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参考事例 ~合理的配慮等事例集~ 第4版 ■事例引用 「障がいを理由とする差別の解消に向けた合理的配慮事例集」 (平成30年8月31日改訂版) 北海道保健福祉部福祉局障がい者保健福祉課 「障害者差別解消法【合理的配慮の提供等事例集】」 平成 29 年 11 月 内閣府障害者施策担当

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参考事例

~合理的配慮等事例集~

第4版

■事例引用

「障がいを理由とする差別の解消に向けた合理的配慮事例集」

(平成30年8月31日改訂版)

北海道保健福祉部福祉局障がい者保健福祉課

「障害者差別解消法【合理的配慮の提供等事例集】」

平成 29 年 11 月 内閣府障害者施策担当

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<合理的配慮等事例集の目的>

この事例集は、「障がいのある方へのよりよい対応ができるサポートブック」

(以下、「サポートブック」という。)の内容を補足することを目的とし、日常

生活におけるさまざまな場面での具体的な事例を御紹介します。

対応する機会が多い基本的な事例のみを紹介していますので、より多くの事例

を参考にしたい場合には、内閣府のホームページにある「合理的配慮サーチ」を

御活用ください。

最後に、実際の対応においては、障がいによる困難は多岐にわたり、受けたい

配慮は人により千差万別です。そのため、障がいのある御本人とよく話し合い、

何をしてほしいか、何が出来るかを丁寧に確認し合うことが非常に重要です。そ

のときに、この事例集で紹介する対応の方法をヒントとしてください。

改訂履歴

版数 発行年月 改訂内容

第1版 平成 28 年7月 初版発行

第2版 平成 29 年9月 合理的配慮の事例を追加

第3版 平成 29 年 12 月 ・事例を合理的配慮と環境の整備に分類し整理

・事例を生活場面ごとに分類し整理

・事例の追加

第4版 令和元年9月 ・解説の追加

合理的配慮サーチ 検索

合理的配慮の事例は・・・

※合理的配慮サーチでは、障がいの種別や生活の場面から事例を探すことができます。

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~目次~

1.合理的配慮の提供事例

(1) 身体障がい(肢体不自由) ・・・ P3

(2) 身体障がい(視覚障がい) ・・・P10

(3) 身体障がい(聴覚・言語障がい) ・・・P16

(4) 知的障がい ・・・P20

(5) 精神障がい ・・・P24

(6) 発達障がい ・・・P27

(7) 内部障がい、難病に起因する障がい ・・・P31

(8) 合理的配慮の提供における留意点 ・・・P33

2.環境の整備事例

(1) 身体障がい(肢体不自由) ・・・P34

(2) 身体障がい(視覚障がい) ・・・P38

(3) 身体障がい(聴覚・言語障がい) ・・・P42

(4) 知的障がい ・・・P44

(5) 精神障がい ・・・P45

(6) 発達障がい ・・・P46

(7) 内部障がい、難病に起因する障がい ・・・P47

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1.合理的配慮の提供事例

(1)身体障がい(肢体不自由)

【生活場面例:行政】

【事例 1-1-1】

使用していない会議室など、1階の適宜の場所まで必要な手続きを担当する職員が

移動し、臨時に受付を実施することで対応した。

【事例 1-1-2】

記帳台に代わるものとして、バインダーをお貸しした。

<ワンポイント解説>

車いすを利用している方にとっては、階段だけでなく、ちょっとした段差や、

手動のドア、通路が物で塞がれていることなどが移動時の大きな障害になりま

す。

段差については、スロープの設置ができない場合でも、複数人で持ち上げた

り、段差の少ない別の通路を伝えたりするなどし、対応することができます。

また、手動のドアについては、開閉を補助するだけでも当事者の負担を軽減す

ることができます。

通路上にある物を移動できる場合には、通るときに移動させ、また、移動でき

ない場合には、その通路を通らなくても済むよう対応場所を変えるなどの対応が

考えられます。

車いすを使用しているが、エレベーターがないため申込書類の受付窓口である

2階に上がることができない。

申込書類に記入したいのだが、設置されている記載台が高すぎて使うことがで

きない。

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【事例 1-1-3】

長い距離を車いすで移動しなければならずに困っていたところを役場の職員が気づ

き、入口付近のスペースを駐車場として利用できるように調整した。

【事例 1-1-4】

要望に沿って職員が検索機を操作したり、手が届かない位置にある場合は代わりに

取ってくるなどして、読みたい本を探せるようにした。

【事例 1-1-5】

会場内の段差がいない区域に「関係者席」として座席を確保し、そちらへ案内し

た。

車いすを使用しているが、車で役場を訪れた際、駐車場が混んでいて、遠くの

駐車スペースしか空いていなかった。

図書館を利用するときに、蔵書の検索機を操作できないので、どこに本がある

か探しづらい。

平らなところは歩けるが、段差や傾斜があると負担が大きい。フォーラム会場

は自由席とのことだが、何らかの配慮をしてほしい。目立つような配慮をされる

と恐縮してしまうので、できるだけ自然な配慮をお願いしたい。

<ワンポイント解説>

肢体に障がいのある方の中には、体力があまりない方もいます。そういった方

が、長時間並んだり、会議に参加したりすることはとても大変な場合がありま

す。そのため、座って待つことができたり、小まめに休憩を入れたりする配慮が

必要となります。

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【生活場面例:教育】

【事例 1-1-6】

下肢装具を着用していることを前提として、移動ペース、休憩場所、ホテルの部屋

割りなどを検討し、できるだけ他の生徒と一緒に行動できるよう計画した。

【事例 1-1-7】

保護者が見学する場所は先着順の自由スペースであり、車いすでは移動しにくい場

所もあることから、車いすのまま見学しやすいスペースを別途設け、そちらへ案内し

た。

【事例 1-1-8】

学校の校用車を随行させ、車いすを使用している生徒は校用車で移動することとし

た。

【事例 1-1-9】

障がいに起因する遅刻を認めることとし、成績評価においては、出席基準の緩和や

レポート提出などの代替手段を設けた。

【事例 1-1-10】

試験会場を多機能トイレの近くにある部屋にするとともに、座席についても部屋の

出入り口の近くを割り当てた。

下肢装具を着用しているが、皆と修学旅行に参加したい。現地では他の生徒と

一緒に行動したい。

子どもの運動会を見学したい。車いすを使用しているのだが、車いすのまま見

学できる場所はあるだろうか。

課外授業に参加したいが、移動時に乗車予定のバス路線が車いすに対応してい

ない。

教室移動に時間を要することなどによる遅刻を認めてほしい

試験中に多機能トイレへ行けるようにしてほしい。

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【生活場面例:雇用・就業】

【事例 1-1-11】

パーテーションで仕切ったところに簡易ベッドを設置し、車いすから降りて休憩で

きるようにした。

【事例 1-1-12】

机の脚の下に板を敷いてかさ上げしたことで、車いすのまま着席できるようになっ

た。

【生活場面例:公共交通】

【事例 1-1-13】

セダンタイプのタクシーでも対応できる場合には、そちらも配車するようにした。

【生活場面例:サービス(買物、飲食店など)】

【事例 1-1-14】

当日は1人しかいなかったため、2階を見学していただくことができなかった。

そこで、理由を丁寧に説明し、後日、複数体制で対応出来る日に改めて見学に来て

いただくことを提案した。

仕事中も休憩中も、常に車いすに座っている状態で就労していたところ、床ず

れができてしまった。

職場の机が車いす使用者には低すぎて、膝が当たってしまい着席できない。

車いす使用者がタクシーに乗るときはリフト付タクシーを手配することになっ

ているが、台数が少ないので希望時間に沿わないことがある。車いすは軽量・折

り畳み式なので、セダンタイプのタクシーの荷台にも収納することができる。

施設見学をしたいのだが、エレベーターがないため2階を見学できない。

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【事例 1-1-15】

裏口にある従業員用のエレベーターを使って2階まで上がっていただいた。

【事例 1-1-16】

申し出があったことから、本人によく確認しつつ、店員が代わりに小銭を取り出し

て会計を行うようになった。

【事例 1-1-17】

できる限りトイレに近く、また、トイレに行く際に他のお客様との接触がなさそう

な席に案内した。

商業施設の2階にある店舗へ行きたいのだが、エレベーターが故障しており上

がることができない。

障がいのため、自分の思うとおりに指を動かすことが難しく、会計のときに財

布から小銭を取り出すのに手間取ってしまい、他のお客様を長時間待たせてしま

うことが多くあり、その際は焦りや心苦しさを感じている。

<ワンポイント解説>

手を動かすのが大変な方には、そうでない方が気づかないところで苦労をして

しまうことがあります。筆記用具やお箸、電話の受話器、PCの機器など様々で

す。人によっても使いづらさは様々なので、本人と話し確認することが重要で

す。

また、筆記用具が持てないために、代筆を求められることもあります。その場

合、後のトラブルを避けるために本人の意向を十分に確認し、また、複数人で立

ち会いながら対応するなどの工夫をすると良いでしょう。

飲食店へ行ったときに、トイレからだいぶ遠い位置に案内された。飲食店は多

くのお客で賑わっており、車いすでトイレに移動すると大変なため、よりトイレ

に近い場所に座れないだろうか。

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【事例 1-1-18】

同じフロアの別の会社のオフィススペースに十分な広さの障がい者専用トイレがある

ことが分かり、その会社にお願いして障がい者専用トイレを利用できることとなっ

た。

【事例 1-1-19】

電動車いすのバッテリーの充電には、通常の家庭用コンセントがあれば十分で特別

な設備はいらなかったため、ショッピングモールの管理会社にコンセントを借りられ

ないか相談した。その結果、近くにいる職員に伝えれば、事務室で充電できるように

なった。

【事例 1-1-20】

飲食店で配席するときに、後方のスペースが広く、テーブルの脚がない位置へ案内

した。

【事例 1-1-21】

滑りにくい素材のマットがあったため、それを敷いて皿が動かないようにすること

ができた。

飲食店に予約をする際に十分な広さのある障がい者専用トイレがあるか確認し

たところ、そのお店の中には無いと言うことだった。楽しみにしていたお店だっ

たので、何か方法がないか相談したい。

電動車いすを使用しており、外出中はバッテリーで駆動しているが、バッテリ

ーが切れることが怖く、あまり長い時間買い物をすることができない。

大型の車いすを使用しており、また貧血防止のためフットレストを上げたりリ

クライニングを倒したりすることがあるので、飲食店での配席時に配慮してほし

い。

半身まひはあるが、フォークやスプーンを使って一人で食事をすることができ

る。しかし、皿を支えることができずに動いてしまい、食べにくいことがある。

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【事例 1-1-22】

事前に相談があったため、当日は通常よりも早く大浴場の準備を整え、本来の開放

時間までの間に占有して入浴できるようにした。また、タオルも複数枚を準備してお

いた。

【事例 1-1-23】

スタッフが順番について把握しておき、順番となるまでは室内で待機できるように

した。

ホテルの大浴場を利用したいが、広いスペースと介助、複数枚のタオルが必要

になるので気が引けてしまう。

体温調節機能の障がいにより、テーマパークなどで暑い中長時間並ぶことが困

難だ。

<ワンポイント解説>

合理的配慮の提供は、必ずしも提供しなければいけないという考えではなく、

可能な範囲で行うことが大切です。

対応できない場合には、事情を説明し、断ることがあっても合理的配慮の不提

供とはなりません。あくまでも障がいを理由に断ることが、合理的配慮の不提供

となるのです。

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(2)身体障がい(視覚障がい)

【生活場面例:行政】

【事例 1-2-1】

驚かせることのないように、正面から「私は○○ですが、何かお手伝いしましょう

か?」と声をかけて受付窓口まで案内した。

【事例 1-2-2】

電話連絡を受けた職員は、役場前の停留所に行き、バスの到着を待ち、全盲のお客

様を迎えた。全盲のお客様に腕を掴んでもらい、バス停から役場まで安全に誘導する

ことができた。

【事例 1-2-3】

視覚障がい者が一人で役場に来られた際には、本人の希望を踏まえて、職員が代読

・代筆をするようにした。特に代筆の場合には、複数の職員で確認するようにしてい

る。

<ワンポイント解説>

視覚障がいのある方は、徐々に人が動く、折り返し地点があるなどの動きが見

えないことに不安を感じています。周囲の方が、行列の進み具合や周囲の状況を

わかりやすく伝えることで、不安は軽減されます。

また、突然、肩を叩いたり、腕を引っ張る行動は、動きが見えず、驚いてしま

います。

まずは一声かけてからにしましょう。

役場に申請手続きに来たが、慣れない場所なので、どこで受付すればよいのか

分からない。

役場に向かうバスの運転手から、「今から全盲の方が役場前のバス停で降りる

から迎えに来てほしい」と連絡があった。

代筆・代読も重要なコミュニケーション手段であるため、認めてほしい。

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【事例 1-2-4】

事前に連絡があり、ICレコーダーでの録音を了承するとともに、パソコンの読み上

げ機能を使えるということだったので、パンフレットの電子データを提供した。

また、事前に拡大文字の資料を作成していなかったため、ロービジョン(弱視)の

方向けにA4の資料をA3に拡大コピーして対応した。

【事例 1-2-5】

要望に沿って職員が検索機を操作したり、本を代わりに取ってくるなどの配慮を行

った。

【事例 1-2-6】

初回は点字を付した名刺を渡し、その後は同じ職員が訪問するようにした。

【生活場面例:教育】

【事例 1-2-7】

入学の際に学校内の移動訓練を行った。

<ワンポイント解説>

代筆や代読により対応する場合には、本人の意向を十分に確認すること、複数

の職員による立ち会いにより確認することが重要です。

住民向けフォーラム当日のパンフレット配布では、何が書いてあるのか読めな

いので、フォーラムの内容が分かりにくくなってしまう。

図書館を利用するときに、蔵書の検索機を操作できず、書架のレイアウトも分

からない。

役場職員が訪問に来ると、本当に役場職員なのか確認できなくて不安になる。

入学当初は特に、教室、階段、トイレの位置などが分からず、学校内の移動が

不安になる。

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【事例 1-2-8】

強調する場合には他の見やすい色のチョークを使用したり、波線や二重線によって

強調したりするなど、表現を工夫することとした。

【事例 1-2-9】

授業の録音は禁止されているが、視覚障がいの状況から合理的配慮の提供に当たる

と判断し、録音機器の使用を認めることとした。

【事例 1-2-10】

拡大文字を使って教材やテスト問題用紙を作成し、拡大鏡などの補助具を使用でき

ることとした。また、教材が大きくなり机からはみ出してしまうため、その学生が2

つの机を使えるようにした。

【生活場面例:雇用・就業】

【事例 1-2-11】

口頭で説明するだけでなく、実際に移動しての位置確認を行った。また、電話機・

シュレッダー・給湯器などの共用品を実際に操作しながらの説明も行った。

色覚障がいにより黒色と赤色の区別が付きにくいため、黒板に書かれている重

要な箇所について、赤色のチョークで強調されると分からなくなってしまう。

後で復習するときに使いたいので、授業を録音させてほしい。

通常の教材やテスト問題用紙では、印刷された字が小さく、弱視なので読むこ

とができない。

就職当初は職場環境(職員の配置、共用品の置き場所や使い方など)に関する

オリエンテーションがないと、その後の業務が円滑に行えない。就職当初だけで

なく、配置換えなど環境変化があった場合も同様。

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【事例 1-2-12】

視覚障がい者と業務上関係のある職員とが情報・意見交換する時間を設け、十分な

意思疎通を図った。また、必要に応じてジョブコーチなど専門家の支援を受けること

とした。

【事例 1-2-13】

必要事項が記載されたテキストファイルを提出してもらい、定型書式には他の職員

が記入するようにした。

【事例 1-2-14】

「おはようございます、○○です」というように、挨拶などと合わせて発言者が名

乗るようにした。

【事例 1-2-15】

ミーティングを始めるときに今回の参加者を伝えるとともに、途中で出入りする者

は「○○参加します/退席します」と声に出して知らせるようにした。また、ミーテ

ィング中に発言するときも毎回名乗ってから発言するようにした。

【事例 1-2-16】

通路など通行の妨げになるような場所に物を置かないようにした。また、年度末の

大掃除など通路に物を置かざるを得ない場合には、本人に事前にその旨を伝えて注意

を促した。

視覚障がい者本人や周囲の職員が人事異動した場合には、適切な業務分担のあ

り方が互いに分からず戸惑うことがある。

決裁書類や出張届などの定型書式が決まった書類では、紙媒体ではなく電子媒

体であっても記入が難しい場合がある。

職場ですれ違うときの挨拶などで、誰が発言者か分からないことがあって困

る。

職場のミーティングにおいて、途中で参加者の出入りがあると把握できない。

いつもは物が置いていない通路に物があると、躓いて転倒する危険がある。

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【生活場面例:サービス(買物、飲食店など)】

【事例 1-2-17】

担当職員が順番を把握しておき、その間は別の場所で待ってもらい、順番になった

ときには声かけを行った。

【事例 1-2-18】

双方にご了解いただいた上で、お互いが離れた位置になるよう配席を変更した。

【事例 1-2-19】

商品が置いてあるところまで案内し、価格や機能などの表示情報を読み上げてお伝

えした。

【事例 1-2-20】

ATMについては暗証番号を聞くことについてご了解いただいた上で、店員がタッ

チパネル操作を代行した。

【事例 1-2-21】

同性の店員がいる場合には、トイレの中まで案内するようにした。

テーマパークで行列に並んで順番待ちをするとき、並ぶべき列の終端や徐々に

進んでいくタイミングが分からない。

補助犬を連れたお客が来店したところ、他のお客から犬アレルギーだという申

し出があった。

買いたい商品があるのだが、どこに置いてあるのか、また価格はいくらなのか

が分からない。

銀行のATMがタッチパネル式になっていて、操作できない。

トイレの場所を聞いたときに入り口まで案内してくれたが、複数の便器がある

トイレだったので中で困ってしまった。

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【生活場面例:災害等】

【事例 1-2-22】

避難所のスタッフがいない間もトイレに行けるように、トイレまでの動線が分かり

やすい場所を割当スペースとした。

【事例 1-2-23】

本人の希望を踏まえて、弱視も視覚障がいであることについて、周囲の理解を得ら

れるように説明を行った。

避難所のレイアウトに慣れておらず、一人ではトイレに行くことが難しい。

弱視により障がい者向けの配慮を受けていたところ、他の被災者から「見えて

いるのに不公平ではないか」と非難されてしまった。

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3.身体障がい(聴覚・言語障がい)

【生活場面例:行政】

【事例 1-3-1】

会場全体から手話通訳者の手話が見えやすいように、高さ60cmほどの台を用意

し、手話通訳者を見やすい前の席を希望者向けに確保した。また、拡大スクリーンも

設置し、後ろの席からも見やすいようにした。

【事例 1-3-2】

一律にパソコンの持ち込みを禁止するのではなく、個別に判断して必要と認められ

る場合には持ち込めるようにした。

【事例 1-3-3】

役場の職員で、手話ができる者に依頼することで、3名を確保しフォーラムを開催

することができた。

【生活場面例:教育】

【事例 1-3-4】

窓口に「筆談でも対応します」と掲示し、手話に対応できる職員がいない場合は筆

談で対応することとした。

大きな会場で開催されるフォーラムでは、手話通訳者がいても見えにくい場合

がある。

会議の傍聴時にパソコンによるノートテイクを行いたいが、パソコンの持ち込

みが禁止されている。

町民向けのフォーラムに聴覚障がいのある方から参加の申し込みがあったが、

手話通訳者の派遣を行っている団体に対し、派遣を依頼したところ、スケジュー

ルの関係上、3時間の講演に必要な3名の内、2名しか確保できなかった。

奨学金の申請などのため、大学の窓口を利用することがあるが、窓口では手話

に対応できる職員がいる場合でしか対応してもらえず、不便に感じている。

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【事例 1-3-5】

授業の撮影は禁止されているが、聴覚障がいの状況から合理的配慮の提供に当たる

と判断し、黒板の撮影を認めることとした。

【事例 1-3-6】

出席点呼をするときには、口頭だけではなく身振り・指文字・手話などを加えて、

その生徒に自分の順番となったことが伝わるようにした。

【生活場面例:雇用・就業】

【事例 1-3-7】

発言前にはその都度手を挙げること、聴覚障がいの方が参加者全員の口元を確認で

きる席に配置すること、口元が分かるようマスクの着用などはしないことなどの配慮

を行った。

<ワンポイント解説>

聴覚障がいのある方の中には手話ができない方も多くいらっしゃいますので、

筆談は重要なコミュニケーション手段です。もし、筆談での対応が可能である旨

の掲示をする場合には、人が並んでいても見える位置など掲示する場所にも配慮

しましょう。

難聴の影響で、授業を聞くこととノートを書くことの両立が難しいときがあ

る。

出席点呼を聞き取れないが、他の生徒と同じように返事をしたい。

口話(発話時の口の形状から発言を知り、また発語することができる)により

コミュニケーションをとるが、多人数の参加者がいる会議では、誰が発言してい

るのか区別しづらかったり、発言者の口元が確認できなかったりするため、会議

の流れが分からなくなってしまう。

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【生活場面例:サービス(買物、飲食店など)】

【事例 1-3-8】

呼ばれても分からないという申し出があったので、身振りによって料理ができたこ

とを伝えた。それでも気づかなかったようなので、店員が座席まで配膳した。

【事例 1-3-9】

麺類を扱っているお店で、これまでは注文された麺類を出すだけだったが、筆談ボ

ードを使うことによって、「固い麺か柔らかい麺か」、味付けについて「辛口か甘口

か」などを店員が聞けるようになり、他のお客と同じように細かい注文にも対応でき

るようになった。

【事例 1-3-10】

受付用ではないが他の業務で使用しているファックスがあったので、聴覚に障がい

のある方に対する本人確認はファックスやメールなどで対応できるようにした。

<ワンポイント解説>

口話に限らず、手話、要約筆記においても、聴覚障がいのある人がそのメッセ

ージを受け取ることが出来る位置に配置されることが重要です。遠い位置や暗く

て見えづらい位置などは避けましょう。

また、口話の場合にはゆっくり話すなどの工夫をしましょう。

料理ができた場合に呼ばれて取りに行くシステムの飲食店で、よばれたことに

気付けない。

飲食店ではメニュー表への指さしで注文しているが、細かい希望を伝えること

が難しい。

インターネットの契約手続きをしようとした際に、「本人確認の手続きは電話

でしか対応していません」と言われ、通訳者を通した電話確認についても、対応

してもらえなかった。

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【生活場面例:災害等】

【事例 1-3-11】

掲示板やホワイトボードなどを用いて、アナウンス内容を文字化してお知らせする

ようにした。

避難所で弁当の配給時間などのアナウンスがあっても、聞こえないので情報を

得ることができない。

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4.知的障がい

【生活場面例:行政】

【事例 1-4-1】

ページ数の多い調査報告書であり、すべての文章に振り仮名を付すことは作業量が

膨大となるので、要点を抜粋した概要ペーパーを作成して振り仮名を付すこととし

た。

【事例 1-4-2】

役場職員が声をかけ、書類の内容を分かりやすく説明した。

【事例 1-4-3】

他の投票者を止めることはできないが、事前に人の少ない時間帯を伝え、安心して

投票することができるように対応した。

役場が公表した調査報告書を読みたいのだが、平仮名しか読むことができない

ので、振り仮名をつけてほしい。

引っ越しの手続きに必要な書類には、振り仮名が付いていて読むことはできた

が、書いてある内容が難しく、書類に何を書いたら良いか分からなかった。

<ワンポイント解説>

知的障がいのある方にとっては、漢字や難しい表現、長文、口頭での早い説明

の理解が苦手な人がいます。るびを付けたり、平易で簡潔な表現に置き換えた

り、ゆっくり話したりするなどの工夫を心がけましょう。また、目的地への行き

先など文章や口頭での説明が難しい物については、図や表など視覚的に分かりや

すく伝えることも大切です。

選挙の投票を行う際に、次々と他の投票者が来ると急かされている気持ちにな

りパニックになってしまう。

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【生活場面例:教育】

【事例 1-4-4】

本人の理解度に合わせて、実物や写真、シンボルや絵などで活動予定を示した。

【事例 1-4-5】

シリコン製やポリプロピレン製など、学校にある素材の食器のうちから受け入れや

すい触感の食器を用いることとした。

【事例 1-4-6】

集団から少し離れた場所で本人に負担がないような場所に席を用意したり、聴覚に

過敏があるのであれば、イヤーマフなどを用いることとした。

【事例 1-4-7】

ピストルは使用せず、代わりに笛・ブザー音・手旗などによってスタートの合図を

することとした。

【事例 1-4-8】

会場の床に足形やテープなどで動線と目的の場所を示すことで、どこを歩くのかを

理解しやすいようにした。

学習活動の内容や流れを理解することが難しく、何をやるのか、いつ終わるの

かが明確に示されていないと不安定になってしまい、学習活動への参加が難しく

なる。

触覚に過敏さがあり、給食で使うステンレスの食器が使用できず、手づかみで

食べようとする。

多くの人が集まる場が苦手で、集会活動や行事に参加することが難しい。

聴覚に過敏さがあり、運動会のピストル音が聞こえると、パニックを起こして

しまうかもしれない。

卒業式での証書授与の際に、どこで立ち止まり、どこを歩くのかを理解するの

が難しい。

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【生活場面例:雇用・就業】

【事例 1-4-9】

変更がある場合は、一日の流れと変更点を一つ一つ確認し、出来そうかどうか必ず

確認することとした。

【事例 1-4-10】

仕事に就いたときに単純な仕事から始め、徐々に複雑な仕事に変更していくこと、

また、本人が行う仕事については分かりやすいマニュアルを作成することとした。

【事例 1-4-11】

分からなくなった場合には3色カードを活用することで講師に伝えられるよう対応

した。

仕事で急な変更があると混乱してしまい、うまく仕事をこなすことができな

い。

知的障がいがあるため、複雑な仕事をするのが苦手だ。

<ワンポイント解説>

知的障がいのある方ができること、できないことは人それぞれで異なります。

何よりも、本人と相談しながら何が出来るか確認していくことが大切です。

会社の研修会に参加をしたが、途中から難しくて内容を理解することができな

かった。

<ワンポイント解説>

3色カードについては、サポートブックを参考にしてください。また、会議以

外でも仕事の場面で、わからないことを聞きやすくするために担当者を固定し、

バッチなど目印になるものをつけ、分からないことがあればいつでも聞くよう示

すなどの工夫が大切です。

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【事例 1-4-12】

仕事に来た時には必ず体調を聞き、こまめに休憩を促し、またその際には疲労具合

について確認することにした。

【生活場面例:サービス(買物、飲食店など)】

【事例 1-4-13】

個人情報にも関わることなので通常は本人から聞くことになっているが、必要に応

じて介助者から説明を聞くこととした。

【事例 1-4-14】

会計場所に椅子を持っていき、「ここに座って待っていようか」と声をかけ、親の

会計が終わるまで話し相手となった。いつも同じ場所に椅子を置くようにしたとこ

ろ、その後は会計が終わるまでひとりで椅子に座って待っていられるようになった。

自分で自分の健康状態を管理することが苦手で、具合が悪くても誰にも言わ

ず、仕事で無理をしすぎてしまうことがある。

契約時の要望などを自分で説明することが難しいため、同行する介助者から話

を聞いてほしい。

子どもが買い物の会計時に待つことができず、動き回ったり騒いだりしてしま

う。

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5.精神障がい

【生活場面例:行政】

【事例 1-5-1】

外部に持ち出しても構わない書類については事前に送付し、記入済みのものを提出

してもらう事で対応した。

【事例 1-5-2】

個室の確保は難しかったが、比較的人が少ない場所にパーテーションを立て、周り

からの視界をさえぎられるようなスペースを確保することとした。

【生活場面例:雇用・就業】

【事例 1-5-3】

相談相手となる先輩職員を決め、定期的に面談したり、日誌の交換を行ったり、悩

み事や体調について相談できるようにした。

【事例 1-5-4】

仕事をする際には、優先順位と次にやる仕事、いつまでに終わらせるかなどその都

度具体的に指示をするよう職場スタッフに周知した。また、作業手順などを示した業

務マニュアルについて、分かりやすい内容となるよう工夫して作成した。

役場で申請書を記載するのに長い時間がかかってしまい、不安になってしま

う。

大勢の人がいるところでは、周囲が気になってしまい落ち着かなくなる。役場

に行く必要があるが、不安だ。

仕事で不安に思ったときに誰に相談していいのか分からず、体調を崩してしま

った。

仕事での優先順位が分からず、大きなストレスとなっている。細かい作業の段

取りがなかなか覚えられず、急な手順の変化などには対応できない。

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【事例 1-5-5】

負担になりすぎないよう一度の与える仕事の量を調整することで対応した。

<ワンポイント解説>

精神障がいのある方の中には、曖昧な状況に強くストレスを感じる方もいま

す。そういった場合には、曖昧さを取り除き、一つ一つ明確に示すことも重要で

す。

何事にも手を抜けず頑張りすぎてしまう傾向があり、そのことにより仕事が大

きな負担となってしまうことがあった。

<ワンポイント解説>

精神障がいのある方の中には、不安やストレスにより、体調を崩しがちになる

方もいます。本人に小まめに体調やストレスの状況について確認することも重要

です。

また、体調を崩すだけでなく、パニックになってしまう場合もあります。そう

した場合には、あらかじめ本人の了解を得た上で周囲の人間には事情を伝えてお

き、パニックが発症した場合に休むことができるスペースを確保しておくと良い

でしょう。

なお、精神障がいのある方の中には、曖昧な状況に強くストレスを感じる方も

います。そういった場合には、曖昧さを取り除き、一つ一つ明確に示すことも重

要です。

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【生活場面例:雇用・就業】

【事例 1-5-6】

障がい特性を理解して、アナウンスする場合は分かりやすく丁寧なアナウンスを心

掛けた。

【生活場面例:サービス(買物、飲食店など)】

【事例 1-5-7】

同性の店員がいる場合には、その者が接客対応するようにした。

考えていたことと違ったことや通常とは異なる場面への対応が苦手で、パニッ

クになる場合がある。列車やバスなどを利用している際に、事故発生で止まった

り遅れたりするなどの異変が生じたときには、状況が理解できるよう丁寧に伝え

てほしい。

異性とのコミュニケーションに負担を感じてしまうことから、同性に接客対応

してほしい。

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6.発達障がい

【生活場面例:行政】

【事例 1-6-1】

役場の窓口でのやりとりをする際には、本人が発話できるようになるまで待って話

を聞くように対応した。

【事例 1-6-2】

落ち着いて待てるよう、通常の待合室とは別に部屋を用意し、順番が来た時に呼ぶ

こととした。

<ワンポイント解説>

発達障がいのある方の中には、言葉によるコミュニケーションが苦手であった

り、漢字が極端に苦手であったり、曖昧な指示や記述が苦手だったり、一度に多

くの指示が苦手だったり、スケジュール管理ができなかったりと、人によってで

きることできないことは様々です。本人とよく確認して対応することが大切で

す。

・曖昧な表現の例

「できるだけ早くやって」、「あれはどうした」

このような表現は、発達障がいのある方にとって、苦手な部分です。

→「明日の会議資料を○時までに○○部コピーしてください」(実物を見せると

良い)

→「午前中に頼んだ、赤い箱の中身の整理はいくつまで進みましたか」

というように、具体的な表現を用いると良いでしょう。

吃音があり、緊張すると言葉が出にくくなってしまう。

慣れていない場所や、たくさんの人がいる場所で待つことが苦手だが、病院で

診察を受ける際に、他の患者さんが多い場所で、長時間待つ必要があった。

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【生活場面例:教育】

【事例 1-6-3】

書き写す代わりに、デジタルカメラ、スマートフォン、タブレット型端末などで黒

板の写真を撮影できることとした。

【事例 1-6-4】

絵、写真、図、実物などを見せることで、授業内容や活動予定を理解しやすいよう

に配慮した。

【事例 1-6-5】

各授業の担当教員から事前に情報共有しておき、他の生徒は気づかないように指名

対象から外す配慮を行った。

【事例 1-6-6】

時計やタイマーなどを使って時間の見通しを持てるようにした。

【事例 1-6-7】

本人の意に沿わない場面で対象物に触れることを強要しないようにし、どうしても

新しい素材に触れることが必要な場合には、緩和される手立てを検討するようにし

た。

文字の読み書きに時間がかかるため、授業中に黒板を最後まで書き写すことが

できない。

教員の話を聞いて想像することが苦手なため、内容を理解することができな

い。

パニックを起こしてしまうことがあるので、授業中に問題の回答者として指名

しないでほしい。また、指名しないことを他の生徒には伝えないでほしい。

時間の見通しが持てず、活動の切り替え時に混乱してしまうことがある。

触覚過敏があり、新しい素材に触れるとパニックになってしまう。

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【事例 1-6-8】

パニックの要因が色覚過敏であることが見込まれたため、色味の薄い用紙や色鉛筆

の使用許可などを配慮し、落ち着いて授業参加できるようになった。

【事例 1-6-9】

無理のない形で段階的に移行することとし、徐々に集団で行動する時間を増やして

いく授業スケジュールを計画した。

【生活場面例:雇用・就業】

【事例 1-6-10】

上司と相談し、本人が自分の発達障がいに関する特性について説明している文書を

関わりのある人に配付することで、理解を深めてもらい、円滑なコミュニケーション

をとれるようになった。

絵画の授業時にいつもパニックになってしまうので、落ち着いて授業参加でき

るようにしてほしい。

集団で行動する授業に適応できずにいるが、本人の希望としては参加したいと

思っている。

暗黙のルールや言葉にされていない相手の意図、曖昧な指示を理解することが

苦手で、会社での人間関係がうまくいっていなかった。

<ワンポイント解説>

【事例 1-6-10】の場合は、個人情報保護の観点や本人の気持ちのあり

方などから本人がその手段を望んだ時に限るなどの配慮が必要です。

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【事例 1-6-11】

コピー機から離れた席に移動してもらい、また、周りの騒音が不快になった場合に

は、耳栓をつけて勤務していいこととした。

【生活場面例:サービス(買物、飲食店など)】

【事例 1-6-12】

衛生面や循環装置への影響を考えてスイムキャップ着用としているが、配慮すべき理

由がある場合には、非着用でも利用を認めることとした。

【生活場面例:災害等】

【事例 1-6-13】

障がい者・乳幼児・高齢者など、長時間並ぶことが困難な人を対象に、別途配給す

るようにした。

聴覚が過敏で少し大きな音でもとても不快に感じてしまう。社内で異動があっ

たとき、席がコピー機の近くになってしまったため、コピー機が動作する度に不

快な思いをしていた。

<ワンポイント解説>

発達障がいのある方の中には、音や光、においなどに感覚過敏により過剰な敏

感さを持っている方もいます。そうした場合には、耳栓やサングラスなどの着用

を認めたり、より適した環境を整備したりするといった配慮も必要です。

プール施設でスイムキャップ着用が義務付けられているが、帽子の着用を嫌が

ってしまい、スイムキャップもすぐに外してしまう。

長時間並んで待つのが苦手であったことから、避難所で配給の列に並べず、お

弁当をもらうことができなかった。

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7.内部障がい、難病に起因する障がい

【生活場面例:行政】

【事例 1-7-1】

役場の窓口でのやりとりをする際には、本人が発話できるようになるまで待って話

を聞くように対応した。

【事例 1-7-2】

落ち着いて待てるよう、通常の待合室とは別に部屋を用意し、順番が来た時に呼ぶ

こととした。

【生活場面例:教育】

【事例 1-7-3】

担当教員の間で授業や試験における配慮について情報共有を行い、欠席が多くなる

場合にはレポート提出などの代替手段を設けることとした。

【事例 1-7-4】

生徒本人がアラーム機能付きの時計を持つようにしたほか、担当教員も一緒に時計

のアラーム時間を設定して、薬の飲み忘れがないよう声をかけるようにした。

吃音があり、緊張すると言葉が出にくくなってしまう。

慣れていない場所や、たくさんの人がいる場所で待つことが苦手だが、病院で

診察を受ける際に、他の患者さんが多い場所で、長時間待つ必要があった。

定期的な通院が必要であることから、授業や試験を欠席することが多くなって

しまう。

生徒が学校にいる間も定期的に薬を飲む必要があるが、うっかり飲み忘れてし

まうことが何度もあった。

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【生活場面例:雇用・就業】

【事例 1-7-5】

急な不調にも対応できるよう必ず先輩職員と一緒に行動するようチーム体制を作っ

た。また、担当体調不良の日には、就業時間内でも休憩室を利用できることとした。

【事例 1-7-6】

本人の希望を踏まえて、内部障がいがあることや必要な配慮について職場で説明を

行うなど、本人が休暇を取得しやすい職場の雰囲気づくりを行った。

【生活場面例:サービス(買物、飲食店など)】

【事例 1-7-7】

障がい者専用トイレを長時間独占することはできなかったため、事務室の一角を周

りから見えないようさえぎったスペースを作って対応した。

日や時間帯によって体調が変動するので、一律に定められている就業時間・休

憩時間では、業務を行うことが難しい日がある。

定期的に通院する必要があるため、休暇取得日数が多くなり、同僚に対して気

が引けてしまう。

<ワンポイント解説>

難病のある方の中には、日によって体調が異なるだけでなく、体力が低く疲れ

やすい、また、そのために長時間の起立や、重労働が出来ないなど様々な困難を

抱える場合があります。本人によく確認の上、できる対応を考えてみましょう。

定期的に透析をしなければならない症状があるが、周りをさえぎるスペースさ

えあれば腹膜透析により自分で透析を行える。テーマパークに行きたいが、その

ようなスペースを用意してもらえるか。

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(8)合理的配慮の提供における留意点

(対話の際に避けるべき言葉)

■「先例がありません」

⇒ 障害者差別解消法が施行されており、先例がないことは断る理由になりま

せん。

■「特別扱いできません」

⇒ 特別扱いではなく、障がいのある人もない人も同じようにできる状況を整

えることが目的です。

■「もし何かあったら」

⇒ 漠然としたリスクでは断る理由になりません。どのようなリスクが生じ、

そのリスク低減のためにどのような対応ができるのか、具体的に検討する

必要があります。

■「その障がい種別ならば」

⇒ 同じ障がい種別でも、程度などによって適切な配慮が異なるため、一括り

にしないで検討する必要があります。(盲/弱視、ろう/難聴 など)

障がい者からの配慮の申し出について、合理的ではないものや過重な

負担があるものについては、その提供をお断りすることができます。

・膨大な分量の資料の全文読み上げを求められた

・筆談で十分対応できる簡潔なやり取りに手話通訳者の派遣を求められた

・否定されるとストレスで症状が悪化してしまうからと、過度な要望であっても否

定せずに実行することを求められた など

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2.環境の整備事例

(1)身体障がい(肢体不自由)

【生活場面例:行政】

【事例 2-1-1】

設計段階から障がい当事者や関係団体の意見を取り入れ、ユニバーサルデザインの

採用などにより、新庁舎のバリアフリー化を図った。

【生活場面例:教育】

【事例 2-1-2】

常勤の看護師を配置し、親の付き添いがなくても医療的ケアを提供できる環境を整

備した。

【事例 2-1-3】

ケガなどを未然に防止できるように、床に滑りにくいコルクボードを敷き詰めた。

【事例 2-1-4】

見通しの悪い交差箇所にミラーを設置して、お互いの視覚ができないようにした。

新庁舎の建設予定があるが、障がいのある人もない人も同じように利用できる

施設にしてほしい。

医療的ケアが必要な生徒については、パート勤務の看護師が対応しているが、

勤務時間に制限があるため、親も付き添っていなければならない。

支援学級の教室の床で、足を滑らせそうになってしまう。

休み時間などに多数の学生が通る廊下があり、そこでは車いすの先端が交差す

る廊下の陰から出てくる学生とぶつかってしまうことがある。

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【事例 2-1-5】

短い時間での送迎を可能とするため、スクールバスの増車と巡回ルートの見直しを

行った。

【事例 2-1-6】

関係者で話し合った結果、鉄道会社は携帯スロープを無人駅に常時配備し、学校の

職員や学生が駅での移動支援を行うこととなった。

【生活場面例:雇用・就業】

【事例 2-1-7】

障がいのある社員向けの駐車場を出入り口の直近に設けた。

【事例 2-1-8】

ドアノブをレバー式に改修した。

現在のスクールバスの巡回ルートでは、乗車から学校到着までの時間が長いた

め、体調面での負担が大きい。

列車の乗り降りでは携帯スロープによる移動支援が必要となるが、入学予定の

学校の最寄りは無人駅だった。

障がい対応車両を運転できるので一人でマイカー通勤しているが、駐車場から

職場へ移動する間に雨が降ると、傘がさせないので濡れてしまう。

握力が弱いので、会議室などのドアノブが円形だと開閉が難しい。

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【生活場面例:公共交通】

【事例 2-1-9】

車いすの固定方法などの研修について、定期的にすべての運転手を対象として行う

こととした。

【事例 2-1-10】

道の地域づくり委員会に相談したところ、バス会社に事情を説明してくれ、その結

果、バス会社は規定を見直し、運転手に対する研修を行った。研修では、Aさんの協

力も得ながら、実際にバスを使った乗降や乗車後の車いすの固定方法を学んだ。

【生活場面例:サービス(買物、飲食店など)】

【事例 2-1-11】

障がい者用駐車スペースを使う場合には駐車場にいる警備員に申し出ることをルー

ル化し、障がいのある人が利用しやすいようにした。

バス乗車時に、運転手が車いすの固定方法を知らなかったため、「車いすのブ

レーキで対応してください」と言われてしまった。バスが大きく揺れるたびに、

転倒するかもしれないとひやひやした。

電動車いすを使用しているが、バスに1人で乗車しようとバス会社に電話して

ノンステップバスの配車を依頼したところ、「介助人なしでは乗せられない」と

言われ、乗車を断られてしまった。

車でスーパーに行き、入口に近いところにある障がい者用駐車スペースを利用

しようと思ったが、障がいのない方が駐車して全て埋まっており利用することが

できなかった。障がいがある方が使えるよう配慮してほしい。

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【事例 2-1-12】

カウンター席の一部を改装し、入り口に近い位置にある席の一部を可動椅子に変更

した。

【生活場面例:災害時】

【事例 2-1-13】

仮設トイレとは別に、本人と介助者が余裕をもって入れる広さの部屋を確保して、

ポータブルチェアトイレ、簡易便器、ベッドを置き、着替えやトイレができるように

した。

飲食店のカウンター席が固定椅子であるため、車いすのままでは着席できな

い。

避難所となった学校施設には、着替えやトイレができるスペースもつい立もな

かった。

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(2)身体障がい(視覚障がい)

【生活場面例:行政】

【事例 2-2-1】

玄関ホール内に出入口付近から通路方向へ誘導する点字ブロックを設置した。

【事例 2-2-2】

階段の縁に目立つ色の滑り止めを設置し、弱視でも段差を認識しやすいようにし

た。

【生活場面例:教育】

【事例 2-2-3】

過去問などを電子テキスト化し、パソコンの読み上げ機能で使える問題集を作成し

た。

【事例 2-2-4】

教室の用途が分かるように、各教室のドアのところに点字ラベルで教室名や教室番

号を表記するようにした。

庁舎の玄関ホールに案内となるものがなく、どちらへ進めばよいのか分かりに

くい。

弱視のため階段の上り下りで段差を見誤ってしまうことがある。

試験や受験の当日には合理的配慮の提供を受けられるが、日常の勉強で使える

障がいに対応した練習問題が少ない。

所属クラスをはじめ音楽室や美術室など様々な教室を利用することになるが、

教室を移動するときに迷ってしまうことがある。

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【生活場面例:雇用・就業】

【事例 2-2-5】

読み上げソフト、音声点字携帯情報端末、拡大読書器などの支援機器を導入した。

【事例 2-2-6】

大型モニターと、画面を明るく照らすデスクスタンドを導入した。

【生活場面例:公共交通】

【事例 2-2-7】

交通状況と信号機周期を検証し、通学時間帯はより長い横断時間を確保できるよう

に時間設定を変更した。

【事例 2-2-8】

バスの乗降口にスピーカーを設置し、そこからドア開閉時に行き先について放送を

流すようにした。

視覚障がい者の就労を支援するための機器が職場にない。

通常のパソコンではモニター画面が小さいので、弱視では読み取りづらくて作

業に支障をきたしている。

バスに乗車してからは車内放送で行き先が分かるが、乗車する際には分からな

いので、乗車したいバスかどうか分からず、とても不安な思いをしている。

通学経路にある信号機は歩行者横断の時間設定が短くて、視覚障がいにより周

囲の状況に注意しながら歩いていると渡りきれないことがある。

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【生活場面例:サービス(買物、飲食店など)】

【事例 2-2-9】

店員の中に、補助犬とペットの違いを理解していない者がいたことによる入店拒否

であった。店員の研修に補助犬に関する事項を追加し、今後の再発を防ぐこととし

た。

【事例 2-2-10】

手触りでカードの方向を識別できるように、カードデザインに凹凸を追加した。

【事例 2-2-11】

重要な書類のため代筆に躊躇してしまうという意見が店舗スタッフからあったの

で、同行者が代筆する場合と店舗スタッフが代筆する場合のそれぞれについて、どの

ように対応するのかを具体的にマニュアルで定め、研修を実施した。

【事例 2-2-12】

今後の商品パンフレットは、ユニバーサルデザインフォントを使って作成すること

とした。

これまでは何度も補助犬を連れて入店していたのだが、先日は「ペットは不可

ですから」と入店を断られてしまった。

ATMなどでカードを挿入するときに、前後・表裏が分かりづらい。

契約書類などにおいて、同行者が代筆できるようにしてほしい。同行者がいな

い場合には、店舗スタッフに代筆してほしい。

商品パンフレットの文字について、同じような輪郭のものだと、弱視のため区

別しにくい。

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【生活場面例:災害等】

【事例 2-2-13】

ラジオと合わせてイヤフォンも備蓄することとした。

避難所ではラジオから情報収集することになるが、周囲からうるさいので止め

てほしいと言われてしまう。

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(3)身体障がい(聴覚・言語障がい)

【生活場面例:行政】

【事例 2-3-1】

視覚的にも順番が分かりやすいように、整理番号が表示される電光掲示板を設置し

た。

【事例 2-3-2】

予算面から常駐は難しかったので、定期的に手話通訳者が受付窓口に派遣される仕

組みを設けるとともに、派遣される日を広報することとした。

【事例 2-3-3】

FAX番号やメールアドレス及び電話リレーサービスの連絡窓口も示して、通報や相

談を受け付けられるようにした。

【生活場面例:教育】

【事例 2-3-4】

携帯できるFM音声送信機を導入し、話し手はそれを装着して授業を行うこととし

た。また、本人から申し出があれば、ノートテイカーを配置できるようにした。

受付窓口が整理券方式なので、番号が呼ばれるまで担当者の口元をじっと見つ

めているか、自分の前の番号の者が呼ばれたら、受付窓口に近づいてスタンバイ

しなければならない。

受付窓口に手話通訳者を常駐させてほしい。

配偶者からの暴力に悩んでいるが、相談窓口への連絡先が電話番号だけなの

で、通報も相談もできない。

補聴器を使っているが、授業で聞き取りにくいことがある。

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【事例 2-3-5】

非常時の警報が視覚化されるように、回転灯で知らせる装置を実験室に設置した。

【生活場面例:サービス(買物、飲食店など)】

【事例 2-3-6】

順番になると振動してお知らせする機器を導入した。

【生活場面例:災害等】

【事例 2-3-7】

災害情報を登録された電子メールのアドレスへ配信する警報システムを導入した。

また、普段は業務のお知らせなどを表示している電光掲示板に、災害時には緊急速報

などの情報が表示されるようにシステム改修を行った。

【事例 2-3-8】

公的機関などで配布されている『災害時バンダナ』(耳が聞こえないことを示すバ

ンダナ)を取り寄せて、非常時に着用できるようにした。

理工系大学のため化学反応などを伴う実験を行うことになるが、もしもの時に

危険を察知しづらい。

受付の順番となって呼ばれていたとしても分からない。声に出して呼ぶ以外の

方法はないだろうか。

警報は音声によるものが多く、聴覚障がいがあると気づきにくい。

災害などがあってもアナウンスが聞こえないので状況判断が難しく、周囲の動

きを見て行動するしかない。せめて聴覚障害があることを示すものがほしい。

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(4)知的障がい

【生活場面例:教育】

【事例 2-4-1】

本人の理解度や操作能力に合わせて、絵カードやタブレット端末、音声ペンなどの

補助手段を導入した。

【生活場面例:雇用・就業】

【事例 2-4-2】

障がい者とのコミュニケーションについて、専門家による社員研修を実施した。

【生活場面例:災害等】

【事例 2-4-2】

避難場所や避難する際の注意などを分かりやすく伝えるための視覚的な手がかりを

用意した。また、学校内の避難経路は分かりやすいように、生徒の目線の位置に目印

を設置し、避難訓練の際もそれを手掛かりにして避難するようにした。

発語はないが、実物や指差し、発声で要求や援助を伝えることができる。しか

し、明確に相手に伝わらないことも多い。

他の社員となかなか馴染むことができない。

予定外のことなどで不安になったり、パニックになったりすることがあり、災

害時にも同様のことが予想される。

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(5)精神障がい

【生活場面例:教育】

【事例 2-5-1】

生徒の希望と症状の診断結果を考慮して、一部の講義にチューターを付けて修学支

援することとした。

【生活場面例:雇用・就業】

【事例 2-5-2】

気兼ねなく服薬と小休止ができるように別室を設け、必要に応じて別室での休憩を

認めることとした。また、本人の希望を踏まえて、障がいの状況について理解を促す

ための職場研修を行った。

障がいにより講義に集中できない時があり、単位の取得が難しくなっている。

調子が悪い場合に薬を飲んだり少し休みたいときがあるが、職場で周囲の目が

あると気が引けてしまう。

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(6)発達障がい

【生活場面例:教育】

【事例 2-6-1】

椅子の引きずる音を減少させるため、すべての机と椅子の足に防音加工を施した。

【事例 2-6-2】

休憩時間に好きな活動をしている途中でも授業への気持ちが切りかえやすくなるよ

うに、チャイム前に合図となる音楽を流すようにした。

【事例 2-6-3】

掲示スペースを教室の後ろ側へ移設した。

大きな音に敏感な児童への対応が求められた。

休憩時間から授業への気持ちの切り替えに時間がかかるため、授業に集中でき

ない。

黒板の横などに掲示スペースがあると、視界に入る掲示物が気になって授業に

集中できない。

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(7)内部障がい、難病に起因する障がい

【生活場面例:教育】

【事例 2-7-1】

学校でも吸引処置を行えるように、養護教諭が手技を取得して対応することとし

た。

【生活場面例:雇用・就業】

【事例 2-7-2】

時短勤務や在宅勤務など、柔軟に変更できる雇用制度を導入した。

【事例 2-7-3】

年次休暇とは別に、通院のために使用できる休暇制度を導入した。

気管切開で吸引処置が必要な生徒が来年入学することになった。

症状が悪化している時期には、1日8時間・週5日の勤務だと、体力が持たな

い場合がある。

定期的な通院が必要だが、通常の休暇制度では日数が足りなくなってしまう。