旅行客一人ひとりに合わせたサービスを提供 -...

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エールフランス-KLMは、旅客輸送、貨物輸送、航空保守 3つの主要事業で世界を牽引する航空会社グループ です。毎年9,000万人の顧客が利用し、マイレージプログ ラム「フライング・ブルー」には2,700万人の会員が参加 し、 Webサイトへのユニークアクセスが毎月約250万人 近くに上るエールフランス-KLMグループにとって、顧客 データ処理は重要な課題です。 顧客それぞれの旅のニーズに対応 航空輸送業界における熾烈な競争は言うまでもありま せんが、エールフランス-KLMにとっては、格安航空会社 LCC)とは一線を画すプレゼンス(及び価格)を確立す ることが難問となっていました。アジア及び中東湾岸諸 国の競合との差別化も課題となっています。単に他社と 違ったカスタマーエクスペリエンスの提供ではなく、異 常なほどに違うものを実現することが要求されているの です。 「顧客一人ひとりの異なる要望ごとへの対応が必要な 時代がやってきています」と、最高顧客データ担当者の Gauthier Le Masne氏は説明します。今や、「製品だけで は十分ではありません。顧客とどのような関係を築き、ど のようなサービスを提供できるかということが、競合他 社との差別化となるのです。顧客が何により満足するか というと、製品は、サービス関連の要素よりも低い10にランクされています。顧客は航空会社に、単なる移動 手段の提供ではなく、自分自身の旅のニーズに対応する ことを望んでいます。」 この数年で、航空会社が利用できるデータ量は急増しま した。 Webサイトやアプリケーションからも多くのやりと りが生まれています。たとえば、 AirFrance.comでは5秒に 1件の頻度で製品が買われています。さらに、エールフラ ンス-KLMは、 Facebook1,600万人のファンやTwitter3百万人のフォロワーと交流しているほか、オンラインの メディアバイイングプロセスを独自に実行している数少 ない広告主の1つとしてメディアキャンペーンのデータ も得ています。 ビッグデータプラットフォームに 顧客データを集中化 同グループは数年前に、コールセンター、ソーシャルネット ワーク、そして空港/ 空港ラウンジ/航空機で勤務する同社 の社員を経由した顧客データを収集し始めましたが、デー タを一元化していませんでした。そのため、最初の課題 は、全ての顧客データをエールフランス-KLMグループ全社 の共通プラットフォームに集約することでした。「顧客デー タを一旦ビッグデータプラットフォームに集め、顧客サービ スのあらゆる場面で、その状況にあった形でデータを再 配布できるようにすることを目指しました」と、 Gauthier le Masne氏は続けます。プラットフォームの設定は2016年前 半に完了しました。「すでに導入していたHadoop プラット フォームを活用しました。」 Talendが選ばれる理由 2の課題は、データ管理でした。「データの品質を保証し、 顧客のプライバシーを保護し、顧客と従業員の双方に明確 な利益をもたらすための体系が必要でした」と、 CRMビッ グデータプロジェクトマネージャーのDamien Trinité氏は 説明します。「プラットフォームの中心にTalendを据え、情 報を複製・合 理 化し品質の高いデータを確保しました。」 Talend Data Qualityは当社の競争力を支えています」 と、 DamienTrinité氏は続けます。「当グループは高品質 の顧客データを使用しています。フライトの予約には電 話番号と電子メールが必須であり、予約用のサイトや アプリケーションにアクセスする時は殆どが個人アカウ ントに接続するため、オンライン及びオフラインの情報 の一致も簡単です。毎月、 Talendを活用して100万件の データ修正が行われています。 また、エールフランス-KLMWebサイト、モバイルサイ ト、及びモバイルアプリケーションで提供されている サービスを利用する乗客の個人データ(PII)を収集し、 処理することがあります。しかし、顧客の明示的な同意な しに個人が特定されることがあってはなりません。その ため、同社は、乗客、ロイヤルティプログラム会員、見込 み顧客、 Webサイト訪問者に関するプライバシー保護規 旅行客一人ひとりに合わせたサービスを提供 業界 航空 概要 本社:フランス 従業員 10,000 人以上 ユースケース • 360°のカスタマービューによ り、各顧客に合わせたサービ スを提供。「カスタマーイン ティマシー(親密な顧客関係 の構築)」 課題 顧客それぞれの旅のニーズへ の対応 使用する Talend 製品 • Talend Data Management • Talend Metadata Management 成果 数千万人の顧客に、それぞれ のニーズにあった旅の体験を 提供 毎月100件のデータを処理 顧客情報へのアクセスを10に加速 ケーススタディ 当グループは、ビッグデータを Talendのプラットフォームで活用することで、チケット購入の 計画段階から、ご搭乗後まで、それぞれのお客様に" 自分だけの旅" の体験を提供しています。 エールフランス-KLMグループ 最高顧客データ責任者 Gauthier Le Masnewww.talend.com ©Talend 2018. JP

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Page 1: 旅行客一人ひとりに合わせたサービスを提供 - Talendエールフランス-KLMは、旅客輸送、貨物輸送、航空保守 の3つの主要事業で世界を牽引する航空会社グループ

エールフランス-KLMは、旅客輸送、貨物輸送、航空保守の3つの主要事業で世界を牽引する航空会社グループです。毎年9,000万人の顧客が利用し、マイレージプログラム「フライング・ブルー」には2,700万人の会員が参加し、Webサイトへのユニークアクセスが毎月約250万人近くに上るエールフランス-KLMグループにとって、顧客データ処理は重要な課題です。

顧客それぞれの旅のニーズに対応

航空輸送業界における熾烈な競争は言うまでもありませんが、エールフランス-KLMにとっては、格安航空会社(LCC)とは一線を画すプレゼンス(及び価格)を確立することが難問となっていました。アジア及び中東湾岸諸国の競合との差別化も課題となっています。単に他社と違ったカスタマーエクスペリエンスの提供ではなく、異常なほどに違うものを実現することが要求されているのです。

「顧客一人ひとりの異なる要望ごとへの対応が必要な時代がやってきています」と、最高顧客データ担当者のGauthier Le Masne氏は説明します。今や、「製品だけでは十分ではありません。顧客とどのような関係を築き、どのようなサービスを提供できるかということが、競合他社との差別化となるのです。顧客が何により満足するかというと、製品は、サービス関連の要素よりも低い10位にランクされています。顧客は航空会社に、単なる移動手段の提供ではなく、自分自身の旅のニーズに対応することを望んでいます。」

この数年で、航空会社が利用できるデータ量は急増しました。Webサイトやアプリケーションからも多くのやりとりが生まれています。たとえば、AirFrance.comでは5秒に1件の頻度で製品が買われています。さらに、エールフランス-KLMは、Facebookの1,600万人のファンやTwitterの3百万人のフォロワーと交流しているほか、オンラインのメディアバイイングプロセスを独自に実行している数少ない広告主の1つとしてメディアキャンペーンのデータも得ています。

ビッグデータプラットフォームに 顧客データを集中化同グループは数年前に、コールセンター、ソーシャルネットワーク、そして空港/空港ラウンジ/航空機で勤務する同社の社員を経由した顧客データを収集し始めましたが、データを一元化していませんでした。そのため、最初の課題は、全ての顧客データをエールフランス-KLMグループ全社の共通プラットフォームに集約することでした。「顧客データを一旦ビッグデータプラットフォームに集め、顧客サービスのあらゆる場面で、その状況にあった形でデータを再配布できるようにすることを目指しました」と、Gauthier le Masne氏は続けます。プラットフォームの設定は2016年前半に完了しました。「すでに導入していたHadoopプラットフォームを活用しました。」

Talendが選ばれる理由第2の課題は、データ管理でした。「データの品質を保証し、顧客のプライバシーを保護し、顧客と従業員の双方に明確な利益をもたらすための体系が必要でした」と、CRMビッグデータプロジェクトマネージャーのDamien Trinité氏は説明します。「プラットフォームの中心にTalendを据え、情報を複製・合理化し品質の高いデータを確保しました。」

「Talend Data Qualityは当社の競争力を支えています」と、DamienTrinité氏は続けます。「当グループは高品質の顧客データを使用しています。フライトの予約には電話番号と電子メールが必須であり、予約用のサイトやアプリケーションにアクセスする時は殆どが個人アカウントに接続するため、オンライン及びオフラインの情報の一致も簡単です。毎月、Talendを活用して100万件のデータ修正が行われています。

また、エールフランス-KLMのWebサイト、モバイルサイト、及びモバイルアプリケーションで提供されているサービスを利用する乗客の個人データ(PII)を収集し、処理することがあります。しかし、顧客の明示的な同意なしに個人が特定されることがあってはなりません。そのため、同社は、乗客、ロイヤルティプログラム会員、見込み顧客、Webサイト訪問者に関するプライバシー保護規

旅行客一人ひとりに合わせたサービスを提供

業界• 航空

概要• 本社:フランス• 従業員 10,000人以上

ユースケース• 360°のカスタマービューにより、各顧客に合わせたサービスを提供。「カスタマーインティマシー(親密な顧客関係の構築)」

課題• 顧客それぞれの旅のニーズへの対応

使用する Talend製品• Talend Data Management

• Talend Metadata Management

成果 • 数千万人の顧客に、それぞれのニーズにあった旅の体験を提供

• 毎月100万件のデータを処理

• 顧客情報へのアクセスを10倍に加速

ケーススタディ

“当グループは、ビッグデータをTalendのプラットフォームで活用することで、チケット購入の 計画段階から、ご搭乗後まで、それぞれのお客様に"自分だけの旅"の体験を提供しています。

”エールフランス-KLMグループ 最高顧客データ責任者 Gauthier Le Masne氏

www.talend.com ©Talend 2018. JP

Page 2: 旅行客一人ひとりに合わせたサービスを提供 - Talendエールフランス-KLMは、旅客輸送、貨物輸送、航空保守 の3つの主要事業で世界を牽引する航空会社グループ

則の遵守に取り組んでいます。不正なアクセスを防止するため、個人データは全てTalend Data Maskingで処理され、特定の重要データを匿名化して個人を識別できないようにしています。

「Talend Metadata Managementを使って、データガバナンスを実装するためにデータスチュワードとデータ所有者がデータとプロセスを文書化することができました」と、DamienTrinité氏は締めくくります。「顧客データを検出し、出発地と目的地を特定し、情報を社内で共有する時間がこれまでの1/10に短縮されました。」

360°のカスタマービューを活用して、 旅の体験を向上

Gauthier le Masne氏は、次のように説明しています。「顧客サポートは、顧客が家から出発した時点から必要になります。空港への移動時間、フライトの遅延や欠航の通知、空港での待ち時間、荷物の追跡等、さまざまな情報が必要です。このため、顧客の主なストレス要因を可能な限り予測して積極的に対応するため、これらの要因を特定しました。

現場でデータ管理ソリューションを最初に利用したのはコールセンターの担当者です。「たとえば、お客様情報として、フライング・ブルーへの登録情報だけでなく、全ての履歴情報を利用できるようになりました」と、Gauthier le Masne氏は語ります。さらに、5,000台以上のタブレットが空港のグランドスタッフに配布されました。乗務員についても、全てのパーサーにiPadが配布されています。「iPadから、フライトや顧客に関する全ての情報にアクセスできます。たとえば、通常機内食にベジタリアンメニューを選んでいるお客様の予約の際に、旅行代理店が食事のオプションを入れ忘れてしまっても、当社からオプションをお勧めします。」

販売及びマーケティング部門には、渡航目的地を提案するよう設計されたエンジンが導入されました。Webサイトの閲覧情報に基づいて作成したアルゴリズムによって、顧客が次に選ぶ可能性の高い目的地までのプロモーション料金を提供できます。

そのようなお客様の好みにあわせた個別のメールを配信した場合を、同じメールを全顧客に配信した場合の効果と比較すると、期待できる結果が出ていることがわかります。「当グループでは、年間10億通の電子メールを顧客に配信しています。目的地を提案するテストでは、お客様に合わせた個別の電子メールメッセージを顧客が開く割合は、従来のメッセージの場合よりも2ポイント高くなりました。コンバージョン率は公開していませんが、この数値も大きく向上しました」と、Gauthier le

Masne氏は自信をのぞかせます。

しかし、カスタマーエクスペリエンスの最大の変革は「ボット」によってもたらされるのかもしれません。KLMは、Facebook Messengerで全ての旅行情報(搭乗券、フライトのステータス等)へのアクセスを提供する会話型ロボットを立ち上げた最初の旅行会社の1つです。「頻繁に旅行しない顧客の場合、必ずしも当グループのアプリケーションをダウンロードするとは限りません」と、Gauthier le Masne氏は説明します。「ボットを使うことで、アプリケーションと同じレベルの情報にアクセスできます。また、顧客の要望に対する基本的な応答、テキスト認識システム、予約、フライトスケジュール等についても実験を重ねています。」中国市場ではすでに、WeChat、そしてAlibabaの旅行アプリケーションであるAlitripも活用しています。「顧客がいる場所でサービスを提供することが狙いです。」

今後の取り組みでは、テストを実際のビジネスに反映させることを目指します。Gauthier le Masne氏は、次のように締めくくります。「カスタマー360°ビューのアプローチを適切に実行しなければなりません。また、発生する前に問題を解決するため、常にニーズを予測できるようにする必要があります。」たとえば、同グループは、空港までの所要時間を計算したり、空港ターミナル内で顧客が迷わないようにしたりするための、位置情報追跡システムを開発しました。「GPS、GSM、Wi-Fi、ビーコン等、さまざまな技術を試して、できるだけ正確な情報を提供する組み合わせを見つけたいと思います。」

www.talend.com/contact | [email protected]

「現在の目標は、顧客のニーズに最善の形で答えることのできる航空会社になることです。」