英国:ビジネス活動正常化に向けた基本情報...英国:ビジネス活動正常化に向けた基本情報(案)...

2
経済活動再開状況(イングランド) Copyright (C) JETRO. All rights reserved. 禁無断転載 経済活動・行動制限状況 英国:ビジネス活動正常化に向けた基本情報 (2020年9月15日時点) 経済活動・行動制限 あり 主な制限と再開基準等 英国政府は3月23日、国民の自宅待機、飲食、小売店(持ち帰り、宅配は可)などの一時閉鎖、3以上の集会の禁止などの措置を導入。 措置の緩和には次の5つの要件を満たす必要あり。①国営医療サービス(NHS)の対処能力が確保さ れていること。②1日の死亡率が長期間一貫して減少すること。③感染率が対処できる水準まで減少した ことを示す信頼性の高いデータを緊急科学諮問会議(SAGE)から入手できること。④現場の課題に十 分対処し、必要な検査や防護品(PPE)などが将来需要も含め確保できる確証があること。⑤現行措 置の緩和がNHSの対処能力を大きく超えるような第2の感染ピークにつながらないと確信できること。 英国政府は5月11日、経済活動の段階的な再開にあたり事業者向けの新ガイダンスを発表。可能な限 り在宅勤務を継続することを前提に、出勤が必要な従業員が2メートルの対人距離を確保できるよう、職 場の特徴に応じて床や机に目印を設置することや、距離確保が難しい場合の間仕切りの設置などを解説。 イングランドでは8月1日から、在宅勤務奨励に変わり、雇用主の裁量を拡大するようガイダンスを改訂し、 従業員と協議した上で、安全に就業可能であれば、出勤が可能に。 足下の感染者数は増加しており、地域限定のロックダウンも施行中。イングランド、スコットランドに続き、9 月上旬にはウェールズや北アイルランドの一部地域でもローカル・ロックダウンを施行。 各地で集会・会合の人数制限を引き下げ、また理解しやすいよう簡素化する動き。イングランドでは9月 14日から、屋内外・世帯数問わず6人までに制限。スコットランドやウェールズでは子供を対象外に。 感染者状況 累計感染者数 371,125人 累計死亡者数 新規感染の傾向 (直近1週間前比) 41,637人 ⤴(増加) ※出所:欧州疾病予防管理センター(ECDC) 渡航/入国制限状況 外務省渡航情報 レベル3 (渡航中止勧告) 日本からの直行便 JAL週3便(羽田⇔ロンドン)、ANA週3便(羽田⇔ロ ンドン)、ブリティッシュ・エアウェイズは7月23日から再度運 主な入国制限措置概要 入国制限は無し。ただし6月8日から、英国内連絡先 等の渡航前登録と、入国後14日間の自己隔離を義 務付け(英国と共通旅行区域:CTAを形成するアイ ルランド、チャンネル諸島、マン島からの渡航者は対象 外)。 日本を含む約70カ国・地域から入国する渡航者に対 しては、入国時の自己隔離を免除(連絡先事前登録 は必要)。 店舗営業が認められていた生活必需品取り扱い店舗などに加え、6月1日からは屋外市場と自動車 ショールームの営業再開が可能になり、6月15日からはその他の全小売店で店舗営業が可能に。 7月4日から対人距離2メートルの義務を緩和。可能な限り2メートルの確保を勧告しつつ、困難な場合は 対面着席の回避や職場レイアウト変更、アクリル板やフェイスカバーの使用といった「緩和策 (Mitigations)」を条件に、1メートルの対人距離を許容。 同日には飲食店の店内営業、宿泊・娯楽・観光施設、ヘアサロン、野外運動場、映画・美術館などの営 業が可能に。11日には屋外プールや屋外での演劇・演奏が、13日からはエステ、ネイルサロンなどが、25 日からは屋内のジム、プールなどが再開。8月1日に予定していたカジノ等一部娯楽施設の営業再開や屋 内演劇・演奏会等の許可は、感染再拡大を受け2週間延期し、8月15日に実現。

Upload: others

Post on 20-Sep-2020

0 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: 英国:ビジネス活動正常化に向けた基本情報...英国:ビジネス活動正常化に向けた基本情報(案) 欧州における新型コロナウイルス対応状況ウェブサイト

経済活動再開状況(イングランド)

Copyright (C) JETRO. All rights reserved. 禁無断転載

経済活動・行動制限状況

英国:ビジネス活動正常化に向けた基本情報(2020年9月15日時点)

経済活動・行動制限 あり

主な制限と再開基準等

• 英国政府は3月23日、国民の自宅待機、飲食、小売店(持ち帰り、宅配は可)などの一時閉鎖、3人以上の集会の禁止などの措置を導入。

• 措置の緩和には次の5つの要件を満たす必要あり。①国営医療サービス(NHS)の対処能力が確保されていること。②1日の死亡率が長期間一貫して減少すること。③感染率が対処できる水準まで減少したことを示す信頼性の高いデータを緊急科学諮問会議(SAGE)から入手できること。④現場の課題に十分対処し、必要な検査や防護品(PPE)などが将来需要も含め確保できる確証があること。⑤現行措置の緩和がNHSの対処能力を大きく超えるような第2の感染ピークにつながらないと確信できること。

• 英国政府は5月11日、経済活動の段階的な再開にあたり事業者向けの新ガイダンスを発表。可能な限り在宅勤務を継続することを前提に、出勤が必要な従業員が2メートルの対人距離を確保できるよう、職場の特徴に応じて床や机に目印を設置することや、距離確保が難しい場合の間仕切りの設置などを解説。

• イングランドでは8月1日から、在宅勤務奨励に変わり、雇用主の裁量を拡大するようガイダンスを改訂し、従業員と協議した上で、安全に就業可能であれば、出勤が可能に。

• 足下の感染者数は増加しており、地域限定のロックダウンも施行中。イングランド、スコットランドに続き、9月上旬にはウェールズや北アイルランドの一部地域でもローカル・ロックダウンを施行。

• 各地で集会・会合の人数制限を引き下げ、また理解しやすいよう簡素化する動き。イングランドでは9月14日から、屋内外・世帯数問わず6人までに制限。スコットランドやウェールズでは子供を対象外に。

感染者状況

累計感染者数 371,125人

累計死亡者数新規感染の傾向

(直近1週間前比)

41,637人 ⤴(増加)

※出所:欧州疾病予防管理センター(ECDC)

渡航/入国制限状況

外務省渡航情報レベル3

(渡航中止勧告)

日本からの直行便

JAL週3便(羽田⇔ロンドン)、ANA週3便(羽田⇔ロンドン)、ブリティッシュ・エアウェイズは7月23日から再度運休

主な入国制限措置概要

• 入国制限は無し。ただし6月8日から、英国内連絡先等の渡航前登録と、入国後14日間の自己隔離を義務付け(英国と共通旅行区域:CTAを形成するアイルランド、チャンネル諸島、マン島からの渡航者は対象外)。

• 日本を含む約70カ国・地域から入国する渡航者に対しては、入国時の自己隔離を免除(連絡先事前登録は必要)。

• 店舗営業が認められていた生活必需品取り扱い店舗などに加え、6月1日からは屋外市場と自動車ショールームの営業再開が可能になり、6月15日からはその他の全小売店で店舗営業が可能に。

• 7月4日から対人距離2メートルの義務を緩和。可能な限り2メートルの確保を勧告しつつ、困難な場合は対面着席の回避や職場レイアウト変更、アクリル板やフェイスカバーの使用といった「緩和策(Mitigations)」を条件に、1メートルの対人距離を許容。

• 同日には飲食店の店内営業、宿泊・娯楽・観光施設、ヘアサロン、野外運動場、映画・美術館などの営業が可能に。11日には屋外プールや屋外での演劇・演奏が、13日からはエステ、ネイルサロンなどが、25日からは屋内のジム、プールなどが再開。8月1日に予定していたカジノ等一部娯楽施設の営業再開や屋内演劇・演奏会等の許可は、感染再拡大を受け2週間延期し、8月15日に実現。

Page 2: 英国:ビジネス活動正常化に向けた基本情報...英国:ビジネス活動正常化に向けた基本情報(案) 欧州における新型コロナウイルス対応状況ウェブサイト

英国:ビジネス活動正常化に向けた基本情報(案)

■ 欧州における新型コロナウイルス対応状況ウェブサイト

ジェトロウェブサイトにて新型コロナウイルス関連ニュース、動画によるワンポイント解説、欧州各国の企業などに対する支援策を紹介。

https://www.jetro.go.jp/world/covid-19/europe/

TEL : 03-3582-5651(平日9時~12時/13時~17時(土日、祝祭日を除く))

■ 新型コロナウィルスに関するお問い合わせ

(海外)最寄りのジェトロ海外事務所まで

お問い合わせください

(国内)新型コロナウィルス相談窓口

注目のトピック

日英両政府、経済連携協定で大筋合意

日本と英国の両政府は9月11日、交渉が続いていた日英包括的経済連携協定(EPA)に大筋合意。英国のEU離脱後の移行期間を終える2021年1月1日の発効を目指す。今回、大筋合意した概要は以下のとおり。• 工業製品では日英ともに品目数、貿易額で100%の関税撤廃を実現。発効時から日EUと同じ削減率を適用し、撤廃期間も日EUに合わせる「キャッチアップ」を適用。

• 対英輸出では、鉄道用車両・同部分品(日EU:13年目撤廃)、ターボジェット・同部品(4年目撤廃)、電気制御盤(6年目撤廃)で即時撤廃を確保。

• 農林水産品も、おおむね日EUの合意内容を維持し、キャッチアップを適用。日本への輸入では、新たな英国枠は設けず、ソフト系チーズや一部の調製品に限り、日EUで設定された関税割当に未利用分が生じればその範囲内で、事後的に英国産品に対して日EUの関税割当と同じ税率を適用する仕組みを設ける。

• 原産地規則はEU原産材料・生産を日英EPA上の原産材料・生産とみなす。EU産原材料に多くを依存する英国事業者も、対日輸出でEPA優遇税率の利用可能。

• 電子商取引・金融サービスでは、情報の越境移転の制限、コンピュータ関連設備の設置要求、暗号情報の開示要求などを禁止。また、ソースコード開示要求の禁止対象にアルゴリズムを追加。英国政府発表によると、英財務省、金融当局と日本の金融庁との年次対話を設置。(ジェトロ2020年9月14日ビジネス短信)

現地日系企業の活動状況

現地日系企業の抱える課題

操業状況、現在抱える課題、懸念ほか

• ジェトロと在英日本商工会議所が5月中旬に実施した在英日系企業への新型コロナウイルスの影響に関するアンケート調査によると、ロックダウン以前よりも活動規模を縮小している企業が半数を上回るも、同程度の活動規模で継続している企業も4割強に上った。全従業員を在宅勤務としている企業も半数以上あった。

• 4月の売り上げは3社に2社で減少、その内の4割は50%超の減少。製造拠点を持つ企業の8割は減産または生産停止中で、その要因は需要の減少が最多。その後はロックダウン緩和による経済活動再開に伴い、生産・販売は全体的に回復基調にあるが、新型コロナウイルス感染症流行以前の水準とは未だ大きな乖離があるとの声も多い。

• ロックダウンの段階的緩和や8月1日からの出勤に関する政府ガイダンス変更などを受け、シフト制などで職場での社会的距離を確立した上で出勤頻度を増やす企業が増えている。特にロンドンでは通勤時の感染リスクを課題と考える企業が多く、公共交通機関以外の手段による通勤や時差出勤を推奨する企業が多数。

Copyright (C) JETRO. All rights reserved. 禁無断転載

ジェトロのサポートJ

■ 情報提供

• ジェトロ・ロンドン事務所では、在英日系企業向けに新型コロナウイルス感染症に関するメール配信とオンライン法律相談の各サービスを実施中。

• 同事務所がまとめた、新型コロナウイルス感染症に関する英国政府の主な企業・雇用関連対策の一覧(日本語)は、下記リンクより閲覧・ダウンロード可能。

https://www5.jetro.go.jp/newsletter/london/2020/COVID-19_measures_uk.pdf

(2020年9月15日時点)