大規模殻模型計算 -...
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共同研究者:大塚孝治 水崎高浩 本間道雄
宇都野穣 阿部喬 Liu Lang
東大理清水則孝
大規模殻模型計算
困難な点: 多数の配位の重ねあわせにより、対角化すべきハミルトニアン行列の次元が巨大となる
例: 238U ... 6x1022次元 = 44C10*56C20*x
(208Pb 閉殻を仮定、10バレンス陽子、20バレンス中性子バレンス殻 Z=82~126, N=126~184)
原子核殻模型
� 調和振動子基底
� 現実的核力+有効相互作用の理論(G-行列, Vlow-k, etc.) +現象
論的補正
⇒バレンス殻での有効相互作用
または、P+QQなどの現象論的
相互作用
� バレンス殻において、バレンス粒子のすべての配位の混合
調和振動子 Woods-Saxon WS+spin-orbit force
184
原子核殻模型計算原子核殻模型計算原子核殻模型計算原子核殻模型計算とはとはとはとは模型空間(1,2主殻)内のすべての配位混合を考慮に入れた計算。低エネルギー領域のスペクトルを記述
伝統的対角化法による原子核殻模型計算の現状
�ランチョス法
�殻模型対角化計算コードが、有効相互作用とパッケージされて公開されている
OXBASH, Nushell, mshell (水崎), ...
�波動関数などの共有はなされていない
�並列計算コードも存在する
ランチョス法のアルゴリズム� 適当な初期状態ベクトルu0を用意する
� Huk-1をuk-1,uk-2と直交化、規格化し、ukを求める(Hが対角化すべき大次元疎行列)
� m-1回繰り返し、m×mの3重対角行列Tを求める。
� 行列Tを対角化 mが少数でも固有値が収束する。
ランチョスベクトル
ukはすでにuk-3,uk-4, ...と
直交していることが示せる
ランチョス法による原子核殻模型対角化
� ランチョスベクトルを 1~O(100)本、メモリに保持する必要がある。⇒実用上のボトルネック
� 1010次元の場合、ランチョスベクトルは1本80GB
� ガモフテラー遷移や分光学的因子を計算するためには多数のランチョスベクトルが必要
� もとのハミルトニアン行列要素はメモリに保持しない(毎回オンザフライで計算する)、m-schemeのバレンス粒子配位はビットであらわす、対称性を用いる、などのこの問題に特有なチューニング
変分原理にもとづいて、確率論的な試行により、巨大なヒルベルト空間を40程度の小さな部分空間に「圧縮」する。殻模型計算における巨大次元行列の困難を克服。
∗ ∗ ∗∗ ∗ ∗∗ ∗ ∗
∗ ∗∗
∗ ∗
Conventional Shell Model
∗ ∗ ∗∗ ∗ ∗∗ ∗
Monte Carlo Shell Modelbases important for a specific eigenstate
all Slater determinants
εε
ε
εε
1
2
3
1
2
diagonalization
diagonalization
’’
=H
H
変分原理に基づいて
ハミルトニアンの期待値が
下がるような部分空間を作る
基底を確率論的に選ぶ
φσφσβ )0()(
)( ⋅∏=⋅∆−
eh
確率論的に選ばれた量子多体基底
試行ごとの並列化が容易であり、並列計算に適している。
旧来旧来旧来旧来のののの対角化法対角化法対角化法対角化法
(大容量メモリーが必要)
モンテカルロモンテカルロモンテカルロモンテカルロ殻模型法殻模型法殻模型法殻模型法(浮動小数点演算性能が重要)
基底の候補は、虚時間発展において補助場を導入し、補助場を乱数として生成する。
∑=
=ΦMCSMN
iiic
1
)(σφ
モンテカルロモンテカルロモンテカルロモンテカルロ殻模型殻模型殻模型殻模型(MCSM)
|φ〉 =
N∏
α=1
Nsp∑
i=1
c†iDiα
|−〉
†ic ...調和振動子基底の生成演算子
Slater 行列式
状態を少数の量子多体基底の線形結合によって記述する。保存しない対称性(角運動量、パリティ)は射影法によって回復する。
計算量が比較的少ない。
対相関の表現に不適。
対相関基底粒子数保存型 HFB 波動関数
∑=Λij
jiij cc ††† λ2
1
( ) ,2/−Λ=
N†φ
対相関の表現に有利。
分離型相互作用しか扱えない。
MCSMにおける量子多体基底の表現
∑ +=l
llkllkk cVcU ††β
準粒子真空基底HFB 波動関数
対相関の表現に有利。
扱える相互作用に制限はない。
粒子数射影のため、計算コストが高い
∑ −=N
NN
iii
iiiiii cccf,...,,
,...,,
21
2121... †††φ
ランチョス法 単純な配位
モンテカルロ殻模型計算
� モンテカルロ殻模型(MCSM)計算:従
来の対角化とはことなり、確率論的にえらばれた少数の基底による部分空間で対角化
� 高い予言能力を持つが、中重核、奇核などではより大規模な計算が必要となる
原子核殻模型における対角化すべき行列の次元の増大
Semi-magic nuclei
triaxial deformation
axially symmetric deformation
axial deformation
(spherical)
70 80 900.0
0.4
0.8
1.2Ba
Xe
Te
Sn
Neutron Number
B(E
2;0+
−>
2+)
[e2 b2 ]
Ce
exp.
MCSM
モンテカルロ殻模型(MCSM)
収束の問題などを除けば、MCSMの計算量は0ではない2体行列要素(疎行列)
の数に比例する。 ベクトル化は有効ではない。
Wickの定理による2体相互作用の行列要素の計算
ijklv
多数(>O(10))の励起状態を求める場合、
Lanczos法が有利である。
∝N3
N N
∝N3
∝eN
モンテカルロ殻模型の計算量の予測
計算量は代表的なpf殻原子核の精度良い計算は
62GFLOPS(Alphleet-1)で可能になったことから外挿する。
重い核での(2主殻以上の)十分大きな模型空間による
殻模型計算が可能となると期待される。
2体相互作用の行列要素の計算が、最も計算時間を必要する。
1ハミルトニアン行列要素あたりの計算量はO(N3)。
角運動量射影の分点数、収束性を考慮にいれるとモンテカルロ殻模型計算全体の計算量はO(N4)~O(N5)と期待される
疎行列 は1粒子状態数をNとして、O(N3)のゼロではない行列
要素をもつ
モンテカルロ殻模型の有用性殻模型計算において、平均場近似は悪くはないが十分でもない
適切な少数の「多体基底」を用いたほうが有利
バリウムアイソトープにおける粒子数保存HFBとモンテカルロ殻模型の波動関数のoverlap probability
遷移領域
プロレート変形
球形振動
N=82の球形振動描像がよく成り立つ原子核や、軸対称変形描像がなりたつ領域では平均場近似(HFB)がよい描像を
示す。(準粒子真空1つで状態を近似できる)
それらの間の遷移領域では平均場近似からのずれが大きくなる。(複数の準粒子真空の線形結合で状態を表す。)
HFB近似
MCSM計算の例Sm アイソトープの核構造変形度が大きい⇒模型空間が1主殻では不足模型空間: Z=40~90, N=70~136
144Sm 6,560,948,006,853,207,772,025,092 dim
<H
> [
MeV
]0 10
- 348
- 347
- 346
- 345
- 344
0+2+
4+
0+
2
MCSM basis dim.
0+
2
GCM(23 bases)
MCSM calc. of 152
Sm
HFB
MCSM
MCSM
他班との連携
大規模殻模型計算
素粒子物理ハドロン物理
核力の情報3体力2体力のoff-shell成分
元素合成過程の精密な理解ニュートリノ-原子核反応
(鈴木、千葉、梶野、大塚)
天体核物理
2重ベータ崩壊の核行列要素
有効相互作用の理論
計算機環境アルゴリズム
固有値問題アーキテクチャの検討
T2K
他の核構造計算
比較検証
j>-j< channels
(a,b)
M. Honma et al., Phys. Rev. C 69, 034335 (2004).
テンソル力の寄与
G行列: テンソル力の
寄与を正しく取り扱っているが、中心力部分に問題あり
三体力の効果?
殻模型有効相互作用の解析:monopole interaction
殻構造の変化に重要な役割を果たす
2体力のモノポール部分
今後の殻模型計算
�より精密な核構造計算
�r-過程上の原子核へ� UMOA法におけるユニタリー変換の方法
S. Fujii et al. PLB 650, 9 (2007)
MCSM計算がなされた原子核 理研 RIBFで生成可能な原子核
MCSMを用いた閉殻を仮定しない殻模型計
算へ第一原理計算への応用現時点でMCSMでは3体力の取り扱いが難しい
JISP16相互作用A.M.Shirokov, J.P. Vary, et al. PLB 644, 33 (2007)
3体力の寄与を2体力のoff-shell自由度に現象論的に繰り込む
UCOM法R. Roth et al. PRC72, 034002 (2005), PRC73 044312 (2006)
3体力の寄与が最小化するようにユニタリ相関演算子のパラメータをフィットする
2体力のみで計算する方法は?