家計の行動とsna ~sna分布統計を用いた分析例~ …1 家計の行動とsna...

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New ESRI Working Paper No.28 家計の行動と SNA ~SNA 分布統計を用いた分析例~ 河越正明、前田佐恵子 July 2013 内閣府経済社会総合研究所 Economic and Social Research Institute Cabinet Office Tokyo, Japan New ESRI Working Paper は、すべて研究者個人の責任で執筆されており、内閣府経済社会総合研究所 の見解を示すものではありません。研究試論という性格上今後の修正が予定されるものであるため、当 研究所及び著者からの事前の許可なく論文を引用・転載することを禁止いたします。

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Page 1: 家計の行動とSNA ~SNA分布統計を用いた分析例~ …1 家計の行動とSNA SNA分布統計を用いた分析例 2013 年7 月 河越正明* 前田佐恵子† *内閣府経済社会総合研究所特別研究員(政策統括官(経済財政運営担当)付参事官(総括担当))

New ESRI Working Paper No.28

家計の行動と SNA

~SNA 分布統計を用いた分析例~

河越正明、前田佐恵子

July 2013

内閣府経済社会総合研究所

Economic and Social Research Institute

Cabinet Office

Tokyo, Japan

New ESRI Working Paper は、すべて研究者個人の責任で執筆されており、内閣府経済社会総合研究所

の見解を示すものではありません。研究試論という性格上今後の修正が予定されるものであるため、当

研究所及び著者からの事前の許可なく論文を引用・転載することを禁止いたします。

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新ESRIワーキング・ペーパー・シリーズは、内閣府経済社会総合研究所の研究者

および外部研究者によってとりまとめられた研究試論です。学界、研究機関等の関係す

る方々から幅広くコメントを頂き、今後の研究に役立てることを意図して発表しており

ます。 論文は、すべて研究者個人の責任で執筆されており、内閣府経済社会総合研究所の見

解を示すものではありません。 なお、研究試論という性格上今後の修正が予定されるものであり、当研究所及び著者

からの事前の許可なく論文を引用・転載することを禁止いたします。 (連絡先)総務部総務課 03-3581-0919 (直通)

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家計の行動と SNA

SNA 分布統計を用いた分析例

2013 年 7 月

河越正明 *

前田佐恵子 †

*内閣府経済社会総合研究所特別研究員(政策統括官(経済財政運営担当)付参事官(総括担当)) †内閣府経済社会総合研究所特別研究員(連合総合生活開発研究所主任研究員)

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概要

本稿は、SNA の家計所得支出勘定を属性別に分割したセミ・マクロデータである「SNA

分布統計」の有用性を具体的な分析を通じて示し、またその将来の方向性を吟味すること

を目的とする。SNA 分布統計によれば、90 年代後半から消費の増加は専ら高齢世帯の消費

の増加に支えられ、この結果低下した高齢世帯の貯蓄率、とりわけ高齢無職世帯の貯蓄率

の低下が SNA でみた貯蓄率の低下幅の約 6 割を説明する要因となっている。さらに、高齢

化の進展は退職世帯という大きなグループを生み、所得の「発生・配分」からみる場合の

姿と「使用」の面からみる場合の姿を乖離させる。こうした状況を的確に分析するために

は、93SNA で導入された所得の発生・配分、分配、使用という勘定の各段階について属性

別に分割し、その相互の関係を示すことが分布統計を利用する上で有用であることがわか

った。

Abstract

This paper aims to show, through several analyses, usefulness of sub-sectoring household’s

income and outlay account by some attributes of heads of households, thereby examining

promising future work. This semi-macro statistics reveals elderly households’ behaviours are

dominant in explaining households’ consumption expenditures in the late 90’s. A fall in their

savings rate, especially that in retired ones, accounts for about 60% of a decline in overall

household savings rate. In an aged society, those who earn are not always those who spend, as is

observed in retired households. In order to shed a light on the changes under way, it turns to be

important to examine mutual relations among accounts articulating how income is generated and

distributed, then redistributed mainly by government, and eventually used by households for

purposes of final consumption or saving, the system introduced in 93SNA.

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1 はじめに

本稿の目的は、「SNA 分布統計」と呼ばれるデータを使った分析例を示すことによって、

そのデータの有用性を示すとともに、その改善に向けた方向性を吟味することである。こ

こでいう「SNA 分布統計」とは、SNA の家計の所得支出勘定を属性別に分割したものであ

り、これまで浜田を中心に累次の研究が行われてきた(浜田, 2003, 2005, 2010, 2012)。

家計部門の細分化(sub-sectoring)は 93SNA や 08SNA でもマニュアルで記述されている

重要な課題の一つ 1であったが、基礎統計上の制約から、日本では 93SNA への移行に際し

て作成されなかった 2。それを本稿においてとりあげようという問題意識は以下のとおりで

ある。家計部門は様々な世帯があり、いわゆる標準世帯というものでは家計の多様な動き

を捉えられなくなっており、こうした状況に対応し「全国消費実態調査」(以下、「全消」

と呼ぶ。)や、「家計調査」、「国民生活基礎調査」など様々な調査によって、とりわけ個表

を活用した分析が行われている。

しかしながら、種々の調査における概念の違いに加え、対象を特定すること自体がマク

ロ経済への含意が見にくくなるというコストがある。したがって、SNA の概念を用いて諸

概念を統一的に扱いつつ、マクロ経済への見通しがよくなるようなセミ・マクロの統計を

作成することに一定の意義があると考えられる。

なお、別の方面からもこうしたデータについての関心が高まっている。サルコジ仏大統

領(当時)により設置された委員会(いわゆるスティグリッツ委員会)がまとめた『経済

業績と社会進歩の計測に関する委員会の報告書』(Stiglitz, Sen and Fitoussi, 2010a)において

は、その勧告で家計の視点や分配の視点を重視すべきとしている(図表1、勧告2及び4)。

特に、「平均所得が上がってもその分配が各グループごとに不平等に行われ、他の家計に比

べ相対的に貧しくなる家計が出現しうる。したがって、所得、消費および資産の平均値に

は、その分配状況を示す指標をつけておくべきである。」(邦訳、p.62)と指摘している。こ

うした指摘も踏まえ、OECD では家計の細分化に関するプロジェクトを幸福研究の一環と

して取り組んでいる。

(図表1 スティグリッツ委員会の勧告)

そこで本稿では、SNA 統計の描くマクロ経済の全体像を視野に入れつつ、家計類型毎の

異質性や格差を分析するには、どうしたらよいかという観点から、浜田が取り組んできた

本稿の作成にあたっては、日本財政学会第 69 回大会(平成 24 年 10 月)及び事前の所内セミナー等

の場において、出席者より有益なアドバイスやコメントをいただいた。特に畑農鋭矢・明治大学商

学部教授、前川聡子・関西大学経済学部教授、浜田浩児・内閣府経済社会総合研究所総括政策研究

官に感謝申し上げる。残された誤りはすべて筆者らの責任である。また、分析に用いた『全国消費

実態調査』の個票は統計法第 33 条第 1 号に基づき総務省より提供を受けている。 1マニュアルの中では、1993SNA の場合は 4.151~4.160 及び 19.9~19.13 において、2008SNA の場

合は 4.158~4.165 及び 24.27~24.24 において、それぞれ記述がある。また、1993SNA 以前の動き

やそれへの対応などは、浜田(2003)の「はじめに」を参照せよ。 2経済企画庁経済研究所(2000)の「参考資料3 国連 93SNA勧告項目に対する我が国の対応」

を参照。

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一連の研究成果及び我々が協力して拡充した成果を踏まえて、SNA ベースのセミ・マクロ

のデータを用いた分析例を示すこととしたい。具体的には、高齢化等の構造変化の変化が

最終消費支出、貯蓄率等の SNA 上のマクロ変数にどのような影響があったかを定量的に明

らかにする。

本稿の構成は以下の通りである。まず、次節で分布統計の推計の概要を述べる。その上

で、第3~5節において分布統計を用いた分析例を紹介する。第6節は結びである。

2 分布統計

分布統計とは、付図表1及び2で示すように、SNA の家計の所得支出勘定を属性別に分

割したものである。本節では分布統計の推計手法について、その詳細は浜田 (2012)等を参

考に付録に記したが、ここでも概要を紹介したい。

推計に当たっては、各種の帰属計算 3を行うなど概念をなるべく SNA と整合的にした上

で、「全消」の個票をベースに積み上げでマクロの数値を求めることを原則としている。も

ちろん、基礎統計が不足していることもあって、概念調整が不十分な部分が残ることは避

けがたいが、こうしたボトム・アップのアプローチを基本としている。

つまり、マクロの値をコントロール・トータルとして使って世帯に比例按分を行うとい

う、言わばトップ・ダウンのアプローチは基本的にとっていない。ただし、金融資産・負

債 4については、「全消」の金融資産・負債合計がマクロの数値と大きく異なることから、

やむなく例外的にトップ・ダウン式に金融資産・負債を計算し、そこから財産所得の受払

いを計算した。

(図表2 分布統計の推計結果概要)

ボトム・アップによる結果、図表2に示すように、「分布統計」のマクロの値は、SNA

の公式な推計とは多少の乖離が見られる。2009 年の家計可処分所得は SNA 統計で 306 兆

円、推計値は 280 兆円で 26 兆円小さい。そのうち、概念調整が不十分であることによるも

のが▲28 兆円、その他の推計誤差が 1 兆円である。概念の差で大きな原因となっているの

は、金融仲介サービス(FISM)の調整(▲9.8 兆円)5、雇主の自発的現実社会負担(▲9.5

兆円)、年金基金による社会給付(▲6.9 兆円)、雇主の帰属社会負担(▲3.9 兆円)などが

主なものである。

同様に家計最終消費支出についても、SNA 上の消費に該当する品目をボトム・アップで

個別に積み上げるとともに、「全消」が特定月における調査であることに伴う所要の調整を

3持家の帰属家賃、雇主の強制的現実社会負担、現物社会移転などが主なものである。 4ただし、住宅借入を除く。 5FISM を入れて計算することも可能であるが、FISM の対象が預金に限定されていることから、預

金以外の金融資産を多く持つ世帯の所得が過小に推計されるバイアスが懸念され、そのため浜田

(2012)では参考扱いとなっている。また、FISM を入れると可処分所得が増加する一方、消費支

出も同額増加することになるため、バランス項目である貯蓄は FISM の導入の有無に影響されない

(内閣府経済社会総合研究所国民計算部分配所得課 , 2011)。結果として、貯蓄率は FISM を入れな

いと高めに推計されることになる。

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行った(付録 A.4.1 及び 4.2)。こうした計算の結果、SNA 公表値 277 兆円に対して 256 兆

円と推計され、開差▲20 兆円のうち概念調整によるものが▲19 兆円と太宗を占める。概念

調整で大きいものは、FISM の調整、現物給与、給与住宅差額家賃、金融機関の帰属サー

ビス、不動産あっせん料などである。

家計最終消費支出の内訳(目的別支出)については、坂井(2010)及び前田・梅田(2013)

に従い、家計における個人的な支出(いわゆる「こづかい」で「使途不明」とされる 6)を、

「全消」の個人収支表を用いて、こづかいの支出先を推計した(付録 A.4.3)

以上の可処分所得と消費支出から貯蓄(率)が得られるが、これは固定資産減耗を差し

引く前のグロス概念である 7。前田・梅田(2013)では 2004 年と 2009 年の2か年の「全消」

の個票を用いて固定資産減耗を推計し、分布統計におけるネットの貯蓄率を求めた。ただ

し、ここでは住宅についてのみの計算であるので、農家を始めとする個人企業が保有する

(住宅以外の)機械等の固定資本については計算が行われていない点で、このネットの貯

蓄率は高めとなっている。2009 年の固定資産減耗は 17 兆円弱推計され、SNA の家計部門

の 21 兆円弱よりは小さいものの、民間部門住宅 17 兆円とほぼ見合う数値となっている。・

この結果、貯蓄率はグロスで 8.6%と SNA 公表値と比べて 0.3%ポイント低いものの、ネッ

トでは 2.7%と 0.3%ポイント高くなっている。

3消費・貯蓄の動向:分析例1

3.1 所得階級別

分布統計を用いた最初の分析例として、SNA ベースでの家計の消費・貯蓄の動向を取り

上げよう。図表3は、第一次所得で所得階層を 10 分割した上で、雇用者報酬、可処分所得、

消費の動向をみたものである。

これは、浜田(2003, 2005, 2010, 2012)の結果から 1989~2009 年の 20 年間の動き 8を示

しているが、先に引用した Stiglitz, Sen and Fitoussi(2010a)の「所得、消費・・・の平均値

には、その分配状況を示す指標をつけておくべき」の言に従って、全世帯平均の動きに加

え、第 II、V、IX の各分位の動きも掲げている。

雇用者報酬は、全世帯平均が 2009 年は 1989 年対比微減となる中で(▲3.3%)、第Ⅸ分

位では同期間において増加している一方、第 II 分位や第 V 分位では大きく減少しており(そ

れぞれ▲74.0%,▲27.0%)、第 II 分位と第 IX 分位の格差が拡大している 9。

一方、可処分所得は、全世帯平均が 2009 年は 1989 年対比▲3.6%となる中で、格差は縮

小している。特に第 II 分位と第 V 分位が 2009 年に大きく接近している。

6こづかいは一世帯当たり 16 万円、マクロでは 8 兆円程度となる。 7年金基金年金準備金の変動(受取)を考慮して貯蓄率を計算する必要があるが、その点は推計で

は無視されている。 8これらの推計はすべて 93SNA に基づくものであるが、2004 年と 2009 年は現行の 2005 年基準で推

計されているが、それ以前は 2000 年基準で推計されているため、厳密には連続しない点に注意が

必要である。 9本稿では、分析対象の期間に大きな物価変動が生じていないので、全て名目額で議論を行う。な

お、2010 年基準の消費者物価指数(総合)は、1989 年 92.5、1994 年 101.2、1999 年 103.2、2004年 100.6、2009 年 100.4 であり、1989 年と 2009 年の物価水準の差は 8.5%である。

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最終消費支出は、全世帯平均は 2009 年に 1989 年対比 7.9%の増加となる中で、格差は

大きく縮小した。とりわけ、2009 年に第 II 分位は第 V 分位を上回る支出をしていること

が特徴的である。

以上のような第 II 分位の動きは高齢化の進展を映じたものと考えられ 10、後で詳しく検

討する。

(図表3 所得階級別の所得・消費の動向)

3.2 世帯主年齢別

第 3.1 節で見られた高齢化の影響をより直接観察するために、世帯主年齢階級別の内訳

を見たのが図表4である。消費支出は、図表4(1)が示すように、各年齢階級で 1989

年から 1994 年にかけて増加した後に減少に転じたが、世帯主が 65 歳以上の高齢者世帯で

は動きが異なり、1994 年後も緩やかながら増加を続けている。

世帯主年齢 65 歳以上の高齢者世帯の動き(一世帯当たり)は、さらに世帯数が 2009 年

に 1989 年対比約 2.5 倍に増加することで、マクロ経済への効果が増幅される。つまり、家

計消費支出は SNA 統計によれば、1989 年から 2009 年の 20 年間で 214 兆円から 277 兆円

に 63 兆円増加したが、この間の変化を年齢階級別にみると(図表4(2))、50 代前半が

横ばいで、それより高齢の世帯が増加、それより若い世帯が減少とはっきり分かれる。と

りわけ 60 代後半と 70 歳以上の世帯で消費支出全体の増加分を説明することができる。こ

の結果、世帯主年齢が 65 歳以上の世帯が消費支出に占めるシェアは 1989 年では1割であ

ったものが 2009 年では3割超になった(図表4(3))。

(図表4 世帯主年齢階級別の消費支出)

この結果、貯蓄率(総)の動きは、図表5(1)が示すように、世帯主が 60 歳以上の年

齢階級とそれより若い年齢階級で対照的な動きとなっている。60 歳以上の年齢階級では、

1989 年には現役世帯よりも高かったが、その後大きく低下し、2004 年以降マイナスとなっ

ている。特に高齢無職世帯では、1994 年以降貯蓄率(総)がマイナスとなるなど水準が低

く、かつ、低下のテンポが速い。ただし、高齢世帯における低下も、2009 年に少し下げ止

まり傾向が出てきたように見える。他方、60 歳より若い年齢階級の世帯では、貯蓄率(総)

は大きくみれば横ばいであり、40 代や 50 代前半では緩やかに上昇している。

(図表5 属性別の貯蓄率の動き)

こうした貯蓄率の変化を年齢階級別の構成比の変化と、各年齢階級内の貯蓄率の変化に

分解したのが図表5(2)である。1989~2009 年における変化は、高齢世帯における貯蓄

率の低下によって全て説明できる。世帯構成比の変化の寄与度は、後半 10 年にしか作用せ

10第 II 分位の世帯主の平均年齢は 2004 年 65.6 歳、2009 年 67.2 歳と退職世帯であるけれども、第 V分位では 2004 年 46.8 歳、2009 年 50.3 歳とまだ現役世帯である。

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ず、しかもその後半の期間でも3割程度の寄与率でしかない。

家計調査の貯蓄率が横ばい傾向である一方、SNA の貯蓄率が低下傾向を示すことについ

ては、様々な研究が行われてきた。その結果、概念の違い(帰属家賃など)や調査対象の

違い(家計調査が二人以上の勤労世帯)などを調整すると、乖離がかなり縮小することが

知られている 11。本稿の計算でも、図表5(2)が示すように、高齢無職世帯 12における貯

蓄率の低下は、マクロの貯蓄率低下を6割程度説明する要因となっており、無職世帯を含

むことが SNA 貯蓄率の家計貯蓄率からの乖離の一因であることが確かめられる 13。

ただし、高齢無職世帯の貯蓄率の低下自体が大きな要因となっていて、高齢無職世帯の

世帯数のシェアが増加するという世帯構成の変化はそれほど大きな要因ではない点には注

意が必要である。これはライフサイクル仮説の適用に当たっての留意点である。すなわち、

現役世帯及び退職世帯の貯蓄率の動き自体が重要なのであり、高齢化が進んで退職世帯が

増える(そのシェアが増えること)自体はどちらかといえばマイナーな影響である 14。

また、前田・梅田 (2013)で算出した固定資産減耗を用いてネットの貯蓄率を世帯主年齢

階級別に求めたが、データの制約から現時点では 2004 年及び 2009 年の2時点しか推計で

きない。2009 年の推計結果をみると、マクロで見た場合と同様、グロスに比して概ね6%

ポイント程度低く、この乖離幅は年齢階級別に大差ない結果となった。持ち家比率の高低、

住宅の新旧による減耗の多少、可処分所得の大小などが相互に相殺し、ほぼ一定の比率と

なったものと推測される 15。

4 所得再分配:分析例2

SNA に基づいたデータを用いることによって、経済全体との関連を見通しが利きやすく

なる例として、財政による所得再分配をとりあげよう。まず、家計の所得支出勘定の第2

次分配勘定及び現物所得の再配分勘定を用いた分析を行う。ただし、この場合は直接税と

保険料・給付を通じたものに限定され、消費税など間接税の負担が出てこない。そこで、

消費税も考慮した分析も次に行うこととする。

4.1 直接税と保険料・給付の影響

まず、直接税と保険料・給付による再分配効果を検討する。図表6、7は第一次所得と

可処分所得を比較しており、現金による再配分効果があきらかとなる。さらに、第一次所

11宇南山(2010)などを参照。 12高齢無職世帯とは、世帯主が 60 歳以上、かつ、世帯員が全て無職である世帯のことであり、1989年には 330 万世帯(参考:全世帯数 4071 万世帯)から 2009 年には 1114 万世帯(同 5111 万世帯)

に増加した。 13「全消」を用いた分析としては前川(2010)がある。 14ライフサイクル仮説に基づく貯蓄率低下を主張する Horioka(1997)に対し、Yashiro(2003)は高齢者

の就業率が高まることによって貯蓄率の低下が緩やかになると指摘している。この Yashiro の議論

は、高齢無業世帯の世帯構成比の変化が及ぼす影響に着目しているので、本稿の結果からするとや

やマイナーな議論である。 15例えば、持ち家比率は 40 代前半 71%と低めであるが、比較的大きく新しい住宅であるために固

定資本減耗は 49 万円と高めに推計される。他方、70 歳以上の世帯では持ち家率は 86%と高いけれ

ども古くて狭いために固定資本減耗は 21 万円と低めに推計されている。

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得と調整可処分所得を比較することにより(いずれもグロス)、現金だけでなく現物まで含

めた再配分効果をみることが可能となる。

(所得分位別にみた再配分)

第一次所得の所得階級の間の再配分をみると、現金による再配分では、世帯平均で可処

分所得(2009 年 549 万円)は第1次所得バランス(585 万円)よりも小さく、直接税及び

保険料の支払いの方が現金給付の受取りよりも多い。ただし、調整可処分所得(625 万円)

は第1次所得バランスよりも大きくなり、再分配に現物給付まで入れて考えると平均的な

家計では 40 万円程度の受取り超過となる。つまり、政府からみると、直接税と保険料だけ

では現金・現物を併せた家計への移転支出を賄いきれずに支払い超過となっている。

(図表6 所得再配分の効果:所得分位別1)

各所得分位の状況をみると、第5分位で、第1次所得バランスと可処分所得がほぼ等し

く、これより高い分位から取って低い分位に給付するという構造であることが確認できる。

その結果、2004 年には可処分所得でも調整可処分所得でも第3分位の方が第4分位よりも

高くなるということもみられたが、2009 年にはこの逆転現象はほぼなくなり、より穏やか

な効果の出方となっている。2004 年と 2009 年の再分配効果の差を求めると、第3~6分

位で給付が増え、その他の分位で負担が増えている。一番大きな変化は第 10 分位で 50 万

円程度負担が増加し、第4分位で同程度給付が増加したことである。なお、特に第1、2

分位では現物給付がマイナスの方向に働いている 16。

(年齢階級別にみた再配分)

世帯主年齢別に再配分をみると、60~64 歳の世帯で第1次所得バランスと可処分所得が

ほぼ等しく、これより高齢の世帯をこれより若い世帯で支える姿となっている(図表7)。

ただし、現物給付まで考慮すると、40 代の世帯では負担と給付がほぼバランスしており、

それ以外の世帯が支えている。2004 年と 2009 年とを比べると、60 代後半以降の高齢世帯

の受取超過幅は現金・現物ともに縮小しているが、高齢化の進展による世帯数の増加から、

負担が 40 代から 50 代前半を中心に大きくなっている 17。

(図表7 所得再配分の効果:世帯主年齢別)

4.2 税の負担の状況

まず、税収や所得の所得階級別のシェアを示した図表8(1)で概況をみると、一次所

16 背景となるこの間の制度的な変化としては、定率減税の廃止や社会保険料の変化があげられる。

1999 年から続いていた定率減税が 2007 年に廃止されたため、2004 年に比べて 2009 年の所得税負

担は増加し、この 5 年間を通じて社会保険料率は上昇していることから社会保険料負担も増加して

いる。 17 50 代後半については、同居高齢者の増加から受取が増加している。また、子ども手当の創設に

より 30-40 代の受取が増加している。

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得のシェアと比べ、所得税及び保険料を示す「所得税等」では第 10 分位のシェアが大きい

一方、第8分位以下ではシェアが小さいなど累進性がみられる 18。また、以上の分析は、

間接税を含んでいないことから、それを考慮する必要がある。消費税負担額を非課税品目

を考慮した上で推計すると(付録 A.4.4 を参照)、各所得分位間であまり大きな違いが見ら

れず、いわゆる逆進性がうかがわれる。この消費税負担額の推計結果を、第 4.1 節の分析

に加えてみたのが、図表8(2)である。平均で 16 万円程度負担を増やすことになり、再

分配の効果を示す折れ線をその分だけ下方にシフトさせるが、全体として大きな変化はな

い。

(図表8 所得再分配の効果:所得分位別2)

家計の所得再分配を政府との関係で整理したのが図表9である。一般政府から家

計への社会給付は 110 兆円であり、家計から政府への税・保険料の支払いは 88 兆

円であり、集合消費及び純固定資本形成を全く考慮しないでも約 22 兆円の赤字と

なる。仮に(やや極端だが)これらが家計に全て帰着すると考えると、約 66 兆円

程度の赤字となる。このように、再分配政策を家計と政府とを一体的に捉えながら

分析できるのが、SNA 分布統計を用いて行うことのメリットの一つである。

(図表9 一般政府収支と対家計収支(2009 年))

5 国際比較:分析例3

OECD では家計勘定の細分化(sub-sectoring)のプロジェクトでは、日本とフランスがパ

イロットケースとして進められてきたが、フランスの推計としては、現時点で Accardo,

Bellamy, Consalés, Fesseau, Le Laidier and Raynaud (2008)及び Fesseau and Le Laidier (2009)

が公表されている。これらによれば、フランスの推計は 2003 年の SNA データに基づき、

5つのサーベイ調査を用いて作成されており 19、多面的なアプローチとなっている。

ここで、フランス(2003 年)と日本(2004 年)について所得分位による細分化の結果を

比較する 20(図表 10、付図表3)。ただし、等価可処分所得 21に基づく所得分位であるので、

18ただし、第1分位はこの例外である。ここには個人企業が多く含まれ、財産所得の「その他」の

支払いが 66 万円と所得分位の中で一番多くなっている結果(平均 19 万円)、第一次所得バランス

が 10 万円と極めて小さい(第2分位 155 万円、平均 607 万円)。こうしたことから、第1分位は特

殊であるので、除外して考えるべきである。 19Statistics on Income and Living Survey 2004(サンプル数約 1 万)、(Labour Force Survey に基づく )Tax Income Survey 2003(同約 3.5 万)、Survey on Household Budget 2006(同約 1 万)、Housing Survey(同約 3.2 万)及び Health Survey(同約 0.7 万)の5つに基づくとされている。 20世帯主年齢別の細分化もフランスで行われているが、そこには現物給付が含まれていないため、

ここでは取り上げない。フランスでは高等教育がほぼ無料となっているため、これが世帯主年齢別

の内訳にどのように影響するかは興味あるところであるが、こうした課題は現在のデータでは取り

扱えない。 21等価可処分所得は可処分所得を消費単位で除したもの。この消費単位は、世帯員にウェイトを与

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10

前節までの分析とは違う点に注意が必要であり、この等価可処分所得の平均を 100 として、

両国のデータを示している。

(図表 10 等価可処分所得による日本とフランスの比較)

両国の大きな違いは、再分配の規模がフランスの方が日本に比べてかなり大きいことで

ある。平均では、所得税等と保険料を合わせるとフランスは日本の2倍(46 と 23)、現金

給付は 1.5 倍(30 と 20)、現物給付は 1.8 倍(23 と 13)である。間接税を含めないと、ど

ちらも給付超過である。現金による再分配により、第一次所得でみた所得格差はフランス

の方が大きいが、可処分所得でみるとフランスの方がむしろ小さくなっている。しかし、

現物給付は日本が所得分位にあまり関係なく一定であるのに対し、フランスは所得の多い

方に多く給付するために、調整可処分所得では日本の方が格差は小さい。

ここで注目すべきは、(等価)可処分所得によって所得分位を分けると、日本では5つの

分位のいずれでも可処分所得が第一次所得を下回り、所得再分配が行われている様子がわ

からない。フランスでは第1分位では可処分所得が第一次所得を上回り、所得分配が行わ

れていることがわかる。どうしてこのような差が生まれるのか。次節で検討するように、

これには再分配の政策の違いだけではなく、経済実態の違いも大きく影響している可能性

がある。

6 議論

6.1 同時分布

前節で行った日本とフランスの比較は、可処分所得を用いて所得階級を分けたデータに

基づくものであった。フランスの推計でどうして所得階級を分ける際に可処分所得を用い

るのかといえば、経済厚生を測る観点からは消費を用いることが適当と考えられ、そのた

めには第一次所得よりも可処分所得が用いることが適当と考えられたためであった。

結局、上の議論は、消費水準という所得の「使用」という観点からみる経済実態と、第

一次所得という所得の「発生・配分」の観点からみる経済実態の間は同じなのか、それと

も違うのかという問題に帰着する。高齢化の進展により、生産活動に参加する者と消費活

動に参加する者とは必ずしも同じではなく、年金・医療・介護といった政府による再分配

が大規模に行われている。こうした状況を整理するには、93SNA において所得支出勘定に

導入された所得の発生・配分、分配・再分配、使用への分割が有用である。

日本の 2004 年及び 2009 年のデータを用いて、第一次所得の 10 分位と消費の 10 分位で

マトリックスにして世帯の分布をみたものが図表 11 であり、1%超の比較的多数の世帯を

含むセルには色を付けている。この色付けから、ここには2つのグループが存在すること

が明らかである。マトリックスの左上から右下に斜めの帯状に位置する現役世帯と、消費

水準にはあまり関係なく第一次所得第 I~III 分位で横に帯状に位置する退職世帯である。

え(世帯主は1、世帯主以外の 14 歳以上の世帯員は 0.5、14 歳未満の世帯員は 0.3)、このウェイ

トを世帯毎に合計したものである。

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11

(図表11 マトリックスによる分割)

このような世帯分布は、前に紹介した2つのデータの動きを説明できる。一つ目は図表

3の第一次所得で分けた第 II 分位の消費が、2009 年には第 V 分位の消費を上回るくらい

増加していることである。この増加は、上に述べた横に帯状に存在する退職世帯が昔は存

在しなかったものが、高齢化の進展とともに現れて、第一次所得が低いにもかかわらず、

消費を押し上げることになったと考えられる。

二つ目は、図要10(3)の日本の動きである。図表 11 を最終消費支出の側から縦方

向に沿ってみると、どの分位でも高齢世帯が含まれる。実際、図要10(3)の5つの各

分位は、可処分所得が第一次所得を下回る世帯が3分の2、上回る世帯が同3分の1の割

合で含まれている。その結果、どの分位でも可処分所得が第1次所得を下回り、支払い超

過となる。個々の世帯でみれば現役世帯から退職世帯へと再分配が行われていても、どの

分位でも同じようなマイナスなので再分配をしている姿が見えない。

ここから分かるのは、家計が多様化する中で、一つの側面から見るだけでは必ずしも実

態を十分捉えることができないということである。したがって、93SNA の仕組みに従って、

発生・配分、再分配、使用と多段階でアプローチするとともに、それらの側面の同時分布

も考慮する必要があるということである。

6.2 限界

本稿において取り上げた SNA 分布統計を使った分析の限界と将来の課題を検討しよう。

まず、分布統計自体が基礎統計の不足から公式統計として作成されていないように、基礎

統計の充実等による推計の改善が大きな課題である。とりわけ金融資産・負債については

コントロール・トータルをおいて推計するという粗い推計になっている点が問題であるが、

これについて、差し当たり解決策はない。また、5つの調査を活用しているフランスと比

べると、「全消」と他の調査との連携が弱く、この点は改善の余地があろう。

次に、家計の行動を把握するという観点や政府と家計との関係という観点からは、家計

の所得支出勘定をベースに経常取引に着目したものであるので、資本取引が視野に入って

いない。したがって、例えば住宅投資や、資本税(固定資産税、相続税)などが視野の外

である。また、さらには分割された家計の相互の間の移転(仕送りなど経常移転、相続な

ど資本移転)なども興味ある課題であるが、まだ十分な分析を行うことはできない。

SNA という二次統計の整備を基にして基礎統計の充実を図ることが公的統計の充実策

とされているが、分布統計という新たな SNA と整合的な統計を整備することもその一環と

して取り組んでいくことが期待される。

7 結び

本稿では SNA の分布統計を活用して、属性別に家計の行動を分析した。また、家計の勘

定で示された所得再分配の姿を、一般政府への影響を視野に入れて分析した。

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12

まず、所得支出勘定を分割に世帯主年齢階級を用いた場合には、1990 年代後半以降は若

年・中年世帯の消費支出が減少する一方、高齢者世帯のみが増加しており、マクロの消費

支出を押し上げる要因となっていることを示した。この結果、高齢者世帯の貯蓄率が、特

に高齢無職世帯で大きく低下し、SNA でみた貯蓄率の低下幅の6割を説明する要因となっ

ている。

次に所得支出勘定の分割に第一次所得の所得階級(10 分位)を用いた場合には、第 II

分位の消費が第 V 分位の消費を上回っていた。また、可処分所得を用いて勘定を分割した

場合に、所得分位間での所得再配分が見られなくなることが観察された。これは各分位の

中に現役世帯と退職世帯が混在することによる。これら2つの観察事実は、第一次所得と

最終消費支出の 10 分位のマトリックスが明らかにするように、現役世帯と退職世帯という

2グループが存在することで説明できる。

高齢化の進展により、所得の「発生・配分」から見た場合の姿と、所得の「使用」から

みた場合の姿が乖離しており、また年金・医療・介護といった政府による再分配も大規模

に行われている。こうした状況を的確に分析するためには、93SNA で導入された所得の発

生・配分、分配、使用という勘定の各段階について属性別に分割し、その相互の関係を示す

ことが分布統計を利用する上で有用であることがわかった。さらに、2004 年から 2009 年の間

に行われた政策がどのように再分配の姿に影響を与えたかは今後の課題である。

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13

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付録 分布統計の推計について

詳細は浜田(2012)、坂井 (2010)及び前田・梅田 (2013)に譲り、ここではポイントのみ

を述べる。

A.1 第 1 次所得勘定

A.1.1 財産所得(純)

・ 利子及び配当(受取)、賃貸料(地代(支払))のみを推計。

・ 利子(支払・受取):負債(住宅借入及び住宅借入以外の借入)や貯蓄(通貨性預貯金、

定期性預貯金、債券・公社債投資信託・貸付信託・金銭信託・株式投資信託)の残高に

対して、それぞれ対応する利率を乗じて推計。なお、負債と金融資産残高は「全消」の

合計値を拡大して SNA 年報の残高に拡大してあわせた上で、内訳は比例按分している。

・配当(受取):株式・株式投資信託から配当と株式出資金の比率を乗じて推計。

A.1.2 営業所得・混合所得

・ 営業余剰:「全消」の「持ち家の帰属家賃」をそのまま使用。

・ 混合所得:「全消」の年間収入のうち、農林漁業収入、農林漁業以外の事業収入、内職

などの収入、家賃・地代収入、現物消費の合計額で推計。(家賃・地代収入のうち、地

代分は賃貸料に該当するが、分割できないことから混合所得に含めている。)

A.1.3 雇用者報酬

・ 賃金・俸給:「全消」の勤め先年間収入を使用。

・ 社会保険料:「全消」から勤労者世帯の雇用者が負担する社会保険料をとり、雇主負担

に別途推計。

・ 勤労者世帯の雇主負担:「全消」の社会保険料に雇用者負担比率に対する雇主負担比率

を乗じて求める。また、雇主の強制社会負担については社会保険料の負担に加えて児童

手当も加算されている。

・ 自営業者世帯の雇主負担:混合所得、賃金・俸給から給与所得控除を差し引いた額、配

当および現金による社会保障給付から公的年金等控除を差し引いたものの合計に「申告

所得税の実態」による営業所得者の所得階級別の社会保険料負担率を乗じて推計。

A.2 第 2 次所得(再分配)勘定

・ 所得に課される税:1 次所得の各項目及び年金収入から公的年金等控除を差し引いたも

のに、所得税率等の税率を乗じて推計。世帯主だけではなく配偶者及びその他の世帯員

に対してもそれぞれ計算し合算。

・ 現金による社会保障給付:「全消」の公的年金・恩給を使用。

A.3 現物所得の再分配

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・ 現物社会移転:公的医療保険給付、政府の教育支出分を対象に推計。前者については、

調査データの医療費支出(自己負担分に相当)が得られるため、これに世帯主の年齢か

ら自己負担率分で割り戻して推計。後者については、世帯員(主に子供)の属性から学

校種別ごとに生徒 1 人当たりに対する公的支出の額(学校基本調査等より計算。公立学

校の経費及び私立学校の補助金相当額より計算)を当てはめる。

A.4 最終消費支出

A.4.1 SNA に整合的な目的別最終消費支出分類

・ 付図表4のように、「全消」データを SNA の目的別分類に区分けて集計を行う。SNA

の最終消費支出とならないものは、仕送り金、信仰・祭祀費、寄付金、他の負担、贈与

金という経常移転として考えられる支出である。

(付図表4 消費支出の分類上の違いについて)

A.4.2 年額補正・経常補正

・ 「全消」で得られる支出額は 9~11 月(単身世帯は 10~11 月)の平均値であることか

ら、年間で調査が行われている家計調査の 9~11 月の平均消費額(①と同様に SNA の

目的別支出ごとに計算)に対する年額の比率を掛け合わせて、1 年間の支出額に合せる。

・ 「全消」の消費は、経常的な支出を集計したものとなっていることから、年間収入の経

常収入に対する比率も加味している。

A.4.3 こづかい補正

・ 家計における個人的な支出、いわゆる「こづかい」は、「全消」では「その他の消費支

出」のうちの「こづかい(使途不明)」とされている。そこで、「全消」の個人収支表を

用い、世帯主年齢別に算出した目的別最終消費支出の割合に従って「こづかい」を目的

別項目に配分した。

・ 求められた結果は付図表5に示す通りであり、SNA の最終消費支出の約9割程度とや

や過少推計となっており、その内訳では食料・非アルコール飲料、住居・電気・ガス・

水道といった経常的な支出項目で1割以上の過大推計となっている一方、家具・家庭用

機器・家事サービス、外食・宿泊、交通、アルコール飲料・タバコなどの非経常的な支

出項目で2割以上の過少推計 22となっている。

(付図表5 家計の目的別最終消費支出の推計精度)

A.4.4 消費税の計算

・ 前田・梅田(2013)に従い、付図表4において下線を付してある非課税品目を最終消費

22その他が公表値の 44%というかなりの下振れとなっているが、これには FISM を導入していない

推計であることが影響している。この FISM を導入すれば、その他が約 10 兆円増加するため、推

計制度は 59.7%となる。

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支出額から除いた上で、5%の税率を乗じて求めた。

A.5 固定資本減耗

・ 「全消」から求められる貯蓄率は、固定資産減耗を差し引かないグロスの概念であるが、

SNA においてはネットの概念による貯蓄率が主として用いられる。

・ 前田・梅田(2013)では 2004 年と 2009 年の2年分の「全消」の個票について固定資産

減耗を推計し、分布統計においてネットの貯蓄率を求めた。ただし、ここでは住宅につ

いてだけ計算を行っているので、持ち家以外に貸家についても対象となるが、農家など

が保有する機械などは対象としていない。

・ 「全消」の純資産額の評価方法を踏まえ、保有する全ての住居それぞれについて、「住

居及び耐久消費財の単価、耐用年数及び単価率」(全消)により坪単価(都道府県別、

構造別)を求め、さらに経過年数と着工建築物別償却率 23を用いて、減価償却費用を計

算した。それを世帯毎に合計したものを各世帯の固定資本減耗とした。

・ なお、坪単価は、工事費予定額等から算出されているので、結果的に 2005 年基準への

基準改定(2011 年 12 月)に際して導入された固定資本減耗の時価評価 24と近いものと

考えられる。

23「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」(昭和 40 年大蔵省令第 15 号)に定められた定率法

による償却率 24固定資本減耗については、基準改定前はストックについては時価評価であったが、フローについ

ては簿価評価であった。

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図表1 スティグリッツ委員会の勧告

【勧告1】物質的な幸福度を評価する際、生産よりも消費と所得をみていくべきである。

【勧告2】家計の視点を重視せよ。

【勧告3】富(wealth)とともに所得、消費を検討せよ。

【勧告4】所得、消費および富の分配をもっと重視せよ。

【勧告5】市場外活動まで、所得の計測範囲を広げよ。

(出所)Stiglitz, Sen and Fitoussi. (2010b) (邦訳)に基づき作成。

図表2 分布統計の推計結果概要

(注)公表値の貯蓄率(純)及び調整貯蓄率(純)に計算に際しては、年金基金年金準備金の変動

(受取)▲2.03 兆円も考慮して計算が行われている。

(出所)浜田(2012)表 2-1 及び前田・梅田(2013)により作成。

(兆円、%、%ポイント)分布統計 開差1 開差2 開差3

公表値(1) 概念調整後(2) (3) (4) = (3) - (2) (5) = (2) - (1) (6) = (3) - (1)

営業余剰・混合所得(総) 57.93 65.38 69.42 4.04 7.45 11.49雇用者報酬 243.31 226.96 225.94 -1.02 -16.35 -17.37財産所得(受取) 24.08 14.90 14.99 0.09 -9.18 -9.09

第一次所得受取 325.31 307.24 310.35 3.11 -18.07 -14.96財産所得(支払) 3.68 11.72 11.54 -0.18 8.04 7.86

第1次所得バランス(総) 321.64 295.52 298.81 3.29 -26.12 -22.83現金による社会保障・社会扶助 61.83 58.85 56.93 -1.92 -2.98 -4.90他に分類されない経常移転(受取) 15.19 15.19 15.38 0.19 0.00 0.19

第二次所得受取 418.10 369.56 371.12 1.56 -48.54 -46.98所得に課される税 24.56 24.56 26.99 2.43 0.00 2.43強制的現実社会負担 52.29 50.84 48.28 -2.56 -1.45 -4.01他に分類されない経常移転(支払) 15.48 15.31 15.52 0.21 -0.17 0.04

可処分所得(総) 306.64 278.85 280.32 1.47 -27.79 -26.32現物社会移転 59.22 48.29 39.27 -9.02 -10.93 -19.95

調整可処分所得(総) 365.86 327.14 319.60 -7.54 -38.72 -46.26最終消費支出(個別消費支出) 277.22 257.93 256.28 -1.65 -19.29 -20.94

貯蓄(総) 27.39 20.92 24.04 3.12 -6.47 -3.35(参考)貯蓄率(%) 8.93 7.50 8.60 1.10 -1.43 -0.33

現実最終消費(現実個別消費) 336.44 306.22 295.55 -10.67 -30.22 -40.89(参考)調整貯蓄率(%) 7.49 6.39 7.50 1.11 -1.10 0.01

固定資産減耗 20.68 17.04 16.82 -0.22 -3.64 -3.87可処分所得(純) 285.96 261.81 263.50 1.69 -24.15 -22.45

調整可処分所得(純) 345.18 310.10 302.78 -7.32 -35.08 -42.39貯蓄(純) 6.71 3.88 7.22 3.34 -2.83 0.52

(参考)貯蓄率(純) 2.36 1.49 2.74 1.25 -0.87 0.38(参考)調整貯蓄(純) 1.95 1.26 2.39 1.13 -0.69 0.43

SNA

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19

図表3 所得階級別の所得・消費の動向

雇用者報酬 可処分所得 最終消費支出

(万円)

(年)

(注)1989, 94, 99 年は 2000 年基準であり、2004、09 年は 2005 年基準。

(出所)浜田 (2003),(2005),(2010),(2012)より作成。

第 IX 分位

全世帯平均

第Ⅴ分位

第 II 分位

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20

図表4 世帯主年齢階級別の消費支出

(1)世帯の消費支出額の推移

(百万円)

(2)マクロの消費支出の分解

(兆円 )

(3)マクロの消費支出におけるシェア

(%)

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

7.0

8.0

19891994199920042009

0.0

50.0

100.0

150.0

200.0

250.0

300.0

1989 1994 1999 2004 2009

70‐

65‐69

60‐64

55‐59

50‐54

45‐49

40‐44

35‐39

30‐34

30未満

合計

0.0

10.0

20.0

30.0

40.0

50.0

60.0

70.0

80.0

90.0

100.0

1989 1994 1999 2004 2009

70‐

65‐69

60‐64

55‐59

50‐54

45‐49

40‐44

35‐39

30‐34

30未満

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21

図表5 属性別の貯蓄率の動き

(1)年齢階級別:グロスの貯蓄率の動き

(出所)浜田《2003》、(2005)、(2012)より作成

(2)総貯蓄率の動きの要因分解

対象期間 1989~2009 年(1) 1989~1999 年(1) 1999~2009 年(1) 2004~2009 年(2)

SNA 統計の変化(3) -10.8 -3.4 -7.4 -0.1

分布統計による変化 -9.7 -3.9 -5.8 -0.6

うち世帯構成変化 -1.9 0.1 -1.8 -1.2

30 歳未満 -0.1 0.2 -0.2 -0.0

30 代前半 0.2 0.2 0.0 0.1

同後半 0.5 -0.0 0.4 0.2

40 代前半 1.0 0.3 0.5 0.2

同後半 1.0 0.2 0.7 0.2

50 代前半 0.6 0.2 0.5 0.3

同後半 0.3 0.1 0.2 0.0

60 代前半 -2.5 -1.9 -0.5 0.3

同後半 -3.3 -1.4 -2.1 0.1

70 歳以上 -5.4 -1.8 -3.6 -0.7

60 歳以上の寄与度 -11.2

うち世帯構成変化 -1.2

高齢無職 -5.9

高齢有業 -4.1

(注)1.浜田 (2003,2005, 2012)より作成。 2.浜田 (2012)より作成。 3.要因分解は以下の式による。

∆SY

SY

SY

∆S

Y∗12

YY

YY

∆YY∗12

S

Y

S

Y

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22

(3)グロスとネットの貯蓄率の動き

0.0

5.0

10.0

15.0

20.0

25.0

1989 1994 1999 2004 2009

総貯蓄率(分布統計)

純貯蓄率(分布統計)

総貯蓄(SNA統計)

純貯蓄率(SNA統計)

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23

図表6 所得再分配の効果:所得分位別1

(1)所得の状況(2009年)

0

2,000

4,000

6,000

8,000

10,000

12,000

14,000

16,000

18,000

平均 第1分位 第2分位 第3分位 第4分位 第5分位 第6分位 第7分位 第8分位 第9分位 第10分位

可処分所得(総)

第1次所得バランス(総)

調整可処分所得(総)

(単位:千円)

(2)再分配効果(2004年と2009年)

-6,000

-5,000

-4,000

-3,000

-2,000

-1,000

0

1,000

2,000

3,000

4,000

平均 第1分位 第2分位 第3分位 第4分位 第5分位 第6分位 第7分位 第8分位 第9分位 第10分位

2004年

2004年(含む現物)

2009年

2009年(含む現物)

(単位:千円)

(3)再配分効果の変化(2004~2009年)

-600

-500

-400

-300

-200

-100

0

100

200

300

400

500

600

平均 第1分位 第2分位 第3分位 第4分位 第5分位 第6分位 第7分位 第8分位 第9分位 第10分位

現金のみ

現金及び現物

(単位:千円)

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24

図表7 所得再分配の効果:世帯主年齢別

(1)所得の状況2009年

0

1,000

2,000

3,000

4,000

5,000

6,000

7,000

8,000

9,000

10,000

平均 30歳未満 30~34歳 35~39歳 40~44歳 45~49歳 50~54歳 55~59歳 60~64歳 65~69歳 70歳以上 高齢無職

可処分所得(総)

第1次所得バランス(総)

調整可処分所得(総)

(単位:千円)

(2)再分配効果(2004年と2009年)

-3,000

-2,000

-1,000

0

1,000

2,000

3,000

4,000

平均 30歳未満 30~34歳 35~39歳 40~44歳 45~49歳 50~54歳 55~59歳 60~64歳 65~69歳 70歳以上 高齢無職

2004年

2004年(含む現物)

2009年

2009年(含む現物)

(単位:千円)

(3)再配分効果の変化(2004~2009年)

-500

-400

-300

-200

-100

0

100

200

平均 30歳未満 30~34歳 35~39歳 40~44歳 45~49歳 50~54歳 55~59歳 60~64歳 65~69歳 70歳以上 高齢無職

現金のみ

現金及び現物

(単位:千円)

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25

図表8 所得再配分の効果:所得分位別2

(1)所得階級別の税の負担

(2)消費税負担を加えた再分配

-5000

-4000

-3000

-2000

-1000

0

1000

2000

3000

4000

平均 第1分位 第2分位 第3分位 第4分位 第5分位 第6分位 第7分位 第8分位 第9分位 第10分位

再配分(含む現物)+消費税

再配分(含む現物)

単位:千円

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26

図表9 一般政府収支と対家計収支(2009 年)

(注)消費税以外の間接税(酒・たばこ、揮発油税等)については、推計していないので、点線に

している。なお、2010 年度についての粗い試算では、消費税以外の間接税として家計は 4.7

兆円負担している。

(単位:兆円)

集合消費支出純固定資本形成

43.8

8.4 27.0 23.6 28.7

財政赤字

▲ 40.6

189.9社会給付

(現物社会移転、現物社会給付以外の社会給付)

110.1

153.9

149.3

雇用者負担

雇主負担

所得税

消費税

その

接税

収支(赤字)

22.4

61.6

87.7

法人税等の政府・法人が負担する税

対その他(企業等)

36.1

政府→家計 政府→その他政府支払

家計→政府 その他→政府政府受取

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27

図表10 等価可処分所得による日本とフランスの比較

(注)1.所得階級は等価可処分所得により分割。所得支出勘定に関する各項目も等価変換済みの

数値。 2.数値は日本・フランスそれぞれで、平均等価可処分所得=100 とした指数。

(出所)Fesseau, Le Laidier(2009),浜田 (2010)より作成。

(1)日本(2004年)

0

50

100

150

200

250

300

Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ 平均

可処分所得

一次所得

賃金・俸給

調整可処分所得

(2)フランス(2003年)

0

50

100

150

200

250

300

Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ 平均

可処分所得

一次所得

賃金・俸給

調整可処分所得

(3)再分配効果

-45

-30

-15

0

15

30

45

Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ 平均

現金(日本)

現金(フランス)

現物(日本)

現物(フランス)

合計(日本)

合計(フランス)

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28

図表11 マトリックスによる分割

第一次所得と最終消費支出

(1)世帯数の分布(%)

(2)現役世代と退職世代の分布(%)

現役世代

退職世代

(注)1.セル内の数値は、当該セルに属する世帯の比率を示す。10×10 のセルの数値を合計すると 100%となる。

2.セルの数値が1より大きい場合、そのセルを網掛けし、2より大きい場合に太枠で囲っている。

2004年 2009年

Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ Ⅶ Ⅷ Ⅸ Ⅹ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ Ⅶ Ⅷ Ⅸ ⅩⅠ 2.2 1.7 1.3 1.2 1.0 0.7 0.6 0.5 0.5 0.3 Ⅰ 2.4 1.7 1.3 1.0 0.9 0.7 0.7 0.5 0.5 0.3Ⅱ 1.5 1.0 1.1 1.0 1.1 1.1 1.0 1.1 0.7 0.5 Ⅱ 1.3 1.1 1.3 1.0 1.1 1.1 1.1 0.9 0.8 0.4

Ⅲ 2.1 1.2 0.9 0.7 0.6 0.7 1.0 1.1 1.1 0.7 Ⅲ 1.5 1.1 0.8 0.7 0.9 0.9 1.1 1.0 1.1 0.8

Ⅳ 2.0 1.9 1.4 0.9 0.7 0.5 0.6 0.7 0.7 0.7 Ⅳ 2.1 1.7 1.0 0.7 0.7 0.8 0.6 0.8 1.0 0.8Ⅴ 1.4 1.9 1.6 1.3 1.0 0.7 0.5 0.5 0.5 0.6 Ⅴ 1.6 1.8 1.7 1.2 0.9 0.7 0.6 0.6 0.4 0.7Ⅵ 0.4 1.2 1.6 1.8 1.4 1.2 0.8 0.5 0.5 0.5 Ⅵ 0.5 1.3 1.6 1.8 1.4 0.9 0.7 0.6 0.6 0.6Ⅶ 0.2 0.7 1.1 1.4 1.6 1.5 1.3 0.9 0.7 0.6 Ⅶ 0.3 0.5 1.1 1.5 1.5 1.5 1.2 0.9 0.7 0.7Ⅷ 0.1 0.4 0.7 0.9 1.3 1.7 1.6 1.5 1.0 0.8 Ⅷ 0.1 0.4 0.7 1.2 1.4 1.5 1.6 1.4 0.9 0.8Ⅸ 0.0 0.1 0.2 0.5 0.9 1.2 1.7 1.8 1.9 1.6 Ⅸ 0.1 0.3 0.3 0.6 0.9 1.1 1.5 1.8 1.9 1.4

Ⅹ 0.0 0.1 0.1 0.2 0.4 0.6 1.0 1.4 2.4 3.7 Ⅹ 0.1 0.1 0.3 0.3 0.4 0.8 0.9 1.5 2.2 3.5

最終消費支出 最終消費支出

一次所得

30~40代

Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ Ⅶ Ⅷ Ⅸ ⅩⅠ 0.8 0.5 0.3 0.1 0.2 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1Ⅱ 0.9 0.4 0.1 0.2 0.1 0.2 0.1 0.1 0.1 0.1Ⅲ 1.0 0.7 0.4 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1Ⅳ 2.4 1.9 0.9 0.6 0.2 0.1 0.2 0.1 0.1 0.1Ⅴ 1.8 2.5 2.2 1.8 0.9 0.4 0.2 0.1 0.1 0.1Ⅵ 0.8 2.5 3.2 3.0 2.4 1.4 1.2 0.6 0.5 0.2Ⅶ 0.6 0.9 2.0 2.9 3.0 3.1 2.2 1.4 0.7 0.4Ⅷ 0.1 0.4 1.3 2.0 2.9 2.8 2.8 2.5 1.3 1.0Ⅸ 0.2 0.4 0.3 0.8 1.4 1.7 2.1 2.9 3.1 1.5Ⅹ 0.1 0.1 0.3 0.2 0.4 0.8 0.9 1.6 2.5 3.8

最終消費支出

一次所得

50代~60代前半

Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ Ⅶ Ⅷ Ⅸ ⅩⅠ 1.9 0.7 0.7 0.4 0.4 0.4 0.3 0.2 0.2 0.2Ⅱ 1.1 0.7 0.7 0.3 0.5 0.4 0.5 0.4 0.4 0.2Ⅲ 1.5 1.3 0.7 0.7 0.7 0.5 0.6 0.5 0.5 0.5Ⅳ 1.4 1.3 1.0 0.7 0.7 0.8 0.3 0.7 0.8 0.5Ⅴ 1.1 1.4 1.7 1.0 1.0 1.1 0.7 0.7 0.4 0.6Ⅵ 0.4 1.1 1.4 1.2 1.2 0.8 0.7 0.7 0.6 0.5Ⅶ 0.3 0.6 1.2 1.4 1.4 1.4 1.2 1.1 0.8 0.8Ⅷ 0.2 0.8 0.8 1.6 1.3 1.5 1.8 1.3 1.2 1.1Ⅸ 0.2 0.4 0.8 0.9 1.2 1.6 2.1 2.6 2.7 2.4Ⅹ 0.1 0.2 0.3 0.5 0.8 1.5 1.7 2.7 4.1 6.5

最終消費支出

一次所得

65歳以上

Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅴ Ⅵ Ⅶ Ⅷ Ⅸ ⅩⅠ 4.5 3.9 3.0 2.6 2.2 1.7 1.8 1.3 1.1 0.6Ⅱ 1.3 2.2 2.7 2.6 2.9 2.8 2.9 2.5 1.8 0.9Ⅲ 0.7 0.9 1.2 1.5 2.1 2.1 2.6 2.5 2.8 1.9Ⅳ 0.4 0.8 0.8 0.8 1.1 1.6 1.4 1.7 2.0 1.8Ⅴ 0.2 0.5 0.5 0.7 0.7 0.7 1.0 0.9 0.8 1.2Ⅵ 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.4 0.6 0.7 1.3Ⅶ 0.1 0.1 0.2 0.3 0.2 0.3 0.4 0.5 0.8 1.0Ⅷ 0.0 0.1 0.2 0.2 0.2 0.5 0.4 0.4 0.3 0.5Ⅸ 0.0 0.0 0.0 0.2 0.2 0.2 0.5 0.2 0.4 0.6Ⅹ 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.9

最終消費支出

一次所得

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29

付図表

付図表1 分布統計:所得分位別(2009 年)

付図表2 分布統計:世帯主年齢別(2009 年)

(千円、%、%ポイント)平均 第1分位 第2分位 第3分位 第4分位 第5分位 第6分位 第7分位 第8分位 第9分位 第10分位

営業余剰・混合所得(総) 1358 277 1083 1300 1272 1149 1197 1306 1419 1659 2917雇用者報酬 4421 253 264 637 1559 2836 3988 5305 6798 8599 13967財産所得(受取) 293 114 151 271 318 277 270 263 256 339 673

第一次所得受取 6072 643 1498 2208 3150 4262 5455 6874 8473 10598 17557財産所得(支払) 226 437 48 80 108 139 190 259 274 285 438

第1次所得バランス(総) 5846 206 1450 2128 3042 4123 5264 6615 8199 10312 17118現金による社会保障・社会扶助 1114 1852 2068 1931 1418 891 691 586 487 450 763他に分類されない経常移転(受取) 301 523 615 600 485 287 108 132 130 87 42

第二次所得受取 7261 2582 4132 4659 4945 5300 6064 7333 8816 10850 17923所得に課される税 528 131 92 127 159 209 282 361 522 809 2589強制的現実社会負担 945 131 157 240 410 647 869 1128 1437 1779 2648他に分類されない経常移転(支払) 304 236 282 281 246 202 209 250 291 408 630

可処分所得(総) 5485 2083 3601 4011 4130 4242 4704 5594 6565 7854 12056現物社会移転 768 746 822 764 644 605 675 762 844 912 910

調整可処分所得(総) 6253 2828 4423 4775 4774 4847 5379 6356 7409 8766 12966最終消費支出(個別消費支出) 5014 3635 4366 4734 4378 4081 4441 4925 5384 6263 7934

貯蓄(総) 470 -1552 -765 -723 -248 161 263 670 1180 1591 4123(参考)貯蓄率(%) 8.6 -74.5 -21.2 -18.0 -6.0 3.8 5.6 12.0 18.0 20.3 34.2

現実最終消費(現実個別消費) 5783 4380 5189 5497 5022 4686 5116 5686 6229 7175 8844(参考)調整貯蓄率(%) 7.5 -54.9 -17.3 -15.1 -5.2 3.3 4.9 10.5 15.9 18.1 31.8

固定資産減耗 329 97 134 225 256 247 317 402 482 491 643可処分所得(純) 5156 1986 3467 3786 3874 3995 4387 5192 6083 7363 11413

調整可処分所得(純) 5924 2731 4289 4550 4518 4600 5062 5954 6927 8275 12323貯蓄(純) 141 -1649 -899 -948 -504 -86 -54 268 698 1100 3480

(参考)貯蓄率(純) 2.7 -83.0 -25.9 -25.0 -13.0 -2.2 -1.2 5.2 11.5 14.9 30.5(参考)調整貯蓄(純) 2.4 -60.4 -21.0 -20.8 -11.2 -1.9 -1.1 4.5 10.1 13.3 28.2

(注)浜田(2012)表2-1及び前田・梅田(2013)より作成。

(千円、%、%ポイント)平均 30歳未満 30~34歳 35~39歳 40~44歳 45~49歳 50~54歳 55~59歳 60~64歳 65~69歳 70歳以上 高齢無職

営業余剰・混合所得(総) 1358 133 589 862 1124 1280 1571 1577 1642 1643 1720 1341雇用者報酬 4421 3950 5249 6303 7039 7603 7932 6949 3555 1680 651 61財産所得(受取) 293 23 66 104 171 211 262 334 453 466 397 419

第一次所得受取 6072 4106 5904 7270 8333 9094 9765 8860 5649 3789 2768 1820財産所得(支払) 226 86 199 300 360 332 384 270 221 172 96 27

第1次所得バランス(総) 5846 4020 5706 6970 7973 8762 9381 8590 5429 3617 2672 1793現金による社会保障・社会扶助 1114 70 181 215 232 261 295 495 1233 2357 2577 2470他に分類されない経常移転(受取) 301 78 156 322 609 833 680 311 156 89 109 97

第二次所得受取 7261 4168 6043 7507 8814 9856 10355 9396 6817 6063 5358 4361所得に課される税 528 256 370 502 601 722 893 774 549 418 336 172強制的現実社会負担 945 752 1025 1231 1404 1495 1610 1406 770 501 315 178他に分類されない経常移転(支払) 304 85 95 87 114 362 558 426 343 345 352 351

可処分所得(総) 5485 3075 4553 5688 6695 7276 7294 6790 5155 4798 4354 3659現物社会移転 768 213 487 852 1171 1115 792 472 419 520 1138 991

調整可処分所得(総) 6253 3288 5040 6540 7866 8391 8086 7261 5574 5317 5493 4650最終消費支出(個別消費支出) 5014 2676 3780 4391 5008 5652 5789 5444 5236 5539 5069 5194

貯蓄(総) 470 399 773 1296 1687 1625 1505 1345 -82 -741 -714 -1535(参考)貯蓄率(%) 8.6 13.0 17.0 22.8 25.2 22.3 20.6 19.8 -1.6 -15.4 -16.4 -42.0

現実最終消費(現実個別消費) 5783 2889 4268 5244 6179 6766 6581 5916 5656 6059 6207 6185(参考)調整貯蓄率(%) 7.5 12.1 15.3 19.8 21.4 19.4 18.6 18.5 -1.5 -13.9 -13.0 -33.0

固定資産減耗 329 97 323 462 492 445 370 356 341 298 213 181可処分所得(純) 5156 2978 4230 5226 6203 6831 6924 6434 4814 4500 4141 3478

調整可処分所得(純) 5924 3191 4717 6078 7374 7946 7716 6905 5233 5019 5280 4469貯蓄(純) 141 302 450 834 1195 1180 1135 989 -423 -1039 -927 -1716

(参考)貯蓄率(純) 2.7 10.1 10.6 16.0 19.3 17.3 16.4 15.4 -8.8 -23.1 -22.4 -49.3(参考)調整貯蓄(純) 2.4 9.5 9.5 13.7 16.2 14.9 14.7 14.3 -8.1 -20.7 -17.6 -38.4

(注)浜田(2012)表2-1及び前田・梅田(2013)より作成。

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30

付図表3 SNA 分布統計:日本とフランス(等価変換済)

(1)日本

(平均可処分所得=100)

I II II I IV V 平均

賃金俸給 26 43 56 73 117 63

雇主強制社会負担 3 5 6 8 11 7

財産所得(純) 10 22 28 38 70 34

第 1 次所得 39 70 90 119 198 103

所得にかかる税負担 -2 -2 -4 -7 -21 -7

社会保険料 -8 -11 -14 -19 -26 -16

現物以外の社会給付 14 18 22 24 23 20

その他の経常移転 -10 -5 -5 -5 22 -1

可処分所得 33 68 89 113 197 100

現物社会移転 14 13 14 13 13 13

調整可処分所得 47 82 102 126 210 113

(2)フランス

(平均可処分所得=100)

I II II I IV V 平均

賃金俸給 21 47 64 84 138 71

雇主強制社会負担 6 15 22 28 40 22

財産所得(純) 3 7 12 19 64 21

第 1 次所得 30 69 98 131 243 114

所得にかかる税負担 -2 -5 -8 -14 -40 -14

社会保険料 -9 -22 -30 -40 -60 -32

現物以外の社会給付 21 23 25 29 50 30

その他の経常移転 0 0 0 1 8 2

可処分所得 41 66 84 108 201 100

現物社会移転 12 16 18 22 41 23

調整可処分所得 53 82 102 129 242 123

(注)消費単位により等価変換後ベース。詳しくは脚注 21 を参照。

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31

付図表4 消費支出の分類上の違いについて

(注)右列において下線を付した項目は、消費税の非課税品目。 (出所)内閣府「国民経済計算 平成 22 年度確報」、坂井(2010)より作成

国民経済計算の家計目的別最終消費支出 全国消費実態調査における支出項目

1 . 食 料 ・ 非 ア ル コ ー ル 飲 料 ( Food and

non-alcoholic beverages)

食料(酒類、外食等は除く)、現物支出(食

料)、交際費(食料)

2 . ア ル コ ー ル 飲 料 ・ た ば こ ( Alcoholic

beverages and tabacco)

酒類、たばこ

3 . 被服・履物(Clothing and footwear) 被服及び履物、交際費(被服及び履物)

4 . 住 居 ・ 電 気 ・ ガ ス ・ 水 道 ( Housing,

electricity, gas and water supply)

家賃、光熱・水道、持ち家の帰属家賃

5 . 家 具 ・ 家 庭 用 機 器 ・ 家 事 サ ー ビ ス

( Furnishings, household equipment and

house- hold services)

家庭用耐久財、室内装備・装飾品、寝具類、

家事雑貨、家事用消耗品、家事サービス、交

際費(家具・家事用品)

6 . 保健・医療(Health) 医薬品等、保険医療サービス(出産入院料を

除く)

7 . 交通(Transport) 交通、自動車・自転車購入、鉄道・バス・飛

行機等の運賃、自動車等維持費(保険料を除

く)

8 . 通信(Communication) 郵便料、電話通信料、宅配便運送料等

9 . 娯楽・レジャー・文化(Recreation and

culture)

教養娯楽、教科書・学習参考教材等(宿泊料

等は除く)、交際費(教養娯楽)

10 . 教育(Education) 授業料、学校給食等

11 . 外食・宿泊(Restaurants and hotels) 外食、宿泊料

12 . そ の 他 ( Miscellaneous goods and

services)

補修教育(塾等)、「現物支出(除く食料)、

交際費のうち上記項目に分類できないもの、

その他消費支出のうち SNA の定義に当ては

まるもの(理美容サービス、理美容用品、身

の回り用品、冠婚葬祭費、保育所費用、介護

サービス等)

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32

付図表5 家計の目的別最終消費支出の推計精度

(1)推計値の精度(2009 年)

SNA 公表値

(兆円)(A)

推計値

(兆円)(B)

推計精度(%)

(B÷A)

食料・非アルコール飲料 38.5 48.9 127.1

アルコール飲料・たばこ 7.4 4.8 64.6

被服・履物 9.5 10.1 106.4

住居・電気・ガス・水道 70.0 79.2 113.1

家具・家庭用機器・家事サービ

ス 10.7 8.2 76.5

保健・医療 11.9 10.2 86.0

交通 29.4 21.6 73.5

通信 8.1 8.8 108.9

娯楽・レジャー・文化 28.3 28.7 101.4

教育 6.3 6.7 106.4

外食・宿泊 18.3 13.7 74.7

その他(注) 37.7 16.6 44.0

最終消費支出 276.2 257.4 93.2

(再掲)持ち家の帰属家賃 46.7 47.9 102.5

(注)脚注 22 を参照

(2)こづかい補正行った場合と行わない場合の推計精度(%)比較

(出所)前田・梅田(2013)

127.1

113.1 108.9 106.4 106.4101.4

86.076.5 74.7 73.5

64.6

44.0

93.2122.2

113.0107.2

100.0105.9

90.079.2

74.0

58.367.9

44.0 41.8

88.1

0.0

20.0

40.0

60.0

80.0

100.0

120.0

140.0

食料・非アルコール飲料

住居・電気・ガス・水道

通信

被服・履物

教育

娯楽・レジャー・文化

保健・医療

家具・家庭用機器・家事サービ

外食・宿泊

交通

アルコール飲料・たばこ

その他

最終消費支出

こづかい調整あり

こづかい調整なし