質の高いコーチングを目指して...

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1 質の高いコーチングを目指して バイオメカニクスの視点から 竹内映二 Contents ○バイオメカニクスの基本 ○矯正をする際に注視するポイント ○正確に打つことの大切さを教える ○ストロークの機能を教える ○フットワークを教える ○ゲームを基にしたコーチング セミナー参考文献・参考資料・協力 Richard schoernborn 1974,75 -2001,2003+他著書 Daria Kopsic segal (バイオメカニクス) Bruce Elliot(バイオメカニクス) Hvoje Zmajic(ITF デベロップ部門担当責任者) ・投げる科学 宮下充正監修 ・マルコム・グラッドウエル著書 天才 ・中山芳徳ナショナルコーチ資料提供 ・井本善友コーチ翻訳協力 バイオメカニクスの基本 井本善友コーチ翻訳 バイオメカニクスの知識はストローク動作を分析する知識に匹敵する。 コーチは選手の上達を手助けする数ある情報の中から、テクニックを直す手順を計画的に選ぶことが重要である。 バイオメカニクスは、ただうまく打てるといった選手が上達するためのキーポイントである前に、選手が大事な 場面での緊張感に強く、また連続可能でありケガの予防につながるようなテクニックを獲得するのに役立つ。 バイオメカニックを利用したコーチングは、プレーヤーがテニス技術に関するバイオメカニクスの原則を体系的 かつ動力学的に学習し、効率性と有効性を手に入れることを可能にする。 腕の動きやインパクトだけに焦点を絞った観察をされることがよくあるが、最も重要で最も目に見えにくいもの は、全身で作り出される力やエネルギーの製造過程と、その力とエネルギーがストローク時に伝達される道筋で ある。 一般的にテクニックばかりに注意を払ってしまい、それ以外の身体の部分のことに注意を払うことを忘れ、動作 の全体像を見失いがちである。 構造に関する知識は不可欠であり、その知識が重要なものと重要でないもの、正しいものと正しくないもの、結 果と原因、不可能と可能を識別する手助けをしてくれる。 機能解析は、それぞれのプレーヤーにとっての目標と理想的な動きを設定するのに有効である。バイオメカニク ス・力学・生物学・心理学・3 次元解析は、この種の研究に役立っている。 理想的な動きとは、プレーヤーそれぞれの個人差の上に、熟達していて、バイオメカニクス的に理想的なストロ ークのことを指す。

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質の高いコーチングを目指して バイオメカニクスの視点から 竹内映二

Contents ○バイオメカニクスの基本 ○矯正をする際に注視するポイント ○正確に打つことの大切さを教える ○ストロークの機能を教える ○フットワークを教える ○ゲームを基にしたコーチング セミナー参考文献・参考資料・協力 ・Richard schoernborn 1974,75 -2001,2003+他著書 ・Daria Kopsic segal (バイオメカニクス) ・Bruce Elliot(バイオメカニクス) ・Hvoje Zmajic(ITF デベロップ部門担当責任者) ・投げる科学 宮下充正監修 ・マルコム・グラッドウエル著書 天才 ・中山芳徳ナショナルコーチ資料提供 ・井本善友コーチ翻訳協力 バイオメカニクスの基本 井本善友コーチ翻訳 バイオメカニクスの知識はストローク動作を分析する知識に匹敵する。 コーチは選手の上達を手助けする数ある情報の中から、テクニックを直す手順を計画的に選ぶことが重要である。 バイオメカニクスは、ただうまく打てるといった選手が上達するためのキーポイントである前に、選手が大事な

場面での緊張感に強く、また連続可能でありケガの予防につながるようなテクニックを獲得するのに役立つ。 バイオメカニックを利用したコーチングは、プレーヤーがテニス技術に関するバイオメカニクスの原則を体系的

かつ動力学的に学習し、効率性と有効性を手に入れることを可能にする。 腕の動きやインパクトだけに焦点を絞った観察をされることがよくあるが、最も重要で最も目に見えにくいもの

は、全身で作り出される力やエネルギーの製造過程と、その力とエネルギーがストローク時に伝達される道筋で

ある。 一般的にテクニックばかりに注意を払ってしまい、それ以外の身体の部分のことに注意を払うことを忘れ、動作

の全体像を見失いがちである。 構造に関する知識は不可欠であり、その知識が重要なものと重要でないもの、正しいものと正しくないもの、結

果と原因、不可能と可能を識別する手助けをしてくれる。 機能解析は、それぞれのプレーヤーにとっての目標と理想的な動きを設定するのに有効である。バイオメカニク

ス・力学・生物学・心理学・3 次元解析は、この種の研究に役立っている。 理想的な動きとは、プレーヤーそれぞれの個人差の上に、熟達していて、バイオメカニクス的に理想的なストロ

ークのことを指す。

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動的バランスとは、身体が移動している状態で重心の均衡を保つ能力である。 慣性(ニュートンの第1法則) 物体は外的な力を受けない限り、同じ状態を維持するという法則である。慣性力は大きさ(その物体が作られて

いる物質の量)に比例する。 作用反作用(ニュートンの第3法則) 作用反作用とは、ある物体が他の物体に作用を及ぼすとき、それとは逆向きで大きさの等しい反作用が常に働く

という法則である。テニスのストロークでは、地面に対して強い圧力を与えることで、地面からの反作用の力を

インパクトにぶつけるのである。 直線運動 体重移動からなる一直線上の運動である。 勢い=物体の大きさ×スピード 角運動 腰と胴体の回転によって生み出される回転運動である。 弾性エネルギー 筋肉の引き伸ばしによって筋肉と腱にためられた力(エネルギー)。 筋運動は、伸長性筋収縮と短縮性筋収縮からなる。 伸長性筋収縮と短縮性筋収縮の組み合わせのことを反力と呼ぶ。 軸の回転(トルク) 力×応力中心距離=トルク トルク×運動時間=角運動 連鎖 ボールを打つ為に必要なラケット加速を生み出す為に、地面からラケットに向かって身体のパーツからパーツへ、

協調して力を増幅させていく。 生み出される力は、身体のパーツからパーツへの力の伝達の時間に直接関係している。 連鎖は力を増幅し、力の活用を最大限にし、疲れを遅らせ、怪我のリスクを軽減する。 力とエネルギー生産は長い筋肉と胴体から発生させられる。 各パーツには安定段階と加速段階があり、次のパーツに力を伝える前にそのパーツは固定されなければならない。 ○矯正をする際に注視するポイント 観察の方法 コーチは、コーチングする場合に正面から見ること(観察する)以外の方法を持つことである。コーチングの現

場で「選手にどのように伝えるか」の方法を模索し選択し、そして実行する力が必要である。 単純に見る(観察する)場合でも、以下のような方法がある。 ・正面から見る ・横へ回って見る ・後ろから見る バイオメカニクスの観点からも、指導者が観察する選手をどの角度から見るかは大切な観察方法である。横から

見る方が、打点や身体と打点の(ネットにい対しての)前後関係を観察しやすい。前から見なければ、選手がコ

ースを隠せているかどうかなどが分からない。また、後ろから見る方が、サーブのひねり動作などは観察しやす

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く、このようにコーチが選手を見やすい角度に移動することは観察するにおいて大切な要素である。また、コー

チは見た(観察した)後、以下の方法で選手に伝えることができる。 言葉により導く 一般的な方法は「言葉で伝える」であろう。以前のコーチングでは、トップコーチでさえも、目で見て⇒言葉で

伝える これだけをコーチングで使ってきた。 しかしこの方法では、特に低年齢でまだ言葉を理解していない子どもを対象とした場合や、テニス以外の体験し

たことない子どもに対象とした場合に、かえって対象者をパニックに陥れるケースが多く存在する。それは選手

が実行するすべてのストロークが高速で行われ自動化していることに起因する。選手が作り出している自動的に

行われているストローク技術は、頭で考えだした瞬間にそのプロセルが途中で中断され脳を経由するためにパニ

ックのような状況を起こしてしまうことをコーチは多く経験しているはずだ。選手にとって高速で行っている自

動化されたテクニックを細かく分解して修正することは、ほとんどのケースで失敗すると思っておいてよいだろ

う。以上のことからテクニックの矯正には、矯正を行うための方法、時期、タイミング、優先順位等をしっかり

把握しておく必要があるだろう(必要以上なアドバイスは必要ない、選手を苦しめるだけだ。アドバイスは 3 つ

以内に抑えることをお勧めする)。コーチは以上のことを考慮しつつ、言わば暗黙的に、選手がテクニックの細

部を意識せずにストロークが修正されていくプロセスを探るべきだろう。 話を元に戻すことにしよう。言葉でアドバイスを行う以外の方法では以下のような方法がある。それは、見せる、

イメージさせる(メトロノーム法)または感じさせるやドリルを通して学習させるである。 見せて導く 見せるは、コーチ自身のデモンストレーションであったり、ラケットを持たなくとも手振り身振りで見せること

ができなくてはならない。また、プロにデモをお願いしたり、ビデオを利用して、また選手自身が自身のフォー

ムをビデオで見たりするのもよいだろう。見ることから得る情報は、耳で聞くより多くの情報を選手に及ぼすこ

とは周知の事実である。身体の使い方やラケットの動きは高速で起きるために観察しにくいのはあたりまえであ

る。現在のテクノロジーであるスロー再生ビデオなどを使うことをお勧めする。人間の目の能力には限界があり、

およそ一秒に 4~5 のビデオフレイムしか認識できない。アナログやデジタルのビデオでは 25~30 のビデオフレ

イムを見ることができる。最近のテクノロジーでは、500 コマ、1000 コマ/秒も可能となった。このことは、

選手の技術を助けることができる最高のイメージ映像となるだろう。コーチにとっては、このようなテクノロジ

ーはフォームをより正確に分析できることにつながるためとても利用価値がある。見方を変えるためには、どこ

かの部分だけを隠して、たとえば下半身だけを観たい場合は上半身をハガキか何かで隠して見えなくし、全体に

追いかけがちな目を一か所に集中させることをお勧めする。 見せると言う方法にもデメリットはある。あまりに尊敬するコーチ、選手がモデルとなるため、選手によっては

そのフォームをコピーし過ぎてしまったり、実際のモデルとなった選手に対して敬意を払い過ぎてしまう場合も

あるため、このことには注意を払うべきだろう。しかしながら昨今の超スロー再生などを利用することで、実際

に肉眼では見えない部分が見えるようになり、このことは選手の技術的進歩を促すに違いないこともまた事実で

ある。 また選手たちは、コーチの単なるフォームを見ているだけでなく、コーチのコート上での振る舞いや生活態度、

さまざまな習慣なども見ていると言ってよい。コーチは、テニスの見本だけではなく人間としての見本、ロール

モデルとしても重要な役割を果たしている。 感じさせる・イメージさせて導く 感じさせる・イメージさせるは、選手がなかなか感覚を変え辛い場合に用いる。極端にアウトをさせてみること

で、一度大きく感覚を揺さぶる。たとえば、サーブをネットにかけ続ける選手やストロークをネットし続ける選

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手にバックフェンスまで打たせる。サーブがどうしても狙ったコースから少し左にズレる選手に、思い切って大

きく右にフォルトさせる、その次に左にフォルトさせる、それから的を狙わせるなど。また、軌道を意識させる

のもいいだろう。選手がコントロールしようとしている幅(たとえば高さや左右差)は、意外と小さい角度(面

の角度で言えば 10 数度)の変化の中にある。たとえば、サービスで言えば、最終的に左右に打ち分ける上腕が

回内する程度はスライスサーブとフラットサーブでは非常に近い角度の中に存在する。そのため、微妙に打ち分

けるのが近すぎるゆえに変え難いのである。コーチが何度フラットサーブを練習させても選手のサーブにスライ

スがかかってしまい改善されないのはそれゆえである。そのことを理解すれば、コーチング方法もおのずと変わ

ってくるだろう。 また、コーチが、「ボールの重さを感じて」、「ボールがガットにあたった感じをもっと追究して」などと伝える。

ボールにより感覚を出すためには、現在使用しているボールより軽いグリーンボールを使ったり、また逆に重い

ボールを使ったりして選手の感覚野を刺激する方法もある。この方法は何週間か続けると選手の感覚野が慣れに

よって刺激をうけなくなってしまうため、またある一定の期間を空けないと効果が無くなってしまう。 選手の打ったボールにペースがなかったり、どうしてもバウンドしてからの勢いがない場合には、その選手に 3球を一度に打たせるか、また 3 球を一度に打っているつもりで、またバレーボールやサッカーボールを打ってい

る感じで打ちなさいと選手に伝えるとよい。この場合は、感覚的な事柄を言葉で伝えているが、手を添えて感覚

的に導くこともできる。たとえばヒッティングポイントへのラケットの導くときに手を添えてやったりすること

で選手の身体のコントロール力を増したりもできる。 また、運動連鎖を強調させるために「足から徐々に」や「足からの力をボールに伝えなさい」というアドバイス

もできる。内的な感覚はとても重要であるにも関わらず、コーチは多くの場合、選手が持つこの感覚を当たり前

のようにあるものと考えがちである。男子の場合は早くて中学校、女子の場合でも同じく中学校くらいで持ち始

めるが、感覚が育たない選手の場合は高校になっても微妙な感覚を感じ取れない場合もある。 グレイディングも感覚的な力量感を伝えるには最適なドリルだろう。意外とチェックされていないのがこの力量

感だろう。どの部分にどれだけの力が必要でそれをどのタイミングで連動させればよいかはほぼ選手個人に任さ

れていて、ラケットのスウィートスポットを多く外す選手ほどインパクト前から衝撃の準備をしなければならず、

自ずとその選手のフォームには力みが発生すると考えてよい。この点からインパクトを正確にすることは最小限

の力で最大にボールにエネルギーを伝えるという力量感を得るために最も大切なことと言える。また、例えば、

足の曲げ具合も選手によって異なってしまう。「足を曲げなさい」と言うアドバイスだけでは十分ではなく、コ

ーチはどのタイミングでどのくらい曲げればよいのかを選手に実体験から学ばすことを心がけた方がよい。「足

を曲げなさい」自体はいいアドバイスではあるが、時として逆効果となるので注意をしたい。たとえば、ある選

手ではサーブで足を曲げようとしすぎるために、インパクトに到達する直前の動作を無意味なタイミングで膝を

曲げてしまったりバランスを崩してしまったりする。また、ある選手は構えで膝だけを独立させて曲げようとす

るため、膝がつま先より前に出過ぎてしまい骨盤が後傾してしまうこともある。 ドリルを通して導く ドリルを通しては、サーブでフラットを打てない選手に逆クロスへ打たせたり、クロスへ打てない選手に逆クロ

スを打たせる、またリターンのテイクバックが遅い選手にフェンス近くに立たせて、サーバーの打ったボールが

バウンドする前にテイクバックがフェンスに当たるように練習させるなどの例がある。ゲームベースドアプロー

チ(ゲームを基にしたアプローチ)は正しくこのドリルを通してその場面場面に必要とされるテクニックとそれ

を実行するために不可欠な選択肢の理解、反応、判断力などの目に見えない技術を同時に鍛える方法であり、こ

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れこそが選手に暗黙的な技術習得を可能にする方法であろう。このゲームを基にしたアプローチについては後半

で述べていきたい。 矯正する場合の優先順位 選手を分析する場合に重要で且つ見逃しがちなポイントに触れていく。コーチは選手の得手不得手を見抜かなく

てはならない。得意な場所と弱点である。多くのコーチは弱点を見てしまいがちである。また、選手がエラーを

したのかそれが弱点なのかを見分けることが、コーチにとってとても重要である。 よくトップコーチでも、試合後に弱点ばかりを責めて練習しているのを見る。武器に焦点を当て、その武器がな

ぜ使えなかったのかを分析せずに、攻められた箇所だけを練習することはほぼ無意味である。選手は十分すぎる

ほど、試合中に相手から弱点を攻められているにも関わらず、コーチが傷口に塩を塗るような行為をしてはなら

ない。私は決して弱点を練習してはいけないとは言っていない。むしろ弱点は克服すべきだ。オールラウンドゲ

ームができるようになるのが、コーチと選手の共通するゴールであるから、弱点は早めに克服するべきだろう。

しかし、弱点を克服するには相当な覚悟と時間が必要で、また弱点を強みでカバーすることが最も大切であるこ

と理解してほしい。現在の世界のトップでさえ弱点はある、しかしその弱点でプレーさせられないくらい、自分

のゲームを展開し、弱点を突かせてくれないのである。 選手の弱点はほんとうに練習を積めば良くなるような弱点なのか、あるいはほとんど今のグリップでは限界に近

いものなのかと言う質問をコーチ自身が自分になげかけてみるのもよいだろう。 そうすれば、コーチ自身もその弱点に対しての取り組み方が変わってくる。 簡単な例をあげておくと、ある選手のバックハンドがクロスハンドグリップでどうしても限界が見えている。し

かしながら、ひねり動作はどうなのか?、スタンスは?、腰の回転はタイミングよく行われているのか?などを

考え合わせると、グリップに限界があったとしても改良する部分が見えてくるのである。私は、ウィークネスと

か弱点という言葉は、選手の前では使わないようにしている。伸び悩んでいるところとか未開発な部分などと言

葉を置き換えることにしている。弱点と言う言葉だけで、選手がマイナスなイメージを抱くのを避けることと、

弱点を練習し過ぎたことで弱点でプレーしてしまうケースもある。弱点に対してネガティブ言葉掛け、たとえは

「止めないさいと言ったでしょ」「そうしない」などの言葉掛けでは、上達を促せないし苦手意識を持たせるこ

とにつながってしまう。仕方なくネガティブな言葉掛けが必要場合は、ネガティブな言葉をポジティブな言葉で

挟んでしまう。「がんばって取り組んでいるのが分かるよ、もう少しボールの後ろをしっかり取ろうよ、いいね

ナイスショット」など。また、あえて乗り越えさせるために弱点に対して厳しい練習も時には役に立つだろう。 弱点の練習は武器の練習と必ずセットで行うことを決して忘れてはならない。 ジュニア選手の多く、特に女の子の場合、柔軟性が高すぎて筋肉がまだついていない。そのような子どもの場合

は、正しいヒッティングポイントまで腕を導くパワーが充分なため、大きく引いて腕や肩関節の弾性エネルギー

を利用しようとしすぎる傾向がある。本来、弾性エネルギーは、フォワードスウィング時に起こる足から順に伝

わっていく運動連鎖時に起きてくるものであり、腕を引くテイクバックで起こすべきものではない。このあたり

をどう子どもに教えるかも重要になってくる。私がよく言うのは、ボーリングのスローイングの話であるが、実

際にボーリングを行う時には、ボールはテイクバックして引いているように感じるが、実は身体を前に進ませる

ことで腕は引き伸ばされているのであって、決して腕をその場で引いてボールを後方へ移動させているのではな

い。テイクバックと言うのはそのような性質がることをしっておくべきだ。ボーリングでは構えた位置からボー

ルは下方へは動いているが後方へはほとんど動いていない。同じようにテニスのテイクバックでひねられて身体

より後方へ移動したラケットを持つ手の位置はフォアードスウィングに入ってもほとんどと言っていいほど後

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は実力を発揮

は、この見えな

ニックを、

述べて行こう

を教える 確に当てる」

ウィートス

位置関係を保

はまず、力量

ッショナル

10 段階に分

、同時に鞭動

言葉を理解し

うし、試合に

て、重心を低

ットごとに選

ムを見てでき

バイスも時

ひとつであ

方法だけに固

執してしまい

ってしまう。

らできなくな

り試合後選手

勧めする。

くの能力を内

リー中のショ

クニックの実

中に示してあ

必要な点が、

他ならない。

って大切な見

力・予測力に

たあるいはま

報を瞬時に判

選択し、決断

っている選手

できずにいる

ないテクニッ

どう育てるか

と思う。

このことに疑

ポットに確実

保ち、タイミ

量感をどう伝

を育てるとき

分け、どのく

動作を生み出

8

して実行でき

に近づけば近

低く」と言っ

選手を止めて

きるだけ乗っ

として必要

り、これしか

固執してコー

いがちである

。結果、コー

なってしまう

手を罵倒する

内在して

ョットを

実行に関

ある。ゲ

、この見

。テニス

見えない

に他なら

まさに打

判断し、

断し、実

手がふたりい

る選手。こん

ックである状

かが重要なス

疑問を持つコ

実に当てるこ

ミングよくス

伝えるかであ

きに用いる方

らいでボール

出すことでス

きる選手など

近づくほど、い

ったほぼ基本

てアドバイス

っている選手

であり、決

かできない、

ーチングして

る。このこと

ーチは多くの

う。最後には

ると言うこと

いて、ひとり

んなケースを

状況判断能力

ストロークの

コーチはいな

ことを覚える

スウィートス

ある。よくイ

方法をここで

ルに力を伝え

スウィングス

どはいないと

いつも伝えて

本的な動作を

スする方法な

手の行為を止

してすべてを

どんな状況

てはならない

とはコーチが

のアドバイス

は、コーチは

とになりかね

りはトッププ

を多く見かけ

力や予測力が

のファクター

ないであろう

る必要がある

スポットにミ

イタリアの教

では使ってい

えるかを図る

スピードを上

と言ってよい

ていること「

を促すアドバ

などは、選手

止めないこと

を否定してい

況か(準備期

い。コーチも

が選手のこと

スを与えすぎ

は冷静に試合

ねない。でき

プロ、もうひ

けるはずだ。

が欠如してい

ーと言え、最

う。どんなフ

る。そのため

ミートできな

教材などで日

いくことにす

る。そのこと

上げ、少ない

い。大きな修

「足を動かそ

バイスにして

手にかえって

とも、大事な

いる訳ではな

期、試合期)

も選手同様緊

を思ってい

ぎてしまい、

合を分析でき

きるだけ感情

ひとりは同じ

おそらく実

いるのだろう

最後のゲーム

フォームをし

めには、どん

なくてはなら

本にも紹介

する。プロの

によりリラ

い力で大きな

修正を

う、

いく

悪影

コー

なく、

を考

緊張を

いれば

思惑

なく

情を押

じレベ

実力を

。最

を基

してい

んなボ

ない。 介され

場合

ック

パワ

Page 9: 質の高いコーチングを目指して バイオメカニクスの視点からtoukai-tennis/pdf/coaching.pdfコー 質の らゆ てス ジカ それ クス 情報 運動 テニ

9

ーを得ることができるのだ。このことは長時間同じ動作を行うためにも大変重要なことにつながってくるし、で

きるだけ小さな力で大きなエネルギーを生む原理を習得することができる。子どもの場合は、プロほどこの力量

感、感覚が鋭くないので、1~5 段階で握りの強さを教えた方がよいだろう。構えでどのくらい握っているか、

そして加速に入るに従いどのくらい握り始め、インパクトでどのくらいの力加減が必要かを教える必要がる。ほ

どよい力は、テイクバック終了時に 1、インパクトで 2 か 3 くらいがよいだろう。あくまで子ども自身の感覚で

あるため、こちらがこのくらいと強制する必要はない。インパクト時スウィートスポットで捕らえられない子ど

もほど、インパクト時に握力が必要になり結果予備動作のテイクバック終了段階でも握力が必要になってくる。

リラックスしてスウィングさせる、そのためには、「真ん中に当てる」という単純だが最も大切な個所を丁寧に

教える必要がる。私が子どもの頃、マジックでスウィートスポットを黒く塗りつぶして、何球か打った後にチェ

ックした経験がある。これもひとつのフィードバックで子どもの努力を促せる。同様に、ストリングに付いたボ

ールの毛をお互いにチェックし合うのもいいだろう。 子どもは実際の打った後、感覚器官が育っていない場合、自分の打ったボールの評価は入ったから入らなかった

に下される。これはコーチにも言えることで、入ったから入らなかっただけに焦点を当てるのはたいへん危険な

部分も秘めている。よく観察すること、このことはコーチに最も必要なことでもある。子どもに話を戻せば、ラ

ケットがボールに押されるような感覚は、ボールがラケットから離れ遥か彼方に飛び出した後だが、子どもの手

に神経に伝わった刺激感覚は腕から脳へとフィードバックされる。脳は、手からそして腕から伝わった情報を良

いか悪いか判断し、次のボールに対するフィードバックを行うのだ。ラケットの根元に当たったら、先に当たっ

たら、上に当たったら、下に当たったら、それぞれの感覚の違いを分けて感じ取り、次のショットメイキングに

生かすのだ。このことから、子どもに正しいヒッティングポイントで構えさせて、ストリングの上記した箇所を

手に持ったボールで触ってやると言う単純な方法で、ある程度の情報を与えておいてフィードバックのスピード

を上げることが上達スピードと大きく関わってくるのが分かる。慣性の法則から、このようにラケットを持った

腕には動かすまいという重みがかかってくるのを理解すれば、この重みである重力に刃向うかたちでのスウィン

グ動作はよくなく、うまく連動された動作を行い重力による落下によるエネルギーを、ブランコを押すような動

作を応用しスタートできれば、小さな力で打つということが、いかに大切かが理解できよう。 弾性エネルギーはときには違った情報を子どもにもたらすケースもある。それは、当たった後のフィードバック

は筋肉が押された弾性エネルギーと似た感覚があるため、本来ボールを打つ前に起きるべき弾性エネルギーの感

覚とボールを捕らえた時に起こる感覚と勘違いして同様なものと錯覚するようなケースが生じる。そのようなと

きは、子どもはごちゃごちゃになった感覚の中、ボールを運ぶような感覚が正しいものと思うだろう。これは私

を含む多くのクラッシックな選手が持つフィーリングと同じで、調子が悪くなればなるほど、またミスヒットを

したくない緊張した状況が発生すればするほど、このフィーリングを探し始めてしまうので要注意だ。こういっ

たことが起これば、「最後まで振り切る」、「ボールは乾いた音で弾くように打つ」、あるいは「パーンと打つ」と

いうような単純なアドバイスを選手にするのも有効な手立てだ。 腕の力量感の調節から生まれるリラックスした鞭動作には、呼吸もう大きく関係している。日本に昔からある武

道の剣道、柔道、空手道、合気道などでは、息を吐きながら打つ投げる技をかけるのは当たり前の行為として教

わっている。それは、呼吸に精神を集中することからくる末端の筋肉群の力を抜かせ敏感にさせるため、雑念を

払うため、また丹田(重心)に意識を持っていかせることで地に足が付いた状態になり技が行いやすくするなど

の効果がある。このことを我々テニスコーチは、テニスが西洋から来たスポーツなので忘れがちである。コーチ

は、腹式呼吸はスポーツには欠かせないものとして捉え、指導の現場に生かさなくてはならい。

Page 10: 質の高いコーチングを目指して バイオメカニクスの視点からtoukai-tennis/pdf/coaching.pdfコー 質の らゆ てス ジカ それ クス 情報 運動 テニ

10

この写真を見ていただきたい。身体とヒッティングポイントの

関係が分かる良い例である。後ろ脚はまるでヒッティングポイ

ントでのボールを支えているようで、ボールの後ろ近くに必ず

決めるべきである。またヒッティングポイントは重心より前(ネ

ット方向)となり、腕は軽く伸ばされた状態で狙った方向を指

すような状態でボールを捕らえている。頭は、体重移動はした

が両足の間にキープされたままである。スウィートスポットで

捕らえることと同様に、子どもにこのヒッティングポジション

を教えるのは大事な部分である。どんなに動かされてもボール

の後ろをできるだけ取る、これなくしては正確なラリーは実現

できない。後ろ足ケンケンでボールを打たせたりするのは、この後ろ足とボールの関係を学ばせる有名なドリル

である。ドリルの目的も知らず子どもにこのドリルをやらせているコーチも見かけるが、ドリルには必ずゴール

があることを理解してほしい。後ろ足をボールのバウンド直前に意識的に強く踏むのもいいドリルだろう。同様

に、音を立てるようにするのもよいだろう。 ○ストロークの機能を教える 右の図を見ていただきたい。この図は幼児の投動作の学習プロセスを

表したものだ。この図から読み取れるのは、運動連鎖の学習プロセス

であり、運動連鎖が下半身から伝えられるのとは逆に連鎖の最終部位

である腕の振りから徐々に上体が関与し、その後下半身へと移行して

ダイナミックなフォームを獲得していくプロセスが読み取れる。この

学習プロセスが、何らかの理由で途中から学習されなかったとしよう。 あるいは、このことを経験せずに成人となったとしよう。その時点か

らこのプロセスを新しく経由していくのは困難に近い。何万回も実施

されたストロークは、脳の中の運動神経回路にすでに確実なものとし

て書き込まれてしまい、マイナーチェンジさえ難しくしてしまう。選手が、新たなフォームを脳に書き込むため

には、今まで行ってきた間違ったフォームに費やした箇所にかけた以上の時間を新しいフォームに費やす必要が

出てくる。ここにも修正・矯正の難しさがでてくるのである。同じ間違った動作を繰り返せば繰り返すほど、ま

た型通りのフォームを繰り返せば繰り返すほど、修正・矯正したりゲームの状況に即したかたちに変えていくの

が難しくなってしまう。上の図にあるように、いかに同じフォームで時間を費やし過ぎないかも大事な矯正して

いくうえで重要なポイントとなる。お勧めするのは一日の中でもステップアップしていく、ジャンプアップして

いくのがいいだろう。サーブをする場合に、先にラケットを肩より上に担がせることを何か月も続けてしまうと、

構えから通常のプロセスでサーブを行うのは困難になってしまう。担がせることにより、トロフィーポーズを理

解させるのはとても良い練習方法だが、担がせるサーブとそうでないサーブを混ぜ合わせたり、同じ方法を長期

間続けないようにするべきだろう。 結論を述べれば、いかに運動連鎖を初期段階からうまく導入していくかがコーチングのキーポイントとなるのだ。

その日にできなくとも何度もトライし日にちを重ねることにより、運動連鎖が達成されるのである。運動連鎖に

よる大きな筋肉群が関与されたダイナミックなフォームを子どものころから徐々に開発すべきで、これは上述し

た正確にボールを捕らえることと正確な打点、そして後から述べる正確にボールを打てる体制に入るフットワー

クと大きく関わり、且つ重要であることを物語るものである。また、獲得したダイナミックなフォームは、最後

Page 11: 質の高いコーチングを目指して バイオメカニクスの視点からtoukai-tennis/pdf/coaching.pdfコー 質の らゆ てス ジカ それ クス 情報 運動 テニ

に述

※運

ろで

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は、

って

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選手

突い

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る大

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○フ

上述

に返

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ート

に突

が悪

たが

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述べる素早い

運動連鎖の最

で触れたよう

に強く踏むの

足へと伝え

てなければ、

ってしまう。

ったく曲げず

で徐々に深く

グリップ感の

ルを打ってみ

してボールの

安定感を獲得

手は、ボール

いた瞬間を捉

入れずに、足

ト、ボールへ

スンボールを

習である。練

る。 の写真は上部

ォアハンドを

に平行になる

よりも肩が余

プがある部分

も述べた通り

大きなエネル

フットワーク

述した通り、

返るフットワ

して重心が低

トルの長身で

突入したと言

悪い。よく見

がって、ある

スが生まれる

メイキングや

いショットセ

最適なタイミ

に、後ろ足

のがよいだろ

えられるのだ

次の胴体へ

膝の曲げ加

ずに膝を伸ば

曲げさせる

のある曲げ具

みる。選手は

の後ろを広い

得し回転軸を

ルが弾む直前

捉えて、最適

足から腰、胴

へと力を伝達

を使った運動

練習前のトレ

部から取った

を打とうとし

るまでひねら

余分にひねら

分でタイムラ

、弾性エネ

ルギーであっ

クを教える いいポジシ

ワークを手に

低いという利

でも動けるよ

言ってもよい

見えるのは支

程度相手の

るのである。

や細かなタッ

レクション

ングは、正確

足をボールのバ

う。地面か

だが、このと

へと大きな力

加減も腕の力

ばした状態を

とよい。選

具合を数字で表

はラリー中、

スタンスで

しっかりと

前に合わせて

適な曲げ具合

胴体、上腕、

達していくよ

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レーニングと

右利きのプ

ている写真

れているの

れていて、こ

グを生むこ

ルギーは下半

て、ラケッ

ョンにいて正

入れること

利点を生かし

うになって

だろう。しか

配的にプレー

パワーを押

単純にフッ

チショット

、判断力な

確に打点に入

バウンド直前

らの反作用で

き膝がある程

の波が伝わ

量感と同じよ

0 として、0手は一番地面

表した後、実

しっかりフ

取る。広いス

することに役

ボールの後ろ

まで膝を曲げ

前腕、リス

うに心がける

はとても効果

して行うのに

レーヤーが今

である。左手

が見て取れ

このひねりの

とで、筋肉が

半身から上半

トを単純に大

正確にボール

は、上背のな

て、充分ト

きたのも事実

かしながら、

ーできている

し返し、ニュ

トワークと言

のようなテ

11

どを内在して

入るとこ

前に意識

で得た力

程度曲が

らずに終

ように、

0~5 段階

面に対し

実際にボ

ットワー

スタンス

役立つ。

ろに足を

げる。間

ト、ラケ

る。メデ

果のある

に最適で

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手がネッ

る。このよ

のギャップが

が引き伸ばさ

半身、そして

大きく引いた

ル打つ態勢に

ない日本人に

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実で、このテ

、所詮どんな

るからで、少

ュートラルな

言っても上述

クニックがな

ていなければ

うにひねられ

が下からの運

されて大きな

て腕へとつな

たときに生ま

に入るフット

にとって重要

されるべきだ

テニスと言う

なにトレーニ

少しでも後手

な状態にする

述したフォア

なければフッ

ばならいのも

れた身体は、

運動が開始さ

なエネルギー

ながる動きの

まれるもので

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要なポイント

だ。昨今では

う競技で勝ち

ニングしても

手に回せば俊

ることができ

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ットワーク自

前腕

地面か

も当然だろう

、足よりも膝

された途端に

ーを生み出す

の中のタイム

ではないこと

そして素早く

トとなるだろ

はデルポトロ

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も長身の選手

俊敏性がない

きれば、身長

機能と同じよ

自身が同時に

ボール

ラケット

腕・上腕

胴体

からの反作

う。

膝、膝よりも

にそれぞれの

すこととなる

ムラグから生

を重ねて示

次のポジシ

ろう。外国人

ロのように、

容易ではない

手は基本的に

いのが分かる

長が低くても

ように、ポジ

に機能しない

作用

も腰、

ギャ

。先

生まれ

示して

ション

人と比

2 メ

い時代

に動き

。し

チャ

ジショ

いし、

Page 12: 質の高いコーチングを目指して バイオメカニクスの視点からtoukai-tennis/pdf/coaching.pdfコー 質の らゆ てス ジカ それ クス 情報 運動 テニ

ある

単純

最近

ども

り、

能が

手も

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よい

いよ

で変

きる

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るが

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る程度のゲー

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近のジュニア

もの頃からの

またスプリ

が上がり明ら

も若干増えて

の選手が、フ

い。そして勝

ようにしたり

変えるのが怖

るだけいらな

まう。低年齢

が、このこと

らスタートす

早い判断など

コーチなら

を当てていく

ライオメトリ

背景】 ライオメトリ

んだ運動であ

こで、下半身の

960年代前

ッパの多くの

しい結果を残

特徴】 ライオメトリ

さらなる筋収

長所】 あらゆるス

神経反射を

力の勢いを

反応速度を

ライオメトリ

ーヤーがトッ

を、開発・助

実践】 プレーヤー

ならず、頭

ーム支配力が

ワークについ

アの試合を観

のスピードの

ットステッ

らかに 10 年以

てはいるが、ゲ

ィジカル>テ

勝っている子

、しんどい

怖かったりと

ないことをや

齢時期には、

にはコーチ

する子が多い

どは求められ

考えるべき

ことにする

ック

ックの手法

あった。効果的

の運動は含ま

前半には、東

のアスリート

残している。

ックは、弾

収縮を引き起

スポーツのパ

を改善し、動

を瞬間的に増

を改善させる

ックがもし

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頭も肩も前方

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観るにつけて

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どもほど、今

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フィジカル

やらない、また

単純に勝つ

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れない。バネが

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まれるが、重

ヨーロッパ

達に導入さ

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動き出しの力

増幅させる。 。

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ーマンスを発

ができる。

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方に曲げられ

いたずらに体

きたい。 、女子の選手

ニスに慣れて

早い動きを開

ニスよりボー

純になりフッ

なら今の選手

今の状態で勝

こなかったた

の重要性を無

たやらせない

こと以上に、

んと向き合

の頃に大人サ

がないことは

こでは、筋肉

0年代の後半

とを証明して

重量挙げの代

で脚光を浴び

れ、好成績を

ーが蓄積され

る。

スを向上させ

を増幅させる

践されれば、

発揮する為に

前方を見てい

てはいけない

12

体力を消耗す

手のバネのな

ているからで

開発されずに

ールスピード

ットワークは

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ため我慢強さ

無視する傾向

い習慣が子ど

、しつけにも

うべきであろ

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は事実として

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ていたが、ま

代わりに落下

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を収めた。プ

れたばかりの

せる。 る。

テニスプ

に必要な技

いなければ

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にいたからと

ドは上がって

は申し訳ない

どがフィジカ

ので傲慢であ

さが欠如して

向がある。コ

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も重要な時期

ろう。また、

ートでのラリ

て受け止め、

ネルギーを理

ワで考案され

もなくアス

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なった。この

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の筋肉を引き

なる。全体を理

くりさせられ

以外の運動を

とも思える。

てはいて、ト

いが 10 年前の

カル<テクニ

あったり、努

ていたり、分

コーチや親が

開発を遅らせ

期であること

精神面だけ

リーでは動き

それをなん

理解した上で

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た新しいトレ

の爆発的筋力

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き伸ばすこと

理解しつつも

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を行ってこな

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の選手の方が

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が、幼少期に

せているよう

とは誰も疑わ

けではない問

きのシャープ

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で、各種のト

下半身の重量

腰痛を訴える

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力を開発する

現在も、様々

とによって起

も、この項で

のない原因は

なかったらで

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をうまく使

がよいと感じ

っていると考

そかな自分を

るがトレーニ

に勝つために

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わないことで

問題もある。

プさや反応の

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トレーニング

量挙げの半屈

るようになっ

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る手法は、東

々なスポーツ

起こる。この

では、

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5 才

速さ、

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屈曲を

った。

れた。 東ヨー

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Page 13: 質の高いコーチングを目指して バイオメカニクスの視点からtoukai-tennis/pdf/coaching.pdfコー 質の らゆ てス ジカ それ クス 情報 運動 テニ

正確

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んな

ョン

くる

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り方

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とは

う 1左の

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また

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また

また

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上方や前方

正しい動き

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反復回数は

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確に当てると

のパワーを生

な動きをすれ

ン、レディポ

るため、肩幅

は、運動連鎖

確なフットワ

のジュニア期

取る練習をさ

方を教えるこ

教えるコーチ

は極めて少な

10 数年が過

の図のような

対してうまく

とができない

トワークをち

こではその内

向いて使える

を紹介してお

動きを選手に

とだ。「自然に

トすることが

ないことが本

しやってきた

手がどんな場

うになるため

せておくべき

た、選手はど

からどんな場

のドリル中に

た、どの場所に

た選択肢が多

前に曲げられ

方への勢いな

きは理想的な

的やプレーヤ

はプレーヤー

ングの段階に

言う腕の振

生み出すかが

ればよいのか

ポジションの

幅よりやや広

鎖を発揮する

ワークトレー

期を含めて多

させるコーチ

ことができる

チの多くは、斜

ない。スペイ

ぎようとして

なほぼ全方向

切り込めな

いケース、攻

ちゃんと教わ

内の、フット

るようにトレ

おく。テニス

にさせたかっ

にそのように

がしばしばあ

本能的にでき

たことが何も

場面において

めには、すべ

きだろう。 どんな場所へ

場所にもボー

に、コースを常

に移動しても

多くうまれる

れてはいけな

しに、直立

落下にとっ

ーのこと(年ーの疲れによ

より、1 週間

振りの部分で

コーチング

か、それは腕の

姿勢が大切

いスタンス

ためにも重

ーニング 多くの場合、

チは、斜め前に

が、ベースラ

斜め前の切り

ンドリルが

ている。スペ

の動きが含

いのは、浅い

める意思がな

わっていない

ワークをちゃ

レーニングす

は習慣のス

たら、その動

に動いた」と

る。自然に動

るというこ

考えずにや

も全く問題

べての動きを練

へもうまく移動

ールを打てな

常に変更する

もどのコース

ためには大切

い。 姿勢で前方に

て不可欠であ

年齢など)を考

る。 間に 1 回、も

は、力量感を

のゴールでも

の場合と同じ

となる。また

を取ることは

要な役割を果

コーチは選手

に切り込むよ

ラインゲーム

り込みすら教

日本に入って

ペインドリル

まれる。浅い

いボールが認

ないケース、

いケースなど

ゃんとすべて

るいくつかの

ポーツである

動きを習慣づ

、一流選手が

動くことはや

とではなく、

れたことを指

なく滑らかに

練習において

動して、そ

くてはならな

ること、そし

スにでも狙え

切なことであ

13

にステップす

ある。 考慮し、落下

もしくは 2 回

をどう指導す

もあった。こ

じで曲げすぎ

たスタンスの

は極めて重要

果たしている

手をベースラ

ような入

ムを中心

教えるこ

てきても

ルでは、

いボール

認知する

、またフ

どがある。

ての方向

のドリ

る。あ

づける

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やって

、繰り

指す。

に動く

て習得

してそ

ない。

してあらゆる

えるような体

あるから、ド

することで行

下は 0.5 から

回に分割する

するかに焦点

ここでも効率

ぎず、伸ばし

の広さも動き

要である。こ

るのは前述し

ラインに平行

コースへ打つ

体制で入るこ

ドリルを行う

スタードリル

ックハンド

インアンドア

スタードリル

スタードリル

ミニコートド

他 ※動きだしの

に向かって腰

動く場合は教

行われなけれ

1 メートル

ることができ

点を当てた。

率的に力を発

し過ぎずの最

き出しにはと

このスタンス

してある通り

行にしか動か

つことを含ん

ことは、相手に

う場合に工夫

ル:5 方向へ

アウトドリル

ル:ミックス

ル:コーチが

ドリル:ミニ

のときに起こ

腰を正対させ

教える必要が

ればならない

ル以内でなけ

きる。 小さな力で

発揮するため

最適なパワー

とても重要と

スとパワーポ

りだ。

かさないでい

んでおいた方

にコースを読

夫を加えるべ

フォアハン

ル:前後動作

バージョン

が打つ方向を

ニコートを使

こる引き足動

せるために行

がない

い。

ればならない

でどれだ

めにはど

ーポジシ

なって

ポジショ

いる。ネット

方がよいだろ

読まれないた

べきだろう。

ド、3 方向へ

の獲得

コール ってのドリル

動作は運動方

うため、前方

い。

を多

ろう。

ため、

ここ

へバ

方向

方へ

Page 14: 質の高いコーチングを目指して バイオメカニクスの視点からtoukai-tennis/pdf/coaching.pdfコー 質の らゆ てス ジカ それ クス 情報 運動 テニ

では

数等

2.5~80%試合

から

ある

円内

コー

ける

など

守る

きな

るこ

○ゲ

子ど

てス

そし

戦術

チン

ここで

状況

戦術

は手出しのボ

等も変化を持

~3m の円の

%をパーフェ

合というもの

ら想定外のシ

る。同じこと

内の動きだけ

ーチの大きな

る練習は大切

どが同時にト

る範囲を広げ

な力を発揮す

こととなるこ

ゲームを基に

どものサーブテ

ストロークの成

て学術的にも

術を融合させて

ングが現在のコ

ではゲームを

況判断能力(デ

術に用いる基本

ボール出しだ

持たせるべき

の中で 80%ェクトにプレ

のはそんな簡

ショットを繰

とは自分のプ

けでなく、そ

な役割だ。振

切で、あきら

トレーニング

げるための大

することは、

ことを忘れて

したコーチン

テクニックの成

成長とともにコ

も、学習プロセ

ていく方法の

コマンド的な

を基にしたアプ

ディシジョンメ

本技術を理解

だが、コーチ

だろう。 %のプレーが

レーできれば

簡単なもので

繰り出してく

プレーヤーた

それを越えた

振り回しや、

らめない姿勢

グできる厳し

大切な練習で

相手に大き

はならない。

成長に見られ

コーチングされ

セスの中で子

の方がより効果

指導からより

プローチとそ

メイキング)を

解する

のレベル、選

実行される

ばよいのだが

ではない。想

る選手と出

ちにも言え

能力を獲得

遠くのボー

勢、全力で取

い練習であ

ある。円外の

なプレッシ

れるように、実

れていくべきで

子どもが能動

果的であり、子

り暗黙的な指

の進め方、ま

どう開発して

14

選手のレベル

ため、その

、なかなか

定外の位置

くわすので

ることで、

得させるのも

ルを追いか

り組む姿勢

り、それも

の 20%で大

ャーをかけ

実際には見え

である。しかも

的に自分のテ

子どもの学習

指導に替わって

またストローク

ていくかをいく

ルにより、球

ないテクニッ

も指導者が介

テクニックに関

習スピードが上

ていかなくては

ク技術に内在

つかの例を用

球出しの場所

ックである状況

介在できるほ

関わっていき

上がると言わ

はならないか

在するゲームに

用いて理解し

所や動きの多

況判断能力な

ほど子どもには

き、また無意識

われている。い

かが理解できよ

に勝利する上

して頂こうと思

多様性と打た

なども時間をか

は言葉は通じ

識にテクニック

いかに我々の

よう。

上で必要とされ

思う。

たせる

かけ

じない。

クと

のコー

れる

Page 15: 質の高いコーチングを目指して バイオメカニクスの視点からtoukai-tennis/pdf/coaching.pdfコー 質の らゆ てス ジカ それ クス 情報 運動 テニ

15

Page 16: 質の高いコーチングを目指して バイオメカニクスの視点からtoukai-tennis/pdf/coaching.pdfコー 質の らゆ てス ジカ それ クス 情報 運動 テニ

ドリ

るは

Q:相

A:相

Q:そ

A:コ

Q:そ

A:高

Q:そ

でき

A:で

Q:そ

A:コ

Q:他

A:ス

Q:そ

どう

A:だ

Q:で

A:は

Q:で

ブが

A:ど

Q:そ

A:今

Q:や

がな

A:ど

Q:ど

A:高

リル:ファー

はずです。

相手のレシー

相手はレシー

それをどこへ

コートの空き

それはどんな

高い打点で強

それではやっ

きましたか?

できる場合と

そうですか。

コースが悪か

他には?

スピードが十

それではもう

うでしたか?

だいぶできる

できない場面

はい。

では、できな

が遅いと思っ

どちらもやら

それでは今度

今度はやられ

やられる前に

ない場合も同

どちらも守備

どんな風に?

高く深いボー

ーストサーブ

ーブはどうあ

ーブミスをす

へ打ちたいで

きに打ちたい

なボールです

強打します。

ってみましょ

とできない場

。できない場

かったです。

十分ではあり

う一度スピー

るようになり

面はありまし

ない場面で、

ったのもいつ

られてからで

度その場面が

れる前にあま

にあまいコー

同じように次

備に回ります

ールを空いて

からポイン

あってほしい

するか、相手

ですか?

いです。

すか?

ょう!

場合がありま

場合は、どん

りませんでし

ードとコース

りました。

したか?

、コースが悪

分かったか教

です。

が来たらあな

まいコースに

ースに入った

次のショット

す。

ているところ

ト行いましょ

いでしょうか

手のレシーブ

ました。

んなことが起

した。

スに気を配っ

悪いと分かっ

教えてくださ

なたはどうし

に入ったら分

たと分かった

はどうします

ろかクロスに

16

ょう。ファー

か?

ブはあまく振

起こりました

ってやってみ

ったのは相手

さい。

しましょう?

分かります。

たらあなたは

すか?

に返球します

ーストサーブ

振り遅れのコ

たか?

みましょう!

手が打つ前で

は次のショッ

す。

ブからですの

ースに入っ

ですか?それ

トをどうし

ので、あなた

てきます。

れとも後です

しますか?ま

たは攻撃権を

すか?打った

た充分スピ

取れ

サー

ード

Page 17: 質の高いコーチングを目指して バイオメカニクスの視点からtoukai-tennis/pdf/coaching.pdfコー 質の らゆ てス ジカ それ クス 情報 運動 テニ

Q:い

間に

しょ

いいサーブが

に、あなたは

ょう!

が入った場合

は守備に転ず

合はあなたは

る訳ですね。

はオーブンコ

。いい答えで

17

コートに攻撃

です!それで

撃を仕掛けま

ではもう一度

ます。しかし

度同じように

し悪いサーブ

にポイント練

ブだと分かっ

練習をやって

た瞬

みま

Page 18: 質の高いコーチングを目指して バイオメカニクスの視点からtoukai-tennis/pdf/coaching.pdfコー 質の らゆ てス ジカ それ クス 情報 運動 テニ

まと

選手

ール

べき

• 試

• そ

• 高

• 受

• 積

• ク

• 対

• ふ

かを

どうや

今回

るだ

判断

手は幼いころか

ル出しだけで得

きだ。

試合で行われ

それに挑戦しな

高い強度で成

受信能力と予測

積極的な判断を

ローズドから

対戦相手が難

ふたつの方法で

を理解させるこ

やれば、選手

回のアプローチ

だけ漏れないよ

断等の見えな

からトレーニン

得られるもの

る現実的な状

ながら必要な

し遂げさせる

測能力の両方

を下せるよう

らオープンへの

難しい状況にい

で状況判断の

こと

手が情報を収

チはテニスを

ように組み込

いテクニック

ングされる中

ではなく、言

状況を再び作

な能力を上達さ

方を上達させ

うに仕向ける

のやり方を理

いるときを識別

の工程を上達

収集できるのか

をバイオメカニ

込んである。切

を上達させる

中で、ディシィジ

わば 0.5 秒以

作り出す

させるために

せる

理解する手助け

別させる

達させる:対戦

か、選択肢に

ニクスの理解を

切り刻まれたア

ることができる

18

ジョンメイキン

以内で行う神

にその状況を繰

けをする

戦相手を難し

に気が付くのか

を共有しなが

アイディアをど

るかに焦点を

ングに必要な

技である。練

繰り返し練習

い状況下へ押

か、コーチはこ

がら、私のコー

どうコーチング

を当てた。是非

情報を知る必

練習が含んで

習させる

押しやり選択

この点につい

ーチングの歴史

グに結び付け

非、参考にして

必要がある。

でいる内容は以

択肢を探ること

いて掘り下げて

史からさまざ

けるか、またど

ていただきた

これは単純な

以下の通りで

と、次に何をす

ていってほし

ざまな方法をで

どうすれば状

い。

なボ

である

する

しい。

でき

状況