極限ゲート構造によるシステムディ スプレイの超低消費電力化...2008/12/08...
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2008年12月8日
極限ゲート構造によるシステムディスプレイの超低消費電力化
大阪大学産業科学研究所 小林 光
大阪大学工学研究科 谷口研二
シャープディスプレイシステム研究所 今井繁規
システムディスプレーの超低消費電力化
CREST開始時 CREST終了時中間審査時
TFTの動作電圧
15 V 5 V 3 V以下
回路構成アーキテクチャソフトウェア
CMOSパストランジスタロジック
消費電力 1 1/45 1/250 以下
マルチドライバー技術/ソフトウェア
低消費電力化の
キーテクノロジー
閾値電圧動的制御並列処理/ソフトウェア
消費電力 1 1/9 1/25以下
消費電力 1 1/5 1/10
薄膜トランジスター(TFT)のゲート酸化膜従来技術(CVD法) 新技術(硝酸酸化法)
課 題
・ 凹凸のある表面での酸化膜厚が不均一
・高い酸化膜リーク電流密度
・悪い界面特性
・ポーラスで悪い膜質
特 徴
・凹凸のある表面でも酸化膜厚が均一
・低いリーク電流密度
・良好な界面特性
・膜密度が高く良好な膜質
・高性能化
・低コスト化SiO2膜
TEOSの分解反応
多結晶シリコン
酸化前の表面
リーク電流SiO2膜
TEOSの分解反応
多結晶シリコン
酸化前の表面
リーク電流 SiO2膜
酸化前の表面
硝酸溶液
多結晶シリコン
SiO2膜
酸化前の表面
硝酸溶液
多結晶シリコン
大きな酸化膜厚(~80nm)
高い駆動電圧(15V)
高消費電力
小さな酸化膜厚(40nm以下)
低い駆動電圧(3V以下)
超低消費電力
二段階硝酸酸化法により120℃で形成したSiO2膜の膜厚
一段階目:40重量%硝酸二段階目:68重量%硝酸
0
5
10
15
20
25
30
0 100 200 300 400 500酸化時間(分)
酸化
膜厚
(nm
) 改良二段階硝酸酸化法
単結晶シリコン
二段階硝酸酸化法
二段階硝酸酸化法で形成したSiO2/多結晶シリコン薄膜の構造
10 nm
Al
SiO2
poly-Si
10 nm
Al
SiO2
poly-Si
Poly-Si film
SiO2
Al
10 nmPoly-Si film
SiO2
Al
10 nm
硝酸酸化:120℃、100分
硝酸酸化膜と熱酸化膜との電気特性の比較
10-11
10-9
10-7
10-5
10-3
10-1
101
0 1 2 3 4 5
Cur
rent
den
sity
(A/c
m2)
Eox(MV/cm)
○ 900℃熱酸化
□ 68w%硝酸+PMA
二段階硝酸酸化・・・ 40% 硝酸、68% 硝酸、酸化膜厚10nm熱酸化・・・900℃、dryO2、酸化膜厚15nm
0
0.2
0.4
0.6
0.8
1
-4 -3 -2 -1 0 1 2 3
C/C
ox
Gate Voltage(V)
○ 900℃熱酸化
□ 68w%硝酸+PMA
電圧-容量特性は熱酸化膜と同程度
共沸硝酸酸化法によるTFTの低消費電力化
多結晶Si薄膜
CVD酸化膜
CDV膜堆積
•酸化膜厚の低減•界面準位の低減多結晶Si薄
膜
多結晶Si薄膜 硝酸酸
化
硝酸酸化膜(1~2nm)
超低消費電力化
CVD酸化膜厚依存性のシミュレーション結果スタック構造
Reference
GateCVD膜
S D
GateCVD膜
S D
硝酸酸化膜界面準位
硝酸酸化膜
0 20 40 60 80 100
50
100
150
200
tox-CVD (nm)
S値 (m
V/d
ecad
e) Reference
スタック構造
60 mV/decade
S値のCVD酸化膜厚依存性
・界面準位の低減・酸化膜の薄膜化
(理論限界) S値改善により
低電源電圧動作が可能に
共沸硝酸酸化法で創製した<Al/1.3 nm SiO2/Si (100)> MOS ダイオードの電流-電圧特性
Gate limit
ゲート電圧(V)
10
10
10
10
10
10
10
10 2
1
0
1.5 1.0 0.5 0 0.5 1.0 1.5
リー
ク電
流密
度(A
/cm
2 )
5
4
3
2
1
1.5nm熱酸化膜
PMAなし、1.4nm
PMAあり、1.3nm
PMA: 200ºC、5%水
素中
TFT形成プロセスフロー
硝酸酸化TFT
TFT基板作製
HFエッチング
超純水洗浄室温硝酸酸化 (10 min)超純水リンス洗浄超純水流水中クリーンワイプ洗浄N2 ブロー乾燥N2 中アニール (250°C)
TFT形成(ゲート酸化膜厚:40nm)
Ref. TFT
TFT基板作製
クリーンルーム内放置
TFT形成(ゲート酸化膜厚:80nm)
阪大
シャープ
シャープ
TFT試作結果ゲート絶縁膜 結果 対策
1.8 nm室温硝酸酸化
+40 nm CVDPch-TFT
5 V動作に成功
3 V動作も可能
ゲートリーク電流低減に成功
Nch-TFT ゲートリーク電流低減に成功
動作不良(コンタクト不良)
・ドライエッチング量調整
・ドーピング量調整
実チップ試作ライン投入済み
シアン化法によるTFTの高性能化
CN- CN-
SiSi
Fe CuCuSi
FeCu
SiSi
Cu
SiCN
CN CN多結晶シリコン薄膜
欠陥準位
HCN水溶液
シアン化法:HCN水溶液に半導体を数秒~数分浸漬
1) 欠陥準位の消滅
2) 金属汚染物の除去
TFTの高性能化
1) 閾値電圧とそのバラツキの低減
2) リーク電流の低減
3) 移動度の向上
TFTの低消費電力化
極低濃度HCN水溶液による金属汚染の除去
1.0 ppm
1.E+08
1.E+09
1.E+10
1.E+11
1.E+12
1.E+13
1.E+14
0 1 2 3 4 5 6 7
洗浄時間 (/min)
35℃25℃
2.7 ppm
検出下限
表面
Cu濃
度(/
atom
s/cm
2)
シアン化法による欠陥準位の消滅
0.1 0.3 0.5 0.70
20
Cur
rent
Den
sity
(m
A /cm
2 )
シアン処理(?=12.3 %)
光起電力(V)光
電流
密度
シアン化法(η=12.3%)
処理なし
多結晶シリコン中の欠陥準位の消滅
多結晶シリコン太陽電池の変換効率の向上
TFTの低消費電力化(現時点)
TFT消費電力比: (38/81)×(3/15)2 = 1/53
デバイス部分での低消費電力化
システム(回路構成)での低消費電力化
最終目標達成の見通しとその進め方
小林グループ最終目標: 2.5V駆動TFTの開発
TFTの消費電力を現在の1/36以下に
目標達成の手段
1. 一段階硝酸酸化膜/CVD酸化膜スタック構造によってゲート酸化膜厚を30nm以
下に2. 改良二段階硝酸酸化法を用いて10~20nmの膜厚を持つゲート酸化膜を形成
3. 欠陥消滅型半導体洗浄法によって多結晶シリコン薄膜中の欠陥準位を消滅
最終目標達成の見通しとその進め方
谷口グループ最終目標1. 硝酸酸化膜TFTのSPICEモデルの開発2. 新構造TFTデバイスの研究開発3. 超低消費電力TFT用の新回路機能ブロックの研究開発
1. 硝酸酸化膜TFTのSPICEモデルの開発2. 新構造TFTデバイスの研究開発3. 超低消費電力TFT用の新回路機能ブロックの研究開発
今井グループ最終目標2.5V駆動の超低消費電力システムディスプレイの設計と
試作による実証
消費電力を1/250へ
1. 並列処理回路、閾値電圧動的制御回路、新低消費電力回路、新ソフトウエア等を用いたモバイル機器のシステムディスプレイの設計と評価
2.大型ガラス基板を用いた硝酸酸化プロセス・デバイスの最適化と実チップの試作と実証
CREST終了時の低消費電力化率とデモストレーション
TFT消費電力比: (1/7)×(2.5/15)2 = 1/250
デバイス部分での低消費電力化
システム(回路構成)での低消費電力化
最終デモ: 太陽電池を用いる3インチ
ディスプレイ、実質的な消費電力はゼロ