発行した原油価格にペッグされたコイン

• ハイパーインフレに苦しんでいるという背景

• ’18年2月にICOを実施し、初日で約750億円を調達










企業


事業


アセット




cf. エクイティ


(配当無し)



(配当有り)

• 投資商品


TheDAO (事業収益配分タイプ)

ベンチャー投資を行うベンチャーキャピタルの機能をブロックチェーン上で実現しようという試みであり、「自律分散型投資ファンド」とも呼ばれた• The DAO が発行する独自トークン (DAO Token) を投資家が Ether で購入することでファンドを組成し、そこから個別のプロジェクトに投資を実行（保有する DAO Token に応じて、投資先の選定に対する議決権を持つ設計）

• 収益をDAOの所有数に応じて分配• ICOにより150億円を調達。しかし、スマートコントラクトのバグによって、1/3以上が流出


米国SECが、TheDAOは有価証券であると声明を発表

出所： SECプレス発表

SECは証券法と証券取引法下でTheDAOが有価証券としてみなされると明言(‘17年7月)

• ホワイトペーパーにて、配当がある点を明記

但し、あくまでcase by caseの判断としている


事例B (アセットタイプ)：Rentalcoins

投資家(適格投資家)

• 3年間、想定IRR31%• 毎月配当

自動車レンタルプラットフォーム

レンタル利用者

投資

トークン

収益収益分配

• インドで自動車シェアリングプラットフォーム（100万ユーザー）を運営するdrivezy

社のICO

• 投資家からの投資で自動車を購入し、既存プラットフォームでの運用益をRentalcoinsトークン保有者に毎月分配

• 2回のICOを実施し、$12.5Mを調達

オンボード

利用料

貸出

トークン発行







アジェンダ


トークン化のトレンド

発行体経済圏の価値

トークン有償配布＝金銭対価

トークン無償配布＝金銭以外の価値を対価


トークンが利用できるプラットフォーム

への期待感

外部アセットの価値

ドル／金／石油価格等にペッグされた仮想通貨

配当原資収益

企業


プロジェクト

事業部ごとの収益受益権をトークン化

アセット

不動産や車等の安定資産の投資収益をトークン化

①

② これまで最もメジャーな形だったICO。期待感で投資し、価格は需給バランスで変動

いわゆるセキュリティトークンによる資金調達。ここ数か月で、かなり台頭してきたスキーム

ブロックチェーンのメリットを活かして流動性を高める目的A.

ユーティリティ型トークン(配当無し)

B.

セキュリティ型トークン(配当有り)

エアドロップによりステークホルダーにトークンを無償配布

• オープンソースプロジェクト等の労働への対価

• マーケティング・コミュニティ構築としての効果

③


OTAKU COIN ：トークンをコミュニティに無償配布予定

1. ファンがオタク文化の発展に寄与するようなプロジェクトに投票・資金提供できる仕組みを作ることで、クリエイターが次の作品を生み出しやすくなり、オタク文化の発展につながる

2. コミュニティ内にグローバルな仮想通貨が流通することで、手数料や為替など決済のボトルネックが解消され、エコシステムがより循環し、コミュニティが活性化する

3. 世界中のファンが、オタク活動（正規版サイトでの視聴や宣伝活動、商品購入など）を通じて対価が得られる仕組みを参画パートナーと創り、ファンの増加と健全なコミュニティ発展を促す

使用目的と比率発行したオタクコインは、その 61% 相当分のうち一部をAirDropならびに Bounty Program による無償配布に、

大半をオタク文化の発展につながるプロジェクトへの資金提供に使用予定

発行主体：オタクコイン準備委員会

(参画パートナー：Tokyo Otaku Mode 等複数社)

出典：オタクコインコンセプトペーパー (2018年5月9日版)


今後のトークンエコノミー発展の可能性

• 様々な価値のトークン化の進行• 現実世界のアセットを含む、様々な価値のトークン化スキームが生まれていくと考えられる

• 現実世界の価値とのリンクをどう担保していくか• 事業価値に連動するトークンでは、情報開示の仕組みが改善され、投資家が適切な情報に基づいて投資判断できることが必要

• トークンの移転機能・流動性の進歩• マイクロペイメント利用に適した技術の進歩（ライトニングネットワーク等）

• 異なるブロックチェーン間を繋ぐインターチェーン技術の発展• セキュリティトークンを扱うトークン取引所が開設されれば新たな流動性が生まれる

• トークンのエアドロップ (無償発行）を用いたコミュニティ経済圏創出の広がり


ご清聴ありがとうございました

基調講演...

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