高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに...

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高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究 調査研究報告書 令和2年3月

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Page 1: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究

調査研究報告書

令和2年3月

Page 2: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

目 次

………………………………………………………………………………………………はじめに 1

…………………………………………………………1 高齢運転者による死亡事故の情勢等 3

(1)高齢運転者による死亡事故の発生状況

(2)高齢運転者の増加

……………………………………………………2 高齢運転者の運転免許制度の検討の経緯 6

(1)これまでの高齢運転者対策

(2)政府の決定等

(3)警察庁における検討状況

………………………………………………………3 本分科会におけるこれまでの検討状況 8

(1)高齢運転者による死亡事故の分析

ア 認知機能検査の結果と死亡事故との関係

イ 当事者種別

ウ 事故類型

エ 人的要因

オ 地形・自宅からの距離・昼夜別

カ 危険認知速度

キ 違反歴と事故との関係

(2)本分科会における検討状況

ア 分科会の開催

イ 実車走行実験の実施

ウ 衝突被害軽減ブレーキの義務付け等についての調査

エ 先進安全技術の現状に関する調査

オ 地方自治体に対するヒアリング

カ 国民に対するアンケート調査

…………………………………………………4 今後の高齢運転者の運転免許制度の在り方 59

(1)高齢運転者の運転免許制度に関する見直しの論点

(2)今後の高齢運転者の運転免許制度の在り方の基本的な考え方

(3)高齢運転者による交通事故防止に向けて更なる検討を要する事項

………………………………………………………………………………………………おわりに 65

………………………………………………………………………………………………巻末資料 66

Page 3: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

はじめに

高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月 「高齢運、

転者による交通事故防止対策に関する関係閣僚会議」が開催された。この会議において内閣

総理大臣から、更なる対策の必要性等について検討を進めるよう指示があった。

、 、 「 」これを受け 29年1月から 警察庁の 高齢運転者交通事故防止対策に関する有識者会議

において、高齢者の特性が関係する交通事故を防止するために必要な方策について幅広い検

討が進められ、同年6月に「高齢運転者交通事故防止対策に関する提言」が取りまとめられ

。 、 、 、 、 、た さらに 同年10月以降 同有識者会議の下に分科会が設けられ ①認知症 ②視野障害

③その他の加齢に伴う身体機能の低下、のそれぞれについて調査研究が進められ、31年3月

には、それまでの検討状況について調査研究報告書が取りまとめられた。

令和元年度は、これらの調査研究報告書で明らかになった課題を踏まえ、高齢運転者の運

転免許制度についてより具体的な検討を行うため、平成30年度までに開催した分科会を1つ

に統合し、人間工学、老年精神医学、自動車工学等の専門家から成る本分科会を設けて調査

研究を進め、令和元年12月には、高齢運転者の運転免許制度の基本的な考え方についての検

討状況を示した中間報告書を取りまとめた。

この調査研究報告書は、中間報告書で示した内容も含め、本分科会における検討状況を総

括的に取りまとめたものである。

- 1 -

Page 4: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

【令和元年度「高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究」分科会構成員】

(有識者) ○:座長

池田 学 大阪大学教授(公益社団法人日本老年精神医学会理事長)

○石田 敏郎 早稲田大学名誉教授

岩貞 るみこ モータージャーナリスト

岩瀬 愛子 たじみ岩瀬眼科院長(名古屋大学未来社会創造機構客員教授)

鎌田 実 東京大学大学院新領域創成科学研究科教授

河内 勝良 武蔵境自動車教習所副管理者

小松原 正浩 マッキンゼー&カンパニー シニアパートナー

髙橋 信彦 一般社団法人日本自動車工業会安全部会長

本間 昭 お多福もの忘れクリニック院長

横山 雅之 全日本指定自動車教習所協会連合会専務理事

(関係省庁)

警察庁交通局交通企画課長

警察庁交通局運転免許課長

警察庁交通局運転免許課高齢運転者等支援室長

警察庁交通局交通企画課理事官

国土交通省自動車局技術政策課長

(オブザーバー)

内閣府政策統括官(共生社会政策担当)付交通安全対策担当参事官

経済産業省製造産業局自動車課ITS・自動走行推進室長

(敬称略・五十音順)令和2年2月28日現在

- 2 -

Page 5: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

*1 「第1当事者」とは、最初に交通事故に関与した車両等(列車を含む )の運転者又は歩行者のうち、当該交通事故におけ。

る過失が重い者をいい、また、過失が同程度の場合には人身損傷程度が軽い者をいう。

1 高齢運転者による死亡事故の情勢等

(1)高齢運転者による死亡事故の発生状況

平成11年以降、死亡事故件数は減少傾向にある中、令和元年中の75歳以上の高齢運転者

によるものは11年の約1.5倍、80歳以上の高齢運転者によるものは同年の約2.2倍に増加し

ている(図1 。)

図1 原付以上運転者(第1当事者 )による死亡事故件数の推移(指数)*1

(平成11年の各年齢層における死亡事故件数を100とする )。

近年、75歳以上の高齢運転者による死亡事故件数はおおむね横ばいで推移しており、全

体の死亡事故件数に占める75歳以上の運転者によるものの割合は増加傾向にある(図2 。)

図2 原付以上運転者(第1当事者)の年齢層別死亡事故件数の推移

100 100

96

91 85 80 74 69

62 56 52 52 49 45 44 41 41 38 37 34 31

119 131

147 141 150

169 156 158

151 156 164 158

170 170 174

169 169 154

170

148 129

130 141 155

179

194

166

196

177 173

229

213 225

238

256 251 246

226

242

215

0

50

100

150

200

250

300

H11 H12 H13 H14 H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 R1

75歳未満 75歳以上 80歳以上

年齢層別死亡事故件数

死亡事故件数全体に占める割合

422445

429

462 460 471458 459

418

460

401

180

238221

234 248266 261 256

235252 224

9.5%10.0% 10.3%

11.8% 11.9%

12.9% 12.8%13.5%

12.9%

14.8%

14.4%

4.1%

5.4% 5.3%6.0%

6.4%7.3% 7.3% 7.5% 7.2%

8.1% 8.1%

0.0%

2.0%

4.0%

6.0%

8.0%

10.0%

12.0%

14.0%

16.0%

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

500

H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 R01

75歳以上 80歳以上 75歳以上の構成比 80歳以上の構成比

- 3 -

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年齢層別の免許人口10万人当たりの死亡事故件数を見ると、75歳以上の高齢運転者は

75歳未満の運転者と比べ、約2.2倍となっている(図3 。なお、死亡事故件数には、死者)

が第1当事者である高齢運転者自身である事故の件数も含まれており、その場合、高齢運

転者は若者と比較すると衝撃耐性が低いために事故により死亡しやすいという点に留意す

る必要がある。

また、近年、高齢運転者が運転する自動車が歩行者に突っ込んだり、対向車線を逆走し

たりするなど、交通ルールを逸脱した重大死亡事故が発生している。

図3 乗用車・貨物車運転者(第1当事者)の年齢層別の免許人口10万人当たり死亡事故件

数(令和元年中)

【高齢運転者による近年の主な死亡事故】

○ 平成28年10月、87歳の運転者が運転する軽トラックが小学生の列に突っ込み、小学

生9人が巻き込まれ、うち小学1年生1名が死亡(神奈川県横浜市)

○ 平成30年5月、90歳の運転者が運転する乗用車が信号を無視し、交差点を横断中の

歩行者など4名をはね、うち57歳女性1名が死亡(神奈川県茅ヶ崎市)

○ 平成31年4月、87歳の運転者が運転する乗用車が、交差点を横断中の自転車に衝突

するなどし、自転車に乗車していた31歳及び3歳の母子2名が死亡したほか、自動車

運転中の1名、自転車乗車中の3名及び付近を歩行中の4名が負傷(東京都豊島区)

○ 令和元年6月、81歳の運転者が運転する乗用車が、対向車線を逆走するなどした後

に交差点付近の建物に衝突し、運転者及び同乗者の2名が死亡したほか、自動車5台

に乗車していた7名及び歩道上の歩行者1名が負傷(福岡県福岡市)

約2.2倍

(件/免許人口10万人当たり)

※ 令和元年中

※ 令和元年12月末現在の運転免許保有者数(二輪、原付、小特を除く)で算出※ 無免許の件数を除く

0

1

2

3

4

5

6

7

75歳未満 75歳以上

75歳以上:6.0件75歳未満:2.7件

- 4 -

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(2)高齢運転者の増加

高齢者の運転免許保有者数が増加しており、例えば、75歳以上の運転免許保有者数は、

平成26年末の約447万人から、令和元年末には約583万人まで増加している。また、令和6

年末には約760万人になると予測されるなど、今後とも増加が見込まれる(図4 。)

高齢者の運転免許保有者数の増加は、認知機能検査や高齢者講習の実施機関である指定

自動車教習所等の減少とあいまって、認知機能検査や高齢者講習の受検・受講待ち期間が

長期に及ぶという問題が生じる一因ともなっている。

図4 75歳以上の運転免許保有者数(各年末日現在)

※ 令和2年以降の数値については、運転免許保有者数逓減率による推計(令和2年2月実施)

324351

375403

425447

478513

540564

583 591608

660

712

760

0

100

200

300

400

500

600

700

800

H21 H22 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 R元 R2 R3 R4 R5 R6

単位(

万人)

- 5 -

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2 高齢運転者の運転免許制度の検討の経緯

(1)これまでの高齢運転者対策

平成10年10月から、75歳以上の者が運転免許証を更新する際には、高齢者講習を受講し

、 、 。なければならないこととされ 14年6月には その対象年齢が70歳以上の者に拡大された

21年6月からは、75歳以上の者が運転免許証を更新する際には、認知機能検査を受けなけ

ればならず、検査の結果、認知症のおそれがあると判定され、その後に特定の違反を行っ

た場合等には、認知症であるかどうかについて医師の診断を義務付けられることとされた

(図5 。さらに、29年3月から、認知機能検査の結果のみで医師の診断を義務付けられる)

こととなったほか、臨時認知機能検査が導入されるなど、タイムリーに高齢運転者の認知

機能の状況に応じた対応をとることが可能となった。

図5 現行の高齢者講習の仕組み

また、身体機能の低下等の理由により自らの運転に不安を感じる者については運転免許

証を返納できるよう、運転免許証の自主返納制度が10年4月から開始され、14年6月から

は運転免許証に代わる身分証明書としての機能を担うため、運転免許証を自主返納した者

が運転経歴証明書の交付を受けることができることとされた。現在、自治体、関係団体、

事業者等の協力の下、運転免許証を自主返納した者に対する支援が充実されるなど、運転

免許証の自主返納をしやすい環境整備が進められている。

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(2)政府の決定等

平成28年10月、神奈川県横浜市において前述の集団登校中の小学生が死傷する交通事故

が発生し、その後も高齢運転者による交通死亡事故が相次いで発生したことなどから、同

年11月には「高齢運転者による交通事故防止対策に関する関係閣僚会議」が開催され、内

閣総理大臣から、更なる対策の必要性等について検討を進めるよう指示がなされた。これ

を受け、29年1月から警察庁の「高齢運転者交通事故防止対策に関する有識者会議」にお

いて幅広い検討が進められ、同年6月に「高齢運転者交通事故防止対策に関する提言」が

取りまとめられ、同年7月には交通対策本部決定(巻末資料1)において 「80歳以上の運、

転リスクが特に高い者への実車試験の導入や「安全運転サポート車」限定免許の導入とい

」った高齢者の特性等に応じたきめ細かな対策の強化に向けた運転免許制度の更なる見直し

について検討を行うこととされた。

さらに、31年4月に東京都豊島区で前述の死亡事故が発生したことなどから、令和元年

5月には「昨今の事故情勢を踏まえた交通安全対策に関する関係閣僚会議」が開催され、

同年6月、同閣僚会議において 「未就学児等及び高齢運転者の交通安全緊急対策 (巻末、 」

資料2)が決定された。この緊急対策では 「安全運転支援機能を有する自動車を前提とし、

て高齢者が運転できる免許制度の創設に向け、制度の在り方、当該免許制度に適した車両

に必要となる安全運転支援機能の範囲や要件及び適合性確認の在り方並びに当該自動車の

普及方策などについて関係省庁が連携して検討を行い、性能認定制度の導入等の結論を得

た上で、本年度内に結論を得る」こととされている。

(3)警察庁における検討状況

警察庁においては、前述の有識者会議で「高齢運転者交通事故防止対策に関する提言」

を取りまとめた。また、平成29年10月以降、同有識者会議の下に有識者委員で構成される

分科会を開催して、①認知症、②視野障害、③その他の加齢に伴う身体機能の低下、のそ

れぞれについて調査研究を進め、31年3月までの検討状況について調査研究報告書を取り

まとめた。

これまでの調査研究では、次のような事項が指摘されている。

・ これまでの高齢運転者対策は、主に認知機能が低下している者の把握に重点が置かれ

てきたが、認知機能の低下以外の運転リスクについて把握する十分な仕組みはない。

・ 実際の運転行動によって、高齢運転者の運転リスクについて一定程度評価することが

可能であると考えられるが、その判断基準、実施体制、認知機能検査等の簡素化等とい

った課題が残されている。

・ 現在の先進安全技術は、例えば衝突被害軽減ブレーキ(AEB装置)を搭載した自家

用乗用車の方が追突事故の割合が低いなど、事故の低減効果が一定程度認められるが、

先進安全技術には一定の限界があるほか、メーカーや車種ごとに仕様や性能は様々であ

る。

これらを踏まえ、より具体的な検討を行うため、令和元年度には本分科会を開催し、高

齢運転者の運転免許制度について、調査研究を進めた。

- 7 -

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3 本分科会におけるこれまでの検討状況

(1)高齢運転者による死亡事故の分析

ア 認知機能検査の結果と死亡事故との関係

令和元年中に認知機能検査を受検した者は2,160,365人で、その結果は、第1分類(認知

症のおそれがある)が2.4%、第2分類(認知機能低下のおそれがある)が22.8%、第3分

類(認知機能低下のおそれがない)が74.8%であった(図6)。

一方、同年中の死亡事故で、第1当事者が75歳以上であり、かつ、原付以上であるもの

のうち、死亡事故を起こす前に第1当事者が認知機能検査を受検していた376人について、

その結果の内訳を見ると、第1分類が1.3%、第2分類が38.6%、第3分類が60.1%であり、

認知機能の低下が見られないとされる第3分類である者が、死亡事故を起こした者のうち

6割以上を占めている。

図6 認知機能検査の結果の割合(令和元年中)

第1分類

(認知症のおそれ)

51,613 人(2.4%) 第2分類

(認知機能低下のおそれ)

492,990人(22.8%)

第3分類

(認知機能低下のおそれなし)

1,615,762 人(74.8%)

第1分類

(認知症のおそれ)

5 人(1.3%)第2分類

(認知機能低下のおそれ)

145 人(38.6%)

第3分類

(認知機能低下のおそれなし)

226 人(60.1%)

認知機能検査受検者【令和元年】

※1 認知機能検査は更新時・臨時の両⽅を含む。※2 人数は延べ人数(例)同一人物が認知機能検査を3回受検し、それぞれの判定

が第1分類が2回、第2分類が1回となった場合には、受検者数は3人(第1分類︓2人、第2分類︓1人)とカウント

約 25%が第1・第2分類

死亡事故を起こした運転者(75歳以上)【令和元年】

合計376人受検者数2,160,365人

※1 図は令和元年中に死亡事故を起こした75歳以上の高齢運転者(原付以上第一当事者)の認知機能検査の結果を示す。

※2 令和元年中に死亡事故を起こした75歳以上の高齢運転者(原付以上第一当事者)は401人であるが、当該事故前に認知機能検査を受検していた者はその内の376人

約4割が第1・第2分類

- 8 -

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*1 「四輪車」とは、道路交通法第2条第1項第9号に規定する自動車のうち大型自動二輪車及び普通自動二輪車を除いたも

の(大型自動車、中型自動車、準中型自動車、普通自動車、大型特殊自動車及び小型特殊自動車)をいう(車輪の数が4つ

であるものに限らない 。。)

イ 当事者種別

令和元年中の第1当事者が原付以上である死亡事故について、年齢層別に第1当事者の

当事者種別(運転していた車両)ごとの件数を見ると、いずれの年齢層も8割以上は四輪

車 によるものである(図7 。*1

図7 原付以上運転者(第1当事者)の年齢層別・当事者種別(四輪車・二輪車・原付)別

の死亡事故件数(令和元年中)

323

272

435

406

389

352

199

56

23

50

51

23

5

3

8

7

12

8

15

21

22

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

20歳代

30歳代

40歳代

50歳代

60歳代

70歳代

80歳以上

四輪車 二輪車(原付を除く。) 原付

- 9 -

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平成29年から令和元年までの第1当事者が75歳以上の者である死亡事故について、四輪

車によるものと二輪車(原動機付自転車を含む。)によるものに分けて、死亡した者が誰か

(第1当事者又はその同乗者のみが死亡したのか、それ以外に死亡した者がいるのか)と

いう観点から割合を見ると、他の交通主体(他の車両の運転者や歩行者等)が死亡する事

故は、75歳以上の者が四輪車を運転していた場合が大半を占めている(図8)。

図8 75歳以上原付以上運転者(第1当事者)の当事者別死亡事故件数(平成29年~令和元

年計)

第1当事者及び第1当事者同乗者以外が死亡した事故

※1 「第1当事者及び第1当事者同乗者以外が死亡した事故」については、第1当事者又は第1当事者同乗者に死者がある場合を含む。

※2 二輪車は、原動機付自転車を含む。

四輪車 二輪車

85%(775件)

99%(366件)

1%(2件)

15%(136件)

第1当事者又は第1当事者同乗者のみが死亡した事故

n = 911件 n = 368件

- 10 -

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ウ 事故類型

令和元年の死亡事故で、四輪車運転者(第1当事者)の事故類型を、車両単独、車両相

互、人対車両、その他(列車が当事者となった踏切事故)の別で見ると、車両単独の割合

は、75歳未満の者が19%であるのに対して75歳以上の者は39%と高くなっている(図9 。)

また、車両相互の割合は、75歳未満の者が37%、75歳以上の者は39%であるが、このう

ち、正面衝突は、75歳未満の者が26%であるのに対して75歳以上の者は42%と高くなって

いる(図9、図10 。)

、 、 、一方 人対車両の割合は 75歳未満の者が44%であるのに対して75歳以上の者は21%と

高齢運転者の方が割合が低くなっている(図9 。)

図9 四輪車運転者(第1当事者)の事故類型別死亡事故件数(令和元年中)

図10 四輪車運転者(第1当事者)の車両相互の事故類型別死亡事故件数の内訳(令和元年

中)

19%

37%

44%

0%75歳未満

車両単独 車両相互 人対車両 その他

39%

39%

21%

1%75歳以上

車両単独 車両相互 人対車両 その他

(4件)

(141件)

(139件)

(74件)(391件)

(910件)

(771件)

(4件)

n=2,076件n=358件

26%

42%

16%

7%

29%

29%

2%

1%

3%

18%

14%

8%

5%

75歳未満

75歳以上

正面衝突 追突 出会い頭 追越追抜時 すれ違い時 右左折 その他

n=910件

(199件) (126件) (223件) (17件)

(4件)

(140件) (62件)

(59件) (10件) (40件)(4件) (19件) (7件)

- 11 -

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エ 人的要因

令和元年中の死亡事故で、四輪車運転者(第1当事者)の人的要因が操作不適であるも

のの割合は、75歳未満の者が12%であるのに対して75歳以上の者は30%と高く、特にハン

ドル操作不適であるものの割合は、75歳未満の者が8.3%であるのに対して75歳以上の者は

14.8%、ブレーキとアクセルの踏み違いであるものの割合は、75歳未満の者が0.6%である

のに対して75歳以上の者は7.8%となっている(図11 。)

図11 四輪車運転者(第1当事者)の人的要因別死亡事故件数(令和元年中)

30%

19%

19%

10%

7%

0%10%20%30%40%

12%

26%

27%

22%

9%

0% 10% 20% 30% 40%

75歳以上 75歳未満

操作不適

安全不確認

内在的前方不注意(漫然運転等)

外在的前方不注意(脇見等)

判断の誤り

このうち、

ハンドルの操作不適

14.8%(53)

ブレーキとアクセルの踏み間違い

7.8%(28)

このうち、

ハンドルの操作不適

8.3%(173)

ブレーキ・アクセルの踏み間違い

0.6%(13)

死亡事故件数:358件※調査不能が55件ある。

死亡事故件数:2,076件※調査不能が95件ある。

(107)

(68)

(67)

(36)

(25)

(251)

(537)

(553)

(458)

(182)

- 12 -

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*1 「市街地」とは、道路に沿っておおむね500メートル以上にわたって、住宅、事業所又は工場等の建造物が連立し、又はこ

れらが混在して連立している状態であって、その地域における建造物及び敷地の占める割合が80パーセント以上になるいわ

ゆる市街地的形態をなしている地域(片側だけがこのような形態をなしている場合を含む )をいう。。

*2 「人口集中地区」とは、総務省が国勢調査に基づき作成する人口集中地区境界図に人口集中地区として表示されている地

域をいう。

オ 地形・自宅からの距離・昼夜別

令和元年中の75歳以上四輪車運転者(第1当事者)による死亡事故が発生した地形(市

街地 (人口集中地区 ・市街地(その他 ・非市街地の別)を見ると、非市街地で発生し*1 *2

) )

た事故が53%を占めており、75歳未満の41%と比べ、高くなっている(図12 。)

図12 四輪車運転者(第1当事者)の地形別死亡事故件数(令和元年中)

75歳未満

市街地(人口集中) 市街地(その他) 非市街地

n=2,076件

33%(675件)

41%(857件)

26%(544件)

75歳以上

市街地(人口集中) 市街地(その他) 非市街地

22%(77件)

25%(91件)

53%(190件)

n=358件

- 13 -

Page 16: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

*1 平成30年中の75歳以上の者による死亡事故が410件、75歳未満の者による死亡事故が2,283件であるが、75歳未満の者によ

るもののうち2件は、海外からの旅行者によるもの及び車上生活者によるものであるため集計対象から除いた。

1km未満

1km~

3km

3km~5km5km~10km

10km~

20km

20km~

50km

50km以上

1km未満

1km~

3km3km~5km

5km~

10km

10km~

20km

20km~

50km

50km以上

30%(122件)

20%(83件)12%

(51件)

14%(59件)

11%(43件)

7%(27件)

6%(25件) 15%

(333件)

18%(418件)

12%(271件)17%

(396件)

16%(375件)

11%(253件)

10%(235件)

75歳未満75歳以上

n=2,281件n=410件

、 ( ) 、また 平成30年中の75歳以上四輪車運転者 第1当事者 による死亡事故の発生場所と

その運転者の自宅との距離を見ると、自宅から5km以内で発生した事故が62%を占めてお

り、75歳未満の45%と比べ、高くなっている(図13 。)

図13 四輪車運転者 第1当事者 事故発生地と運転者の住所地との距離別死亡事故 件数 平( ) (*1

成30年中)

さらに、令和元年中の75歳以上四輪車運転者(第1当事者)による死亡事故の発生した

時間帯を昼夜別に見ると、昼間に発生した事故が81%を占めており、75歳未満の44%と比

べ、高くなっている(図14 。)

図14 四輪車運転者(第1当事者)の昼夜別死亡事故件数(令和元年中)

n=2,076件

75歳未満

昼 夜

n=358件

75歳以上

昼 夜

19%(68件)

81%(290件)

56%(1,158件)

44%(918件)

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Page 17: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

*1 「死亡事故率」とは、人の死亡又は負傷を伴う事故(人身事故)の件数に占める人の死亡を伴う事故(死亡事故)の件数

の割合をいう。

*2 「危険認知速度」とは、運転者が相手方車両、人、駐車車両又は物件等(防護柵、電柱等)を認め、危険を認知した時点

の速度をいう。

カ 危険認知速度

四輪車運転者(第1当事者)の平成29年から令和元年までの交通事故における死亡事故

率 について、第1当事者の危険認知速度 別に見ると、第1当事者が75歳以上の場合、危*1 *2

険認知速度が60km/h以下の事故では1.1%であるのに対して、60km/hを超える事故では19.9

%となっており、いずれも第1当事者が75歳未満の場合と比べ、高くなっている(図15 。)

図15 四輪車運転者(第1当事者)の年齢層別危険認知速度別の死亡事故率(平成29年~令

和元年の計)

危険認知速度が60km/hを超える場合 危険認知速度が60km/h以下の場合

19.9%

7.5%

0.0%

2.0%

4.0%

6.0%

8.0%

10.0%

12.0%

14.0%

16.0%

18.0%

20.0%

75歳以上 75歳未満

1.1%0.5%

75歳以上 75歳未満

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Page 18: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

*1 キにおける「違反」及び「事故」は、乗用車又は貨物車に係るものに限る。

*2 平成26年末から平成29年末までの4年分の平均。ただし、大型二輪免許、普通二輪免許、原付免許、小型特殊免許のみの

保有者は除く。

*3 平成24~26年、平成25~27年、平成26~28年、平成27~29年の各期の該当者数の平均。

*4 平成26年末の運転免許保有者については、平成27年の1年間。平成27年末、平成28年末、平成29年末それぞれの運転免許

保有者についても、同様に翌年の1年間。

*5 平成27年から平成30年までの4年分の平均。

*1キ 違反歴と事故との関係

75歳以上の運転免許保有者 約458.2万人のうち、過去3年間に何らかの違反をしたこと*2

がある者 は、約80.4万人(全体の約17.5%)であった。*3

75歳以上の運転免許保有者全体では、1年間 に起こした死亡・重傷事故件数 は10万人*4 *5

当たり約59.3件である一方、過去3年間に何らかの違反をしたことがある者では、1年間

に起こした死亡・重傷事故件数は10万人当たり約103.9件(全体と比べて約1.8倍)であっ

た (図16)。

図16 違反歴と事故との関係

注1 大型二輪免許、普通二輪免許、原付免許、小型特殊免許のみの保有者は除く。注2 H24年~26年、H25年~27年、H26年~28年、H27年~29年の各期の該当者数の平均注3 乗用車又は貨物車に係る事故・違反に限る。

458.2万人

1年間に起こした死亡・重傷事故件数(注3)

(10万人当たり)

過去3年間に何らかの違反がある者による事故

歳以上の運転免許保有者

全体による事故

7575

26

29

59.3件

103.9件

約1.8倍

80.4万人(17.5%)

過去3年間に何らかの違反あり(注2・3)

75歳以上の運転免許保有者数(H26年末~29年末の平均)(注1)

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(2)本分科会における検討状況

ア 分科会の開催

運転免許制度の在り方等を議論するため、以下のとおり分科会を開催した。

(ア)第1回分科会 令和元年5月27日(月) 14:00~16:00

○ 事務局説明

・本年度調査研究事項について

○ 自由討議

(イ)第2回分科会 令和元年7月12日(金) 17:00~19:00

○ 事務局説明

・昨今の事故情勢を踏まえた交通安全対策に関する関係閣僚会議の開催について

・実車走行実験の中間報告について

・アンケート調査の骨子(案)について

○ 自由討議

(ウ)第3回分科会 令和元年9月3日(火) 13:00~16:00

○ 事務局説明

・実車走行実験の分析結果について

・アンケート調査の実施について

○ 自治体首長に対するヒアリング

・愛媛県鬼北町長「交通弱者に対する取り組み」

○ 自由討議

(エ)第4回分科会 令和元年10月15日(火) 14:00~17:00

○ 事務局・国土交通省からの説明

・国土交通省における各種検討状況について

・ 先進安全技術等に関する調査結果について

○ 自治体首長に対するヒアリング

・愛知県豊田市長「愛知県豊田市における高齢者の移動支援に関する取組み」

○ 自由討議

(オ)第5回分科会 令和元年12月6日(金) 12:00~14:00

○ 事務局説明

・中間報告(案)について

○ 自由討議

(カ)第6回分科会 令和2年2月28日(金) 10:00~12:00

○ 事務局説明

・道路交通法改正案の検討状況について

・最終報告(案)について

○ 自由討議

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Page 20: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

*1 運転免許が失効した後に運転免許を再取得するために受けるものを含み、臨時高齢者講習を除く。したがって、今回の実

験で被験者となったのは、運転免許証の更新(又は運転免許の再取得)を予定している者である。

*2 第1分類と判定された14名中、2名は運転免許証の自主返納を行い、それ以外の者については、認知症との診断を受けた

者はいなかった(令和2年1月末現在 。)

イ 実車走行実験の実施

高齢運転者の実際の運転行動に着目して運転リスクを判断する基準の在り方を検討する

ため、高齢者講習の受講者を対象として、実車走行実験を実施した。また、視野の欠損の

有無及び認知機能の状況を簡素な方法で確認できないか検討するため、実車走行に先立っ

て、両眼クロックチャートによる視野の簡易検査及び認知機能に関する口頭質問を実施し

た。

(ア)概要

① 実施期間

令和元年6月1日から8月1日まで

② 実施場所

豊島自動車練習所

平和橋自動車教習所

武蔵境自動車教習所

茨城県警察本部交通部運転免許センター(茨城県交通安全協会に委託して実施)

③ 被験者

運転免許証の更新を受けるために必要となる高齢者講習 の受講を申し込んだ者のう*1

ち、実車走行実験の協力に同意したもの282人を被験者とした 。*2

被験者282人の年齢別の内訳は、以下のとおりであった。

※ 今回の実験の分析では、年齢を運転免許証の有効期間が満了する日(誕生日の後)

の年齢で統一した。

※ 被験者の最高齢は、男性が90歳(2名 、女性が89歳(1名)であった。)

人数男性 女性 計

70~75歳未満 76 21 97

75歳以上

第1分類 3 1 4

110第2分類 26 5 31

第3分類 57 18 75

80歳以上

第1分類 9 1 10

75第2分類 20 6 26

第3分類 35 4 39

全体 226 56 282

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*1 「両眼クロックチャート」とは、両眼視での視野を簡易にチェックできる検査シートである。検査シートには直径40cmの

円が描かれており、円の中には信号機、車、自転車、子供の4つの絵柄が描かれている。眼と検査シートの間をおおむね30

cmに保ち、中心の赤い点を見つめた状態で12時の位置から30度ずつ検査シートを360度回転させ、各角度で4つの絵柄のう

ち1つでも見えない場合、両眼視での視野に異常がある可能性がある。

④ 実施課題等

ⅰ)両眼クロックチャートによる視野の簡易検査

以下の方法で視野欠損の有無を検査した。

・両眼クロックチャート を机の上に置き、約30cm離れた位置から、両眼で中央に*1

ある赤い点を見る。

・両眼クロックチャートを机の上に置いたまま、ゆっくりと1周回す。

・両目で中央の赤い点を見ながら1周回す間に、4つの絵柄のうち見えなくなるも

のがあるか確認する。

図17 視野の簡易検査で使用した両眼クロックチャート

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*1 「チャレンジ講習」とは、運転免許証の更新期間が満了する日における年齢が70歳以上75歳未満の者又は75歳以上で認知

機能検査の結果が第3分類(認知機能低下のおそれがない)である者が受けることができる講習で 「加齢に伴って生ずる、

身体の機能の低下が自動車等の運転に著しい影響を及ぼしているかどうか」について都道府県公安委員会が確認するもので

ある(運転免許に係る講習等に関する規則第2条 。チャレンジ講習における約10分間の実車走行(一般課題及び特別課)

題)を採点した結果が100点満点中70点以上であった者は、その後に1時間の「簡易講習」を受けることによって、高齢者

講習(2時間)の受講義務が免除される。

ⅱ)認知機能に関する口頭質問

時間の見当識及び場所の見当識に関する以下の8問を口頭で質問した。

1 「あなたの年齢は、おいくつですか 」. 。

2 「今年は何年ですか 」. 。

3 「今月は何月ですか 」. 。

4 「今日は何日ですか 」. 。

5 「今日は何曜日ですか 」. 。

6 「ここは都道府県でいうと何ですか 」. 。

7 「ここは何市(町・村・区など)ですか 」. 。

8 「ここはどこですか (この施設の名前は何ですか 」. 。 。)

ⅲ)実車走行

現行のチャレンジ講習 の一般課題である、以下の課題を実施した。*1

、 、それぞれの実施場所において あらかじめ総走行距離1,200mの課題コースを設定し

被験者は、助手席に同乗する指導員(現在、高齢者講習指導員として指導に従事して

いる者)の指示に従って走行した。

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これらの課題において、助手席に同乗する指導員が、現行のチャレンジ講習の減点適

用基準に従い、減点細目に該当する以下の行為(以下「減点行為」という )の有無及び。

回数を記録するとともに、走行開始から終了までの時間を測定した。また、課題の終了

後には、指導員から被験者に対して、減点行為等の運転行動を踏まえた安全指導を実施

した。

発進 出発点を含み、路端に停止後、発進をする際に必要な確認をしない場合

後退 後退する直前に後退する方向及び場所の安全を確認しない場合

安 周囲 後退中に、車両の側方や、後退する方向の安全を確認しない場合

全 巻き込み 左折する直前に、車両の左側方の安全を確認しない場合

不 変更 進路を変えようとする側の側方と後方の安全を確認しない場合

確 交差点 交差点内の通行に関する歩行者や車両に対する安全を確認しない場合

認 後方 走行中にバックミラーによる後方の確認を全くしない場合

脇見 走行中に脇見をし、進行方向の安全を確認しない場合

降車 降車時ドアを開けようとする直前に、後方の確認をしない場合

補助ブレーキ 走行中危険を回避するため指導員がブレーキを操作した場合

通過不能 狭路コースにおいて切り返しを4回した場合

補助ハンドル 走行中危険を回避するため指導員がハンドル操作した場合

脱輪大 縁石に車輪を乗り上げ、又はコースから車輪が逸脱した地点から1.5m

以上進行した場合

接触大 コースに設置した障害物に接触(障害物が動かない場合を除く 、又は)

歩行者、車両等や建造物等に接触するおそれがある場合

安全間隔 歩行者又は軽車両の側方を通過する場合に十分な間隔を保たない場合又

は間隔が保てない場合に徐行しようとしない場合

右側通行 道路の中央部分から右にはみだして通行した場合(法令の除外規定に該

当する場合を除く)

信号無視 赤、黄色信号が表示された場合に、法令に定められた停止位置で停止し

ない場合又は車体の一部が越えて停止した場合

通行妨害 車両等の進行を妨害した場合

一時不停止 道路標識等による一時停止の指定場所で、停止線を越えて停止又は手前

で停止しない場合

横断歩道 横断歩道の手前おおむね5mに到達することになり、かつ歩行者が横断

歩道に立ち入ることが予測される場合に、横断歩道の手前で停止しない

場合

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*1 被験者のうち3名(74歳男性、75歳女性、78歳女性)は、運転が15~20年ぶりであり、運転が怖いなどの申出があったた

め、2回目及び3回目の実車走行を実施しなかった。このほか、被験者のうち2名(72歳女性、78歳女性)は、1回目及び

2回目の実車走行で長時間を要したため、3回目の実車走行を実施しなかった。

実車走行の実施から安全指導までを1回の実車指導として、同じ内容の実車指導を

3回実施した 。加えて、2回目の実車指導が終了した後には、3回目の実車指導を実*1

施する前に、1回目及び2回目の実車走行の様子を撮影したドライブレコーダーの映

像を活用した約30分間の安全指導を実施した。

(イ)実施結果

ⅰ)両眼クロックチャートによる視野の簡易検査

被験者282人のうち、見えない絵柄があると回答した者は11人(3.9%)であった。

なお、見えないとの回答があった絵柄は以下のとおりであり、複数の絵柄が見えない

と回答した者はいなかった。

見えない絵柄 75歳未満(n=97) 75~80歳未満(n=110) 80歳以上(n=75)

内側 子供 0人 2人 0人

↑ 自転車 0人 0人 1人

↓ 車 1人 0人 0人

外側 信号機 0人 4人 3人

また、水平視野の検査結果を見ると、両眼クロックチャートの結果で見えない絵柄

があった者は、全体と比較して顕著な差は見られなかった。

【被験者282人】 【うち、見えない絵柄のある11人】

この実施結果を踏まえると、両眼クロックチャートによる視野の簡易検査は自己申

告のみに依存するものであるから、視野異常の可能性について気付きを与える効果は

限定的と考えられる。

したがって、現在の高齢者講習において実施している運転適性検査器材による視野

検査を、両眼クロックチャートによる簡易検査のみに置き換えることは適当でないと

考えられる。

右眼 左眼 両眼最大値 100 100 190最小値 47 54 108平均値 82.8 82.8 165.6中央値 85 85 168

右眼 左眼 両眼最大値 94 94 188最小値 61 55 118平均値 84.5 81.8 166.4中央値 90 84 176

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ⅱ)認知機能に関する口頭質問

認知機能に関する口頭質問の結果を認知機能検査の結果別に見ると、第1分類や第

2分類の者は、75歳未満や第3分類の者と比較すれば正答率が低いものの、多くの者

が正答している。したがって、口頭による質問のみでは、現行の認知機能検査を代替

することはできないと考えられる。

※ 第1分類の者のうち11人(79%)は茨城県免許センターで実施した被験者であるが、被験者全体

(282人)における「市区町村」及び「施設名」の正答率を実験の実施場所ごとに見ると、それぞれ

以下のとおりであることから、認知機能だけではなく実施場所による影響も考えられる。

茨城県免許センター 武蔵境自動車教習所 平和橋自動車教習所 豊島自動車練習所

市区町村 71% 90% 94% 99%

施設名 90% 99% 100% 99%

質問事項 年齢 何年か 何月か 何日か 何曜日か 都道府県市区町村 施設名

75歳未満(97人)

97.9% 100.0% 100.0% 99.0% 100.0% 99.0% 91.8% 97.9%

75歳以上

第1分類(14人)

78.6% 78.6% 100.0% 85.7% 78.6% 100.0%57.1%(※)

78.6%(※)

第2分類(57人)

87.7% 96.5% 100.0% 100.0% 100.0% 98.2% 89.5% 96.5%

第3分類(114人)

93.0% 100.0% 100.0% 98.2% 100.0% 100.0% 93.9% 100.0%

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ⅲ)実車走行

1回目の実車走行に要する時間は 平均で10分14秒であり、最短は5分30秒(72歳、

男性 、最長は21分3秒(78歳女性)であった(図18 。今回の実験と同程度の課題を) )

実施するためには、10~20分程度の時間を要するものと考えられる。

なお、今回の実車走行実験では、実験コースの混雑状況によって、課題の途中で曲

線コースの通過、屈折コースの通過、方向変換等の課題に移るまでの待ち時間が生じ

たため、必ずしも被験者の運転技能の程度を示す時間ではない。

図18 1回目の実車走行に要する時間別の被験者数

減点行為の種類ごとに、それぞれの減点行為を1回以上行った者が占める割合は、

以下のとおりであった。

年齢層が高い方が、1回目(安全指導を受ける前)の実車走行において、補助ブレ

ーキ、右側通行、信号無視といった減点行為を行った者の割合が高くなっている(図

19 。また、2回目や3回目(安全指導を受けた後)の実車走行においては、年齢層が)

高い方が、1回目で年齢層にかかわらず割合が高い減点行為(安全不確認や一時不停

止)を行った者の割合が高くなっている(図20、図21 。)

図19 減点行為を1回以上行った者の割合(年齢層別 【実車走行1回目】)

2 19 27 43 52 51 32 24 15 5 12

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

~6分未満 ~7分未満 ~8分未満 ~9分未満 ~10分未満 ~11分未満 ~12分未満 ~13分未満 ~14分未満 ~15分未満 15分以上

安全不確

補助ブ

レーキ

補助ハン

ドル脱輪大 接触大 安全間隔右側通行信号無視進行妨害

一時不停

止横断歩道通過不能

75歳未満(n=97) 45.4% 7.2% 2.1% 24.7% 13.4% 1.0% 14.4% 2.1% 2.1% 61.9% 0.0% 2.1%75~80歳未満(n=110) 38.2% 7.3% 0.9% 34.5% 11.8% 2.7% 16.4% 4.5% 6.4% 53.6% 0.0% 2.7%80歳以上(n=75) 44.0% 21.3% 0.0% 34.7% 14.7% 1.3% 25.3% 12.0% 2.7% 60.0% 1.3% 1.3%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

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図20 減点行為を1回以上行った者の割合(年齢層別 【実車走行2回目】)

図21 減点行為を1回以上行った者の割合(年齢層別 【実車走行3回目】)

安全不

確認

補助ブ

レーキ

補助ハン

ドル脱輪大 接触大

安全間

右側通

信号無

進行妨

一時不

停止

横断歩

通過不

75歳未満(n=95) 18.9% 7.4% 1.1% 30.5% 2.1% 2.1% 3.2% 0.0% 5.3% 9.5% 0.0% 0.0%75~80歳未満(n=107) 23.4% 6.5% 0.9% 24.3% 2.8% 0.9% 3.7% 0.9% 6.5% 18.7% 0.0% 0.0%80歳以上(n=75) 32.0% 10.7% 0.0% 38.7% 4.0% 0.0% 9.3% 2.7% 2.7% 30.7% 1.3% 1.3%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

安全不

確認

補助ブ

レーキ

補助ハン

ドル脱輪大 接触大

安全間

右側通

信号無

進行妨

一時不

停止

横断歩

通過不

75歳未満(n=96) 33.3% 8.3% 2.1% 25.0% 5.2% 0.0% 8.3% 1.0% 2.1% 34.4% 4.2% 1.0%75~80歳未満(n=108) 39.8% 5.6% 1.9% 28.7% 3.7% 0.9% 3.7% 2.8% 3.7% 35.2% 0.0% 0.0%80歳以上(n=75) 42.7% 13.3% 0.0% 45.3% 9.3% 0.0% 8.0% 6.7% 2.7% 40.0% 0.0% 5.3%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

- 25 -

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認知機能検査の結果別に見ると、第1分類や第2分類である者の方が、特に1回目

の実車走行において、安全不確認、補助ブレーキ、右側通行、一時不停止といった減

点行為を行った者の割合が高くなっている(図22~図24 。)

図22 減点行為を1回以上行った者の割合(認知機能検査の結果別 【実車走行1回目】)

図23 減点行為を1回以上行った者の割合(認知機能検査の結果別 【実車走行2回目】)

安全不確

補助ブ

レーキ

補助ハン

ドル脱輪大 接触大 安全間隔右側通行信号無視進行妨害

一時不停

止横断歩道通過不能

75歳未満(n=97) 45.4% 7.2% 2.1% 24.7% 13.4% 1.0% 14.4% 2.1% 2.1% 61.9% 0.0% 2.1%第1分類(n=14) 78.6% 21.4% 0.0% 28.6% 7.1% 0.0% 28.6% 14.3% 0.0% 85.7% 0.0% 0.0%第2分類(n=57) 49.1% 19.3% 0.0% 36.8% 12.3% 0.0% 26.3% 3.5% 1.8% 61.4% 0.0% 0.0%第3分類(n=114) 31.6% 8.8% 0.9% 34.2% 14.0% 3.5% 15.8% 8.8% 7.0% 50.0% 0.9% 3.5%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

安全不確

補助ブ

レーキ

補助ハン

ドル脱輪大 接触大 安全間隔右側通行信号無視進行妨害

一時不停

止横断歩道通過不能

75歳未満(n=96) 33.3% 8.3% 2.1% 25.0% 5.2% 0.0% 8.3% 1.0% 2.1% 34.4% 4.2% 1.0%第1分類(n=14) 85.7% 28.6% 7.1% 57.1% 0.0% 0.0% 7.1% 14.3% 0.0% 57.1% 0.0% 14.3%第2分類(n=57) 47.4% 10.5% 0.0% 29.8% 8.8% 0.0% 8.8% 1.8% 1.8% 49.1% 0.0% 0.0%第3分類(n=112) 32.1% 5.4% 0.9% 35.7% 5.4% 0.9% 3.6% 4.5% 4.5% 28.6% 0.0% 1.8%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

- 26 -

Page 29: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

図24 減点行為を1回以上行った者の割合(認知機能検査の結果別 【実車走行3回目】)

被験者1人が1回の実車走行の中で行った減点行為の合計回数を算出したところ、そ

の回数別の人数は以下のとおりであった(図25~図27 。)

どの年齢層でも一定の割合で、減点行為を1回も行わない者がいるが、中には10回以

上など何度も減点行為を繰り返す者が見られ、特に80歳以上の者に占める割合は、他の

年齢層と比較して高くなっている。

図25 減点行為を行った回数別の人数(年齢層別 【実車走行1回目】)

10

11

8

30

34

15

19

17

13

20

16

12

3

9

6

15

22

18

0

1

3

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

75歳未満(n=97)

75~80歳未満(n=110)

80歳以上(n=75)

0回 1回 2回 3回 4回 5~9回 10回以上

安全不確

補助ブ

レーキ

補助ハン

ドル脱輪大 接触大 安全間隔右側通行信号無視進行妨害

一時不停

止横断歩道通過不能

75歳未満(n=95) 18.9% 7.4% 1.1% 30.5% 2.1% 2.1% 3.2% 0.0% 5.3% 9.5% 0.0% 0.0%第1分類(n=14) 85.7% 14.3% 0.0% 50.0% 0.0% 0.0% 21.4% 0.0% 7.1% 42.9% 0.0% 0.0%第2分類(n=57) 33.3% 15.8% 0.0% 31.6% 3.5% 1.8% 8.8% 5.3% 5.3% 38.6% 0.0% 0.0%第3分類(n=111) 16.2% 3.6% 0.9% 27.0% 3.6% 0.0% 2.7% 0.0% 4.5% 13.5% 0.9% 0.9%

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

80%

90%

- 27 -

Page 30: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

図26 減点行為を行った回数別の人数(年齢層別 【実車走行2回目】)

図27 減点行為を行った回数別の人数(年齢層別 【実車走行3回目】)

29

25

15

31

29

11

15

25

24

11

11

8

3

5

6

7

13

8

0

0

3

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

75歳未満(n=96)

75~80歳未満(n=108)

80歳以上(n=75)

0回 1回 2回 3回 4回 5~9回 10回以上

41

45

24

34

29

17

13

16

19

3

8

4

3

5

3

1

4

7

0

0

1

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

75歳未満(n=95)

75~80歳未満(n=107)

80歳以上(n=75)

0回 1回 2回 3回 4回 5~9回 10回以上

- 28 -

Page 31: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

認知機能検査の結果別に見ると、特に認知機能検査の結果が第1分類である者は、

その他の分類の者と比較して、減点行為を行う回数が多い者の割合が高くなっている

(図28~図30 。)

図28 減点行為を行った回数別の人数(認知機能検査の結果別 【実車走行1回目】)

図29 減点行為を行った回数別の人数(認知機能検査の結果別 【実車走行2回目】)

10

0

3

16

30

1

11

37

19

1

7

22

20

3

15

10

3

0

6

9

15

8

12

20

0

1

3

0

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

75歳未満(n=97)

第1分類(n=14)

第2分類(n=57)

第3分類(n=114)

0回 1回 2回 3回 4回 5~9回 10回以上

29

1

12

27

31

0

10

30

15

2

11

36

11

1

9

9

3

3

5

3

7

6

8

7

0

1

2

0

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

75歳未満(n=96)

第1分類(n=14)

第2分類(n=57)

第3分類(n=112)

0回 1回 2回 3回 4回 5~9回 10回以上

- 29 -

Page 32: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

*1 P22の脚注のとおり、2回目又は3回目の実車走行を実施しなかった者がいるため、1回目から3回目までの被験者の数

が一致していない。

図30 減点行為を行った回数別の人数(認知機能検査の結果別 【実車走行3回目】)

(ウ)採点基準案の検討

( ) ) 、ア ④ⅲ で示した実車走行における減点行為の状況を評価するための基準として

例えば以下のような採点基準案(減点行為の程度に応じた傾斜配点)が考えられ、その

採点結果(一定の点数未満の者が占める割合及び平均点)は以下のとおり となる。*1

減点行為の種類ごとに、それぞれ1回につき以下の表の点数の減点とする。

信号無視、右側通行、補助ブレーキ、通過不能 30点減点

脱輪大、接触大 20点減点

一時不停止 10点減点

安全不確認 5点減点

41

1

15

53

34

0

15

31

13

5

12

18

3

4

4

4

3

1

5

2

1

3

5

3

0

0

1

0

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

75歳未満(n=95)

第1分類(n=14)

第2分類(n=57)

第3分類(n=111)

0回 1回 2回 3回 4回 5~9回 10回以上

- 30 -

Page 33: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

採点結果(年齢層別 【実車走行1回目】)

70点未満 60点未満 50点未満 40点未満 30点未満 平均

75歳未満(n=97) 28.9% 22.7% 13.4% 10.3% 8.2% 70.6点

75~80歳未満(n=110) 38.2% 27.3% 18.2% 14.5% 11.8% 66.3点

80歳以上(n=75) 52.0% 42.7% 30.7% 28.0% 24.0% 51.3点

70歳以上(n=282) 38.7% 29.8% 19.9% 16.7% 13.8% 63.8点

75歳以上(n=185) 43.8% 33.5% 23.2% 20.0% 16.8% 60.2点

採点結果(年齢層別 【実車走行2回目】)

70点未満 60点未満 50点未満 40点未満 30点未満 平均

75歳未満(n=96) 21.9% 14.6% 8.3% 4.2% 4.2% 80.4点

75~80歳未満(n=108) 25.0% 15.7% 7.4% 4.6% 3.7% 78.7点

80歳以上(n=75) 45.3% 30.7% 16.0% 14.7% 14.7% 64.3点

70歳以上(n=279) 29.4% 19.4% 10.0% 7.2% 6.8% 75.4点

75歳以上(n=183) 33.3% 21.9% 10.9% 8.7% 8.2% 72.8点

採点結果(年齢層別 【実車走行3回目】)

70点未満 60点未満 50点未満 40点未満 30点未満 平均

75歳未満(n=95) 8.4% 5.3% 4.2% 3.2% 2.1% 86.8点

75~80歳未満(n=107) 13.1% 8.4% 4.7% 2.8% 1.9% 85.9点

80歳以上(n=75) 26.7% 17.3% 13.3% 12.0% 10.7% 74.4点

70歳以上(n=277) 15.2% 9.7% 6.9% 5.4% 4.3% 83.1点

75歳以上(n=182) 18.7% 12.1% 8.2% 6.6% 5.5% 81.2点

- 31 -

Page 34: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

採点結果(認知機能検査の結果別 【実車走行1回目】)

70点未満 60点未満 50点未満 40点未満 30点未満 平均

75歳未満(n=97) 28.9% 22.7% 13.4% 10.3% 8.2% 70.6点

第1分類(n=14) 71.4% 57.1% 42.9% 35.7% 28.6% 33.9点

第2分類(n=57) 49.1% 40.4% 28.1% 24.6% 22.8% 54.2点

第3分類(n=114) 37.7% 27.2% 18.4% 15.8% 12.3% 66.4点

採点結果(認知機能検査の結果別 【実車走行2回目】)

70点未満 60点未満 50点未満 40点未満 30点未満 平均

75歳未満(n=96) 21.9% 14.6% 8.3% 4.2% 4.2% 80.4点

第1分類(n=14) 71.4% 57.1% 42.9% 35.7% 35.7% 41.8点

第2分類(n=57) 36.8% 29.8% 14.0% 10.5% 8.8% 70.8点

第3分類(n=112) 26.8% 13.4% 5.4% 4.5% 4.5% 77.7点

採点結果(認知機能検査の結果別 【実車走行3回目】)

70点未満 60点未満 50点未満 40点未満 30点未満 平均

75歳未満(n=95) 8.4% 5.3% 4.2% 3.2% 2.1% 86.8点

第1分類(n=14) 50.0% 35.7% 28.6% 21.4% 14.3% 63.2点

第2分類(n=57) 29.8% 17.5% 12.3% 12.3% 10.5% 73.4点

第3分類(n=111) 9.0% 6.3% 3.6% 1.8% 1.8% 87.4点

- 32 -

Page 35: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

*1 欧州は令和6年7月に義務化開始。

*2 軽トラックは令和9年9月。

ウ 衝突被害軽減ブレーキの義務付け等についての調査

令和元年12月、衝突被害軽減ブレーキ(車載のレーダーやカメラ等により前方の車両や

歩行者を検知し、衝突の可能性がある場合には、運転者に対して警報を行い、更に衝突の

可能性が高い場合には、衝突の防止又は被害軽減のために自動でブレーキを作動させる装

置 )の義務付け等について国土交通省は以下の内容を公表した( 交通安全緊急対策に係。 「

る車両安全対策の措置方針について 。」)

(ア)乗用車等の衝突被害軽減ブレーキの義務化

① これまでの状況

、 。 、令和元年6月末 日本の提案に基づく国際基準が成立した 令和2年1月発効したが

義務化の時期は各国において判断することとされている。令和2年1月、国内基準が公

布された。

② 国内基準(保安基準)の整備

可能な限り早期の義務付けをするため、他の国 に先行し、令和3年以降段階的に新車*1

を対象に義務付けをする。

国産車 輸入車

新型車の義務付け時期 令和3年11月 令和6年7月

継続生産車 の義務付け時期 令和7年12月 令和8年7月*2

③ 主な試験方法

・静止している前方車両に対して40km/hで接近し

た際に、衝突しないこと。

・20km/hで走行する前方車両に対して60km/hで接

近した際に、衝突しないこと。

( ) 、・5km/hで横断してくる歩行者 子供 に対して

30km/hで接近した際に、衝突しないこと。

・衝突被害軽減ブレーキが作動する少なくとも

( 、 ) 、0.8秒前 対歩行者の場合 作動開始 までに

運転者に衝突回避操作を促すための警報が作動

すること。

- 33 -

Page 36: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

*1 「自動車の先進安全技術の性能の評価等に関する規程 (平成30年国土交通省告示第543号)第1条参照。」

(イ)衝突被害軽減ブレーキの性能認定制度

性能認定制度は、先進安全技術の性能に対する一般消費者の関心と理解を深め、一般

消費者の選択を通じ先進安全技術を搭載した自動車の普及を促進することを目的とする

ものである 。*1

① 対象

乗用車等のうち、自動車メーカー等から申請があったもの。

② 対象装置

衝突被害軽減ブレーキ

③ 主な要件

・静止している前方車両に対して50km/hで接近し

た際に、衝突しない、又は衝突時の速度が20km/h

以下となること。

・20km/hで走行する前方車両に対して50km/hで接

近した際に、衝突しないこと。

・5km/hで横断してくる歩行者に対して、20km/hで

接近した際に、衝突しないこと。

・衝突被害軽減ブレーキが作動する少なくとも0.8

秒前(対歩行者の場合、作動開始)までに、運

転者に衝突回避操作を促すための警報が作動す

ること。

④ 今後のスケジュール

・令和元年度中に性能認定制度を整備予定。

・令和2年度中に申請があった車両について、令和3年度早期に国土交通省ウェブサイ

トで認定結果を公表予定。

- 34 -

Page 37: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

*1 新しい方式の急発進等抑制装置が商品化された場合には、対象装置の拡充を検討。

(ウ)ペダル踏み間違い急発進抑制装置の性能認定制度

① 対象

乗用車等のうち、自動車メーカー等から申請があったもの。

② 対象装置

障害物検知機能付きペダル踏み間違い急

発進抑制装置(発進時等に、ペダルの踏み

間違い等により周辺障害物との衝突可能性

がある場合に、衝突防止又は被害軽減のた

めに急発進及び急加速を抑制する装置)*1

③ 主な要件

・前進/後退時に進行方向の障害物(車両

ターゲット)に対してアクセルをフルス

トロークにした場合に衝突しない、又は

( )加速を抑制 速度変化率0.3以上に抑制

すること。

・加速抑制時に警報が作動すること。

④ 今後のスケジュール

・令和元年度中に性能認定制度を整備予定。

・令和2年度中に申請があった車両について、令和3年度早期に国土交通省ウェブサイ

トで認定結果を公表予定。

- 35 -

Page 38: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

(エ)後付けペダル踏み間違い急発進抑制装置の性能認定制度

① 対象

自動車メーカー、自動車用品メーカー等から申請があったもの。

② 対象装置と主な要件

下図のとおり。

③ 今後のスケジュール

令和元年度中に性能認定制度を整備。認定結果は随時公表。

④ その他

ペダル踏み間違いを防止する装置については、引き続き先行個別認定における定性的

な評価により対応。

- 36 -

Page 39: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

*1 公益財団法人交通事故総合分析センターの発表では、衝突被害軽減ブレーキを搭載した自家用乗用車と搭載していない自

家用乗用車を比較すると、平成28年及び29年における、登録・届出車数10万台当たりの対四輪追突死傷事故の第1当事者と

なる件数は、搭載した自家用乗用車の方が52.9%低くなっている( 高齢者の特性等に応じたきめ細かな対策の強化に向けた「

運転免許制度の在り方等に関する調査研究報告書」71頁及び同報告書巻末資料7参照 。)

エ 先進安全技術の現状に関する調査

、 、「 」交通対策本部の下 高齢運転者の交通事故防止対策の一環として 安全運転サポート車

の普及啓発に関する関係省庁副大臣等会議(構成員:経済産業副大臣、国土交通副大臣、

内閣府副大臣(金融担当 、警察庁交通局長)が開催され、平成29年3月の中間取りまとめ)

、 、「 ( )」において 官民をあげた普及啓発に用いることを目的に 安全運転サポート車 Ver 1.0

(愛称:セーフティ・サポートカーS(略称:サポカーS )のコンセプトを次のとおり定)

義した 。*1

衝突被害軽減ブレーキ(対歩行者)

ペダル踏み間違い時加速抑制装置 ※1サポカーS(ワイド)

車線逸脱警報装置 ※2

先進ライト ※3

衝突被害軽減ブレーキ(対車両)サポカーS(ベーシック+)

ペダル踏み間違い時加速抑制装置 ※1

低速衝突被害軽減ブレーキ(対車両) ※4サポカーS(ベーシック)

ペダル踏み間違い時加速抑制装置 ※1

※1 マニュアル車は除く。

※2 車線維持支援装置でも可。

※3 自動切替型前照灯、自動防眩型前照灯又は配光可変型前照灯をいう。

※4 作動速度域が30km/hのもの。

※ サポカーSのほか、衝突被害軽減ブレーキを搭載した自動車全般についても、愛称

をセーフティ・サポートカー(略称:サポカー)とし、普及啓発に取り組むこととさ

れた。

2(2)のとおり、令和元年6月の「未就学児等及び高齢運転者の交通安全緊急対策」

では 「安全運転支援機能を有する自動車を前提として高齢者が運転できる免許制度の創設、

に向け、制度の在り方、当該免許制度に適した車両に必要となる安全運転支援機能の範囲

や要件及び適合性確認の在り方並びに当該自動車の普及方策などについて関係省庁が連携

して検討を行い、性能認定制度の導入等の結論を得た上で、本年度内に結論を得る」とさ

れているところ、ウに記載した衝突被害軽減ブレーキの義務付けをはじめ、安全運転支援

機能の範囲や要件等について、現在、国土交通省において検討が進められている。

本分科会においては、先進安全技術の現状に関する調査として、サポカーSのコンセプ

トのうち最も安全性が高いと考えられる「サポカーS(ワイド 」等を対象とし、以下の概)

要のとおりヒアリング調査及び交通事故抑止効果の分析を行った。

- 37 -

Page 40: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

*1 「超小型モビリティ導入に向けたガイドライン (平成24年6月、国土交通省)では 「自動車よりコンパクトで小回りが」 、

利き、環境性能に優れ、地域の手軽な移動の足となる1人~2人乗り程度の車両」と定義されている。

*2 ここでいう「試験機」とは、超小型モビリティの車体そのもののことであり、速度抑制装置(30km/h)を搭載しているか

どうかは問わない。

また、1(1)に記載した近年の主な死亡事故の中には、高い速度で他の交通主体や建

造物に突っ込む態様のものが見られるほか (1)カの事故分析のとおり、危険認知速度が、

高い事故は死亡事故率が高くなっており、車両の構造上出すことができる速度を抑制する

ことは、死亡事故の抑止や被害の軽減に資するものと考えられることから、ヒアリング調

査では、そのような機能の1つである速度抑制装置に関しても調査を行った。

なお、今回のヒアリング調査は、運転免許制度の見直しの方向性について具体的な制度

案を示して調査を実施したものではない。また、先進安全技術の現状を把握することを調

査の主眼に置いたため、調査対象である自動車メーカー各社の公式見解を聴取したもので

はない。

(ア)調査概要

① 速度抑制装置(40~60km/h)を搭載したサポカーS(ワイド)について

速度抑制装置(40~60km/h)を搭載したサポカーS(ワイド)について、新車として

の製造可否、既販車への後付けの可否及び衝突被害軽減ブレーキに係る国際基準の達成

難易度を調査するため、国内主要自動車メーカー8社からヒアリングを行った。

② 速度抑制装置(30km/h)を搭載した超小型モビリティ について*1

速度抑制装置(30km/h)を搭載した超小型モビリティについて、試験機 の有無及び開*2

発・商品化の見通しを調査するため、国内主要自動車メーカー8社に超小型モビリティ

等メーカー主要2社を加えた合計10社からヒアリングを行った。

③ 諸外国における先進安全技術の動向について

諸外国における先進安全技術の動向について調査するため、輸入車を取り扱う団体か

らヒアリングを行った。

- 38 -

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(イ)調査結果

① 速度抑制装置(40~60km/h)を搭載したサポカーS(ワイド)について

ⅰ)新車としての製造可否

技術的観点からの製造可否については、6社から「技術的には製造可能」である旨

の回答が、残りの2社から「速度抑制装置に求められる詳細な仕様が明示されない限

り、技術的な製造可否を回答することはできない」旨の回答があった。

【各メーカーからの主な回答】

○ 技術的には製造可能である。当社は国外で速度抑制装置(80km/h)が搭載された

自動車を販売しており、これを応用する形になると思う。ただし、日本向けにロー

カライズする必要がある。

○ 出力制御式で、10km/h程度の最高速度超過が認められ、運転者が自由に最高速度

を設定・解除・変更できるような簡易な仕様のものであれば、技術的にはそれほど

難易度が高い話ではない。他方で、ブレーキ制御式で、1km/hたりとも最高速度超

過が認められず、運転者が容易に最高速度を設定・解除・変更できないような高度

な仕様のものが求められるのであれば、かなり難易度が高くなる。

○ 当社は、ハンドルに装着されたレバーを操作して、任意の最高速度を設定するこ

とのできる機能が搭載された自動車をヨーロッパで販売しており、これをある程度

流用できると考えている。ただし、運転者によるオーバーライドが簡単にできるも

のなので そのまま移植するというわけにはいかないだろう また どんな環境 例、 。 、 (

えば、勾配のきつい坂道や濡れた路面)でも絶対に制限速度を超えることは許容さ

れず、容易に速度制限を解除できないものが求められるのであれば、難易度はかな

り上がる。

○ 1台を複数人でシェアすることを前提とする場合、速度制限をオン・オフするス

イッチや速度制限がかかっているかどうかを表示するディスプレイが必要になるた

め、相応のコストがかかると思う。

○ 「速度抑制装置」としていかなるものを想定しているのかが示されない限り、回

答することができない。

- 39 -

Page 42: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

また、商業的観点からの製造可否については、8社全てから「速度抑制装置に求め

られる細かな仕様、限定免許の対象者数の規模感等が明らかにならない限り、ビジネ

スとして成立するかどうかは判断できない」旨の回答があった。

【各メーカーからの主な回答】

○ 1車種開発するためにはそれなりの投資が必要であるところ、その製品の需要がど

の程度見込めるのかが分からないと、ビジネスとして成り立つかどうかの予測は立て

られない。

○ 速度抑制装置の細かな仕様(制限速度超過を一切許容しないのかある程度の誤差を

認めるのか、加速だけ止めればいいのかブレーキまで求めるのか、雨天時や坂道でも

同様の性能を求めるのか、など)が示されないと、具体的な開発コスト等を検討する

ことができず、ビジネスとして成立するかどうかが判断できない。

○ EU、台湾及びラテンアメリカでは、任意の制限速度を設定することのできる機能

を自動車アセスメントの評価項目に加える動きがあることを踏まえ、これらの国にお

ける2023年頃の販売開始を見据え、既に検討に着手したところである。日本における

限定免許を巡る情勢によっては、開発リソースを追加投入して検討を加速することに

ついても検討の余地はある。

○ 速度抑制装置については、社内で検討を行ったことがあるが、ユーザーに我慢を強

いることになり、商品として販売するのは難しいという結論に至った。ただし、社会

的受容性の高まりや運転免許制度の改正により、ユーザーの我慢をある程度前提とで

きるようになるのであれば、結論は変わり得ると思う。

ⅱ)安全運転支援装置の後付け可否

対歩行者衝突被害軽減ブレーキ及び先進ライトの後付けについては、8社全てから

「困難である」旨の回答があった。

【各メーカーからの主な回答】

○ これらの装置を後付けしようとすると、車体の設計自体を見直す必要があり、技術

的に全く不可能というわけではないが、ビジネスとしては成立しない。

○ 他方で、既に搭載されている「対車両」衝突被害軽減ブレーキを「対歩行者」のも

のにアップグレードする、という程度のものであれば検討の余地はある。

- 40 -

Page 43: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

、 「 」車線逸脱警報装置の後付けについては 1社からは 商品化の可否を検討中である

旨の回答が、1社からは「技術的には難しいことはないため、検討の余地はある」旨

の回答が、2社からは「ビルトインタイプのものに比べると性能は劣るものの、ディ

ーラーオプションとして後付け可能なものを用意している」旨の回答が、残りの4社

からは「後付けは困難であり、検討も行っていない」旨の回答があった。

【各メーカーからの主な回答】

○ 当社では車線逸脱警報装置を含むパッケージを約10万円(標準取付費込み)で提供

している。

○ メーカー純正品としての信頼性を有するレベルの後付け式装置の開発は困難であ

る。

○ 後付け式の装置をメーカーオプションとして用意しているが、ビルトインタイプの

ものと比べると性能は劣る。例えば、ビルトインタイプのものは薄くなってしまった

、 。白線も認識できるのに対して 後付けのものははっきり見える白線しか認識できない

ペダル踏み間違い時加速抑制装置の後付けについては、2社から「既に複数の車種

について後付け式の装置を商品化している」旨の回答が、残りの6社からは(令和元年

7月5日に国土交通大臣政務官から「後付け安全運転支援装置の装備拡大等に向けた

開発計画」の策定要請がなされたこともあり 「来年以降の商品化を実現するべく検、)

討を進めている」旨の回答があった。

【各メーカーからの主な回答】

○ 既に商品化しており、約6万円(標準取付費込)で提供している。

○ 開発中である。まずは、購入者に占める高齢者の割合が高い車種をターゲットにし

ようと検討しているところである。対象車種は今後拡大していきたいと思うが、既販

車の100%をカバーするのは現実的ではない。

○ 2020年夏以降の商品化を目指して現在開発を進めているところである。他の先進安

全機能と違うのは、バンパー側に超音波センサーを埋め込むという比較的簡易な改造

により実現可能であること。

○ 2020年以降に商品化する予定である。現在、製造年・車種・グレードごとに精査し

ている段階であるが、全ての車両に後付けできるようにはならないと思う。

- 41 -

Page 44: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

ⅲ)速度抑制装置の後付け可否

技術的観点からは、6社から「電子制御(スロットル)式の自動車に関しては、技

術的には開発可能」である旨の回答があったが、残りの2社から「要求される仕様が

明示されない限り、技術的な観点からの開発可能性を回答することはできない」旨の

回答があった。

【各メーカーからの主な回答】

○ 最近の車は電子制御式のものがほとんどであるため、制限速度の上限に達する前

に速度が電子的に緩やかに抑制され、アクセルペダルを踏み続けたとしても最高速

度未満の速度が維持される。運転者の感じる違和感を完全に解消することはできな

いが、ある程度は低減できるだろう。

○ 機械制御式の車については、電子制御式のものとは異なりスムーズな速度抑制が

、 。 、 、できないことから 後付けはできない 例えば アクセルペダルを踏み続けた場合

、 、最高速度に達した段階でガクンと速度が抑制され また急加速して最高速度に達し

ガクンと速度が抑制される、ということの繰り返しになる。

○ 要求される仕様が明示されなければ回答することはできない。

商業的観点からは、3社から「要求される仕様と市場規模が明示されなければ回答

することはできない」旨の回答が、1社から「電子制御式のものに限り検討の余地は

ある。ただそれでも、既販車の全てを網羅できるということにはならない」旨の回答

が、残りの4社から「開発コスト(費用、時間及び手間)を回収するだけの売上げが

見込めないことから、ビジネスとしては成り立たないだろう」という旨の回答があっ

た。

【各メーカーからの主な意見】

○ 既販車の全てについて後付けの速度抑制装置を開発することは難しい。

○ 現在、社内リソースを後付け式ペダル踏み間違い時加速抑制装置の開発に集中し

ており、後付け式速度抑制装置に関する検討には当面は手が回らないだろう。

○ 要求される仕様と市場規模が明示されなければ回答することはできない。

- 42 -

Page 45: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

*1 主な要件はウ(ア)に記載のとおり。

ⅳ)衝突被害軽減ブレーキに係る国際基準 の達成難易度*1

国際基準達成の難易度については、4社からは「決して低くない」旨の回答が、3

社からは「実験未実施につき回答不可」である旨の回答が、残りの1社からは「車種

によって異なる」旨の回答があった。

【各メーカーからの主な意見】

○ (独)自動車事故対策機構の実施する自動車アセスメント(JNCAP:Japan

New Car Assessment Program)の実験条件下では国際基準に規定する走行速度・衝突

速度の要件をクリアできているが、国際基準で規定された実験条件はこれとは同一で

はないため、確実なことは言えない。

○ 国際基準は大変厳しい基準であるが、当社の最新のモデルは全て、これを満たして

いると考えている。

。 。○ 国際基準は非常に難易度が高い 場合によっては車体の骨格から見直す必要がある

○ 走行速度50~60km/hについては、国際基準を達成するのは(不可能ではないが)結

構難易度が高い。走行速度が速いと、十分な制動力を働かせるためには、早くからブ

レーキを作動させる必要がある ただし ブレーキ作動を早くするということは 過。 、 、「

剰作動」につながる可能性もあり得る。減速量を確保することと、過剰作動をさせな

いこととのバランスを取る必要があり、ブレーキ作動判断のタイミング設定が難しく

なる。

ⅴ)後付け式装置全般について

8社全てから「車両の運行に関わる装置の後付けは、そもそもビジネスとして成り

立たない」旨の回答があった。

【各メーカーからの主な意見】

○ 車両の運行に関わる装置の後付けというのは、そもそもビジネスとして成り立た

ない。既販車についてはそれぞれ状態が異なるため、キャリブレーション(調整)

に大きな時間、手間と費用がかかる。しかも、年式・モデル・グレードごとに個別

に新規開発が必要であるところ、対象となる単位は極めて多く、かつ、せっかく多

額のコストを投じて開発しても、買換えに伴い需要が段々縮小していくことが明白

である。

- 43 -

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② 速度抑制装置(30km/h)を搭載した超小型モビリティについて

ⅰ)試験機の有無

3社からは「実証実験用の超小型モビリティ試験機が存在する」旨の回答が、1社

からは「既にミニカーとして超小型モビリティを市販している」旨の回答が、残りの

「 、 」6社からは そもそも超小型モビリティの開発計画がないため 試験機は存在しない

旨の回答があった。

ⅱ)開発・商品化の見通し

1社からは「最高速度を60km/hに設定した超小型モビリティをミニカーとして市販

している。より低速のモデルの開発・販売を検討する余地はある」旨の回答が、1社

からは「最高速度を60km/hに設定したモデルを近いうちに販売する予定であるが、よ

り低速のモデルの開発・販売を検討する余地は、今のところはない」旨の回答が、2

社からは「試験機を用いて実証実験を行ったが、現時点では商品化は考えていない」

旨の回答があった。また、残りの6社からは「超小型モビリティの開発に着手する予

定はない」旨の回答があった。

【各メーカーからの主な意見】

○ 当社が販売している超小型モビリティについては、基本的にはソフトウェアの変更

+αで最高速度の変更が可能であるが、品質保証のための確認・検査の手順は踏む必

要があるため、一定の開発期間を要する。たとえ販売台数が見込めなくとも、超小型

モビリティが普及していく足掛かりになるのであれば、最高速度をより低く設定した

グレードの開発・販売を検討する余地はあると考えている。

○ 最高速度を60km/hに制限した超小型モビリティの販売を予定しているが、その名称

や価格は現時点で未定である。これについては、国土交通省において検討中の「超小

型モビリティの型式指定 (保安基準が緩和される)を受ける予定である。」

○ 試験機を用いて実証実験を実施したが、製造のための投資額を検討すると、価格が

、 、 。軽自動車と同程度になってしまい 現時点 事業成立の見通しはないと判断している

○ 当社が欧州で現に販売しているモデルは、日本の保安基準を満たしていないことか

ら、そのまま日本で販売することはできない。また、国土交通省において検討中であ

る超小型モビリティの型式指定制度にも適合しないことから、今後も市販は難しいと

考えている。

○ 同程度の値段で、超小型モビリティよりも安全性が高く、4人乗りの軽自動車が買

えてしまうことから、商売にならないと考えている。

○ 公道走行可能なGSM(Green Slow Mobility)というカテゴリーの車両を開発して

いる。これは、最高速度を20km/h未満に制限することを前提として、保安基準の大幅

な適用除外(シートベルト不要、衝突実験不要、速度計不要等)を受けることが可能

となる車両カテゴリーである。最高速度20km/h未満であるが故に受けられる様々な保

安基準の適用除外を前提として設計された車両であることから、保安基準の改正を伴

わない限り、最高速度30km/hの超小型モビリティを製造することはできない。

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Page 47: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

③ 諸外国における先進安全技術の動向について

輸入車を取り扱う団体から「総合的な安全確保の観点から、海外メーカーによって実

用化されている先進安全技術も踏まえて検討してほしい」旨の回答があった。

【主な意見】

○ 交通事故抑止につながる先進安全技術は、サポカーS(ワイド)の4機能(衝突被害

軽減ブレーキ、ペダル踏み間違い時加速抑制装置、車線逸脱警報装置及び先進ライト)

だけでなく、他にもある。海外メーカーによって実用化されている先進安全技術も踏ま

えて検討してほしい。

○ 既に実用化されているポストクラッシュブレーキは、一次衝突後に運転者の操作なし

で車両を停止・減速させ、二次衝突を回避する機能を有している。

○ 自動車を共用している場合に、特定のキーを用いる運転者の走行可能な制限速度を設

定することのできる機能が実用化されている。すなわち、メインキーを使って任意の制

限速度を事前に設定しておくことで、特定のキーの使用者が当該制限速度を超えて運転

することができなくなる。

④ その他

複数社から「速度抑制装置の搭載については、設定速度によっては、最高速度を制限

した自動車が一般交通に混入することで、渋滞を招き、無理な追越しやあおり運転を惹

起するなど、交通の安全と円滑の両面から懸念がある」旨の回答があった。

【各メーカーからの主な意見】

○ 地方部では狭い道路も多く、このような道路を低速で走っていると他の車の走行の

邪魔になる。渋滞の原因になるし、無理な追越しやあおり運転を惹起するなど、安全

上の懸念もあるのではないか。

○ 速度抑制装置を搭載して最高速度を抑制すれば、確かに衝突時のダメージは低減す

るが、トレードオフとして安全性を損なう部分が出てくることになると考えている。

具体的には、本線合流時や右折時等、瞬間的に速度を出して切り抜ける必要がある場

面で速度を出せないような場合である。

- 45 -

Page 48: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

*1 なお、必ずしもサポカーS(ワイド)のみに専用の型式が割り振られているわけではないため 「サポカーS(ワイド)に、

該当する」と整理された型式の中にはサポカーS(ワイド)に該当しない車両も少数ながら含まれている一方、それ以外の

型式の中にもサポカーS(ワイド)が一定数含まれていることに留意する必要がある。

*2 サポカーの分類についてはP37参照。

*3 「 安全運転サポート車」の普及啓発に関する関係省庁副大臣等会議中間とりまとめ (平成29年3月31日)において初め「 」

てサポカーSのコンセプトが定義されたことから、分析対象期間の始期は同年5月とした。

*4 サポカーSワイドに係る死亡・重傷事故件数は分析のために十分なデータ量ではないため、全ての人身事故を対象として

分析を実施した。

*5 登録台数は、平成29年の年央値の8か月分と平成30年の年央値を加えたものである。

(ウ)サポカーS(ワイド)の交通事故抑止効果の分析

サポカーS(ワイド)の交通事故抑止効果を検証するため、以下のとおり分析を実施

した。

① 概要

公益財団法人交通事故総合分析センターが保有するデータベースから必要なデータを

抽出し、分析を実施する。ただし、同データベースには、車両がサポカーS(ワイド)

に該当するかどうかを示すパラメータが存在しないため、一般社団法人日本自動車工業

会を通じて、国内主要乗用車メーカー8社からサポカーS(ワイド)に該当する型式を*1

入手し、当該型式に該当する車両をサポカーS(ワイド)として取り扱うこととした。

なお、サポカーS(ベーシック+ 、サポカーS(ベーシック)及びサポカー は現在)*2

ほとんど製造されていないことに加え、これらを特定できる独立した型式が入手できな

かったことから、今回の分析においては、サポカーS(ワイド)のみを区別して分析を

実施することとした。

② 分析対象期間

平成29年5月 から平成30年12月まで*3

③ 分析対象車両

普通乗用車又は軽乗用車のうち、

ⅰ サポカーS(ワイド)に該当する型式を有する車両

ⅱ (ⅰを含む)全ての車両

の2群を比較することにより分析を行う。

④ 分析方法*4

走行実態を踏まえた分析とするため 第1当事者となった人身事故 死亡事故を含む、 ( 。)

について、登録台数 当たりの件数を算出した。*5

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⑤ 分析結果

分析の結果は下記のとおりである。

0

100

200

300

400

500

600

登録台数10万台当たりの第1当事者事故件数比較

(件)

41.6%減

第1当事者人身事故件数

登録台数

登録台数10万台当たり1当事故件数

(1当事故件数×10万/登録台数)

全車両 524,281 102,962,091 509.20 サポカーS(ワイド) 2,500 841,202 297.19

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オ 地方自治体に対するヒアリング

第3回及び第4回分科会において、交通空白地域を抱える自治体の首長から、地域の実

情や取組等についてのヒアリングを行った。

(ア)愛媛県鬼北町(兵頭誠亀町長)による発表の概要

① 現状

鬼北町は愛媛県の南西部に位置する中山間地域である。人口約1万人のうち、65歳以

上が44.2%を占め、その割合は年々増加傾向にある。役場、病院、交番、銀行等の主要

な施設は全て町の中心部に集まっている一方で、町民の半分以上が周辺部に住んでいる

ため、車で1時間かけてこれらの施設を利用する必要がある者もいる。

また、買い物や通院以上に、運転する目的として農業が挙げられ、農地の管理のため

にかなりの距離を走行する必要がある。生業である農業のほか、家庭ゴミをゴミ処理場

まで運ぶ必要もあるなど、自家用車の使用が生活に必須となっている。

公共交通機関としては、町内を走る民営バスがあるが、乗車率の低い地域では廃線と

なるなど、充実しているとはいえない。廃線となった地域の一部では、町営で代替バス

を運営しているものの、採算が取れていない状況である。

町内の死亡事故については、年間で1件あるかどうか、という程度である。また、教

習所は宇和島市にしかない。自主返納については、平成30年中は60件となっているとこ

ろ、昨今の交通事故情勢もあって、令和元年は増加傾向にある。

② 対策

現在、鬼北町では、従来町営バスを運行していた路線のデマンドタクシー化とタクシ

ー補助券の交付等に取り組んでいる。バスが通る本線道路から離れた場所に住んでいる

運転免許を持っていない町民に対し、本線道路からの距離に応じ、年間最大7万円分の

タクシー補助券を交付している。さらに本年度から、町内中心部の主要施設を循環する

バスの運行を始めるとともに、運転免許証の自主返納者に対して年間25,000円分のタク

シー補助券又は給油補助券を3年間交付する施策を始めている。

しかしながら、例えばデマンドタクシーについては、経費が町営バスを運行していた

ときの10分の1となっているものの、前日に予約しなければ利用することができないた

め、その利用率が低迷しているなど、対策には不十分な点もあり、これらの施策が自家

用車の利用を代替するには至っていない。

農作業の営みや野菜を育てて収穫を喜ぶといった生きがいを確保しながら、町民の満

足を得られる交通弱者対策を喫緊の課題として急いでいるところである。現在行ってい

る施策のほか、地域住民が主体となって実施する高齢者輸送を考えていかなければなら

ないと考えている。

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Page 51: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

(イ)愛知県豊田市(太田稔彦市長)による発表の概要

① 現状

豊田市は、市域の約70%を中山間部が占めており、人口の5%に当たる約2万人が居

。 、 、住している 市全体で見ると 平成27年時点で65歳以上が占める割合は20.6%であるが

中山間部で高齢化が進展しており、既に高齢化率が50%に達している地区も存在する。

市内の公共交通サービスとしては、鉄道、基幹バス、地域バスが存在する。鉄道、バ

スの利用者はここ10年で大幅に増加しており、毎日運行する公共交通サービスでの人口

カバー率は83.4%となっている。しかし、自動車が交通手段に占める割合は増加傾向に

あり、70歳以上の高齢者の運転免許保有率は約80%と高くなっている。

、 、交通事故死傷者数については減少傾向にあり 17年時と比較して半減しているものの

令和元年9月末時点での交通事故死者数は前年と比較して増加している。自主返納者数

については、ここ4年で倍増している。

② 対策

豊田市では 「車を運転しなくてもよい環境づくり」と「安全に車を運転できる環境づ、

くり」の2つの方針から、高齢者の移動手段に関する対策を進めている。

「車を運転しなくてもよい環境づくり」として、利用者の少ない非効率的なコミュニ

ティバスに代えてタクシーの運賃を補助する取組や、アプリでマッチングしたボランテ

ィアドライバーが自らの自家用車で住民を運ぶ「たすけあいカー」の取組等を行ってい

る。

また 「安全に車を運転できる環境づくり」として、中山間部に適した仕様に地域住民、

自らが改造した超小型モビリティ「里モビ」の有償貸出しや、安全運転サポート車や超

小型モビリティ等の購入補助等の取組を行っている。

これらの対策以外にも、中山間部の支所での認知機能検査の実施など、様々な取組を

検討している。

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Page 52: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

*1 対象者数を全国で2,000人とし、各都道府県の70歳以上の運転免許保有者数(平成30年末日時点)に応じ、対象人数を割り

当てた。各都道府県警察では、令和元年9月25日からそれぞれ割り当てられた対象人数以上の回答が集まるまでの間、アン

ケート調査を実施した(回答数が割り当てられた人数を超えた場合であっても、回収した全ての回答(*4の無効回答を除

く )を集計の対象とした 。。 。)

*2 運転免許証の更新期間中に70歳となるため、69歳で高齢者講習を受講等する者を含む。

*3 高齢者講習受講者のほか、高齢者講習等を既に受けており、運転免許証の更新手続のために運転免許試験場等の更新窓口

に来場した者を含む(自主返納の申請や運転適性相談のために来場した者は含まない 。。)

*4 年齢や性別など基本的な問に回答していないものや、明らかに虚偽の回答(例えば、年齢を「3歳」と回答しているにも

かかわらず「運転免許証を持っている」と回答しているもの)を含むものは、無効回答として全ての回答を集計の対象から

除外した。

カ 国民に対するアンケート調査

(ア)調査方法

高齢運転者の交通事故防止対策に関する国民の意識や意見を把握し、今後の検討に活

かすため、令和元年9月25日から、以下の3つの方法でアンケート調査を実施した。

① ネットリサーチ

ネットリサーチ会社に委託して調査を実施した。

この対象者は、回答者全体の年齢層に偏りがなく、かつ、性別が均等になるように回

答を受け付けた。具体的な年齢及び性別の内訳は、次のとおりである。

10歳代 20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 70歳以上

男性 100人 100人 175人 175人 175人 175人 100人

女性 100人 100人 175人 175人 175人 175人 100人

② 警察庁ウェブサイトを経由した調査(以下「ウェブサイト経由」という )。

令和元年9月25日から10月9日までの間、警察庁ウェブサイト上にアンケート実施ウ

ェブサイトへのリンクを掲載し、回答を受け付けた。併せて、メール、FAX又は郵送

による回答も受け付けた。

③ 高齢者講習受講者等に対する調査 (以下「高齢者講習等」という )*1

。*2 *3

47都道府県の運転免許試験場又は教習所に来場した70歳以上 の高齢者講習受講者等

に対して、調査票を交付して回答を受け付けた。

(イ)有効回答数

合計13,530件の有効回答 を得た。その内訳は、以下のとおりである。*4

・ ネットリサーチ …2,000件

・ ウェブサイト経由…9,495件

・ 高齢者講習等 …2,035件

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Page 53: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

(ウ)主な調査結果

主な調査結果は、以下のとおりである。

① 回答者の属性

回答者の属性(年齢、性別、免許の有無)を調査した結果は、以下のとおりである

(図31~図33 。)

図31 ネットリサーチ

回答数

10歳代 200 (10.0%)

20歳代 200 (10.0%)

30歳代 350 (17.5%)

40歳代 350 (17.5%)

50歳代 350 (17.5%)

60歳代 350 (17.5%)

70歳~74歳 151 (7.6%)

75歳以上 49 (2.5%)

小計 2,000 (100%)76.3%

23.7%

免許の有無

持っている 持っていない

ネットリサーチ(N=2000)

50.0%50.0%

性別

男性 女性

10.0% 10.0% 17.5% 17.5% 17.5% 17.5% 7.6%

2.5%

10~19歳 20~29歳 30~39歳 40~49歳

50~59歳 60~69歳 70~74歳 75歳以上

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Page 54: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

*1 70歳以上の運転免許保有者数全体に占める男女比は、男性64.3%、女性35.7%である(令和元年末現在 。)

図32 ウェブサイト経由

*1図33 高齢者講習等

回答数

10歳代 ―

20歳代 ―

30歳代 ―

40歳代 ―

50歳代 ―

60歳代* 77 (3.8%)

70歳~74歳 874 (42.9%)

75歳以上 1,084 (53.3%)

小計 2,035 (100%)

100.0%

免許の有無

持っている 持っていない* 更新期間中に70歳となるため、69歳で高齢者講習を受講等する者を含む。

高齢者講習等(N=2035)

67.1%

32.8%

0.0%性別

男性 女性 わからない/答えられない

3.8% 42.9% 53.3%

69歳 70~74歳 75歳以上

回答数

10歳代 292 (3.1%)

20歳代 3,543 (37.3%)

30歳代 3,677 (38.7%)

40歳代 1,261 (13.3%)

50歳代 534 (5.6%)

60歳代 128 (1.3%)

70歳~74歳 30 (0.3%)

75歳以上 30 (0.3%)

小計 9,495 (100%)

80.1%

19.9%

免許の有無

持っている 持っていない

ウェブサイト経由(N=9495)

11.8%

86.1%

2.1%

性別

男性 女性 わからない/答えられない

3.1% 37.3% 38.7% 13.3% 5.6%

1.3%

0.3%0.3%

10~19歳 20~29歳 30~39歳 40~49歳

50~59歳 60~69歳 70~74歳 75歳以上

- 52 -

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② 回答結果

ⅰ)高齢者の運転に対する印象ついて【問1】

「あなたは高齢者(80歳以上の方を念頭に置いてください)の運転について、どの

ように思いますか 」という質問の回答は、以下のとおりである(図34 。。 )

、「 、 」、いずれの調査においても 高齢者の危険な運転を見たことがあり 危ないと思う

「高齢者の危険な運転は直接見ていないが、ニュースなどで見て、危ないと思う」と

、 、「 、いう回答が多く 特にウェブサイト経由では 高齢者の危険な運転を見たことがあり

危ないと思う」という回答が多かった。

図34 「あなたは高齢者(80歳以上の方を念頭に置いてください)の運転について、どのよ

うに思いますか 」に対する回答。

3.7%

36.4%

48.5%

11.5%

ネットリサーチ(N=2000)

高齢者は慎重に運転しており、安全だと

思う

高齢者の危険な運転を見たことがあり、

危ないと思う

高齢者の危険な運転は直接見ていない

が、ニュースなどで見て、危ないと思う

わからない

無効回答( 複数回答)無効回答(複数回答)

0.4%

71.6%

27.2%

0.8%

ウェブサイト経由(N=9495)

14.0%

27.6%

50.8%

7.1%0.5%

高齢者講習等(N=2035)

- 53 -

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ⅱ)高齢者が運転することについて【問2】

問1で 「高齢者の危険な運転を見たことがあり、危ないと思う」又は「高齢者の危、

険な運転は直接見ていないが、ニュースなどで見て、危ないと思う」と回答した者に

対する 「高齢者が運転することについて、どう思いますか 」という質問の回答は、、 。

以下のとおりである(図35 。)

いずれの調査においても 「運転能力が不十分な高齢者の運転はやめさせるべきであ、

る」又は「交通違反や交通事故を起こした高齢者の運転はやめさせるべきである」と

の回答が多かった。

図35 「高齢者が運転することについて、どう思いますか 」に対する回答。

10.1%

60.0%

24.4%

3.4%

2.1%ネットリサーチ(N=1696)

高齢者の生活等のために運転するのは

認めるべきである

運転能力が不十分な高齢者の運転はや

めさせるべきである

交通違反や交通事故を起こした高齢者の

運転はやめさせるべきである

わからない

その他

無効回答( 複数回答)無効回答(複数回答)

4.9%

69.6%

18.8%

0.5%6.2%

ウェブサイト経由(N=9382)

24.9%

48.6%

18.9%

4.1%1.8% 1.8%

高齢者講習等(N=1594)

- 54 -

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ⅲ)現在の高齢者に関する運転免許制度について【問3】

「高齢者の運転免許制度について、今後、どうすべきだと思いますか 」という質問。

の回答は、以下のとおりである(図36 。)

「 、 」ネットリサーチ及びウェブサイト経由では 今の制度は良いが 制度を改善すべき

又は「高齢者の運転免許制度を見直すべきだ」という回答が多く、高齢者講習等では

「今の制度は良いが、制度を改善すべき」又は「高齢者の運転免許制度を見直すべき

だ」と「今のままで良い」という回答がほぼ同じ割合であった。

図36 「高齢者の運転免許制度について、今後、どうすべきだと思いますか 」に対する回答。

10.0%

34.8%45.0%

10.4%

ネットリサーチ(N=2000)

今のままで良い

今の制度は良いが、より良いものに

改善すべきだ

高齢者の運転免許制度を見直すべ

きだ

わからない

無効回答( 複数回答)

0.8%

27.0%71.7%

0.5%ウェブサイト経由(N=9495)

45.7%

34.6%

11.4%

7.6%

0.6%高齢者講習等(N=2035)

無効回答(複数回答)

- 55 -

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ⅳ)制度見直しの方向性について【問4】

問3で「今の制度は良いが、より良いものに改善すべきだ」又は「高齢者の運転免

許制度を見直すべきだ」と回答した者に対する 「高齢運転者による死亡事故を減らす、

ために、今後何を行えば良いと思いますか 」という質問の回答(複数回答可)は、以。

下のとおりである(図37 。)

、「 、 、いずれの調査においても 高齢者の運転能力を確認して 運転能力が不十分な人は

免許証を更新できないようにする」という回答が最も多かった。

図37 「高齢運転者による死亡事故を減らすために、今後何を行えば良いと思いますか 」に。

対する回答

27.7%

66.0%

31.5%

40.2%

30.7%

4.2%

2.5%

47.1%

81.5%

44.8%

71.1%

47.4%

0.2%

10.4%

19.0%

67.6%

25.5%

23.7%

18.1%

3.3%

3.5%

0.0% 20.0% 40.0% 60.0% 80.0% 100.0%

一定の年齢に達したら免許を持てないようにする

高齢者の運転能力を確認して、運転能力が不十分な人は、

免許証を更新できないようにする

高齢者が乗ることができる自動車や場所などを制限する

高齢者の運転免許証の有効期間を短くする(現在は3年間)

高齢者講習の時間や内容・方法を見直す

(現在、多くの方は2時間の講習)

わからない

その他

ネットリサーチ(N=1594) ウェブサイト経由(N=9378) 高齢者講習等(N=937)

※ 複数回答可

高齢者の運転能力を確認して、運転能力が不十分な人は、免許証を更新できないようにする

- 56 -

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ⅴ)運転能力の確認の対象者について【問5】

問4で「高齢者の運転能力を確認して、運転能力が不十分な人は、免許証を更新で

きないようにする」と回答した者に対する 「何歳以上の方に運転能力の確認を実施す、

べきだと思いますか 」という質問の回答は、以下のとおりである(図38 。。 )

ネットリサーチ及びウェブサイト経由においては 「70歳以上」という回答が最も多、

かったが、高齢者講習等においては 「75歳以上」という回答が最も多かった。、

図38 「何歳以上の方に運転能力の確認を実施すべきだと思いますか 」に対する回答。

56.7%23.0%

10.8%

1.6%0.3% 3.8%

3.8%ネットリサーチ(N=1052)

70歳以上

75歳以上

80歳以上

85歳以上

90歳以上

わからない

その他

無効回答( 複数回答)無効回答(複数回答)

66.1%8.4%2.1%

0.2%0.1%

1.2%22.0%

ウェブサイト経由(N=7641)

25.8%

34.8%

24.0%

6.3%

1.3%5.2% 2.4% 0.3%

高齢者講習等(N=633)

- 57 -

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ⅵ)限定免許の内容について【問6】

問4で「高齢者が乗ることができる自動車や場所などを制限する」と回答した者に

対する 「どのような限定があれば良いと思いますか 」という質問の回答は、以下の、 。

とおりである(図39 。)

いずれの調査においても 「一定の事故抑止効果や被害軽減効果を有する車に限定」、

という回答が最も多かった。

図39 「どのような限定があれば良いと思いますか 」に対する回答。

62.7%16.9%

4.2%

11.2%

3.2%1.8%

ネットリサーチ(N=502)

一定の事故抑止効果や被害

軽減効果を有する車に限定

自宅周辺などに地域を限定

時間帯(昼間のみなど)を限定

同乗者がいる場合に限定

わからない

その他

無効回答( 複数回答)

71.0%11.3%

2.3%8.7%

0.9% 5.8%

ウェブサイト経由(N=4203)

44.8%

25.1%

12.6%

5.0%6.7%

1.7%4.2%

高齢者講習等(N=239)

無効回答(複数回答)

- 58 -

Page 61: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

*1 3(2)エに記載のとおり 「安全運転サポート車(Ver 1.0 」のコンセプトが定義されているが、本分科会では、このコ、 )

ンセプトに規定されていない先進安全技術も含めた安全運転支援機能全般を念頭に置いて議論を行っており、本報告書にお

ける「サポカー」とは、このような機能を有する車両全般を指す。

なお、限定条件付免許の対象となるサポカーの具体的な内容については (2)イ(イ)に記載のとおり、事故防止効果等、

を踏まえ、今後更に検討を行う必要がある。

4 今後の高齢運転者の運転免許制度の在り方

(1)高齢運転者の運転免許制度に関する見直しの論点

分科会では、3に記載の調査研究の実施状況等を踏まえ、運転免許制度の在り方につい

て議論が行われた。その見直しの主な論点は以下のとおりである。

ア 運転技能検査について

歩行者等が巻き込まれるような高齢運転者による重大事故を防止するとともに、高齢運

転者本人やその同乗者が被害者とならないようにするため、高齢運転者の運転免許証の更

新時に運転技能の確認(運転技能検査)を行うことについて、以下の論点を議論した。

・ どのような方法によってどのような効果が見込まれるか

・ 運転技能検査の対象者について、年齢を何歳以上の者とするか、事故・違反歴のある

者に限定するのかどうか

・ 運転技能検査の結果、一定の基準に達しなかった者の取扱いをどうするか(免許を失

効させる、一定の条件により継続させる)

イ 限定条件付免許について

限定条件付免許の検討に当たっては、2(2)に記載のとおり、平成29年7月の交通対

策本部決定及び令和元年6月の閣僚会議決定において検討することとされた「安全運転サ

ポート車 (安全運転支援機能を有する自動車。以下「サポカー」という。 )の限定条件」*1

付免許を中心に、以下の論点を議論した。

・ 運転することができる車両をサポカーに限定する場合、その限定の内容や制度を導入

するために必要な環境等(車両の性能について認証する制度等)

・ 限定免許の対象となるサポカーの機能(速度を制限する装置を要件とすることが適当

か等)

・ サポカー以外の限定条件の内容(超小型モビリティのように車両の大きさを制限する

か等)

ウ 運転技能検査と限定条件付免許との関係

ア及びイに関する検討を踏まえ、以下の論点についても議論した。

・ 限定条件付免許保有者の取扱い(運転技能検査において何らかの特例を認めるのか)

- 59 -

Page 62: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

(2)今後の高齢運転者の運転免許制度の在り方の基本的な考え方

分科会では (1)の論点について様々な観点からの意見が示されたが、この議論された、

内容を踏まえて考えられる、今後の高齢運転者の運転免許制度の在り方の基本的な考え方

は、次のとおりである。この考え方の概要を図示すると、巻末資料3(運転技能検査)及

び巻末資料4(限定免許)のとおりである。

ア 運転技能検査について

(ア)運転技能検査の導入

これまで、運転免許保有者の運転免許証の更新時における認知機能検査の導入等とい

った、主に認知機能に着目した高齢運転者対策が講じられてきた。

昨今の高齢運転者による死亡事故の情勢を見ると、これらの対策は、一定の成果を上

げているものの、一方で、認知機能検査の結果が第3分類(認知機能低下のおそれがな

い)の者によるものが約半数を占めている状況にある。さらに、今後ますます高齢運転

者の増加が見込まれていることも踏まえると、認知機能検査の結果に基づく対策だけで

はなく、認知機能以外の身体機能の低下が関わる運転技能についての検査を導入するこ

とが必要である。

そこで、一定の年齢や一定の要件に該当する者( イ)参照)に対しては、現在高齢者(

講習で実施している実車指導に代えて、実際に自動車を運転する技能についての検査を

行うこととし、その結果、運転技能が特に不十分な場合には運転免許証の更新を認めな

いことが適当と考えられる。

また、この運転技能検査の前後で、高齢運転者の希望により、指定自動車教習所等に

よる安全教育の機会が提供されるような制度についても、構築することが適当ではない

か。

(イ)運転技能検査の対象者

運転技能検査を導入する場合、その対象者の範囲としては、例えば、現在認知機能検

査の対象とされている75歳以上の者や、死亡事故を起こす割合が顕著に高くなる80歳以

上の者とすることが考えられる。

また、交通の安全を確保するという観点から、例えば、75歳以上の者は一律に対象と

することが適当であるとの指摘も出されたが、高齢運転者の個人差は大きく、高齢運転

、者の負担となる一定の年齢以上の者を一律に対象とする制度を新たに導入する場合には

慎重な検討が必要である。

例えば、事故歴や事故につながりやすい特定の違反歴を確認するなどの方法により、

運転技能検査の対象者を、将来事故を発生させるリスクがより高い者に絞り込むことが

考えられる。

この場合においては、運転技能検査の対象でない者についても、今回の実車走行実験

の結果を踏まえ、ウ(ア)に記載のとおり、高齢者講習における実車指導の在り方を見

直し、客観的な評価に基づく指導を通じて、より安全な運転の継続を支援すること等に

より、事故の抑止を図ることが必要である。

- 60 -

Page 63: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

*1 多様なモビリティの普及方策については、令和元年8月より経済産業省において開催された「多様なモビリティ普及推進

会議」において検討が行われた。

イ 限定条件付免許について

(ア)限定条件付免許の導入

現在の自主返納制度は、運転免許証を返納すると全く運転することができなくなると

いうオール・オア・ナッシングの制度であるとの指摘がある。そこで、運転することが

できる車両の範囲をサポカーに限定するなど、自主返納の中間的な位置付けとなる限定

条件付免許制度を設けることにより、安全確保のために一定の条件を付すことを前提と

して運転の継続を認めていくことが有益である。

この場合、一定の高齢運転者には、公安委員会の判断により限定条件を強制すること

が望ましいとの指摘も出されたが、個々の運転者に関し、運転技能検査により特定され

る不十分な運転技能をサポカーの先進安全技術によって補うことができるかどうかが明

らかではないこと等を踏まえると、任意の制度とすることが適当と考えられる。

具体的には、自己の運転能力の低下を自覚した高齢者やより安全な自動車での運転を

希望する者が、自主的な申請によって、限定条件の付与を受けたり、新規に限定条件付

免許を取得したりすることが、高齢者等の安全運転やモビリティの確保 に資するものと*1

考えられる。

(イ)限定条件付免許の内容

限定条件付免許の内容としては、衝突被害軽減ブレーキ等の先進安全技術を搭載した

サポカーの普及が進むことにより、全体として交通の安全に資すると考えられることか

ら、そのような車両に限定する免許の条件を、制度として設けることが考えられるので

はないか。

ただし、現在普及しているサポカーの先進安全技術では、アクセルを踏み続けた場合

には衝突被害軽減ブレーキが作動せず事故を防止することができないこと、ペダル踏み

間違い時加速抑制装置は発進時や低速走行時のみ作動し、中高速走行時には作動しない

ことなど、事故防止効果が限定的であることに留意する必要がある。このため、今後の

技術の実用化の動向を踏まえ、前述の先進安全技術に加え、中高速走行時にペダルを踏

み間違えてアクセルを踏み続けるような態様の事故を防止し、又は被害を軽減するため

の機能を備えることを要件とする限定条件を設けることもあり得るのではないか。

また、事故が起きた際の被害を軽減する観点からは、先進安全技術を備えた車両に限

定するほか、車両の大きさ等を限定することもあり得るのではないか。

(ウ)限定条件付免許保有者の取扱い(運転技能検査との関係)

サポカー限定免許を受けた者であることをもって、運転免許証の更新時における運転

技能検査の全てを免除することについては、サポカーが安全運転を支援するにとどまる

ことを踏まえると、慎重な検討が必要である。

ただし、今後の技術の進展や限定条件となるサポカーの機能等によっては、運転免許

- 61 -

Page 64: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

*1 令和元年末現在の指定自動車教習所数は1,314か所であり、平成21年末現在の1,392か所から78か所(約5.6%)減少した。

の取得時における教習や運転免許証の更新時における運転技能検査において、その一部

を免除することも考えられる。

また、サポカーの交通事故防止効果は限定的であり、引き続き、メーカーをはじめと

、 。 、する関係機関・団体による サポカーに関する正確な情報の周知が必要である さらに

高齢者講習等においても運転者教育を行うなど、高齢運転者の安全運転の継続を支援す

ることが重要である。

ウ その他の論点について

(ア)高齢者講習の在り方

運転技能検査を導入する場合であっても、運転免許証の更新時に高齢運転者全員が受

講する高齢者講習の実車指導の機会を捉えて、安全運転指導を行うにとどまらず、運転

技能についての客観的指標を用いた評価を行うべきである。この評価方法については、

例えば、高齢運転者が行いやすい違反行為について、重点的に確認することが考えられ

る。

高齢者講習の実車指導においてその評価結果を示すことにより、本人に自らの運転技

能を客観的に自覚させるとともに、安全指導に活用することが期待できる。

例えば、運転技能検査の対象者ではないとしても、高齢者講習の実車指導における評

価の結果が、運転技能検査であれば運転免許証の更新が認められない基準に該当する者

と同程度である者に対しては、サポカー限定免許を推奨したり運転免許証の自主返納を

促したりすることによって、事故の抑止を図ることが考えられる。

(イ)高齢者講習・運転技能検査等の実施体制

高齢運転者の運転免許証の更新の便宜を考えると、現在も多くの高齢者講習等を担っ

ている指定自動車教習所等が、運転技能検査の導入に当たっても大きな役割を果たすこ

とが期待される。

現在、少子化等の影響で指定自動車教習所の経営環境は厳しさを増しており、その数

は年々減少している 。また、認知機能検査や高齢者講習の受検・受講待ちが長期に及ん*1

でいる地域もあり、今後更に高齢運転者が増加することを踏まえると、より効率的な運

用が可能な制度とすることが不可欠である。

したがって、例えば、認知機能検査の結果にかかわらず高齢者講習の指導時間を統一

化するなど、認知機能検査、高齢者講習及び運転技能検査が、指定自動車教習所等にお

いて一連の手続として行いやすい態様とし、高齢運転者への負担を軽減しつつ、高齢運

転者対策の実効性を高め、増加する高齢運転者に対応できる仕組みを構築することが考

えられる。

- 62 -

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(3)高齢運転者による交通事故防止に向けて更なる検討を要する事項

高齢者の運転免許保有者数は、令和6年に約760万人まで増加し、更に11年頃には約828

万人程度で推移することが見込まれている(1(2)参照 。運転免許制度の見直しに当た)

っては、このように増加する高齢運転者にも十分に対応できるものとなるよう、具体的な

制度設計を行う必要がある (2)の考え方に基づいた新制度の導入に向けて検討を要する。

事項及び更なる交通事故防止に向けて将来的に検討を要する事項は、次のとおりである。

ア 新制度の導入に向けて検討を要する事項

(ア)運転技能検査の対象者、実施方法等

( ) 、 、 、3 1 キに記載のとおり 違反歴がある高齢運転者は 高齢運転者全体と比較して

事故を起こしやすいものと考えられる。このうち、運転技能検査の対象者として、将来

事故を発生させるリスクがより高い者に絞り込むためには、違反の種類ごとにより詳細

な分析を行った上で、どのような違反歴に着目することが妥当かについて、更に検討を

行う必要がある。

また、本分科会で実施した実車走行実験の課題以外に実施すべき課題があるのか、具

体的にどのような評価基準を設けるのか、といった運転技能検査制度の在り方について

も、安全な運転に必要な技能を確認するに足るものとするとともに、検査の対象となる

高齢運転者の負担の程度、指定自動車教習所等の実施機関における運用の実態等を踏ま

えた実効性のあるものとする必要があることから、更なる実車走行実験を実施し、検討

を行う必要がある。

(イ)限定条件付免許の内容

自主的な申請による限定条件付免許の内容については、交通の安全に資すると考えら

れる車両に限定することが考えられる( 2)イ(イ)参照 。他方で、実効性のある制( )

度とするためには、この車両の範囲が、制度導入時において一定程度普及しているもの

であることが不可欠であることから、国土交通省において検討が進められている衝突被

害軽減ブレーキの義務付けや性能認定制度の内容及び運用状況(3(2)ウ参照)とと

もに、メーカーにおける今後の技術の実用化の動向を踏まえた上で、限定条件付免許の

具体的な内容について検討する必要がある。

なお、限定条件付免許保有者の取扱いについては (2)イ(ウ)に記載のとおり。、

(ウ)認知機能検査の在り方

、 、現在の認知機能検査は 簡易ながら効果的にスクリーニングの機能を果たしているが

他方で、今後も更に高齢運転者が増加すると見込まれており、現在のスクリーニング機

能を維持しつつ、高齢運転者や実施機関の負担が少ない態様に見直すことについても、

更なる検討を進める必要があると考えられる。

例えば、現在は、75歳以上の者に対する高齢者講習の実車指導について、認知機能検

。査の結果である第1分類から第3分類までの3つの区分ごとに異なる態様で行っている

新制度において (2)ウ(イ)に記載のとおり、この実車指導を運転技能について客観、

的指標を用いた評価を行うという態様に見直すことに伴い、認知機能検査の結果にかか

わらず同一の態様で行うこととなれば、このような3つの区分ではなく、医師の受診を

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Page 66: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

求める者を特定する観点から、認知症のおそれがあるか否かの2つに区分することが考

えられる。こうすることにより、認知機能検査はその2つの区分が判定できるものであ

れば足りることとなるから、検査の効率化に資すると考えられる。

また、近年、タブレット等の機器やAIを活用した認知機能のスクリーニング方法に

ついても開発が行われており、検査の効率化に向けて、認知機能のスクリーニング方法

に関する開発状況について情報収集をする必要がある。

イ 更なる交通事故防止に向けて将来的に検討を要する事項

(ア)今後の展望

運転技能検査の導入や高齢者講習の実車指導において客観的指標を用いた評価を行う

制度が導入された場合には、これらの評価結果と受講後の交通事故の発生状況について

分析し、その分析結果を高齢運転者に対する安全運転教育に活用するとともに、先進安

全技術の実用化の動向を踏まえつつ運転技能検査及び限定条件付免許の対象の在り方の

見直し等といった運転免許制度の更なる検討を行う際の参考とすべきである。

(イ)高齢者講習における視野検査

現在の高齢者講習で使用されている水平方向のみを測定する視野検査器では、視野異

常を正確に検出することが困難であることが指摘されているところ、本分科会では、3

(2)イに記載のとおり、実車走行実験の被験者を対象として、両眼クロックチャート

を使用した視野欠損の有無についての簡易検査を実施し、その実効性等について検討を

行った。

今回の両眼クロックチャートによる簡易検査は、臨床においては中期以降の視野異常

の検出が可能とされているものであるが、検査結果が自己申告のみに依存するものであ

り、高齢者講習における視野異常の検査方法としては不十分であることを示唆する結果

となった。

今回の結果を踏まえ、高齢者講習における運転適性検査器材(視野検査)による指導

の改善に向けて、眼科医等との連携を図り、引き続き、視野異常の有無を検査するため

の簡易な方法について情報収集するなど、継続的な検討が必要である。

- 64 -

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おわりに

平成31年度(令和元年度)に入ってからも、東京都豊島区や福岡県福岡市等において、大

変に痛ましい死亡事故が発生した。本分科会では、これらを含む高齢運転者による死亡事故

を抑止するための方策について、調査研究を行った。

冒頭にも記載したとおり、近年、75歳以上の高齢運転者による死亡事故件数はおおむね横

ばいで推移しており、全体の死亡事故件数に占める75歳以上の運転者によるものの割合はお

おむね増加傾向にある。また、免許人口当たりの死亡事故件数について見ると、75歳以上の

高齢運転者は75歳未満の運転者と比べると2倍以上となっている。加えて、今後も高齢運転

者の増加傾向が続くことが見込まれることなどから、高齢運転者による交通事故を防止する

ための対策は喫緊の課題となっている。

他方で、交通空白地域をはじめとして、自動車の運転が生活に不可欠である者も存在して

いることについても、自治体ヒアリング等を通じて改めて明らかとなったところである。

警察庁では、中間報告で示された基本的な考え方を踏まえた高齢運転者の運転免許制度の

見直しを内容とする道路交通法の改正に向けた準備が進められている。新制度は、今後更に

増加する高齢運転者に対応することができ、かつ、国民の各層の理解を得られる実効性のあ

るものとすることが不可欠である。

本分科会の検討結果を踏まえつつ、今後も引き続き、新制度の実現と円滑な運用に向けた

検討が進められることを期待する。

- 65 -

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巻末資料

資料1 高齢運転者による交通事故防止対策について(抄)

資料2 未就学児等及び高齢運転者の交通安全緊急対策(抄)

資料3 高齢運転者対策(運転技能検査)

資料4 高齢運転者対策(限定免許)

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【資料1】

高齢運転者による交通事故防止対策について

平成 29 年7月7日

交通対策本部決定

高齢運転者による交通事故防止対策について、この度別紙のとおり「高齢運

転者交通事故防止対策ワーキングチーム」から検討結果が報告されたことを受

け、同報告に記載の取組を緊急かつ強力に推進するものとする。

高齢運転者による交通事故防止に向けて(抄)

平成 29 年6月 30 日

高齢運転者交通事故防止対策ワーキングチーム

1・2 (略)

3.高齢運転者の特性も踏まえた更なる対策

(1)「高齢運転者交通事故防止対策に関する有識者会議」において取りまとめ

られた「高齢運転者交通事故防止対策に関する提言」を踏まえた今後の方

ア~カ (略)

キ 改正道路交通法の施行後1年間の状況等を踏まえ、80 歳以上の運転リス

クが特に高い者への実車試験の導入や「安全運転サポート車」限定免許の

導入といった高齢者の特性等に応じたきめ細かな対策の強化に向けた運転

免許制度の更なる見直し(速やかに検討開始)

(2)~(6) (略)

4 (略)

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Page 70: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

【資料2】

未就学児等及び高齢運転者の交通安全緊急対策(抄)

令 和 元 年 6 月 1 8 日昨今の事故情勢を踏まえた交通安全対策に関する関係閣僚会議

2.高齢者の安全運転を支える対策の更なる推進

(1)安全運転サポート車の普及推進等

1)安全運転サポート車の普及推進及び限定免許制度の検討等

〇 衝突被害軽減ブレーキの国内基準策定

来年1月に見込まれる衝突被害軽減ブレーキの国際基準の発効を

受けて、衝突被害軽減ブレーキの国内基準を策定する。本年内を目

途に、新車を対象とした衝突被害軽減ブレーキの義務付けについて

結論を得る。また、衝突被害軽減ブレーキに加え、ペダル踏み間違

い時加速抑制装置などの性能認定制度への導入について、本年内を

目途に結論を得る。

○ 高齢者が運転できる免許制度の創設

安全運転支援機能を有する自動車を前提として高齢者が運転でき

る免許制度の創設に向け、制度の在り方、当該免許制度に適した車

両に必要となる安全運転支援機能の範囲や要件及び適合性確認の在

り方並びに当該自動車の普及方策などについて関係省庁が連携して

検討を行い、性能認定制度の導入等の結論を得た上で、本年度内に

結論を得る。

2)既販車への後付けの安全運転支援装置の普及

○ 既販車への後付けの安全運転支援装置の開発を促進するととも

に、その性能認定制度の創設と来年度からの実施を検討する。

3)新たな先進安全技術の開発促進

〇 新たな先進安全技術の開発を促進し、特に、自動速度制御装置

(ISA: Intelligent Speed Assistance)について、本年内に技術的

要件等のガイドラインを策定する。

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Page 71: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

70 歳 " 74 歳 75 歳 以 上

⾼齢者講習

○講義(座学)

○運転適性検査

○実⾞指導

免許証

の更新

特定違反歴等

なし

運転技能検査

繰り返し受検可

新認知機能検査

認知症のおそれあり

認知症のおそれなし

認知症による取消し等

○認知機能検査、⾼齢者講習及び運転技能検査が、指定⾃動⾞教習所等において⼀連の⼿続と

して⾏いやすい態様とする。

○70歳以上の実⾞指導においては、運転技能の評価を⾏い、結果を本⼈に通知する。

○運転技能検査を受けた者は、実⾞指導を免除する。

免許証を更新せず

運転技能検査の対象者を75歳以上で交通事故につながりやすい違反歴がある者等とする場合

⾼齢運転者対策(運転技能検査)

調査研究報告書の考え⽅の概要(⼀例)

特定違反歴等

あり

認知症であると診断

認知症でないと診断

【資料3】

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Page 72: 高齢運転者交通事故防止対策に関する調査研究はじめに 高齢運転者の交通事故防止対策に政府一丸となって取り組むため、平成28年11月、「高齢運

○サポカー限定免許を受けたことをもって、

運転技能検査等を全て免除することについて

は慎重な検討が必要

○今後の技術の進展や先進安全技術等によっ

ては、運転技能検査等の⼀部を免除すること

も考えられる。

○申請により限定条件を受けられる。

○新規に取得することが可能

限定免許の導⼊

運転技能検査との関係

○衝突被害軽減ブレーキ等の先進安全技術を搭載した⾞両

○上記に加え、中⾼速⾛⾏時のペダル踏み間違い事故の防⽌・被害軽減のための機能を要件とする

こともあり得る(具体的内容は技術の実⽤化の動向を踏まえ検討)。

※現在のサポカーは、アクセルを踏み続けるような態様の事故は防⽌できないなど、事故防⽌効果が限定的

○このほか、⾞両の⼤きさ等を限定することもあり得る。

⾼齢運転者対策(限定免許)

限定免許の内容

【資料4】

調査研究報告書の考え⽅の概要(⼀例)

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