大野市地理情報システム 基 本 計 画...

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大野市地理情報システム 基 本 計 画 書 〈 概 要 版 〉 平成 23 年 3 月 大 野 市

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大野市地理情報システム

基 本 計 画 書

〈 概 要 版 〉

平成 23 年 3 月

大 野 市

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目 次 1. 現状調査・分析 ..............................................................................................................................1

1.1 調査概要 ........................................................................................................................................ 1 1.1.1 アンケート調査 ....................................................................................................................... 1 1.1.2 ヒアリング調査 ....................................................................................................................... 1

1.2 調査結果・分析 ............................................................................................................................. 2 1.3 課題と解決策 ................................................................................................................................. 4

2. 基本方針 ........................................................................................................................................6 3. 統合型 GIS 整備計画 ......................................................................................................................8

3.1 共用空間データの整備手法 ........................................................................................................... 8 3.1.1 共用空間データの整備内容..................................................................................................... 8 3.1.2 基盤地図データの整備方法..................................................................................................... 8 3.1.3 基盤地図データの更新方法...................................................................................................12 3.1.4 データの維持管理 .................................................................................................................13

3.2 統合型 GIS の整備手法 ............................................................................................................... 15 3.2.1 システム整備内容 .................................................................................................................15 3.2.2 統合型 GIS のデータ運用方法 ..............................................................................................18

3.3 統合型 GIS 整備計画 ................................................................................................................... 20 3.3.1 費用 .......................................................................................................................................20 3.3.2 スケジュール ........................................................................................................................21

4. 運用管理体制 ............................................................................................................................... 22 5. 統合型 GIS 導入により得られる効果 ........................................................................................... 23

5.1 量的効果 ...................................................................................................................................... 23 5.2 質的効果 ...................................................................................................................................... 23

6. 今後の課題 ................................................................................................................................... 24

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1. 現状調査・分析

1.1 調査概要

地図利用に関して、庁内の 26 部署(課)でアンケート調査を実施した。さらに、詳細を把

握するために 9 部署についてヒアリング調査を実施した。アンケート調査は平成 22 年 6 月

30 日~7 月 16 日の期間で、ヒアリングは平成 22 年 7 月 27・28 日に行った。

1.1.1 アンケート調査

調査の目的は、大野市の全庁的な情報の共有化と、業務の効率化及び住民サービス向上を

目指す統合型 GIS 構築に向けて、庁内における地図や台帳の現状を把握するとともに、統合

型 GIS に対する要望などを整理することである。 アンケート調査の内容は、大きく以下の3つの項目に分けた。

表 1-1 アンケート調査内容

項目 内容 1.地図関連業務調査票 地図閲覧業務の頻度

地図編集業務の頻度 作成・管理及び利用地図名 他部署地図の利用頻度

2.作成・管理地図調査票 地図名称 背景図(基図)名称、縮尺、座標系等 更新頻度、整備数量、利用上の制限 業務上の問題点 導入 GIS 統合型 GIS への要望等

3.作成・管理台帳調査票 台帳名称、内容 保有形態 統合型 GIS への希望等

1.1.2 ヒアリング調査

ヒアリング調査は、アンケート調査の補足及び、利用基図の詳細内容、GIS 導入の状況等

について聞き取りを行った。

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1.2 調査結果・分析

調査結果のうち、主な項目について以下に示す。 (1) 地図に関わる業務量

地図を扱う業務量を把握するため、各部署における①地図閲覧業務量,②地図編集業務量,

③他部署地図利用業務量について、アンケート結果から算定を行った。ここで、業務量の算

定においては、担当職員が 1 日 8 時間、年間 240 日稼働と仮定し算出した。 地図に関わる業務量の割合をみると、

年間 9,420 時間程度地図に関わる業務が

あり、そのうち、地図閲覧が 60%、地図

編集が 14%、他部署地図利用が 26%とな

っており、地図閲覧の割合が大きいこと

が分かる。

図 1-1 地図を扱う業務量割合

(2) 部署別作成管理地図

地図を作成・管理している

と回答した部署は計 17 課あ

り、挙げられた地図の種類は

全部で 48 種類であった。

も作成数が多いのは、下水道

課で 6 種類、次いで都市計画

課、環境衛生課共に 5 種類で

あった。

図 1-2 部署別作成管理地図数

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(3) 基図別利用数

各課が挙げてきた地図の中で、 も利用件数が多かったのは、都市計画課所管の都市計画

基本図(1/10,000,1/2,500)で、延べ 12 件あり、様々な部署で利用されている。次いで、

市販の住宅地図が多く、延べ 10 件

となっている。国土地理院の地図の

利用も延べ 6 件あるが、大野市全域

にわたる広範囲の地図に利用され

ている。

図 1-3 基図別利用数

(4) 業務上の問題点

地図を利用する際の業務上の問題点について、回答が得られた 30 件の地図のうち、「基図

が古い」と回答した地図が 13 件と も多く、回答が得られた地図の半数近くに上る。これら

地図の基図は都市計画基本図、土地家屋現況図などとなっている。 次に、「更新が適切に行われていない」や「情報の重ね合わせが困難」が 12 件となってお

り、これらの地図は紙やマイラーなどのアナログ地図が多い。これらの状況の内、特に「情

報の重ね合わせが困難」については、GIS の導入により大きく改善できると思われる。 また、「その他」

が 4 件あるが、これ

らは、元資料の情報

が正確でなかった

り、紛失していると

いったものである。

図 1-4 地図に関わる業務上の問題

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1.3 課題と解決策

アンケート及びヒアリング調査結果から明らかになった、大野市における業務上の課題や

問題点を挙げると共に、その解決策を示す。 (1) 地図に関わる業務量において、地図を閲覧したり、他部署の地図を利用したりする

際の時間がかなりの割合を占めている。

⇒統合型 GIS を導入することで、目的の場所を迅速に検索したり、他部署の地図

を自分の席で閲覧したりすることが可能になるため、時間の短縮に大きく貢献

出来ると思われる。 (2) 様々な地図のベースとして都市計画基本図、住宅地図、数値地図の利用が多い。都

市計画基本図は法令図書として 1/2,500 で作成された詳細な地図であり、様々な地図

の背景として利用できるが、整備範囲が都市計画区域内のみである。都市計画区域

以外の場所や大野市全域を対象とした場合では、多少精度を犠牲にしてでも住宅地

図や国土地理院地図を利用する方法しかないことが、これら地図の利用が多くなっ

ていることの一因ではないかと推測される。

⇒都市計画区域に加え、和泉地区を含む、均一の精度を持った詳細な“大野市地

形図”を整備する必要がある。 (3) 業務上の問題点として「基図が古い」といった問題が多く挙げられている。これは、

都市計画基本図や地番図が作成当時から更新されていないことによる。

⇒基図となる地図については、計画的に整備し、定期的に更新する必要がある。 (4) 閲覧等で利用される地図のうち、住宅地図の次に土地家屋現況図の利用頻度が高い。

⇒土地家屋現況図は、平成 5 年以降更新されていないため、現在までのデータの

更新を行い、統合型 GIS で全庁利用できる仕組みが必要である。 (5) 住宅地図は、建物の番地や居住者名が記載されているため、場所確認や閲覧での使

用頻度が高い。しかしながら各部署単位で個別に購入されているのが現状である。

⇒紙媒体の住宅地図の必要性やWebGIS上での利用方法等を検討する必要がある。

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(6) 地図の測地系については、日本測地系の地図が多くみられる。

⇒今後地図を整備・更新する際は世界測地系に順次移行していく必要がある。 (7) 庁内の一部の部署で独自に地図(背景部分)整備を行っている。

道路台帳や下水道台帳で独自に地図(背景部分)整備が行われている。 道路台帳は毎年工事箇所について、図面の更新がなされているが、アナログ図

面のままであり、作成精度も 1/500、1/1,000 が混在している。

⇒今後道路台帳をデジタル化する際には、精度を 1/1,000 に統一し、併せて地形

図の道路骨格(道路縁)との整合を図ることで、両者の地図整備費用の低減を

図ることが期待できる。 一方、下水道台帳に使用されている実測平面図については、下水道整備地区の

図面であり、作成目的、用途が工事設計用に特化しているため、下水道整備が

完了するまでは当該図面の代替地図は該当しないと考えられる。 (8) 既存図面の有効活用について

⇒地形図を整備する際、既存図面を利用することが考えられる。特に地形図の道

路骨格(道路縁)を、道路台帳現況平面図を利用して整備することが挙げられ

る。ただし、前項のズレ検証では精度に懸念があることが判明したため、事前

に詳細な検証(道路台帳現況平面図の道路縁を全て入力し、他図面との整合比

較等)が必要である。なお、今後の検証で得られた道路縁データは、道路台帳

デジタル化の際の基礎資料になると思われる。

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2. 基本方針

大野市では、平成 22 年 3 月に「大野市地理情報システム基本方針(大野市地理情報システ

ム検討委員会)」が策定されているため、これに基づき基本計画を検討することとする。 以下に大野市地理情報システムの基本方針を記載する。

大野市地理情報システム基本方針

○市民への公開をすること

統合型 GIS のデータから公開できる情報を抽出し、行政の地理情報を市民向けに公開

します。利用者は自宅や職場から、いつでも公開されている地理情報を閲覧・利用する

ことができます。また、学校の授業など教育面での活用が可能となります。 公開システム構築の際には、国のシステムや、事業者が提供する安価なサービスの利

用など、費用を軽減できる方策も視野に入れます。

○個別 GIS と共存する統合型 GIS の導入を図る

統合型 GIS を整備し、市全体で基盤地図を共有して維持することで、業務の効率化を

図り、 新の地理情報を提供します。整備に当たっては、既に導入されている個別 GISを廃止するのではなく、それぞれのあり方や利用実態を再検証し、専門性や行政課題か

ら単独での運用が必要な個別 GIS については個別で運用し、そのデータを利用すること

で統合型 GIS との効率的な共存を図ります。

統合型 GIS

公開用データ

抽出

職員

利用

登録

市民

利用

さまざまな地図を WEB 上で利用

・自宅や会社から地理情報を閲覧

・双方向の情報共有

個別 GIS 個別 GIS

各課に共通して必要となる

データのみを共用=基盤地図

大野市の地理情報システム(GIS)の全体イメージ図

インターネット経由で利用 庁内 LAN 経由で利用

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大野市地理情報システム基本方針

○独自でのシステム導入を図る

統合型 GIS については、県や広域で整備し、各市町村が負担金を払って使用するなど

の事例もありますが、福井県においては、そのような取り組みをする構想や計画はない

ことが確認されております。 県内他市町においても、4市2町で独自の統合型 GIS を導入済みであること、また敦

賀市や鯖江市でも多くの個別 GIS を整備している等の現状から、大野市においても独自

でシステム導入を目指します。

○財政規模に応じて導入・維持が可能なシステムであること

システム導入については、市の財政状況に見合い、長期的に運用が可能となる適正な

規模のシステムとすることが重要です。また、長期的視点で整備を行い、使いやすさに

重点をおいたシステムにすることで、効率的な導入・運用を目指します。 データ調達については特に重要で、導入や維持コストに大きくかかわるため標準的な

形式で、適正な精度のデータを整備することとし、各部署や関係団体の地理情報を 大

限に有効活用することによって効率的に整備します。 また、導入コストや維持管理の面から住基連携を行わないシステムとし、個人情報に

ついては必要な範囲での取り扱いとします。

○全職員が利用できる統合型 GIS とする

統合型 GIS を導入しても、使用しないシステムは廃れることになります。使われなく

なり、更新されなくなることで利用価値が下がり、より使われなくなるからです。 導入する統合型 GIS についてはストレスなく使用できるよう、迅速に動作するシステ

ム構成とします。また、簡潔な操作で日常的に全職員が利用でき、職員によって維持管

理できるようにします。 個人情報などを含むために限定された範囲で使用したいデータなどには、権限を設定

し、全職員が安心・安全に利用できる環境を整えます。

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3. 統合型 GIS 整備計画

3.1 共用空間データの整備手法

3.1.1 共用空間データの整備内容

大野市において各課で共通して利用する地図を『共用空間データ』として位置づけること

とし、共用空間データの整備内容として、表 3-1 に示すとおりとする。共用空間データは、

全庁で背景として利用される「基盤地図データ」及び各課固有の主題図情報の内、各部署間

で共有される「共有コンテンツ」の 2 階層に区分している。

表 3-1 共用空間データの構成内容

階層 名称 概要

共用空間データ

基盤地図デ

ータ 大野市地形図 地形地物を表現した主題図のベース図となるデータ

地番図 地番検索や土地所有者等の情報を確認するために利

用されるデータ

家屋図 家屋に関わる情報の検索や主題図作成に利用される

データ

航空写真 現況をより視覚的に把握するために背景として利用

されるデータ

住宅地図 建物の所有者や名称、位置確認等に利用されるデー

タ 共有コンテ

ンツ 例)道路占用、都市計画規制情報、土地利用、用途地域、避難所、

ハザードマップ、下水道計画等

3.1.2 基盤地図データの整備方法

(1) 大野市地形図

整備手法として表 3-2 のとおり 3 パターンを示し、これらの適性を比較検討した。

大野市地形図データ整備手法 整備する範囲は、都市計画区域とその周辺、及び和泉地区のうち集落が存在する

範囲(105 ㎢程度)。 既存都市計画基本図を、地図情報レベル 2500 でのマップデジタイズ手法で修正

を行い、それ以外の地域については、既存航空写真よりレベル 2500 での新規図

化を行う。 今後の更新時には、道路縁の地図情報レベル 1000 の取得を検討する。

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表 3-2 整備パターン

パターン 整備手法

パターン1 既存航空写真より都市計画区域とその周辺及び和泉地区を地図情

報レベル 2500 のデジタルマッピング(DM)手法で新規図化

パターン2 パターン 1 に加え、道路縁部分を道路台帳現況平面図より地図情報

レベル 1000 でマップデジタイズ(MD)手法により取得する。

パターン3 パターン 1 の既存都市計画基本図をマップデジタイズ(MD)手法

で修正。その他のエリアは航空写真より地図情報レベル 2500 のデ

ジタルマッピング(DM)手法で新規図化。 各整備パターンにおける、活用のメリット・デメリットを比較したものを表 3-3 に示す。

表 3-3 整備パターン別メリット・デメリット

メリット デメリット

パターン1 も標準的な整備方法であり、

比較的費用は安価。 道路・下水道業務でそのまま利用すること

は難しい。

パターン2 今後道路台帳業務でも利用で

き、道路台帳整備にかかる費用

の軽減が期待できる。

道路縁をマップデジタイズする分、費用が

高額になる。 既存道路台帳現況平面図の精度に不安が

ある(道路台帳図面の詳細な検証が必要)。

パターン3 費用は も安価で、地図情報レ

ベル 2500 が維持できる。 パターン 1 と同様、道路・下水道業務でそ

のまま利用することは難しい。

以上のことから、大野市地形図の整備方法を検討する。 まず、整備範囲については、なるべく少ない費用で有効な整備効果を得る範囲として、都

市計画区域及び農地の範囲を基本とし、それらに集落を加えた範囲として、都市計画区域と

その周辺及び和泉地区の集落が存在する範囲(合計 105 ㎢程度)とすることが適切である。

表 3-4 整備範囲と整備費用の関係

整備範囲 面積(㎢) 整備費用 全域 872.3 森林除く 130.9 都市計画区域+農地 64.2 都市計画区域 52.5

整備手法においては、パターン 2(道路縁の地図情報レベル 1000)の手法で整備すること

が理想的であるが、費用が高額になってしまうことに加え、既存道路台帳現況平面図の精度

高い

低い

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に不安がある。次いで、パターン 1 は も標準的な整備方法であり、パターン 2 よりも安価

にはなるが、それでも広範囲を整備するには費用がかかってしまう。一方、パターン 3 は、

既存の図面を利用し、足りない箇所についてのみ新規で整備する方法であるため、費用的に

は も安価である。精度もパターン 1 同様、地図情報レベル 2500 を確保できる。 大野市の財政状況を考慮し、初期整備ではパターン 3 の手法で整備を行い、今後地形図を

更新する際に、道路縁を地図情報レベル 1000 で取得することを検討する。 (2) 航空写真(オルソ画像)

整備費用軽減の観点から既存の航空写真を利用することとする。航空写真データについて

は、平成 21 年 12 月に撮影された航空写真及び、平成 20 年 9 月に撮影された福井県土地改

良事業団体連合会の航空写真を利用することが考えられる。地上解像度についてはどちらも

25cm であるが、撮影範囲については平成 20 年の航空写真の方が広く和泉地区も含まれてい

る。よって、平成 21 年撮影の航空写真(「H21 オルソ」という)と、撮影年度は 1 年ほど古

くなるが、平成 20 年の航空写真(「H20 オルソ」という)の両方を利用するものとする。 (3) 地番図

地番図データの整備手法としては、税務課において、大野地区における平成 5 年頃に作成

された土地現況図について、法務局からの税通資料等により更新を行い、和泉地区の土地現

況図については、新規に公図・地積測量図・航空写真等から土地現況図を作成する。 作成にあたっては、土地 1 筆毎の面データ(ポリゴン図形)とする。また作成縮尺につい

ては、現在は 1/500、1/1,000 と混在しているが、一律 1/1,000 に統一して整備することで、

今後の更新費用の低減を図るものとする。 なお、当該データを全庁で利用するに当たっては、個人情報や課税情報に配慮する必要が

あるが、GIS での位置検索を可能にするため、 低限“地番情報”は格納する。 (4) 家屋図

家屋図データの整備手法としては、税務課において、今後撮影予定の航空写真等より、大

野地区における平成 5 年頃に作成された家屋現況図について更新を行い、和泉地区の家屋現

況図については新規作成する。 作成にあたっては、家屋 1 棟毎の面データ(ポリゴン図形)とする。また作成縮尺につい

ては、現在は 1/500、1/1,000 と混在しているが、一律 1/1,000 に統一して整備することで、

今後の更新費用の低減を図るものとする。 なお、当該データを全庁で利用するに当たっては、個人情報や課税情報に配慮する必要が

あるが、GIS での位置検索を可能にするため、 低限“地番情報”は格納する。

(5) 住宅地図

民間企業で作成・販売されている大野市の住宅地図データを所定のライセンス契約により

利用する。 ただし、住宅地図データは、公共測量作業規程に基づいて作成されたものではないため、

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大野市地形図との整合は取れず、正確には基図としてでなく、参照的な利用しかできない。

また、当該地図の居住者名称や建物名称が記載された出力図やコピー、データファイル等を

第三者に提供することには制約があるため、十分に留意する。

整備する基盤地図データの一覧を表 3-5 に示す。

表 3-5 基盤地図データの一覧

基盤地

図名 作成元 精度 範囲 整備方法 データ形式 保管 形態

大野市

地形図

都市計画

基本図 地図情報 レベル 2500

都市計画区

域とその周

辺・和泉地

区 の 一 部

(105 ㎢)

都市計画区域:既存図面の

マップデジタイズ DM 形式 及び

Shape 形式 (JPGIS 形式)

DVD等電子

媒体 航空写真

(H20 オル

ソ、H21 オ

ルソ)

都市計画区域外:DM 手法

地番図 土地現況

図 地図情報 レベル 1000

税務課整備

範囲

大野地区:H5 土地現況図

更新 個別 GIS 専

用形式 及び

Shape 形式

DVD等電子

媒体 和泉地区:新規作成

家屋図 家屋現況

図 地図情報 レベル 1000

税務課整備

範囲

大野地区:H5 家屋現況図

更新 DVD等電子

媒体 和泉地区:新規作成

航空写

真 ( オ

ルソ画

像)

福井県土

地改良事

業団体連

合会

地図情報 レベル 2500 (地上解像

度 25cm)

大野地区・

和泉地区 既存「H20 オルソ」 Tiff 形式 (Tfw 付)

HD(外付) 等電子媒

体 (都市計

画課) 大野地区 既存「H21 オルソ」

住宅地

図 市販地図 - 大野市全域 市販地図をライセンス契約

にて購入

ZMD 形式 (ゼンリン独自フ

ォーマット)

CD 等

電子媒

なお、整備する際に使用する座標系については、「日本測地系 2000(世界測地系)/平面直

角座標系第Ⅵ系」とする。

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3.1.3 基盤地図データの更新方法

整備された基盤地図データについては適切に維持管理を行う必要がある。

(1) 大野市地形図

大野市地形図について、現況を表現するにはなるべく短いサイクルで更新を行うことが望

ましいが、費用面も考慮する必要がある。都市計画基本図は概ね 5 年毎に更新することが望

ましいとされているため、大野市においても 5 年毎の更新を基本とする。 また、更新の際には、航空写真を利用することが一般的であるため、その時点で 新の航

空写真を利用して更新を行うものとする。 なお、今後の更新時には、道路台帳現況平面図や航空写真より、道路縁を地図情報レベル

1000 で取得することも検討する。 (2) 航空写真

航空写真は税務課の業務で利活用できるようにすることを考慮し、撮影のサイクルは 3 年

毎を基本とする。また撮影範囲は、地形図の整備範囲が限られているため、これを補完する

ためにも、できるだけ広範囲を取得する。 小範囲とした場合でも、地形図整備範囲と税務

課利用範囲の両方を包含した地区を対象とする。なお、撮影仕様は、税務課業務で利活用が

できるように、地図情報レベル 1000、オルソ画像の解像度は 16cm 程度が取得できるものと

する。 (3) 地番図・家屋図

毎年税務課において、税通資料等を元に土地家屋現況図を更新する。なお、当該データを

全庁で利用するに当たっては、個人情報や課税情報に配慮する必要がある。 (4) 住宅地図

住宅地図については、3 年毎の更新を基本とする。

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3.1.4 データの維持管理

(1) データの仕様・品質(製品仕様書)

データの整備・更新において、公共測量作業を行う際には、公共測量作業規程を遵守する

必要がある。公共測量作業規程(準則)は平成 20 年 3 月に改正が行われ、地理情報標準への

対応が義務付けられた。 製品仕様書に記載すべき項目については、表 3-6 に示す。

表 3-6 製品仕様書記載項目

項目 概要 内容 1.概覧 空間データの概

要情報 空間データ製品仕様書の作成に関する情報、空間

データ製品の具体的な目的、空間範囲、時間範囲、

引用規格、用語と定義 等 2.適用範囲 仕様書が適用さ

れる範囲 適用範囲識別、階層レベル

3.データ製品

識別 他の空間データ

製品と識別する

ための情報

空間データ製品の名称 作成日 空間データ製品に関する問合せ先

4.データ内容

及び構造 空間データの設

計図 UML クラス図、応用スキーマ

5.参照系 使用する座標及

び時間の基準 座標参照系、時間参照系

6.データ品質 品質要求 空間データの利用目的を満足するために、データ

作成者が保証しなければならない品質の基準 完全性・論理一貫性・位置正確度・時間正確度 主題正確度

7.データ製品

配布 空間データのフ

ォーマット 符号化仕様 配布媒体情報

8.メタデータ メタデータの記

述仕様 メタデータの形式、作成単位

9.その他 任意記述項目 例)描画仕様,メンテナンス (2) メタデータ

メタデータは、空間データの内容を示すためのデータである。製品仕様書に基づき作成さ

れた空間データは、重複投資を防止し、効率的な利活用をはかるために、広く組織内に公開

していくことが重要である。 メタデータに記載する主な項目(要素)を表 3-7 に示す。

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表 3-7 メタデータに記載する主な項目(要素)

項目 概要 メタデータに関する情報 メタデータそのものに関する情報 データの問合せ先情報 データの所有者や配布者などの問合せ先に関する情報 データの識別情報 データを一意に識別するための情報 データの範囲情報 データの含まれる空間的、時間的な範囲に関する情報 データの配布情報 データを配布する際のデータフォーマットや配布形態

に関する情報 データの品質情報 データの品質に関する情報(品質評価結果)

(3) 汎用的なデータ形式

アンケート・ヒアリングより、大野市においては複数部署で GIS が導入されており、全庁

でのデータ流通については、これら既存の GIS ソフトをはじめ、今後導入される GIS ソフト

で利用できるデータ形式を検討する必要がある。 導入されている GIS ソフトについては「SIS」が多くなっている。統合型 GIS を運用管理

する際に、SIS のデータ形式(BDS 形式)を流通データ形式とすることも考えられるが、こ

のような GIS 固有のデータ形式(「個別 GIS 専用形式」という)では、今後他の GIS の導入

を阻害することにつながるため問題がある。そこで、BDS 形式を直接扱うことのできない

GIS ソフト間でも流通が可能な汎用的なデータ形式を考慮する必要がある。 空間データに関する汎用的なデータ形式としては、国土交通省国土地理院が「地理情報標

準プロファイル(JPGIS)」を定めている他、地形図等に関する「数値地形図データファイル

(DM 形式)」、データ交換のための標準として「GML(G-XML)」が定められている。また、

GIS の形式としては、「Shape(シェイプ)」が汎用的な形式となっており、多くの GIS ソフ

トで当該形式をサポート(インポート・エクスポート)している。 一方、データ交換のための「GML(G-XML)」形式等については、データ量が多くなるこ

とや、現状では取り扱い可能な GIS ソフトが未だ少ないこと等、課題も多い。 以上のことから、大野市統合型 GIS で使用する汎用的なデータ形式は「Shape」形式とす

る。よって、今後、共用するデータの整備の際には、個別 GIS 専用形式の他に、汎用的なデ

ータ形式として「Shape」形式も併せて整備することに注意する必要がある。

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3.2 統合型 GIS の整備手法

3.2.1 システム整備内容

大野市統合型 GIS においては、共用空間データを中心とし、“既存の個別 GIS”を利活用

することに加え、“新たに構築する特定業務用の個別 GIS”を整備し、併せて、庁内ネットワ

ーク(LAN)を使用した全職員が容易に操作できる“庁内 WebGIS”も導入することとする。

また、インターネットで市民に情報提供するための“公開 WebGIS”も整備するものとする。 また、システムの構成イメージについて、図 3-1 に示す。

図 3-1 システム構成イメージ

ファイアーウォール

A 課個別 GIS

B 課個別 GIS

職員端末

職員端末

庁内 WebGIS サーバ

データ管理サーバ

公開 WebGIS

サーバ

インターネット

庁内情報系ネットワーク

DMZ

共用空間

データ

必要な

共用空間データ

A 課業務データ

必要な

共用空間データ

B 課業務データ Web ブラウザによる

共用空間データの閲覧

各課メモコンテンツの登録

公開可能

データ

職員端末

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(1) 個別 GIS

個別 GIS については、建設課における道路管理システム及び水道課・下水道課の上下水道

管理システムなど、庁内で現在稼働している GIS については、現在のシステム機能に対して

概ね満足しているため、今後も現状のまま利用していくものとする。 一方、税務課においては GIS が未導入であり、アンケート・ヒアリングにおいて GIS 導入

の希望がある。一般的に、固定資産管理業務を支援する GIS を導入している自治体は多いた

め、大野市においても「固定資産管理 GIS」を新規に導入することとする。

【土地検索】 【土地情報表示】

【画地計測】

図 3-2 固定資産管理 GIS の画面例

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また、税務課以外でも、都市計画業務や農地業務をはじめ、各部署で今後 GIS を導入した

いとの希望がある。これらの業務については、閲覧やデータの属性値を使った色塗り等が主

であるため、GIS の汎用的な機能で対応できると思われるため、当面後述する庁内 WebGISを利用することとする。 (2) 庁内 WebGIS 及び公開 WebGIS

大野市統合型 GIS では、各職員端末のブラウザで利用できる「庁内 WebGIS」及びインタ

ーネットにより地域への情報提供が可能な「公開 WebGIS」を新規に導入することとする。

図 3-3WebGIS の画面例

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3.2.2 統合型 GIS のデータ運用方法

統合型 GIS の各システム間で利用するデータについて、以下のように運用管理を行う。

① 各課の個別 GIS では、従来通りのデータ(個別 GIS 専用形式)運用管理を行う。

② 所管課で整備された共用空間データ(Shape 形式)は、データ管理サーバに保管し

管理を行う。

③ 各課の個別 GIS では、データ管理サーバから必要な共用空間データ(Shape 形式)

をダウンロード(コピー)して利用する。(個別 GIS における共用空間データは、

データ管理サーバから「直接参照」は行わない。ネットワークの負荷やトラブルに

影響を受けない・及ぼさないようにするために一旦、個別 GIS 用 PC にコピーする。)

④ 庁内 WebGIS で共用空間データの配信を行い、職員端末のブラウザで閲覧する。ま

た、ブラウザ上で作成した各課のメモコンテンツは、データ管理サーバに登録する。

⑤ 庁内 WebGIS で共用空間データを配信する際、基盤地図データは全部署閲覧可能と

し、共有コンテンツは必要に応じアクセス権を設定する。

⑥ 共用空間データの更新(編集)については、データ管理サーバ上では直接行わない。

所管課で共用空間データを更新した際に、当該データ(Shape 形式)をデータ管理

サーバへアップロード(コピー)する。(個別 GIS 専用形式データを更新した際は

Shape 形式も変換整備する必要がある。)

⑦ データ管理サーバ内の共用空間データ及び各課のメモコンテンツ、各課個別 GIS 内

の共用空間データ及び業務データついては、定期的にバックアップを行う。

⑧ 公開 WebGIS は、他の機器と同一のネットワーク上に配置しないため、公開可能な

データはオフラインで当該サーバに格納する。

以上のデータ運用管理方法を図 3-4 に示す。

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図 3-4 データ運用管理方法イメージ

公開 WebGIS サーバ

公開可能データ

(Shape 形式)

大野市ホームページ 公開可能メモ

コンテンツ

インターネット

A 課個別 GIS

データ管理サーバ

共用空間データ

(Shape 形式)

・基盤地図データ

・共有コンテンツ

庁内 WebGIS サーバ Web 配信

バックアップ

各課メモ

コンテンツ

直接参照 登録

必要な共用空間データ (個別 GIS 専用形式

or Shape 形式)

・基盤地図データ

・共有コンテンツ

A 課業務データ

(個別GIS専用形式)

B 課個別 GIS

B 課業務データ

(個別GIS専用形式)

職員端末

ブラウザによる

データ閲覧

各課メモコンテ

ンツ作成

必要な共用空間データ (個別 GIS 専用形式

or Shape 形式)

・基盤地図データ

・共有コンテンツ

バックアップ バックアップ

共用空間 データ更新

アップロード(コピー)

(Shape 形式) ダウンロード(コピー)

媒体

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3.3 統合型 GIS 整備計画

統合型 GIS を整備する際の概算費用及び導入スケジュールを以下に示す。

3.3.1 費用

(1) データ整備・更新概算費用

表 3-8 データ整備・更新概算費用

データ名 縮尺 精度 所管課 整備費用

(千円) 更新費用 (千円) 整備量 備考

大野市地形図 地図情報 レベル 2500 都市計画課

95,000

20,000

都市計画区域とその

周辺、及び和泉地区

の一部 約 105 ㎢

都市計画区域外

は既存オルソ画像

より新規図化、5年毎に更新

地番図 (土地現況図)

地図情報 レベル 1000 税務課 1,500 土地:約 10 万筆 更新数量 1,000

筆 家屋図 (家屋現況図)

地図情報 レベル 1000 税務課 1,000 家屋:約 2.9 万棟 更新数量 400 棟

航空写真(オル

ソ画像)

(既存) 地図情報 レベル 2500 (更新) 地図情報 レベル 1000

(更新) 税務課 15,000

(既存) 約 340 ㎢

(更新) 約 175 ㎢

3 年毎に撮影 撮影仕様;地図

情報レベル 1000、オルソ地上解像度

16cm

住宅地図 - 情報広報課 1,000 市全域 1 システム同時 20 ラ

イセンス 3 年毎に更新

(2) ハード・ソフトウェア概算費用

表 3-9 ハードウェア概算費用

項目 導入部署 仕様 台数 合計 (千円) 備考

個別 GIS 用サー

バ 税務課

タワー型(ラックマウント型) WindowsServer2008 Xeon2.4GHz HD146GB(RAID) メモリ 2GB バックアップ,無停電電源

装置

1

12,000

税務課固定資産管理

GIS 用(クライアントサ

ーバ型)

庁内 WebGIS 用

サーバ (データ管理サ

ーバ)

情報広報課

ラックマウント型 WindowsServer2008 Xeon2.4GHz HD300GB(RAID) メモリ 4GB バックアップ,無停電電源

装置

1 データ管理サーバも兼

用する

公開 WebGIS 用

サーバ 情報広報課 庁内 WebGIS と同じ 1

カラープロッタ 情報広報課 B0 対応 1 5 年間保守費込

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表 3-10 ソフトウェア概算費用

名称 導入部署 費用(千円) 年間保守費 (千円)

備考

固定資産管理

GIS 税務課

6,000

500 基本パッケージ+カスタマイズ ライセンス 6 台

庁内 WebGIS 情報広報課 500 オープンソース GIS エンジン採用 基本機能+カスタマイズ

公開 WebGIS 情報広報課 500 同上

3.3.2 スケジュール

表 3-11 統合型 GIS 導入スケジュール

項目\年度 H23 H24 H25 H26 H27 H28 (データ) 地形図 新規 更新 地番図 (土地現況図) 新規(大野) 新規(和泉)・

異動更新(大野)

異動更新

家屋図 (家屋現況図) 新規 異動更新 航空写真 既存 撮影 撮影 住宅地図 購入 購入 (ハード&ソフト) 固定資産GIS 新規 保守 庁内WebGIS 新規 保守 公開WebGIS 新規 保守 整備費用(千円) 63,000 30,000 15,000 3,000 0 0

更新費用(千円) 0 1,500 1,500 2,500 17,500 22,500

保守費用(千円) 0 1,000 1,000 1,000 1,500 1,500

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4. 運用管理体制

統合型 GIS を整備し、日常的に運用するためには、庁内横断的な組織を構築し、運用・管

理体制を確立することが重要である。また、庁内で運用・管理を行う中心的な組織を位置づ

け、総合的に対応する必要がある。 大野市では、これまで横断的な推進組織として「大野市地理情報システム検討委員会」

(「GIS 検討委員会」という)を設置し、地理情報を作成管理している部署及び個人情報を扱

う部署を中心に研究活動に取り組んできた。したがって、統合型 GIS 整備後も「GIS 検討委

員会」を横断的な推進組織として位置づける。なお、中心組織として、情報広報課を位置づ

けるものとする。

図 4-1 組織体制(案)

参加

庁内 WebGIS

利用課

参加

共用空間データ提供

GIS 検討委員会

【役割】協議/方向性

/ルール策定

/ 普 及 ・ 啓 発

/情報交換

個別 GIS 所管課

個別 GIS

【役割】導入主体/計画立案/

データ管理・更新/予

算要求・執行/運用保

守/共用空間データ提

運営

統合型 GIS 運用管理主体(情報広報課)

庁内・公開 WebGIS、データ管理サーバ

【役割】導入主体/計画立案/共用空間デ

ータ管理・更新/予算要求・執行/運

用保守

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5. 統合型 GIS 導入により得られる効果

GIS 導入によって得られる効果は、量的に把握可能なものと、そうでないもの(質的)が

ある。

5.1 量的効果

統合型 GIS 導入に伴う量的な効果は、「作業労力(業務量)の軽減」、「委託費用の軽減」、

「保管スペースの軽減」などの効果が考えられる。ここでは、特に業務量の軽減について、

アンケート調査及びヒアリング調査の結果を用いて試算を行った結果を表 5-1 に示す。これ

をみると軽減効果として、年間約 855~1,227 万円の効果となる。

表 5-1 大野市における業務量軽減効果の算出

業務区分 業務量 (時間)

軽減率 軽減量(時間) 軽減費用(万円)

閲覧 4,927 40%~50% 1,971~2,464 616~770 地図編集 1,037 50%~70% 519~726 162~227 その他 (他部署地図利用) 2,457 10%~30% 246~737 77~230

合計 8,421 - 2,736~3,927 855~1,227

5.2 質的効果

質的な効果としては、以下の事項が挙げられる。 (1) 各種業務の正確性の向上

(2) 業務プロセスの見直し、技術改善

(3) 政策課題や政策立案への GIS の活用

(4) 住民等のサービスの向上

①住民等の利便性向上 ②住民等からの信頼の向上

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6. 今後の課題

(1) 地形図について

本計画書において、地形図の初期整備は地図情報レベル 2,500 で作成することとしている

が、道路骨格(道路縁)については、道路台帳現況平面図、及び今後撮影する航空写真を利

用し、道路縁を地図情報レベル 1,000 で取得することで、今後の道路台帳のデジタル化の基

礎となり、将来的には地図に関わる整備費用の低減に繋がることが期待できるため、関係部

署と検討を行っていく。 (2) 汎用的なデータ形式について

データ形式は、現時点での庁内流通を主眼に考えて DM・Shape 等としたが、今後の国・

GIS 業界の動向によっては、また違った形式のデータがふさわしい場合もある。そのため、

柔軟に対応できるようにする。 (3) 職員への GIS の啓発

GIS は昨今 GoogleMaps 等の影響により、身近なものとなりつつある。しかしながら業務

で活用するとなると、他のオフィスソフトと比べて操作やデータの取り扱いが難しいと思わ

れる。これらGISに対する障壁を取り除くには、操作研修などのGIS啓発活動が重要となる。

操作方法を習得することで、GIS の有効利用が促進され、業務の効率化が加速されることに

なる。 GIS は技術的進歩が著しい分野の1つではあるが、その効果を 大限利用できるようにす

るためには、日常業務の中で、職員が GIS を活用できるよう、的確かつ定期的な啓発活動を

行う。 (4) 今後の取り組み

今後、財政状況、GIS 分野の技術進歩、市民サービスの向上、費用対効果、事務効率化な

どを総合的に判断し、本計画書を定期的に見直しながら、開発スケジュール案を踏まえてシ

ステムの導入を計画的に図っていく。