高性能エネルギー変換素子としての薄膜型リチウム二次電 池 …electrode...
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高性能エネルギー変換素子としての薄膜型リチウム二次電池をシートデバイスに内蔵する要素技術の開発を行う。
1.安全性・信頼性を飛躍的に高めるための電池材料の全固体化・全無機化
2.長寿命、長期信頼性の獲得のための薄膜化3.高容量を実現するための電極集電体/電極活物質/電解質間の界面構築手法の探索と最適化
本日の発表内容
・液相法を用いた電極薄膜(Li4Ti5O12負極、LiMn2O4正極)およびLiNbO3固体電解質薄膜の作製条件の検討と特性評価・電極/電解質薄膜の積層化の試み・ホットソープ法を用いた電極活物質微粒子(SnP)の合成と評価
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有機電解液
イメージを表示できません。メモリ不足のためにイメージを開くことができないか、イメージが破損している可能性があります。コンピュータを再起動して再度ファイルを開いてください。それでも赤い x が表示される場合は、イメージを削除して挿入してください。
イメージを表示できません。メモリ不足のためにイメージを開くことができないか、イメージが破損している可能性があります。コンピュータを再起動して再度ファイルを開いてください。それでも赤い x が表示される場合は、イメージを削除して挿入してください。C CoO2
負極 正極
Li+ Li+
Li+ Li+
Li+ Li+
Li+ Li+
X-
X-
X-Li+
Li+
Li+
C / LiPF6 (有機溶媒) / LiCoO2
・単セル4V級の電池を実現
・電池の大型化にともない、 発火、液漏れの危険性
無機固体電解質
Li+ Li+
Li+ Li+
イメージを表示できません。メモリ不足のためにイメージを開くことができないか、イメージが破損している可能性があります。コンピュータを再起動して再度ファイルを開いてください。それでも赤い x が表示される場合は、イメージを削除して挿入してください。
イメージを表示できません。メモリ不足のためにイメージを開くことができないか、イメージが破損している可能性があります。コンピュータを再起動して再度ファイルを開いてください。それでも赤い x が表示される場合は、イメージを削除して挿入してください。
Li+ Li+ Li+ Li+
Li+ Li+ Li+ Li+
負極 正極
全固体化
・安全性、信頼性の向上・究極の電池形態
Solid Electrolyte
Substrate
Negative Electrode
Positive Electrode
Thin-film battery
良好な電極-電解質界面 高い安全性、信頼性 長期サイクル安定性
数10 m
Bulk-type battery
Positive
Electrode
Solid
Electrolyte
Negative
Electrode
1 mm
Electrode Material Conductive additive Solid Electrolyte
電極複合体の構築により、電極量の増加 大容量化(mAh)が可能
酸化物系電解質
硫化物系電解質
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全無機・全固体・薄膜リチウム二次電池の構築のための要素技術の確立
金属酸化物ナノ粒子 (ZnO)
正極活物質ナノ粒子
・ゾル-ゲル法によるナノコーティング・ナノ界面の自己形成 集電体
フレキシブル基板
負極
固体電解質
正極
透明電極
負極活物質ナノ粒子・金属アルコキシド・金属チオラート・金属錯体
金属酸化物ナノ粒子ペースト(ZnO)
活物質ナノ粒子の作製
溶液法による固体電解質膜の作製
熱分解法
出発原料
完全無機化した画期的なシート状リチウム二次電池へ
大阪市立工業研究所株式会社巴製作所、奥野製薬工業株式会社、日東化成株式会社
固体電解質薄膜:LiNbO3
充放電時の体積変化なし
負極薄膜:Li4Ti5O12
液相法を用いた電極および電解質の作製
非晶質状態でリチウムイオン伝導性を示すことが報告されており、低温で合成可能
全固体薄膜リチウム二次電池への応用
負極薄膜
固体電解質薄膜
正極薄膜
・ゾル-ゲル法を用いた電極および電解質薄膜の作製条件を検討し、その電気的、電気化学的評価を行うと共に、それらの積層化に取り組む。・ホットソープ法を用いた電極活物質ナノ粒子の合成と評価
正極薄膜:LiMn2O4, LiCoO2
4V級正極活物質低温で合成できることが望ましい
集電体基板
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5 times
EtOH + PVP
Ti(OCH(CH3)2)4
Acetyl acetone
CH3COOH
LiOCOCH3
Coating sol
Dip coating at 2.8 mm/sec on Si or Au substrate
Heat treatment at 380 for 30 min in air
Heat treatment at 700 for 1 h in air
Li4Ti5O12 thin film
EtOH or EtOH + PVP
1M LiOC2H5
Ti(OCH(CH3)2)4
Li4Ti5O12電極薄膜の作製方法(ゾル-ゲル法)
Li : Ti = 4.2 : 5
PVP / Li4Ti5O12 = 50 wt%
N
CC HH2
O
n
Poly(vinylpyrrolidone) (PVP) *
*Y. H. Rho, K. Kanamura, T. Umegaki,J. Electrochem. Soc., 150 (1) (2003) A107.
膜厚約 740 nm
基板
基板
1 m 500 nm
500 nm 1 m
膜厚約 330 nm
LiOC2H5(PVPなし )
500 nm 1 m 膜厚約 800 nm
Liアルコキシドを用いることで不純物のない単相膜が作製できた Li4Ti5O12に対して50 wt%のPVPをゾルに添加することで膜厚は約2倍増加
基板
X線回折パターンと SEM観察結果
LiOC2H5(PVPあり )
LiOCOCH3(PVPあり )
TiO2 (rutile)
Au基板
Li4Ti5O2
断面 表面
(111)
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1.5~1.6 V (vs. Li) 付近にLi4Ti5O12で見られる典型的な酸化還元ピ ークが得られ、Li4Ti5O12薄膜が電極として機能した
3 mV min-1 1st cycle
Li4/3Ti5/3O4 + xLi+ +xe- Li4/3+XTi5/3O4充電
放電
Li4Ti5O12電極薄膜の電気化学評価
Li metal
参照極
対極
Li metal
NiメッシュAu基板
1M LiPF6
電解液Ethylene carbonate (EC)Diethyl carbonate (DEC)
作用極
Li4Ti5O12
三極式ビーカーセル
放電
x in Li4/3+x Ti5/3 O4
E / V
vs.
Li /
Li+
Capacity / mA h g-1
1st2nd10th
50th
discharge
charge
50サイクル後においても約100 mAh g-1の容量を保持
Li4Ti5O12薄膜の充放電挙動とサイクル特性
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R.T. 8 10-8 S cm-1 Ea 51 kJ mol-1
500 nm
SiO2基板
約 320 nm
得られたLiNbO3薄膜は非常に緻密で表面は滑らか
Con
duct
ivity
/ S
cm
1000 / T
-1
300 nm
表面
LiNbO3電解質薄膜の作製とイオン伝導度
出発原料:LiOC2H5 + Nb(OC2H5)5
熱処理条件:350 oC, 2 h
膜厚 約 1 m1 m
基板
Li4Ti5O12膜の凹凸は緻密なLiNbO3膜によって埋められ 、二層膜を作製できた Li4Ti5O12 - LiNbO3二層膜はLi4Ti5O12単独膜とほぼ同じプラトー電位を示し、Li4Ti5O12層がLiNbO3層を介して良好に電極とし て機能する
E / V
vs.
Li /
Li+
Capacity / mA h g-1
LiNbO3
Li4Ti5O12
1st cycle 0.1 mA cm-2
charge
discharge
1M LiPF6 (EC+DEC)
X in Li4/3+x Ti5/3 O4
負極薄膜
固体電解質薄膜
Li4Ti5O12
LiNbO3
正極薄膜
液相法による電極-電解質二層薄膜の構築と電気化学評価
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Coating solution
Dip coating Drawing speed : 2.8 mm/sec Substrate : Au, SiO2 substrate
熱処理at 400 for 30 min
焼結at 400 or 800 for 1h
LiMn2O4 film
repeat
PCLT + C2H5OH + CH3COOH + LiOC2H5
H2O + Mn(CH3COO)2・4H2O
Polycaprolactone triol (PCLT)
(Mn = 300)
WE : LiMn2O4 film CE, RE : Li metal (Ni メッシュ)Electrolyte : 1M LiPF6 (EC+DEC)
三極式セル焼結後 at 800
500 nm 1st
100th
10th
25 0.05 mA cm-2
LiMn2O4 Li1-xMn2O4 + xLi+ + xe-
充電
放電
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PCLT : 400
PCLT : 800 400 1st
結晶性は800 に劣るが、LiMn2O4のピークを確認初期放電容量は約80 mAh g-1
400 という比較的 低温での合成 全固体薄膜リチウム二次電池への応用可能性
800 1st
25 0.05 mA cm-2
ホットソープ法によるSnP電極活物質ナノ粒子の合成
ホットソープ法 単分散無機ナノ結晶の合成方法
核生成
高沸点有機界面活性剤中
界面活性剤配位
熱分解化学反応
金属塩or
金属錯体
結晶の凝集、成長速度を抑制大きさの揃ったナノ粒子の合成が可能
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試料の作製手順Sn(CH3CO2)2 + (C8H17)3P + (C8H17)3PO or (C8H17)3N
Heating from 320 to 360 under an Ar atmosphere
Cooling to room temperature
Addition of 5 ml hexane
Dispersing with ultrasonic for 3 min
Addition of 20 ml ethanol
Centrifugation
Drying in vacuum
SnP
Sn(CH3CO2)2 : (C8H17)3P : (C8H17)3PO or (C8H17)3N = 1
or 0.5 : 15 : 4 (molar ratio)
Reaction time : 3 min or 1 hour
(C8H17)3P, b.p. 360
リンの供給源+配位性溶媒(C8H17)3PO, b.p. 201 (2mmHg)
(C8H17)3N, b.p. 365 配位性溶媒
反応時間を変化させた場合 ( 配位性溶媒 : (C8H17)3PO )
▽: Sn
反応時間 3 min
: SnP
反応時間 1 hour
▽▽
▽
▽▽ ▽▽ ▽
▽▽▽
200nm
200nm
約500nmの涙形粒子
Snの核 涙形のSnP粒子の生成
Sn涙形SnP粒子
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全固体電池の充放電特性Li-In / solid electrolyte / SnP
25
1.3 mA cm-2
全固体電池 初期放電容量 : 1000 mAh g-1
SnP + xLi+ + xe- LixSnP放電
充電
充電
放電
全固体電池評価
対極:Li-In
固体電解質:80Li
2S・19P
2S5・1P
2O5
作用極:SnP電極複合体(SnP+電解質+ナノカーボン)
・ ゾル-ゲル法を用いた Li4Ti5O12負極薄膜、LiNbO3電解質薄膜、LiMn2O4
正極薄膜の作製条件を決定した 。作製した電極薄膜は有機電解液中で電極活物質として機能することがわかった。非晶質 LiNbO3薄膜は室温において、約8 10-8 S cm-1の導電率を示した。
・全固体薄膜リチウム二次電池の構築に向け、Li4Ti5O12-LiNbO3二層膜を作製した。 二層膜の表面は非常に滑らかであり、電解液を用いたセルにおいて、 Li4Ti5O12層がLiNbO3層を介して良好に電極として機能した。
・ ホットソープ法を用いて、SnPナノ粒子を合成した。得られたSnPナノ粒子は硫化物固体電解質を用いた全固体リチウム二次電池の電極活物質として高容量を示した。
<今後の課題>・ 負極薄膜 /固体電解質薄膜 /正極薄膜の積層化条件の検討・ 電極活物質ナノ粒子を利用した電極膜の形成
セラミックスのみから構成される薄膜リチウム二次電池の構築へ
まとめと展望