製品設計...

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SolidWorksは(米) DS SolidWorks 社の登録商標です。また、それ以外に 記載されている会社名及び商品名も各社の商標または登録商標です。こ のドキュメントに含まれる情報は、予告なく変更されることがあります。 www.solidworks.co.jp 製品設計 2014-01 樹脂製品を作る一般的な方法に射出成形という方法があります。射出成形とは金属ででき た型(金型)に溶かした樹脂を流し込み、冷却・固化させることによって製品を得る方法で、 精度の高い製品を大量に生産できることから非常に多くの分野で活用されています。 金型を作製するには高度な技術を必要とします。以前は金型内を流れる樹脂の流れは実際 に目で見ることができないため、金型づくりにおいて樹脂の流動性を考慮する場合には経 験や感覚に頼るしかありませんでした。樹脂流動解析が登場してからは金型づくりにとって 非常に有効なツールとなり、主に金型メーカーや量産成形メーカーで活用されていました。 しかし、最近では様々な部品や製品が樹脂化され、製品形状も複雑になり、製品設計の段 階から樹脂の流動性も考えた設計を行う必要となってきました。そのため、製品設計メー カーにおいても設計段階から樹脂流動解析を活 用する機会が増えてきています。 流動解析の一般的なプロセスは下記となります。 製品データから微小な R 形状や彫刻文字等の 流動解析に不必要な形状を省略または取り除く 』、 データをメッシュモデルに変換する』、 作成したメッシュデータに不具合があるかを チェックし、ある場合には修正するゲート位置や使用樹脂などの条件を入力し、 解析を実行するこれらの作業は、実際には非常に手間がかかります。特に①と③の工程はマンパワーの作 業となるため、製品設計の工程に樹脂流動解析を取り込むことは非常に難しいのが現状で す。 SOLIDWORKS Plastics ではメッシュモデルを作成する際、製品データに上記に記載した 『①:不必要な形状を取り除く』といった操作を行うことなく、きれいなメッシュモデルを作 成することができます。 また、『③:メッシュデータの不具合の有無を確認・修正する』作業についてもダイアログ 方式で行い、設計業務を煩わすことなくできることが大きな特長の一つです。 ポイント 製品データをメッシュデータに変換する際 には多少の時間を必要とします。変換にか かる時間は製品形状の大きさやメッシュの 大きさにより異なってきますが、大規模か つ複雑な形状を持つ製品データをメッシュ データに変換するには確実に非常に多くの 時間を必要とします。 また、メッシュデータ変換中は SOLIDWORKS 上で他の作業を行う事がで きません。日々の業務の中でどのタイミン グでメッシュデータを作成するのかを考え ながら作業することをお勧めします。 第1回:プラスチック部品の樹脂流動解析 基本的な解析のステップと手間のかかる注意点 豆知識 微小 R といった部分の形状も再現できています。 共通 設計者が語るポイント プラスチック部品 初級編 彫刻文字のメッシュも、メッシュ形状破綻することなく再現できています。 製作協力:株式会社アイシム http://isym.co.jp/

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SolidWorksは(米)DS SolidWorks 社の登録商標です。また、それ以外に記載されている会社名及び商品名も各社の商標または登録商標です。このドキュメントに含まれる情報は、予告なく変更されることがあります。

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製品設計 2014-01

樹脂製品を作る一般的な方法に射出成形という方法があります。射出成形とは金属でできた型(金型)に溶かした樹脂を流し込み、冷却・固化させることによって製品を得る方法で、精度の高い製品を大量に生産できることから非常に多くの分野で活用されています。

金型を作製するには高度な技術を必要とします。以前は金型内を流れる樹脂の流れは実際に目で見ることができないため、金型づくりにおいて樹脂の流動性を考慮する場合には経験や感覚に頼るしかありませんでした。樹脂流動解析が登場してからは金型づくりにとって非常に有効なツールとなり、主に金型メーカーや量産成形メーカーで活用されていました。

しかし、最近では様々な部品や製品が樹脂化され、製品形状も複雑になり、製品設計の段階から樹脂の流動性も考えた設計を行う必要となってきました。そのため、製品設計メーカーにおいても設計段階から樹脂流動解析を活用する機会が増えてきています。

流動解析の一般的なプロセスは下記となります。 『① 製品データから微小な R形状や彫刻文字等の流動解析に不必要な形状を省略または取り除く』、 『② データをメッシュモデルに変換する』、 『③ 作成したメッシュデータに不具合があるかをチェックし、ある場合には修正する』 『④ ゲート位置や使用樹脂などの条件を入力し、解析を実行する』 これらの作業は、実際には非常に手間がかかります。特に①と③の工程はマンパワーの作業となるため、製品設計の工程に樹脂流動解析を取り込むことは非常に難しいのが現状です。

SOLIDWORKS Plasticsではメッシュモデルを作成する際、製品データに上記に記載した 『①:不必要な形状を取り除く』といった操作を行うことなく、きれいなメッシュモデルを作成することができます。 また、『③:メッシュデータの不具合の有無を確認・修正する』作業についてもダイアログ方式で行い、設計業務を煩わすことなくできることが大きな特長の一つです。

ポイント

製品データをメッシュデータに変換する際には多少の時間を必要とします。変換にかかる時間は製品形状の大きさやメッシュの大きさにより異なってきますが、大規模かつ複雑な形状を持つ製品データをメッシュデータに変換するには確実に非常に多くの時間を必要とします。ま た、 メ ッ シュ デ ー タ 変 換 中 はSOLIDWORKS上で他の作業を行う事ができません。日々の業務の中でどのタイミングでメッシュデータを作成するのかを考えながら作業することをお勧めします。

第1回:プラスチック部品の樹脂流動解析~ 基本的な解析のステップと手間のかかる注意点 ~

豆知識

❶ 微小 Rといった部分の形状も再現できています。

共通 設計者が語るポイント プラスチック部品初級編

❷ 彫刻文字のメッシュも、メッシュ形状破綻することなく再現できています。 製作協力: 株式会社アイシム

http://isym.co.jp/