複雑性尿路感染症由来entrococcus faecalisの 臨床...
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VOL. 43 NO. 4 Enteroeoccus faecalis尿 路 感染症 の臨 床的 検討 と薬 剤感受 性 451
複 雑 性 尿 路 感 染 症 由来Entrococcus faecalisの 臨 床 的検 討 と薬 剤 感 受 性 に つ い て
石原 哲 ・安 田 満 ・多田 晃司 ・米田 尚生 ・伊藤 康久
斉藤 昭弘 ・出 口 隆 ・栗山 学 ・坂 義人 ・河田幸 道
岐阜大学泌尿器科*
他,岐 阜UTI研 究会14施 設
(平成6年11月9日 受付 ・平成7年2月10日 受理)
岐阜大学および関連施設泌尿器科で最近5年 間に見いだされたEnterococcusfaecalisに よる複雑性
尿路感染症例365例 について,分 離頻度,患 者背景等の臨床的検討を行った。 また,最 近3年 間の分離
株104株 を対象に薬剤感受性 を測定した。E.faecalisの 分離頻度 は16.6%で あった。他の代表的尿路
感染症起炎菌 と比較 して,相 対的に,入 院症例,カ テーテル留置症例,複 数菌感染 として分離 されるこ
とが多かった。 また,薬 剤感受性の検討では,ペ ニシリン系薬剤,カ ルバペネム系薬剤が良好な抗菌
力を示 し,セ フェム系薬剤では,cefmetazole, ceftazidimeは 無効であったが,cefpirome, cefluprenam
(E1077)は 優れた抗菌力を示 した。 Gentamicinに は耐性株が存在 した。ニューキノロン系薬剤 も優
れた抗菌力を示 したが,一 部耐性株が存在した。Vancomycin耐 性株は存在 しなかった。
Key word83 En!erocaccus faecalis,尿 路感染症,臨 床的検討,薬 剤感受性,抗 菌力測定
Entemocaus faeoazisは,尿 路感 染症起 因菌 と して は,複
数菌感 染 の併 存菌 と して存在 す るこ とが多 い こ と,特 異 な薬
剤感受 性 を有 し,尿 路感 染症 治療 後 の残存 菌や 交代 菌 と して
見 られ るこ とも多 い ことな ど,特 徴 のあ る菌種 で あ り,最 近
で は分 離頻度 も上 昇 してい る1～7)。
今 回,当 教室 お よび 関連 施 設 で 見 い だ され た 瓦faeoalis
による複雑性 尿路 感染 症 の臨 床 的検討 を行 っ た。 また,最 近
の新規 抗菌 剤 には本菌 へ の抗 菌力 が高 め られ た もの もあ り,
あわ せて薬剤 感受性 の検 討 を行 ったの で報告 す る。
1.対 象 と 方 法
臨 床 的 検 討 は,1988年 か ら1992年 に,岐 阜 大 学 お よ
び関 連 施 設 泌 尿 器 科 で構 成 され る 岐 阜UTI研 究 会 で 集
積 し た,複 雑 性 尿 路 感 染 症 例2,200症 例 の う ち,亙
fzecalisが 分 離 さ れ た365例 を 対 象 と し,患 者 条 件,基
礎 疾 患,分 離状 況 な どの 背 景 因 子 を検 討 した 。 なお,菌
数 が104CFU/ml以 上(複 雑 菌 感 染 の場 合 は総 菌 数 と し
て)か つ 膿 尿 が5コ/hpf以 上 の 症 例 に 限 定 し,各 年 毎
に1症 例1感 染 と して集 計 した 。 ま た,同 様 の 条 件 で 分
離 され た他 菌 種 の うち,分 離 頻 度 の高 か っ たSt砂 勿1o-
coccus aureus 126例, Staphylococcus epidermidis
119例,Escherichiacoli621例,Klebsieliapneumoniae
143例,Citrobacyer freumiii 85例,Pseudomonas aeru-
ginosa 287例 の6菌 種 に つ い て も同 様 に 背 景 因 子 を 比
較 し た。
薬 剤 感 受 性 は,1990年 か ら1992年 に 集 積 し たE
/aecalis104株 を対 象 に,本 学 会 標 準 法8)に 従 いMICを
測 定 し た。 平 板 希 釈 法 を用 い,接 種 菌 量 は106CFU/ml
と した 。 検 討 薬 剤 は,ampicillin(ABPC)[明 治 製 菓(株)]
piperacillin(PIPC)[富 山 化 学 工 業(株)],cefmetazole
(CMZ)[三 共(株)],ceftazidime(CAZ)[日 本 グ ラ ク ソ
(株)], cefpirome(CPR)[日 本 ル セ ル(株)〕,cefluprenam
(CFLP,E1077)[エ ー ザ イ(株)],imipenem(IPM)[萬
有 製 薬(株)],panipenem(PAPM)[三 共(株)],gentami-
cin(GM)[シ ェ リ ン グ ・ プ ラ ウ(株)],vancomycin
(VCM)[塩 野 義 製 薬(株)],ofloxacin(OFLX)[第 一 製
薬(株)],sparnoxacin(SPFX)[大 日本 製 薬(株)],DU-
6859a[第 一 製 薬(株)]で あ り,そ れ ぞ れ[]内 の 各 社
か ら原 宋 の 提 供 を受 け た 。
II. 結 果
1. 臨 床 的 検 討
5年 間 の 検 討 で,腸 球 菌 属 は合 計389症 例 で 分 離 され
た。 この な か の 内訳 はE.faecalisが365例93.8%,E.
faeciumが19例4.9%,Eaviumが5例1.3%で あ り,
後 者 の2菌 種 の 頻 度 は 低 か っ た 。 全 症 例 に 占 め るE,
faecalisの 頻 度 は16.6%で あ っ た が,5年 間 に一 定 し た
変 動 はな か っ た。(Fig.1)。
患 者 背 景 を検 討 し た 結 果 で は,ま ず,男 女 比 で は,
E.faecalisが 分 離 され た365症 例 中72.1%が 男 性 症 例,
27.9%が 女 性 症 例 由 来 で あ っ た 。 他 の6菌 種 の な か で,
唯一 女 性 の比 率 が 高 か っ た菌 種 が 瓦coliの57.6%で,
E力malisを 含 む グ ラ ム 陽性 球 菌 とP.aerugilnosaは 男
性 が70～80%を し め た(Fig.2)。E.fae`alis分 離 症 例
の 平 均 年 齢 は68.8歳 で あ っ た が,他 菌 種 と大 きな 差 は
な か っ た。
外 来 ・入 院 別 で は,全7菌 種 の 平 均 で は外 来 症 例 が
83.5%,入 院 症 例 が16.5%で あ っ た が,Efaecalisが
*岐 阜市司町40
452 日本 化 学 療 法 学 会 雑 誌 APR, 1995
Fig. 1. Frequency of Enterococcus species from complica-ted UTI, 1988-1992.
*the number of Enterococcus species/the number ofcases with complicated UTI.
Fig. 2. Epidemiologic characteristics of 7 major urinaryisolates. 1. Sex.*the number of each strain isolated .
分 離 され た 症 例 で は77.9%が 外 来 症 例,22.1%が 入 院
症 例 由 来 で あ り,入 院 症 例 の比 率 が 高 か った 。 外 来 症 例
の 占 め る率 が もっ と も高 か っ た の はE.coliで あ り,逆
に 入 院 症 例 の 占 め る率 が 高 か っ た の がC.freundii.P.
aeruginosaで,E.faecalisは これ ら につ い で いた(Fig.
3)。E.faecalisが 分 離 さ れ た 症 例 の う ち,カ テ ー テ ル
留 置 症 例 は28.4%で,こ れ も全7菌 種 の 平 均 で あ る
23.3%よ り高 か っ た。 カ テ ー テ ル の 留 置 率 が 高 か っ た の
がS.aureus,P,aeruginosaに お い て で あ り,低 か っ
た のがE.coli,S.epidermidisに お いて で あ っ た(Fig.
4)。 感 染 形 態 と して 腎 盂 腎 炎 と膀 胱 炎 の 比 に は,特 に菌
種 に よ る差 を認 め なか っ た。
E.faecalisの 単 独 菌 感 染 で あ っ た症 例 は63.6%で,
残 り36.4%が 複 数 菌 感 染 で あ っ た 。 複 数 菌 感 染 の比 率
は 全7菌 種 の 平 均 で あ る27.2%よ り約1割 高 か っ た
(Fig.5)。 同 時 に 分 離 さ れ た 菌 株 と して は,P.aerugi-
nosa,S.aureus,E.coliが 多 か っ た 。
複 雑 性 尿 路 感 染 症 の 基 礎 疾 患 と して 多 か っ た の は,前
立 腺 肥 大 症123例,神 経 因 性 膀 胱112例,前 立 腺 癌38
Fig. 3 Epidemiologic characteristics of 7 major urinaryisolates. 2. Out-/In-patients.the number of each strain isolated.
Fig. 4. Epidemiologic characteristics of 7 major urinaryisolates. 3. Catheter indwelling.the number of each strain isolated.
Fig. 5. Epidemiologic characteristics of 7 major urinaryisolates. 4. Number of organisms.*the number of each strain isolated .
例,膀 胱腫瘍30例 の順であった。
2.薬 剤感受性
MICの 測 定結果 をTable1に 示 す。ABPC,PIPC
では一峰性の分布を示し,両 者 ともすぐれたMICを 示
VOL.43 NO. 4 Enterococcus faecalis 尿路感染症の臨床的検討と薬剤感受性 453
Table 1. MICs of 13 antibiotics against clinically isolated
Enterococcus faccalis
Fig. 6. Distribution of MICs of ampicillin and pipera-cillin against clinically isolated Enterococcus
faecalis.
し た(Fig.6)。CMZとCAZは ほ と ん ど 全 株 が100
μg/ml以 上 で,抗 菌 活 性 は認 め られ な か っ た 。CPRの
MIC50/MICgoは12.5μg/m1,25４9/mlで,CFLP(E
1077)のMIC50/MICgoは3.13μg/ml,12.5μg/mlと
さ ら に2管 ほ ど優 れ て お り,こ れ ら は,セ フ ェ ム 系薬 剤
で あ りな が ら,E.faecalisに 対 し,優 れ た 抗 菌 活 性 を
有 し て い た(Fig.7)。 カ ル バ ペ ネ ム 系 薬 剤 で は2薬 剤
と も さ ら に良 好 な抗 菌 活 性 を示 した。(Fig.8)。
GMに は耐 性 株 が 約2割 存 在 し,二 峰 性 の 分 布 を示 し
た。VCMはMICの 幅 が検 討 薬 剤 中 もっ と も狭 く,MIC5。
は,1.56μg/m1で,全 株 が3.13μg/ml以 下 に 分 布 し,
耐 性 株 は存 在 しな か っ た。
ニ ュ ー キ ノ ロ ン系3薬 剤 で は,DU-6859a,SPFX,
OFLXの 順 に抗 菌 力 が 優 れ て お り,3薬 剤 の い ず れ に
お い て も二 峰 性 の 分 布 を示 し,耐 性 株 が 約2割 存 在 し,
薬 剤 間 に は交 差 耐 性 が み られ た(Fig.9)。 これ ら に 感
受 性 の株 の 群 と耐 性 の株 の 群 に つ い て,背 景 因 子 を検 討
した が特 に差 異 を見 い だ す こ とは で きな か っ た。
Fig. 7. Distribution of MICs of 4 cephems againstclinically isolated Enterococcus faecalis.
Fig. 8. Distribution of MICs of imipenem and panipenemagainst clinically isolated Enterococcus faecalis.
Fig. 9. Distribution of MICs of 3 newer quinolones
against clinically isolated Enterococcus faecalis.
MIC50,MIC90の レー ダ ー チ ャ ー トをFig.10に 示 し
た。 以 上 で 述 べ た よ う に,ペ ニ シ リン系 薬 剤,カ ルバ ペ
ネ ム 系 薬 剤,VCMが 良 好 な抗 菌 力 を示 し,一 部 の新 し
い セ フ ェム 系 薬 剤 も有効 で あ っ た 。 ニ ュ ー キ ノ ロ ン系 薬
454 日本 化 学 療 法 学 会 雑 誌 APR, 1995
ABPC: ampicillin, PIPC: piperacillin, CMZ: cefmetazole,
CAZ: ceftazidime, CPR: cefpirome, CFLP: cefluprenam,
IPM: imipenem, PAPM: panipenem, GM: gentamicin,
VCM: vancomycin, OFLX: ofloxacin, SPFX: sparfloxacin
Fig. 10. Radar chart of MIC50 and MIC90 againstclinically isolated Enterococcus faiecalis.
剤 も有効 であるが,耐 性株が存在するため,MIC50と
MIC90の 間が開いた。
III. 考 察
E.faenlisを はじめ とする腸球菌属 は最近では尿路
から分離 されるグラム陽性球菌のなかでもっとも頻度の
高い菌種 となっている。報告により若干の相違 はある
が,単 純性尿路感染症では分離頻度 は,毎 年数%と 一定
で増加 はな く,複 雑性尿路感染症での増加が著しい。尿
路由来の腸球菌属について統計的観察は1971年 の熊澤
ら9)の報告以降,度 々行われている鍋10～13)。これらによ
ると集計方法の相違はあるものの,尿 路感染症全体にお
ける腸球菌属の分離頻度 は,お おむね1970年 代 は10%
弱,1980年 代以降 は10～20%と い う報告が多い。今回
の我々の検討では16.6%と いう頻度であった。複数 の
施設からの集計で,5年 間 という短期間であったため,
変動の傾向ははっきりしなかったが,当 教室単独の集計
では,1983～1986年 は10%前 後であった ものの,そ の
後増加 し,最 近 は20%前 後 に達 している14,15)。なお,
E.faecalis以 外の腸球菌属 のうち,尿 路 から分離 され
るE.faecium,E.aviumの 頻度は,今 回の検討では低
かったが,施 設によってはE.faeciumの 頻度が増加 し
ている報告も見 られる16)。
E.faeoalisは もとより腸内細菌叢 の一部 を構成 し,
通常 は病原性 は低い とされる。尿路感染症 においては,一般に複数菌感染の一菌種 として分離されることが多い
ことや,尿 路への定着性が低 く,基 礎疾患の除去により
自然消失が見 られることなどもあって,尿 路における病
原的 意義 は少 な い と考 え られて きた。 しか し,瓦
faenlisの 単独感染例で も膿尿 の陽性率が高いこと2),
抗菌剤で治療 を行 うと腸球菌の残存 ・消失 と膿尿の不
変 ・改善が平行することなど1)から,尿 路に対 して何 ら
かの病原的意義はあるものと考えられ る。尿路における
病原性については種々の実験が行われ,特 にcompro-
mized hostに おいてはopportmistic pathogenと して
認め られている8,17～10)。
なお,E.faecalis尿 路感染症が院内感染 として問題
となることは少ない。綿密な追跡用査により,尿 路感染
症でのE.faeoalisの 交差感染には否定的な見解を述べ
る報告 もみられる20)。しかし,尿 路から菌血症 を発症 し
うること20,21),さらには耐性菌による心内膜炎の院内感
染が特 に欧米では報告 されていることとあいまって,
E.faecalis尿 路感染症 を,将 来問題 とな りうる院内感
染 として認識 してお く必要はあるもの と思われる。
E.faecalis尿 路感染症 の患者背景,感 染形態な どの
検討 もたびたび行われている2～6,12)。これ らをまとめる
と,(1)何 らかの基礎疾患のある複雑性尿路感染症が圧倒
的に多い,(2)他 菌種 と比較 して相対的に入院患者に多
い,(3)同 じく複数菌感染の形を取ることが多い,(4)カ テ
ーテル留置症例に多い,(5)直 前に抗菌剤を使用 した例に
多い,(6)急 性症状を呈することは少ない,(7)compro-
mized hostに おいて時 として問題 となる,な どである。
後3者 については今回は検討を行っていないが,他 の項
目について,我 々の結果 もこれらと一致 した。
今回の検討では新 しい方法 として,上 記の事項につい
て,尿 路感染症の代表的起炎菌6菌 種 と比較するという
方法を採 ってみた。 これはE.faecalis尿 路感染症の特
徴をよりきわだたせるのではないかと考 えたか らである
が,Fig.2か ら5に 示 したように,E.fbecalisで 特に
平均 から逸脱 したり特徴的 と認め られた結果はなか っ
た。なお,こ れ らの図か ら,多 くの点でE.coliとP.
aeruginosaが 両極端 に位置す ることが読み取れ るが,
E.fbeoalisは 比較的P.aeruginosaの 近 くに位置 してお
り,P.aeruginosaと 似た分離状況 をとることが多いと
いうことが浮かび上がって くる。複数菌感染の同時分離
菌 の検 討 を行 ってみ たがE.faecalisとP.aeruginosa
が同時に検出されることが多い。すなわち,E.faecalis
が分離された場合の相手菌にP.aerugilnosaが もっとも
多 く,逆 にP.aerugiuosaが 分離 された場合の相手菌に
もE.faecalisが もっ とも多いが,こ の結果 も上記の考
えと矛盾しない。
E.faecalisが 分離 された場合に治療が必要であ るこ
とには,肯 定的な意見がほとんどである。 これは前述の
ように病原性があると考えられることや,院 内感染の起
因菌の可能性があることな どがその根拠 と思われ る。
E.faecalisは 抗菌剤 に対 し,特 異な感受性パター ンを
有す。古 くはアミノ配糖体系薬剤に対する感受性が低い
ことが指摘されていた9,10,12)が,現在,問 題 となるのは
セフェム系薬剤 に対する感受性が低い ことで,こ れが
E.faenlisの 分離頻度の上昇 と密接 に関連 しているこ
VOL.43 NO.4 Enterococcus faecalis尿 路感 染症 の臨床 的検 討 と薬剤 感受 性 455
とは広 く認め られていることであろう3-e)。
ペニシ リン系薬剤,カ ルバペネム系薬剤 には良好な感
受性を示 し,今 回の検討では耐性株は少なかった。既存
のセフェム系薬剤にはほとんど感受性 を示 さなかった
が,最 近 開発 されたセ フェム系薬剤 の なか にはE
ルeoali科こ抗菌力 を示すものが見 られる。今回検討 した
CPRはMIC50・MIC90が 各々12.5μg/ml,25μg/ml,
CFLPはMIC50,MIC90が 各 々3.13μg/ml、12,5μg/
mlと 優れ てお り,セ フェム系薬 剤で あ りなが らE
faecalis尿路感染症に十分な効果が期待できる。
ニューキノロン系薬剤にはよい感受性を示す ものの,
交差耐性 を示す耐性株が存在 した。MIC分 布は新 し く
開発 された薬 剤ほど感性側に平行移動 してお り,DU-
6859aのMICは もっとも高い値 でもたかだか1.56μg/
mlと 優れてお り,臨 床で効果を期待で きるもの と思わ
れる。
我が国ではEfaeoalis尿 路感染症にVCMを 使用す
ることは少ない と思われるが、欧米 ではVCMに 対す
る高度耐性株が出現 している22)。今回,出 現が危倶され
たが,VCM耐 性株 は存在せず,MICの 分布 は0.78～
3.13μg/mlと 狭 い範囲 に集 中 してお り,永 田 らの報
告23)と同等の優れた成績であった。 しか し,近 い将来,
我が国で もVCMに 対する高度耐性株が問題 となって
くる可能性があ り,注 意が必要 と思われ る。
謝 辞
症例を呈示し,菌 株を分与 していただいた関連施設各
泌尿器科代表者名 を以下に記 し,謝 辞に代えさせていた
だきます。
県立岐阜病院:酒 井俊助,県 立下呂温泉病院:小 出卓也,
岐阜市民病院:土 井達朗,大 垣市民病院:磯 貝和俊,羽 島
市民病院:兼松 稔,彦 根市立病院:松 田聖士,岐 阜赤十
字病院:藤 広 茂,長 浜赤十字病院:鄭 漢彬,高 山赤十
字病院:篠 田育男,厚 生連揖斐総合病院:伊藤文雄,ト ヨ
タ記念病院:前 田真一,木 沢記念病院:小 林 覚,松 波総
合病院:長 谷川義和,平 野総合病院:徳 山宏基
文 献
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1956, 1989
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456 日 本 化 学 療 法 学 会 雑 誌 APR.1995
Clinical studies and antibiotic sensitivities of Enterococcus faecalis isolated
from complicated urinary tract infection
Satoshi Ishihara, Mitsuru Yasuda, Kouji Tada, Hisao Komeda,Yasuhisa Ito, Akihiro Saito, Takashi Deguchi, Manabu Kuriyama,
Yoshihito Ban and Yukimichi KawadaDepartment of Urology, Gifu University, School of Medicine, 40, Tsukasa-machi, Gifu 500, Japan,
and 14 Members of the Gifu UT! Research Group
We studied the epidemiologic characteristics of Enterococcus faecalis isolated from complicatedurinary tract infection. In addition, isolates in the recent 3 years were tested for antibioticsensitivity. The incidence of E. faecalis infection was 16.6%. The incidence was relatively higherin hospitalized patients, in patients with indwelling catheter and in polymicrobial infection, incomparison with other major urinary isolates. The majority of the isolates were sensitive toampicillin, piperacillin, imipenem and panipenem. Among cephems, they were highly resistant tocefmetazole and ceftazidime, but were sensitive to the newer cephems, cefpirome and cefluprenam(E 1077). Some isolates were resistant to gentamicin and 3 new quinolones tested. All isolateswere sensitive to vancomycin.