重質油処理における機器閉塞の機構及び対策方法の...

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重質油処理における機器閉塞の機構及び対策方法の調査 (東燃ゼネラル石油株式会社) ○河野 尚毅、中島 規裕、林 郁孝 1.調査の目的 エネルギー供給産業の事業基盤強化の観点から、残油処理能力の向上、設備稼動の信頼 性とエネルギー効率の向上ならびに戦略的な原油調達・活用が重要である。多様な原油に 対して安定的かつ高効率に重質油を処理する技術が鍵となるが、重質油処理の高度化を図 ると重質油処理装置下流の機器に固形析出物(セジメント)が堆積して流路を閉塞させる ことで計画外停止が発生しやすくなり、それを回避しようとすると原油種に制約を生じた り重質油処理を抑制せざるを得なくなったりするなどの問題が生じる。そこで、閉塞によ る計画外停止を回避しつつ高度な重質油処理を行うことを目指して、機器閉塞現象の機構 解明や、機器閉塞の回避技術の方向性を把握することを目的として調査を実施した。 2.調査の内容 今回の調査研究においては、熱交換器閉塞が比較的高頻度で発生し運転上の制約要因と なっている減圧残油水素化分解装置を対象とした。具体的な調査項目を以下に示す。 2.1 重質油処理装置での閉塞現象に関わるデータ収集と要因解析 熱交換器(以下熱交)の閉塞を定期的にモニタリングした。並行して、閉塞を生じてい る熱交ラインからサンプルを採取し各種測定・分析を実施して熱交閉塞の要因を解析した。 2.2 機器閉塞に及ぼす原油の影響検討 実機での熱交閉塞に対して特徴的な挙動を示す原油種を対象に、減圧残油(以下 VR)留 分の詳細化学構造解析を行い、熱交閉塞との関連を考察した。 2.3 試験装置・評価技術の検討 熱交閉塞の機構を理解し対策技術を効率的に開発するうえで重要となる試験装置、評価 技術として、熱交シミュレータ、高真空度減圧蒸留装置、減圧残油化学組成分画装置の技 術的可能性と課題を調査、検討した。 2.4 重質油処理装置における閉塞トラブル発生状況、対応状況等の調査 様々な重質油処理装置を対象として、機器閉塞トラブルの発生状況、対応状況(効果と 課題)等を調査するとともに、今回調査対象とした減圧残油水素化分解装置について得ら れた知見の相互展開、活用可能性を考察した。 3.調査の結果 3.1 重質油処理装置での閉塞現象に関わるデータ収集と要因検討 今回、検討対象とした減圧残油水素化分解装置のフロー概略図を図 1 に示す。減圧蒸留 装置のボトム油(VR)は水素と共に、直列2基の反応塔(R-101, R-102)に導入される。 反応後の水素化分解油は高圧セパレータ(D-102)、中圧セパレータ(D-105)、低圧セパレ ータ(D-107)によって順次圧力が下げられ、ストレーナー(STR-101)を経て常圧蒸留塔、 減圧蒸留塔で構成されるフラクショネータセクションに送られる。

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Page 1: 重質油処理における機器閉塞の機構及び対策方法の …...重質油処理における機器閉塞の機構及び対策方法の調査 (東燃ゼネラル石油株式会社)

重質油処理における機器閉塞の機構及び対策方法の調査

(東燃ゼネラル石油株式会社) ○河野 尚毅、中島 規裕、林 郁孝

1.調査の目的

エネルギー供給産業の事業基盤強化の観点から、残油処理能力の向上、設備稼動の信頼

性とエネルギー効率の向上ならびに戦略的な原油調達・活用が重要である。多様な原油に

対して安定的かつ高効率に重質油を処理する技術が鍵となるが、重質油処理の高度化を図

ると重質油処理装置下流の機器に固形析出物(セジメント)が堆積して流路を閉塞させる

ことで計画外停止が発生しやすくなり、それを回避しようとすると原油種に制約を生じた

り重質油処理を抑制せざるを得なくなったりするなどの問題が生じる。そこで、閉塞によ

る計画外停止を回避しつつ高度な重質油処理を行うことを目指して、機器閉塞現象の機構

解明や、機器閉塞の回避技術の方向性を把握することを目的として調査を実施した。

2.調査の内容

今回の調査研究においては、熱交換器閉塞が比較的高頻度で発生し運転上の制約要因と

なっている減圧残油水素化分解装置を対象とした。具体的な調査項目を以下に示す。

2.1 重質油処理装置での閉塞現象に関わるデータ収集と要因解析

熱交換器(以下熱交)の閉塞を定期的にモニタリングした。並行して、閉塞を生じてい

る熱交ラインからサンプルを採取し各種測定・分析を実施して熱交閉塞の要因を解析した。

2.2 機器閉塞に及ぼす原油の影響検討

実機での熱交閉塞に対して特徴的な挙動を示す原油種を対象に、減圧残油(以下 VR)留

分の詳細化学構造解析を行い、熱交閉塞との関連を考察した。

2.3 試験装置・評価技術の検討

熱交閉塞の機構を理解し対策技術を効率的に開発するうえで重要となる試験装置、評価

技術として、熱交シミュレータ、高真空度減圧蒸留装置、減圧残油化学組成分画装置の技

術的可能性と課題を調査、検討した。

2.4 重質油処理装置における閉塞トラブル発生状況、対応状況等の調査

様々な重質油処理装置を対象として、機器閉塞トラブルの発生状況、対応状況(効果と

課題)等を調査するとともに、今回調査対象とした減圧残油水素化分解装置について得ら

れた知見の相互展開、活用可能性を考察した。

3.調査の結果

3.1 重質油処理装置での閉塞現象に関わるデータ収集と要因検討

今回、検討対象とした減圧残油水素化分解装置のフロー概略図を図 1 に示す。減圧蒸留

装置のボトム油(VR)は水素と共に、直列2基の反応塔(R-101, R-102)に導入される。

反応後の水素化分解油は高圧セパレータ(D-102)、中圧セパレータ(D-105)、低圧セパレ

ータ(D-107)によって順次圧力が下げられ、ストレーナー(STR-101)を経て常圧蒸留塔、

減圧蒸留塔で構成されるフラクショネータセクションに送られる。

Page 2: 重質油処理における機器閉塞の機構及び対策方法の …...重質油処理における機器閉塞の機構及び対策方法の調査 (東燃ゼネラル石油株式会社)

常圧

らに減圧

したフロ

の残油は

油(FOC

ーに送ら

E-30

れている

(E-307

連続して

系列が閉

かしなが

置の稼働

E-30

2015 年

2015 年

2016年

かった。

熱交

一部が熱

のと考え

流れる減

濃度を評

換器の下

(以下

IP-375

蒸留塔(T-

圧蒸留塔(

ロー図のた

は熱交換器

C)基材とし

られ更にア

7 熱交換器

る。洗浄前

7A、E-307B

て運転でき

閉塞すると

がら、想定

働率等に影

7 熱交換器

4月末から

6 月頃に閉

1月は閉塞

閉塞はセジ

熱交壁面に

えられるた

減圧残油の

評価した。

下流から実

、VR-T)を

試験法に準

-301)にて、

T-303)に送

め、フラク

(E-307)を

してタンクに

ップグレー

器では日常的

前の熱交チュ

)となって

るようにな

通油を A 系

を超える速

響を及ぼす

の閉塞速度

2016 年 1月

閉塞速度が大

速度が小さ

ジメントの

付着したも

め、熱交を

セジメント

E-307 熱交

機サンプル

を採取し、

準拠してセ

1 減圧残油

、ガス、ナ

送られて VG

クショネータ

を通り、一部

に落油され

ーディング処

的に閉塞が進

ューブの写真

ており、交互

なっている。

系列に切り替

速度で閉塞が

すこととなる

度を、一日当

月末までの

大きく、7 月

油水素化分解

図 2 2

フサ留分、

GO 留分が分

タで分離回収

部は更に熱

る。E-307 熱

処理が行われ

進行するた

真を図 1 の

互に運転と洗

すなわち、

替えて B 系列

が進行する

る。

当たりの圧力

9か月間の推

月~10 月は概

解装置のフ

2015 年 4 月

LGO 留分が

分離回収され

収される軽

熱交換器(E-

熱交換器を

れる。

め約 10 日

の下部に示す

洗浄とを切

、A 系列洗

列を洗浄す

と洗浄作業

力損失の増

推移をグラ

概ね中間的

ロー概略と

~2016 年

分離回収さ

れる。(図 1

質留分は非

-308, E-309

出た減圧残

毎に開放し

す。E307 は

り替えるこ

浄時には B

ることを繰

が間に合わ

加 [kPa/Da

フ化した結

な閉塞速度

閉塞熱交の

1 月までの熱

され、常圧残

は機器閉塞

非表示)減圧

9)を経由し

残油の一部は

して洗浄作業

は並列 2 系

ことで、装置

B 系列で運

繰り返してい

わなくなるた

ay]として定

結果を図 2に

度で推移し、

の状況

熱交閉塞速

残油はさ

塞に着目

圧蒸留塔

してC重

はコーカ

業が行わ

系統構成

置本体は

運転し、B

いる。し

ため、装

定義し、

に示す。

11 月~

速度推移

Page 3: 重質油処理における機器閉塞の機構及び対策方法の …...重質油処理における機器閉塞の機構及び対策方法の調査 (東燃ゼネラル石油株式会社)

ジメン

だし、I

100℃で

高く濾過

濾過温

VR-T 中

移を図

ント濃度

閉塞速度

が判る。

熱交

メント濃

は正の相

セジ

出物と想

ント濃度

図 5 にプ

ているも

に示され

度でもセ

も認めら

ルテン濃

外の因子

されたこ

アス

的説明と

した定量

で、SARA

Asphalt

マト法を

た際に得

に模式的

置の原料

テン(A

り囲まれ

反応後に

率が低下

ると考え

低いため

ト濃度を測

P-375 規定

では減圧残油

過が困難で

度は 150℃

中セジメン

3 に示す。V

度の挙動は

度と類似し

閉塞速度と

濃度の相関

相関が認め

メントはア

想定される

度とアスフ

プロットし

ものの、図

れるように

セジメント

られた。セ

濃度の影響

子の影響も

ことより影

ファルテン

として知ら

量モデルの

A とは Satu

tenes の頭

を用いて重

得られる4

的に示され

料油である

A)はレジン

れて安定状

には、相対

下し、アス

えられてい

め、飽和分

定した。た

の濾過温度

油の粘度が

あるため、

℃とした。

ト濃度の推

VR-T セジメ

図 2 の熱交

ていること

と VR-T セジ

を図 4 に示

られる。

アスファルテ

ことより、

ァルテン濃

た。概ね正

中点線枠で

、同一アス

濃度が大幅

ジメント濃

を受けるも

相当存在す

響因子の特

ンの安定化

れる SARA

可能性を検

rates、Arom

文字であり

質油の構成

分画の名称

るように、

VR-D 中で

ン(R)や芳香

態にあるが

的にレジン

ファルテン

る。飽和分

が増加する

示す。両者間

テンの凝集

VR-T のセジ

濃度との相関

正の相関を有

で囲まれた領

スファルテン

幅に異なる場

濃度はアスフ

ものの、それ

することが示

特定を図った

に関する定

モデルを基

検討した。こ

matics、Res

、カラムク

成成分を分別

称である。図

水素化分解

ではアスファ

香族(a)に

が、水素化分

ンと芳香族の

ン分子同士が

分はアスファ

るとアスファ

図 3 20

間に

・析

ジメ

関を

有し

領域

ン濃

場合

ファ

れ以

示唆

た。

定性

基と

ここ

ins、

クロ

別し

図 6

解装

ァル

に取

分解

の比

が凝集して不

ァルテン分子

ァルテンの溶

015 年 4 月~

不溶解性の

子とは化学

溶解性が低

~2016 年 1

4 熱交閉塞

5 セジメン

セジメント

構造が大き

下すると理

月までのセ

塞速度とセジ

ント濃度とア

との相

トを生成しや

きく異なり親

理解されてい

セジメント濃

ジメント濃度

アスファル

相関

やすくな

親和性が

いる。

濃度推移

度の相関

ルテン濃度

Page 4: 重質油処理における機器閉塞の機構及び対策方法の …...重質油処理における機器閉塞の機構及び対策方法の調査 (東燃ゼネラル石油株式会社)

SARA

飽和分の

子構造的

とでセジ

に加えた

分析を行

の候補の

では、セ

準 F 値を

導か

[VR-T S

+0.107

-25.16

+25.63

(Adjust

上式

から推算

たセジメ

ジメン

て正の相

ことが示

相関を有

ントの直

である。

を意味し

ニズムと

モデルに基

の各濃度の

的に芳香族

ジメントが

た。SARA と

行い、セジ

のなかから

セジメント

を変数取入

れたセジメ

Sediment /

7 * [VR-

656 * [VR-

38

ted R2=0.36

によってア

算されたセ

メント濃度

ト濃度は、

相関、密度

示された。

有するのは

直接的構成

。密度が負

し、アスフ

と符合する

図 6 水素化

基づき、セジ

影響を受け

性が高い場

減少すると

密度の 5 種

メント濃度

有意な説明

に影響して

時は F>2.0

メント推算式

mass%] =

-T Asphalt

-T Density

6)

アスファル

ジメント濃

との相関を

アスファル

に対して負

アスファル

、アスファ

物質と考え

の相関を有

ァルテンに

化分解反応

ジメント濃

ける可能性が

場合にはアス

考え、芳香

種のパラメー

度の推算式を

明変数のみを

ている可能性

、変数棄却

式を以下に

ene / mass

/ g cm-3]

テン濃度と

濃度と、実測

を図 7 に示す

ルテン濃度に

負の相関を有

ルテン濃度に

ァルテンがセ

えられる点で

有することに

に対する溶解

に伴う SAR

度はアスフ

があると考え

スファルテン

香族性を代表

ータを説明変

を導いた。ス

を抽出して重

性のある因子

却時は F<1.9

示す。

s%]

と密度

測され

す。セ

に対し

有する

に正の

セジメ

で妥当

については、

解性が高くな

RA 組成変化

図 7

ファルテン濃

えた。更に

ンとの親和

表する指標

変数の候補

ステップワ

重回帰式を

子を広めに

9 と、低めの

、密度が高

なるためセ

化とセジメン

7 アスファ

メント推

濃度以外にも

、SARA の各

性が高く溶

として密度

としてステ

イズ法とは

導く方法で

採択する観

の値に設定

いことは芳

ジメントが

ント生成メカ

ルテン濃度

推算値と実測

もレジン、

各濃度は同じ

溶解性が改善

度を説明変数

テップワイズ

は、多数の説

であり、今回

観点で、有意

定した。

芳香族性が高

が減少すると

カニズム

度と密度から

測値との相

芳香族、

じでも分

善するこ

数の候補

ズ重回帰

説明変数

回の解析

意判定基

高いこと

とのメカ

らのセジ

Page 5: 重質油処理における機器閉塞の機構及び対策方法の …...重質油処理における機器閉塞の機構及び対策方法の調査 (東燃ゼネラル石油株式会社)

芳香

うる因子

タにおい

明変数と

との解析

度の方が

セジ

が、推算

善の余地

と少ない

3.2

3.2.

次の

表 1

績をまと

A 原油

ことよ

も予測通

ュレー

った。D

ファウリ

低硫黄で

ことに着

逆であっ

般的性状

族性の観点

子であるが

いてはレジ

として採択

析結果であ

がより有意

メント濃度

算精度を示

地がある。推

いことが挙

機器閉塞に

1 閉塞を

特徴を持つ

・硫黄分が

・窒素分が

・アスファ

・レジン(R

に 6 種の原

とめた。こ

表 1 個別原

油と B 原油

り、A 原油は

通りであっ

ト比率が高

D 原油はア

リングと予

で低アスフ

着目して、E

った。この

状だけでは

点では、レジ

今回のモデ

ン濃度や芳

された後は

る。密度は

なパラメー

度はアスファ

す自由度調

推算精度が

げられ、今

に及ぼす原油

を起こしやす

つ原料は一般

低い

高い

ルテン(A)、

R)、ならび

原油について

こで、青部

原油の減圧残

は比較的似

は低ファウ

た。一方で

いことより

スファルテ

測したが、

ァルテンで

E 原油を高

ように、フ

説明できず

ジン濃度や芳

デルではそれ

芳香族濃度よ

はもはやレジ

は芳香族の濃

ータとなった

ァルテン濃

調整済み決定

低い原因の

今後のデータ

油の影響検

すい原油つ

般的に装置内

、ならびに

に、芳香族

ての VR の各

部はファウリ

残油留分の

似た性状だが

リング、B 原

で、C 原油~

高ファウリ

テンが少なく

実際には高

であるが、窒

ファウリン

ファウリング

ず、各原油の

芳香族濃度も

れらのパラメ

よりも密度の

ジン濃度や芳

濃度だけでは

た一因と考え

濃度と密度の

定係数(Adj

の一つは、多

タ蓄積が重要

いての一般

内で閉塞(

に、飽和分:

族:アロマテ

各種性状か

リング低、赤

の主要性状と

がアスファル

原油は高フ

~F 原油は予

リングと予測

く、他に悪影

高ファウリン

窒素濃度が

ング、F 原油

グに対する原

詳細な化学

も負の相関

メータは採

の方がより

芳香族濃度

はなく質的

えられる。

の関数にて推

justed R2)

多変量解析を

要である。

般的理解と実

ファウリン

サチュレー

ティクス(A

ら予測され

赤部はファ

と水素化分解

ルテン濃度

ァウリング

予測と実測が

測したが、

影響の要素

ングであっ

E 原油は高

を低ファウ

原油性状の

学構造に関す

を有する因

択されなか

相関が高く

を追加する

な因子も含

推算できる

は 0.36 と

を行ったデー

実績との比較

ング)しやす

ート(S) が多

) が少ない

る閉塞性向

ウリング高

解装置の熱交

が A 原油は

グと予測し、

が乖離してい

実際には低

も特になさ

た。E 原油

く F 原油は

ウリングと予

影響につい

する理解が必

因子として採

かった。今回

、かつ、密

ることの意味

含んでいるこ

可能性が示

と低めの値で

ータ点数が

すい傾向があ

多い

向とファウリ

高に対応する

交閉塞特性

は低く B 原油

ファウリン

いた。C 原油

低ファウリン

さそうなこと

油と F 原油は

は通常レベル

予測したが、

いては、包括

必要と考え

採択され

回のデー

密度が説

味は無い

ことが密

示された

であり改

40 点弱

ある

リング実

る。

油は高い

ング実績

油はサチ

ングであ

とより低

はともに

ルである

、結果は

括的な一

られる。

Page 6: 重質油処理における機器閉塞の機構及び対策方法の …...重質油処理における機器閉塞の機構及び対策方法の調査 (東燃ゼネラル石油株式会社)

3.2.

個別

油種に着

原油種

ファウ

関する

(予測

飽和分

芳香族

レジン

アスファルテ

原油

原油

原油

濃度の比

的高ファ

それほど

がある。

原油

族、レジ

データか

平均分子

分子量が

ン環が比

*) 分

2 詳細化

原油の閉塞

着目し、各

ウリングに

る特徴

測 vs 実測)

分, mass%

族, mass%

ン, mass%

テン, mass%

②、③、④

②はアスフ

③は、アス

比率が高い

ァウリング

ど高くなか

④は SARA

ジン、アスフ

から平均分

子構造を示

が大きいこ

比較的多い

子内に硫黄

子、酸素(O

化学構造解析

塞への影響解

原油の減圧

表 2

原油

予測通り

ウリング

19

53

20

6.

④のファウリ

ファルテン濃

ファルテン

ことが、低

と整理して

ったことが

組成からは

ファルテン

子構造を推

す。原油④

とが示され

という特徴

黄(S)26 原子

O)8 原子が存

原油①

析に基づく

解析を目的と

圧残油 (VR)

個別原油の

油①

り低ファ

グの原油

.7

.3

.9

3

リング傾向を

濃度が高いこ

ン濃度が比較

低ファウリン

ていた一因と

が挙げられる

は高ファウリ

それぞれに

推算し、化学

④は原油①、

れた。レジン

徴を示した。

子、窒素(N)

存在する

閉塞現象に

として、ファ

の SARA 等

の VR 留分の

原油②

予測通り高

ウリングの原

16.6

52.7

22.8

8.1

を原油①と

ことが高フ

較的低く、か

ングの原因

として、Cru

る。今後、調

リングの要因

について元素

学構造を詳細

②、③と比

ンにおいても

3 原 *)

に及ぼす原油

ァウリング

等の化学構造

の SARA 分析

ファ

原油

高フ

グ予

低フ

グ実績

の対比で考

ァウリング

かつアスフ

として考え

ude Assay

調査を継続

因は見いだ

素含有量、分

細に比較し

比較してナ

もアスファ

分子内に硫

子、酸素

油影響の考察

特性の観点

造・組成との

析結果

原油③

ファウリン

予測に反し

ファウリン

績の原油

21.1

43.3

30.5

4.4

考察する。

グの原因と推

ァルテン濃

られる。事

データにお

しデータを

されなかっ

分子量、プロ

た。図 8 に

フテン環が

ルテン同様

硫黄(S) 21

素(O)8 原子

原油②

点で表 2 に示

の関連を考

原油

低ファウ

予測に反

ァウリン

の原

21.

44.

27.

3.

推測される。

濃度に対する

事前の想定で

おけるレジン

を蓄積してい

った。そこで

ロトン NMR、

にアスファル

がより多く、

様に原油④は

原子、窒素

子が存在する

示す4原

察した。

油④

リング

反し高フ

ング実績

原油

9

3

4

2

るレジン

では比較

ン濃度が

いく必要

で、芳香

、13C NMR

ルテンの

かつ、

はナフテ

素(N)3 原

Page 7: 重質油処理における機器閉塞の機構及び対策方法の …...重質油処理における機器閉塞の機構及び対策方法の調査 (東燃ゼネラル石油株式会社)

*) 分

低フ

環数が多

造データ

3.3

3.3.

アス

高い FC

機プラン

適化に

性基材等

ている冷

試験器の

評価

蓄えられ

子内に硫黄

子、酸素(O)

ァウリング

多いという

タを分析蓄

試験装置・

1 熱交シ

ファルテン

CC スラリー

ントでは運

には至って

等の効果を

冷却熱交の

の構成を図

対象の減圧

れ、流動性

黄(S)5 原子、

)10 原子が存

原油③

グ予測に反し

化学構造上

積していく

・評価技術の

シミュレータ

ンの溶解性や

ー(FCC ター

転条件が変

いない。冷

正しく評価

温度条件を

9 に示す。

図 9

圧残油試料は

を確保する

、窒素(N)1

存在する

8 アスファ

し高ファウ

上の特異性が

ことが想定

の検討

や分散性を改

ール)等の製

変動する中、

冷却熱交を模

価でき、閉塞

を模擬しうる

熱交シミュ

は図中左下側

るためにヒー

0 原 *)

ァルテンの

リング実績

が見出された

定外の機器閉

改善すれば

製油所基材や

溶解性向上

模擬可能なラ

塞対策を効率

る熱交シミュ

ュレータの構

側に示され

ーターで加熱

分子内に硫

子、酸素

平均分子構

績を示した原

たことより

閉塞を回避

閉塞が抑制

や各種の分

上剤のみの

ラボ試験装

率的に検討

ュレータの

構成・フロ

た内容量 4

熱される。

硫黄(S)29 原

素(O)20 原子

原油④

構造

原油④は分

、今後、各

するために

制できると考

散剤が利用

効果を検証

置が実用化

できる。そ

可能性を検

ー図

4L 程度のリ

試料が試験

原子、窒素

子が存在する

分子が比較的

各原油の詳細

に必要と考え

考えられ、溶

用されている

証するのは困

化できれば、

そこで、閉塞

検討した。試

リザーバータ

験中に酸化劣

(N)5 原

的大きく

細化学構

えられる。

溶解性の

るが、実

困難で、

高溶解

塞が生じ

試作した

タンクに

劣化しな

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いようにリザーバータンクは窒素雰囲気に保たれる。試料はポンプにより、ヒーティング

ブロック No.1、No.2 に送られて所定の温度に昇温される。続くクーラーが、実機の冷却熱

交のシミュレータ部である。クーラー部は 2 重管構造となっており、内管を流れる減圧残

油試料のクーラー出口部での温度が所定の温度となるよう、外管部を流れる冷媒オイル(シ

リコーンオイル)によって冷却される。

冷却過程でのアスファルテン析出を模擬する観点では温度条件の再現が も重要であ

る。そこで、まず、実機の熱交温度を再現するための運転条件(試料流量、ヒーティング

ブロック温度、冷媒オイル温度および流量)を検討した。試行の結果、試料流量を 2L/hr

に、ヒーティングブロック No.1 温度を約 350℃に、No.2 温度を 430℃に設定するとクーラ

ー入口の試料温度を実機相当の 350℃に設定できることが判った。また、冷媒オイルの入

口温度を 160℃、流量を約 28L/hr とした場合に、クーラー出口の試料温度を実機相当の

270℃に低下させうることが判った。

実機相当の温度条件が再現できたことを受けて熱交シミュレータとしての有効性確認

試験を行った。供試試料として、実機で低ファウリング時、高ファウリング時にそれぞれ

採取された 2 種の VR-T を用いた。低ファウリング試料(セジメント濃度 0.0 mass%)にて

90 時間の連続運転を行ったがクーラー部にはセジメント析出を示唆する現象は見られな

かった。次に、高セジメント試料(セジメント濃度 0.3 mass%)での試験を実施したとこ

ろ、4 時間経過時点でポンプの送液機能が喪失するトラブルが発生した。冷却熱交部以外

の部分には加熱・保温を施しているものの、温度が比較的低いポンプにおいてアスファル

テンが析出し、チャッキ部に付着したことで、ポンプが空打ち状態になったと考えられる。

今後の装置の改良の方向性としては、装置の保温を強化する、ポンプ形式をプランジャ

ー以外の析出物耐性の高いものに交換する、あるいは、減圧残油試料を循環させる方式で

はなく減圧残油のタンク中に冷媒を通して冷却壁面にアスファルテン析出物を堆積させる

等の対応が考えらえる。

3.3.2 高真空度減圧蒸留装置

SARA モデルによるとセジメント濃度は減圧残油(VR)中の SARA 組成の影響を受ける。VR

中の SARA 濃度は VR のカット温度により変化するため。カット温度を変化させた場合の化

学組成・構造変化とセジメント濃度の変化との関係を把握することは重要である。しかし

商業運転中の実プラントではカット温度を任意に変化させることは困難であるため、常圧

換算温度 600℃のカットが可能なラボスケール高真空度減圧蒸留装置の可能性を検討した。

市販されている ASTM D1160/JIS K2254 対応の減圧蒸留装置について調査したところ、常

圧換算温度550℃~560℃のカット温度が上限であり、この時のBottom試料温度は380 ℃、

Top 試料温度は 300 ℃、真空度は 67 Pa(0.5 mmHg)程度であった。カット温度を更に上げ

ようとすると、試料温度か真空度を上げる必要があるが、温度を上げると試料の熱分解が

生じるため真空度を上げて対応する必要がある。そこで、通常のロータリーポンプに加え

てブースターポンプを追加し、排気能力を増強した減圧蒸留装置を試作し性能を確認した。

常圧残油(AR)を用いて試験をした結果、試料導入時点では 1.3 Pa(=0.01 mmHg)程度

と目標値の 6.7 Pa に比較して十分低い真空度が実現できていたが、蒸留の終盤に Bottom

試料温度が熱分解温度に達して圧力が上昇したため、常圧換算温度 600℃のカットは実現

できなかった。 終的な到達カット温度は、常圧換算温度 570℃程度(ボトム温度 380℃、

真空度 143 Pa [=1 mmHg])であった。

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試料が熱分解を生じない温度でカット温度 600℃を達成するためには、更なる高真空化

を可能とする装置の設計、特に、系内排気能力ならびに装置の密閉性の向上が必要である

ことが判った。

3.3.3 減圧残油(VR)化学組成分画装置

一般的に SARA 分析には、「JPI-5S-2S-22-83 アスファルトのカラムクロマトグラフィー

法による組成分析法」(以下、JPI 法)が利用されるが、本試験法は手作業により SARA の 4

成分を分離・分画する手法であり、およそ 2~3 日を要する。今後、多数の VR の SARA 組成

データについてセジメント濃度との相関を解析していく上では自動化・高速化が望まれる。

今回、液体クロマトグラフィーの一手法である HPLC 装置が高速・高性能の自動化分画装

置として実用に供されていることに注目し、当該装置技術を SARA 分析に適用することを検

討した。試行の結果、HPLC カラムへの試料チャージ方法とレジンの脱離方法を工夫するこ

とで、基準とする JPI 法と同等のマルテン分の分離・分画が可能となる見通しが得られた。

今後、実際の減圧残油試料を用いて、JPI 法との整合性等を検証し、重質油処理装置の

閉塞現象への対応検討に活用していくことが期待される。なお、今回の検討では SARA 分析

のうちアスファルテン分の分画操作は除外し、マルテン分(飽和分、芳香族分およびレジ

ン分の分画前混合物)の3分画操作に特化したが、今後は、アスファルテン分も含めた

SARA4 分画全てについて分離できる技術が望まれる。

3.4 重質油処理装置における閉塞トラブル発生状況、対応状況等の調査

3.4.1 重質油処理装置での閉塞トラブル発生状況

重質油の水素化分解装置である H-Oil/LC-Finer 装置においては装置の閉塞トラブルは

全装置共通の課題となっている。閉塞箇所は、中圧/低圧ホットセパレーター、常圧蒸留塔

ボトム部、減圧蒸留塔フィード加熱炉、減圧蒸留塔ボトム部、減圧蒸留ボトム冷却熱交の

各機器である。その中でも特に問題になっているのは、減圧蒸留塔ボトム部と減圧蒸留ボ

トム冷却熱交であり、それぞれの開放クリーニング頻度は、前者で数か月~1,2 年毎、後

者で数日~数週間毎となっている。

原油予熱交、Coker 加熱炉、直脱リアクター、Visbreaker ボトムプロダクト熱交、Slurry

床装置等の重質油処理装置でもファウリングやコーキングによる閉塞トラブルが発生して

いる。これらの装置でもアスファルテン析出が問題のスターティングポイントであり、

H-Oil/LC-Finer での装置閉塞と根本原因は類似している。

3.4.2 重質油処理装置における閉塞トラブル対策状況

上記の閉塞トラブルへの対応としては。過去の経験に基づいて運転条件をコントロール

することや、温度計や圧力計を充実させてファウリング状況を詳しくモニターすること、

あるいは、オンラインクリーニング設備設置により効率的なクリーニングを行う、といっ

た対症療法的な対策が主流であり、ファウリングメカニズムを解明して科学的かつ定量的

にアプローチするような対策は未確立である。

H-Oil/LC-Finer 装置では、芳香族性が高く相溶性の良い FCC プロダクトをフィードやプ

ロダクトに混合することでアスファルテンの析出を抑制する対策が古くから知られており、

FCC を持つ全ユーザーが活用しているが、現象理解は不十分であり、ユーザーによって使

用ストリーム(LCO/HCO/Slurry)や混合比率が大きく異なっている。現象理解に基づく 適

化が今後の重要な課題となっている。

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触媒メーカーは、原油産地毎に触媒構造を変更することや、リアクター毎に異なる機能

の触媒を使用してファウリングを抑制することを提案している。また、HCAT のような液体

助触媒を固体触媒と併用することで、アスファルテン分解を促進しファウリングを抑制す

る新技術も提案されており、使用するユーザーも増えてきた。

装置ライセンサーは SDA 装置でのアスファルテン除去機能を H-Oil/LC-Finer 装置と組

み合わせてファウリングを抑制することを提案し始めた。近い将来商業化される計画であ

り、効果の確認が待たれるところである。

3.4.3 機器閉塞に関する分析装置

サンプル中のアスファルテンの安定性を評価する装置として、S-Value, P-Value などが

広く用いられている。これは、貧溶剤をサンプルに徐々に添加し、析出するアスファルテ

ンを光の吸収で測定する方法であるが、溶媒を使用するバッチ式試験法のため、装置のオ

ンラインアナライザーとしては適用が困難との認識である。

Alcor HLPS 装置のようにサンプルを加熱した際のコーキング度合いを測定する装置は

存在するが、冷却過程でのアスファルテン析出を評価する熱交シミュレータは見られない。

FT-ICR-MS が開発されたことにより、重質油の構造を詳細に解析し、ファウリング解析

に活用しようという動きが近年一斉にスタートした。しかしながら、今回対象としている

VR-T のようなアスファルテンリッチな重質留分について測定された報告はみられない。

3.4.4 原油のファウリング傾向評価方法

旧 Texaco が開発した SEDEX という原油のファウリング傾向計算ツールを発展させた手

法が開発されているが、幅広い原油種に対しては精度が不足している。FT-ICR-MS が開発

されたことにより、原油の重質油の構造に対する理解が加速しており、特に、アスファル

テンの環構造に対する注目が集まっている。減圧残油水素化分解装置でファウリング性の

高い原油は Coker 加熱炉、直脱リアクター、Slurry 床装置等の重質油処理装置でもファウ

リング/コーキングの原因になっているケースが多い。

3.4.5 ファウリング予測モデル

S-Value, P-Value という安定性指標に基づくプロセスモデルが開発され、減圧残油水素

化分解実機プラントへの適用可能性が検討され始めた。

3.4.6 直脱等の他のプロセスへの対策技術の波及可能性

原油予熱交、Coker 加熱炉、直脱リアクター、Slurry 床装置等の重質油処理装置でもフ

ァウリングやコーキングによる閉塞トラブルは発生する。これらの装置でもアスファルテ

ン析出が問題の開始点であり、減圧残油水素化分解装置での装置閉塞と根本原因は類似し

ている。アスファルテンの凝集緩和に関しては、減圧残油水素化分解装置では古くから FCC

Slurry をフィードしてきた実績がある。直脱に対しても 近同様のアプローチが検討され

ており、減圧残油水素化分解装置での知見が他の重質油処理装置に展開できる一例となっ

ている。減圧残油水素化分解装置はアスファルテンの析出によるファウリングが も極端

に表れる例であり、研究対象として好適である。ここで得られた知見は、他の重質油処理

プロセスの稼働信頼性向上にも展開できる。

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4.まとめ

重質油処理装置における機器閉塞の要因を考察するとともに対策方法について調査、検

討を行い、今後の技術開発のニーズ、方向性を把握するとともに今後の課題、展開を明ら

かにすることができた。

4.1 重質油処理装置での閉塞現象に関わるデータ収集と要因検討

実機サンプルを 9 か月間収集し解析した結果、セジメントの要因を特定し数式化できる

見通しが得られ、SARA モデルに基づくセジメント予測の有効性が確認された。しかしなが

ら、今回の収集データから得られた数式モデルは精度面で改良の余地があり、今後の方向

性として、ベースデータの拡充と 新の分析技術等の活用を図っていくことが有効と考え

られる。

4.2 機器閉塞に及ぼす原油の影響検討

一般的な原油性状データを基に、機器閉塞を起こしやすい原油や、起こしにくい原油を

推測していたが、実際に処理した際の閉塞挙動と一致しないことがあった。その原因につ

いて考察した結果、原油性状に関する既往データの実態との乖離、ならびに、構成成分の

詳細化学構造に対する知見の不足が一因となっている可能性が示された。今後の方向性と

しては、個別原油の詳細データを蓄積し、機器閉塞との相関を検証していく必要がある。

4.3 試験装置・評価技術の検討

機器閉塞の機構を解明し、対策技術を検討するうえで重要な役割を果たす試験装置、評

価技術について検討した。具体的には、冷却過程でのアスファルテン析出現象を把握する

ための熱交シミュレータ、カット温度を変化させた場合の減圧残油試料を分取するための

高真空蒸留装置、減圧残油の Saturates, Aromatics, Resins, Asphaltenes(SARA)組成

を効率的に分析するための化学組成分画装置について検討し、適用可能性と今後の課題を

明らかにした。

4.4 重質油処理装置における閉塞トラブル発生状況、対応状況の調査

海外調査を実施したところ、重質油処理装置では、アスファルテン析出によるトラブル

が共通して生じていることが判った。Coker、直脱、Slurry 床等の稼働信頼性向上のため

にはアスファルテンの凝集緩和が重要であるが、対応策は未確立である。本調査研究にお

ける機器閉塞の機構と対策方法の検討方針について多数の研究者/エンジニアから支持を

得、今後の技術開発の方向性として正しいアプローチであることが確認された。

H-Oil をはじめとする減圧残油水素化分解プロセスはアスファルテンの析出による機器

閉塞が も極端に表れるプロセスである。よって、アスファルテンの凝集緩和検討におい

ては、これらの減圧残油水素化分解プロセスを対象として研究を実施するのが効果的であ

り、そこで得られた知見は、他の重質油処理プロセスの稼働信頼性向上にも展開可能と考

えられる。