大豆主要品種・育種母本への土壌病害等抵抗性の導入...rsv3, rsv4 psv...

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葉焼病 ハスモンヨトウ フクユタカ ウイルス SCN ウイルス エンレイ タチナガハ 関東136フクユタカ 茎疫病 黒根腐病 ダイズモザイクウイルス 葉焼病 ダイズシストセンチュウ 裂莢 普及・社会実装への道筋 病虫害の拡大と品種栽培地の移り変わり 土壌病害等抵抗性の導入 病虫害等複合抵抗性系統の育成 1 2 3 大豆主要品種・育種母本への土壌病害等抵抗性の導入 農研機構 次世代作物開発研究センター 気候変動対策プロジェクト研究成果発表会(平成30214日) 75 品種・素材 問い合わせ先:農研機構 次世代作物開発研究センター 南條洋平 [email protected] 気候変動にともなう土壌病害等の分布の変化と、大豆品種の栽培地の移り変 わりが相まって、各地でこれまでに発生しなかった病害等が発生するように なっています。こうした病害等に対応するため、大豆主要品種等へ土壌病害等 抵抗性を導入した新たな品種・系統の開発を進めています。 対象形質 DNAマーカー 茎疫病 Rps1 など 黒根腐病 - 葉焼病 rxp SBMV(インゲンマメ南部モザイクウイルス) Rsbmv SMV(ダイズモザイクウイルス) Rsv3, Rsv4 PSV(ラッカセイわい化ウイルス) Rpsv1 SCN(ダイズシストセンチュウ) rhg1, rhg2, Rhg4 裂莢性 pdh1 関東136フクユタカに難裂莢性、葉焼病抵抗性、 SMV抵抗性を導入した系統を育成しま した。九州、東海地域で 奨励品種決定 調査に供試 しています。 有望系統の育成 病虫害の拡大 温暖化により葉焼病やハスモンヨトウによる被害が西南暖地から 東海、さらには関東へ拡大しています。 降雨時期や降雨量の変化により広範な地域で茎疫病・黒根腐病 の発生がみられるようになっています。 気候の変化により関東・東海でウイルス病やシストセンチュウの 発生がみられるようになっています。 品種の栽培地の移り変わり 温暖化により栽培地が北上傾向にあります。 フクユタカ:九州・東海関東 エンレイ:北陸東北 タチナガハ:関東東北 主要品種等への交配による土壌病害等抵抗性の導入 DNAマーカーによる選抜をしながら連続戻し交配を行うことでフクユ タカ、エンレイ、サチユタカ、里のほほえみ、タチナガハ等へ土壌病 害等抵抗性を導入しています。 図2. 子実の外観 表1. 土壌病害等抵抗性に関連するDNAマーカー 図1.大豆における土壌病害等の様子 図3.DNAマーカーを利用した連続戻し交配による病害等抵抗性の導入 育成した有望系統は、栽培試験等による 栽培適地の選定や抵抗性の効果の検証 を経て、公立試験研究機関が実施する奨 励品種決定調査に供試するとともに、実 需者による評価を受けながら、品種化お よび普及を図っていきます。 関東136▲作交B025 -008 作交B100 -101F1 フクユタカ 作交B025 -007 ●作交B001 -014 作交B001 -013 フクユタカ 作交B001 -012 フクユタカ 作交B001 -010 フクユタカ 作交B001 -004 フクユタカ 作交B001 -003 フクユタカ 作交B001 -002 フクユタカ 作交0668 フクユタカ 作交0601 フクユタカ 作交0529 ふくいぶき 作交0106 タチナガハ ハヤヒカリ フクユタカ 作交B025 -006 フクユタカ 作交B025 -004 フクユタカ 作交B025 -002 フクユタカ 作交B025 -001 フクユタカ 作交0624 ふくいぶき フクユタカ 作交B100 -002 ▲作交B025 -008 作交B100 -001 ◆作交B001 -015 ◆作交B001 -015 作交1145 フクユタカ 作交1020 LD00-3309 作交0927 フクユタカ ●作交B001 -014 難裂莢性 SMV抵抗性 葉焼病抵抗性 DNAマーカーを利用した 連続戻し交配

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Page 1: 大豆主要品種・育種母本への土壌病害等抵抗性の導入...Rsv3, Rsv4 PSV (ラッカセイわい化ウイルス) Rpsv1 SCN (ダイズシストセンチュウ)

葉焼病ハスモンヨトウ

フクユタカ

ウイルスSCN

ウイルス

エンレイ

タチナガハ

関東136号フクユタカ

茎疫病 黒根腐病 ダイズモザイクウイルス

葉焼病 ダイズシストセンチュウ 裂莢

普及・社会実装への道筋

病虫害の拡大と品種栽培地の移り変わり 土壌病害等抵抗性の導入

病虫害等複合抵抗性系統の育成

1 2

3

大豆主要品種・育種母本への土壌病害等抵抗性の導入

農研機構 次世代作物開発研究センター

気候変動対策プロジェクト研究成果発表会(平成30年2月14日)75 品種・素材

問い合わせ先:農研機構 次世代作物開発研究センター 南條洋平 [email protected]

気候変動にともなう土壌病害等の分布の変化と、大豆品種の栽培地の移り変

わりが相まって、各地でこれまでに発生しなかった病害等が発生するように

なっています。こうした病害等に対応するため、大豆主要品種等へ土壌病害等

抵抗性を導入した新たな品種・系統の開発を進めています。

対象形質 DNAマーカー茎疫病 Rps1 など黒根腐病 -葉焼病 rxpSBMV(インゲンマメ南部モザイクウイルス) RsbmvSMV(ダイズモザイクウイルス) Rsv3, Rsv4PSV(ラッカセイわい化ウイルス) Rpsv1SCN(ダイズシストセンチュウ) rhg1, rhg2, Rhg4裂莢性 pdh1関東136号

フクユタカに難裂莢性、葉焼病抵抗性、

SMV抵抗性を導入した系統を育成しま

した。九州、東海地域で奨励品種決定

調査に供試しています。

有望系統の育成

病虫害の拡大

• 温暖化により葉焼病やハスモンヨトウによる被害が西南暖地から

東海、さらには関東へ拡大しています。

• 降雨時期や降雨量の変化により広範な地域で茎疫病・黒根腐病

の発生がみられるようになっています。

• 気候の変化により関東・東海でウイルス病やシストセンチュウの

発生がみられるようになっています。

品種の栽培地の移り変わり• 温暖化により栽培地が北上傾向にあります。

フクユタカ:九州・東海→関東

エンレイ:北陸→東北

タチナガハ:関東→東北

主要品種等への交配による土壌病害等抵抗性の導入DNAマーカーによる選抜をしながら連続戻し交配を行うことでフクユ

タカ、エンレイ、サチユタカ、里のほほえみ、タチナガハ等へ土壌病

害等抵抗性を導入しています。

図2. 子実の外観

表1. 土壌病害等抵抗性に関連するDNAマーカー

図1.大豆における土壌病害等の様子

図3.DNAマーカーを利用した連続戻し交配による病害等抵抗性の導入

育成した有望系統は、栽培試験等による

栽培適地の選定や抵抗性の効果の検証

を経て、公立試験研究機関が実施する奨

励品種決定調査に供試するとともに、実

需者による評価を受けながら、品種化お

よび普及を図っていきます。

関東136号

▲作交B025

-008

作交B100

-101F1

フクユタカ

作交B025

-007

●作交B001

-014作交B001

-013

フクユタカ

作交B001

-012

フクユタカ

作交B001

-010

フクユタカ

作交B001

-004

フクユタカ

作交B001

-003

フクユタカ

作交B001

-002

フクユタカ

作交0668

フクユタカ

作交0601

フクユタカ

作交0529

ふくいぶき

作交0106

タチナガハ

ハヤヒカリ

フクユタカ

作交B025

-006

フクユタカ

作交B025

-004

フクユタカ

作交B025

-002

フクユタカ

作交B025

-001

フクユタカ

作交0624ふくいぶき

フクユタカ

作交B100

-002

▲作交B025

-008

作交B100

-001

◆作交B001

-015

◆作交B001

-015

作交1145

フクユタカ

作交1020

LD00-3309

作交0927

フクユタカ

●作交B001

-014難裂莢性

SMV抵抗性

葉焼病抵抗性

DNAマーカーを利用した連続戻し交配