技術ナビゲーション2018 - ciaj...2.5 対匋型ui/ai ......

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Copyright (C) 2018 CIAJ All Rights Reserved 技術ナビゲーション2018 2018年 4月 18日 一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会 技術企画部会 公開版

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技術ナビゲーション2018

2018年 4月 18日

一般社団法人 情報通信ネットワーク産業協会

技術企画部会

公開版

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【目 次】1.「技術ナビゲーション2018」の全体像 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

1.1 はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・ ・1.2 「技術ナビゲーション2018」の概要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・

1.3 調査・検討課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2. IoTを活⽤したサービス、ビジネスの潮流 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・ ・・・・・・・・・・・・・

2.1 IoTを活⽤したサービス、ビジネスの新しい潮流:全体像 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2.2 デジタル化の2つの方向性:Digitization vs Digitalization ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2.3 オープンAPI革命 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2.4 データ取引市場、情報銀⾏、官⺠データ活⽤推進 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2.5 対話型UI/AI ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

2.6 マスカスタマイゼーション ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

3. サービス、ビジネスや関連するプレイヤーの分類 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

3.1 サービス、ビジネスや関連するプレイヤーの分類、類型化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

3.2 プラットフォーム・エコシステムにおけるプレイヤーの関係 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

3.3 イノベーションの4つの要因 〜ビジネスモデルのマジックトライアングル〜 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

3.4 成功したビジネスモデルの組合せと変遷 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

3.5 ビジネスモデルの潮流:IoTプラットフォームによる価値創出モデルの変化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

3.6 ⽤語の説明 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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【目 次(続き)】

4.サービス、ビジネスの創出を支える技術の動向 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

4.1 サービス、ビジネスの創出を支える技術の動向:全体像 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

4.2 プライバシー保護データマイニング・匿名化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

4.3 ブロックチェーン ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

4.4 ⼤規模データの活⽤とデータ価値密度 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

4.5 SDx、NFV:ソフトウェア制御によるIoTネットワークの多様な要求を実現 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

4.6 セーフティとセキュリティの統合化手法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

4.7 モデルベース運⽤保守、開発へのフィードバック ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

4.8 エッジ・インテリジェンス 〜インテリジェント・ハブ〜 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

5. サービス、ビジネスを創出する際の課題、阻害要因等 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

5.1 サービス、ビジネスを創出する際の課題、制約、阻害要因:全体像 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

5.2 AI技術格差 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

5.3 IT投資に対する経営者のマインド ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

5.4 経営者・社会のマインドの相違 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

5.5 新ビジネス創出のためのベンチャー投資額の格差 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

5.6 AI革命後の技術を中心としたパラダイムシフト ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

6. まとめ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

6.1 今後取組むべき方向性 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

6.2 まとめ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

7. あとがき ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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1. 「技術ナビゲーション2018」の全体像

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1.1 はじめに

技術ナビゲーション2015, 2016, 2017では、IoTをテーマに、その技術動向を調査検討してきました。

ICT技術の発展は、物と物とのつながりの範囲を拡張し、IoTという名のもとに業界固有個々に存在するICTシステムをビッグデータとAI技術の実現環境の進展と相まって、サービスの量的質的な特性を高度化します。さらに、個々のシステムに存在する情報も融合化され、多面的に個々のシステム相互がインタフェースされると、多様性がシステム特性に付加されて新たな付加価値が醸成され、新たなビジネスモデルを内包したシステムの構築へと変貌します。これらの底流にある実現面も、IoTプラットフォーム、構成要素AI、H/W、S/W技術もオープン化の流れに協調して形成され、受容する社会経済の仕組みも新たな局面へと進展していきます。例えば、サービスの在り方も、既存の固有のサービスの枠を超え、シェアリングエコノミーのような多様性をすでに生み出しています。

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1.1 はじめに

デジタルトランスフォーメーションに関して、政府からは超スマート社会が提唱されています。2017年10月に開催されたCEATECで、CIAJのキーノートスピーチのなかで提示された、超スマート社会を目指す日本のIoT政策や各種取組みの図を示します。

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1.1 はじめに

新たなサービスが生まれ、また社会に受け入れられている背景には、いくつかの要因があると考えられます。

‥企業や社会のチャレンジ精神‥従来のビジネスモデルにこだわらない柔軟性‥気軽に実験できる社会環境や制度‥IoTやAIとのHMIが人間の側に近づいてきていること

技術ナビゲーション2018は、このようなIoTの新たな活用というテーマに注目し、業界の個々のシステムの枠を超えた、超次元の情報のつながりが生み出す社会-デジタルトランスフォーメーション-へと駆動される趨勢を受け止め、サービスや技術の動向、また合わせて課題等について調査を実施しました。また、今後取り組むべき方向性についても触れています。

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1.2 「技術ナビゲーション2018」の概要

【新たなサービス創出の活発化】「技術ナビゲーション2018」第2章、第3章では、このような超スマート社会を実現させるような新たなサービスが日々提唱され、実用化に向けた動きが活発になっていることを示しました。新しいサービスにもいくつかの類型やビジネスモデルがあり、様々な分野で新しい価値の創造が進んでいることがわかります。またその源泉はハードウェアからソフトウェアへ、さらには、提供されるサービスそのものへとシフトしています。大規模な設備を持たず、企業体力の小さなベンチャー企業でも、広く普及しているスマートフォン、ネットワーク、プラットフォームなどの汎用的なインフラを活用して、次々と新たなサービスを提供しており、従来の企業競争の構造が変化していることがうかがえます。

【技術的な背景】これらのサービスを支える技術も日々発展しています。最近の動きを第4章にまとめました。IoTのベースとなるセンサー系については、市場規模も年々拡大しており、人体や雰囲気センサー等、新しい分野が大きく広がりつつあります。また、収集されるビッグデータの蓄積、処理も重要な要素であり、データ価値密度などの新たな概念も提唱されています。更に、AI、ブロックチェーン等についても、研究段階から実用化段階へと進みつつあります。不具合等も指摘されてはいますが、真に社会の発展に貢献する地道なサービスの実現への適用が期待される、といったところでしょうか。

【日本における阻害要因】それでは、世界の中における日本の状況はどうでしょうか。 AIに関する発表論文数や特許出願数を見ても、世界から取り残されている、あるいは後塵を拝している感があります。

それらを含めて新たなサービスやビジネスを創出する際の、日本独自の阻害要因と思われるものがいくつか考えられます。それらを第5章にまとめました。

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1.3 調査・検討課題IoT活⽤の新しい潮流とそれらを支える技術を⾒据え、両者に係わる課題を捉えることで、今後取組むべき方

向性について展望する。

第4章 サービス、ビジネスの創出を支える技術の動向

第2章 IoTを活⽤したサービス、ビジネスの新しい潮流、事例の収集

第5章 サービス、ビジネスを創出する際の課題、制約、阻害要因、等

第3章 サービス、ビジネスや関連するプレイヤーの分類、類型化

分析

分析

第6章

今後取組むべき方向性

展望

� デジタルトランスフォーメーション(DXE)

� オープンAPI革命� オンデマンドマーケット

プレース� データ取引市場、

情報銀⾏、情報信託銀⾏

� バリューチェーンからレイヤー構造化モデルへ� コンシューマ、プロシューマとの価値共創モデル� ビジネスエコシステム

� データ価値密度に基づくデータ最適配置アーキテクチャ� SDx(Software Defined Everything)と仮想化技術の拡⼤浸透� ディペンダビリティ(サイバーセキュリティを含む)とアシュアランス技術� セーフティとセキュリティの統合フレームワーク� プライバシー保護データマイニング、秘密分散技術等のセキュアスマートデータ� ブロックチェーンと分散型価値NWプラットフォーム

� データ競争政策、データニューディールと公正な競争環境� IoTプラットフォーム・ロックイン、データロックインと市場独占� ネットワーク外部性とマルチサイドマーケット� ⼈材流動性の確保、イノベーション・エコシステム、CVC

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2.IoTを活⽤したサービス、ビジネスの潮流

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Copyright (C) 2018 CIAJ All Rights Reserved 10 ㈱三菱総合研究所2017年度委託調査報告資料より

2.1 IoTを活⽤したサービス、ビジネスの新しい潮流:全体像� IoTの活⽤により、既存業務のデジタル化、さらには、デジタルの活⽤による新たなビジネスモデルの創出が進展し

ている。価値創出の源泉は、オンデマンドマーケット、異分野融合、スマート化、サービス化など多様なものに渡る� IoTの発展により、今まで関係の薄かった複数のプレーヤが結びつき、新たなサービスが生まれることにより、社会

的価値の創出に貢献できるデジタルトランスフォーメーション

既存業務のデジタル化(Digitization)からデジタルを活⽤したビジネスモデルの変革(Digitalization)へと進展が期待される

オンデマンド・マーケット創出

異分野融合・創発(オープン化) スマート化 サービス化

ネットワーク効果(外部性)

Digitization既存業務のデジタル化(1)既存業務の強化(2)ITに代替(3)デジ・アナ業務接続

Digitalization新たなビジネス創出

デジタル化のフェーズ

価値創出の源泉(例)

オープンAPI革命(LogiTech等)

データ取引市場情報銀行、情報信託銀行

データニューディール

UX,HCD,エスノグラフィ(店舗解析等)

サブスクリプションモデル(所有からアクセス型へ)

(Netflix等)

xTech(クロステック)(FinTech、 InsurTech等)

オープンAPI革命(SORACOM API等)

プロシューマモデル

(パーソナル・ファブリケーション)オンデマンド需給

マッチング(AirB&B等)

サービス共創(Service Co-Creation)

対話型UI/AI

マスカスタマイゼーション(ハーレー・ダビッドソン等)

赤文字は次⾴以降で要点整理。⻘文字は「ビジネスモデルの潮流(p.25)」に記載

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Copyright (C) 2018 CIAJ All Rights Reserved 11 ㈱三菱総合研究所2017年度委託調査報告資料より

利益

2.2 デジタル化の2つの方向性:Digitization vs Digitalization� 付加価値を高める方法は、「コストを削減するか」、「収益を拡⼤するか」 の2通り� 顧客のニーズに目を向けるか、サプライヤーとの関係に目を向けるかの違い� IIC, 米国IoTスタートアップ等は、顧客のデータ活⽤により新たなサービス創出へと進展� Industrie 4.0は、製造プロセスに目を向けオートメーション化、効率化を図る

利益

費⽤

利益

費⽤費⽤

(利益)=(売上)ー(費⽤)

コスト削減(守りのIoT)

新たな需要創出(攻めのIoT)IoT導入前

ドイツ型 従来の日本? 米国型

費⽤減少(利益増分)

利益増分

売上高

売上高

(出所)三菱総合研究所作成

外への改革サービス・

ビジネスモデルイノベーション

内なる改革プロセス・

イノベーション

コストリーダーシップ 差別化戦略

日本企業のさらなるコスト削減

の余地は少ない

日本企業とフォーチュン500企業の最近の変化の差

(Digitization) (Digitalization)

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Copyright (C) 2018 CIAJ All Rights Reserved 12 ㈱三菱総合研究所2017年度委託調査報告資料より

� 事例1:LogiTech:寺田倉庫MINIKURA-API×AirCloset� 倉庫管理業務とノウハウ(Warehouse Management System)をAPIを通じてサービスとして利⽤することで実現可能

2.3 オープンAPI革命:企業の業務サービスのプログラマブル化&オープン化【事例: 業務サービスのAPI化、⾦融API ) 】� 企業そのもののデジタル化

業務とオペレーションノウハウを、他分野の企業が容易に手に入れられるように、オープンAPIを通じてプログラマブル化、オープン化する。

� 従来の情報系APIから実世界のAPI化へと進化:プログラマブル化されていなければ、企業のアセットは有効なアセットとは言えない。

Warehouse Management System

実世界の業務サービスのAPI化(プログラマブル化)

� 事例2:FinTech:Fidor OS 金融API� facebookの「いいね!」評価と連動したソーシャルレンディング(融資)、クラウドファンディング(投資)などの金融APIを提供� EU決済サービス指令、シンガポール金融通貨庁、日本金融庁 改正銀行法で、オープンAPIを推進

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Copyright (C) 2018 CIAJ All Rights Reserved 13 ㈱三菱総合研究所2017年度委託調査報告資料より

2.3 オープンAPI革命:IoTサービスをSIMカード単位でプログラマブル化

【事例:SORACOM API】� Web ブラウザによるユーザーコンソールや API を利⽤して、利⽤者⾃⾝が管理設定可能� 利⽤者⾃⾝が、データ通信の開始、休⽌や再開、通信速度の変更、オンライン、オフライン

といった通信の状態、データ使⽤量の監視を⾏うことができる。� ネットワークテストベッドの世界

User Controlled Light Path(UCLP), Open Dynamic Resource Allocation Controller (OpenDRAC)などNWインフラのプログラマブル化&オープン化が進展

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Copyright (C) 2018 CIAJ All Rights Reserved 14 ㈱三菱総合研究所2017年度委託調査報告資料より

2.4 データ取引市場、情報銀⾏、官⺠データ活⽤推進� 官⺠データ活⽤推進基本法(2016年12⽉成⽴)により、官⺠データ活⽤の推進に関する基本施策や、国として

重点的に取組むことが明確化された。� データ流通環境整備検討会(IT戦略本部内)において、データ取引所、情報銀⾏、パーソナルデータストア等に

係わる事業者との連携や課題に関わる推奨指針が示された。

� データ流通に係わる事業者、政府による連携の推進• データ流通環境整備検討会において、分野横断的なデータ流通

のため、PDS(パーソナルデータストア)、情報銀⾏、データ取引市場の取組みを事業者、政府の連携により推進することが示された。

• セキュリティ、データ流通の透明性の確保、データポータビリティの確保について、推奨指針をとりまとめられた。

データ流通利⽤に関する仕組み

PDS 個⼈が⾃らのデータを蓄積・管理・活⽤するための仕組み(英国BIS)

情報銀⾏ 個⼈からの預託によりデータを管理し、個⼈に便益を還元する事業(産業競争⼒懇談会)

データ取引所 データ保有者と利活⽤者とを仲介し、データを取引する市場

株式会社日本データ取引所 J-DEX• 企業間のデータエクスチェンジを通じて新しいビジネス(=

高い付加価値)を創出する事を目指してデータ取引所の開設を進めている。

データ取引に関するニーズと課題• データ利⽤者、提供者とも、企画⽴案と調整機能のニーズが強い• データ活⽤は様々な分野に渡るため関係者による共通の対話が成⽴

し難い• データ活⽤を⾃前でする企業は少なく、分析、施策⽴案のフォロー

やパートナー支援が必要• データ単体での価格付けが難しい

サービスメニュー

図:J-DEX

図:METI

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Copyright (C) 2018 CIAJ All Rights Reserved 15 ㈱三菱総合研究所2017年度委託調査報告資料より

2.5 対話型UI/AI :⼈とITをつなぐ直感的な接点としてのプラットフォーム

� 従来の固定的なUIではなく、 対話により曖昧な要求にも柔軟に対応可能となり、ユーザが、コマンドを正確に覚えること無く、直感的な命令を出せる。

� 音声対話データ、チャットデータなど、⼈とITをつなぐデータを全て蓄積するデータプラットフォームを担う� 音声認識の性能向上により実⽤レベルに近づき、2017年には2450万台出荷の⾒込み(VoiceLabs)� Alexa Skill KitなどのAPIを通じて、Uber等の様々な外部サービスへの入り口としてユーザとの接点を担う

事例 : Amazon Alexa• クラウドベースの音声認識サービスであり、 Amazon Echo等

の端末から利⽤できる。• ユーザーからの音声入⼒をクラウド上で処理し、外部サービス

を呼び出す。(Uberを呼ぶ、ピザの注文、音楽の再生などAlexa Skill Kitを通じて外部のサービスと連携することが可能)

• Alexa Skillはサードパーティーによって開発されており、総数は2017年8⽉に2万個を超える

• alexaとcortanaの連携により得意分野の補強を計画中

対話型ユーザーインターフェース(UI)の⽤途別分類

出典) Amazon Developer Portal 出典) 日経 BigData

タスク型 • 質問・注文を⾏うなど、何らかのタスクを⾏うことが目的

• 対話エージェント⾃体がサービスの主体なスタンドアロン型と、他のサービスの窓口のひとつとして提供される非スタンドアロン型が存在

例• 非スタンドアロン型:

• マナミさん (LOHACO)• スタンドアロン型:

• Siri (Apple)• Alexa (Amazon)• x.ai• Cortana(Microsoft)

非タスク型 • 会話そのものが目的(雑談など)• 例:りんな(Microsoft)

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Copyright (C) 2018 CIAJ All Rights Reserved 16 ㈱三菱総合研究所2017年度委託調査報告資料より

2.5 対話型UI/AI:未来のIoTアーキテクチャとAIベースUIの位置付け

� ⼈がIT(機械)のコマンドを学ばなくても、対話により柔軟に対応できる知的UI� ⼈(ユーザ)と従来のITの間をつなぐ接点として全てのデータを取得・分析・経由する� ⼈の能⼒や感覚を補強してくれるインタフェース(IA:Intelligence Augmentation)

⼈・ユーザAIベースUI

(ユーザとの接点) 従来のIT

(出所)三菱総合研究所

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Copyright (C) 2018 CIAJ All Rights Reserved 17 ㈱三菱総合研究所2017年度委託調査報告資料より

2.5 対話型UI/AI:ユーザインタフェースの変革の兆し

キーボード マウス タッチパネル

⽂字列(コマンド)で操作を指示

画面上のメニューやボタンを選んで指示

画面上のアイコンを指で触って指示⽂字⼊⼒も指

1.0 2.0 3.0

汎用機 PC スマホ

ユーザインタフェースの世代進化1980年 1995年 2010年

スマートグラス

拡張現実に映し出された情報に声とジェスチャーで指示

4.0音声対話+AR/VR+ジェスチャ

+UXAIベース

2020年?普及時期

ハード

世代

デバイス/方式

Apple II Window95 iPhone

音声対話/チャットボット

声だけですべてを指示

(3.5)

音声コミュニケーション端末

2016年

Amazon Echo

(出所)三菱総合研究所

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Copyright (C) 2018 CIAJ All Rights Reserved 18 ㈱三菱総合研究所2017年度委託調査報告資料より

【参考】GoogleのAIファースト宣言

� Google社是「世界の情報を整理し、世界中の⼈がアクセスできるようにして便利にする」

� モバイルファーストから「AIファースト」へ� 世界中情報から欲しい情報にすばやくアクセスしたい ⇒意図を汲むAI検索「Google Search」� 地図だけでなく道順も知りたい ⇒経路探索AI「Google Map」

� 2010年Google Brainプロジェクトを起点にディープラーニングに注⼒

� 文章だけでなく写真・動画も探したい ⇒画像自動タグ付けAI「Google Photo」� 外国語の情報も⾒たい ⇒あらゆる言語をリアルタイム翻訳AI「Google翻訳」� いつでも、どこでも ⇒(PC→スマホ→)デバイスフリー音声対話AI「Google Assistant」

出典:http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20150602/1064988/?P=4

GooglePhoto「食事」タグ

出典:https://twitter.com/rna/status/824205335388749824/photo/1

リアルタイム翻訳

出典:https://madeby.google.com/home/

音声端末「Google Home」

Ok Google、今日の私の予定を教えて

おはよう、ミッシェル。午前7:21です。天候は晴れ、22度です。日焼け⽌めが必要かもしれません。今日は9:30に公園で5km走る予定です。よい一日を

三菱総合研究所作成

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Copyright (C) 2018 CIAJ All Rights Reserved 19 ㈱三菱総合研究所2017年度委託調査報告資料より

【参考】⼈工知能の研究開発の2つの方向性� ⼈工知能の研究開発は⼤きく分けて「特化型⼈工知能」と「汎⽤⼈工知能 」の2つの流れ� (1)特化型と(2)汎⽤型の双方の進展と、両方に跨る(3)⼈とAIの協調的・融合的な技術の発展

(出所)東京大学工学系研究科 准教授 松尾 豊「人工知能の現在と未来」

特化型人工知能

� 認識系(入力系等)� 画像認識コンペでディープラーニングが

ブレークスルー[実用段階]� Baidu社のノイズ環境下で高性能な音

声認識システム(Deep Speech等)開発[応用研究]

� FacebookのDeep face顔認識、スポーツ画像判別技術[応用研究]

� 画像、音声等のマルチモーダルな統合認識による状況認識[基礎研究]

� 制御・推論系(インタフェース等含む)� レベル3自動運転[応用研究]� DARPAロボティクスチャレンジ災害復

旧ロボット[基礎研究]� IBM Watson医療診断支援、銀行窓口

の対人支援へ応用[応用研究]� DeepMind Alpha Go囲碁プロレベルに� Google DeepMind DQN プロゲー

マーを凌駕[実用段階]� AlphaZero:AI自己対戦による進化

汎用人工知能

� EUヒューマン・ブレイン・プロジェクト[基礎研究]

� 米国BRAINイニシアチブ[基礎研究]

� オックスフォード大学 全脳エミュレーションWBE(Whole Brain Emulation) [基礎研究]

� 日本 全脳アーキテクチャ・プロジェクト [基礎研究]

� 生物学に基づく認知アーキテクチャBICAs(Biologically Inspired Cognitive Architectures)[基礎研究]

� IBM/DARPA SyNAPSEチップ[基礎研究]

� QualcommニューロモルフィックチップZeroth[基礎研究]

人とAIの協調・AIのネットワーク化

� 人の知能の補強 IA(Intelligence Augmentation)(知識支援等)[実用研究]� AI、人工脳、BMI(Brain Machine Interface)の融合、協調的な進化(脳波によ

る機器制御、短期記憶力の向上等)[実用研究]� 脳のリバースエンジニアリング、脳波制御技術MindPDR[基礎研究]� 人間とサイバー空間上のAIの集合知[基礎研究]

ディープラーニングをベースとする技術的発展予測

人工知能の研究開発の流れ

(出所)三菱総合研究所

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Copyright (C) 2018 CIAJ All Rights Reserved 20 ㈱三菱総合研究所2017年度委託調査報告資料より

【参考】現在の特化型AIで難しいこと

リアルな課題を解決するには、

ゴールが設定できないので、何も始まらない本能的な欲が無い

解くべき課題を定式化できないず、やっぱり始まらない問題が定義できない

ヒラメキが無いので、新たな⽅法は発⾒できない

簡単に解ける課題を簡単に解けない/例外に弱い常識が無い創造性が無い

人を巻き込み・動かせないので、課題が解決しない共感が無い

目的設定1

問題設定2

解決方法検討3

実際の課題解決の⾏動4

AIと人との競争ではない!AIを武器にする人(IA) ⇔ AIに使われる人

の格差が広がるのが問題(出所)三菱総合研究所

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Copyright (C) 2018 CIAJ All Rights Reserved 21 ㈱三菱総合研究所2017年度委託調査報告資料より

2.6 マスカスタマイゼーション

【事例】ハーレー・ダビッドソン(カスタムバイクの生産合理化)� 顧客の注文を即座に生産計画に反映、部品の発注や在庫管理、生産ラインの稼働管理までを

一元管理することで、サプライチェーンを最適化� ワーカーには作業指示を適切に送り、非熟練技能者でも効率よく作業できる環境を実現。こ

うした取組の結果、生産リードタイムを21日から6時間へ短縮

IoTを活⽤したスマートファクトリ利⽤者注文カスタマイズ画⾯

(図:Harley-Davidson)(出所)三菱総合研究所

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Copyright (C) 2018 CIAJ All Rights Reserved 22 ㈱三菱総合研究所2017年度委託調査報告資料より

【参考】データ/NW集約型のユニコーン企業(⼤型スタートアップ企業)の急増

� 2014年頃からユニコーン企業(評価額1000億円以上の未上場成⻑企業)が急増� オンデマンドサービス、Eコマース/マーケットプレース、FinTech、ビッグデータ等のユニコーン企業が上

位を占有

(出所)三菱総合研究所

企業名企業評価額

10億ドル到達時期

国 産業

Uber 68.0 8/23/2013United States

On-Demand

Xiaomi 46.0 12/21/2011 China Hardware

Didi Chuxing 33.8 12/31/2014 China On-Demand

Airbnb 30.0 7/26/2011United States

eCommerce/Marketplace

Palantir Technologies

20.0 5/5/2011United States

Big Data

Lu.com 18.5 12/26/2014 China Fintech

China Internet Plus Holding

18.0 12/22/2015 China eCommerce/Marketplace

Snapchat 18.0 12/11/2013United States

Social

WeWork 16.9 2/3/2014United States

Facilities

Flipkart 16.0 8/6/2012 India eCommerce/Marketplace

SpaceX 12.0 12/1/2012United States

Other Transportation

Pinterest 11.0 5/19/2012United States

Social

Dropbox 10.0 10/5/2011United States

Internet Software & Services

Infor 10.0 11/16/2016United States

Internet Software & Services

DJI Innovations

10.0 5/6/2015 China Hardware

Stripe 9.2 1/23/2014United States

Fintech

Spotify 8.5 6/17/2011 SwedenInternet Software & Services

Zhong An Insurance

8.0 6/11/2015 China Fintech

Snapdeal 7.0 5/21/2014 India eCommerce/Marketplace

eCommerce/MarketPlate

FinTech

Internet Software /services

HealthCare

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Copyright (C) 2018 CIAJ All Rights Reserved 23 ㈱三菱総合研究所2017年度委託調査報告資料より

【参考】ネットワーク外部性の効果を生かした企業の競争⼒� 世界時価総額ランキングのベスト10のうち7社がICT企業� 上位ICT企業7社のうち、5社がネットワーク外部性を積極的に活⽤。 アマゾン、アリババは、規模の経済を追求。

(出所)三菱総合研究所

順位 企業時価総額

【B$】国 競争力の源泉

1 アップルiTunes Store、ユーザ開発環境xcode、開発言語Swift、製品デザイン力

2 アルファベット(google)

検索ユーザシェア、広告モデル(間接ネットワーク外部性)googleサービスクラウドラインナップ、Androidアプリ

3 マイクロソフト Officeソフトデファクト標準

4 アマゾン・ドット・コムカスタマ・エクスペリエンス(シンプルUI、レビュー、レコメンド)、規模の経済、ロジスティクス

5 フェイスブック アクティブユーザ数20億人(2017年)

6 テンセント・ホールディング

アクティブユーザ数(WeChat8.9億人、QQ IM 8.7億人、Qzone 6億人) (2017年) 多面サービス展開

7 バークシャー・ハザウェイ

長期的な投資収益率の高さ

8 アリババ・グループ・ホールディング

2017年独身の日セールで売上げ1682億元(約2兆8千億円)、中国消費者向けECサイトシェア80%

9 ジョンソン&ジョンソン 世界最大級のヘルスケアカンパニーのブランド力

10 JPモルガン・チェース フィンテック投資90億ドル(約1兆976億円)(2016年) 時価総額2017年12⽉

ICT ネットワーク外部性

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Copyright (C) 2018 CIAJ All Rights Reserved 24 ㈱三菱総合研究所2017年度委託調査報告資料より

【参考】資本集約型産業からデータ/NW集約型産業へのシフト

� 世界の時価総額上位企業は、資源や銀⾏など資本集約型産業中心から、ビッグデータやIoTを活⽤しネットワーク効果を効かせたデータ/NW集約型産業へと重心がシフトしている。

【10年前】資本集約型産業の時代

【現在】データ/NW集約型産業の時代

世界の上場企業時価評価額の上位企業の変化

(出所)日本経済新聞

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【参考】 MRI未来予測研究における新技術(AI,BD等)のマクロ経済効果分析� 雇用と付加価値がともに増加:⾦融サービス、VR産業、セキュリティ、ICT産業� 付加価値は増加するが雇用は減少:サービス産業、BtoCものづくり、自動運転、建設業、農業� 付加価値、雇用ともに減少:医療・介護(新技術が医療費総額の削減に寄与)� 雇用にはニュートラルで付加価値増:BtoB製造業� 付加価値増はニュートラルで大きな雇用減:ホワイトカラーのワーク・バリューシフト

※計算結果には、⻑期未来予測モデルでの雇用・付加価値の追加分を含む。

将来シナリオ別の付加価値・雇用者数増減

付加価値増減額(百万円)

雇用者数増減(人)

(出所)三菱総合研究所

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3. サービス、ビジネスや関連するプレイヤーの分類

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3.1 サービス、ビジネスや関連するプレイヤーの分類:全体像� IoTを活⽤したビジネスモデルは多様であるが、価値創出の観点で整理すると、主なものとして、オンデマンド需給

マッチング、オープン・プラットフォーム、サービス産業化、マスカスタマイゼーションなど挙げられる。� IoTプラットフォームエコシステムにおけるプレイヤーを類型化するとプロデューサ、コンシューマ、プロバイダー、

オーナー等に分類できる。

ビジネスモデル 本質価値 プレイヤー(例)

オンデマンド需給マッチング(シェアリングエコノミーへ)

センサーやインターネットなどを活⽤し、実社会の需要と供給をリアルタイムでマッチングする。

Uber、AirBnB、Lift

オープン・プラットフォーム(オープンAPIエコノミー)

サードパーティベンダーやコンシューマにアプリやサービスを開発可能にするプラットフォームを提供しオープンイノベーションによる価値創出を実現する。

OpenTable、TripAdviser、Uber

サービス産業化(Product-as-a-Service)(アウトカムエコノミーへ)

製品の販売ではなく、顧客にとっての本質価値に対して製品を含むサービスとして提供

Tire-as-a-Service, Light-as-a-Service、GE Predix、IIC

マスカスタマイゼーション(サプライチェーンオートメーションへ)

消費者の注文やサプライチェーンの物品情報を共有し、多品種カスタマイズ製品を生産

ハーレーダビットソン、Industry 4.0,

代表的なビジネスモデルの類型とそれに関わるプレイヤーの例

三菱総合研究所作成(参考) Harvard Business Review, How the Internet of Things Changes Business Models

World Economic Forum(WEF), Digital Transformation of IndustriesEU Horizon 2020 IoT Business Models Framework

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Copyright (C) 2018 CIAJ All Rights Reserved 28 ㈱三菱総合研究所2017年度委託調査報告資料より

通信基盤SDN,NFV、ブロックチェーン、匿名化、

プライバシー保護データマイニング

通信基盤SDN,NFV、ブロックチェーン、匿名化、

プライバシー保護データマイニング

プラットフォームプラットフォーム

3.2 プラットフォーム・エコシステムにおけるプレイヤーの関係

� プラットフォームの進展により、従来の製品・サービス事業者がパッケージを決める時代から、コンシューマ(利⽤者)とプロデューサ(サービス/製品作成者)が相互連携により価値を生み出す時代へと変化している。

� 供給者が主体となり製品サービスを決めるPipeline型モデル(Supply-side economy) から利⽤者が製品サービスの開発 に 参 加 す る Platform モ デ ル (Demand-side economy) へ と 価 値 創 出 モ デ ル が 変 化 し て い る→ オープンイノベーション誘発型エコノミー

� コンシューマ参加型の価値創出モデルが、企業価値を高める源泉となっている。

プラットフォーム・エコノミーにおける主なプレイヤーの関係

プロデューサ(サービス/製品作成者)

コンシューマ(利用者/消費者)

プロバイダー(プラットフォームのインタフェース)

オーナー(プラットフォームの所有者)

Pipelines, Platforms, and the New Rules of Strategy, Marshall W. Van AlstyneGeoffrey G. ParkerSangeet Paul Choudaryを元に作成

Androidを所有するGoogle、データ取引所など

モバイルデバイス、対話型UI、オープンAPIなど

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Copyright (C) 2018 CIAJ All Rights Reserved 29 ㈱三菱総合研究所2017年度委託調査報告資料より

3.3 イノベーションの4つの要因 〜ビジネスモデルのマジックトライアングル〜

• イノベーションは、Who-What-How-Why(前者2つは外的要因、後者2つは内的要因)を刷新することにより生まれる。これらの内2つ以上を刷新するのがビジネスモデルイノベーション。

• 製品イノベーションは、Whatのみの刷新に相当する。

(出所) The Business Model Navigator: 55 Models That Will Revolutionise Your Business, Oliver Gassmann, Karolin Frankenberger, Michaela Csik

Who :誰に対してWhat:何をHow :どの様に提供しWhy :なぜ利益を生むか

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3.4 成功したビジネスモデルの組合せと変遷� 成功したビジネスモデルの9割は既存の55のビジネスモデルの組み合わせ、他業界からの転⽤等による[1]。� 実績のある55のビジネスモデルには、フリーミアム、サプライ品モデル、サブスクリプション、両⾯マーケットなどが含まれる。

組合せ 転⽤[1]The Business Model Navigator: 55 Models That Will Revolutionise Your Business, Oliver Gassmann, Karolin Frankenberger, Michaela Csik

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Copyright (C) 2018 CIAJ All Rights Reserved 31 ㈱三菱総合研究所2017年度委託調査報告資料より

3.5 ビジネスモデルの潮流:IoTプラットフォームによる価値創出モデルの変化

� プラットフォームにより、産業とコンシューマによる価値の共創が加速している。

運⽤・保守生産・販売設計・開発マーケティング・企画

ユーザ消費者

IT/サービス

ものづくりマス・カスタマイゼーション

スマートファクトリーによる効率化・高機能化

ライフサイクル・プロセス&ループ

C2C

(例)Industry 4.0

(例)IIC

サービス共創(Service Co-Creation)ユーザやサードパーティがAPI

プラットフォーム上でサービス開発

シェアリングエコノミー

パーソナル・ファブリケーション3Dプリンターなどにより個⼈が

ものづくりに参加

サービス産業化(Product-as-a-Service)

製造業のサービス業化

オンデマンド需給マッチングリアルタイムに需要と供給をつなぐ

マーケットプレス提供

B2C

オープンAPIエコノミー

プレイヤー区分

(出所)三菱総合研究所

(例)Uber, AirB&B

(例)OpenTable

コンシューマとのサービス共創

C2Bコンシューマとの

ものづくり

コンシューマとの需給マッチング

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3.6 ⽤語の説明

用語 説明

UX(User Experience)製品、システム、サービスなどの利用を通じてユーザーが得る経験を重視する考え方で、ユーザは単に機能や性能だけで選ぶのではなく、経験に価値を求めるようになっていることを示す。

HCD(Human-Centered Design)

モノや技術中心ではなく、使う人間を中心に据えて、人の要求に合わせたモノ作りをするためのプロセスを体系化したもの。国際標準ISO 9241-210で規格化されている。

エスノグラフィ行動観察に基づくマーケティング手法。画像認識技術の進歩により、店舗内の顧客の画像を認識させることで自動的に顧客の行動を分析できるようになってきている。

パーソナル・ファブリケーション

工場における大量生産に対する概念で、3Dプリンターなどを用いて各個人が自らの創意工夫により製作すること

サブスクリプション・モデルサービスの利用期間に対して支払いをする形式のことで、「月額制」や「年額制」などのサービス料金設定を行うビジネスモデルである。企業としては安定した収益を見込むことができる。

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4.サービス、ビジネスの創出を支える技術の動向

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Copyright (C) 2018 CIAJ All Rights Reserved 34 ㈱三菱総合研究所2017年度委託調査報告資料より

4.1 サービス、ビジネスの創出を支える技術の動向:全体像IoTに係わる多様な技術のうち、データ基盤、モデリング技術、 AR/VR、セキュリティなどが注目される。

今後期待される主な技術の俯瞰図

NEDO報告書(三菱総合研究所作成)を元に改訂

システム区分 課題(目的ベース)

開発運用ツール

開発環境

運用・保守ツール

構成技術

要素技術

アプリケーション

基盤

ミドルウェア

OS

統合技術

アーキテクチャ・統合化

ディペンダビリティセキュリティ、セーフティ、

プライバシー等

センサーデータを複合的に活用したリアルタイム制御の高度化

人が介在するシステムのディペンダビリティ確保

運用データを活用した障害の検知・診断・復旧

リソース制約に対応したソフトウェア技術

新しいハードウェアを活用するソフトウェア技術

自動車通信等における信用フレームワークの構築

モデルベース開発による上流工程重点化による効率化

CPS/統合システムのアーキテクチャモデルの確立

設計・実装モジュールの再利用技術

IoT/統合システムにおける機能配置の最適化

相互接続プラットフォームによる開発の効率化

IoTネットワークの管理とセキュリティ確保の仕組み

IoTネットワークの問題検出・自動修復技術

セーフティとセキュリティの統合手法の確立

モデルベースの運用保守、開発へのフィードバック技術

IoTネットワークアーキテクチャの確立

大規模データの活用とデータ価値密度とアーキテクチャ設計

AI 機械学習による適応性・自律性の実現

ソフトウェア脆弱性の自動管理と自己治癒

リアルタイム処理向け組込みクラウド・プラットフォーム

生活空間で利用するIoT機器のプラットフォーム

センサーネットワーク向けプラットフォーム

ユーザの状況に応じた適応的なリアルタイム処理

ラピッド開発用の設計インタフェース

画像認識系技術の高度化

「学習済みモデル」の組込み向け活用技術

連携システム共通のセーフティ、セキュリティ要件によるシステム

の開発方法論

実行可能モデル等による全体システムのシミュレーション

重複開発を避ける開発ツールチェーン

プライバシー保護データマイニング・匿名化

参照アーキテクチャ上のプラットフォームと国際標準対応

システム上の実現レイヤー

人間協調型ロボットにおけるユーザインタフェース基盤

拡張現実(AR)、仮想現実(VR)を活用したUX(ユーザエクスペリエン

ス)の基盤

システムの複雑化に対応した段階的設計検証による

ディペンダビリティ確保

ブロックチェーン技術:取引の仕組みの革新

SDx,NFV:ソフトウェア制御によるネットワークの実現

※赤文字の注目される技術について次⾴以降に整理

エッジ・インテリジェンス、インテリジェント・ハブ

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Copyright (C) 2018 CIAJ All Rights Reserved 35 ㈱三菱総合研究所2017年度委託調査報告資料より

【参考】目的分類� 技術(課題を含む)の共通性に基づき、⼤きく分けて7区分に分類� 目的に応じて、エッジ主体〜エッジ・クラウド連携まで、主に実現される場所がことなる。� 一つの技術は、複数の目的区分につながるものが多く、そのうち最も主となるものに分類。

目的分類 スコープ 技術課題の例(表題のみ)

ディペンダビリティ確保エッジ&クラウド

セーフティとセキュリティの統合化手法の確立、自動車通信等における信用フレームワークの構築、ソフトウェア脆弱性の自動検出と自動修復技術

開発と運用の効率化エッジ&クラウド

モデルベース開発による上流工程重点化による効率化(フロントローディング)、モデルベースの運用保守・開発へのフィードバック技術、設計・実装モジュールの再利用技術

IoT/統合システムの最適化エッジ&クラウド

IoT/統合システムにおける機能配置の最適化、CPS/統合システムのアーキテクチャモデルの確立、相互接続プラットフォームによる開発の効率化 、

相互接続性の向上エッジ&クラウド

相互接続プラットフォームによる開発の効率化 、センサーネットワーク向けプラットフォーム

新たなデータ活用によるイノベーションエッジ&クラウド

センサーデータを複合的に活用したリアルタイム制御の高度化、画像認識系技術の高度化

人との接点における価値創出 エッジユーザの状況に応じた適応的なリアルタイム処理拡張現実(AR)、仮想現実(VR)を活用したUXの基盤

多様なデバイスへのソフトウェア対応 エッジ

リソース制約に対応したソフトウェア技術、新しいハードウェアを活用するソフトウェア技術、リアルタイム処理活用促進向け新設計インタフェース

目的区分の一覧

エッジフォグ主体

クラウド・エッジ連携

NEDO報告書(三菱総合研究所作成)

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Copyright (C) 2018 CIAJ All Rights Reserved 36 ㈱三菱総合研究所2017年度委託調査報告資料より

近接匿名取引市場の例:SPACER• SPACERはスマートフォンアプリにより電子キーを⽤いるこ

とによって施錠、解錠できるロッカー• EC取引において、近距離で商品の受渡しする場合、従来の配

送手段に依らずに商品の受け渡しができる近接匿名取引市場としてSPACERが利⽤できる。

• 使⽤者が限定された通常の宅配ボックスとは違い、電子キーを送受信することにより、不特定の⼈が使⽤することができる。

• システム会社側が設定したパスワードを鍵にして受け取るオープン型宅配ロッカーと異なり、ユーザが施錠できるのでユーザが送り手になることもできる。

• 現在問題である宅急便の再配達問題の解決策になる。• 利⽤例)送り手が施錠し鍵を受け手に送信、受け手が鍵を受

信し解錠して荷物を受け取る

4.2 プライバシー保護データマイニング・匿名化

� プライバシーの確保と個⼈情報の活⽤を両⽴させるための技術として、匿名化、秘密計算、プライバシー保護データマイニング等が重要になる(例:ヘルスケア、⾦融分野のサービス等)

� プライバシー保護データマイニングや秘密計算により、暗号化したまま特定の演算処理を⾏うことで、安全に有⽤な情報を抽出することが可能となる。ただし、計算速度などの点で課題が残っている。

� 応⽤例として近接匿名取引市場(送り手や受け手が直接会うことなく、また個⼈情報なども公開せずにECなどの取引を⾏う市場)が注目できる。

匿名化情報基盤の主な技術の関係� 入⼒データ保護技術

プライバシーの侵害につながるようなデータを加工したり削除したりすることによってプライバシー侵害のリスクを下げる技術。匿名化などが含まれる。

� 秘密計算暗号化などをして単体では無意味なデータセットの解析によりデータを秘密にしたまま解析ができる手法。

� 出⼒データプライバシー保護技術解析結果の差分からデータが特定されることを防ぐためデータにノイズを加えたり曖昧性を持たせる技術。

出典) SPACER

電子キーを送信

近接匿名取引市場

http://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1503/24/news010.html

暗号化等

プライバシー保護データマイニングの分類

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Copyright (C) 2018 CIAJ All Rights Reserved 37 ㈱三菱総合研究所2017年度委託調査報告資料より

4.3 ブロックチェーン:応⽤分野と期待される可能性� ブロックチェーン技術は、暗号技術・P2Pネットワークを利⽤した分散型台帳管理技術で、特徴として(1)非改ざん性、(2)高可⽤性、(3)低

コスト性を持つ。� 実現の仕組み:取引情報を含むブロックデータをチェーン状に関連させることにより改ざんが困難な分散データベースを構築� IT技術を産業分野に適⽤し変革を起すことをX-Tech(クロステック)とよび、IT×⾦融のFinTechをはじめ様々な分野で変革が進んでいる。

ブロックチェーンによる応用分野の分類と市場規模

出所:ブロックチェーン技術を利⽤したサービスに関する国内外動向調査、経済産業省、2016年

川上の交渉⼒の強化

プロシューマの一般化受益者負担をより正確に反映した公共サービス等のコスト負担

政府の業務負担の減少日銀⾦融政策以外の⺠間企業による仕掛けの可能性

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4.3 ブロックチェーン:技術応⽤の事例� ブロックチェーンは、⾦融分野、非⾦融分野に渡り多様な応⽤事例がある。� 事例1は、製品の製造過程をオープンで信頼できるものにすることが可能であり、オープンなサプライ

チェーンの実現(前⾴04)において、注目される事例である。� 事例2は、宅配システムの非効率の解消、⼈手不⾜の解消につながり、取引の⾃動化・効率化(前項05)に

おいて、注目される事例である。事例1:サプライチェーンのトレーサビリティ管理システム• サプライチェーンの各メーカーが受注・発注の情報ブ

ロックチェーンに書き込み、クレーム情報のトレース、顧客へのリコール通知を可能にするプロトタイプ

• 共有DBを利⽤して同様のシステムを作成した場合と⽐べ、メーカー同士がデータの正しさを証明できる点、オープンなプラットホームのためメーカーが参加しやすい点がメリット

事例2:宅配ボックス• ブロックチェーンとインターネットに接続された宅

配ボックスを使⽤し、宅配業者の荷物の配達、および利⽤者が荷物の受取り事実をブロックチェーンに書き込むことで、客観的な状況把握を可能にする

• 利⽤者の認証や鍵の開閉もブロックチェーンを通じて⾏う

• 課⾦・決済等のサービスと連携したビジネスにも対応可能

出所:GMO出所:日立製作所

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4.4 ⼤規模データの活⽤とデータ価値密度� データの蓄積が、ネットワーク効果(外部性)や顧客ロックインを生み、データの寡占が進み、公正な競争が阻害される可能性がある。

独占禁⽌法による対応の必要性が検討されている。� センサーにより生成されるデータ量が急増しており、エッジとクラウドのデータ処理の最適化が求められている。データ価値密度を考慮

したデータ最適配置アーキテクチャが重要になる。� EU一般データ保護規則(GDPR)は、1998年発効のデータ保護指令に代り、データポータビリティ権などを加えデータ保護を厳格したも

ので、違反した場合、全世界の売上高の4%を上限とする罰⾦を課す。

� データと競争政策に関する検討状況(公正取引委員会)• IoT/AIによるデータ活⽤の便益を最⼤化するため、データの

収集・利⽤に係わる公正・⾃由な競争環境が必要。• デジタルプラットフォームによる顧客ロックインによる不当

なデータ収集、競争事業者、顧客によるアクセス制限によるデータの囲い込みなど独占禁⽌法による対応が必要となる。

� データ価値密度とデータアーキテクチャ• データの生成量は、計算能⼒やストレージ容量の向上を上回り

増加している• データ価値密度=(目的に使えるデータ)/(データ総量)は、

状況と共に変化する。例)故障予兆後のセンサーデータ、テロリスト監視カメラの周辺連携など。

• センサーデータの急増により、クラウドとエッジコンピューティングを組み合わせて、データ価値密度を評価したデータ最適配置アーキテクチャが重要になる。

データ生成の上昇ペースが急激(縦軸:指数スケール)

図:PFN 丸山宏図:公正取引委員会「データと競争政策に関する検討会」報告書

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【参考】仮想通貨ビットコインの分裂とその後の動向� 2017年5⽉以降、ICO(仮想通貨新規公開)によりビットコインを含む仮想通貨が急激に値上がりした� 2017年8⽉1日、ビットコイン分裂を無難に乗り切ったことが評価され高騰を続けた� 2017年9⽉4日、中国当局がICOを全⾯禁⽌としたことで、仮想通貨全体の時価総額は1日で約2兆円下落

ビットコイン分裂後の両ビットコインの仕様

ビットコインの価格と利⽤者数推移(出所)情報処理学会誌 2017年10⽉号

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【参考】付加価値構造の変革:実世界のプログラマブル化、オープンAPI化の波

� 業務、ノウハウ、インフラ等のプログラマブル化、オープンAPI化の進展� 機能のソフトウェア化(SDN, SDx)、仮想化(NFV, xFV)の進展(機器のベアメタル化)� オンデマンドプラットフォーム、マーケットプレースによる新サービスの創出拡⼤

これまでの付加価値構造

ハードウェア

ソフトウェア

サービス

ハードウェア

サービスクラウド

ソフトウェア

これからの付加価値構造

付加価値シフト

ベアメタル化

三菱総合研究所作成

(ソフトウェア代替)

(新サービス)

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【参考】 ICT投資額(ハードウェア、ソフトウェア、クラウドサービス)

• ICT投資額は、ソフトウェア増加、ハードウェア減少の傾向が続き、ソフトウェア⽐率は65%に達している。

(出所)情報通信白書2017年版

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4.5 SDx、NFV:ソフトウェア制御によるIoTネットワークの多様な要求を実現

� SDx (Software-Defined anything) は、サーバーやストレージ・ネットワークなどをソフトウェアで制御・管理を⾏う。SDNは、従来個々のルーターで⾏っていた制御を一元管理することができ、柔軟な設定変更が可能に

� NFV (Network Functions Virtualization) では、ルーターやファイアーウォール等の従来専⽤ハードウェアを⽤いて⾏っていた機能を汎⽤サーバー上で仮想化して実現し、コストが削減可能に

� SDNは専⽤ハードによる複数の機器を一元管理するのが特徴で、NFVは汎⽤ハードウェアを⽤いるのが特徴

SD-WAN技術を利⽤したIoTプラットホームの動向• SD-WANは、SDNのうち特にWAN側で利⽤する

際に⽤いられる• SD-WANを⽤いることでCPE(Customer

Premises Equipment)を一元管理し、IoTデバイスがセキュアにクラウド基盤に接続できる環境を容易に構築可能に

• ドローンなどのリアルタイム制御を求められるシステムや、カメラ映像などの⼤容量の通信が発生するシステムの出現

• IoT拡⼤に向けて高速なデータ処理・短時間での応答・データのセキュリティ確保・通信の安定性が求められる

• エッジコンピューティング技術により、IoTデバイスの近傍にサーバーを設置し計算処理を⾏うことで帯域削減・処理の高速化が可能に

• ユースケースとして、「カメラシステムによる空港内の遠隔監視」が検討されている 出典) NTT西日本※ CPE:通信サービスを受ける場合に加入者側に設置する端末

※User Network Interface:通信設備と加入者の設備を接続するインタフェース

CPE CPE CPE CPE

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4.6 セーフティとセキュリティの統合化手法

問題・ニーズ� ⾃動⾞等のセーフティに係る機器がネットワークにつながることで、⼈命に係る脅威が拡⼤� セーフティとセキュリティのリスク分析の統合手法の確⽴していないため、

→ セキュリティ脅威に起因するセーフティの確保ができない

技術課題� セーフティ・ハザード分析とセキュリティ脅威分析の共通概念の対応関係から、統合的に分析するフレーム

ワークを開発する。また、リスク分析、脅威検知、⾃動回復の統合プラットフォームを開発する� セーフティとセキュリティの同時認証可能な国際標準化活動を推進

有効性� ⾃動⾞分野では、ネットワーク化、⾃動運転により産業構造変化が進む中で、セーフティとセキュリティは

競争⼒の中核� 日本の強みである組込システムの品質・信頼性を生かし、日本の弱みであるセキュリティを補強し、組合せ

ることで、市場競争⼒の向上に⼤きく貢献できる取組み主体 � 国が音頭をとり、ベンダーが協調して、手法とツールプラットフォームを開発する

セーフティとセキュリティの概念の共通化

出所:英国RSSB 「The Yellow Book」及びSESAMOプロジェクト「SECURITY ANDSAFETY MODELLING FOR EMBEDDED SYSTEMS」を基に作成

セーフティ分析手法・ツール(FTA, FMEA, HAZOP等)

セキュリティ分析手法・ツール(AttackTree, STRIDE等)

セーフティ・セキュリティ統合化手法&セーフティ・セキュリティ統合化手法&ツールプラットフォーム

未統合

統合化

(出所)三菱総合研究所

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4.7 モデルベース運⽤保守、開発へのフィードバック

センサー

センサー

センサー

センサー

【従来】外部観測

【従来】外部観測

【今後】状態モデル↓

故障予知・警告

問題・ニーズ� 開発フェーズで利⽤されるモデリング技術を運⽤フェーズで活⽤することにより、システムの故障予知等で

⼤きな効果が期待できるが、現状では活⽤されていない� センサーによる外部観測では、予知精度に限界があり、また、センサー設置のコストが発生する

技術課題 � 制御ソフトウェアに係るモデルの内部状態、例外イベントから故障予知を⾏うソフトウェアを開発する� モデルベース開発のコード生成システムに、これらのプログラム生成機能を組込み⾃動化する

戦略の有効性 � 国産の制御設計CASEツールにおいて、高い市場シェアを持つ日本の技術を生かし、モデリング技術を開発フェーズだけでなく、運⽤保守フェーズに適⽤することにより、全く新しい運⽤手法を実現する

取組み主体 � モデリングツールベンダーとシステムベンダーが主体となり、国はベンダーの開発を推進する

(出所)三菱総合研究所

【従来】制御対象をセンサーで外部観測

【今後】制御系の内部の状態モデルを活⽤

【今後】状態モデル↓

故障予知・警告

図:CATS資料を元に三菱総合研究所作成

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4.8 エッジ・インテリジェンス 〜インテリジェント・ハブ〜

問題・ニーズ � 膨⼤なセンサーデータ、進化するAI技術をエッジ・システムで活⽤できていない� クラウドサービスに対して、ユーザとの接点となるエッジ・システムの価値を最⼤化したい

技術課題� リアルタイム要求、計算リソースなどの制約を考慮し、エッジとクラウドの役割分担による機能の最適配置� クラウドの多様なサービスを組み合わせてユーザに提供するインテリジェント・サービスハブ� AR/VRを活⽤した統一的なユーザインタフェース/ユーザエクスペリエンスの基盤実現

戦略の有効性 � IoTの構成において、日本の強みであるエッジの組込システムの付加価値を最⼤化� センサーデータの指数的増⼤に対して、エッジ/クラウドの役割分担により持続可能な計算モデルを実現

取組み主体 � 協調領域のプラットフォーム開発として国の支援に基づきベンダーが協⼒して開発する

ユーザ(例:運転者)

・・・・

(例:自動車)

インターネット

ダイナミック

マッピング支援

低燃費運転支援

自動緊急通報

・盗難追跡

サービス提供ハブエッジ・システム

クラウド ・・・・

ユーザとの接点スキルベースレベル (Skill)

有限状態機械モデル

ルールベースレベル (Rule)組込CEP等

知識ベースレベル(Knowledge)ニューラルネットワークモデル

SRK 3レイヤーモデル( Rasmussenの認識⾏動モデル)

� ビッグデータの学習� ブラックボックス化

� 検証されたルール� 高速な応答性能

� プログラム制御� 決められた動作 機

能の最適配置

統一的なUI/UX

(出所)三菱総合研究所

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ソフトウェア・アシュアランス

注目事例(後述)

【参考】IoT時代のサプライチェーン・セキュリティのトレンド(全体像)� 米国を中心に国防、情報通信分野においてサプライチェーン・セキュリティの基準の強化が進んでいる� 米国への輸出産業は対応が必要であるが、日本では、サプライチェーンセキュリティの要求の強化については不確定である。

プロセス/マネジメント(プロセス/組織)

プロダクト/テクノロジー(プロダクト/ツール等)

2008年

2012年

2015年

2013年

National Information Assurance (IA)Acquisition Policy No.11(2000)DoD, Information Assurance Certification

and Accreditation Process (2006)DoD, Information Assurance Certification

and Accreditation Process (2006)NSPD54/HSPD23 Comprehensive NationalCybersecurity Initiatives (CNCI) #11(2008)

IATAC/DoD, Software Security Assurance State-of-the-Art Report (2008)

DHS, Build Security In (Software and Supply Chain Assurance) (2008)

DHS, Cyber Security Procurement Language for Control Systems (2009)

SAIC/UMD, Building A Cyber Supply Chain SAIC/UMD, Building A Cyber Supply Chain Assurance Reference Model (2009)

NIST, IR 7622: National Supply Chain Risk Management Practices (2011)

SAFECode, Software Assurance Fundamental Practices for Secure

Software Development (2008,2011)

GAO, IT Supply Chain National Security-Related Agencies Need to Better Address

Risks (2012/3)

ENISA, Supply Chain Integrity (2012/11)

DHS, National Strategy for Global Supply Chain Security (2012/1)

MITRE/DoD, Supply Chain Attack Framework and Attack Patterns (2013)

UMD, Proof of Concept for an Enterprise ICT SCRM Assessment Package (2013)

ISO/IEC 27036:2014 Information security for supplier relationships (2014)

SANS, Combatting Cyber Risks in the Supply Chain (2015)

NIST SP800-161: Supply Chain Risk Management Practices (2015)

BAH, Managing Risk in Global ICT Supply Chains (2012)

2000年

2014年

2009年

NIST ICT SCRMプログラム開始(2008)

米国議会Huawei, ZTE製品排除勧告(2012/10)米国議会レポートにより,Huawei,ZTE製

通信機器のセキュリティリスク論の高まり

インフォメーション・アシュアランス

サプライチェーン・リスクマネジメントの補強・整備

政府 ⺠間等凡例

サプライチェーン・リスクマネジメント

NIST SP800-171: Protecting Controlled Unclassified Information in Nonfederal Information Systems and

Organizations (2015)

三菱総合研究所作成(NEDO報告書)

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【参考】ブロックチェーン技術を⽤いたクラウドファンディングの脅威事例� クラウドファンディングThe DAOのシステムの脆弱性をつかれ仮想通貨Ether 3.64百万 ETH(約5000万ド

ル・約57億円)が不正に送⾦される� ブロックチェーンのロジックの問題ではなく、仮想通貨ファンドThe DAOの管理システムに存在するソフト

ウェアのバグが原因

攻撃対象 クラウドファンディングThe DAO発生日時 2016年6⽉17日

影響・被害

ドル換算で約1億5,000万ドル分の仮想通貨Etherを運⽤する仮想通貨ファンドThe DAOから、同社の運営するシステムの脆弱性をつかれ仮想通貨3.64百万ETH(約57億円相当)が不正に送⾦された。なお、送⾦されても一定期間換⾦出来ない仕組みのため、結果的には現⾦化などは出来なかった。

原因・攻撃手法

仮想通貨ファンドThe DAOは2016年4⽉30日に⽴ち上がった新しいファンドで開発したばかりの管理システムにはいくつかのバグがあるとアナウンスされ、また修正も進⾏していた。運営側は仮想通貨を失うような深刻な問題はないとしていたが問題点を指摘する声は多かった。不正送⾦後、犯⼈を名乗る者が脆弱性を指摘するために⾏ったと声明を出した

【参考】 Understanding The DAO Attackhttp://www.coindesk.com/understanding-dao-hack-journalists/

The DAOからEtherを窃取する流れ(参考) http://hackingdistributed.com/2016/06/18/analysis-of-the-dao-exploit/

DAOから送⾦する攻撃ステップ1. DAO(Etherのプール)からSplit機能を使い新しいDAOを作成す

る2. 以前のDAOにある口座から新しいDAOの口座に送⾦する3. 報酬送⾦機能にバグがあり口座に1度しか送⾦しないが何度も

送⾦可能となっていた4. 空になったDAOの口座に繰り返し報酬を送⾦し、その口座から

新しいDAOへ送⾦した

NEDO報告書(三菱総合研究所作成)

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【参考】情報処理学会誌 特集「IoT時代のセーフティとセキュリティ」

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5.サービス、ビジネスを創出する際の課題、阻害要因等

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5.1 サービス、ビジネスを創出する際の課題、制約、阻害要因:全体像技術や応⽤事例が⾒えていても、日本でビジネスが進展しない根深い原因や阻害要因:

� IoTの価値認識の転換の必要性(下表)� AI技術格差:AI研究成果、知財権、⼈材に関する日本と米国の格差が⼤きく、格差解消が求められる。� IT投資に対する経営者のマインド:IT⼈材に対する報酬、IT投資に対する経営者のマインドの違いが、日本と米国(その他

の国)⼤きく、マイナス要因に� 経営者・社会のマインドの相違:変化への対応、経営スピード、チャレンジ指向等の観点で競争⼒が低迷� 新ビジネス創出のためのベンチャー投資額の格差:日本vs 米国 50倍程度の開き� AI革命後のパラダイムシフト:アルゴリズム開発⼒からデータ活⽤⼒へ

(出典) Harvard Business Reviewを元に三菱総合研究所作成

区分 観点 従来の製品マインドセット IoTマインドセット 変化のポイント

価値創出

顧客ニーズ 既存のニーズや生活スタイルに対して受動的に解決

リアルタイム、変化するニーズを予測的に対応

動的に変化するニーズを予測的、能動的に対応

提供価値 単体製品(時間と共に陳腐化)

無線(OTA)による機能アップグレードとシナジー効果

進化し続け、他の製品・サービスとのシナジーによる価値創出

データの役割 将来の製品要求に単一のデータを利⽤

情報の統合により、製品の新しい体験を創出し、サービスを実現する

多分野のデータの横断的利⽤

価値獲得

利益の方向性 製品、機器の販売 利⽤時に継続的に収入を得る 製品販売後の継続的な収集

選択基準 コモディティとしての優位性、知財権、ブランド

パーソナライゼーションと利⽤環境の活⽤、製品間のネットワーク効果の向上

パーソナライゼーションと利⽤者の環境への適応

能⼒開発 コアコンピタンス、既存のリソースとプロセスの強化

エコシステムの提携者の収益の理解(共存共栄)

⻑期的には、共存共栄モデルが重要

(例)IoT価値認識の転換の必要性

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5.2 AI技術格差: AI主要論文の傾向〜米国が圧倒、米国・英国・中国など研究ハブを形成〜� AI主要論文数は、中期的(約20年間)には米国が圧倒(28%)。(※近年は中国が急追)� 米国、英国、中国は共著論文が多く、AI研究のハブとなっている。� 日本は論文数、共著論文共に少なく、世界の研究ハブから取り残されている。

米国

中国

日本

英国

(出所)三菱総合研究所作成

凡例バブル:⼈工知能主要論文数

(1995〜2014年)矢印: 当該国の執筆論文のうち

共著相手国を含む%(2011〜2015年)

792(28%)

247(9%)

162(5.7%)

166(5.8%)94(3.3%)

12.7%

5.1%

4.1%

1.8%

17.2%

10.6%

3.2%

1.5%

13.0%

9.7%

3.3%

17.2%

11.6%

3.7%

※IJCAI、AAAI等のトップカンファレンス、IEEE Transactions on Neural Networks and Learning Systems等のトップジャーナルの採択論文

※日本⼈が執筆した論文に共著者として含まれる他国の件数は不明。

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5.2 AI技術格差: AI特許出願動向〜 日本のAI技術の⾒通しは厳しい 〜� 米国、中国は、AI特許出願数で他国を圧倒している。

5年単位で⾒たAI特許出願数の伸び6カ国・地域の特許庁に出願されたAI関連の特許数。2005〜09年の5年間と10〜14年の5年間を⽐べた。アスタミューゼ調べ、日経新聞作成

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【参考】 AI⼈材の争奪戦

� AI、デジタライゼーションによるネットワーク効果(外部性)は、勝者総取り戦の様相を呈しており、外資ITジャイアント(米国、中国等)は、AI⼈材の争奪戦を繰り広げている。

� ⼈材獲得の決め手は、①報酬給与、②スター研究⼈材の拠点化、③データ蓄積、の要因が⼤きい。� これからの「ニューカラー」※⼈材は、AI、データサイエンス、サイバーセキュリティの技術が求められ

る。

(出所)日本経済新聞※従来のホワイトカラー、ブルーカラーに対して、新しい能⼒・スキルを持つ労働者

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【参考】分野別の日本の論文ランキングが全⾯的に低下

� 論文数、被引⽤数の高いトップ1%、トップ10%の論文における日本のランキングが全⾯的に低下� ITに係わる計算機・数学分野は、他の分野と⽐較して最も低い

出所:我が国の産業技術に関する研究開発活動の動向

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5.3 IT投資に対する経営者のマインド: 日本のIT⼈材に対する報酬の相対的低さ

• IT⼈材の平均年収は、米国は日本の2倍• 全産業平均年収に対するIT⼈材の倍率は、インド9倍、日本1.5倍• 国際的に、IT業界の⼈気は、報酬との相関が高く、米国・インドに⽐べ、日本は極めて低く最下位。

経済産業省「 IT人材に関する各国比較調査、2016」

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5.3 IT投資に対する経営者のマインド: IT投資額、ソフトウェア投資額の日米差が拡⼤

� 1995年頃から日米のIT投資/GDP⽐の差が拡⼤し、2006年時点で約2倍� ソフトウェア投資額の日米差も拡⼤しており、米国はパッケージ、⾃社開発ソフトの⽐率は高く、日本は受

注ソフト投資額の⽐率が高い

元橋一之,「IT と生産性に関する日米比較:マクロ・ミクロ両面からの計量分析」とEU_ KLEMSDATABASE 2009より高橋氏作成

EU KLEMS Database March2008 24より高橋氏作成

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5.3 IT投資に対する経営者のマインド: 日米の投資スタンスの違い• 経営者のIT投資の意識は、米国は、 「ビジネスモデル変革」「製品やサービス開発強化」等の攻めのITが上

位であるのに対し、日本は、「ITによる業務効率化/コスト削減」等の守りのITが上位• 米国は、ITユーザ企業がIT技術者を社内に確保し、新サービス開発において内部のIT技術者が事業開発部署

と密接に連携し、迅速にサービス開発を⾏うことで競争⼒を高めている。

出所:一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)「ITを活用した経営に対する日米企業の相違分析」調査結果(2013年10月)

IT予算を増額する企業における、増額予算の用途

経営層の「IT/情報システム投資」に対する姿勢

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【参考】各国IoT導入意向

IoT導入状況(2015年)と今後の導入意向(2020年)

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【参考】異業種のIT⼈材を狙った⼈材獲得競争の活発化• EVシフト、⾃動運転など変革期にある⾃動⾞企業が、IT、家電など異業種の研究者、エンジニアを狙った⼈材引抜を活発化• アパレルECサイト「ゾゾタウン」を運営するスタートトゥデイはIT⼈材を4割増員する計画で、最⼤で2000万円の年収を提示• IT⼈材の転職は、IT業界内から異業界への転職が拡⼤傾向にある• リクルートキャリアが発表した転職求⼈倍率は全体で1.87倍、ITエンジニアは3.83倍と高倍率(2017年6⽉)

「シリコンバレーより南武線」、トヨタがIT技術者狙い撃ち求人広告「ハイテクライン」南武線沿線のNEC、富士通、東芝、キヤノンなど電機メーカーやIT企業の研究施設を狙った求人広告

トヨタのIT⼈材求⼈サイト

IT⼈材の転職動向(出所:東洋経済)

⼈材引き抜きのターゲットとされるIT企業

http://blog.livedoor.jp/matomeall/archives/2017-08-10.html?p=11

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5.4 経営者・社会のマインドの相違: 国際競争⼒強化に係わる要因の⽐較

� IoT時代に生き残れる企業は、業績の良さではなく、変化に適応できる企業である。� 社会・文化の違いから、製品⼈材からサービス⼈材の育成、移⾏、獲得は容易な課題ではない。

日本 米欧

事業重視点 品質重視 新機能創出

ソーシング ⾃前主義 グローバル・アウトソーシング(オープンイノベーション等)

リスク性向 リスク回避的 リスクチャレンジ的

ベンチャー投資 1,500億円/2015年 88,000億円(800億ドル)/2015年

調達方針 垂直統合(系列) 水平分業化(プラットフォーム分業化)

競争戦略 シングルサイドマーケット マルチサイドマーケット

⼈材流動性 ⼈材の非流動性 ⼈材流動性

対顧客指向性 安定性 スピード

仕様指向性 ガラパゴス グローバルスタンダード

リスク思想 ゼロリスク レジリエンス

対比

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【参考】日本企業:横並びの過当競争により収益⼒が低い

� 製品の差別化が出来ず、マイナーな違い多数の企業が競う過当競争状況に陥っている。� 対価につながらないことにコストをかけ生産性の低下を招いている。

(出所)平成25年度経済財政白書

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【参考】日本のサービス品質は米国を上回るが、対価に反映されず

� 28分野中25分野において、米国よりサービス品質が高くても、その分ほど価格が高くなっていない� 宅配便や理容・美容といった分野では、日米の価格差以上に品質差が⼤きい。⼤学教育、ハンバーガー

ショップ、ホテル(高級)、コーヒーショップの4分野は、品質と価格がほぼ⾒合う。� 顧客視点の価値評価に沿った取組みが重要である。

図:サービス品質の日米比較公益財団法人日本生産性本部

日本のサービス品質と価格の関係

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5.5 新ビジネス創出のためのベンチャー投資額の格差:日本に適した新ビジネス創出スキーム

• ベンチャー投資額は米国7兆円、中国2.5兆円、日本1300億円で、日本は米国の2%以下(2015年)• 日本は、エンジェル投資家、VCの投資額は限られるため、資⾦⼒のある事業会社、コーポレートベンチャー

キャピタルからの資⾦調達に期待が高まっている。

日本のベンチャー投資額は米国の2%(2015年)

(出所) 「NEXTユニコーン調査」日本経済新聞社(出所)ベンチャー白書2016,一般財団法人ベンチャーエンタープライズセンター

日本のスタートアップが考える資⾦調達先

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5.6 AI革命後の技術を中心としたパラダイムシフト:アルゴリズム開発⼒からデータ活⽤⼒へ

� AIの成熟により、IoTの競争⼒は、新たなアルゴリズム開発⼒よりも、成熟した機械学習を⽤いたデータ活⽤⼒にパラダイムシフトする。

� ディープラーニングにより⾼次の特徴量の自動抽出技術が進展すれば、暗黙知を明示的にプログラミングする必要が無くなる。

� 米国が圧倒するアルゴリズム開発⼒よりも、学習データを⽤いた機械学習を効率的に⾏うためのドメイン知識が重要になる。

AI革命前(Before AI) AI革命後(After AI)

ポイント AI技術が成熟する前は、アルゴリズム開発が競争⼒を決める。

AI技術が成熟すれば、新たなアルゴリズム開発よりも、分野の専門家による機械学習の応⽤が中心となる。

相違点 暗黙知を形式知化して、アルゴリズムを開発する必要がある。

学習データにより、暗黙知を明示的にプログラミングする必要がなくなる。

競争⼒ アルゴリズム開発⼒ データ活⽤⼒

強者 米国、イスラエル、英国、(中国)データ所有者、活⽤強者(日本、中国、米国等、スタートラインは同等)

成⻑条件・課題 高度IT⼈材⼒ 規制・法制度の改正、リアルデータ、ドメイン知識、センサーデバイス

強み ソフトウェア技術者の質、層の厚さ データサイエンティストの質と層の厚さ

三菱総合研究所作成

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【参考】AI・IoTに関するアドホックミーティングにおける主な議論(課題等)� AI事業におけるPoC対応に係わる問題� AI事業では、機械学習の学習結果はブラックボックス化され、従来の製品と⽐較して性能に

関する成果のコミットが難しい。そのため、顧客企業に対してPoCにより効果を示す営業活動が必要となるが、延々とPoCが求められ契約を獲得するまでのコスト増⼤が問題となっている。

� 日本は、他国と⽐較し、ITユーザ企業にIT⼈材が少ないことが原因となり、ユーザ企業が⾃⼒で技術を導入することが難しく、ベンダーの支援負担が増えることは避けられないのではないか。これが日本における技術導入の遅れの原因となっている。

� 海外では、ベンダーが一定コスト以上のPoCについては、契約を結び対価を求める傾向がある。

� 国内では、PoCのようなサービスに対して対価を払う文化が形成されていないため、AI時代においては、PoC⾃体の価値をユーザ企業に啓発し、技術導入を促進することが必要。

� 顧客企業データのセキュリティ確保� 顧客企業データは外部に保存することを嫌い、プライベートクラウド、オンプレミスの要求

が強い。製造業は特にその傾向があり、リテールは⽐較的制約は低い。� 利⽤するクラウドについては、amazonなど⼤手を指名するなど、顧客企業は保守的である。

� IoTニーズの違いに応じたグローバル展開の必要性� 国内は予測分析系のニーズが強く、海外は安全安心に係わるニーズが強い。

アジアは新しい応⽤を求める傾向があり、欧州はプラットフォームやスマートシティ関連のニーズが強い。

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6.まとめ

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6.1 今後取組むべき方向性

� ソフトウェア・サービス企画⼈材を重視したイノベーション・エコシステムの構築(経営課題)� ソフトウェア・サービス企画⼈材の待遇改善(負のスパイラルの解消)� ⾃前主義に拘らないエコシステム全体により価値創出を目指すマインド(オープンイノベーション)� AI/IoTベンチャーの買収を含むコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)投資による開発スピードの加速� ⼤学の知⾒活⽤、共同研究の促進(シリコンバレー型産学連携モデル(スタンフォード⼤、UCB等))

� ネットワーク外部性、マルチサイドマーケットを考慮したビジネスモデルの企画開発� 世界の時価総額上位を独占するITジャイアントはネットワーク効果とマルチサイドマーケットを効果的に利⽤� プラットフォームビジネスのコアコンピタンス、ベストプラクティスの整備� 上記のネットワーク基盤(プラットフォーム)を活⽤したビジネスモデルの検討の必要性

� データ駆動型サービスの創出につながるデータ活⽤基盤の強化� 匿名化情報基盤、プライバシー保護データマイニングによるデータ活⽤基盤の強化� 学習済みデータ(モデル)の流通基盤� センサーデータとモデリング技術を組み合わせた制御技術(モデルベースO&M)� 機械学習の効果や性能を可視化するPOCテンプレートの整備� データを活⽤したサービス創出の阻害要因とならないように基盤を強化する。

� サービスのプログラマブル化の強化によるイノベーション促進基盤の提供� サービスのオープンAPI化等によりユーザ企業の価値向上(例:SIMカード単位のプログラマブル化等)� 通信機器のオーケストレーション(協調管理)、サービスの柔軟性の向上� ユーザや消費者のニーズやアイデアを⾃由に実現できる基盤を提供することでオープンイノベーションを促進する� ⾃社だけでなく、パートナー、コンシューマーなど広くアイデアを活⽤できる製品・サービスの開発

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6.2 まとめ:GDP推移⽐較

現在、世界の中での日本の立ち位置はどうでしょうか。経済全体としてみると、2000年と2016年のGDP比較で、米国は80%の伸び、ドイツは77%の伸び、中国は9.4倍の伸びに対して、日本は逆に7%ほど減少しています。日本の経済成長率がいかに低いかがわかります。GDPの停滞は、経済活動全体の新陳代謝を停滞させます。

GDPの図

0.00

2,000.00

4,000.00

6,000.00

8,000.00

10,000.00

12,000.00

14,000.00

16,000.00

18,000.00

20,000.00

中国 ドイツ 日本 米国

180.4%

941.6%

93.3%

177.3%

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6.2 まとめ:PEST分析

区分 主な状況

政治(P)

・⽶国の⾃国優先政策、中国の⼀帯⼀路等、世界秩序、勢⼒図の⼤きな変化・「Connected Industries」による5つの重点分野抽出と価値創造、課題解決に向けた政策資源の投入集中・規制維持による新たなビジネス⽴上げの阻害(⽇本ではUBERもタクシー業界限定)・働き⽅改革に向けた法整備、実証実験の実施・与党(⾃公)の議席安定化と野党の分断、弱体化・2020年の東京オリンピック、パラリンピック開催

経済(E)

・企業価値TOP10のうち、7社がICTビジネス企業に(時価総額の76%越)・⽇本の製品、サービスの縮小(家電の海外製品シェア拡⼤)・内部留保の拡⼤が企業の競争⼒強化につながらない(設備投資抑制)・⽇本のGDP成⻑の停滞・仮想通貨への期待と不安

社会(S)

・世界各地域へのテロの拡散(英、スペイン、インドネシア、エジプト、等)による世界的な不安定化、不安の拡⼤・人材不⾜による倒産、廃業、事業縮小の増加(運送業者等)・若年層を中⼼としたモノ離れ(若者のクルマ離れ)・少⼦⾼齢化の更なる進⾏・⼤手製造業における品質偽装問題の多発

技術(T)

・AIスピーカーのエンジンはすべて海外製・HMIの進展による直観的操作性の向上・Fintechの躍進(⽇本メガバンクのブロックチェーン実証実験、銀⾏法改正)・データ保護規制(欧州GDPR)やインターネット安全法(中国)の動き・ランサムウェア等によるサイバー攻撃が世界中で発生

ここまでの調査分析や経済的背景等を基に、PEST分析を実施しました。

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6.2 まとめ:課題認識と対応策

PEST分析で検討した課題認識と対応案を一例として以下に示します。

日本においても新しいサービスが創出されている例も多くあります。After Internet社会では、複数のプレーヤが得意分野を持ち寄って新しいサービスを創出してきます。

政府も、それらの動きを推進すべく、IoT推進フォーラム活動を推進していますし、金融機関におけるFinTech活性化に向けて、API公開を進めるための銀行法改正等も実施されています。

また、「モノ」が重要なピースを構成し、そこに日本が得意とする高品質な製品が必要とされる場面も多くあります。日本版GPS衛星も2018年度には正式サービスが開始され、モビリティでの活用等が期待されています。

超スマート社会の実現に向けて、IoTやその周辺分野の貢献度や重要性はますます高まっていきます。今後、日本においてますますこの分野が発展し、世界における重要なプレーヤとしての位置を持続していくことを期待したいと思います。

【題認識】• 国際的な環境(政治、経済、社会、技術)の⼤きな変化の中で、⽇本企業の適応⼒、競争⼒に陰りが⾒える

• 新しい分野やビジネスに果敢にチャレンジする企業や個人を⽀援する仕組み、制度などが必要

• 企業の枠、業種・業界を超えて連携することで、新たな成⻑の種を発掘する積極的な取組みが必要

• それらを⽀える人材の育成、研究開発への⽀援の充実が必要

【対応策】①企業側におけるM&Aや合弁を含む企業連携による競争⼒強化、新たなビジネス開拓への可能性の模索

②企業所有のデータやノウハウ等の持ち寄りによる新分野への進出や新サービス創造の可能性の模索

③社会人教育などの人材育成、研究開発の推進④政府等による、企業の新たな取組みの⽀援(制度、税制、補助⾦等による⽀援)

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7.あとがき

だいぶ以前のことですが、上司から「昨日と同じ仕事をしているのではないか、今日は何か進歩があったのか」と諭されたことがあります。現在の世の中の動きは更に変化の速度が速くなり、昨日今日どころではなく、さっきと同じことをしていたのでは取り残される状況になってきています。その一方、人間の意識改革や企業の体質改革はそう簡単には進みません。意識改革の最も手軽な手段は、新しい環境に身を置くこと、企業で言えば、全く違う業界、業態の企業や組織との対話や交流が必要なのだと思います。

「今は過渡期」という言葉もよく聞きます。これは、今は変化が激しく、不安定要素が多いが、もう少したてば変化も落ち着き、安定的な要素が増してくるはず、という考え方があるのでしょう。そうではありません。今後の社会やビジネスは、常に過渡期なのです。

今回は特に、サービスの面からIoTにスポットライトを当てみました。昨年と比較してもこの一年で新たなサービスいくつも創出され、実消化されています。この傾向はますます速度を上げて進んでいくでしょう。その中で、会員企業の皆様がこの過渡期を上手に航海していくに際して、ICT産業の発展に向けた、共創、イノベーション、コネクテッドの場としてCIAJを活用いただき、また本書が少しでも参考になれば幸いです。

2018年4月技術企画部会 部会長

鎌田 史隆

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「技術ナビゲーション2018」検討作業メンバー

(敬称略・五十音順) 2018年3月31日現在

会 社 名 氏  名 所 属

1 アンリツ㈱ 論手 素直 技術本部 先進技術開発センター

2 岩崎通信機㈱ 鈴木 正規 ICTビジネス本部 NTT技術部

3 沖電気工業㈱ (部会長) 鎌田 史隆 情報通信事業本部 企画管理部

4 サクサ㈱ 水谷 肇 開発本部 技術企画部

5 ㈱東 芝 三田地 宜彦 産業政策渉外室

6 ㈱東 芝 樋口 忠宏 産業政策渉外室

7 ㈱ナカヨ 押之見 章彦 事業戦略本部 新規事業開拓部 部長

8 日本電気㈱ 宮本 義弘 テレコムキャリアビジネスユニット

9 パナソニック㈱ 佐々木 博之 アプライアンス社 技術本部 IEDC 技術渉外課

10 パナソニック㈱ 市川 泰史 渉外本部 渉外部

11 ㈱日立製作所 (副部会長) 栗原 寛 経営戦略統括本部 渉外本部 渉外第二部

12 富士通㈱ (副部会長) 中村 利光 ネットワークビジネス戦略室

13 三菱電機㈱ 牧野 真也 通信システムエンジニアリングセンター

今井 正道 一般社団法人 情報情報通信ネットワーク産業協会

土田 充 一般社団法人 情報情報通信ネットワーク産業協会

宮守 良夫 一般社団法人 情報情報通信ネットワーク産業協会

技術企画部会 委員名簿

事務局

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