金属鉱業情報 平成23年9月21日 vol.18 no.37...

20
ニュースフラッシュ 1 金属鉱業情報 平成 23 年 9 月 21 日 Vol.18 No.37 ニュース・フラッシュ 独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構 金属資源情報センター 電話:03-6758-8027 FAX:03-6758-8057 E-mail: [email protected] ニュース・フラッシュは、インターネットでも御覧になれます。記事検索も行えます。 http://www.jogmec.go.jp/mric_web/ ―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― [中南米] チリ:CODELCO の 2011 年 H1 剰余金は前年同期比 70% 増の 39.1 億 US$ チリ:銅製錬所排出規制強化の動きにチリ銅製錬各 社が懸念 チリ:ストライキによる CODELCO の生産減は銅 23 千 t、損失額は 170 百万 US$ チリ:下院が高地での作業への規制を政府に要求 チリ:CORFO はフェニックス・マイニングファンド に 92 百万 US$を拠出 ブラジル:レアアース開発に高まる期待 ブラジル:Salobo 銅プロジェクト、操業開始は 2012 年にずれ込む ブラジル:MBAC Fertilizer 社、Araxá レアアースプ ロジェクト取得へ ペルー:鉱業大会開催 ペルー:政府、超過利益課税法案を内閣で承認し国 会へ上程 ペ ル ー : 中 国 ア ル ミ 株 式 有 限 公 司 (Chalco) 、 Toromocho 銅プロジェクト開発開始 ペルー、メキシコ:Southern Copper 社、2013 年か ら中国に銅を輸出 メキシコ:加 Esperanza 社、Cerro Jumil 金・銀プ ロジェクトのプレ FS 結果を公表 メキシコ:加 Majestic 社、La Parrilla 多金属鉱山 の新規埋蔵量評価結果を公表 [北米] 米:ミシガン州・Eagle ニッケル・銅プロジェクト 開発中止に対する訴えが退けられる 米:Pan American Lithium 社、POSCO に対する第三 者割当増資を完了 米:Molycorp、住友商事との交渉決裂 加:Thompson Creek 社、Endako モリブデン鉱山の鉱 物埋蔵量の増加を公表 加:Galaxy 社、James Bay ペグマタイト型リチウム プロジェクトの経済性評価を開始 加:Hathor 社、Cameco の敵対的買収オファーを拒絶 加:ケベック州、新ロイヤルティ制度による 2010~ 2011 年の徴収額が過去 10 年間の徴収額合計を上回る [欧州・CIS] ロシア:Norilsk、ザバイカル地方で官民パートナー シップ銅・モリブデンプロジェクトを継続 英:Gleision 炭鉱で出水事故、4 名の死亡確認 英:GFMS 社が金の需給動向を発表、Mining Journal 誌は金投資家セミナーを開催 [アフリカ] ケニア:KWale ミネラルサンドプロジェクトは 2013 年生産開始予定 ギニア:前軍事政権が締結した鉱業契約の見直しを計画 南ア:電力不足は 2012 年がピークとの予測 [オセアニア] 豪:BHP Billiton、PNG での探鉱活動を再開 豪:会計大手 Ernst & Young、鉱業分野の 10 大リ スクを発表 豪:中国 Hanlong Mining、豪資源企業買収でインサ イダー取引に関与 豪:連邦政府、2010/11 年度資源エネルギーの生産・ 輸出動向を発表 豪:Ivanhoe Australia 社、Mount Dore のプレ FS へ 豪:五鉱資源、資産を五鉱有色に売却 豪:連邦政府、炭素税関連 18 法案を議会に提出 豪:Glencore、中堅ニッケル鉱山の Minara Resources を買収 豪:Alkane Resources 社、Dubbo ジルコン・レアア ース PJ の DFS 結果を発表 豪:Rio Tinto、Weipa ボーキサイト鉱山拡張に環境 問題発生 [中近東] アフガニスタン:米国地質調査所、アフガニスタン のレアアース資源量を公表

Upload: others

Post on 11-May-2020

8 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

ニュースフラッシュ 1

金属鉱業情報 平成 23 年 9 月 21 日 Vol.18 No.37 ニュース・フラッシュ

独立行政法人 石油天然ガス・金属鉱物資源機構 金属資源情報センター

電話:03-6758-8027 FAX:03-6758-8057 E-mail: [email protected]

ニュース・フラッシュは、インターネットでも御覧になれます。記事検索も行えます。

http://www.jogmec.go.jp/mric_web/

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

[中南米] チリ:CODELCOの 2011年 H1剰余金は前年同期比 70%

増の 39.1 億 US$ チリ:銅製錬所排出規制強化の動きにチリ銅製錬各

社が懸念 チリ:ストライキによる CODELCO の生産減は銅 23 千

t、損失額は 170 百万 US$ チリ:下院が高地での作業への規制を政府に要求 チリ:CORFO はフェニックス・マイニングファンド

に 92 百万 US$を拠出 ブラジル:レアアース開発に高まる期待 ブラジル:Salobo 銅プロジェクト、操業開始は 2012

年にずれ込む ブラジル:MBAC Fertilizer 社、Araxá レアアースプ

ロジェクト取得へ ペルー:鉱業大会開催

ペルー:政府、超過利益課税法案を内閣で承認し国

会へ上程 ペ ル ー : 中 国 ア ル ミ 株 式 有 限 公 司 (Chalco)、

Toromocho 銅プロジェクト開発開始 ペルー、メキシコ:Southern Copper 社、2013 年か

ら中国に銅を輸出 メキシコ:加 Esperanza 社、Cerro Jumil 金・銀プ

ロジェクトのプレ FS 結果を公表 メキシコ:加 Majestic 社、La Parrilla 多金属鉱山

の新規埋蔵量評価結果を公表

[北米]

米:ミシガン州・Eagle ニッケル・銅プロジェクト

開発中止に対する訴えが退けられる 米:Pan American Lithium 社、POSCO に対する第三

者割当増資を完了 米:Molycorp、住友商事との交渉決裂 加:Thompson Creek 社、Endako モリブデン鉱山の鉱

物埋蔵量の増加を公表 加:Galaxy 社、James Bay ペグマタイト型リチウム

プロジェクトの経済性評価を開始

加:Hathor 社、Cameco の敵対的買収オファーを拒絶 加:ケベック州、新ロイヤルティ制度による 2010~

2011 年の徴収額が過去 10 年間の徴収額合計を上回る

[欧州・CIS] ロシア:Norilsk、ザバイカル地方で官民パートナー

シップ銅・モリブデンプロジェクトを継続 英:Gleision 炭鉱で出水事故、4 名の死亡確認 英:GFMS 社が金の需給動向を発表、Mining Journal

誌は金投資家セミナーを開催

[アフリカ]

ケニア:KWale ミネラルサンドプロジェクトは 2013

年生産開始予定 ギニア:前軍事政権が締結した鉱業契約の見直しを計画 南ア:電力不足は 2012 年がピークとの予測

[オセアニア]

豪:BHP Billiton、PNG での探鉱活動を再開 豪:会計大手 Ernst & Young、鉱業分野の 10 大リ

スクを発表 豪:中国 Hanlong Mining、豪資源企業買収でインサ

イダー取引に関与 豪:連邦政府、2010/11 年度資源エネルギーの生産・

輸出動向を発表 豪:Ivanhoe Australia 社、Mount Dore のプレ FS へ 豪:五鉱資源、資産を五鉱有色に売却 豪:連邦政府、炭素税関連 18 法案を議会に提出 豪:Glencore、中堅ニッケル鉱山の Minara Resources

を買収 豪:Alkane Resources 社、Dubbo ジルコン・レアア

ース PJ の DFS 結果を発表 豪:Rio Tinto、Weipa ボーキサイト鉱山拡張に環境

問題発生

[中近東]

アフガニスタン:米国地質調査所、アフガニスタン

のレアアース資源量を公表

ニュースフラッシュ 2

[アジア]

インド:IRE 社、レアアース生産プラントの再開に

着手 インドネシア:国営錫企業・PT Timah、錫関連製品

の生産多角化を推進し、下流部門を強化 インドネシア:仏 Eramet 社 CEO、Weda Bay ニッケ

ル・プロジェクト計画に関し Yudhoyono 大統領を

表敬訪問 インドネシア:Grasberg 銅・金鉱山、2011 年 9 月

15 日からストライキを決行 中国:不動産開発業の上場企業による鉱業投資活発 中国:包頭希土産品取引所設立に進展なし 中国:江西省地質探査局、大規模タングステン鉱床

発見

中国:工業情報化部、レアアースプロジェクト指導

目録を年内発表 中国:レアアース産業、外需指向から内需指向へ 中国:福建省国土資源庁、レアアース産業対応策を

発表 中国:レアアース日系合弁企業へ苦情 中国:四川省・涼山鉱業の 10 万 t 銅アノードプラン

ト、生産開始 中国:精錬銅見掛け消費量、2015 年には 850 万 t に

増加 中国:広西自治区・徳保県でガリウム製錬プロジェ

クト、JV 契約調印 中国:四川漢龍集団の豪インサイダー嫌疑による

波紋 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

チリ:CODELCO の 2011 年 H1 剰余金は前年同期比 70%増の 39.1 億 US$

CODELCO の 2011 年 H1 剰余金が前年同期の 23.1 億 US$から 70%増加し、39.1 億 US$に達した。剰余金

は法令 No.13.196 による国庫納入金(防衛税)、所得税、鉱業ロイヤルティ、純利益を含む。この利益増

は銅価格及びモリブデン価格の高騰、生産量増、キャッシュコスト低減、CODELCO が株式の 40%を保有

していた E-CL 株の売却によるものである。E-CL 株の売却額は 10 億 US$に達し、売却資金の全てを 2011

年投資計画(32 億 US$)に割り当てることを CODELCO は認められている。

2011 年 H1 の平均銅価格は 4.263 US$/lb、平均モリブデン価格は 37.5 US$/kg とそれぞれ前年同期比

31.8%、及び 5%上昇した。CODELCO が 49%の権益を保有する El Abra 鉱山からの生産を除いた 2011 年

H1 銅生産量は 818 千 t で前年同期比 2.4%増となった。モリブデンの生産量は 12 千 t で同 33%増であ

る。トータルコストは 2.109 US$/lb で同 18%増となったが、これは労働協約の締結、退職プランの実

行及び米ドルに対するチリペソ高に起因する。一方で、モリブデン、アノードスライム、硫酸といった

副産物価格の上昇により、キャッシュコストは 1.048 US$/lb と同 1.2%減となった。

CODELCO 各事業所の 2011 年 H1 銅生産量は下表のとおりである。

表.CODELCO 各事業所の 2011 年 H1 銅生産量

事業所 銅生産量(千 t) 対前年同期比(%) 備考

Chuquicamata 206 -21.1

Radomiro Tomic 230 29.2

Salvador 35 -2.8

Andina

113 48.7

拡張プロジェクト

(phase I)の立ち

上げ

El Teniente

182 -3.2

請負労働者ストライ

キの影響(2011 年 6

月~7月)

Gaby 52 -11.9

(2011. 9. 13 サンティアゴ 縫部保徳)

チリ:銅製錬所排出規制強化の動きにチリ銅製錬各社が懸念

メディア報道によると、現在チリ政府には銅製錬所からの排出ガス基準を新しく設け、規制を始める

動きがある。これについて、チリ国内に製錬所を保有する CODELCO 及び民間企業(Xstrata、Anglo

American)は懸念を示している。これまでのところ排出基準について具体的な発表はないが、粒子状物

質(PM)捕集率約 95%以上といった基準が適用される可能性が大きいとされている。

CODELCO は 4 製錬所を操業しているが、前記基準へ対応する各製錬所の設備投資に 10 億 US$が必要と

ニュースフラッシュ 3

言われている。CODELCO の Diego Hernández 総裁は、「規制が大きく強化された場合、世界的に見て小

規模な Ventanas 製錬所を新基準に適合させるのは経済的に難しいかもしれない。正式な基準の決定を

待ち、どのように適合させることができるか、また、必要投資がどの程度かを調査する必要がある」と

述べた。

Altonorte 製錬所を操業する Xstrata は、環境配慮型の製錬所改善プロジェクトに既に 1.3 億 US$を

投資しているが、さらに 1 億 US$の追加投資を計画している。Anglo American が操業する Chagres 製錬

所は既に PM 捕集率 96%を達成しており新基準を満たす可能性が高いが、新基準についての審議の行方

に注目している。Anglo American によれば、常に操業全体の環境改善に努めており、近年実施した

Chagres 製錬所への投資は PM 捕集率を高めることが目的であった。

(2011. 9. 13 サンティアゴ 縫部保徳)

チリ:ストライキによる CODELCO の生産減は銅 23 千 t、損失額は 170 百万 US$

CODELCO は 2011 年にこれまで発生した 2 回のストライキによる損失額は 170 百万 US$、銅の生産量に

して 23千 tと見積もっている。Diego Hernández総裁が 2011年 H1決算報告の記者会見で明らかにした。

El Teniente 事業所では、2011 年 7 月 16 日から 55 日間続いた請負労働者によるストライキにより銅 17

千 t、硫酸 45 千 t の生産ができず、129 百万 US$の損失を招いた。2011 年 7 月 11 日の正規雇用労働者

による 24 時間ストライキでは、銅 7.8 千 t、硫酸 15 千 t、金額にして 41 百万 US$の損失が生じた。

(2011. 9. 13 サンティアゴ 縫部保徳)

チリ:下院が高地での作業への規制を政府に要求

メディア報道によると、チリ下院は鉱業に関する高地での作業を規制する基準作成を求めることを決

議した。急進社会民主党の Marcos Espinos 下院議員はこの決議の目的について、「高地で作業を行う

鉱山労働者のための規制がない現行労働法を正すことが目的である。高地で働く鉱山労働者には健康リ

スクを回避する特別な規則がなく、安全基準も確立されていない」とコメントした。同時に下院は、海

抜 4,500 m 以上の場所で働くことによる健康への影響調査を保健省及び労働社会保障省に求めることも

決議した。

(2011. 9. 14 サンティアゴ 縫部保徳)

チリ:CORFO はフェニックス・マイニングファンドに 92 百万 US$を拠出

チリ鉱業省の発表などによると、CORFO(チリ経済開発公社)はチリ国内の探鉱に出資するフェニック

ス・マイニングファンドに 92 百万 US$を拠出した。フェニックス・マイニングファンドはジュニア企業

の探鉱活動が他の鉱業国と比較し低調なチリにおいて、ジュニア企業を育成すること等を目的として

CORFO とチリ鉱業省により 2011 年 3 月に設立された。当初予算は 90 百万 US$(内、CORFO 拠出分は 60 百

万 US$)であったが、予想より多くの応募があったことから増額された。ファンドの総額は 150 百万 US$と

なり、CORFO が 92 百万 US$を拠出、残りは市場から調達する。ファンド資金は、資金運用管理会社 6 社

(Asset、IM Trust、Zeus、EPG、Administradora de Inversiones Mineras、Celfin)から探鉱を実施す

るジュニア企業に出資される。10年以内に少なくとも50の探鉱プロジェクトに出資を行う計画である。

フェニックス・マイニングファンドは探鉱を実施する中小企業(資本金 9 百万 US$未満)のために設立

された。プロジェクト期間は 10 年であるが、弁済のため 2 年の延長が可能である。融資限度額は 150

~400 千 UF*(6.94~18.5 百万 US$)となっている。

*UF:消費者物価指数の変化率に応じてインフレ調整されるインデックス。毎月 9 日に発表され、翌 10

ニュースフラッシュ 4

日から次月の 9 日まで適用される。(出典:JETRO)

参考:1 UF=21,989.24 Peso、1 US$=475.60 Peso(2011 年 9 月 14 日)

(2011. 9. 14 サンティアゴ 縫部保徳)

ブラジル:レアアース開発に高まる期待

メディア報道によると、ブラジルでは、Vale、Galvani Participacoes e Investimento S/A 社、Companhia

Brasileira de Metalurgia e Mineracao(CBMM)社等の主要企業のほか、Minas Gerais 州の中小企業がレ

アアース資源の開発に関心を寄せている。Vale 社の Ferreira 社長は、同社にとってレアアースは戦略

資源であり、この市場に参入するであろうと述べている。また連邦政府は 2011 年に入り、ドイツとの

間でレアアース磁石の開発に関する技術協定を締結するべく交渉中であると発表している。

Minas Gerais 州では、レアアース、リチウム、コバルト、タンタル、ジルコン、ニオブ、肥料原料に

ついて、Minas Gerais 州経済開発公社(CODEMIG:Companhia de Desemvolvimento Economico de Minas

Gerais)と連邦地質調査所(CPRM)が共同で基礎調査を行い、その結果が 2011 年 12 月に発表される予定

である。両組織は 2006 年から共同で調査を行ってきたが、この過程で、Trianglo, Alto Paraiba で新

鉱床が発見されている。Minas Gerais 州は、CODEMIG を通じてこれらの資源開発事業に資本参加するこ

とも検討中であるとされている。

(2011. 9. 19 サンティアゴ 神谷夏実)

ブラジル:Salobo 銅プロジェクト、操業開始は 2012 年にずれ込む

メディア報道によると、Vale の Ferreira 社長は、Para 州 Carajas で開発中の Salobo 銅プロジェク

トについて、2011 年の操業開始予定が、建設の遅れから 2012 年 H1 にずれ込むと語った。同プロジェク

トは、初期投資コスト 18 億 US$で、年間生産量が銅 100 千 t、金 130 千 oz(約 4 t)の計画であるが、拡

張計画(Salobo II)によって生産量を 2 倍に引き上げる計画もある。なお、Vale は、Salobo プロジェク

ト以外にも、ブラジル、チリ、カナダ、アンゴラ、ザンビア、カザフスタン等で銅開発プロジェクトを

推進中である。

(2011. 9. 19 サンティアゴ 神谷夏実)

ブラジル:MBAC Fertilizer 社、Araxá レアアースプロジェクト取得へ

加 MBAC Fertilizer Corp.(TSX 上場、以下「MBAC 社」は、Minas Gerais 州南部の Araxá レアアース・

ニオブ・リンプロジェクトのオプション権を行使し、同プロジェクトの 100%権益を取得すると発表し

た。同社は現在開発に向け既存調査データのまとめ冶金試験を行っており、さらに追加試錐も予定して

いる。鉱床は CBMM 社の Araxá 鉱山と同じ Barreiro カーボナイト中に発達したもので、鉱業権は 4 鉱区

(214 ha)で構成される。同地域では Vale のリン鉱山も操業している。これまで、オーガー調査(31 孔、

199 m)、ピット(43 地点、436 m)、ダイヤモンド試錐(35 孔、3,485 m)、冶金試験が行われた。歴史的

には、1965 年よりブラジル鉱産局(DNPM)が調査を開始し、その後、CBMM 社、Rhône-Poulenc 社、Extramil

社、CIF 社が調査を行ってきた。

現在のところ資源量は発表されていないが、過去にはExtramil社が、REO鉱石の量を1.3百万t(9.62%

REO(カットオフ 6% REO、比重 2.0 t/m3))と推定している。各元素の平均品位は、CeO2 48.63%、La2O3

29.46%、Nd2O3 13.82%、Pr2O3 4.24%、Sm2O3 1.59%、Eu2O3 0.33%、Gd2O3 0.64%、Dy2O3 0.30%、Yb2O3

0.04%、Y2O3 0.94%とされている。

(2011. 9. 19 サンティアゴ 神谷夏実)

ニュースフラッシュ 5

ペルー:鉱業大会開催

2011 年 9 月 14 日付け地元各紙によると、9 月 12 日から 16 日までペルー南部の都市 Arequipa で開催

された鉱業大会において、ペルー国内で活動する主要企業の代表者らがプロジェクトの進捗状況や今後

の展望等を明らかにした。各社の主なコメントや発言は以下のとおりである。

・Xstrata Tintaya 社

Xstrata Tintaya 社の Marun 副社長は、Antapaccay 銅プロジェクト(Cusco 県)の鉱山建設が 32%まで

進んでおり、2012 年 H2 に生産を開始する予定であることを明らかにした。同社は Antapaccay プロジェ

クトに 14.73 億 US$を投資し、20 年のマインライフ期間に年間平均 140 千 t( 初の 10 年間は 160 千 t)

の銅を生産する計画である。一方、Las Bambas 銅プロジェクト(Apurimac 県)においては住民の移転先

となる居住地を建設したことを明らかにした。Las Bambas 銅プロジェクトには 42.3 億 US$が投じられ、

2014 年 H2 に操業を開始することが計画されている。

・Anglo American

Anglo American は、Quellaveco 銅プロジェクトの建設を 2012 年に開始すると発表した。同社による

と、建設期間は 44 か月となる見通しで、操業開始後は年間 220 千 t の銅を生産する計画となっている。

・Cerro Verde 社

Cerro Verde 銅鉱山は、2011 年末に操業拡張プロジェクトの環境影響評価(EIA)をエネルギー鉱山省

へ提出する見通しを明らかにした。この拡張計画には 35 億 US$が投じられ、選鉱プラントの処理能力が

3 倍になる。拡張工事は 2013 年に開始され、2016 年に完了する見通しである。一方、Cerro Verde 鉱山

では 5%の賃金アップ等を求めて無期限ストライキが開始され、同鉱山ではストライキに入った 1,200

名の労働者の代替人員を一時的に雇用することで対応している。

・Southern Copper 社

Southern Copper 社 の Gonzales 社長は、2011 年 9 月中にも Tia Maria 銅プロジェクト(Arequipa 県)の

実施を目的とした地元自治体及び中央政府との対話協議を再開する考えを示した。同社長は、Tia Maria

銅プロジェクトは国民及び政府の双方に貢献するとの考えを主張した。一方、Arequipa 県の Guillen 知事

は、合意形成なしにはプロジェクトの実施は困難であるとの考えを示した。 更に同社長は、Los Chancas

銅プロジェクト(Aprimac 県)の FS を 2011 年末までに完了する見通しを明らかにした。同社長によれば Los

Chancas 銅プロジェクトの操業開始は 2015 年で年間 80 千 t の銅を生産する見通しである。

・Barrick Gold 社

Barrick Gold 社は、Lagunas Norte 金鉱山(La Libertad 県)及び Pierina 金鉱山(Ancash 県)に対して

2013 年までに 5.5 億 US$を投資することを明らかにした。これらの投資は Lagunas Norte 鉱山のリーチ

ングパッドや、Pierina 金鉱山の酸性水処理プラント建設等に充てる計画である。なお Pierina 金鉱山

は、現在 2014 年までとなっているマインライフを 2018 年に延長する見通しである。

・Buenaventura 社

Buenaventura 社は、2012 年に Mallay 多金属プロジェクト及び Breapampa 金・銀プロジェクトの操業

を開始する旨発表した。Benavides 社長は、これらは小規模ながらも Buenaventura 社が 100%の権益を

有するプロジェクトであり、各プロジェクトに対して 50~70 百万 US$を投資する計画であるとした。一

方、Newmont 社と共同で実施する Minas Conga 銅・金プロジェクト(Cajamarca 県)は順調に進行してお

り、2014 年末に生産を開始する見通しであること明らかにした。更に、 近操業を開始したばかりの

Tantahuatay 金鉱山では 2011 年に金 6 万 oz(約 1.9 t)を生産し、2012 年には 10 万 oz(約 3.1 t)を生産

する見込みであると発表した。

(2011. 9. 19 リマ 山内英生)

ニュースフラッシュ 6

ペルー:政府、超過利益課税法案を内閣で承認し国会へ上程

2011 年 9 月 14 日付け地元各紙によると、ペルー内閣は 9 月 13 日に鉱業超過利益課税に関連する 3 つ

の法案を承認し、これらを優先的に審議・承認を進める緊急法案として国会へ上程した。

1 つ目の法案は鉱業ロイヤルティの改正であり、現在売上げの 1~3%となっているロイヤルティを営

業利益率に対する累進制とするものである。営業利益に課される実行税率は、下表の営業利益率区間及

びそれに対応した限界税率に従って、法令で定められた算定式により算出される。

2 番目の法案は鉱業特別税(IEM)を新設するもので、同様に営業利益に対して課税される。なお、これ

ら 2 つの制度は、税の安定契約を有さない企業に適用され、本法律の発効後、鉱業ロイヤルティ及び鉱

業特別税の双方を納めることになる。

3 番目の法案は鉱業特別賦課金(GEM)を新設するものであり、上記と同様に営業利益に対して課税され

る。鉱業特別賦課金(GEM)は、現在、税の安定契約を有する企業を対象に適用されるが、政府はこの制

度を適用する前に、各企業と事前に本制度の適用に関する合意書を取り交わすとの考えを示している。

なお、これらは全て四半期ごとに算出され納付されることになるが、新たに導入される鉱業特別税

(IEM)及び鉱業特別賦課金(GEM)は、小規模・零細鉱業には適用されない見通しとなっている。

鉱業ロイヤルティ 鉱業特別税(IEM) 鉱業特別賦課金(GEM)

営業利益率

区間 限界税率

営業利益率

区間 限界税率

営業利益率

区間 限界税率

下限 上限 下限 上限 下限 上限

1 0 10% 1.00% 1 0 10% 2.00% 1 0 10% 4.00%

2 10% 15% 1.75% 2 10% 15% 2.40% 2 10% 15% 4.57%

3 15% 20% 2.50% 3 15% 20% 2.80% 3 15% 20% 5.14%

4 20% 25% 3.25% 4 20% 25% 3.20% 4 20% 25% 5.71%

5 25% 30% 4.00% 5 25% 30% 3.60% 5 25% 30% 6.28%

6 30% 35% 4.75% 6 30% 35% 4.00% 6 30% 35% 6.85%

7 35% 40% 5.50% 7 35% 40% 4.40% 7 35% 40% 7.42%

8 40% 45% 6.25% 8 40% 45% 4.80% 8 40% 45% 7.99%

9 45% 50% 7.00% 9 45% 50% 5.20% 9 45% 50% 8.56%

10 50% 55% 7.75% 10 50% 55% 5.60% 10 50% 55% 9.13%

11 55% 60% 8.50% 11 55% 60% 6.00% 11 55% 60% 9.70%

12 60% 65% 9.25% 12 60% 65% 6.40% 12 60% 65% 10.27%

13 65% 70% 10.00% 13 65% 70% 6.80% 13 65% 70% 10.84%

14 70% 75% 10.75% 14 70% 75% 7.20% 14 70% 75% 11.41%

15 75% 80% 11.50% 15 75% 80% 7.60% 15 75% 80% 11.98%

16 80%以上 12% 16 80% 85% 8.00% 16 80% 85% 12.55%

17 85%以上 8.40% 17 85%以上 13.12%

(2011. 9. 19 リマ 山内英生)

ペルー:中国アルミ株式有限公司(Chalco)、Toromocho 銅プロジェクト開発開始

安泰科によれば、中国アルミ株式有限公司は、ペルー政府から Toromocho 銅鉱床開発の認可を取得、

正式に鉱山建設を開始し、2013 年末までに生産を開始する計画である。同鉱床の銅埋蔵量は約 1,200 万

t(金属量)で、中国が権益を保有する銅資源量の 19%を占めている。鉱山の生産規模は銅精鉱 90 万 t~

100 万 t/年(銅量 20 万 t~25 万 t/年)、マインライフ 36 年間以上。投資総額は 20 億~25 億 US$である。

(2011. 9. 19 北京 土居正典)

ニュースフラッシュ 7

ペルー、メキシコ:Southern Copper 社、2013 年から中国に銅を輸出

2011 年 9 月 14 日付け業界紙等によると、Grupo Mexico 80%子会社の Southern Copper 社の González

社長は、2013 年から中国に銅を輸出する見通しを明らかにした。同社は現在、ペルー国内、中南米各国

の他、銅生産量の 25%を欧州に、23%を米国に輸出している。

同社は、ペルーにおいて Cuajone 鉱山及び Toquepala 鉱山、メキシコにおいて La Caridad 鉱山、

Buenavista 鉱山等を操業し、2010 年の銅生産量は 478.5 千 t であった。

(2011. 9. 17 メキシコ 高木博康)

メキシコ:加 Esperanza 社、Cerro Jumil 金・銀プロジェクトのプレ FS 結果を公表

Esperanza Resources Corp.(本社:バンクーバー)は、メキシコ・モレーロス州に保有する Cerro Jumil

金・銀プロジェクトのプレ FS 結果を 2011 年 9 月 13 日付け同社 HP に公表した。

同プロジェクトの精測・概測資源量は 31.9 百万 t、平均品位は金 0.72 g/t、銀 1.6 g/t、含有量は金

23 t、銀 51 t と評価されている。同社は、更に資源量アップを目指した 15 km のボーリング探査を行

い、2012 年内に FS を終了させる予定である。

金属価格を金 1,150 US$/oz 及び銀 21 US$/oz として行われたプレ FS の概要は、以下のとおり。

・粗鉱処理量:20 千 t/日

・金属回収率:金 75%及び銀 25%

・年平均金生産量:3.2 t

・マインライフ:6 年

・この間の平均操業キャッシュコスト:499 US$/oz

・初期開発コスト:114 百万 US$

・税引後内部収益率(IRR):26%

・5%割引現在正味価値(NPV):122 百万 US$

(2011. 9. 19 メキシコ 高木博康)

メキシコ:加 Majestic 社、La Parrilla 多金属鉱山の新規埋蔵量評価結果を公表

First Majestic Silver Corp.(本社:バンクーバー)は、メキシコ・ドゥランゴ州に保有する La Parrilla

多金属鉱山の新規埋蔵量評価結果を 2011 年 9 月 13 日付け同社 HP に公表した。同評価結果によると確

定・推定埋蔵量は、従来比 607%アップの銀換算 1,154 t となり、マインライフは 2 年から 7 年に増加

した。

同社は、2011 年探鉱計画として総延長 20 km のボーリングを予定し、2011 年 6 月末までに実施した

総延長 9,453 m のボーリング探査が今回の埋蔵量の増加につながった。同社は、埋蔵量の更なる増加を

目指し、2011 年末までに残りのボーリングを実施する。

なお、同社は、2011 年末までに粗鉱処理量を現行の 850 t/日から 1,600 t/日へと拡張する工事を 2010

年 12 月から実施している。

同鉱山の 2010 年の生産量は、銀 48.2 t、金 0.01 t、鉛 1.94 千 t、亜鉛 0.16 千 t であった。

同社は、メキシコにおいて他に、San Martin 金・銀鉱山(ハリスコ州)、La Encantada 多金属鉱山(コ

アウイア州)を操業するとともに、Del Toro 銀プロジェクト(サカテカス州)を開発している。

(2011. 9. 19 メキシコ 高木博康)

ニュースフラッシュ 8

米:ミシガン州・Eagle ニッケル・銅プロジェクト開発中止に対する訴えが退けられる

米国ミシガン州で Eagle ニッケル・銅プロジェクトを開発している Kennecott Eagle Minerals

Company(Rio Tinto 社 100%子会社。以下、Kennecott 社)は、2011 年 9 月 14 日、同社保有の Eagle ニ

ッケル・銅プロジェクトの開発中止を求める地元先住民部族等による提訴(ニュース・フラッシュ

No.11-35 で既報)に関して、ミシガン州 Ingham 郡巡回裁判所は原告の訴えを退ける裁定を下したと発表

した。これにより Kennecott 社は、Eagle プロジェクトの坑口開削に向け前進することとなった。

(2011. 9. 19 バンクーバー 片山弘行)

米:Pan American Lithium 社、POSCO に対する第三者割当増資を完了

Pan American Lithium Corp.(以下、PAL 社)は 2011 年 9 月 15 日、韓国 POSCO の 100%子会社である

POSCO Canada Ltd.(以下、POSCAN)に対する第三者割当による増資が完了したと発表した。増資は、POSCAN

が PAL 社普通株式 10,522,090 株を 1 株当たり 0.136 C$にて引き受ける形で行われ、POSCAN が引き受け

た株式は 2012 年 1 月 15 日まで保持しておく必要がある。調達された資金は、PAL 社が保有しているリ

チウム・カリウム案件や同社の運転資金に供される。

本第三者割当により、PAL 社は POSCAN に対して、PAL 社が保有するチリのかん水案件に係るリチウム

等の生産設備、研究開発設備を建設する権利を賦与することとなった。なお、本権利は 2012 年 12 月 31

日を行使期限としている。また、PAL 社は、同社の取締役の数を 4 名に増員し、空席には POSCAN/POSCO

により指名された者を任命するとしている。ただし、POSCO が PAL 社発行済み株式総数の 10%以上を保

有し、上記権利を 2012 年 12 月 31 日までに行使する場合に限り、PAL 社は POSCO 指名の取締役を承認す

るとしている。

PAL 社はさらに POSCO に対し、POSCO が PAL 社発行済み株式総数の 10%以上を保有している限り、保

有権益比率に応じた新株引受権を与えるとしている。

(2011. 9. 19 バンクーバー 片山弘行)

米:Molycorp、住友商事との交渉決裂

Molycorp Inc.(以下、Molycorp)は 2011 年 9 月 16 日、住友商事との資金提供及びレアアース対日

供給に関する基本合意書に関し、双方合意の上交渉を中断したと発表した。住友商事と Molycorp は、

2010 年 12 月に米国・カリフォルニア州 Mt. Pass レアアース鉱山の再稼働及び新規建設設備に必要

となる資金として住友商事が 1 億 US$の出資と 3,000 万 US$の低利融資を提供するとともに、住友商

事が Mt. Pass 鉱山から生産されるレアアースの日本向けの販売代理店となることについて基本合意

書を締結していた。

今回の交渉決裂に関して Molycorp は、Mt. Pass 鉱山の拡張及び近代化に必要となる資金 7 億 8,100

万 US$については既に調達済みであり、同社のビジネスプランには何ら影響を及ぼさないことを強調し

ている。なお、Molycorp は 2011 年 8 月 21 日に日本の顧客向けに対するサービスの向上を目的に東京に

支店を開設している。

また、Molycorp は 2011 年 9 月 13 日に、ジスプロシウムを使用しないレアアース磁石による風力発電

設備の特許を有する Boulder Wind Power 社(以下、BWP 社)に対して、ベンチャーキャピタルである New

Enterprise Associates 社とともに出資することを併せて発表した。出資は、BWP 社が行う総額 35 百万

US$の増資の一部として、BWP 社の転換権付き優先株式購入の形で行われ、Molycorp は BWP 社の取締役

の席を得るとともに、風力発電設備に用いるレアアースの優先供給者となるとしている。

(2011. 9. 19 バンクーバー 片山弘行)

ニュースフラッシュ 9

加:Thompson Creek 社、Endako モリブデン鉱山の鉱物埋蔵量の増加を公表

Thompson Creek Metals Company Inc.(本社:米国デンバー、以下 Thompson Creek 社) は 2011 年 9

月 12 日、Endako モリブデン鉱山の埋蔵量の増加を公表した。

確定及び推定埋蔵量に含まれるモリブデン量は、286.2 百万 lb(129,818 t)から 312.2 百万 lb(141,612

t、平均品位 0.046%)に 9%増加し、マインライフは 2028 年まで 2 年間延長された。

(2011. 9. 19 バンクーバー 大北博紀)

加:Galaxy 社、James Bay ペグマタイト型リチウムプロジェクトの経済性評価を開始

Lithium One Inc.(本社:バンクーバー、以下 Lithium One 社)は 2011 年 9 月 13 日、同社がカナダ・

ケベック州に保有する James Bay ペグマタイト型リチウムプロジェクトについて、JV パートナーである

Galaxy Resources Ltd.(本社:豪・ウエストパース、以下 Galaxy 社)が包括的経済性評価(以下 DFS)を

開始したと発表した。

Galaxy 社は、2011 年 2 月 15 日に Lithium One 社と James Bay プロジェクトに関して 3 百万 C$で当該

権益の 20%、24 か月以内の DFS 完成で 大 70%を取得できる JV 契約を締結している。

James Bay リチウムプロジェクトは、ケベック州に位置するペグマタイト型リチウム案件であり、

NI43-101 準拠の概測資源量は 11.75 百万 t(平均品位 Li2O 1.30%)、予測資源量は 10.47 百万 t(平均品

位 Li2O 1.20%)(いずれもカットオフ品位 Li2O 0.75%)である。

(2011. 9. 19 バンクーバー 片山弘行)

加:Hathor 社、Cameco の敵対的買収オファーを拒絶

Hathor Exploration Ltd. (本社:バンクーバー、以下 Hathor 社) は 2011 年 9 月 14 日、Cameco (本

社:サスカトゥーン) が同年 8 月 26 日に提示した 5.2 億 C$の敵対的買収オファーを拒絶するように自

社株主に勧めた。

Hathor 社の特別委員会が検討した結果、このオファーが同社資産である Roughrider ウラン鉱床のプ

レ経済評価結果 (同年 9 月 13 日公表、Far East Zone を除く West 及び East Zone の評価結果:税引前

収益 10 億 C$/年、U3O8生産量 500 万 lb(2,268 t)/年、マインライフ 11 年) の公表前のものであること、

また、福島原発事故以降ウラン価格やウラン会社の株式価格が下落しているタイミングを狙ったオファ

ーであること等を理由として、株主に買収オファーの拒絶を勧めた。

このような反応に対して Cameco は、同日コメントを公表した。同社 CEO の Tim Gitzel 氏は「当社の

アサバスカ盆地における探鉱とプロジェクト運営経験に基づくと、Hathor 社のプレ経済評価結果は費用

が安く見積もられている。予定表、開発リスクは推測であり、Roughrider ウラン鉱床及び Hathor 社の

価値を誇張している。」と述べている。

Cameco はオファーを変更する計画は無いとして、対立の構えを見せている。

(2011. 9. 19 バンクーバー 大北博紀)

加:ケベック州、新ロイヤルティ制度による 2010~2011 年の徴収額が過去 10 年間の徴収額合計を上

回る

ケベック州政府は 2011 年 9月 15 日、新ロイヤルティ制度による 2010~2011 年の徴収額が 2000~2010

年の過去 10 年間の徴収額を上回ったと公表した。2010~2011 年の徴収額は 304 百万 C$、2000~2010 年

の徴収額合計は 289 百万 C$となっている。州政府はロイヤルティに係る 2011~2012 年予算歳入を 133

百万 C$と見積もっているが、見積額の 2 倍以上の歳入を前年度に得ることとなった。

ニュースフラッシュ 10

ケベック州のロイヤルティ率は幾度か引き上げられており、2010 年 3 月に 12%から 14%、2011 年 1

月に 15%に引き上げられている。更に 2012 年 1 月には 16%に引き上げられる。州政府は、2010~2015

年の 5 年間で合計 18 億 C$のロイヤルティを得るとしている。また、税金を含めた鉱業部門からの徴収

額は 2010 年に 600 百万 C$を超え、2010~2014 年の 4年間の合計では 40 億 C$を超えると見込んでいる。

(2011. 9. 19 バンクーバー 大北博紀)

ロシア:Norilsk、ザバイカル地方で官民パートナーシップ銅・モリブデンプロジェクトを継続

2011 年 9 月 6 日現地報道によると、Norilsk Nickel(ノリリスク・ニッケル、以下 Norilsk)は、ザ

バイカル地方の鉱物資源開発の官民パートナーシップ総合プロジェクトとして、年内にナルィン-1(ボ

ルジャ)~ガジムル工場間(223 ㎞)の鉄道建設に 74 億ルーブル(約 2.4 憶 US$)を投入し、2012 年に建設

完了予定である。

また、ブイストリンスコエ銅鉱床の鉱石を処理する選鉱場が現在設計中で、2012 年 Q1 に設計が完了

する見込みである。併せてブグダインスコエ・モリブデン鉱床の鉱石を処理する選鉱場の設計責任者の

選定が行われている。全作業が計画通りに進行しており、両鉱床の鉱石を対象とする選鉱場は 2012~

2013 年に建設を開始し、2015~2016 年に操業を開始する予定である。

これらプロジェクトは、ロシア連邦投資基金と Norilsk による官民パートナーシップの枠組みで実施

される投資プロジェクトで、投資総額は 1,045 億 9,700 万ルーブル(約 33 億 3,200 万 US$)、同社による

資金は 800 億ルーブル(約 25 億 4,800 万 US$)を超え、うち 723 億 5,800 万ルーブル(約 23 億 US$)が両

鉱床の開発、80 億 6,000 万ルーブル(約 2 億 5,700 万 US$)が鉄道建設に充てられる。同基金は鉄道建設

に 241 億 8,000 万ルーブル(約 7 億 7,000 万 US$)を投資する。

プロジェクトの年間生産量は、ブイストリンスコエ鉱床関連で銅 6 万 2,000 t、金 6.3 t、鉄鉱石 211

万 3,000 t、ブグダインスコエ鉱床関連でモリブデン精鉱 9,800 t を見込んでいる。

(2011. 9. 12 モスクワ 大木雅文)

英:Gleision 炭鉱で出水事故、4 名の死亡確認

英国ウェールズの Gleision 炭鉱で 2011 年 9 月 15 日、出水事故が発生し鉱山作業員 4 名が死亡した。

坑内に閉じ込められた 4 名の救出活動が行われたが、2011 年 9 月 16 日、4 名全員の死亡が確認された。

鉱山作業員他 2 名は自力で無事脱出し、他 1 名は病院で手当てを受けている。出水事故の詳しい原因は

現時点では明らかになっていないが、地下 90 m の坑内で擁壁が崩壊し出水したものと考えられている。

(2011. 9. 19 ロンドン 北野由佳)

英:GFMS 社が金の需給動向を発表、Mining Journal 誌は金投資家セミナーを開催

英国の貴金属調査会社 Thomson Reuters GFMS 社は 2011 年 9 月 15 日、Thomson Reuters 社に買収され

て以降初めてのレポートである『Thomson Reuters GFMS Gold Survey 2011 Update 1』をロンドン及び

香港の会場で発表した。同レポートによると、金価格は強い投資目的の需要に支えられ、2011 年末まで

に 2,000 US$/oz 台に達すると予想されている。2011 年 H2 の金の投資目的需要は、同年 H1 の 624 t か

ら大幅に増加し、1,000 t 超(約 600 億 US$に相当)を記録する見通しである。また、金価格の上昇にも

かかわらず宝飾品需要は順調であり、2011 年 H1 は前年同期比 7.5%増となった。

一方、2011 年 H1 の金の鉱山生産量は前年同期比 4.9%で、同社は今後数年間生産量の増加傾向が続

くと予想している。今回のレポートでは特に投資活動における「大変化(sea change)」について言及さ

れており、EU 圏における債務危機問題、米国の信用格付け引き下げ、先進国における低金利、途上国に

ニュースフラッシュ 11

おけるインフレ懸念などの要因が重なり、「安全な避難所(safe heaven)」としての金投資が顕著であ

ったとした。

また Mining Journal 誌が主催する「Investor Seminars-Gold Day」が 2011 年 9 月 16 日、ロンドン

で開催され、金探鉱・開発企業 9 社が、南ア、アイルランド、タジキスタン、豪州、ブラジル、アルゼ

ンチン、ブルキナファソ、ケニア等におけるプロジェクトを紹介したほか、質疑応答等が行われてた。

なお、今回の投資家セミナーで講演を行った企業の詳細は以下のウェブページで確認可能である。

http://www.mining-journal.com/investor/gold-day-16-09-11

(2011. 9. 19 ロンドン 北野由佳)

ケニア:KWale ミネラルサンドプロジェクトは 2013 年生産開始予定

Base Resources Ltd.(本社:豪州パース、ASX 上場)は、ケニア東部にて開発予定の、チタン及びジル

コニウムをターゲットとした KWale ミネラルサンド・プロジェクトに関し、162.3 百万 US$の開発資金

を資本市場において調達したことを明らかにした。2011 年 10 月より建設が進められ、2013 年 Q3 に生

産開始の予定である。

本プロジェクトはモンバサの南西約 50 km に位置し、同社が 2011 年 3 月に発表した Definitive F/S

によれば、品位及び資源量(精測及び概測)は下表のとおりである。マインライフは 13 年を予定。なお、

イルメナイト鉱の年間生産量は世界全体の生産量(2010 年)の 6%に相当し、また、ルチル鉱は同 14%に

相当する見込みである。 イルメナイト鉱 ルチル鉱 ジルコニウム鉱

品位(%) 2.59 0.65 0.29

精測及び概測資源量

(千 t) 3,780 950 420

年間生産量

(操業開始後7年間)(千t) 330 79 30

(2011. 9. 19 ロンドン 小嶋吉広)

ギニア:前軍事政権が締結した鉱業契約の見直しを計画

各社報道によると、ギニア政府は前軍事政権が締結した鉱業契約の見直しを全国的に行う計画である

ことを明らかにした。ギニアでは 2010 年の大統領選挙で Alpha Conde 大統領が選出されるまでの約 2

年間、クーデターによって発足した軍事政権が政権を握っており、その間に重要な鉱業契約を締結して

いた。今回の見直しは不適切な契約内容の是正が目的であり、Mohamed Lamine Fofana 鉱業大臣は「鉱

業部門を一掃し、無節操な契約内容を除去し、公正でバランスのとれた契約にするために鉱業契約の見

直しを行う」とコメントした。

また同大臣によると、前軍事政権は中国国際基金有限公司(CIF)に対して同国内の全未開発資源にお

ける権利を付与する契約を結んでいたが、現政府は既にその契約を破棄したとのことである。また同大

臣は、露 UC Rusal 社との追徴課税やコナクリ港における環境汚染疑惑等に関する議論については、2011

年内の解決に向けて話し合いを進めていく意向を示した。

(2011. 9. 19 ロンドン 北野由佳)

南ア:電力不足は 2012 年がピークとの予測

2011 年 9 月 15 日、南アフリカ国営電力会社 Eskom はカンファレンスにおいて、国内の電力不足は 2015

年までは継続する見通しであると発表した。電力の需給ギャップが 大となるのは 2012 年であり、1,000

MW の供給不足が見込まれている。

ニュースフラッシュ 12

今後 10 年間で、鉱業全体では 60 プロジェクトが新規に生産を開始する予定であり、これらの新規プ

ロジェクトにより 2,152 MW の電力が必要になる見込みである。鉱種では白金が も電力消費の増加が

見込まれ、34 プロジェクトで 1,388 MW の消費が見込まれている。また鉱業とは別に、フェロクロムの

生産においては 17 の新規プロジェクトが予定されており、2,107 MW の消費が見込まれている。

他方、新規発電所の整備に関しては、Medupi 石炭火力発電所(4,764 MW)のフル稼働は 2015 年、Kusile

石炭火力発電所(4,800 MW)のフル稼働は 2018 年になる見込みである。カンファレンスの出席者からは、

南ア鉱業の国際競争力を阻害することの無いよう十分配慮願いたい等の要望が Eskom に対し寄せられた。

(2011. 9. 19 ロンドン 小嶋吉広)

豪:BHP Billiton、PNG での探鉱活動を再開

2011 年 9 月 13 日の地元紙によると、BHP Billiton(以下 BHP)は、パプアニューギニア(以下 PNG)政府

との関係を再構築しようとしており、現在 Highlands 地方等に 4 万平方キロメートルに及ぶ探鉱権の申

請を行っており、今後数カ月で承認され探査が開始される模様。

PNG 政府の BHP との関係は、1981 年 Ok Tedi 鉱山から出た大量の廃材等のオクテディ川汚染による環

境破壊によって住民の激しい反発を受け、BHP は 2002 年 2 月に Ok Tedi 鉱山の権益 52%を PNG

Sustainable Development Program に譲渡し、鉱山から完全に撤退していた。

(2011. 9. 20 シドニー 栗原政臣)

豪:会計大手 Ernst & Young、鉱業分野の 10 大リスクを発表

2011 年 9 月 13 日、会計大手 Ernst & Young は、「Business risks facing mining and metals

2011-2012」と題した鉱業分野における 10 大ビジネスリスクに関する年次報告書を発表した。

注目される動きとして、2010 年は第 4 位のリスクであった資源ナショナリズムがトップとなったこと

を挙げている。世界金融危機(GFC)以降、資源国においては自国通貨高に伴うオランダ病の兆候が表れ、

Two-Way-Economy といった資源産業と他企業の間の経営環境の差が顕著になったことで、各国政府は比

較的早期に経営環境が回復した資源企業から資源税やロイヤルティの形での追加的税収を持って、弱体

化した他分野への補填を行なう動きにでており、約 25 か国において、過去 1 年から 1 年半においてこ

うした動きが見られるとしている。

順位は以下のとおり(( )内は 2010 年の順位)

1 位 資源ナショナリズム(4 位)

2 位 労働力不足(2 位)

3 位 インフラへのアクセス(6 位)

4 位 操業に必要なライセンス(環境、保安、土地)(5 位)

5 位 上昇した開発投資コストの負担・実行(順位外)

6 位 資源価格、為替レートの脆弱性(9 位)

7 位 投資の分配(1 位)

8 位 生産・労働力等の費用のマネージメント(3 位)

9 位 自然災害による供給途絶(順位外)

10 位 詐欺、汚職(順位外)

(2011. 9. 20 シドニー 原田富雄)

ニュースフラッシュ 13

豪:中国 Hanlong Mining、豪資源企業買収でインサイダー取引に関与

2011 年 9 月 13 日、豪州証券投資委員会(ASIC)は、中国企業 Hanlong Mining 関係者を今年 5 月と 7

月の間に株式の差額決済(CFD)によるインサイダー取引で調査中であると発表した。同社シドニー支店

の Hui Xiao 社長、Calvin Zhu 副社長、社員の Fan Zhang の 3 名を含む関係者 5 人が関与としていると

報道された。

WA 州でモリブデン鉱山を操業する Moly Mines の筆頭株主である同社は、2011 年に入りカメルーンで

鉄鉱石開発を行う Sundance Resources 社の買収を発表しているが、買収発表後の株価上昇を見込んで

事前に株式を購入し利益を得たとの疑惑がもたれている。

ちなみに、今回の取引は、上記 Sundance に Hanlong Mining が 1 社 0.5 A$総額 14 億$の買収案を提示。

これに先立ち同社は 2011 年 3 月、1 億 9,090 万 A$を投じて Sundance 株の 16%を取得し、筆頭株主になっ

ていた。

(2011. 9. 20 シドニー 原田富雄)

豪:連邦政府、2010/11 年度資源エネルギーの生産・輸出動向を発表

2011 年 9 月 15 日、連邦資源エネルギー・観光省の資源エネルギー経済局(注:2011 年 7 月 1 日の組

織改変により、これまで豪州農業資源経済科学局(ABARES)が行なっていた分析調査部門を連邦資源エネ

ルギー・観光省に移管)は、2010/11 年度の資源エネルギー統計を発表した。金属鉱物資源及びエネルギ

ー資源全体における輸出価格(インデックス)は前年度比では 26%増、生産量は 0.4%増となった。

輸出額は前年度比 27%増の 1,754 億 A$と、過去 高を記録した 2008/09 年度に比べても 9%増となっ

た。この内、鉄鉱石は前年度比で 56%増、銅は 29%増、原料炭は 19%増などとなっている。主要な鉱

種における前年度比での増減値は次のとおり。

(単位:%、▽はマイナス)

鉱種 生産量 輸出量 輸出額 価格

原油 ▽3 9 24 18

LNG 9 12 34 20

原料炭 - ▽11 19 33

一般炭 - 6 17 11

酸化ウラン 2 ▽8 ▽19 ▽12

アルミナ ▽3 ▽3 4 7

アルミニウム 1 4 9 18

ボーキサイト ▽1 7 28 20

銅 16 9 29 31

金 11 ▽10 0 26

鉄鉱石・ペレット 6 5 56 50

鉛 13 3 11 14

マンガン・ペレット 17 10 1 ▽8

ニッケル 21 ▽5 4 24

すず ▽7 ▽10 25 48

チタン・ジルコン - 5 18 12

亜鉛 9 29 7 9

(2011. 9. 20 シドニー 原田富雄)

豪:Ivanhoe Australia 社、Mount Dore のプレ FS へ

2011 年 9 月 14 日、Ivanhoe Australia Ltd.(本社:豪 Melbourne)は QLD 州 Mount Dore 銅カソードプ

ロジェクトについて、Scoping Studyの結果長期にわたって堅調なキャッシュフローが見込めるとして、

プレ FS ステージに移行すると発表した。

プロジェクトは、 初の 10 年で年間 3 百万 t の鉱石処理を行い、19,000 t の銅カソードを生産する。

ニュースフラッシュ 14

CAPEX は 8 千 3 百万 A$、OPEX は 2.24 US$/lb、プロジェクト全体の税引き後キャッシュフローは 4 億 9

千 2 百万 A$とされている。

プレ FS に関して既に役員会で移行することが承認されており、直ちに開始され、2012 年 Q1 に完成す

る予定。Mount Dore プロジェクトの精測資源量は 28.6 Mt、Cu 0.75%、概測資源量は 1.0 Mt、Cu 0.70%

と計上されている。

(2011. 9. 20 シドニー 栗原政臣)

豪:五鉱資源、資産を五鉱有色に売却

2011 年 9 月 15 日、香港証券市場上場会社の Minmetals Resources Ltd.(五鉱資源有限公司)は、同社が

持つ資産を China Minmetals Nonferrous Co. Ltd.(五鉱有色金属股份公司)に売却することで合資したと

発表した。売却資産は、Minmetals Aluminum(五鉱アルミ業)、North China Aluminum(華北アルミ業)、Yingkou

Orienmet(営口鑫源金属套管)、Changzhou Jinyuan(常州金源)などで総額 726.8 百万 US$となる。

資産売却はベースメタルの上流部門に集中するという同社の戦略に沿ったもので、売却益をバランス

シートの強化と将来の成長分野に投じると発表しており、豪州 QLD 州で探鉱開発中の Dugald River 亜

鉛プロジェクトへの投資が予定されている。

(2011. 9. 20 シドニー 原田富雄)

豪:連邦政府、炭素税関連 18 法案を議会に提出

2011 年 9 月 13 日、連邦政府は 2012 年 7 月 1 日から導入する炭素税に関連する 18 法案を議会に提出

した。炭素価格は、導入当初 23 A$/t を予定(注:炭素価格関連法案は 10 月上旬に上程の予定)してお

り、3 年後を目処に炭素価格の自由化と、排出権取引制度の導入を目指す。

炭素税導入に伴い 終製品への価格転嫁が予定される企業については、公正取引委員会に相当する豪

州競争消費者委員会(ACCC)に報告を義務付け、虚偽報告をした場合は 6 万 A$の罰金を課す。また、ACCC

には調査費用として 12.8 百万 A$の予算を充当する。

(2011. 9. 20 シドニー 原田富雄)

豪:Glencore、中堅ニッケル鉱山の Minara Resources を買収

2011 年 9 月 19 日、Glencore International plc の豪州子会社 Glencore Investment Pty Ltd.から

買収提案を受けていた中堅ニッケル鉱山の Minara Resources(本社:WA 州 Perth)は、株主に対して提案

を受け入れると通知した。

Minara Resources は、2011 年 8 月 24 日の買収提案受理以降、会計大手の KPMG に買収の正当性につ

いて調査を依頼し、その報告書を検討した結果、問題ないと判断した。

(2011. 9. 20 シドニー 原田富雄)

豪:Alkane Resources 社、Dubbo ジルコン・レアアース PJ の DFS 結果を発表

2011 年 9 月 19 日、レアアース企業の Alkane Resources 社(本社:WA 州 Perth)は、NSW 州で開発中

の Dubbo ジルコン・レアアース・プロジェクトに関する DFS 結果を発表した。経済性評価は以下のと

おり。

ニュースフラッシュ 15 (単位:百万 A$)

想定ケース 生産量:40 万 t/年 100 万 t/年

CAPEX(プラント) 273 543

Infrastructure+Owners 84 165

EPCM 36 43

付帯経費(雑費) 72 142

Revenue 189 508

OPEX 97 196

EBITDA 92 312

IRR 16.8% 30.2%

NPV 181 1,207

(2011. 9. 20 シドニー 原田富雄)

豪:Rio Tinto、Weipa ボーキサイト鉱山拡張に環境問題発生

Rio Tinto が QLD 州 Cape York で操業する Weipa ボーキサイト鉱山拡張に対して環境保護の動きが持

ち上がっている。同社は 900 百万 A$を投じて 50 百万 t/年(16.3 百万 t/2009 年)に生産量を拡張する計

画で現在 FS を実施中であるが、近郊において新種の蟹の生息が確認されたことから、Burke 連邦環境大

臣は、3 万 ha に及ぶ未開地や河川が影響を受ける可能性があるとの見解を述べている。これに対して

Rio Tinto は、鉱山拡張はこうした生物を含め環境への影響はないとのコメントを発表した。

(2011. 9. 20 シドニー 原田富雄)

アフガニスタン:米国地質調査所、アフガニスタンのレアアース資源量を公表

米国地質調査所(USGS)は 2011 年 9 月 14 日、アフガニスタン南西部 Helmand 州に位置する Khanneshin

カーボナタイトのレアアース推定資源量が少なくとも 100 万 t に達すると発表した。本調査は、国防総

省のビジネス及び安定化事業タスクフォース(Task Force for Business and Stability Operations)か

らの資金提供により、USGS が 2009~2011 年にかけて実施したものである。今回の調査結果では、

Khanneshin カーボナタイトは軽希土を主体とするものの、鉱化作用は約 0.74 km2 に及び、資源量は少

なくとも 100 万 t に達するとしている。

一方で USGS は、2004~2007 年にかけてアフガニスタン地質調査所と共同で既存情報を再編成し、ア

フガニスタン全域での予備的な鉱物資源評価を実施しており、2007 年に公開された本調査の報告書では、

同国内のレアアース資源は 150 万 t に達するとの見通しを発表している。

米国政府はこれらの資源開発に対するアフガニスタン政府の取り組みを引き続き支援するとしている。

(2011. 9. 19 バンクーバー 片山弘行)

インド:IRE 社、レアアース生産プラントの再開に着手

2011 年 9 月 1 日の各社報道によれば、インド原子力庁傘下の Indian Rare Earths Ltd.(以下、「IRE」)

は、中国の価格攻勢により 2004 年に操業を停止していたインド・オリッサ州のレアアース生産プラン

トの再開事業に着手した。事業予算32百万US$により年産能力5千tのプラントを再開する計画であり、

環境許可は既に受領済みであるとしている。

近年の中国の輸出規制によりレアアース価格が高騰し、国際的に資源供給の多元化が求められている

ことを背景としたもの。報道によれば、現在、複数の企業がインドのレアアース資源に注目しており、

日本の豊田通商、ドイツの BASF などが IRE を供給元としたレアアース・プロジェクトを計画している。

(2011. 9. 19 ジャカルタ 高橋健一)

ニュースフラッシュ 16

インドネシア:国営錫企業・PT Timah、錫関連製品の生産多角化を推進し、下流部門を強化

2011 年 9 月 6 日の地元紙報道によれば、9 月 15 日、インドネシア国営錫生産企業の PT Timah は、錫

化合物、錫はんだ、錫合金などの関連製品の生産の多角化、拡大化を推進し、下流部門の売上を全体の

約 50%に増大させる目標を示した。この目標を達成するため、各錫関連製品のマーケティングを実施し、

加工・製造プラントの建設を拡大する計画である。

この方針は、現在政府が具体的内容を検討している鉱物資源の高付加価値化義務政策により、今後鉱

石輸出が禁止され、下流部門産業が奨励されることを受けたものとしている。錫化合物を例に取れば、

2011 年の同社の年産能力は 5 千 t 規模となるが、これを引き上げるため、現在 Bangka 島に年産能力 10

万 t の製造プラントを建設中である。

(2011. 9. 19 ジャカルタ 高橋健一)

インドネシア:仏 Eramet 社 CEO、Weda Bay ニッケル・プロジェクト計画に関し Yudhoyono 大統領を表

敬訪問

2011 年 9 月 7 日の地元紙報道によれば、インドネシア北マルク州 Halmahera で Weda Bay ニッケル・

プロジェクトを進める仏 Eramet 社 Patrick Buffet CEO は、同日 Yudhoyono 大統領を表敬訪問し、同プ

ロジェクトの現時点での投資計画などを説明した。同 CEO は、大統領との会談で、現在進行中の同プロ

ジェクトについて、開発ステージでの投資額が 4.5 億 US$、その後の年産 3.5 万 t 規模となる第 1 フェ

ーズの生産段階までには総額約 30 億 US$の投資額となることを説明。さらに年産規模を 6.5 万 t まで拡

大させる計画も付け加え、また、開発計画には周辺地域での発電所、水処理施設などのインフラ開発支

援も含まれていることも示した。

同表敬訪問に同席した Hatta 経済調整相は、Weda Bay プロジェクトは 新技術を用いた環境に優しい

プロジェクトであり、現在インドネシアで推進する経済開発マスタープラン(MP3EI)の第 5 回廊(パプア

州、マルク州、北マルク州地域)の重要案件の 1 つでもあり、大統領はこの計画を歓迎していると、表

敬訪問後コメントしている。Weda Bay ニッケル・プロジェクトは Eramet 59.94%、三菱商事 30.06%、

インドネシア国営 Antam 10%の権益を保有している。

(2011. 9. 19 ジャカルタ 高橋健一)

インドネシア:Grasberg 銅・金鉱山、2011 年 9 月 15 日からストライキを決行

2011 年 9月 16 日の各社報道によれば、9月 15 日、インドネシア Grasberg 銅・金鉱山の労働組合は、賃上

げを巡る労使交渉が決裂したため、ストライキを決行した模様。事前の予告では、1 か月間のストライキと

なる。また、鉱石積出の Amamapare 港の労働者もこのストライキに加わり、鉱石の積出作業も停止状態とな

っている模様。この事態を重く見た Darwin エネルギー鉱物資源相は事態打開を探るため、現地に乗り出した。

エネルギー鉱物資源省によれば、今回のストライキにより 23 万 t/日の鉱石生産が影響を受け、国家

収入に対し 670 万 US$/日の損失を及ぼすものとしている。今回のストライキを巡るこれまでの賃上げ交

渉においては、労働者側は賃上げ要求を当初の時間給 30~200 US$から、17.5~43 US$に引き下げたも

のの、鉱山側は今後 2 年間で賃金の 22%増、ボーナスの増額などの回答に留まり、平行線が続いていた。

(2011. 9. 19 ジャカルタ 高橋健一)

中国:不動産開発業の上場企業による鉱業投資活発

中国では 2010 年 H2 以来、上場されている不動産開発企業による鉱業への投資が活発化している。メ

ディアによればその間、20 数社が鉱業へ投資しているとの報道もある。 近の例では、北京華業地産株

ニュースフラッシュ 17

式有限公司によって深圳市隆興投資有限公司が保有している陝西盛安鉱業開発有限公司の 90%権益を

5,400 万元(8.5 百万 US$)で買収する計画が公表されている。北京華業地産は、内モンゴル自治区フフホ

ト市から 2006 年 11 月に北京に移転し、名称変更をした不動産開発上場企業である。なお、盛安鉱業は、

陝西省寧強県金硐子溝銅金鉱床及び寧強県鶏頭山-小燕子溝の金鉱床の探査権を保有し、このうち、鶏

頭山-小燕子溝金鉱床は既に精密調査を終了し、金の推定埋蔵量 50 t である。

北京華業地産によれば、買収完了後、2012 年 6 月末までに鶏頭山-小燕子溝金鉱床の採掘許可証を取

得し、同年 8 月には選鉱場など関連インフラ建設を完了させる予定とのことで、鉱石処理能力 30 万 t/

年、金 500 kg/年の生産を計画している。

(2011. 9. 19 北京 土居正典)

中国:包頭希土産品取引所設立に進展なし

現地報道によると、内モンゴル自治区人民政府が承認し、包鋼希土(集団)と内モンゴル高新控股公司

が主体で設立予定(カレント・トピックス 2011 年 No.11-21 で既報)の「包頭希土産品取引所」設立作業

は、レアアース上流企業統合淘汰業務計画の遅れもあり、何ら進展が見られていない。「取引所を設立

しても市場への影響は限定され、設立後も従来の取引方式は残り、必ずしも取引所で取引が行われると

は限らない」と話す関係者もいる。

(2011. 9. 19 北京 土居正典)

中国:江西省地質探査局、大規模タングステン鉱床発見

安泰科によれば、江西省地質探査局は同省九江市武寧県大湖塘地域で、埋蔵量 35 万 t(金属量)のタン

グステン鉱床を発見したと報じている。当該地域資源総量は 100 万 t 以上に達すると予想されている。

潜在的経済価値は、1,400~1,500 億元(220~236 億 US$)である。また、同局は、江西省中部で鉄鉱床(資

源量 1.1 億 t)を発見したことも発表。当該地域の推定埋蔵量は 10 億 t に達すると予想している。

(2011. 9. 19 北京 土居正典)

中国:工業情報化部、レアアースプロジェクト指導目録を年内発表

現地報道によると、中国証券報のインタビューに応じ、工業情報化部原材料工業司長陳燕海は「中央財政

としては、レアアースの研究・応用分野とハイエンド製造分野の支援を強化していく。工業情報化部、財政

部及び発展改革委員会等関連部門と共同で発表するレアアースプロジェクト指導目録は、主としてハイエン

ドなレアアース応用分野における新製品開発、レアアース資源構造 適化の奨励といった面での技術進歩を

促す上で重要な役割を果たすものとなる」、「中央の資金は、ハイエンド応用研究を開発支援するためのも

のであって、生産企業への直接的な補助ではない。現在のところ、資金規模は未定であるが、プロジェクト

自体が優れているか否かが問題となる。目録はほぼ完成しており、年内には発表される」と答えた。

工業情報化部原材料司副司長高雲虎も「レアアース応用産業発展に力を注ぐことは、戦略資源としての

レアアースに本来の役割を発揮させるため、また新興産業の戦略的発展を支える上で必要であり、カギと

なる応用技術の開発を加速させ、研究成果の産業化の促進に注力することが望まれる」と語っている。

工業情報化部関係者は、「我が国のレアアースの新材料開発、ハイエンド応用技術は先進国と比べま

だ差があり、新材料分野において未だに優良資源を基盤に優位性を確立するまでには至っていない。全

体的に見て、産業チェーンのローエンドという位置付けで、レアアースの川下の研究開発・応用に多額

の支援が向けられるべきだ」と指摘する。

(2011. 9. 19 北京 土居正典)

ニュースフラッシュ 18

中国:レアアース産業、外需指向から内需指向へ

現地報道によると、中国五鉱化工輸出入商会及び英国金属ネットが共催した 2011 年国際レアアース

年度会議で、包鋼希土(集団)高科技株式有限公司李忠副総経理は「現在、中国のレアアース産業は戦略

的転換を急ぎ、将来は外需指向から内需指向に切り替わるであろう」と指摘した。中国のレアアース消

費の構成は、工業化進展の加速及び経済成長方式の転換により、新興分野で急成長している。2010 年の

消費量は 8.7 万 t で、そのうち新材料分野での消費は 5.38 万 t と消費総量の 62%を占めている。

豪州亜工業鉱物有限公司執行役員によると、世界の 2010 年レアアース需要量は 12.5 万 t で、2011

年は価格高騰などにより 12 万 t に減少、そのうち中国消費量は 6~7 割を占め、2015 年には世界需要

17 万 t に達する見込みである。前述の李副総経理によると、新興産業成長に欠かせない戦略的資源と

して、今後数年間の世界需要は年間 5%~8%の伸びで増加、中でも中国は年間 10%の伸びを保つとし

ている。

(2011. 9. 19 北京 土居正典)

中国:福建省国土資源庁、レアアース産業対応策を発表

福建省国土資源庁は、国土資源部が通知した「レアアース産業の持続的かつ健全な発展を促進するこ

とに関する若干の意見」の徹底を下部機関に対し下達すると共に、福建省レアアース産業の持続的かつ

健全な発展の促進のため、実情に照らし以下の対応策を打ち出した。

(1)違法採掘行為の取締り強化。

・許可証を持たない探査・採掘に対するチェックを強化し、違法採掘の動きを速やかに把握する。

・違法採掘行為を発見・制止・報告するための健全なメカニズムを構築。

・無許可の探査・採掘行為に対しては、法に基づき厳重に取締り、法に則った処置を行う。

・無許可採掘については、省政府が下達した責任要件に基づき、現地政府に対し全て閉鎖するように要請する。

(2)試掘権・採掘権の全面的見直し。

以下について鉱業権の見直しを実施

①越権行為により発行された許可証でないか、

②法定要件を満たしているか、

③越境採掘、探査許可証での採掘でないか、

④無指標採掘若しくは指標を超えた採掘でないか、

⑤違法採掘による鉱物の購入でないか、

⑥鉱区内埋蔵量が 3 か月以上の採掘が可能か、など

(3)環境保護及び整備・復旧の強化。

・企業の環境保護及び整備・復旧責任の確実な遂行のため、規定に基づく環境保護及び整備・復旧保証

金を納入するように促す。

・整備・復旧案に基づき「採掘しながら整備する」という原則に沿った指導を行う。

・タンクリーチング及びヒープリーチングは全面的に禁止。

(4)長期的効果のある開発監視管理システムの構築。

(2011. 9. 19 北京 土居正典)

中国:レアアース日系合弁企業へ苦情

現地メディアは、「輸出割当を免れるため、日系合弁企業は Nd-Fe-B 薄片、レアアース磁粉などの輸

出拡大で、輸出量を別の形で拡大している」と一部業界関係者から苦情が出されたと報じている。また、

ニュースフラッシュ 19

政府担当部門に対し、Nd-Fe-B 薄片の輸出関税の課税、Nd-Fe-B 薄片など製品を輸出割当対象とするこ

とを検討するよう提案したという。

これに対し、中国稀土工業協会創設準備グループ責任者王彩鳳は「Nd-Fe-B 薄片等製品への関税の賦

課は検討に値するが、輸出割当対象として管理するかどうかについては慎重に検討する必要がある」と

語った。また業界有力者は、「Nd-Fe-B 薄片等製品の主な輸出先は日本であり、関税や輸出割当管理の

対象となった場合は日中貿易に影響を与えることに加え、現在、中国が世界でレアアース関連の潜在的

訴訟リスクに前向きに対応していることから見て、レアアース製品の関税引き上げ及び輸出割当管理の

範囲拡大はない」と見ているとも報じられている。

苦情の理由は、「レアアース磁石合金生産能力増強により輸出が拡大しているが、これら合金製品は

輸出割当対象でない上に関税も課されないため、ある種の形を変えたレアアースの輸出になっている」

という。商務部及び税関総署は、レアアース合金について、2011 年 5 月 20 日からレアアース元素総含

有量が 10%以上の鉄合金をレアアース輸出割当許可管理対象とするという政策を打ち出した。しかし

Nd-Fe-B 類合金輸出は依然制限を受けていない。Nd-Fe-B 薄片を例にとると、商務部は同製品を一定の

技術水準を持つレアアース高度加工製品とし、関税を免除し、輸出割当管理対象としていない。だが、

Nd-Fe-B 薄片のレアアース含有量は 30%~40%に達するという。一部業界関係者は「日系合弁企業は、

Nd-Fe-B 類合金に対する優遇政策を利用して、形を変えたレアアース輸出を拡大させており、包鋼稀土

や贑州のレアアース企業が原料供給を保証している」と指摘している。

中国稀土学会専門家は「2011 年に入り、この現象が業界で論議を呼び、政府主管部門の注目を集めて

いる」という。一方、「日系合弁会社の輸出行為は、中国政府の規定に見合うものであり、業界関係者

の形を変えた輸出という苦情は根拠がない」と主張する向きもある。

(2011. 9. 19 北京 土居正典)

中国:四川省・涼山鉱業の 10 万 t 銅アノードプラント、生産開始

現地情報によると、2011 年 9 月 9 日、涼山鉱業公司が、四川省拉拉銅鉱と共同出資した傘下企業の会

理県昆鵬銅業有限責任公司のもとで進めていた年産 10 万 t 銅アノードプラントが完成、試験生産を経

て、正式稼働した。

このプラントは 2008 年に着工し、途中で四川大地震と世界金融危機に遭いながらも、2010 年 7 月に

は試験生産にこぎつけていたもの。試験生産では銅アノード 28 千 t がこれまでに生産されている。製

錬技術は豪州から技術導入している。計画では今後年産 15 万 t まで能力を拡張する。この 5 万 t/年の

第 2 期拡張工事は第 12 次五カ年計画で建設される予定。

(2011. 9. 14 金属企画調査部 渡邉美和)

中国:精錬銅見掛け消費量、2015 年には 850 万 t に増加

現地報道によると、中国非鉄金属産業協会は、2011 年 9 月 15 日、現在 620 万 t/年である中国の精錬

銅見掛け消費量は 2015 年には 850 万 t/年に増加するとの見通しを発表した。併せて、現在の銅精錬能

力 480 万 t/年も同期間で 650 万 t/年に増加すると発表している。

(2011. 9. 15 金属企画調査部 渡邉美和)

中国:広西自治区・徳保県でガリウム製錬プロジェクト、JV 契約調印

現地報道によれば、広西華銀アルミ業有限公司と北京卓龍源科技有限公司は、 近、ガリウム製錬 JV

契約を調印した。広西華銀アルミ業有限公司は、酸化アルミ製造工程でのガリウム資源の回収について

ニュースフラッシュ 20

北京卓龍源科技有限公司と検討してきたが、これまでに JV プロジェクトの立ち上げで合意したもの。

双方の協議によれば、年産 20 t の金属ガリウム生産プロジェクトを 8 カ月以内に竣工させ生産を開

始する計画。

(2011. 9. 16 金属企画調査部 渡邉美和)

中国:四川漢龍集団の豪インサイダー嫌疑による波紋

現地報道が伝えるところによると、四川漢龍集団が豪の上場企業 Sundance 社に TOB 提案して 2 か月

が経過した。この度、インサイダー取引で調査を受け、取引に嫌疑がかけられているとのことであり、

関連の資産は現在当局により凍結され、関係者は豪国内にとどめられている。

豪 FIRB によれば、現在まさに調査は進行中とのことで、ニューサウスウェールズ州の 高法院は漢

龍集団の肖輝総経理を 9 月 22 日以前に豪から出国することを禁止するとともに、資産を凍結し、それ

以外の漢龍集団職員の出国を制限している。

なお、中国国内では、宏達股份の株主総会が開催され同社のモリブデン・銅などへの 100 億(元)投資

案が可決された。宏達股份の楊騫董事長は「(同社の)戦略には四川漢龍との提携強力は含まれていな

い」と発表した。これは、豪でインサイダー取引の疑惑から買収計画に支障をきたしている四川漢龍集

団の実際のオーナーである劉漢為と、宏達の事実上のオーナー劉滄劉は従兄とのことで、市場では宏達

がなんらかの形で豪の四川漢龍の動向にタッチするのではとのうわさが流れていたことを映したもの。

(2011. 9. 16 金属企画調査部 渡邉美和)

おことわり:本レポートの内容は、必ずしも独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構としての見解を示すものではありませ

ん。正確な情報をお届けするよう 大限の努力を行ってはおりますが、本レポートの内容に誤りのある可能性もあります。本レポ

ートに基づきとられた行動の帰結につき、独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構及びレポート執筆者は何らの責めを負い

かねます。なお、各記事に対するご意見・ご感想は、[email protected] まで電子メールでご遠慮なくお寄せください。