資源開発環境調査 ウルグアイ東方共和国 república oriental...
TRANSCRIPT
資源開発環境調査
ウルグアイ東方共和国
República Oriental del Uruguay
目 次
1. 一般事情······························································· 1
2. 政治・経済概要 ························································· 1
3. 鉱業概要······························································· 3
4. 鉱業行政······························································· 3
5. 鉱業関係機関 ··························································· 5
6. 投資環境······························································· 6
7. 地質・鉱床概要 ························································· 9
8. 鉱山概要······························································ 14
9. 新規鉱山開発状況 ······················································ 15
10. 探査状況····························································· 15
11. 製錬所概要 ··························································· 15
12. わが国のこれまでの鉱業関係プロジェクト実施状況 ······················· 16
資料（統計、法律、文献名、URL 等）········································ 16
- 1 - ウルグアイ
1. 一般事情
1-1. 面積 17.6 万 km ２（日本の約半分）
1-2. 人口 339 万人（02 年 ECLAC）
1-3. 首都 モンテビデオ（2004 年 約 140 万人）
1-4. 人種 スペイン、イタリア系が大半
1-5. 公用語 スペイン語
1-6. 宗教 カトリック教が大多数（信仰の自由あり）
1-7. 地勢等
大西洋とラプラタ河口に面し、国土の 85％がアルゼンチンから続くパンパ（平原）で緩
やかな丘陵をなしている。その牧歌的景観から“南米の庭園”ともよばれる。穏やかな温
暖湿潤気候で四季の変化に富んでいる。降水量は３～６月に多く、極端な乾季はない。
（東方観光局 HP）
2. 政治・経済概要
2-1. 政体 立憲共和制
2-2. 元首 ホルヘ・ルイス・バジェ大統領（任期 5 年、大統領連続再選禁止）
2-3. 議会 二院制（上院 30 名、下院 99 名）
（両院共に任期 5 年、上院議長は副大統領が兼任）
2-4. 政治概況
2000 年 3 月に発足したバジェ政権は、前政権の基本路線を踏襲。ブラジル・アルゼンチ
ン経済危機の影響を受け、脆弱化している経済の建て直しを緊急課題とし、国家改革（公
務員数削減、国営企業の非独占化、年金制度の改革、経済規制緩和）の推進を目指してい
る。また、軍政時代の行方不明者問題に積極的に取り組み、「平和のための委員会」を設
- 2 - ウルグアイ
立し、2003 年 3 月に報告書を議会に提出。政府としてはじめて軍政時代の行方不明の事実
を公式に認めた。燃料・アルコール・セメント公社（ANCAP）については、原油輸入及び製
油部門の独占を排除し、民間企業との提携を実施する法律が 2002 年 1 月発効したが、右法
律は、野党左派連合の主導により、2003 年 12 月 7 日に国民投票が行われ、廃止されるこ
ととなった。本年 10 月 31 日には大統領選・両院議会選挙が実施され、ＥＰ／ＦＡが躍進。
バスケス同党総裁が次期大統領（2005 年 3 月～）に選出され。また両院で同党が過半数を
占める結果となった。
2-5. 主要産業 牧畜（牛、羊）、食品加工業、皮革・羊毛業
2-6. GDP 111.2 億ドル／一人当たり 3,280 ドル（2003 年 中銀）
2-7. 通貨 ウルグアイ・ペソ（UYU）
2-8. 為替レート 1US＄＝24.635UYU（2005/02 現在）
年末 1999 年 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年
1US＄＝ 11.6150 12.5150 14.7680 27.2000 29.5389
（International Financial Statistics 2004）
2-9. 貿易（出所 中銀）（単位：億ドル）
1998 年 1999 年 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年
輸 出 27.7 22.4 23.5 18.9 18.6 22.0
主要品目 肉類、米、皮革品、羊毛
輸 入 38.1 33.6 32.9 28.3 19.6 21.9
主要品目 機械類、輸送機械、化学製品
対日貿易（通関統計）（単位：百万ドル）
1998 年 1999 年 2000 年 2001 年 2002 年 2003 年
総 額 141.7 107.4 126.5 1021.1 82.9 100.4
輸 出（CIF） 31.1 33.1 57.0 45.8 52.4 57.9
主要品目 魚介類、羊毛、衣料、飼料、肉類
輸 入（FOB） 110.6 74.3 69.5 56.3 30.5 42.5
主要品目 輸送、一般・電気機器、化学品等
2-10. 経済概況
1999 年以降、最大輸出相手国のブラジル及びアルゼンチンの経済危機の余波を受け景気
後退。2002 年初頭より非居住者による預金引き出しに伴う外貨流出が加速し、同年 7 月末
政府は全銀行業務の一時停止するに至った。経済回復が遅れる中、2003 年 4 月、内外か債
権の借換実施を余儀なくされるに至った。一連の金融政策が功を奏し、また 03 年後半の農
- 3 - ウルグアイ
牧産品の輸出好調を受け、同年には 2.5％の経済成長を記録。更に、04 年の成長はそれ以
上になるものと見られている。
3. 鉱業概要
3-1. 概況
非鉄金属鉱床の開発としては、1990 年代に入っての金鉱山、Mahoma 鉱山、と現在、金
を年 2 トン/年牛産する San Gregorio 鉱山だけで、これまで非鉄鉱山業は無いに等しかっ
た。 ウルグアイの鉱産物として上げられるのは、アメジストと瑠璃であり、これらは同
国北部、ブラジル国境近くの Salto 市を中心とした地域で採掘、稼行されている。アメジ
ストの年間採掘量は概算で 100,000ｍ3、製品として出荷されるのが 70 トン(1994)とされ
ており、北米、ヨーロッパ諸国、日本に輸出されている。
瑠璃は同じく Salto 市近傍の玄武岩からオープンピットと坑内掘りから年間約 154 トン産
出されている。
石灰岩は、ウルグアイにとって重要な鉱産物である。国営企業の ANCAP が 大の生産者
であるが、セメント会社のひとつ Compania Uruguay de Cemento Portoland
SA(CUCPSA)は、年間約 240,000 トンの生産能力を有する Sayago プラントを保有している。
セメントの約 40%は国内消費用に回され、30%がアルゼンチンに輸出されている。
4. 鉱業行政
4-1. 法律
鉱業法
ウルグアイ国の鉱業法(MiningCode)は、1982 年に比較的新しく制定された。このことは、
ウルグアイがこれまで鉱業活動が活発でなく鉱業後進国であったことを物語っている。
全ての鉱業権は、国内企業、外資企業の区別なく平等に権利が付与され、外資規制・外資
導入比率の制限は現在のところ全くない。ただし、ウルグアイの主要産業である農牧業に
重要な井戸を含む水利権に関しては、鉱業法の及ぶところではない。
鉱業法は、巻(Book)、題(Heading)、章(Chapter)、項(Article)の順に細則化されており、
全 4 巻、11 題、22 章、136 項で構成されている。第 1 巻で「鉱業の基本法」、第 2 巻で「鉱
業活動規則」、第 3 巻で「鉱業の管轄、監督権」、第 4 巻で「特別条項」が規定されてい
る。
１）鉱種の分類
鉱床(鉱種)は、CLASSⅠ(化石燃料資源、石油、石炭及びエネルギー資源に関わるもの)、CLASS
Ⅱ、CLASSⅢ(全ての金属、非金属に関わる鉱種)、CLASSIV(建設資材用の非金属鉱床)、の
全 4 種に分けられ、金、銅、鉛、亜鉛、等の非鉄金属鉱床は CLASSⅢに分類されている。
2）鉱業権
鉱業権は、鉱業活動の段階によって次のとおり分類されている。
- 4 - ウルグアイ
① Right to Prospect(「Prospecting Permit」の付与):
この権利は、ひとつのあるいは複数の鉱物を特定の地域で捜す権利を指している。運用上、
当鉱区権利は、土地の変形、掘削、環境変化を伴わない一般の地質調査、地表サンプルの
採取を伴う土壌・岩石地化学探査、物理探査、空中物探を実施す場合にこの権利の取得が
必要である。1 単.位鉱区ブロックは、100,000ha(2,000km2)を.超えないものとされ、任意
の鉱業権者が国内で保有できる鉱区の累計は、200,000ha(2,000km2)を.超.えないものと規
定されている。鉱区の保有期間は、 短で 12 ヶ月(1 年)、 長で 2 年間とされ、期限切れ
後、さらに1年間の鉱区更新が認められる。鉱区更新の場合は50%減区とする(Article87)。
期間内の義務探鉱費支出を求める条項は定められていない。
② Exploration Right(Exploration permit の付与)：
この権利は、基本的に鉱床の量、品位、特質に関して経済評価するために実行を指してい
る。この鉱区権利は、土地の掘削、変形を伴う、例えばボ.一リング調査、ピット掘削を実
施する場合に適用される。トラックマウントの機械力を伴ったオーガを用いての土壌採取
作業の場合は、Exp1oration Permit が適用されると解釈される。個々の鉱区ブロックは
1,000ha(10km2) 以下とし、同一鉱業権者が保有できる累計の鉱区累討面積 が
2,000ha(20km2)を超えないものとする。鉱区保有期間は、2 年間とし、鉱区の延長は 2 回、
それぞれ１年間の期間延長が認められる。更新毎に面積は 50%減区される(Article94)。義
務探鉱費的な支出を求める条項はない。
③ Exploitation Right(「Working Franchise」の付与):
この鉱区権利は、掘削採取、選鉱、精錬事業に対して適用される。鉱区の 大面積は
1,000ha(10km2)とし、個々の鉱区ブロックは 500(5km2)を超えないものとする。採掘権利期
間は 30 年とする。期間満了後の延長は、15 年間認められている(Book two,Heading
Ⅲ,Article 99,103)。
3)租税、ロイヤリティ
一鉱業権者へ賦課される税体系は、二つに分かれる。ひとつは、鉱業権者は、一般企業と
同様に所得に対して 30%賦課される。所得税に関わる法律、会社設立.に関わる法律は別で
あり、これは、この鉱業法に謳われでいるところではない。鉱業関係税では、ロイヤリテ
ィ一として、生産額を基準に算出され、生産額から運送費、選鉱費、精錬費コストを差し
引いた額に対して、当初 5 年間は 5%、5 年経過の後は 大 8%、賦課される。当初 5 年間の
5%の内、3%が土地所有者へ、残りの 2%が政府に配分されるとし、5 年を経過し 8%に引き上
げられた後は、5%が土地所有者に 3%が政府に配分されると規定されている。コスト実績、
同算出法並びに認定は、生産者である鉱業権者からの申告に基づいて、6 ヶ月毎に行われ
るが、額の確定にあたっては、鉱業権者と政府機関間交渉となるのが実際のようである。
また、生産税( 大 8%)の一部(5%)が土地所有者配分されるが、ウルグアイ国での土地価格
が安価(350～500US$/ha)であることから、鉱業権者が、例えば既存鉱山 San Gregolio 鉱山
- 5 - ウルグアイ
などでは、土地を買収し、土地所有者分の納付を避けるケ一スが多い。
4)鉱業権の管轄
国家鉱山地質局 DINAMIGE が、鉱業活動の管理、鉱業法の運用、鉱業権管理、鉱業権の付与
を管轄している。ウルグアイ国の各省、並びに所轄官庁である工業エネルギ「一鉱山省、
国家鉱山局(DINAMIGE)が、当国でこれまで鉱業資源開発の事例が少なく、鉱業法は有りな
がらも実質的な運用、監督の経験が浅い。
5. 鉱業関係機関
5-1. 政府機関
工業エネルギー鉱山省は（Ministrio de Industria, Energia y Mieria）、国家鉱山地
質局(Direction naccional de Mineria y Geologia,略称 DINAMIGE)、工業局、エネルギ
ー局、原子力技術局などの計 6 局から構成されている。
国家鉱山地質局(DINAMIGE)は 1912 年に設立され、国家による鉱山管理、約 15,000 件の
鉱業権鉱区の管理並びに地質調査、物理探査、地質に関わる調査、解析を一手に担ってい
る機関である。民間の鉱山会社は、DINAMIGE から鉱区情報を容易に入手できる。また、
DINAMIGE は、ウルグアイにあって地質情報の管理機関であり、地質、地理、水理地質、物
理探査、地球化学探査に関わるデータ、空中写真、衛星画像データを外部に提供している。
ウルグアイ国の重力マップは、国内の道路網に沿って測定された重力データから作成され
ている。DINAMIGE は、岩石地質学分野の研究機能も持っており、鉱石分析、岩石分析、薄
片作成、顕微鏡下観察等を外部からの依頼を受け付けている。但し、化学分析部門では、
分析機器(原子吸光分析器や ICP)を保有しながらも、いずれも旧式であり補充部品の調達
ができず、現在のところ化学分析は不可能である。
DINAMIGE は、外国の研究機関、調査機関との共同プロジェクトのウルグアイ側の運営母
体でもあり、BRGM、ドイツの地質関係機関、米地質調査所等と地化学探査、物理探査、水
理地質の分野での調査を行っていた。
- 6 - ウルグアイ
6. 投資環境
6-1. 投資法、関税関係
海外からの投資、ならびに関税関係の法律として投資促進法 16,906(Ley de plomosion de
inversions.16.906)がある。この法律の第 2 条で、「外国人投資家による投資に対する許
可や待遇の制度は、国内投資家向けの制度と同じである」と言明し、第 2 章では、投資の
一般優遇策の適用範囲として「開発のためのコンセッション、採掘権」の「財」の取得の
カテゴリ一を E と分類し、「財」に対する免税、割引償却制度の導入、付加価値税の軽減
が規定されている。輸入関税については、ウルグアイで活動する企業がメルコスール諸国
から「財 1 を輸入する場合、輸入関税及び追徴金免除で輸入することが出来ると謳ってい
る。因みに、現在稼行中の San Gregorio 鉱山のプラント設備の現地搬入時は、無税通関が
適用されていた。
6-2. 金融
ウルグァイの金融政策は銀行の個人情報の守秘義務、為替取引きの自由、 会社への海
外資本参加自由（１００％外国資本の会社可能）、資本と収益の本国送金に関する規制な
し、外国銀行と国内銀行の法的差別なし、個人所得にたいしては無税、など南米で も金
融システムの規制緩和が進んだ国である。
6-3. 通信 (電話、ファクシミリ、インターネット 及び郵便)
- 7 - ウルグアイ
電話は 1997 年に 100%デジタル化された。電話普及台数は 1998 年に 85 万台を越え、2000
年には 100 万台に乗ると予想されている。統計では 100 世帯あたり 33 世帯に電話が普及し
ていることになる。携帯電話もかなり普及している。現在、携帯電話会社は 2 社ある。電
電公社だけで 6 万 5 千台が販売されている。携帯電話による通話可能域は、ほぼウルグア
イ全域に亘っており、カウンターパートによれば特殊地形域(渓谷部、極端な低地形部)を
除き概ね通話状態は良好とのことであった。国内・国際電話は、キオスクで販売されるコ
インを使用して通話でき、 近では都市部、地方ともカード式電話も設置されている。国
際電話は地方都市を含め、ダイヤル直通で通話可能である。ファクスも同様である。イン
ターネットは数社がプロバイダーサービスを行っている。夜間は込み合い繋がりにくいこ
ともあるが、早朝は比較的容易に繋がる。
6-4. 交通
ウルグアイの道路網は、首都モンテビデオから放射状に北方向へ延びる国道と、ラプラ
タ川沿岸の都市への東西系の国道を中心として道路網の発達はよい。単位面積あたりの道
路整備率は、モンテカルロに次いで高いといわれている。しかし、南北系の国道を横断し
連絡する東西系の道路の整備は遅れており舗装率は低い。
6-5.電力
ウルグアイは、パラナ河の Salto Gran de Uruguay 水力発電所(945MW)、リオ・ネグ
ロ川の 3基の水力発電所、並びにモンテビデオ他 2箇所、計 3基の火力発電所、合計 2,100MW
の発電能力を有しており、現在、計画発電容量 360MW の Casablanca 発電所が計画されてい
る。 送電線は、これらの発電所から首都他、地方都市に敷設されており、容量に応じて
500KV、110KV、60B:V で送電されている。
6-6.環境保護法並びに森林法
ウルグアイの環境保護関係の法律として、
環境保護法(Law of Environmental Protection No.16.466)
環境影響評価規定(Regulamentario de Evaluation del Impacto Ambiental No.435/994)
森林法(Law of Forest No.15.939) がある。
1) 環境保護法(Law of Environmental Protection No.16.466)
環境保護法、第 2 条の中で、次の 3 点が、保護されるべき基本理念として謳われている。
Ⅰ．国民の健康、安全又は生活の質
II. 環境の美的、文化的又は衛生的状態
III.天然資源の構成、質及び多様性
環境保護法の第 6 条では、環境影響調査の対象となるべき A)～N)の工事、建設の内容が定
められている。この 6 条には、特に鉱山は述べられていないが、後述の「環境評価規定 No．
- 8 - ウルグアイ
435/994」に.細則が、明記されている。
A)道路、橋、鉄道、空港
B)港、石油又は化学製品積替ターミナル
C)石油パイプライン、ガス・パイプライン及び残留液体排出路
D)有.毒又は危険残留物の処理工場、運搬施設及び 終処分場距
E)化石生成鉱物及び燃料の採掘
F)発電原料の如何に拘わらず、10MW 以上を産出す発電所
G)原子力エネル.一生産及び変換工場
H)150MW 又はそれ以上の電力送電ライン
I)水資源開発及び調節工事
J)その性質及び規模からして重大な環境影響を引起し得る工業、農産加工業及び
観光業の複合体又はユ二ット
K)100 ヘクタールを超える都市開発プロジェクト、あるいはそれ以下の面積の都
市開発プロジェクトで、行政官憲の基準において環境的に重大事と判断されるも
の
L)海域法第 153 条によって海岸防御が定められている地帯で実施が計画される事
業、建設又は工事
M)負に作用する、又は有害な環境影響を引起し得る、上述記載に類似するその他
の事業、建設又は工事。行政官憲はそれらに対ずる措置を規定する。
N)環境影響評価が実施されるべきものとなる事業、建設又は工事の 低基準を制
定する。
また、環境保護法第 10 条には、承認申請書に含まれるべき 低必要事項が以下の通
り述べられている。
A)プロジェ.クトが実施される場所の所有者の身分証明、プロジェクトの名義人の
身分証明、並びにプロジェ.クトの作成及び実行責任技術者の身分証明。
B)プロジェクトの内容、プロジェクトが立地する物理的スペース及び周辺の詳細
記述、並びにプロジェクトを統合的に判断する事を可能なものとするあらゆる詳
細を含み、指名技術者によって署名されたプロジ.エ.クト。
C)関与技術者によって署名された環境影響評価。
D)プロジェクトの本質的独自性、並びにプロジェクト実施によって生じる効果を
含んだ、理解しやすい語句を用い層で記述されたプロジエクト概要。
E)規則が定め得るところのその他の必要事項。
これらの環境関係の法律は、鉱業に限らずあらゆる産業、工業分野における環境保護に関
する法律であるが、環境保護法(Law of Environmental Protection No16..466)の第 7 条に
事前環境認可の伝達、許認可内容が定められており、これを明記した細則として位置づけ
- 9 - ウルグアイ
られる環境影響評価規定 No.435/994 が 1994 年 9 月 21 日に発令されている。
2) 環境影響評価規定(Regulamentario de Evaluation del Impacto Ambiental No.435/994)
環境影響評価規定は、全 4 章、24 条から構成されている。環境影響評価に関わり、第
1 章:一般規定、第 2 章:プロジェクトの分類、第 3 章:許可申請について、第 4 章:許可
申請の手続き、の細則が規定されている。政府の所管官庁は、住宅国土整備環境省で
ある。
これら環境保護法と環境影響評価規定は、探査活動段階の Prospecting Permit を取得する
際には適用されず、政府機関への許可申請、並びに届け出の義務はないと解釈されている。
ボーリング調査に移行し Exploration permit を取得する場合、さらに進んで鉱山開発、採
掘、プラント操業で Working Flanchise を取得する際は、これらの環境保護関係法が適用
され、許可申請、認可が必要となる(「環境影響評価規定 435/995」、2 条の 11))。DINAMIGE
の見解である。トレンチ調査の場合は、分からない。鉱業法の項でも述べたが、ウルグア
イ側が、保安を含めて鉱山の管理監督に不慣れであると同特に、鉱山開発の際の環境規制、
制限をどこに置いてくるか、所管官庁の間で、すなわち工業エネルギ一鉱山省、この下部
機関である DINAMIGE、および住宅・国土整備・環境省などでの解釈の統一が図られるのか
不明確である。
7. 地質・鉱床概要
7-1. 地質概略図
南米大陸は、デボン紀以降、大西洋の拡大を伴ってパンゲア大陸の分離によって形成さ
れた大陸で、大西洋岸に面した南米大陸のブラジル、ウルグアイの地質、鉱物資源は、ア
フリカ大陸西部と極めて近いものになっている。 パンゲア大陸の再現から、地域的にブ
ラジルが中部アフリカからナミビアにかけて、ウルグアイ国が、アフリカ大陸のナミビア
から南アフリカ北部に対応し、クラトン、変動帯という地質構造学、プレートテクトニッ
クス、地史学分野での研究がなされている。このことからブラジルやウルグアイでの地質
鉱床、資源探査分野、すなわち、金はじめウラニウム、白金、ニッケル、ダイヤモンド等
の探査に際し、大西洋岸のアフリカの地質、鉱床と対比して検討されることが多い。
ウルグアイの地質は、ウルグアイ国土の 40%を占めて同国の南部に広く分布する先カンブ
リア界の基盤岩類、すなわち、広義のリオデラプラタ・クラトン(Rio de la Plata
Craton)と、中生代以降の堆積岩類、さらにこれを覆う噴出玄武岩プラトーから成っている。
このリオデラプラタ・クラトンを覆うポスト・デボン系の二畳系堆積岩類、白亜系玄武岩
台地が、ウルグアイの中央部から北部一帯からブラジル国境にかけて分布し、新生界が同
国東部から大西洋岸にかけての地域と同国の西部と南部に分布している。
地表に露出するリオデラプラタ・クラトンは、多様な噴出岩、貫入岩、堆積岩類が集合
した複合岩体が高変成し、片麻岩化、ミグマナイト化した岩石で構成されている。このリ
- 10 - ウルグアイ
オデラプラタ・クラトンは東西に方向性を有しているが、その西部域の方が、時代が古く、
始生代から原生代前期～中期である。東部域が原生代後期からカンブリア紀と比較的新し
い。構成する岩石は、オーストラリア西部やカナダ、オンタリオ州の地質と類似しており、
火成岩としては、塩基性～ソレライト質ないし超塩基性の玄武岩、塩基性貫入岩、珪質火
山性岩類、火山性砕屑岩類であり、堆積岩としては、チャート、頁岩、グレイワッケ、珪
岩等である。
先カンブリア界は、3 つのテレーン(Terrane)に大別されている。即ち、同国南東部のピ
エダアルタ・テレーン(Pieda Alta Terrane)、この東側に位置し、南北方向の構造を持
ったニコペレス・テレーン(Nico Perez Terrrane)、さらに同国南東部に分布するクチジ
ャディオニシオ・テレーン (Cuchilla Dionisio Terrrrane)である。これらのテレーン
の境界はマイロナイト化、ミグマイト化した構造線で接している。これらのテレーンの地
質時代は、原生代中期～カンブリア紀前期と考えられているが、その後、幾度かの変動作
用、構造運動を受けているピエダアルタ・テレーン(Pieda Alta Terrane)の北縁部と南縁
部には、東西に方向性を有する始生代～原生代前期の通称グリーンストーンベルトと呼ば
れる玄武岩類、火山性砕屑岩類・堆積岩類を主とし花崗岩類貫入岩を伴った複合岩体ベル
トが分布している。北縁部に分布するのがアロージョグランデ・ベルト(Arroyo Grande
Belt)、南縁部に現出するのがサンホセ・ベルト(San Jose Belt)である。また、ニコペ
レス・テレーン内に属し、同国北部に分布するイスラクリスタリーナデリベラ (lsla
Cristallina de Rivera)と同国中央部のバレンチネス累相(Valentines Formation)もグ
リ一ンストーンベルトであると考えられており、これらのグリーンストーンベルトはウル
グアイ国内の有望な金鉱床探査地域と目されている。
7-2. 地質および地質構造
1970 年代の古典的な地質モデルでは、ウルグアイはいわゆる南アメリカ・プラットホー
ムに属するとされていた。ウルグアイ国南部に広がる始生代から原生代(～カンブリア紀前
期)の地質は、当初アルゼンチンーウルグアイ・クラトン地域と呼ばれ、続いて La Plata
Craton、さらにリオデラプラタ・クラトンとして呼称を変え地質構造が捉えられていた。
当初、リオデラプラタ・クラトンは、ウルグアイの南部と隣国アルゼンチンの一部に露出
するクラトンと考えられていた。また、Fragoso Ceasar らは、ブラジル南部の先ブラジ
リアン造山運動帯、即ち Rio Grande do Sur, Santa Catarin 等もこのリオデラプラ
タ・クラトンに含まれると考えていた。 リオデラプラタ・クラトンは、東を Braliliano
Dom Feliciano、北西部を Parana Basin、南を新生代の堆積岩を境界としている。
Ramos(1988)らは Paraguay Oriental 地域もこのクラトンに属していると考えている。
近のプレートテクトニック理論では、南米の中央東部は、先カンブリア後期(原生代
後期)の大陸一部であると同様に、島弧と海洋プレートとの衝突であるとも解釈している。
Frag6so Cesar(1995)らは、 Ciplatinia plate という単体プレートの概念を主張して
- 11 - ウルグアイ
いるが、現在では、リオデラプラタ・クラトンが一般的に用いられている。 リオデラプ
ラタ・クラトンの西縁部では、アマゾンプレートとの衝突以前の島弧や、Charrua Ocean(海
洋)が存在し、東縁のリオデラプラタ・クラトンには原生代後期の Craton Tapes 海と
Admastor 海洋に密接に関係したとされる二っの表成の火成弧が認められている。
近年、ウルグアイ国南部に露出する塩基性岩類群(18.6 m.y.)の研究から、先カンブリ
ア紀初期 (始生代後期から原生代 9 前期)における平行断層活動システムの概念が導入さ
れ、結果、「テレーン(Terrane)」としてウルグアイの地質構造を捉えるのが一般的になっ
てきた。これに従えば、ウルグアイ国の先デボン系が、
・Piedra Alta Terrane、
・Nico Perez Terrane、
・Cuchilla Dionisio Terrane(あるいは Dionisio Belt とも呼称される)
の 3 つのテレーン地質構造帯で構成されるとしている。
- 12 - ウルグアイ
（平成 12 年度資源開発協力基礎調査 プロジェクト選定調査報告書 ウルグァイ東方共和
国）
7-3. 主要鉱床分布
金属鉱床としては、金、銅、鉛、亜鉛、マンガン、鉄(BIF：縞状鉄鉱層)が、非金属鉱
床としては建材用の花崗岩と千枚岩、耐火粘土用粘土鉱山、及びアメジストなどが知られ
ている。金鉱床は、当国北部の Isla Cristallina de Rivela 地域、南部の San Jose
- 13 - ウルグアイ
Belt に集中している。今日までに当国で知られている金鉱床の規模は、San Gregorio 鉱
山で、全金量 20 数トン、 Mahoma 鉱山の例で、可採量 18,000 トン、品位 8.09ｇ/ｔ、金
量 150Ｋｇの数次が示すように、小規模交渉であり、マインライフは短い。
現在、当国では次の鉱山、鉱床が知られている。鉱床に付した番号は、ウルグアイの主な
鉱床分布図に対応する。 *印を付したものは、過去に稼行された鉱山、+印を付したもの
は現在稼行中の鉱山、無印は探鉱中ないし休止中である。
図に San Iose Belt(Colonia Belt, Florida Belt)中の鉱床分布を示した。
原生代後期の Isla Cristallina de Rlvera 地域に賦存するもの
（1）:Mina de Corrales 地区グリーンストーン・ベルト地区
San Gregorio(金)、 ERMEL*(金、マンガン、鉄)、 Zapucay、 Nueva Australia 他
* 旧 San Gregorio 鉱山をを含み 1890 年～1914 年にかけて坑内掘りされていた。
（2）:Minas de Corrale.(漂砂鉱床、ダイヤモンド)
*ダイヤモンドの実質的な探査、評価、開発状況は不明。
（3）:Vichadero(マンガン)
ウルグアイ南部の原生代前期の鉱床
（4）:Valentines*(鉄)、
（5）:Narancio+(塩基性岩、滑石)
〈グリーンストーン中の金鉱床(破砕帯中、鉱脈鉱床)〉
（6）:「Arroyo Grande Belt」内の Palacios 地区(Lilli, Casilda, Sonya, Silvia,
他)
（7）; Ojosmin、
（8）: Cerro Colorado、
（9）: Veta Mardre、
（10）: San Juan Hills, Mita、 :Mahoma*, San Carlos
ゴンドワナ堆積盆中
（11）:Arigas(白亜系火山岩中のアメジスト)
原生代後期の鉱床に分類されるもの
（12）:Pan de Azucar 地区(建材用花崗岩)
（13）:Cerro Esmeril*(スカルン鉱床、コランダム)
（14）:Valencia, Reus, Oriental*(火山性塊状硫化物鉱床?)
（15）:Arrospide*(グリーンストーン中の金)
（16）:Aigua(鉱脈型蛍石鉱床)、
（17）:Mina de la Pena*(グリ一ンストーン中の金)
（18）:Mina Serrena*(塩基性岩に伴う、滑石)、
（19）:Presidente Terras(グリーンストーン中の金)、
（20）;Isla Patrulla(グリーンストーン中の金、銅)
- 14 - ウルグアイ
（21）:Texas, Lone Cactus(グリーンストーン中の金)
漂砂鉱床
（22）:Punta Palｍar(ルチル)
（平成 12 年度資源開発協力基礎調査 プロジェクト選定調査報告書 ウルグァイ東方
共和国）
8. 鉱山概要
Crystallex Corp.は 1998 年に Minera San Gregorio 金山を取得した。それ以降、年産約
70,000Oz の金を生産している。2002 年初めの資源量は約 12.95 百万ｔ、1.30g/tAu，鉱量は
約 6.52 百万 t、1.59g/tAu である。鉱床はグリーンストンベルト中に位置し、花崗閃緑岩～
閃緑岩中の破砕帯に発達する含金石英脈の集合ないし網状の含金石英脈である。
- 15 - ウルグアイ
9. 新規鉱山開発状況
Arenal discovery
位置：San Gregorio 金山より３Km
会社：Uruguay Mineral Exploration Inc(UME) カナダのジュニア
埋蔵量：確定 1.5 百万トン 2.96g/t Au、推定 7.5 百万トン 2.26g/tAu
生産予定：100,000oz/y 2005 年より
10. 探査状況
UME は、金のほかに銅、ニッケルの調査も行なっている。
11. 製錬所概要
該当なし
鉱山製錬所位置図
Mahoma
Minas de Crrales
- 16 - ウルグアイ
操業鉱山/探鉱開発
Mahoma:130Km frm Montevideo,San Jose NW 60Km
Minas de Crrales:Rivera Dep. Lat; 31° 34' 60S,Long; 55° 28' 0W
精錬･休廃止無
12. わが国のこれまでの鉱業関係プロジェクト実施状況
資源開発協力基礎調査
・資源開発調査
2000～2002 年度 サンホセ・アロジョグランデ
資料（統計、法律、文献名、URL 等）
（財）国際鉱物資源開発協力協会 平成 12 年度資源開発協力基礎調査 プロジェクト選定
調査報告書 ウルグァイ東方共和国