薬学教育6年生を見据えた薬局実務実習のあり方 ~...
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薬学教育6年生を見据えた薬局実務実習のあり方~アカンサス薬局の試み~
(1アカンサス薬局,2金沢大薬) ○山田順子1,2,稲野彰洋1,大栁賀津夫1,2,塩村和子1,
山田清文2,鈴木永雄2,辻 彰2
日本薬学会第124年会,大阪,2004年3月 (ポスター発表)
薬学教育の年限延長 臨床教育の充実にむけて
アカンサス薬局のねらい
標準化された質の高い実務実習の構築
病院実習
大学附属病院
薬局実習
地域薬局
アカンサス薬局実習
金沢大学薬学部の附属薬局的役割を果たすためにNPO形式で開局 薬剤師技能の初期教育を目的とした研修プログラムと インターン自己評価マニュルを基に薬局実務実習を行う
外来調剤は縮小し、病棟活動を中心とした業務へシフトしつつある。
保険調剤・OTC・漢方など取
り 扱い品目の薬局間差が大きく 研修先・指導薬剤師によって 習得内容が異なる。
金沢大学院医療薬学専攻における
アカンサス薬局研修プログラム
大学で学んだ知識を実際の業務に照らし合わせて技能として身につけるための訓練プログラムである
研修期間は月~金の終日で、4週間を1クールとし、
1クールあたり2~3名のグループで行う
カリキュラムは「インターン自己評価マニュアル」に沿って進められる
このプログラムは日本薬学会薬学教育モデル・コアカリキュラムの示す実務実習教育D2病院・薬局で学ぶ の内、(2)薬剤師の業務(病院) と(4)5)地域で活躍する薬剤師 を除く全ての項目をほぼ網羅している。
アカンサス薬局
インターン自己評価マニュアル
薬局薬剤師が実務を行う上で最低限必要な知識 技術を到達目標として具体的に明示した
逐次、到達レベルを学生自らが評価する形式と なっている
本マニュアルの各項目を習得することで、研修後 自らのスキルアップが可能となることを目標とした
策定にあたっては米国ミネソタ州 MINNESOTA BOARD OF PHARMACYの
INTERNSHIP COMPETENCY MANUALの形式を参考にした。ミネソタ州の薬剤師が免許取得前に習得しなければならない項目を具体的に明示した
この形式を参考に内容についてはアカンサス薬局独自に作成したものである。
Question/Claim
学生 指導薬剤師
Advice/Reply
アカンサス薬局
研修プログラム
カリキュラム内容の明示
インターン自己評価
マニュアル
到達ラインの明示
確認
確認
アカンサス薬局実習の進め方
課題
課題
研修スケジュール例(導入・講義・技能体得・課題) 月 火 水 木 金
オリエンテーション
模擬調剤
処方箋の読み方
レセプトコンピュター操作(模擬処方)
散剤技術
医療保険・調剤
報酬請求業務
処方解析
ロールプレイ
月 火 水 木 金
手技練習(BA)
薬局DI業務
散剤・液剤
味比較
小児・妊婦の服薬指導
ロールプレイ
月 火 水 木 金
手技練習
(点眼・鼻・耳)
OTC・サプリメント
在宅医療
貼付剤比較
課題発表
(疾患別薬の使い分け)
リスクマネージメント
月 火 水 木 金
メーカー勉強会
(質疑)
薬局関連法規
患者向ポスター作成
医薬品在庫管理
受付業務・発注・納品・調剤
手技練習(DM)
受付・調剤・発注・納品・前日薬歴チェック
調剤・窓口・薬歴作成・前日薬歴チェック
自己評価 指導者アドバイス
調剤・監査・窓口・薬歴作成
自己評価 指導者アドバイス
自己評価 指導者アドバイス
アカンサス薬局研修プログラムの評価
1.導入(1~5日目)では薬局業務の全体像を把握し、研修に興味を
もつことができた。
2.講義を通して、基本知識の整理をすることができた。
3.SMBGなど手技の習得により患者さんの負担を実感することができ、実際の服薬指導に生かすことができると感じた。
4.ロールプレイは自ら得た知識や情報を相手に合わせて加工する訓練となりコミュニケーション能力の必要性を強く感じることができた。
5.実践を通して、処方箋受付から服薬指導までの流れをつかむことができ、単独でも一通りの調剤ができるようになった。
6.服薬指導の実践や薬歴の作成から、自分の言葉や文書で他者に
情報を伝達することの大切さを感じ取ることができた。
7.課題発表は情報を収集し、考えをまとめ、他者が理解できるように
表現するための技術習得となった。
8.実習期間の1ヶ月は適当と思う。
(3:長い・4:ちょうど良い・5:短い)
9.1ヶ月で薬剤師としての成長を感じることができた。
10.教官の指導は適切であった。
11.アカンサス研修プログラムを終了して全体の満足度は十分である。
研修最終日に記名式アンケートを実施し、プログラム内容や自己評価マニュアルについて、達成度・満足度・有用度等の評価を得た。 (2003年度金沢大学院自然科学研究科医療薬学専攻入学生19名)
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回答数(人)
1 2 3 4 5NO YESプログラム内容の評価
インターン自己評価マニュアルの評価
項 目 別 5 段 階 評 価 評価点は学生19人の平均
設問内容は理解を深める上で十分であった
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1. 研修内容の全体像を把握するのに役立った。
2. 不足技術・知識の確認に役立った。
3. 自分の到達度が確認でき、学習意欲が高められた
4. “薬剤師入門書”として有用である。 3
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回答数(人)
1 2 3 4 5NO YES
内容に関心・興味をもてた
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実習期間中、自己学習の材料として利用できた
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今後スキルアップする際学習材料となり得る
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テーマ内容に対する満足感は十分であった
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自己評価マニュアル テーマ項目
a 調剤技術 b 医療保険・調剤報酬請求業務 c 薬局関連法規 d 薬品在庫管理 e 薬局DI業務 f 在宅医療 g OTC・サプリメント h リスクマネージメント
インターン研修感想と未来への抱負 (インターン自己評価マニュアル最終ページより)
調剤のみでなく医薬品管理やDIなど多岐にわたる業務があり、その一つ一つが「適正な医薬品を患者さんに供給する」ということにつながっていると
感じた。
処方箋1枚、1つの薬品から多角的に情報を読み取ることの大切さを学び、どういう意味で薬が使われ、何に注意し、患者さんには何を伝えれば良い
のかを考えるようになった。
圧倒的な知識不足を認識し、患者さんや医師とのコミニケーションを円滑にするためには薬に関する基本的な知識が土台に必要と感じた。
薬剤師観が大きく変わった。自分の目指す薬剤師像が見えてきた。
自分に不足しているものが何かがわかった。今回を基礎にもっともっと
勉強したい。
薬剤師としての基礎を学べた。ここで学んだ勉強の仕方や薬剤師としての志を忘れずに向上心を持った薬剤師になりたい。
企業(開発)へ就職予定であるが、今回の研修は患者のニーズを理解する上で貴重だった。将来も常に現場と接してゆきたい。
アカンサス薬局実習の成果
質の高い 標準化され
た 実務実習
学生 指導薬剤師
3人の指導者・7クールの 実習において再現性のある実務実習が可能となった
自らを評価することで自らのレベルアップ・モチベーションアップが可能となった
薬局研修プログラム 自己評価マニュア
ル
アカンサス薬局のこれから
学生 指導薬剤師
Advice/Reply
Question/Claim 課題
アカンサス薬局
研修プログラム
カリキュラム内容の明示
インターン自己評価
マニュアル
到達ラインの明示
薬剤師職能の
自覚・レベルアップ
確認
確認
Improve
The Quality
標準化された質の高い実務実習の構築
課題
店舗面積 約30坪
1日処方箋枚数 30~40枚
受入医療機関 金沢大学附属病院・国立金沢病院
金沢赤十字病院・金沢市立病院他
約20施設/月
取り扱い品目 *保険調剤備蓄薬品 約900品目
*OTC 約60品目
*医療材料 約60品目
*食品・サプリメント 約20品目
スタッフ 指導薬剤師3人(薬局長は薬学部教授) 事務員0人
受入研修生数 年間通してほぼ常時2~3人
http://www.kanazawa-univ-pharm.jp/acanthus/index_thur.html