高齢者の自立を支援し 安全安心社会を実現する自律...

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1 高齢者の自立を支援し 安全安心社会を実現する自律運転知能システム 【16年度体制】 ・神奈川工科大学 創造工学部 V科 教授 井上秀雄(プロジェクトマネージャー/兼 研究リーダ) ・トヨタ自動車(株) 未来研究部 主査 水越雅司(開発リーダ) ・(財)日本自動車研究所 所長 永井正夫 ・東京大学 高齢社会総合研究機構 教授 鎌田 ・東京農工大 機械システム工学専攻 准教授 ポンサトーン ラクシンチャラーンサク ・(株)豊田中央研究所 PM 清水 ビジョン: モビリティが創り出す明るくアクティブな高齢者社会 仕事も遊びも、こころは現役。高齢者を元気にするモビリティ 20160908_Sイノベシンポジウム

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1

高齢者の自立を支援し

安全安心社会を実現する自律運転知能システム

【16年度体制】

・神奈川工科大学 創造工学部 V科 教授 井上秀雄(プロジェクトマネージャー/兼 研究リーダ)・トヨタ自動車(株) 未来研究部 主査 水越雅司(開発リーダ)・(財)日本自動車研究所 所長 永井正夫・東京大学 高齢社会総合研究機構 教授 鎌田 実・東京農工大 機械システム工学専攻 准教授 ポンサトーン ラクシンチャラーンサク・(株)豊田中央研究所 PM 清水 司

ビジョン: モビリティが創り出す明るくアクティブな高齢者社会

仕事も遊びも、こころは現役。高齢者を元気にするモビリティ

20160908_Sイノベシンポジウム

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背景;高齢ドライバ事故の動向

平成に入ってから約20年間で、65歳以上の高齢者が第一当事者となる事故が、

約4.6倍となっている

加害者としての高齢者対策が必要

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3

本プロジェクトの狙いと特徴

知能化レベル

人間との協調レベル S‐イノベ

Proj.

自動運転 完全自動?

現在運転支援

人と車が協調して

安全にしていく方向

が狙い

協調運転(Shared Control)

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運転知能:Driving Intelligence

高齢者の運転寿命の延伸→運転したい、移動ニーズに対する「運転能力低下の不安」の解消

ヒトの潜在能力を引きだす技術へ

→熟練ドライバの能力を機械に反映し、高齢者を元気にする人間・機械協調システムへ

高齢ドライバに対する協調運転の考え方

Com

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10msec100msec1sec10sec

被害軽減PCS衝突回避PCS

車載センサ認識

①どう運転するかを決める

センサーの高性能化

知覚・認知・判断アルゴリズム革新

知識・経験情報(機械学習)/外部情報(地図,V2X)

300 200 100

20

100

交差点・横断歩道

渋滞末尾

路面μ

車両速度

前方距離

60

先読み

道路形状規制情報

Km/h

m 合流

道路勾配停止車両

車両軌跡

安全運転の考え方;熟練ドライバーの先読み運転

・熟練ドライバ = 潜在リスクを先読みし,減速操作や操舵回避をする

5sec

②潜在リスクを読む ③緊急回避

事故発生

熟練ドライバーの

情報取得/知識・経験

に近づける

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計画と進捗概要

ステージⅡ:システムとプロトタイプ車両の開発⇒公道評価を可能にする

ステージⅢ:公道実証(FOT)による受容性評価~システム改良を実施し,実用化へ移行

ステージⅡ ステージⅢシステムとプロトタイプ車両の開発 公道実証

リーンなセンサシステムでの環境認識の実現

・カメラを中心としたセンサ構成

・ADAS Horizon(ナビ地図の高度化)利用

衝突速度フィールドを用いた最適軌道生成モデル

・様々な場面で活用可能な潜在リスク予測

・ドライバモデルの実現プロトタイプ車両の開発

・模擬市街路での機能検証

プロトタイプ車両:N台製作

高齢者による様々な場所・条件での検証

・効果検証

・受容性検証人間機械協調制御の実現

・予見的制動・操舵介入制御開発・評価

・動的表示の開発・効果評価

・操舵誘導トルク制御の開発・受容性評価

社会レベルでの受容性評価

・学会・シンポジウムの発信による認知活動

社会レベルでの受容性評価

・FOTとともに認知活動の強化

FOTの実施

2016 2017 20192013 2014 2015 2018

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②人間機械協調技術①潜在リスク予測技術③走行環境認識技術

(リーン地図利用)

自律運転知能システムの構造

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1.リスク予測技術

2.シェアードコントロール

3.リーン地図利用の環境認識

4.開発環境と人材育成

5.フェーズⅢ計画概要

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潜在リスク予測モデル:熟練ドライバモデル、障害物移動予測、危険予知、リスクポテンシャル

リスクポテンシャルの等高線図(駐車車両を避ける経路・速度パターンの生成アルゴリズム)

遮蔽物から歩行者・自転車が出てくるかもしれないと予測し、安全速度で通過する

自律運転知能システムを設計

リスク高

リスク低

実際のヒヤリハットデータ映像

運転リスク予測制御技術 ( Risk predictive driving control )

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No pedestrian appears

(2) Risk potential based control

Pedestrian appears from

behind the parked car

(2)+(3) Emergency avoidance

(1) Normal driving control of longitudinal and lateral dynamics,

i.e., car following and path tracking

(2) Risk potential based control including hazard anticipation to minimize collision risk

(3) Emergency avoidance control by braking and steering

Anticipatory driving intelligence is demonstrated using a Toyota Prius as shown below.

潜在リスク予測モデルでのプロトタイプ車の動作事例

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■ 見通しの悪い無信号交差点 (急な飛び出しに備えて)

■ 歩行者・自転車追い越しシーン (急横断するリスクに備えて)

歩行者・自転車

潜在リスク予測ドライバモデルの拡張性

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潜在リスクポテンシャルの階層構造

Waypoints

Normal

Driving

(通常運転)

(コーストレース・交差点進入)

Course

Intersection

Ref. driving

course

Parked vehicle Pedestrian

Occluded object

Risk Predictive

Driving

(かもしれない運転)

潜在リスクポテンシャル

顕在リスクポテンシャル

基本走行ポテンシャル

ヒヤリ・ハットDB オントロジー

データ駆動型AIシーン予測

ヒヤリ重み係数

(先方車追従・駐車車両回避・歩行者追い越し)

(歩行者飛び出し)

地図情報 認識情報

①規範ドライバのコース取りを再現する基本走行ポテンシャル

②データ駆動型AIシーン予測に連動した顕在・潜在リスクポテンシャル

to 運動最適化計算部

仮想対象物

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リスク予測制御ロジックの作動方法

Way-points

ポテンシャル演算範囲 80m以上 (waypoints 400個,認識情報)

・・・・・・ ・・・・・・・・・・・

運動最適化計算範囲 20m程度@50km/h

①常時80m先の基本走行コースを作りながら走行

②80m先までのコース状況をポテンシャル演算(10ms連続演算)

③20m先までのポテンシャルに対して,運動の最適化計算(目標舵角)を実施

地図データ

Host Vehicle

STEREO CAMERA

・対向車、停車車両

・レーン検出

・停止パターン

・歩行者、自転車CAMERA(後方)

・路面標識(一部)

CAMERA(広域)

・交差点歩行者検出

80m以上

20~30m20~30m

ミリ波Radar

・隣接車両監視

・交差点鼻出し検出

4-layer LIDAR

・縁石、ガードレール

・停止パターンのバックアップ

Parking Vehicle

・・・・・・・・・・・・・・・・

全体

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1sから2s先の最適経路を探索する運動最適化制御

yN

j

pyyypyyypytyy γrjiYjiXUiJ1

2,,,

yy iJp

min

時々刻々のポテンシャル変化に対応

⇒多点探索型規範ヨーレート決定法

ポテンシャル最小 運転の滑らかさ

リスクポテンシャル 規範ドライバモデルの経路計画手法

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200

-1

0

1

2

3

4

Longitudinal Displacement X[m]

Lat

era

l Dis

plac

em

ent Y[m

]

jy=1jy=2

iy=1

iy=2

駐車車両

10msの連続演算で,安全で滑らかな最適経路を探索

規範ヨーレート

評価関数

X

Y

規範軌跡

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15

2

_

1

( ) ( ( , ))x

x

N

x x ped p x x x x

j

J M U X i j ra

*( ) minx

x xa

a t J

ObstacleY

pedY

finX

X

pedX

Pedestrian

Collision

point

passY

d

minV

pedV

l

XeX

Braking start

distancemaxl

pedU

stX

Braking finish

distance

ofX

*X

pedX

速度計画: 目標減速度算出部

将来軌跡におけるリスク 加減速度の強さ

目標減速度

1sから2s先の最適経路を探索する運動最適化制御

_ (0)p xt _ ( )p x xt N

X

No brake

Mild brake

Hard brake

仮想歩行者(飛び出してくるかもしれない)に対するリスクポテンシャル:ばねモデル

2max2

1)( llkXU pedped

衝突リスクと加減速の大きさを考慮した評価関数

評価関数を最小化する目標減速度を時々刻々探索する.

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リスクポテンシャルによる経路計画と運動制御

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1.リスク予測技術

2.シェアードコントロール

3.リーン地図利用の環境認識

4.開発環境と人材育成

5.フェーズⅢ計画概要

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シェアード・コントロール

熟練ドライバモデルによる規範運転

高齢ドライバKa

規範ステア角 dsw* 実ステア角dsw

ステア反力

なるほど!

ここはこうだ!

0 20 40 60 80 100 120 140 160 180 200

-1

0

1

2

3

4

Longitudinal Displacement X[m]

Lat

era

l Dis

plac

em

ent Y[m

] Parking vehicle

Elderly driver

Expert driver

熟練ドライバによる機械運転

(先読み運転,危険予知)

高齢ドライバ(運転者の状態を反映)

運転特性(反応速度,等) 生理状態(疲れ、居眠り等)

交通環境

Haptic Shared Control

支援量調整機構

ステア反力+

-

運転知能規範ステア角dsw

*

実ステア角dsw

Ka

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駐車車両回避シーン ドライビングシミュレータ実験条件

Parking Vehicle A Parking Vehicle B Parking Vehicle C

3.8 mX

Y

V=40km/h

(Constant)200m

Host vehicle

高齢ドライバ (13名 平均71歳,男女)

3台の駐車車両回避 (同条件)

規範教示は,ステアリングによる操舵反力制御のみ

能動的な操舵反力制御によって,安全で滑らかな規範運転に導かれるのか

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20

-3

-2

-1

0

Ypass

[m]

Trajectory X[m]-3.5

-2.5

-1.5

-0.5

0.5

0 100 200 300 400 500 600

Tra

ject

ory

Y[m

]

実験結果(ドライバC:年齢:66歳,運転頻度:月20回)

非制御

操舵反力制御

規範ドライバ

操舵反力制御によって,安全な走行コースを安定して走れる

1台目 2台目 3台目 1台目 2台目 3台目

非制御 操舵反力制御

車両軌跡

[m]

駐車車両通過時の

側方間隔 [m]

規範ドライバ

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21

0

0.2

0.4

0.6

0.8

1

τ n[s

]

Without control Steering control

A B C D E F G H I J Ave.K L M

ドライバモデル同定結果

Visualトルク一次遅れ時定数

τv [s]

≒100ms

能動的な操舵反力トルクTaによって,操舵の遅れτvを補償

ah

h

offsetpcd

v

estd TKsτ

yψVTyyHsτ

T1

1

1

1_

Visualトルク Hapticトルク

Driver model

実験データ

ドライバトルク Td

車両軌跡 Yc

車速 V

操舵反力トルク Ta

内部パラメータ

一次遅れ時定数 τv , τh

ゲイン H, Kh

前方注視時間 Tp

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22

アンケート結果(高齢ドライバ13名)

有効でない

有効である

(※)

Q:支援は有効か?

(※)うち2名は,操舵反力トルクが感じにくいと評価

操舵反力制御によるHaptic Shared Controlは有効

Q:能動的な操舵反力トルクは感じられたか?

感じにくい

感じやすい

・ステアリングを切るタイミングが判かり良かった.

・3台とも同じような回避運転ができた.

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23

1.0 1.2 1.4 1.6 1.8 2.0

0

10

20

30

40

50

ypass

vm

inw/o

with assist

かもしれない減速制御の効果

Min

imu

m v

elo

city

[k

m/h

]

Lateral distance [m]

シミュレータ実験の結果

規範速度

1.0 1.2 1.4 1.6 1.8 2.0

0

10

20

30

40

50

ypass

vm

in

elderly data

テストコース実験の結果

Min

imu

m v

elo

city

[k

m/h

]

Lateral distance [m]

衝突可能性がある領域(要支援) 人の不安全行動を補完するように

規範速度に追従させることが可能

潜在リスク予測に基づいたブレーキ支援に対するドライバ受容性の確保が課題

(潜在リスク予測による自動ブレーキ)

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表示系機能とアクティブペダルによる Haptic Shared Control

アクティブペダルによる Haptic Shared Control

• アクセルオフを促す(規範運転)

• システムの意図を伝える

運転の主体はドライバ ➡ 潜在リスク場面におけるブレーキ支援の介入 ➡ 通常走行に復帰

人間と知能機械の協調人間 人間

「かもしれない情報」の提示

飛び出し注意 !

支援反力

受容性確保のためのHMI

あそび b 踏込み あそび b

踏込み アクセルON アクセルOFF

あそび b

踏込み アクセルON

あそび b 踏込み

アクセルOFF

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25

-12 -10 -8 -6 -4 -2 0 2

V [

km

/h]

0

20

40

-12 -10 -8 -6 -4 -2 0 2

ap

h [

%]

0

10

20

30

Time [s]

-12 -10 -8 -6 -4 -2 0 2

bp

h [

%]

0

20

40

-12 -10 -8 -6 -4 -2 0 2

V [

km

/h]

0

50

-12 -10 -8 -6 -4 -2 0 2

ap

h [

%]

0

10

20

30

-12 -10 -8 -6 -4 -2 0 2

ap

forc

e [

N]

0

10

20

30

-12 -10 -8 -6 -4 -2 0 2

bp

inpu

t [%

]

0

50

Time [s]

-12 -10 -8 -6 -4 -2 0 2

bp

act

ua

l [%

]

0

50

前後方向制御のシェアード・コントロール

Distance to the parked vehicle [m]

-100 -80 -60 -40 -20 0 10Lat

eral

posi

tio

n [

m]

-2

0

2

Distance to the parked vehicle [m]

-100 -80 -60 -40 -20 0 10Lat

eral

po

siti

on

[m

]

-2

0

2

衝突速度

支援なし 支援あり

衝突速度

Vcollision = 0 Vcollision <= 30 km/h Vcollision > 30 km/h Vcollision = 0 Vcollision <= 30 km/h Vcollision > 30 km/h

アクセルオフを促すことが可能である

駐車車両回避中,アクセル操作をし続けた

ブレーキ操作を実行せず

衝突回避が困難 潜在リスクに備えることが可能

速度

アクセル

ストローク

ブレーキ

ストローク

速度

アクセルストローク

ペダル

反力支援

ブレーキ

ストローク

ブレーキ

ストローク

ー 人間

ー 機械

支援反力Fa_m

アクセルオフを促す(減速制御の意図の伝達)

駐車車両検出時

その他

N

NF ma

0

22_

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( i ) ドライバーは,「事故回避のうえでシステムが役に立つ」と思うか? 有用度

( ii ) ドライバーは,システムの決定と実行が適切であると思う,あるいは満足できるか? 満足度

0

5

10

1 2 3 4 5 6 7 8 9

0

5

10

1 2 3 4 5 6 7 8 9

0

5

10

1 2 3 4 5 6 7 8 9

0

5

10

1 2 3 4 5 6 7 8 9

表示系HMIは理解しやすかったか?

アクセルを押し戻すペダル反力は理解しやすかったか?

「歩行者が飛び出すかもしれない」ことに注意を払ったか?

このような支援が実行されることに納得できたか?

positivenegative

アンケート結果

-2 -1 0 1 2

-2

-1

0

1

2

usefulness

sati

sfacti

on

pre

postN: 13 participants

有用度

満足度

高齢者ドライバは,表示系機能とアクティブペダル機能を高く評価した

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1.リスク予測技術

2.シェアードコントロール

3.リーン地図利用の環境認識

4.開発環境と人材育成

5.フェーズⅢ計画概要

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28

リーンなシステムでの運転支援の実現

地方の生活道路でも利用できるシステムの開発→高機能なセンサや通信技術の代わりに地図の物理情報を活用する

○一般に研究開発されている高精度3D地図 ○既存カーナビ地図の進化として、

2D+αのリーン地図を活用※実用化を視野にデータ量を削減

早期減速開始に備えた

前方停止位置情報の提供

自車位置合せ用の

横断歩道情報の提供

右折先の道路

情報の提供

標識情報の提供

停止に必要な認識・停止線・横断歩道・信号機

・一時停止

必要なランドマーク情報が充実

分岐から分岐までの距離情報を利用

一時停止

停止線

横断歩道

信号機

リーン地図とは

・自車位置合せ

・走行軌跡生成

右図のような情報を提供

基本走行を実現

リーン地図利用の環境認識・走路生成 ( Continuously reconstructed curse planner )

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29

道路 距離 比率自動運転地図

の動向リーン地図

高速道路 9,165.0km 0.7%

1級国道(二桁国道)

16,217.4km 1.3%

2級国道 49578.1km 3.9%

都道府県道 142,428.5km 11.2%

市町村道 1,055,905.9km 82.9%

合計 1,273,294.9km

カーナビの進化形道路ネットワーク

約33%(約40万km)

は整備済み運転支援に必要な

地図情報を付与

2020年に向け地図ベンダが整備中

高精度3D地図2%強(約3万km)

98%弱計画は未定

未整備な道路

約66%(約80万km)

は走行結果を元に

生成

高精度3D地図の生活道路への拡張の目処はたっていない

→リーン地図で運転支援を実現

※距離情報は道路統計年報2014の総延長距離

高齢者が支援を必要とする

生活道路は目途が立たない

リーン地図利用の必要性

※2020年の3D地図配備計画は,2015.11月産業競争力懇談会資料より抜粋

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リーン地図利用の環境認識ロジックの構造

停止パターンに着目したData Fussionの例

Way Point生成

停止標識

信号機

停止線 横断歩道

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環境認識技術の性能向上

進路上のランドマークの種別や位置情報の提供→ランドマーク近傍での検出率を向上させると同時に,対象領域外での誤検出を抑制

影が重なる、西日で逆光

停止標識検出

掠れた横断歩道検出

雨天時の横断歩道検出

ワイパーが視界を遮断

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リーン地図を活用した環境認識

走行経路の動的再構成とランドマーク検出による自己位置推定

リアカメラによる道路標示の検出

検出結果と地図情報の照合による自己位置推定

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東富士研究所周辺の公道コース(約8km)での実証試験→様々な状況を含む実環境での要素技術の開発と検証を実施中

公道での環境認識技術の評価

白線の擦れた道路

Rの大きいカーブ

中央線のない対面交通環境

住宅街

公道での走行環境認識結果一例

・停止線検出

・横断歩道検出

・信号機検出及び色識別

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環境認識事例(柏地区での取り組み)

住宅地

工業団地周辺

住宅地

様々な走行環境での環境認識技術の開発→交通参加者や交通環境構成要素の特性の異なる状況での技術開発

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1.リスク予測技術

2.シェアードコントロール

3.リーン地図利用の環境認識

4.開発環境と人材育成

5.フェーズⅢ計画概要

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産学連携で一元化した開発環境① ( Closed open test bed(仮称) )

・システムの制御構造を産学連携メンバーで共有

Open Street Map Google Map Bing Map Free map for Garmin

brand GPS devices

Crowd Sourced MAP

地図会社

高精度3D地図

中精度2D地図

カーナビ

通常

運転制御

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産学連携で一元化した開発環境② ( Closed open test bed(仮称) )

同じ目的のために,共に汗かく仲間で,アイディアを成長・具現化させる

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所属機関 氏名 受賞学術賞名 受賞対象(論文名など) 受賞年 授与機関名

東京農工大学 松實 良祐 自動車技術会大学院研究奨励リスクポテンシャル推定に基づく自律型衝突回避システムに関する研究

2014年 自動車技術会

東京農工大学 長谷川隆裕 自動車技術会大学院研究奨励リスクポテンシャル最適化に基づく自動運転車両の運動計画と制御に関する研究

2015年 自動車技術会

東京農工大学ポンサトーン・ラクシンチャラーンサク

JSAEプロフェッショナルエンジニア 認定

- 2015年 自動車技術会

東京農工大学 三本 喬之 自動車技術会大学院研究奨励市街地道路の自転車の移動予測に基づく操舵系の触覚的シェアード・コントロールの研究

2016年 自動車技術会

東京農工大学ポンサトーン・ラクシンチャラーンサク

2016堀場雅夫賞リスク予測運転知能モデルに基づく協調型運転支援システム

2016年 堀場製作所

東京大学 伊藤太久磨 2016堀場雅夫特別賞「リーンなセンサーによる自動運転のための外界環境認識技術」

2016年 堀場製作所

豊田中央研究所 清水 司 学術講演会優秀講演発表賞潜在危険場面における自律運転知能のためのリスク定量化-駐車車両回避時の経路生成への適用-

2016年 自動車技術会

Sイノベ 若きリーダーエンジニアの成長

表彰・受賞実績

リスク予測,Shared リーン地図利用 潜在リスク

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1.リスク予測技術

2.シェアードコントロール

3.リーン地図利用の環境認識

4.開発環境と人材育成

5.フェーズⅢ計画概要

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Feedback走行環境 Database ヒューマンファクタ Database

Fun to Drive Optimum

Eco-Drive

Accident

Avoidance

•Local Driving Intelligence

•ICT

Vehicle

•Global Driving Intelligenceヒヤリハットデータと事故リスク解析

ダイナミックな用途への地図の進化

etc.

Big Data

FOTの目的→ Cyber Physical Systemとして高齢ドライバの安心を構築

•Cyber

•Physical

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ステージⅢ全体計画;公道実証(FOT)と研究推進

研究開発項目

① 社会レベルでの受容性検討

・ヒヤリハットデータ解析:要因寄与の統計的分析

・評価指標の明確化

(担当機関:農工大・神工大・トヨタ(全研究機関と協力)

② 実用段階のデータ蓄積と標準化

・3~10台規模のFOTの実施

・評価環境の拡充(JARI,・・・)

・JARI模擬コースでのPre-FOTの構築

・新評価法への提案

(担当機関:全研究機関)

③ さらなる高度化への研究開発

・公道評価を通じての実用化に向けた技術開発の推進

・知覚・認識システムの精度向上

(慣性航法、画像/リーン地図利用での精度向上)

・リスクポテンシャルによる熟練ドライバモデルの進化

・オントロジーアプローチの運転知能

・シェアード・コントロールの適合

(担当機関:全研究機関)

農工大ヒヤリハットデータ活用

▽安心寄与の高い要因抽出

H29 H30 H31

受容性の評価指標

FOT車両 X台 FOT車両 X台

JARI-ARV 実験 新標準評価法

実用開発への提案完了

オントロジー評価 ドライバモデル高度化

実用化のための適合評価

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まとめ;ステージⅡ成果総括;人材育成を含む5つの重要点を創出

高齢者

自律運転知能プロジェクト

① 運転リスク予測制御技術Risk predictive driving control

② 人間・機械協調運転技術Shared control

⑤ 産学連携で一元化した開発環境Closed open test bed

③ リーン地図利用の環境認識技術Continuously reconstructed course planner

高精度3D

2D+α

廉価普及

④ 若きリーダーエンジニア育成

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今後の予定

高齢者

自律運転知能プロジェクト

① 運転リスク予測制御技術Risk predictive driving control

② 人間・機械協調運転技術Shared control

⑤ 産学連携で一元化した開発環境Closed open test bed

③ リーン地図利用の環境認識技術Continuously reconstructed course planner

高精度3D

2D+α

廉価普及

④ 若きリーダーエンジニア育成

Sイノベで築いた基盤の元,

FOT受容性検証へ向け

産学連携体制を強化

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参考)社外発表等活動状況

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特許・外部発表(論文発表・招待,口頭講演 他)

計トヨタ自動車豊田中研

東京農工大 東京大学

論文発表 (国内/海外) 22 (17/5) 2 (2/0) 20 (15/5)

招待,口頭講演 (国内/海外) 99 (61/38) 30 (19/11) 44 (21/20) 25 (18/7)

ポスター発表 (国内/海外) 13 (10/3) 10 (8/2) 3 (2/1)

新聞雑誌 4 2 1 1

テレビ放送 5 5

シンポジウム開催 2

その他(情報発信イベント等) 10 3 5 2

国内(9)・国外(2) 11件の共願特許出願

国内(17)・国外(5) 22件の論文発表

国内(71)・国外(41) 112件の招待講演,口頭講演,ポスター発表

22件の新聞雑誌掲載・TV放送・シンポジウム開催・他情報発信イベント等

参考)その他;社外発表・特許実績,活動実績等

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第1回シンポジウムポスター

第1回シンポジウム

東京モーターショーでの

自動運転デモンストレーション

(東京ビッグサイト)

研究者によるギャラリートーク

参考)その他;シンポジウムの開催・イベントでの情報発信