電気事業新時代を見据えたデジタル イノベーションのチャレンジ … ·...
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電気事業新時代を見据えたデジタルイノベーションのチャレンジと現実解
2020年5月25日
KPMGコンサルティング株式会社
パートナー 金子 直弘
2© 2020 KPMG Consulting Co., Ltd., a company established under the Japan Company Law and a member firm of the KPMG network of independent member firms
affiliated with KPMG International Cooperative (“KPMG International”), a Swiss entity. All rights reserved.
目次
― 電力業界を取り巻くトレンド再考
― 短期戦略と長期戦略:未来への意志
― デジタルは何をもたらし、今何をすべきか?
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目次
― (改めて)電力業界を取り巻くトレンド再考
― 短期戦略と長期戦略:未来への意志
― デジタルは何をもたらし、今何をすべきか?
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脱化石燃料の加速などによる燃料選択複雑化による電力需要動向の不確実性の高まりや、容量市場開設による電源投資の回収手段多様化など、経済・需要予測・制度・技術革新のそれぞれに従来ビジネスの変化の予兆が見られます。
電力事業を取り巻く社会環境は大きく変化している電力業界のトレンド再考
グローバル経済
• 欧州委員会は、脱化石燃料に向けた取り組みの一環として、域内の温暖化ガスの排出を2050年に実質ゼロにする目標の実現に向けて、今後10年で官民で少なくとも1兆ユーロ(約122兆円)規模を投じる投資計画を公表
• 欧州投資銀行(EIB)は、2021年までに原則、天然ガスを含む化石燃料関連事業への新規融資をやめる方針を決定※1
国内電力需要
• 2030年までの1.7%経済成長を見込んでも、省エネ徹底などにより電力需要の大幅増は望めない※2
• 一方、再生エネルギー電源の供給増加は見込まれるため従来型電源の供給力の増加要求は不透明
法的分離後の
制度動向
• 容量市場(2020年3月に参加登録開始、同年7月にメインオークション開催)や需給調整市場(2021年開設)などの新たな電力市場が順次開設
• 託送料金制度の見直しに伴う発電側基本料金の導入(2023年度)
• 配電ライセンス制度による配電
技術革新• エネルギービジネスを大きく変える技術が発展(AI、IoTなど)
• 発電所制御システムや情報システムへのサイバー攻撃の高度化・巧妙化
環境変化視点
※1 出典: 日本経済新聞 2020年1月15日 「EU、脱・化石燃料に一歩 10年で120兆円超投資」※2 出典: 経済産業省 長期エネルギー需給見通し
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欧米の事業者は、市場とテクノロジーの双方で大きな変化を誘発しようとしているとみており、対応を進めていますが、他業界と比較するとその動きは保守的にならざるを得ないともいえます。
欧米では変化への対応がビジネスプランの前提に
◼デジタルテクノロジーの進歩と汎用化 (“Energy Technology
Consumerization”) が産業構造の変革を促し、事業者と顧客の関係性を変化させるだけでなく、エネルギー・公益事業独特のものと捉えられてきたIT・OTシステムの構造を、根本から変化させるのではないかとの市場期待がある。
◼電力・ガス・車両燃料等の需要は低下の傾向にあり、顧客からのエネルギー販売による収益は継続的に落ち込む傾向に加え、小売の競争激化により利益率も低下した。そのため、関連サービスによるReturn On
Sales (ROS) を増加させようとする傾向を見せているが、実際には試行段階(金脈はなかなかみつからない)。
◼需要低下と収益性悪化のトレンドに対して事業者は、徹底的なITを含むコストの抑制と運用効率の向上を求められている。
◼一方でこの縮小トレンドを反転させるため、投資家サイドは、非化石化、エネルギー効率向上支援、 eMobility、 分散電源、次世代型グリッドなどへの新たな投資を積極化し活路を見出そうとしている。
需要低下トレンドと市場変化への対応
デジタルテクノロジーの普及
エネルギー事業者を取り巻く状況デジタルテクノロジートレンド
■ 競争激化環境下でのコスト効率向上は短期的に必須
■ 新たなテクノロジーを活用した新事業モデルへの転換(中長期的対応も必要)
■ 例:CVC
Open Innovation活用
■ サービスの安定的な提供と事業モデル転換の両立が必須である“Transforming while
Operating”
しかし、エネルギー業界が他業界と違うのは
電力業界のトレンド再考
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変化の例:総電力消費の2/3を占める企業需要が、急速に再生可能エネルギーへのシフトを加速している
電力業界のトレンド再考
企業再エネ利用率インデックス
再エネ電力比率
%
Source: IRENA - REmade Index 2018
90%
80%
70%
60%
50%
40%
30%
20%
10%
0%1 2
100% Kohl’s
Corporation
H&MHennes & MauritzAB
Microsoft Corporation
Intel
Corporation
Volkswagen AG
Sandvik AB
Cisco
Systems,Inc.
Deutsche
Post
Bank of America
Wal Mart de
MexicoUnileverplc
Siemens
AG
Hewlett-
Packard Tesco
EastJapan
RailwayCompany
HondaMotor Company
Deutsche Telekom AG
Wal-Mart Stores, Inc.
Equinix, Inc.
BTGroup
Telefonica Deutsche
BahnAG
Alphabet, Inc.
Apple
3 4 5
再エネ電力消費量 (TWh)
再エネ比率目標化
Yes No 100%target
BMWAG
– グローバル主要企業、特に大量エネルギー消費企業以外においては、エネルギー調達は、コスト管理要因としてではなく、戦略的リスク低減要素、あるいは価値創造領域としてとらえる動きが顕著となっています。
– 再生可能エネルギー数値目標が、現実的課題として議論され, 将来にわたり再生可能エネルギー調達の拡大が予見されるなか、とりわけ再生可能エネルギーコストの低下が議論を後押ししています。
–主要なエネルギー需要家の多くはすでに再生可能エネルギー目標を数値化しており、その一部はすでに100%
再エネシフトをコミットしています。
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ブロックチェーン、AI、センサーなどに代表されるデジタルに加え、EV、蓄電などの破壊的と呼ばれるテクノロジーは、これまでエネルギー事業モデルの前提と考えられていた多くを覆すきっかけになる可能性を日増しに高めています。最新テクノロジー動向への知見に加えて、それを組み合わせることができる事業運営モデルの確立が、将来事業の方向性をカギを握りつつあります。
一方、デジタルテクノロジーの組み合わせは複雑化している電力業界のトレンド再考
多くの萌芽はあるが、実証段階のものが多い
近年の先進的な取組(2019KPMG調査)
センサー類などIoT機器に対してオープンAPIを提供し、ブロックチェーンを用いて利用者へ都度課金
家庭用のP2P+市場マッチング環境の構築
ブロックチェーンを活用したEVスマートコントラクトによる即時決済モデルの構築によるEV普及促進と電力需要拡大
電力システム上のデータを巨大データベースに蓄積し、分析サービスを提供
ブルックリン地域でのP2P地域マイクログリッド構築
ブロックチェーン
(DLT)センサー
IoT 再エネ EV 蓄電AI
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自由化とデジタル化が同時並行しているため、日本は非常に煩雑な変化に直面
日本は自由化とデジタル同時進行が保守的動き加速の一因?
日本では電力システム改革と、スマートメーターをはじめとしたデジタル化による急速なイノベーションが同時並行で進行したため、他国に例がない非常に煩雑な状況が発生しており、主要事業者は自由化への対応に注力せざるを得ない側面がある。
-2005 2006-2010 2011-2015 2016-
日本
アメリカ
ヨーロッパ
スマートメータから始まる各州別の導入
1996:独小売自由化
1999:英小売自由化
~2000:北欧小売自由化
~2007:伊/仏小売自由化
~2000:24州+ワシントンDC自由化決定(最終的には13州+ワシントンDCで自由化
2016:小売自由化
イギリス
スマートメータから始まるデジタル化:ドイツ
スマートメータから始まるデジタル化:スウェーデン
2025年までに完了
イタリアフランス
低圧小売自由化 スマートメーター導入スケジュール
電力業界のトレンド再考
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現在は、将来変化への対応を見直すタイミングでは?
社会と企業は多くの変化に直面し、市場環境が変化を求める中、改めて将来予想される変化を直視し、何を目指すかを整理すべきタイミングを迎えている。
電力業界のトレンド再考
さまざまな兆候
より大きな環境変化
・デジタルテクノロジーの普及・多様化
・再生可能エネルギーのより一層の汎用化
・トレンド変化(モビリティ・商流・金流)
・非化石化圧力の高まり
・エネルギー関連制度・規制の変化
・社会心理変化・ニューノーマル
未来の変化をどのようにとらえ何をすべきかを再整理する
タイミングでは?
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目次
― 電力業界を取り巻くトレンド再考
― 短期戦略と長期戦略:未来への意志
― デジタルは何をもたらし、今何をすべきか?
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短期戦略と長期戦略:未来への意志
変化の時代におけるビジネスプランの難しさ
不確実な未来が予想される中で、現状から積み上げでビジネスプランを立てることは、必ずしも将来目指す姿に近づくことにつながらず、短期的活動が無駄になるリスクもはらんでいる。一方、未来への変化タイミングが不確実であることも、プランを複雑化している。
現状のビジネスモデル
現状の保有資産状況
現状の財務状況
国内外のマクロ環境変化ビジネス・産業の変化
制度動向等
短期
中期
長期
積み上げ型短期・中期・長期
の施策
例:
・デジタルテクノロジーの進化
・再生可能エネルギーのより一層の汎用化
・社会トレンド(モビリティ・商流・金流)
・非化石化圧力の高まり
・エネルギー関連制度・規制の変化
・社会動態の変化
未来を反映しない楽観的観測になるリスク
施策のタイミング順序に影響する
いつ来るかが不確実
現状×積み上げ結果将来ターゲット
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短期戦略と長期戦略:未来への意志
未来のデザインとバックキャスティングができるかが重要
未来の不確実性と戦うための長期戦略は、積上げ型アプローチでは生まれません。現実と将来のトレンドを直視し意思入れした未来を描き、そこから逆算型で考えるのが定石です。
新たなオポチュニティ
×楽観的観測(未来でもない)
②リスクに備える。(既存事業の組み替えや改革etc)
③機会活用の布石を打つ。(新規事業の開発etc)
現状維持によるダウンサイドリスク
具体的な実行計画の適用範囲
(中期経営計画等)
従来型積上げ計画現状
現状の延長線上に未来は無く、従来型の積上げ計画では、大きな変化が生むチャンスもリスクも反映することが出来ない。
破壊的イノベーションを始めとする外部環境の変化によるインパクト
「未来は自ら創れるもの」との前提に立ち、目指す姿から逆算で、今すべき事を考える。
①合理的な視点で現実を直視する。
意志ある未来(目指すべき姿)
現実的な未来
フューチャーデザイン(未来シナリオの策定)
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短期戦略と長期戦略:未来への意志
未来デザイン型戦略構想の基本アプローチ
長期戦略の策定においては、短期戦略と異なり、未来の主体的なデザインと課題創出を重視し、短期的アクションを定義します。
兆候の把握・理解
SIGNALS
環境変化の想定
POSSIBILITIES
事業機会の特定
OPPORTUNITIES
課題仮説の整理
IMPACTS
施策の検討・計画
SOLUTIONS
•PEST分析等、長期的なマクロトレンド
•先進技術、ユニークな事業など事例分析
•制約事項と実現可能な事項の峻別
•未来の顧客像とそのニーズ
•未来の産業構造・エコシステム・競争環境
•自社の“在りたい”ポジショニング
未来デザイン型(≒課題創出型)の戦略検討プロセス
•シナリオ分析(影響度や蓋然性etc)
•課題の優先順位整理と濃淡付け
•課題に対する打ち手の検討
•実行ロードマップの策定
視界を広げ、既存事業の範疇に固執・偏重せずにマクロ環境の長期展望とその影響を予測・分析:
バックキャスト型の思考も取り入れながら、段階的なロードマップを整理
• 業界横断のメガトレンド
• 国内外の社会・経済・政治
• 主要産業の構造変化と注目技術 …etc
現在未来
(目指す姿)短期
中期
長期
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短期戦略と長期戦略:未来への意志
未来予測の例:電力ビジネスモデルの変遷
これまでは物理的ネットワークを介したサービスの高品質化・汎用化で価値訴求されてきた電力ビジネスは、電力供給を通じて獲得する情報を活用し、ヒトやビジネス・モノをつなげることによって新たな価値を生み出すと予想されている。
エネルギー・ユーティリティバリューチェーン確立
Utinity1.0
アセットバリューチェーンコモディティバリューチェーン
Utility2.0
デジタルビジネスによる価値提供Utility3.0
電源集中化
エネルギーインフォメー
ション
いつどのような形で現実化されるのかが不透明
*Source ; Gartner, How to Deal With Digital Dragons When They Emerge in the Utility Sector, Lloyd Jones, Zarko Sumic, 26 September 2019
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短期戦略と長期戦略:未来への意志
中長期戦略例:未来に目指す事業ドメイン定義
広い視野で外部環境の変化を俯瞰しながら、将来時点における自社の事業ドメイン(戦場)とビジネスモデル(戦い方)を再定義した例。
未来予測の視界範囲を広げる
FinTechによる購買行動の変化
都市交通システム改革
よりスマートな移動空間
電力
石油再エネ、
etc
現在の強みや提供価値を拡大解釈しながら、未来の変化に合わせて、事業ドメインを再定義。
現在の事業ポートフォリオ
MaaS対応型サービス
キャッシュレス
自動運転
BRTシステム コネクティッドサイネージ
エンタメコンテンツ
次世代型決済
EV化
・・・
・・・
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資料目次
― 電力業界を取り巻くトレンド再考
― 短期戦略と長期戦略:未来への意志
― デジタルは何をもたらし、今何をすべきか?
17© 2020 KPMG Consulting Co., Ltd., a company established under the Japan Company Law and a member firm of the KPMG network of independent member firms
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スペインの総合エネルギー事業者A社は、市場と規制動向変化から予想される次世代状況に即した5か年計画の全社デジタルトランスフォーメーションプロジェクト「Project Millennial」に取り組んでいる。
海外事例の紹介 A社 (スペイン) (1/2)デジタルは何をもたらし、今何をすべきか
A社の考える市場変化
中長期的エネルギー価格の低下
CO2削減圧力の高まりと再生可能エネルギーへのシフト
他業種等からの事業参入活発化
スマートメータ・分散電源・EV等破壊的テクノロジーの普及
ソーシャルメディアの普及
変化に対応するためのProject Millennial中長期戦略
デジタル文化の定着
社内オペレーション及び顧客サービスのデジタル化
近未来のエネルギーモデルへの
準備
• アジリティ、コラボレーション、コネクティビティやシンプリシティを含むデジタル価値提供を促進するイニシアチブ(啓蒙活動)の実施
• 顧客体験(CX)• ペーパーレス企業の実現• バックオフィスを含む社内のデジタル化• IT変革の元、ITケーパビリティの向上
• 顧客チャネルの新規デジタル化• データ分析のビジネス活用• ビジネスプロセスの自動化• アセットのデジタル化
• 送配電事業で65万、電力・ガス小売り事業では73万顧客を有するスペインの総合エネルギー事業者• 2,956MWに上る火力発電所だけでなく、1,187MWの再生可能エネルギー電源も持つ• 投資家(インフラファンド)の支援を受ける
A社
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Project Millennialでは、計画から意思決定までの仕組みを改めると同時に、効果の把握も早めることで、早いタイミングでの評価と取捨選択を実現しています。
海外事例の紹介 A社 (スペイン) (2/2) 短期施策デジタルは何をもたらし、今何をすべきか
戦略の立案・計画・決定と、プロジェクトのモニタリングや管理に関する機能を分け、デジタル変革プロジェクトを迅速かつ着実に実行させている
効果✓ 全社で一貫性のあるデジタル戦略
に基づく、改革の推進
✓ リアルタイムの成果把握
✓ 意思決定の高速化ブロックチェーンプロジェクトへの参画やRPA(Robotics ProcessAutomation)の全社展開等、6か月間で20の新規プロジェクトに着手※うち9プロジェクトからは撤退
Project Millennialのガバナンス方法
CEO
デジタルトランスフォーメーション
ハブ
レポーティングオフィス
プロジェクトA
プロジェクトB
プロジェクトC
プロジェクトD
意思決定
戦略策定計画
プロジェクト実行
意思決定
プロジェクト管理
進捗・コスト・課題等報告
プロジェクトポートフォリオ(イメージ)
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• 全社戦略設定にあたり、Renewable Adjacency Strategy を策定し、喫緊テーマとして既存のオペレーション拠点の運用電源の再生可能エネルギーへ転換の加速を図った
• Chevronは、重点方針として以下の4点を定義 :
• 低炭素化 – 同社の低炭素エネルギー戦略と平仄し、炭素削減の結果を出す
• ファイナンス戦略へのネガティブインパクトを出さない– 既存設備の価値向上を実現
• オペレーションの複雑化を回避 – 現在・将来のオペレーションを複雑化させることは回避するために、デジタルを活用
• 高確率でデリバリー可能であること – 再エネ戦略は短期間で実装可能かつデリバリーリスクが低いこと
長期的環境変化対応にむけた短期戦略事例: Chevron Pipeline and Power
Chevronの最大の環境フットプリントであるグロー9施設グループが初期プログラム対象として選定
Chevron Pipeline and Power社はグローバルオペレーションにおける再生可能エネルギー活用を ”Renewables Adjacency Strategy”を立案し推進中。
アップストリームプロダクション主要アップストリーム設備その他取組スコープ設備
デジタルは何をもたらし、今何をすべきか
低炭素なしでは、ステークホルダの要求を満たすことはできない!"Decarbonization is now becoming the critical path to satisfying shareholder demands."
• エネルギー効率化・PPA・自社電源開発・証書等を組み合わせ電源転換を実行中
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デジタル投資を改めて考える。 何のための投資なのか?デジタルは何をもたらし、今何をすべきか
*Source ; Gartner, ITのビジネス貢献を可視化する方法 2018年5月25日 H. Katayama
投資は、一般的に①新しいビジネスモデルの実現(Transform)、②現行ビジネスの成長(Grow)、③既存ビジネスの継続維持やコスト削減(Run)という3つの目的(TGR)に応じて実行されることをガートナーは推奨*。
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デジタル投資もTGRで分類可能であるという意味では例外ではありませんが、設備産業かつ公益性が高い電力ビジネスは、歴史的にRの比率が非常に重い傾向があり、Rの削減が喫緊テーマとなる。
何のためのデジタルなのか?を改めて整理するタイミングデジタルは何をもたらし、今何をすべきか
ITコストの整理例(TGR* による整理)
Transform
the Business
Grow
the Business
Run
the Business
新しいビジネスモデルの実現に必要な投資
現行ビジネスの成長、競争力維持に必要な投資
現行ビジネスの維持・継続に必要な投資
収益、利益などの業績に問わず、中長期で下げていくべき投資対象
例:「同じことは、より効率的により安く」
ITコストの配分目的 投資額増減のドライバーと基本スタンス
現行ビジネスの業績に応じて増減される投資対象
例:「売上を増やすのであれば、その分の機材が必要」
事業のステージに応じて、経営の意思で増減される投資対象
例:「既存事業の成長が見込めない場合の新規事業立上げ投資」
一般的投資枠
5-10%
10-30%
60-85%必要経費として、可能な限り安く(コスト重視)
改善を安く高品質(コスト・効果バランス
重視)
Try and Error型(Risk Return)
電力業界ではRが高い**
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ビジネスモデルの変革期を迎えている電力業界では、Transform while Operatingを維持することを大前提に、攻めと守りののメリハリを改めて見直す時期が来ている。短期的な効率化・競争力強化に対する打ち手と、未来のための打ち手を、なりたい姿を見据えて再定義することが求められる。
まとめ:攻めのデジタル投資と守りのデジタル投資デジタルは何をもたらし、今何をすべきか
Transform
the Business
Grow
the Business
Run
the Business現在 2025 2030~
例• システム資産の圧縮(クラウド化など)• コストダウン/効率化(ロボットなどでの省力
化)• コストダウン/効率化(運用維持自動化)• 疫病対策(縮退下での効率的業務維
持)
攻めの投資(リスクリターン型投資)
守りの投資(既存事業への貢献評価型投資)
例• 新規事業創出による事業ポートフォリオ
転換• デジタルを活用した破壊的業務統廃合
例• 競争力強化(品質・スピード向上)• 競争力強化(新商品開発の加速) 電力供給関連収益
新たな価値提供による収益
Thank you
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