新しい介護食品(スマイルケア食)の取組について ·...

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新しい介護食品(スマイルケア食)の取組について 平成28年3月 農林水産省食料産業局食品製造課

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新しい介護食品(スマイルケア食)の取組について

平成28年3月

農林水産省食料産業局食品製造課

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平成16年

5人に1人

平成26年

(現在)

4人に1人

平成36年

3人に1人

1億2,140万人

3,653万人

総人口

65歳以上の高齢者人口 1億2,708万人

3,300万人

1億2,769万人

2,488万人

出典:総務省「人口推計」(各年10月1日現在) 国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成24年1月推計)」

我が国では、65歳以上の高齢者人口は、10年前の5人に1人から、現在は4人に1人となっており、10年後には3人に1人となることが予想され、超高齢社会が到来。

下段

上段 :

1.高齢化の推移

1

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出典:厚生労働省「介護保険事業状況報告」

384万人 (平成15年度)

584万人 (平成25年度)

25年度高齢者人口の18%

584万人×(介護保険上の1日当たりの食費の基準費用額(1,380円)×365日

≒潜在的なニーズ 2.9兆円*農林水産省試算

超高齢社会の到来により、介護食品の潜在的なニーズが急拡大。 現状では、市販の介護食品の市場規模は約1,100億円程度。

多くは、施設や家庭での自助努力に依存しているのが現状で、介護食品の存在、おいしさ、使いやすさ等についての認知度の向上が課題。

2.要介護(要支援)認定者数と介護食品の潜在的なニーズ

2

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3.主な介護をする家族の状況

年齢階級別にみた同居の主な介護者の構成割合

出典:厚生労働省平成25年国民生活基礎調査

世帯構造別にみた要介護者等のいる世帯の 構成割合の年次推移

介護をする家族も高齢化が進んでいる(男女ともに約7割が60歳以上)。 要介護者等のいる世帯のうち、要介護者のみの単独世帯の割合が平成16年の20.2%から平成25年の27.4%と1.4倍に増加。

20.2

24.0

26.1

27.4

30.4

32.7

31.4

35.4

29.4

23.2

22.5

18.4

20.0

20.1

20.1

18.7

0% 20% 40% 60% 80% 100%

平成16年

平成19年

平成22年

平成25年

単独世帯 核家族世帯

三世代世帯

その他の世帯

2.0%

2.0%

7.6%

8.1%

21.4%

21.4%

27.7%

32.5%

22.6%

25.8%

18.7%

10.2%

0% 20% 40% 60% 80% 100%

男性

女性40歳未満

40~49歳

50~59歳

60~69歳

70~79歳

80歳以上

60才以上(68.5%)

60才以上(69.0%)

(要介護者のみ) (要介護者とその配偶者 もしくは親又は子のみ)

3

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4.在宅療養患者の高齢者の栄養状態のデータ①

出典:国立長寿医療研究センター(平成24年度老人保健健康増進等事業 在宅療養患者の摂取状況・栄養状態の 把握に関する調査研究報告書 ・調査対象者:男性384名、女性606名、計990名 ・対象者の年齢:男性81.1±7.9歳、女性84.7±8.3歳

低栄養低栄養のおそれ

あり

(参考)低栄養+低栄養のおそれあり

計栄養状態良好 欠損値 計

男性 126 135 261 108 36932.8% 35.2% 68.0% 28.1% 100.0%

女性 230 200 430 152 58238.0% 33.0% 71.0% 25.1% 100.0%

計 356 335 691 260 39 99036.0% 33.8% 69.8% 26.3% 3.9% 100.0%

栄養評価(MNA-SF)の結果

注:MNA-SF(Mini Nutritional Assessment);高齢者の栄養評価スケール(最大14ポイントで、食欲不振、体重減少、歩行の状況、ストレス、神経・精神的問題の有無、BMI(BMIが測定できない人はふくらはぎの周囲長で判定) 低栄養:0~7ポイント、低栄養のおそれあり:8~11ポイント

(人)

(人)

国立長寿医療研究センターが、在宅療養患者である高齢者990名を対象にした調査結果によれば、低栄養の者は356名(37.4%)、低栄養のおそれありの者は335名(35.2%)、合わせて691名(72.7%)が栄養状態に問題あり。

4

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4.在宅療養患者の高齢者の栄養状態のデータ②

栄養状態と食事形態 栄養状態と要支援・要介護度

出典:国立長寿医療研究センター(平成24年度老人保健健康増進等事業 在宅療養患者の摂取状況・栄養状態の把握に関する調査研究報告書 ・調査対象者:男性384名、女性606名、計990名 ・対象者の年齢:男性81.1±7.9歳、女性84.7±8.3歳

在宅療養患者の高齢者990名の栄養状態と要支援・要介護度の関係をみると、「低栄養」の者で要介護度5の者は50.9%の一方、「栄養状態良好」の者で要介護度5の者は9.3%。

栄養状態と食事形態の関係を見ると、常食をとっている者は、「栄養状態良好」の者で79.4%、「低栄養のおそれあり」の者で67.8%、「低栄養」の者で44.9%となっている。

5

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5.在宅療養患者の高齢者の1年後の追跡調査の結果 ~ベースライン時に栄養状態(MNA=SF)と1年後の予後に与える要因~

出典:国立長寿医療研究センター(平成25年度老人保健健康増進等事業 在宅療養患者の栄養状態改善方法に関する調査研究報告書) 調査対象者:男性294名、女性477名、計771名 対象者の年齢:男性81.1±7.9歳、女性84.7±8.3歳

在宅療養患者の高齢者の調査で追跡ができた者771名を対象に調査を行った結果、栄養状態がよくなるほど死亡リスクが低くなる有意な関連が見られた。

(性年齢調整)イベント 包括

例数 イベント 割合(%) HR比 下限 上限 p値 p値 対照MNA-SF評価3カテゴリー

低栄養 218 62 28.4 0.0004 低栄養低栄養の恐れ 248 43 17.3 0.56 0.36 0.86 0.0086栄養状態良好 277 33 11.9 0.41 0.26 0.65 0.0001

BMI3カテゴリー18未満 150 35 23.3 1.40 0.90 2.19 0.14 0.0362 18≦BMI<2518≦BMI<25 347 57 16.425以上 91 8 8.8 0.49 0.22 1.09 0.08

95%信頼区間

6

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6.在宅療養患者の高齢者の摂食・嚥下機能に関するデータ①

噛める程度

出典:国立長寿医療研究センター(平成24年度老人保健健康増進等事業 在宅療養患者の摂取状況・栄養状態の把握に関する調査研究報告書 調査対象者:男性384名、女性606名、計990名 対象者の年齢:男性81.1±7.9歳、女性84.7±8.3歳

258

377

188

44

61

62 どんなものでも、欲しいものを噛んで食べら

れる

噛みにくいものがあるが、たいていのものは

食べられる

あまり噛めないので、食べ物が限られている

ほとんど噛めない

全く噛めず流動食(ミキサー食等)を食べて

いる

欠損値

26.1%

38.1%

4.4%

6.2% 6.3%

19.0%

在宅療養患者の高齢者(990名)の噛める程度については、「あまり噛めないので、食べ物が限られている」者が19.0%、「ほとんど噛めない」者が4.4%、「全く噛めず流動食を食べている」者が6.2%と、噛むことに問題を抱えていたのは、全体の約3割。

約3割が噛むことに問題を抱えていた

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6.在宅療養患者の高齢者の摂食・嚥下機能に関するデータ②

誤嚥の有無 BMIと食事形態

誤嚥あり 誤嚥なし 欠損 計

男性 87 269 28 384

22.7% 70.1% 7.3% 100.0%女性 88 491 27 606

14.5% 81.0% 4.5% 100.0%

注:摂食・嚥下障害重症度分類(DSS)により、7正常範囲、6経度問題、5口腔問題が「誤

嚥なし」とされ、4機会誤嚥、3水分誤嚥、2食物誤嚥、1唾液誤嚥が「嚥下あり」とされている。

(人)

(人)

出典:国立長寿医療研究センター(平成24年度老人保健健康増進等事業 在宅療養患者の摂取状況・栄養状態の把握に関する調査研究報告書 調査対象者:男性384名、女性606名、計990名 対象者の年齢:男性81.1±7.9歳、女性84.7±8.3歳

在宅療養患者の高齢者の誤嚥の有無については、「誤嚥あり」の者が175名で全体(935名)中18.7%を占めていた。 BMIと食事形態の関係について、常食をとっている者はBMI25以上の者で79.4%、BMIが18.5以上25未満の者で67.7%、

BMI18.5未満で56.3%となっている。

44%が常食以

外のものを食べている

合計 175 760 55 990

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16.814.8 15.2

16.8 17.2

29.6

0

5

10

15

20

25

30

35

総数 65ー69歳 70-74歳 75-79歳 80-84歳 85歳以上

7.低栄養傾向の高齢者の割合(65歳以上)

(%)

資料:平成25年国民健康・栄養調査結果の概要(厚生労働省) 注:男女計の数値。低栄養傾向とはBMI20以下を指す。

低栄養傾向の高齢者の割合は16.8%であり、85 歳以上では3割の人が低栄養傾向にある。

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【出典】平成26年度農水省医福食農連携推進環境整備事業(介護食品普及支援)【アンケート対象】 NHKエディケーションのWEBサイト「みんなのきょうの料理」閲覧者(608名)

413 195

0% 10% 20% 30% 40% 50% 60% 70% 80% 90% 100%

認知度

(N=608)

図1 市販介護食品の認知度

知っている 知らない

144 297

0% 20% 40% 60% 80% 100%

利用状況

(N=441)

図3 市販介護食品の利用状況

利用あり 利用なし

介護食品への要望としては、「価格を安く」、「スーパー、コンビニでも販売」など、商品を購入しやすい環境が求められている。

これからの介護食品に対する要望として「見た目の良さと味のおいしさ」が最上位。

6

6

8

14

22

23

37

0 5 10 15 20 25 30 35 40

テレビ等でもっと宣伝

簡便性

普通食も同時に作れる

スーパー等でも販売

いつでもどこでも低価格

バラエティの富んだラインアップ

見た目の良さと味のおいしさ

図表34 これからの介護食品への要望(H26年度調査)

(上位7項目 N=77 複数回答)

109

114

114

124

190

196

261

0 50 100 150 200 250 300

表示をわかりやすく

特段の要望なし

味の改善

わかりやすい売り場の確保

メニューのバリエーション

スーパー、コンビニでも販売

価格を安く

図表33 介護食品への要望(H25年度調査)

(上位7項目 N=620 複数回答)

8.介護食品に対するアンケート・調査結果データ

10

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9.農林水産省が介護食品に取り組む理由

介護食品市場の拡大を図ることは、農林水産業・食品産業を振興し、かつ、国民への食料の安定供給という農林水産省のミッションに合致するものであり、健康寿命の延伸にも資するものである。

介護食品市場の拡大

食品産業の新たな分野を開拓 (新製品の製造、技術開発など)

農林水産業の活性化 (新たな原料の供給先の拡大)

利用者のQOL( Quality of life (生活の質) )の向上

健康寿命の延伸

11

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新しい介護食品の考え方 【平成26年4月】

平成25年10月~27年3月 介護食品のあり方に関する検討会議

平成25年2月~7月 これからの介護食品をめぐる論点整理の会

平成27年4月~ スマイルケア食普及推進会議

◇ 介護食品と呼ばれてきた食品の範囲を以下のとおり 再整理 (「新しい介護食品」) ① 飲み込む機能に問題がある人向けの食品 ② 噛む機能に問題がある人向けの食品 ③ ①②の機能に問題はないものの、健康な体を維持 し活動するために必要な栄養の不足の予防につな がる食品

新しい介護食品の選び方 【平成26年11月】

◇ それぞれの状態の人に応じた「新しい介護食 品」の選択に寄与する早見表を整備 ① 左欄①の食品 → 「赤」マークを表示 ② 左欄②の食品 → 「黄」マークを表示 ③ 左欄③の食品 → 「青」マークを表示

新しい介護食品の愛称 【平成26年11月】

◇ 公募により「新しい介護食品」の愛称 を 「スマイルケア食」 に決定

「スマイルケア食」の規格基準 【平成27年12月】

◇ 上欄①~③の「スマイルケア食」に該当する食品の規 格基準の必要性・方向性について一致

「スマイルケア食」のマーク表示 【JAS規格制定後】

◇ 上欄①~③の「スマイルケア食」に該当する食品に対す る各マーク表示の枠組を整備・全面運用

スマイルケア食の 普及推進

農林水産省では有識者会議を設け介護食品の供給拡大に向けた検討を続けてきたところ。

10.介護食品の検討経過

12

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<参考>新しい介護食品(スマイルケア食)普及推進会議 委員リスト

◎印:座長

委員 普及推進会議 黄・赤WG 青WG

菊谷 武 日本歯科大学 教授 大学院生命歯学研究科 臨床口腔機能学 口腔リハビリテーション多摩クリニック院長

○ ◎

東口 高志 藤田保健衛生大学医学部 外科・緩和医療学講座 教授 ○ ○ ○

深柄 和彦 東京大学医学部附属病院 手術部 准教授 ○ ○

宗像 守 日本チェーンドラッグストア協会 事務総長 ○ ○

因 利恵 日本ホームヘルパー協会 会長 ○

吉良 厚子 (一社)日本介護支援専門員協会 常任理事 ○ ○

迫 和子 (公社)日本栄養士会 専務理事 ○ ○ ○

西山 隆 和光市北地域包括支援センター センター長 ○

島崎 みつ子 特別養護老人ホーム蓬仙園 施設長 ((公社)全国老人福祉施設協議会 委員ほか) ○

戸田 一豪 イーエヌ大塚製薬(株) 代表取締役社長 ○

森 佳光 介護食品協議会 会長(キユーピー株式会社 広報・CSR本部 本部長) ○

黒田 賢 株式会社ヘルシーネットワーク 代表取締役 ○ ○ ○

平野 覚治 (一社)全国老人給食協力会 専務理事 ○

岩元 睦夫 (公社)日本フードスペシャリスト協会 会長 ((社)農林水産・食品産業技術振興協会 参与(JATAFF))

神山かおる 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構 食品総合研究所 上席研究員 ○ ○

武見ゆかり 女子栄養大学大学院 食生態学研究室 博士 ○ ○

葛谷 雅文 名古屋大学大学院 医学系研究科 総合医学専攻 発育・加齢医学講座 地域在宅医療学 老年科学分野 教授

◎ ◎

13

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<参考>新しい介護食品(スマイルケア食)普及推進会議 委員リスト 専門委員 黄・赤WG 青WG

井上 誠 新潟大学医歯学総合研究科摂食・嚥下リハビリテーション学分野 教授 ○

大越 ひろ 日本女子大学家政学部食物学科 教授 ○

神谷 慎一 日本流動食協会 会長 (味の素(株)イノベーション研究所研究管理部 顧客価値獲得グループ グループ長)

栢下 淳 県立広島大学 人間文化学部 健康科学科 教授 ○

川口 晋 日本メディカルニュートリション協議会 会長(ニュートリ-株式会社 代表取締役) ○

工藤 美香 医療法人新都市医療研究会君津会 南大和病院栄養部 部長

○ ○

佐藤 信之 日本介護食品協議会 技術委員会副委員長(株)フードケア 開発部品質管理室 課長) ○

繁田 博史 フジッコ株式会社マーケティング本部 ソフト食プロジェクト リーダー ○ 戸谷 亨 一般社団法人日本施設園芸協会 事務局長 ○

岩浪 亮人 イーエヌ大塚製薬株式会社 応用研究室 室長 ○

藤谷 順子 国立研究開発法人 国立国際医療研究センタ-病院 リハビリテーション科医長 医学博士 ○

向井 美恵 昭和大学名誉教授 (ムカイ口腔機能研究所所長) ○

矢吹 昭 特別用途食品活用研究会 幹事 (公益財団法人 日本健康・栄養食品協会 特定保健用食品部長兼栄養食品部長)

大久保 重敏 日本流動食協会理事(株式会社クリニコ お客様相談部 部長 企画情報部 臨床学術チーム 総括) ○

島岡 巌 日本メディカルニュートリション協議会事務局長 ○

不二 靖弘 日本介護食品協議会 普及委員長 株式会社明治 健康栄養営業本部 健康栄養マーケティング部シニアウエルネスグループ長

渡部 誠 特別用途食品制度の活用に関する研究会 幹事 ネスレ日本株式会社 ネスレ ヘルスサイエンスカンパニーマーケティング統括部 部長

14

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○介護食品といっても、どこまでを指すのかがわかりにくい。

○介護食品がいろいろ販売されているが、どれを選んだらよいかわからない状態。

○「介護食品」という名称に抵抗感や拒否感があるとの声。

○「新しい介護食品」の考え方を整理

○何を選べばよいか、を選びやすくするための統一的な基準を示すツールが必要。

○「新しい介護食品」の愛称を募集 (平成26年8月11日~9月16日)

1091件もの応募

○各企業、店頭、介護施設、医療機関等が共通して利用できる早見表「新しい介護食品の選び方」を作成。

○愛称を

「スマイルケア食」 に決定(11月11日公表)

ほかぞの じゅり

【背 景】

福岡県在住 外薗樹里さん の作品

11.介護食品の認知度向上に向けた取組

15

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[対象者]

原則、在宅の高齢者や障がい者の方であって、

○食機能(噛むこと、飲み込むこと)に問題があることから栄養状態が不良

○食機能に問題があるが、本人又は介護を行っている方の食内容や食形態の工夫により栄養状態は良好

○食機能に問題はないが、栄養状態が不良

+上記に移行する恐れのある人

[内容]

・単品としての加工食品(レトルト食品など)

・個々の食品が組み合わされた料理

・料理を組み合わせた一食分の食(配食サービス、宅配食など)

[配慮すべき点]

・美味しさ ・ QOL(Quality of life(生活の質))の向上

・低栄養の改善 ・見た目の美しさ

・食べやすさ ・入手のしやすさ

・食べる楽しみ ・コストへの配慮

[対象外]

・治療食・病院食

・形状がカプセル・錠剤のもの

12.「新しい介護食品」の考え方

16

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「新しい介護食品」の愛称をスマイルケア食として、さらなる認知度向上を推進するため、スマイルケア食普及推進ロゴマーク及びテーマソングを作成。農林水産省HPを通じた周知や、小売店舗等での活用を予定。

【スマイルケア食普及推進ロゴマーク】

噛むたびに痛い 食事楽しくない そんなとき 黄色のマークの スマイルケア食を 食べて元気になろう 弱い力でもごはんが 美味しく食べられる いつだって楽しく ごはんを食べようよ スマイルケア食食べたら 笑顔になれるよ 3 ごはんの時間 いつも待ち遠しいとき だけど最近ずっと 上手く飲み込めない そんなときいつも 強い味方がいる 一度食べてみたら 君はとりこさ 飲みこむのがつらい 食べるとよくむせる そんなとき 赤のマークの スマイルケア食を 食べて元気になろう 安心しながらごはんが 美味しく飲み込める いつだって楽しく ごはんを食べようよ スマイルケア食食べたら 笑顔になれるよ

食べて元気! スマイルケア食 作詞・作曲:佐藤 大祐 編曲:大野 正登(Music Office SIMON) 1 ごはんの時間 いつも待ち遠しいとき だけど今日はあんまり 食べる気が起きない そんなときいつも 強い味方がいる 一度食べてみたら 君はとりこさ 食欲出てこない 最近痩せてきた そんなとき 青のマークの スマイルケア食を 食べて元気になろう 美味しく栄養たっぷり 力がみなぎるよ いつだって楽しく ごはんを食べようよ スマイルケア食食べたら 笑顔になれるよ 2 ごはんの時間 いつも待ち遠しいとき だけど今日はとっても 歯が痛くてつらい そんなときいつも 強い味方がいる 一度食べてみたら 君はとりこさ

(英語版)

【スマイルケア食オリジナルテーマソング】

13.スマイルケア食普及推進ロゴマーク及びオリジナルテーマソング

17

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平成27年12月のスマイルケア食普

及推進会議において、青マークの利用のスキームを決定。平成28年2月より運用を開始。

平成27年12月のスマイルケア食

普及推進会議において、黄・赤マークを表示できる食品の規格・基準を策定する方向で一致。今後、JAS規格等の関係規格・基準を整備し、運用を開始。

平成26年11月に、「スマイルケア食」の愛称とともに、食機能や栄養に関して問題があるという方々に幅広く利用いただけるよう、小売店等で商品選びに役立つツールとして、早見表を作成。現在、本年夏以降の運用開始に向け、更なる検討を進めているところ。

14.スマイルケア食のマークの表示の枠組について

18

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15.新しい介護食品(スマイルケア食)の今後の取組

介護食品の 認知度向上

地域の農産物等を使った介護食品の開発・普及

輸出促進

・「スマイルケア食の選び方」の実用化に向け、食品産業(製造業者、通販、ドラッグストア、コンビニ、スーパー等)で活用できるための環境整備。

・併せて、介護・医療関係者(ヘルパー、ケアマネ、医師、歯科医師、薬剤師、管理栄養士、言語聴覚士等の専門職)にも活用してもらうよう、働きかけ。 ・関係機関の広報誌等の活用。

・今後、地域の食品事業者が地場の農水産物を活用した介護食品を開発することを推進することで、自給率向上にも貢献。 ・こうした取組への支援を、平成28年度予算において措置。

・日本は、世界でも抜きん出て介護食品市場が発展。 ・国産の農産物等を使った介護食品を米国、EU、中東、アジアへ輸出をしていくための環境整備を行い、輸出を促進。

19

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○地場産スマイルケア食の開発・普及に関する優良事例収集

○リーダー育成のための研修会の開催

○スマイルケア食の普及状況等を把握するためのアンケート調査の実施

地場産スマイルケア食の普及により6次産業化の市場拡大

6次産業化支援対策のうちスマイルケア食の普及支援 【平成28年度予算概算決定額1,256百万円の内数】

地場産スマイルケア食の 開発・普及を支援

地域の食品事業者や大学・介護施設等が参画する、6次産業化・地産地消推進協議会において取組方針を策定

地域の方針に沿って

任意の取組を実施

【スマイルケア食 ロゴマーク】

【新しい介護食品(スマイルケア食) の選び方】

スマイルケア食の内容を適切に普及するため、ロゴマークなどのツールを活用

【事業実施主体:市町村等】 【事業実施主体:民間団体等】

・ 全国の地場産スマイルケア食の商品開発・普及を推進するための取組等を支援します。

地場産スマイルケア食の商品開発・普及

配食サービス・提供方法の実証

スマイルケア食の選び方等について 相談できる「食と健康サロン」の設置

地場産スマイルケア食を体験できる 農家レストラン等モニターツアーの開催

・ 6次産業化戦略・構想に沿って行う地域ぐるみの6次産業化の取組の一環として、地場産スマイルケア食の商品開発・普及の取組等を支援します。

スマイルケア食普及のためのセミナー開催

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○農山漁村の所得や雇用の増大を図るため、更なる6次産業化の推進が必要

平成28年度

地場産食材等を活用した栄養改善等の取組の推進 (6次産業化サポート事業)

地域ぐるみでの6次産業化の支援 (6次産業化ネットワーク活動推進交付金)