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Agilent Technologies Agilent 7250Accurate-Mass 四重極飛行時間型 GC/MS システム コンセプトガイド

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Agilent 7250Accurate-Mass 四重極飛行時間型 GC/MS システム

コンセプトガイド

Agilent Technologies

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2 Agilent 7250 Q-TOF GC/MS コンセプトガイド

注意© Agilent Technologies, Inc. 2017

本マニュアルの内容は米国著作権法および国際著作権法によって保護されており、Agilent Technologies, Inc. の書面による事前の許可なく、本書の一部または全部を複製することはいかなる形態や方法(電子媒体への保存やデータの抽出または他国語への翻訳など)によっても禁止されています。

マニュアル番号G7250-96003

エディション

第 1 版 2017 年 7 月

Printed in USA

Agilent Technologies, Inc.5301 Stevens Creek Blvd. Santa Clara, CA 95051

保証

このマニュアルの内容は「現状有姿」提供されるものであり、将来の改訂版で予告なく変更されることがあります。Agilent は、法律上許容される最大限の範囲で、このマニュアルおよびこのマニュアルに含まれるいかなる情報に関しても、明示黙示を問わず、商品性の保証や特定目的適合性の保証を含むいかなる保証も行いません。Agilent は、このマニュアルまたはこのマニュアルに記載されている情報の提供、使用または実行に関連して生じた過誤、付随的損害あるいは間接的損害に対する責任を一切負いません。Agilent とお客様の間に書面による別の契約があり、このマニュアルの内容に対する保証条項がここに記載されている条件と矛盾する場合は、別に合意された契約の保証条項が適用されます。

技術ライセンス 本書で扱っているハードウェアおよびソフトウェアは、ライセンスに基づき提供されており、それらのライセンス条項に従う場合のみ使用または複製することができます。

権利の制限

米国政府権限制限。連邦政府に付与されるソフトウェアおよび技術データに係る権利は、エンドユーザーのお客様に通例提供されている権利に限定されています。Agilent は、ソフトウェアおよび技術データに係る通例の本商用ライセンスを、FAR 12.211(Technical Data)および 12.212(Computer Software)、並びに、国防総省に対しては、 DFARS 252.227-7015(Technical Data -Commercial Items)および DFARS 227.7202-3(Rights in Commercial Computer Software or Computer Software Documentation) の規定に従い提供します。安全にご使用いただくために

注意

注意は、取り扱い上、危険があることを示します。正しく実行しなかったり、指示を遵守しないと、製品の破損や重要なデータの損失に至るおそれのある操作手順や行為に対する注意を促すマークです。指示された条件を十分に理解し、条件が満たされるまで、注意を無視して先に進んではなりません。

警告

警告は、取り扱い上、危険があることを示します。正しく実行しなかったり、指示を遵守しないと、人身への傷害または死亡に至るおそれのある操作手順や行為に対する注意を促すマークです。指示された条件を十分に理解し、条件が満たされるまで、警告を無視して先に進んではなりません。

Microsoft® および Windows® は、Microsoft Corporation の米国における登録商標です。

ソフトウェアリビジョン

このガイドは、改訂されるまで、Agilent MassHunter ワークステーションソフトウェア - 7250 四重極飛行時間型用データ測定プログラム、バージョン B.03.00 以降に対応しています。

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このガイドでは …このコンセプトガイドでは、ハードウェアとソフトウェアの操作を理解する上で役立つ Agilent 7250 Accurate-Mass 四重極飛行時間型 GC/MS システムの操作の「全体像」を示します。

1 概要

7250 Q-TOF GC/MS を使用した場合の利点について説明します。

2 理論と内部構造

7250 Q-TOF の仕組みを理解するために必要なコンセプトについて説明します。

3 Agilent 7250 Accurate-Mass Q-TOF と性能

7250 Q-TOF の優れた性能について説明します。

Agilent 7250 Q-TOF GC/MS コンセプトガイド 3

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4 Agilent 7250 Q-TOF GC/MS コンセプトガイド

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目次

1 概要

システムの説明 8

Q-TOF アプリケーション 9機器コントロールソフトウェア 10データ解析ソフトウェア 12

参考文書 14

2 理論と内部構造

7250 Q-TOF マススペクトルメータ 16

サンプルイオン化テクノロジー 18

電子イオン化 18LE-EI イオン源 18

四重極コリジョンセル MS/MS テクノロジー 22

四重極フィルタリング 22四重極マスフィルタ 24イオンフラグメンテーションとコリジョンセル

テクノロジー 26コリジョンセル 27

飛行時間型 MS の原理 30

独自の INVAR フライトチューブ 31検出器 32

排気システム 33

Agilent 7250 Q-TOF GC/MS コンセプトガイド 5

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3 Agilent 7250 Accurate-Mass Q-TOF の性能

7250 Q-TOF の性能評価尺度 36

分解能 36質量精度 36スキャン速度 37感度 38ダイナミックレンジ 387250 Accurate-Mass Q-TOF の設計 39

6 Agilent 7250 Q-TOF GC/MS コンセプトガイド

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Agilent 7250Accurate-Mass 四重極飛行時間型 GC/MS システム コンセプトガイド

1概要

システムの説明 8

Q-TOF アプリケーション 9

機器コントロールソフトウェア 10

データ解析ソフトウェア 12

この章では、Agilent 7250 Accurate-Mass 四重極飛行時間型(Q-TOF)GC/MS システム、そのアプリケーション、およびデータ解析システムの概要を示します。

7Agilent Technologies

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1 概要システムの説明

システムの説明

Agilent 7250 Accurate-Mass 四重極飛行時間型(Q-TOF)GC/MS は、Agilent 7890 ガスクロマトグラフと共に使用するスタンドアローン型の四重極飛行時間型質量分析計です。7250 Q-TOF には以下の機能があります。

• 独立したヒーターを持つ、新しい高感度の低エネルギー電子イオン化(LE-EI)イオン源。標準(70 eV)または低エネルギー(9 eV ~ 30 eV)モードで動作可能です。

• 70 eV と 15 eV の両方のチューニングパラメータを同じチューニングファイルに保存できるので、同じサンプル分析での異なるタイムセグメントで両方のモードを使用できます。

• 自動高速ベント。窒素を使用して真空を破ることにより、アナライザーへの空気の流入を減少させ、真空排気後の安定時間が短縮されます。

• 独立したヒーターを持つ双曲線状四重極マスフィルタ。高温まで加熱できるため、低温分析に典型的な汚染を最小限に抑制できます。

• ヘキサポールコリジョンセル

• イオンフォーカススライサーの分解能が向上

• 従来より 50% 長い新しい真空絶縁フライトチューブが、分解能を向上させ、デュアルステージイオンミラーを使用して質量精度を向上させています。

• 7200 Q-TOF より高速の新しいパルサーにより、3000 m/z まで質量範囲を拡張することが可能です。

• 新しい 5 GS/s の取込速度。Transient-Level Peak Picking(TLPP)の有無にかかわりません。

• アナログ検出器

• 独立した GC ヒーターを持つ GC/MS インターフェイス

• RoHS に完全に準拠しています

• 3 台のターボ分子真空ポンプ

• ロータリー(フォアライン)ポンプ

• ドライフォアラインポンプ(オプション)

8 Agilent 7250 Q-TOF GC/MS コンセプトガイド

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概要 1Q-TOF アプリケーション

7250 Q-TOF には、検出定量化の前にイオンのフラグメンテーションを促進するため、窒素とヘリウムの混合ガスで満たされたヘキサポールコリジョンセルが組み込まれています。フライトチューブと検出器に先立ってイオンを収束するためのイオン光学系も装備されています。

こうした特長は多くの面で優れています。測定したデータの定量および定性は MassHunter WorkStation ソフトウェアで行われます。

7250 Q-TOF は、MS(TOF)モードまたは MS/MS モードで操作できます。機器を MS モードで操作すると、高分解能、精密な質量測定と、高速フルスペクトル測定が可能です。MS/MS モードを使用すると、高分解能、精密の質量測定を実現できるほか、プロダクトイオンの高速フルスペクトルが高い感度で得られます。こうした機能が装備された 7250 Q-TOF は、複雑な分析問題の解決、未知サンプルの構造の解明、ノンターゲット化合物の同定に有効です。

Q-TOF アプリケーション

7250 Q-TOF GC/MS では、複雑なマトリックス内の微量な有機化合物の定量化が可能です。このタイプの機器は次の用途に使用されます。

• 食品安全性検査

• 環境汚染調査

• 毒物学

• 法医学

• メタボロミクスおよびメタボノミクス

• 天然物質研究

• 人および動物のドーピング検査

• エネルギー研究および石油化学製品

• 国土安全保障

Agilent 7250 Q-TOF GC/MS コンセプトガイド 9

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1 概要機器コントロールソフトウェア

7250 Q-TOF は Agilent 7890 GC と組み合わせることで、複雑なマトリックス中のターゲット化合物の、高感度で再現性の高い分析が可能です。これには、次の特長があります。

• フェムトグラムレベルの検出と定量化の限界

• ケミカルなバックグラウンドが高いサンプルでのターゲット化合物の選択的定量

• 複雑なマトリックス中の測定対象化合物ピークの S/N の向上

• 特定の用途での厳格な規制への対応能力

• Agilent のデータ解析ソフトウェアによる簡単な操作

• 高速 MS/MS 操作

• 再現性のある質量精度

7250 Q-TOF により、さまざまな商用の、および規制上の用途で求められる GC/MS 分析の感度が向上します。

機器コントロールソフトウェア

MassHunter WorkStation 機器コントロールソフトウェアでは、単一のウィンドウで次のタスクが実行できます。

機器の準備

• ソフトウェアからの機器の立ち上げと停止

• 機器を制御するためのリアルタイムでの GC と Q-TOF への設定のダウンロード

• チューニングレポートによる、指定された質量精度と分解能を得るための制限範囲内に MS パラメータがあるか否かに関する評価

• Agilent チューニングプログラムを使用した自動(オートチューニング)またはマニュアルによるMS パラメータの最適化、およびチューニングレポートの印刷

• 機器の状態のモニタ

• クロマトグラムと機器パラメータ(GC と MS の両方)のリアルタイムプロットの表示、およびリアルタイムプロットレポートの印刷

• リアルタイムでのセントロイドスペクトル、またはプロファイルスペクトルの表示

10 Agilent 7250 Q-TOF GC/MS コンセプトガイド

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概要 1機器コントロールソフトウェア

測定メソッドの設定

• GC および Q-TOF 用の測定メソッドのパラメータ値の入力と保存

• リアルタイムプロットで表示するトータルイオンクロマトグラム(TIC)または抽出イオンクロマトグラム(EIC)の選択とラベル付け

• タイムセグメントやタイムセグメント内のスキャンと共にパラメータが変化する場合の、各スキャンタイプと分析に対するタイムセグメントの設定

• 測定メソッドレポートの印刷

データ測定

• サンプル情報とプリプログラムまたはポストプログラム(スクリプト)を入力し、単一のサンプルを対話的に実行

• 個別のサンプルとして、および自動化するため複数サンプルをシーケンスとして入力し、実行

• プリスクリプトとポストスクリプトをサンプル間で順番に実行するように設定

• MS 測定パラメータを最適化するためのシーケンスの設定と分析

• シーケンスレポートの印刷

• 開始時間や停止時間などのシステムイベントの表示、イベントとエラーの実行、およびイベントログレポートの印刷

14 ページの「参考文書」 に示されている『Agilent MassHunter ソフトウェア データ測定ファミリアリゼーションガイド』、データ測定プログラムのオンラインヘルプ、または 7250 ハードウェアマニュアルを参照してください。

Agilent 7250 Q-TOF GC/MS の立ち上げ方法については、『クイックスタートガイド』を参照してください。

実際のサンプルとデータを用いた Agilent 7250 Q-TOF GC/MS の使用方法については、『Agilent 7250 Q-TOF Acquisition ファミリアリゼーションガイド』を参照してください。

GC/MS での個別のタスクの実行方法については、オンラインヘルプを参照してください。

Agilent 7890 GC の詳細については、Agilent 7890A GC のマニュアルを参照してください。

Agilent 7250 Q-TOF GC/MS コンセプトガイド 11

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1 概要データ解析ソフトウェア

データ解析ソフトウェア

定量分析プログラム

Agilent には、微量の物質の定量を可能にする、以下の機能を備えた MassHunter 定量分析プログラムがあります。

• 測定メソッドから情報を直接インポート

• 検量線一致率のすべての適合性と統計をテストできるカーブフィットアシスタント

• Q-TOF データ用に最適化された新規アルゴリズムを使用する、パラメータによらない自動インテグレータによるシグナル積分

• 一度にデータのバッチ全体をレビューおよび操作できるバッチ結果ウィンドウ

• 外れ値の自動検出

• 基本的なレポート用のテンプレートの使用と、Microsoft Excel でのカスタムレポート作成機能

14 ページの「参考文書」で示されている『Agilent MassHunter ソフトウェア 定量分析ファミリアリゼーションガイド』または定量分析プログラムのオンラインヘルプを参照してください。

定性分析プログラム

短期間でのメソッド開発にはこのソフトウェアを使用して、プリ カーサイオンからプロダクトイオンのトランジションなど、データの定性面を素早くレビューできます。

Agilent では、多量のデータを表示して一か所で集中的に確認できる MassHunter 定性分析プログラムを設計しました。このプログラムを使用すると、あらゆるタイプの質量分析計データで次の操作が可能です。

• クロマトグラムの抽出

• ピークスペクトルの表示と抽出

• バックグラウンドの除去

• クロマトグラムの積分

• 化合物の検出

12 Agilent 7250 Q-TOF GC/MS コンセプトガイド

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概要 1データ解析ソフトウェア

リストなどにあるタスクを、データファイルが開かれると自動的に実行するメソッドを設定することもできます。

14 ページの「参考文書」で示されている『Agilent MassHunter ソフトウェア 定性分析ファミリアリゼーションガイド』、トレーニングビデオ、または定性分析プログラムのオンラインヘルプを参照してください。

Agilent 7250 Q-TOF GC/MS コンセプトガイド 13

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1 概要参考文書

参考文書

以下は MassHunter ソフトウェアユーザー情報 DVD の 7250 Q-TOF インストールに収録されています。このドキュメントアプリケーションは、MassHunter ソフトウェアの一部として提供されます。

• GC/MS 用 MassHunter 定性分析ファミリアリゼーションガイド;データ測定ワークステーション、定性分析、および定性分析プログラム機能を紹介しています。

• 定性分析トレーニングビデオ; MassHunter 定性分析ナビゲータおよび MassHunter 定性ワークフローの総合的な使用方法について説明したビデオレッスンになります。

• オンラインヘルプ ;データ測定ワークステーション、定性分析、および定量分析の仕組みに関しての詳細情報です。

• デモデータファイルおよびライブラリ; さまざまなファミリアリゼーションガイドで説明されているすべての分析ステップを実行することができます。

• クイックスタートガイド;アプリケーションにどのようなドキュメントが含まれるか、また各ドキュメントにどのような情報が記載されているかを説明しています。

以下はユーザーマニュアル & ツール DVD の 7250 Q-TOF インストールに収録されています。このドキュメントアプリケーションは、7250 Q-TOF 機器に添付されてきます。

• コンセプトガイド; 7250 Q-TOF GC/MS システム の仕組みについてさらに詳しく学習します。

• クイックスタートガイド;アプリケーションにどのようなドキュメントが含まれるか、また各ドキュメントにどのような情報が記載されているかを説明しています。

• ハードウェアマニュアル; 7250 Q-TOF の操作方法やメンテナンスの実施方法について学習します。

14 Agilent 7250 Q-TOF GC/MS コンセプトガイド

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Agilent 7250Accurate-Mass 四重極飛行時間型 GC/MS システム コンセプトガイド

2理論と内部構造

7250 Q-TOF マススペクトルメータ 16

サンプルイオン化テクノロジー 18

電子イオン化 18

LE-EI イオン源 18

四重極コリジョンセル MS/MS テクノロジー 22

四重極フィルタリング 22

四重極マスフィルタ 24

イオンフラグメンテーションとコリジョンセル テクノロジー 26

コリジョンセル 27

飛行時間型 MS の原理 30

独自の INVAR フライトチューブ 31

検出器 32

排気システム 33

この章では、7250 Q-TOF GC/MS の内部構造について説明します。

15Agilent Technologies

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2 理論と内部構造7250 Q-TOF マススペクトルメータ

7250 Q-TOF マススペクトルメータ

Agilent 7250 Q-TOF は、直交飛行時間型質量分析計です。フライトチューブと検出器の前に、四重極とヘキサポール、またはコリジョンセルを使用して MS/MS を実行します。サンプルは、最初に電子イオン化イオン源によってイオン化されます。イオン化後、イオンが四重極アナライザを通過します。四重極アナライザは 4 本の平行双曲線状ロッドで構成され、このロッドによって、選択されたイオンが質量電荷比(m/z)を基にフィルタリングされます。現在の 7250 Q-TOF 質量分析計を図 1 に示します。

図 1 7250 Q-TOF の概略図

16 Agilent 7250 Q-TOF GC/MS コンセプトガイド

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理論と内部構造 27250 Q-TOF マススペクトルメータ

四重極を通過したイオンはコリジョンセルに向かいます。ここで、流入するプリカーサイオンがさらにフラグメンテーションされます。コリジョンセルは、窒素とヘリウムの混合ガスを充満したヘキサポールです。高速 MS/MS 分析に役立つ軸加速性を実現するように設計されています。フラグメンテーションによって生成されたイオン(プロダクトイオン)はスライサーを経由して送られます。これにより、イオンがフライトチューブを通って検出器に送られる前にイオンストリームとして収束されます。

フライトチューブ内でイオンを上向きに送るために加える加速パルスは、イオンがマスアナライザを離れるときの方向に直交します。この構造により、飛行時間に及ぼす入口速度の影響を最小限に抑えることで、分解能を高めます。イオンは、フライトチューブの端に達すると、リフレクタまたはデュアルステージイオンミラーに当たって跳ね返り、逆の経路をたどってチューブの下部まで戻ります。フライトチューブの下部にはアナログ検出器が配置されています。

検出器は、時間に応じてイオン強度に比例したアナログ電圧を 7250 データ測定システムに送ります。ここでアナログシグナルがデジタル化され、埋め込まれたマイクロコンピュータによってマススペクトルに変換されます。この変換されたデータが、データ取り込み、解析のために MassHunter ソフトウェアへ送信されます。

Agilent 7250 Q-TOF GC/MS コンセプトガイド 17

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2 理論と内部構造サンプルイオン化テクノロジー

サンプルイオン化テクノロジー

GC/MS では、サンプルを分析する前に、イオン源でイオン化する必要があります。GC/MS では、電子イオン化(EI)と化学イオン化(CI)の 2 つの主要なイオン化方法があります。7250 Q-TOF は、現時点では EI イオン源のみサポートしています。

電子イオン化

電子イオン化モードでは、サンプルストリームが GC/MS インターフェイスから EI イオン源に入ります。フィラメントから放出された電子は、イオンビームに軸方向に沿った磁場によって導かれ、イオン化室に入ります。これらの高エネルギー電子がサンプル分子と相互作用し、イオン化とフラグメンテーションを起こします。リペラは正の電圧を持つので、正イオンがレンズスタックに 押し込まれます。正イオンはここで複数の静電レンズを通過します。こ れらのレンズによってイオンが細いビームに収束し、四重極マスフィル タに送られます。

7250 Q-TOF イオン源には、標準的なフラグメントライブラリ用の 70 eV と、低エネルギーイオン化用の 15 eV の 2 つのイオン化モードがあります。

LE-EI イオン源

7250 Q-TOF では、Agilent シングルおよびトリプル四重極マススペクトロメータで採用された、新しい超高感度イオン源(HES)の改良バージョンを使用します。

Agilent HES テクノロジーでは、イオンビームに対する直交面で化合物をイオン化するイオン源と比べて 10 倍から 20 倍の量のイオン生成が行えます。

サンプルイオンは、GC/MS インターフェイスからイオン源に入ります。サンプルは、フィラメントとフォーカスレンズを含むイオン源本体、リペラ、およびフィラメントブロックで構成されるイオン化室でイオン化されます。

18 Agilent 7250 Q-TOF GC/MS コンセプトガイド

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理論と内部構造 2LE-EI イオン源

フィラメントブロックに取り付けられているフィラメントは、イオン化室に電子を放出し、電子は磁界によって導かれます。これらの電子がサンプル分子と相互作用 し、イオン化とフラグメンテーションを起こします。7250 Q-TOF の EI イオン源の寿命が長く、低電流のフィラメントは、簡単に交換できるように設計されています。

サンプルがイオン化されると、イオンはリペラにかかる電圧によって押し出され、レンズに導かれます。リペラは正の電圧を持つので、正イオンをレンズに送ります。ここでイオンはビームに収束され、アナライザに送られます。イオン源本体のスロットにより、真空システムはキャリアガスのイオンとイオン化していない物質を排気し、サンプル由来のイオンは四重極に押し出すので、ニュートラルノイズが低下し、感度が向上します。

イオン源本体

円筒形のイオン源本体がレンズスタックを保持し、リペラやフィラメントブロックと共にイオン化室を形成しています。イオン化室は、サンプル分子がイオン化される空間です。真空システムは、イオン源本体のスロットを利用して、キャリアガスとイオン化していない分子を排気します。

フィラメント

フィラメントは、フィラメントブロックに配置されています。フィラメントには、調整可能な AC エミッション電流が流れます。エミッション電流によってフィラメントが加熱されると、電子が放出され、サンプル分子がイオン化されます。また、フィラメントに調整可能な DC バイアス電圧がかかっています。この電圧と電子エクストラクタレンズ電圧をキャリブレーションすることで、電子のエネルギーを確立しています。フィラメントは、通常の機器のシャットダウンで、自動的にシャットオフします。7250 の高感度のイオン源により、少ないエミッション電流で希望のイオンアバンダンスが得られます。

フィラメントエミッション電流

フィラメントエミッション電流(エミッション)の一般的な動作範囲は、0.5 µA から 20 µA で、最大エミッション電流は 40 µA です。

Agilent 7250 Q-TOF GC/MS コンセプトガイド 19

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2 理論と内部構造LE-EI イオン源

電子エネルギー

電子エネルギーは、イオン化電子のエネルギーの値です。電子エネルギーはバイアス電圧によって決まります。フィラメントに 70 VDC のバイアスがかかると、70 eV(電子ボルト)の電子が放出されます。この値は、70 ~ 200 eV の範囲で調整可能ですが、標準的な操作ではこのパラメータを 70 eV に設定します。低エネルギー EI の場合、この値は一般に 12 eV ~ 15 eV に設定します。

磁石

強力な磁場により、フィラメントから放出された電子がイオン化室に送られます。磁石アセンブリは、800 ガウスの中心磁場を持つ永久磁石を使用しています。

リペラ

リペラは、イオン化室の 1 つの壁を形成します。リペラは正に荷電され ているため、正に荷電したイオンが一連のレンズを通過してイオン源か ら押し出されます。リペラ電圧は、通常、オートチューニングによって設定します。

エクストラクタレンズアセンブリ

エクストラクタレンズアセンブリは、イオン化室のもう 1 つの壁を形成します。イオンビームは、エクストラクタレンズの穴を通ります。アセンブリには、イオン源本体のスロットに沿って縦方向にスロットがあり、これにより、キャリアガスとイオン化していない分子が真空システムによって分離されます。

20 Agilent 7250 Q-TOF GC/MS コンセプトガイド

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理論と内部構造 2LE-EI イオン源

イオンフォーカス

イオンフォーカスの電圧は、-50 ~ -200 VDC の動作範囲となっています。

通常:

• イオンフォーカス電圧を増加させると、低質量で感度が向上します。

• イオンフォーカス電圧を減少させると、高質量で感度が向上します。

• イオンフォーカス調整が正しくないと、高質量イオンのレスポンスが悪くなります。

エントランスレンズ

エントランスレンズは、イオン源の出口(四重極マスフィルタの入口の前)にあります。このレンズは、高質量イオンのディスクリミネーションを引き起こす四重極のフリンジングフィールド(非一様な電場)を最小化します。エントランスレンズには +4.4 V の恒久電圧がかかっています。エントランスレンズにかかる合計電圧は、エントランスレンズのオフセット、エントランスレンズのゲイン、+4.4 V の恒久オフセットの合計です。エントランスレンズ電圧 = + 4.4 VDC +オフセット+(ゲイン × 質量)

Agilent 7250 Q-TOF GC/MS コンセプトガイド 21

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2 理論と内部構造四重極コリジョンセル MS/MS テクノロジー

四重極コリジョンセル MS/MS テクノロジー

四重極フィルタリング

シングル四重極の動作原理を理解すれば、7250 Q-TOF GC/MS システムの一部の機能についても理解することができます。このセクションでは、シングル四重極質量分析計の基本的な事項について確認します。

質量分析は、真空中を移動するイオンの分析を基にしています。

前のセクションで説明したように、サンプルのイオン化はイオン源で行われます。イオンはマスアナライザによってフィルタリングされます。マスアナライザは、イオンがアナライザから出るときの動きを制御します。シングル四重極 MS では、イオンが検出器でアナログシグナルに変換されます(図 2)。Q-TOF MS では、追加コンポーネント(コリジョンセル)が四重極の次に配置されており、飛行時間型検出の前にイオンフラグメンテーションが行われます。

四重極マスアナライザは、特定の DC 電圧と RF 電圧が印加される平行に並んだ 4 本のロッドから構成されます。これらのロッド は、印加される電圧によって決定される特定の m/z 値以外のすべてのイオンを除外します。

RF は 4 本すべてのロッドに印加されますが、負(-)のロッドは正(+)のロッドと 180 度逆の位相になります。ロッドには、適用される DC 電圧に従って「+」と「-」のラベルが付けられます。

図 2 シングル四重極質量分析計の概略図

22 Agilent 7250 Q-TOF GC/MS コンセプトガイド

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理論と内部構造 2四重極フィルタリング

イオンはイオン源で生成されます。ただし、特定の電圧セットが印加されると、該当する m/z 値のイオンのみが四重極を通過して検出器に達します(この場合はフライトチューブ)。電圧を上げると、他の m/z 値を持つイオンが通過するようになります。4 本のロッドに印加する DC 電圧と RF 電圧を広範囲に上昇させることで、フルスキャンを行うことができます。

シングル四重極質量分析計の理論の説明には、概念モデルを使用できます。図 3 を参照してください。

モデルは次のことを表しています。

• サンプル中のすべてのイオンは外部イオン化ソースで生成し、じょうごに流し込まれます。色やサイズの異なるボール は、異なる m/z 値のイオンを表します。

• 四重極マスアナライザは動くベルトで表され、大きさの異なる開口部にイオンを通すことでフィルタリングを行います。じょうごから流し込まれるイオンはフィルタを通り、フラグメンテーションと収束の後にフライトチューブに送られます。

• フィルタリングを行うベルトの下にあるじょうご受けは、フライトチューブの前にイオンの収束が行われることを表します。

図 3 シングル四重極質量分析計の概念モデル

Agilent 7250 Q-TOF GC/MS コンセプトガイド 23

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2 理論と内部構造四重極マスフィルタ

ベルト(アナライザ)が動く、つまりロッドへの電圧が変化すると、異なる m/z 値のイオンが質量分析計によってフィルタリングされます。

アナライザが小さい m/z 値からより大きな値に移動することによって、フルスキャンが行われます。

ベルトが移動しないと、検出器は同じ m/z 値をスキャン時間全体にわたって繰り返しモニタします。このタイプの分析は、選択イオンモニタリング(SIM)と呼ばれています。これがシングル四重極質量分析計の最も感度の高い測定モードです。

スキャンの周期はユーザーが選択(固定)します。ユーザーは、特定の質量範囲(m/z 50 ~ 1000 など)をスキャンするか、または 範囲の中の1つ、あるいはいくつかの選択されたイオンをモニター(SIM)します。四重極マスフィルタは SIM モードではスキャンは行いません。ある指定ドゥエルタイムの間、単一質量をフィルタリングするために必要な RF/DC 電圧を設定した後、次の SIM の設定に移動します。

四重極を通過したイオンは、検出器で測定するか、MS/MS 分析のため更なるフィルタリング手法へと送り出すことができます。

四重極マスフィルタ

四重極は、イオントランスミッションを最適化する双曲線状ロッドで構成されます。この四重極の形状は、円形のロッドよりイオンロスが少ないものとなっています。金メッキされた石英を使用することにより、アナライザは高温、低真空でも操作でき、低温で発生しやすい汚染等を防止することができます。

プレフィルターとポストフィルター

四重極アセンブリの出口側も短い双曲線状ロッドから構成され

ていますが、イオンをコリジョンセルに導くために必要な RF 電圧しかかかっていません。同様のロッドセットがコリジョンセ

ルの出口側にあります。これらの短い RF のみのロッドは、コリ

ジョンセルの内外のイオントランスミッションを最適化するフィルタとして動作します。

24 Agilent 7250 Q-TOF GC/MS コンセプトガイド

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理論と内部構造 2四重極マスフィルタ

図 4 四重極アセンブリ

プレフィルター石英四重極ロッド

Agilent 7250 Q-TOF GC/MS コンセプトガイド 25

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2 理論と内部構造イオンフラグメンテーションとコリジョンセル テクノロジー

イオンフラグメンテーションとコリジョンセルテクノロジー

荷電したイオンがアナライザを移動するとき、イオン同士、およびイオンとその範囲全体に存在するガス分子が衝突します。経路に沿って電圧が増加すると、イオンの運動エネルギーが大きくなるため、衝突時にフラグメンテーションが起こります。

フラグメンテーションパターンによって元のイオンに関する情報が得られるため、コリジョンセルを、アナライザを通過するイオンの意図的なフラグメンテーションに使用できます。これらのイオンはプリカーサイオンと呼ばれ、そのフラグメントはプロダクトイオンと呼ばれます。四重極をチューニングすることで、コリジョンセルに送られるプリカーサイオンを選択できます。検出器でそれらのプロダクトイオンを分析することで、プリカーサ分子の化学的(分析種)同定を行うことができます。

異なるタイプのコリジョンセルが使用できます。セルとして、別の四重極、ヘキサポール(7250 Q-TOF で使用されるような 6 本のロッド)、オクタポール(ロッド 8 本)、トランスウェーブガイドのいずれかが使用できます。使用する構造に関わらず、不活性で非反応性のコリジョンガスが必要です。また、コリジョンセルに印加する電圧を四重極に印加する電圧とは別の電圧にして、すべてのイオンの動きが加速され、フラグメンテーションを起こすのに十分なコリジョンエネルギーになるようにします。

コリジョンセルでは、セルの全長に沿った電位差によって、四重極から来るプリカーサイオンやコリジョンセルで発生するフラグメントイオンが検出器に送られ、アトランダムに停滞しなくなるため、イオンストリームを収束させてからフライトチューブに送ることができます。

26 Agilent 7250 Q-TOF GC/MS コンセプトガイド

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理論と内部構造 2コリジョンセル

コリジョンセル

コリジョンセルは、プリカーサイオンとそれから生じたフラグメントイオンを集め、これらをイオンビームとしてフライトチューブに導きます。またコリジョンセルは高圧下で動作するヘキサポールアセンブリで、そのリニアな加速は MS/MS のフラグメンテーションを最適化するように調整されており、短いドゥエルタイムでもクロストークを排除することができます。

コリジョンセルには窒素とヘリウムの混合ガスが含まれます。このガスは、キャリアガスとフラグメンテーションされたサンプルイオンと共に真空ポンプによって排気されます。直径の小さなヘキサポールアセンブリは、フラグメンテーションによって生じたイオンの衝突を促進します。

ヘキサポールとは

ヘキサポールの形状は、相反するパフォーマンスの問題に対して最適案を提供します。

• イオンの収束はフィルタ内の極数が少ないほどよくなります。研究によると、四重極はヘキサポールよりイオンの収束に優れていますが、ヘキサポールはオクタポールよりイオンの収束に優れています。

• イオントランスミッションは、広域な質量範囲、または m/z バンド幅全体でフィルタ内の極数が多いほどよくなります。この点に関しては、オクタポールはヘキサポールより優れ、ヘキサポールは四重極より優れています。

さまざまなモデル、シミュレーション、実験の結果、四重極の収束とオクタポールのイオントランスミッションの両方を満たすものとしてヘキサポールが選ばれました。

Agilent 7250 Q-TOF GC/MS コンセプトガイド 27

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2 理論と内部構造コリジョンセル

コリジョンセルの設計

コリジョンセルのヘキサポールは、6 本の抵抗被覆ロッドで構成されます。コリジョンセル全体に 5V の電位差がかかるようになっているため(図 5)、四重極から移動してくるプリカーサイオンや、コリジョンセルで生成されたフラグメントイオンは、アトランダムに滞ることなく送られます。

フラグメンテーションに適したコリジョンエネルギーを確立するために、追加の電圧が加えられます。

コリジョンセルのフラッシュ時間

クロストークは、コリジョンセルからイオンを排出するためにかかる時間を計って実証できます。(図 6 を参照してください)。

図 5 コリジョンセルの設計

28 Agilent 7250 Q-TOF GC/MS コンセプトガイド

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理論と内部構造 2コリジョンセル

グラフによると、質量が大きいほどコリジョンセルからの排出に時間がかかることがわかります。たとえば、リニア電位を使用したm/z 922 のイオンではコリジョンセルからの排出に 600 µ sec かかり、m/z 118 のイオンでは 350 µ sec かかっています。これは、セルからの完全な消失を示しており、Y 軸が対数で表されているので、クロストークが低度であることも示しています。このことから、すべてのイオンのコリジョンセルをフラッシュするのに、スキャン間の間隔が 5 ms であったとしても、十分であることがわかります。

図 6 コリジョンセル内の消失プロファイル(アルプラゾラム 500pg、ドゥエルタイム 20ms)

コリジョンエネルギー 0 V 軸に 5V の印加

Agilent 7250 Q-TOF GC/MS コンセプトガイド 29

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2 理論と内部構造飛行時間型 MS の原理

飛行時間型 MS の原理

前のセクションでは、四重極質量分析を使用したイオン分離、およびコリジョンセルによるフラグメンテーションの基となる理論について説明しました。四重極飛行時間型(Q-TOF)質量分析ではこれらの方法を、フライトチューブの端での検出前に、予備的なイオン分離のために使用しています。

飛行時間型質量分析では、イオンが既知の距離を移動するのにかかる時間を測定し、この値を使用してイオンの質量電荷比を決定します。

イオンは、電場により加速された状態でフライトチューブを通過します。加速された結果、イオンに運動エネルギーが生まれます。同じ電荷のイオンは、同じ運動エネルギーを持ちます。イオンの速度は、質量電荷比によって異なります。粒子が既知の距離にある検出器に到達するまでにかかる時間は測定可能です。この時間は、粒子の質量電荷比によって異なります(粒子が重いほど、速度が遅くなります)。この時間と既知の実験パラメータから、次の関係を使用してイオンの質量電荷比を求めることができます。

KE = 1/2 m v 2

v = d/t

t = m 1/2 * d/(2KE)1/2

ここで、KE = 運動エネルギー、v = 速度、m = 質量、d はイオンの移動距離、t はイオンが距離 d を移動するのに要する時間です。

上記の式の d/2KE 項は一定であるとみなせます。したがって、粒子の質量を決定するには、粒子がフライトチューブを通過するためにかかる時間を測定します。

16 ページの図 1 の Q-TOF モデルを検討します。四重極で選択され、コリジョンセルのフラグメンテーションによって生じたイオンはフライトチューブに送られ、こんどは垂直方向にチューブ内を上昇します。すなわち、イオンは四重極とコリジョンセルでの飛行方向と直角の方向に送られます。こうして直角の方向に送ることで、質量測定に対するイオンの生成と透過の影響が最小限に抑えられ、フライトチューブに送られるイオンの均一な初期条件(ほぼゼロの横方向速度)が得られます。

30 Agilent 7250 Q-TOF GC/MS コンセプトガイド

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理論と内部構造 2独自の INVAR フライトチューブ

イオンビームがほぼ並行にスライサーを通過します。スライサーは幅の狭いスリットで、飛行時間型イオンパルサーによってフライトチューブに送られる前にイオンビームをさらに識別し、イオンの初期条件を制限します。イオンパルサーはプレートのスタックであり、各プレート(最下部のプレートを除く)には中央に穴があります。イオンは、最下部のプレートの真上の側面からこのスタックに入ります。検出器へのイオンの飛行を開始するには、高電圧(HV)パルスをバックプレートに印加します。印加されたパルスは、イオンを反発させ、パルサープレートのスタックを通るイオンを加速し、高速発射イオン銃の役割を果たします。

パルサーの荷電プレートから、長さ約 1.5 m のフライトチューブに荷電したイオンが送られます。温度変化と湿度変化によってパルスエレクトロニクスが変動します。さらに、イオンが残留ガスと衝突すると、検出器に向かうパス上のイオンが減速し、質量計算の精度に影響します。このため、フライトチューブを定温、真空で保持する必要があります。

独自の INVAR フライトチューブ

7250 Q-TOF のフライトチューブは長さ約 1.5 m で、7200 Q-TOF

より 50% 長く、約 10-7 Torr の真空圧を維持しています。チュー

ブ全体が真空絶縁されています。これにより、高圧で発生するイオンの散乱、およびイオンの飛行距離を変化させる温度変動を回避できます。さらに、温度と湿度の変化によってフライトチューブの長さが変化します。絶縁フライトチューブを使用すると、これらの影響を最小限に抑え、測定精度を高めることができます。

フライトチューブの端にあるデュアルステージのイオン「ミラー」が、到着したイオンを反射して、検出器に向かわせます。反射する際、ミラーがイオンを再収束し、到着時の運動エネルギーのばらつきを最小限に抑えます。イオンは、運動エネルギーが高いほどミラーの奥に侵入し、飛行距離が延びるため、イオンが検出器に同時に到着できます。これにより測定の変動が補正され、分解能が高まります。イオンがイオンパルサーに入るときには、前方への特定量の推進力がフライトチューブ内の飛行方向と直角に存在するため、イオンはミラーから反射したときにイオンパルサーに戻らず、16 ページの図 1 に示すようにイオン検出器に到達します。

Agilent 7250 Q-TOF GC/MS コンセプトガイド 31

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2 理論と内部構造検出器

検出器検出器は、イオンが検出器に到着したときの時間に応じてイオン強度を記録します。高速エレクトロニクスを使用すると、高いサンプリングレートを実現でき、所定のマススペクトル内で多数のデータポイントが得られます。

イオン検出器の表面にはマイクロチャンネルプレート(MCP)があります。MCP は、プレートのフロント表面からリアに通じる微小チューブセットを含む、非常に薄いプレートです。イオンが MCP のフロント表面に衝突すると、1 個の電子が飛び出し、電気シグナル増幅のプロセスを開始します。自由電子が微小チューブの壁にぶつかるため、電子の数は増え続け、次々にプレートのリアに移動します。MCP に入ったイオンの約 10 倍の電子が、MCP から出て、シンチレーター表面に接触します。

これらの電子はシンチレーターに収束されます。シンチレーターに電子がぶつかることによって、光子が発生します。シンチレーターから発生した光子は 2 個の小さいレンズを通して光電子増倍管(PMT)の光電陰極に集められます。光電陰極が光子を電子に戻し、電子はその後、PMT のダイノードステージでの二次放出によって倍増されます。PMT から発せられる電気シグナルがデータ取込システムによって読み取られます。

電流から光子に変換し再度電子に戻す利点の一つは、MCP で必要とされる高い DC バイアス電圧(通常 -7000 V)を、データ取込システム(このシステムは一般にグラウンドバイアス電位のまま)から電気的に分離できることです。

図 7 シンチレーターによる電子から光子への変換プロセス

32 Agilent 7250 Q-TOF GC/MS コンセプトガイド

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理論と内部構造 2排気システム

排気システム

真空システムは、1 台のスプリットフローおよび 2 台のターボ分子ポンプと 1 台の粗引き(メカニカル)ポンプで構成される 5 段ポンピングシステムです(図 8)。真空システムは、イオン源の出口、コリジョンセル、およびアナライザから、キャリアガスの粒子やイオン化されていない分子を排出します。さらに真空システムによって、イオンを収束し、できるだけイオンを散乱させずに 1 m のフライトチューブ内に送るために必要な、一定の低圧力が維持されます。

イオンが残留ガスと衝突するとイオンの飛行時間が変わったり、不要なフラグメンテーションが生じたりする可能性があるため、真空度は質量精度、分解能、および全体的なデータ品質に影響します。精密質量計算は、正確な飛行時間に依存します。このため、フライトチューブのバックグラウンドガス圧は、一貫して非常に低い値に保たれています。

図 8 真空システム

Agilent 7250 Q-TOF GC/MS コンセプトガイド 33

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2 理論と内部構造排気システム

34 Agilent 7250 Q-TOF GC/MS コンセプトガイド

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Agilent 7250Accurate-Mass 四重極飛行時間型 GC/MS システム コンセプトガイド

3Agilent 7250 Accurate-Mass Q-TOF の性能

7250 Q-TOF の性能評価尺度 36

分解能 36

スキャン速度 37

質量精度 36

感度 38

ダイナミックレンジ 38

7250 Accurate-Mass Q-TOF の設計 39

この章では、Agilent 7250 Accurate-Mass Q-TOF GC/MS を使用してケミカルノイズと電子ノイズを減少させる方法と、各コンポーネントが機器の性能向上にいかに貢献するかについて説明します。

35Agilent Technologies

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3 Agilent 7250 Accurate-Mass Q-TOF の性能7250 Q-TOF の性能評価尺度

7250 Q-TOF の性能評価尺度

7250 Q-TOF GC/MS には複数の性能基準があります。最も重要な性能基準は以下の通りです。

• 分解能

• 質量精度

• スキャン速度

• 感度

• ダイナミックレンジ

分解能

質量分析において、分解能とは、質量スペクトルで質量電荷比(m/z)がわずかに異なる 2 つのピークを識別する能力を指します。また、分解能が高いと、多価イオンの質量測定精度と電荷状態の識別が向上するため、化合物同定の精度が上がります。7250 Q-TOF GC/MS の真空絶縁フライトチューブとデュアルステージイオンミラーが、常に高分解能を実現します。

質量精度

質量精度は、アナライザが m/z 情報を正確に提供できる能力です。質量分析では、質量精度は安定性と分解能の関数になります。精密質量検出によって、分子を取り違える確率が減るため、この性能基準は重要です。5 G Hz データ取込システムによって、 精密質量の同定を可能にする、高いサンプリングレートと複数イオンイベントデータが得られます。

36 Agilent 7250 Q-TOF GC/MS コンセプトガイド

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Agilent 7250 Accurate-Mass Q-TOF の性能 3スキャン速度

スキャン速度

質量分析計のスキャン速度とは、質量分析計がイオンビームをサンプリングする速度、つまり、複合質量スペクトルを生成す

るために個々の Transient をどれくらい集計するかの数を指し

ます。同様に、スペクトルデータ測定速度(一般に 1 Hz - 50 Hz 以上)によって、所定の時間間隔で取り込まれる複合質量スペクトルの数を設定します。クロマトグラフィックアプリケー

ションで、1 つ以上の複合質量スペクトルをクロマトグラフィッ

クピークの溶出時間よりも短い時間で得る必要がある場合には、

スキャン速度が重要です。1 つのクロマトグラフィックピークに

対して最低 10 個の質量スペクトルを得るのが理想です。7250 Q-TOF の高速エレクトロニクスのデータ測定速度は、最大約 50 Hz です。複合スペクトルを生成するのに使用される Transient の数は、選択された質量範囲によって異なります。20 - 1200 m/z の標準的な質量範囲を使用すると、毎秒約 10,000 の Transients が取り込まれます。つまり、1 Hz のスペクトル測定

速度では約 10,000 の Transient、50 Hz のスペクトル測定速度で

は 200 の Transient となります。収集された各 Transient には、

最大 100,000 個のデータポイントが含まれます。個々のデータ

収集 Transient を数多く迅速に取り込んで質量スペクトルを取

得することで、イオン統計値が向上し、データの完全性が拡張されます。

上述のとおり、質量スペクトルを構成するために取り込まれる Transient の数は、所定の測定の質量範囲に関連しています。

7250 で使用可能な質量(m/z)範囲は以下の通りです。

• 標準 m/z 20-1200 で 9591 Transients/Spectrum を取り込む

• 低 m/z 20-650 で 13091 Transients/Spectrum を取り込む

• 拡張 m/z 20-3000 で 6132 Transients/Spectrum を取り込む

Agilent 7250 Q-TOF GC/MS コンセプトガイド 37

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3 Agilent 7250 Accurate-Mass Q-TOF の性能感度

感度

MS データの感度は、スペクトル測定速度、質量範囲、検出限界、サンプル希釈率、サンプルの汚染を含む多くの要因に影響されます。MS 感度は、シグナル強度の増大とケミカルノイズの減少によって向上します。7250 LE-EI イオン源の感度は、m/z 272 の OFN において、従来の Agilent 7200 EI イオン源より 1 桁近く向上しています。また、四重極とコリジョンセルによる高レベルの分離、収束、フラグメンテーションや、スライサーとポンピングシステムによるフライトチューブ以前での汚染除去によって、7250 Q-TOF GC/MS のデータの完全性がさらに向上します。

ダイナミックレンジ

ダイナミックレンジは、検出器とデータ取込システムの検出範囲の評価尺度となっており、正確な質量を決定できるシグナル強度の範囲を示しています。ダイナミックレンジは、最大検出可能シグナルと最小検出可能シグナルの比です。7250 Q-TOF データ取込システムでは、7200 Q-TOF と比較して、ダイナミックレンジが向上しています。

38 Agilent 7250 Q-TOF GC/MS コンセプトガイド

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Agilent 7250 Accurate-Mass Q-TOF の性能 37250 Accurate-Mass Q-TOF の設計

7250 Accurate-Mass Q-TOF の設計

7250 Q-TOF GC/MS の設計では、イオン源から検出器までのすべての段階で性能向上の工夫がなされています。

図 9 7250 Q-TOF の性能

17

3

4

5

6

2

8

Agilent 7250 Q-TOF GC/MS コンセプトガイド 39

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3 Agilent 7250 Accurate-Mass Q-TOF の性能7250 Accurate-Mass Q-TOF の設計

1 LE-EI イオン源は、リペラ、イオン室、高感度抽出レンズ、フィラメントが含みます。

2 アナライザは、双曲線状四重極を使用してイオントランスミッションとスペクトル分解能を最適化します。

3 ADC エレクトロニクスにより、高サンプリングレートが実現され、低アバンダンスサンプル測定時の分解能、質量精度、感度が向上します。

4 デュアルステージのイオンミラーにより、イオンの飛行時間が延びることでフライトチューブ内での 2 次タイムフォーカシングが改善し、高い質量分解能が得られます。

5 独自の INVAR フライトチューブは、旧モデルより 50% 長くなっています。このフライトチューブは真空絶縁されており、温度変化による熱質量ドリフトが排除されるため、高い質量精度と分解能を実現します。

6 アナログ検出器と高速データ取込システムにより、高分解能と広いリニアなダイナミックレンジを同時に実現します。

7 リニアな加速を行う高圧コリジョンセルは、MS/MS でのフラグメンテーションを効率化し、非常に短いドゥエルタイムでもクロストークを排除します。直径の小さな高周波ヘキサポールアセンブリは、フラグメンテーションによって生じたイオンの捕捉とフォーカスを支援します。

8 3 つのターボ分子ポンプを採り入れた真空システムは、検出器の前の段階でニュートラル物質を効率よく排気します。

40 Agilent 7250 Q-TOF GC/MS コンセプトガイド

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© Agilent Technologies, Inc. 2017

第 1 版 2017 年 7 月

*G7250-96003*G7250-96003

www.agilent.com/chem/jp

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