flow simulationで、熱伝達の課題を コストを抑...

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1 | 熱伝達の課題の解決 | www.solidworks.co.jp 概要 熱伝達問題の効果的な解決策を見出すことは、新製品開発において一段と重要になってい ます。ほぼすべての物体が何らかの熱を帯び、冷える性質を持っています。現代の電子機 器、医療機器、HVACシステムなどの多くの製品も、過熱を防ぎ、正常な機能を維持する ために、熱の管理が重要な要件になります。熱伝達問題を効果的に解決することができれ ば、そのメーカーは競争において明らかに有利です。SolidWorks ® Flow Simulationソフトウェ アなどの使いやすい流体解析アプリケーションを導入すると、非常に困難な熱伝達問題で も解決することができ、プロセスに要する時間を短縮し、コストを削減できます。 FLOW SIMULATIONで、熱伝達の課題を コストを抑えて迅速に解決する ホワイト ペーパー

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1 | 熱伝達の課題の解決 | www.solidworks.co.jp

概要

熱伝達問題の効果的な解決策を見出すことは、新製品開発において一段と重要になってい

ます。ほぼすべての物体が何らかの熱を帯び、冷える性質を持っています。現代の電子機

器、医療機器、HVACシステムなどの多くの製品も、過熱を防ぎ、正常な機能を維持するために、熱の管理が重要な要件になります。熱伝達問題を効果的に解決することができれ

ば、そのメーカーは競争において明らかに有利です。SolidWorks® Flow Simulationソフトウェアなどの使いやすい流体解析アプリケーションを導入すると、非常に困難な熱伝達問題で

も解決することができ、プロセスに要する時間を短縮し、コストを削減できます。

FLOW SIMULATIONで、熱伝達の課題をコストを抑えて迅速に解決する

ホワイト ペーパー

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2 | 熱伝達の課題の解決 | www.solidworks.co.jp

熱伝達はあらゆる場面で発生する

熱が製品性能に与える影響は、設計において常に重要な検討事項です。設計者は、環境温

度の上昇や低下が製品に与える影響や、製品自体の温度変化による影響を常に念頭に置く

必要があります。最近の傾向として、製品開発者、特に携帯電子機器、医療機器、高度な

熱、換気、空調(HVAC)システムなど、特定の製品タイプのメーカー開発者が直面する熱伝達問題が増加していることと、こうした課題がますます複雑になっていることが挙げら

れます。

従来の熱管理アプローチは、実際に試作品をテストして、温度変化の影響や構成部品間の

熱伝達による影響を測定するというものでした。実物の試作品を使って熱伝達の課題を解

決しようとする方法は、時間とコストがかかるうえ、非常に困難で、不可能な場合もしば

しばです。理由は、小型化に伴う障害や、密閉されたシステム内にセンサーを配置するこ

とが難しいためです。設計内部での熱伝達が実際にどうなっているか、十分な知識が得ら

れないという欠点を補うために、多くのエンジニアは、単純に製品を過剰設計することで

熱伝達の問題に対処しています。

しかし、現在の世界経済では、熱伝達の問題に対処するために過剰設計することは、設計

の不足によって過熱や製品の不具合が発生するケースと同じくらい競争力を低下させるこ

とになりかねません。競争が激しい今日の環境で、メーカーには、従来の試作品による方法

で熱伝達の問題に対処するのに必要となる時間とコストを受け入れる余地はありません。

さらに、設計プロセスの早い段階で熱伝達の懸念事項に効果的に対処し、把握すること

で、時間を短縮し、試作品コストを最小限に抑えて、品質を確保し、会社の成功に不可欠

な技術革新を導入することができます。数値流体力学(CFD)解析ソフトウェアは、これを実現する役に立ちます。

医療機器の開発では、エンジニアは革新的な設計を生み出す必要があり、この過程では、新しい

コンセプトの熱性能特性を評価するのに流体シミュレーションが頻繁に使用されます。

小型化がますます進む中で、電子機器製

品の設計者は複数の熱伝達の課題に対処

する必要があります。そこで効果を発揮

するのが流体シミュレーションです。

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3 | 熱伝達の課題の解決 | www.solidworks.co.jp

流体シミュレーション - 対象は航空力学だけではない

多くのエンジニアは、CFD解析アプリケーション(または流体シミュレーション)を仮想化された風のトンネルと捉えています 。エンジニアは、車両設計の航空力学を改善して空気抵抗を減らすことが流体シミュレーションの主な用途だと考えています。流体シミュレー

ションのルーツは確かに航空力学設計ですが、この技術には、熱伝達の問題を解決するた

めの大きな可能性があります。

現在、熱伝達の課題に対処するための新世代のCFDツールが登場しています。こうしたツールは、物体の移動速度を高めるために空気抵抗を減らすのではなく、熱挙動の悪影響を

受けずに製品が安全かつ安定して性能を発揮できるように、流体の流れを最適化して冷却

性能を最大限まで高めるために使用します。この車体や機体周囲の気流をシミュレートす

る技術を利用することで、製品筐体内部の気流をシミュレートして、気流が重要構成部品

の温度や性能にどのように影響するか評価することができます。

ヒート シンクによる熱管理は、特定の状況でしか効果を発揮しません。多くのメーカーは、流体ベースの冷却手法の追加を模索しています。たとえば、ヒート パイプは、熱伝導率と蒸発凝縮の相転移を組み合わせて熱を移動させます。また、熱電クーラー(TEC)は、電流を使って熱を移動させ、構成部品の冷却を十分に確保します。

流体シミュレーションでは、実物を製造する前に、こういった熱を管理するさまざまなア

プローチの実際の効果を検証することができます。製品を設計しながら、温度分布、熱流

束、気流の循環を比較できます。こうした予測と知識を得ることで、革新的な新しいコン

セプトをコストを抑えて解析することができます。流体シミュレーションは、ハイテク電

子機器、コンシューマー製品、医療機器、HVACシステム、産業用ヒーター/クーラーなど、さまざまな分野の設計が対象になります。流体シミュレーション ソフトウェアを利用することで、熱伝達問題の理解を深め、より優れたソリューションを生み出すことができ

ます。

水素は宇宙に最も豊富に存在する元素であ

り、Nuvera Fuel Cells社では、水素を新鮮で安全かつ効率的な将来のエネルギー源にするこ

とに取り組んでいます。同社は、燃料電池シ

ステムおよびプロセッサの開発で世界をリード

する企業として、驚くべき可能性を秘めた水

素動力の開拓を目指し、(実際の商業利用を伴

う)研究開発の最前線に立っています。

Nuveraは、燃料電池と水素製造システムを迅速に開発するために、SolidWorks Flow Simulationソフトウェアを活用しました。設計者はこのソフ

トウェアを使用して、水と気体の流れについて

予備的な流体解析を行いました。

「水と気体の変換プロセスは、当社の技術の

核心となります。」と、製品設計マネージャ

のAnthony Macaluso氏は説明します。「その変

換を(燃料電池スタック内にあるか、または

水素ジェネレータ内にあるかに関係なく)

できる限り効率よく実施することが、当社

の最も大きな課題です。SolidWorks(Flow)Simulationを使用すると、構成部品とシステムの設計時に物理的動作をシミュレートできる

ため、最終検証が行われる時点では、製品の

技術革新がいっそう進んでいます。」

SolidWorks Flow Simulationソフトウェアを含むSolidWorksソリューションを選択したことにより、Nuveraでは設計サイクルを25%短縮し、開発コストを33%削減し、スクラップおよび手戻りに伴うコストを20%削減し、フォークリフト車の燃料電池市場で大きなシェアを獲

得しました。

「SOLIDWORKS(FLOW SIMULATION)を使用すると、構成部品とシステムの設計時に物理的動作をシミュレートできるため、最終検証が行われる時点では、製品の技術革新がいっそう進んでいます。」

Anthony Macaluso氏製品設計マネージャ

NUVERA FUEL CELLS, INC.

お客様事例:Nuvera Fuel Cells

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電子機器から熱を除去する

製品設計では、プリント基板(PCB)と電子部品の使用がますます増加しています。コンピュータ、スマートフォン、タブレットからゲーム機、MP3プレーヤー、医療機器まで、多くの新製品は、機能を発揮するために電子部品を採用しています。PCBや電子部品からは熱が発生します。電子部品をベースとした製品を確実に開発するには、こうした熱の管

理が必要不可欠です。精密部品から熱を除去したり、流体を使用して重要な構成部品を冷

却したりする必要があります。

機械筐体内部の電子構成部品の冷却率を解析することは非常に重要ですが、実物の試作品を

使用する場合、特に、小型化へ進む傾向を考えると、これはほとんど不可能です。製品の

小型化が進み、iPod®がトランプから紙マッチ サイズにまでコンパクトになっている現在、熱伝達挙動の評価はさらに困難になり、同時に冷却性能を予測するために必要不可欠に

なっています。この情報を収集できるほど小型のセンサーは存在しません。密閉された小

型電子機器の冷却システムの性能が十分か、それとも過熱状態になるか、正確に判断でき

る唯一の方法が、流体シミュレーションです。

流体シミュレーションを導入することで、熱伝達に関する設計性能の既存の状態を評価す

るだけでなく、さらに多くの作業を行うことができます。シミュレーションの結果に基づ

いて、冷却構成部品(ファン、ヒート シンクなど)を最適化し、サイズを設定して、再構成することで、冷却性能を高めることができます。

この部分から熱を取り除くためにヒート パイプを使用するべきか? どのサイズのヒート パイプを使用するか? TECはこの設計のニーズを満たすか? ヒート シンクの性能を改善するための代替素材はあるか? こうした疑問に対して、流体シミュレーション、あるいは流体解析と熱解析の組み合わせは、正確で信頼できる回答をもたらします。

複数のPCBや複雑な熱伝達の課題の影響を受けるラック設置型の電子システムを効果的にパ

ッケージングするには、POLYRACK Tech-Groupのような企業の専門知識が必要です。ドイツ

に本社を置く同社は、電子機器業界の統合パ

ッケージング ソリューションのリーディング プロバイダです。

SolidWorks Flow Simulationを導入することで、 POLYRACKは、特定用途に合わせたカスタマイズが90%を占めるパッケージング設計において、熱伝達挙動をすばやくシミュレート

できるようになりました。シミュレーション

による予測を得ることで、POLYRACKのエンジニアは、冷却性能を高めるとともに、時間

短縮とコストの削減を達成できます。たとえ

ば、10個の異なるマザーボードを搭載するハウジングで流体シミュレーションを実行した

結果、4個の大型ファンを使用する当初の設計よりも、8個の小型ファンを使った設計の方がシステムをより効果的に冷却できることが明

らかになりました。

「鍵となるのは、電子機器を流れる冷却気流

の最適な量を確立することです。」と、開発マ

ネージャのBernd Knab氏は説明します。「ラッ ク設置システムでは、ファンの近くにある基板

が冷却気流をほぼ独占し、ラックの奥にある次

の基板に十分な気流が行き渡らないという状況

がよく起こります。SolidWorks Flow Simulationを 使用した結果、ファンの前方に穴あきの金

属プレートを設置してPCBの配置を変更することで、気流が分散され、システム全体に

均一な気流が行き渡ることが確認されまし

た。SolidWorks Flow Simulationによって、冷却システムを最適化するとともに、各プロジェク

トでの試作品の数を平均2個減らすことができました。」

SolidWorks Flow Simulationソフトウェアとエレ クトロニクスモジュールを導入することで、 POLYRACKは、開発期間を3ヶ月から2週間に短縮し、2個の試作品サイクルを省略して、新たな気流シミュレーション コンサルティング事業を生み出し、電子機器の冷却システム設

計に革新的で効果的なアプローチをもたらし

ました。

「SOLIDWORKS FLOW SIMULATIONは、生産性と効率を改善しただけではありません。このソフトウェアがなければ、熱伝達の問題にも対処できなかったでしょう。」

Bernd Knab氏開発マネージャ

POLYRACK TECH-GROUP

お客様事例:POLYRACK Tech-Group

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HVACシステムの最適化

HVAC業界では、大まかな公式と負荷予測を使用して、特定の建物のニーズを満たすシステムの容量を決めてきました。HVAC装置の性能が想定値を下回らないように、こうした予測では容量に余裕を持たせることが基本になります。つまり、HVACシステムは必要十分な容量に設定されず、業界全体として、余裕を持たせた容量を好む傾向があります。不足する

より余裕を持たせて性能を確保するという手法です。

しかし、エネルギー コストが急激に上昇し、省エネが最優先される現在、HVACベンダーは、特に環境に優しい建物要件を確立したいと考えているお客様から、具体的なニーズと

正確に容量が一致するシステムを求められています。建物のオーナーは、10,000 BTU装置で十分な性能が得られる場合に、15,000 BTU装置を運用するコストを許容しません。また、工場は必要以上のエネルギーを消費する巨大な産業用ヒーターやクーラーを受け入れない

でしょう。

HVAC企業では、システム導入の精度の引き上げが急務になっています。システムの容量がニーズに対して適切であることを顧客に証明しなければなりませんが、多くの用途を想定

した試作品を製作する余裕はありません。こうした作業はほとんどの場合コストがかかり

すぎ、現実的ではありません。こうした場面こそ、流体シミュレーション技術が役に立ち

ます。

CFD解析を使用することで、HVACサプライヤは、加熱、冷却、換気のいずれの用途であれ、あらゆるタイプの建物、工場、構造体での気流の挙動をコストを抑えてシミュレート

できます。HVAC企業は、冷却容量を正確に測定し、ニーズに対する容量を正確に判断していることを顧客に示すことができます。さらに、流体シミュレーションを使用すること

で、特定の建物や環境内での快適パラメータを計算してシステム性能を改善し、コストを

削減できます。この結果、実質的な競争上の優位性を確保できます。

石油、ガス、食品加工、排水処理、石油化学 などのプロセス産業の企業で電気プロセス ヒー ターのニーズが発生すると、Gaumer Processが先ず発注先リストに挙げられます。ヒュース トンを本拠地とする同社は、電気プロセス ヒー ター技術の開発に30年間携わり、電気プロセス ヒーター、システム、制御用の特許を複数取得しています。

Gaumer Processは、SolidWorks Flow Simulationを使用して熱伝達性能を改善しています。たと

えば、Gaumerのエンジニアは、内部バッフルの設計によって電気プロセス ヒーター内の熱伝達を強化できると考えていました。

SolidWorks Simulationツールを導入していなければ、Gaumerのエンジニアは、理論上必要以上に優れたクロスバッフル設計に取り組み、

その最適化のために試行錯誤を繰り返してい

たでしょう。このプロセスには3年かかってい

たかもしれません。しかし、SolidWorks CFDと熱解析ソフトウェアを使用してさまざまなコン

セプトでの熱伝達をシミュレートすること

で、Gaumerは最適化されたシザーバッフル設計の性能がベストであることを突き止めました。

「SolidWorks(Flow)Simulationソフトウェアを使用することで、6種類の異なるコンセプトを検討し、3ヶ月未満で最適な設計にたどり着くことができました。」と、エンジニアリング

および設計担当副社長のCraig Tiras氏は説明します。「2年分以上の開発コストを排除し、試作品コストを10万ドル削減して、熱伝達の強化で特許を取得したアイデアを生み出しまし

た。これは競合他社に打ち勝つためのメリット

になります。」

SolidWorks Flow Simulationソフトウェアを含むSolidWorks Simulationツールを導入することで、 Gaumer Processは、開発サイクルを3年から3ヶ 月に短縮し、試作品コストを 10万ドル削減し、材料費を75%削減して、システムの性能を視覚化する機能を強化できました。

「SOLIDWORKS(FLOW)SIMULATIONソフトウェアを使用することで、6種類の異なるコンセプトを検討し、3ヶ月未満で最適な設計にたどり着くことができました。2年分以上の開発コストを排除し、試作品コストを10万ドル削減して、熱伝達の強化で特許を取得したアイデアを生み出しました。これは競合他社に打ち勝つためのメリットになります。」

Craig Tiras氏、P.E.エンジニアリングおよび設計担当副社長

GAUMER PROCESS

お客様事例:Gaumer Process

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流体シミュレーションのメリットを得る

熱伝達の問題を解決するために流体シミュレーション技術を使用するメリットは明らか

で、十分な裏付けがあります。Aberdeen Groupが2008年に行った調査では、3つ以上の異なるシミュレーションを利用している企業で製作する実物の試作品の数が37%減少していることが明らかになりました。この結果を受けて、Aberdeen Groupは2011年にCFD解析限定の調査を実施し、流体シミュレーションの効果を解明しました。この調査(「Optimizing Product Development Time by Using CFD as a Design Tool(CFDを設計ツールとして使用することによる製品開発期間の最適化)」)では、開発プロセスにCFDを導入した大手企業において、開発時間が28%短縮され、製品コストが24%減少し、実物の試作品の数が23%減少するという結果が出ました。

また、流体挙動を視覚化することで、設計者やエンジニアは熱伝達問題をより深く理解で

きるようになったため、これらの企業では生産性の大幅な向上も達成しています。特に、

流体によって構成部品を冷却して熱を取り除く仕組みを理解することで、設計を最適化し

てピーク性能を保てるようになります。

設計が複雑になるほど、熱、応力、摩擦などの複数の物理的な力の影響を同時に受けるこ

とになります。この総合的な力が設計に及ぼす影響と、総合的な力に沿った流体の設計へ

の影響は直観的には把握できません。そのため、流体シミュレーションのようなシミュレー

ションアプリケーションが必要になります。

流体シミュレーション ツールを使用することで、コストのかかる試作品の製作を最小限に抑え、開発サイクルを短縮して、革新的なアプローチを、コストを抑えて研究できます。

競争に打ち勝つには、製品を差別化する方法を見つけ出す必要があります。たとえば、品

質を上げる、信頼性を高める、革新技術を導入するといったことが考えられます。流体シ

ミュレーション技術は、この3つの要素をすべて実現します。

調査データ製品挙動を評価するための電流シミュレーション プロセスを導入した大手企業による成果:

「SOLIDWORKS FLOW SIMULATIONソフトウェアを使用することで、沈殿システム設計に関するいくつかの基本的な概念の真偽を確認し、性能を飛躍的に高めて、水とスラッジの分離効率を25%改善することができました。」

Travis Kenworthy氏エンジニア

CLEARSTREAM ENVIRONMENTAL, INC.

4開発期間の短縮

28%

4製品コストの低下

24%

4実物の試作品を

23%削減

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SolidWorks Flow Simulationによって熱伝達の問題を解決する

流体シミュレーションを使用して、熱問題を短期間でコストを抑えて解決するというメリッ トを実現するには、SolidWorks Flow Simulationソフトウェアを始めとするCAD統合アプリ ケーションを選択する必要があります。熱伝達の問題は非常に複雑ですが、その問題を解

決するツールが複雑である必要はありません。SolidWorks Flow Simulationソフトウェアは、 SolidWorks設計環境内で動作し、CFD解析を使いやすく生産的なものとして提供します。

SolidWorks Flow Simulationを導入することで、優れた設計を完成させるために不可欠な流 体の流れ、熱伝達、流体力をシミュレートできます。内部と外部の流れを解析し、「あらゆ

るケースを想定した」シナリオを実行し、気流を最適化して、流体や熱伝達、および関連

する力が、流体の内外にある構成部品に与える影響をすばやく解析することができます。

設計目標を満たす最適な寸法や流体条件を特定できます。さらに、回転座標フレームを使

用してインペラーやファン動作の流体への影響を比較・評価することも可能です。

SolidWorks Flow Simulationソフトウェアでは、対流、伝導、輻射効果など、さまざまな熱現象をシミュレートできます。これらのツールは幅広い熱伝達問題の解決に役立ちますが、 2つの追加モジュールは、特定の製品設計に関連する熱伝達の評価を目的としています。それが、エレクトロニクスモジュールとHVACモジュールです。

さまざまな流体および熱伝達機能を提供する

SolidWorks Flow Simulationソフトウェアを使用することで、設計者は、さまざまな用途における製

品挙動をより明確に把握することができます。

「当社の専門知識とSOLIDWORKS(FLOW)

SIMULATIONの統合、またこのソフトウェアの持つ幅広い機能により、開発期間を半分にすることができました... 試作を何度も繰り返すので はなく、シミュレーションを使って設計を最適化することで、より高精度で高品質の製品を開発しています。」

Carel Kriek氏チーフ機械エンジニア

REUTECH RADAR SYSTEMS

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電子部品の冷却に特化したツール

どのような作業でも、特定のタスクに合わせて設計された専用のツールを使用すれば、作

業を迅速かつ容易に進めることができます。SolidWorks Flow Simulationのエレクトロニクスモジュールはまさにその一例です。専用開発されたこのCAD統合ソフトウェアは、設計で使用するPCBや電子構成部品の熱性能をテストして最適化するのに役立ちます。

この強力なモジュールでは、構成部品を移動してエア バッフルやダクトを作ることで気流を容易に最適化し、温度の上昇低下サイクルや負荷がかかっている状態での最高温度を解明

することで全体的な熱性能を検証し、PCBを冷却する気流の影響を評価することで最適なヒート シンクを選択できます。また、PCBの熱特性を分離して、構成部品の配置やヒート パイプ、放熱パッド、インタフェース素材の使用を評価し、設計の全体的な熱性能に大き

く影響する最適なファン配置を選択することもできます。

電子構成部品の筐体を開発する機械エンジニア向けに設計された業界固有のツールは、使

いやすく、卓越したシミュレーション機能を発揮します。たとえば、ジュール熱(電気伝

導体における定常状態の直流電流を計算し、熱伝達計算に自動的に使用される)、2抵抗構成部品モデル(JEDEC認証規格を使用して結果の精度を高める)、ヒート パイプ(容積の制約がある設計や熱伝導を利用した設計で冷却を得るためにこのテクニックをモデル化する

単純なアプローチ)、PCBジェネレータ(多層PCBの物理特性を判断する単純で一般的なアプローチを提供)、エンジニアリング データベース(インタフェース素材、ファン、ICパッケージ、TEC、2抵抗構成部品のライブラリを含む)などがあります。

SolidWorks Flow Simulationのエレクトロニクスモジュールにより、設計者は、構成部品の熱特

性を評価し、PCBや筐体設計の冷却要件をより正確に設定することができます。

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HVACに特化したシミュレーション

SolidWorks Flow SimulationのHVACモジュールがあれば、熱、換気、空調の用途に関連する流体シミュレーションの時間を短縮できます。この強力なCAD統合ツールを使用することで、室内や構造内の空気や気体の動きが温度分布や快適性パラメータ(「投票の予想平均値」

(PMV)や「不満の予想割合」(PPD)など)にどのように影響するかを評価し、気流を最適化して、職場や生活環境の周囲温度を制御できます。

HVACモジュールによって、屋内競技場、劇場、ショッピング モールなど、大規模施設の効率的な冷暖房システムの設計に関連する困難な課題に対処できます。このモジュールを

導入することで、大規模な環境内の気流を管理して、多数の人々が最適と感じる温度を維

持することができます。また、基本的な気流の検証に留まらず、特定の設定内での製品の

熱挙動を検証して、熱快適性を確保することができます。

また、このモジュールには、大規模なHVACシステムの開発に携わるエンジニア向けに開発された業界固有のツールも含まれています。たとえば、高度な輻射モデル(太陽からの熱

輻射の影響をシミュレートし、素材の選択が冷暖房に与える影響を把握する)、エンジニア

リング データベース(建築資材のライブラリを含む)、快適性パラメータの計算(2つの重要な快適性パラメータであるPMVまたはPPDの特定 - HVACシステムを構築して実装する前に問題のある部分を特定して解決するのに役立つ)など、使いやすく強力なシミュレーション ツールがあります。

SolidWorks Flow Simulation HVACモジュールを使用することで、設計者は、冷暖房システムによ

って居住空間に構築された熱環境を、快適性パ

ラメータの計算も含めて完全に評価できます。

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SolidWorksは、Dassault Systèmes SolidWorks Corp.の登録商標です。その他の製品名は、各社の商標または登録商標です。 ©2012 Dassault Systèmes. All rights reserved(MKFLOWPJPN0612)

本社Dassault Systèmes SolidWorks Corp.175 Wyman Street Waltham, MA 02451 USAPhone: +1-781-810-5011Email: [email protected]

日本本社

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大阪オフィス

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SolidWorks Flow Simulationによって熱伝達問題のソリューションを合理化する

熱伝達の課題は急速に身近な問題になりつつあります。これらの課題を効果的に解決する

ことは、ますます競争が激しくなる市場で成功を勝ち取るための重要な要素になっていま

す。こうした環境では、流体シミュレーション技術を利用しているメーカーが、実物の試

作品にいまだに頼っているメーカーをリードしていくことになるでしょう。流体シミュレー

ションを使用することで、熱伝達問題をより速く解決し、信頼性の高い製品を迅速に低コ

ストで市場に投入し、長期にわたって競争力を維持するために重要な革新技術を開発でき

るからです。

電子機器やコンシューマー製品、H V A Cシステムなど、あらゆる開発作業において、SolidWorks Flow Simulationソフトウェアは熱伝達問題への対応を合理化できます。使いやすいCAD統合型の業界固有ツールにより、設計の早い段階で熱管理問題に関する理解と知識を深め、設計性能を改善して、試作品コストを削減し、革新的で高品質な製品を競合

他社より速く市場に投入できます。

SolidWorks Flow Simulationソリューションで熱伝達の課題に効果的に対処し、

より良い製品を開発する方法の詳細については、www.solidworks.co.jpをご覧下さい。

SolidWorksのような統合された3次元開発プラットフォームを使用することで、未来のプ

ロセスおよびプラント設計へと出発し、新た

な生産性、効率、成長への道を切り拓くこと

ができます。