excel 運用・保守サービスのシステム基盤を刷新 効...

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お客様事例 www.servicenow.co.jp/ 1990年創業のITソリューションベンダーである日本ビジネスシステムズ株式会社(以 下、 JBS)。同社は、マイクロソフト社のプラットフォームを中核としたIT ソリューションに 強みを持ち、その技術と信頼は「マイクロソフト ジャパン パートナー オブ イヤー」の アワード5年連続受賞(2013年~2017年)の実績にも表れています。 このJBSの強さを根幹から支えている1つが顧客のIT環境の運用・保守をワンストップ で支援するマネージドサービスセンターです。 24時間365日のサポート体制でシステ ムの監視や保守を行う「マネージドシステムサービス」、顧客のクライアントPCの導入 から返却までをトータルにサポートする「エンドポイントサービス」、そして、エンドユー ザーからの問い合わせや障害報告、リクエストなどを受け付け、迅速・正確に対応する 「サービスデスク」の3つの機能を擁しています。 このマネージドサービスセンターは、ビジネスにおいて重要な役割を担う一方、その業 務体制には課題が顕在化していました。同社のイノベーションサービス統括本部 サー ビス&サポート本部 サービス企画開発部の部長を務める末武祥未氏は、顧客に提供す る運用・保守サービスのシステム基盤について、「お客様向けのサービスをより高度な ものにするためには、既存の基盤が有する機能だけでは実現することができませんで した」と振り返ります。 特に抜本的な改善が求められていたのが、顧客に関するナレッジの散在と業務の属人 化に起因する課題です。同社 イノベーションサービス統括本部 サービス&サポート本 マネージドサービスセンターの織田美樹氏は次のように話します。 「例えばサービスデスクにおいて、お客様X社からのお問い合わせには専任オペレータ ーのA しか対応できず、不在時にはサービスレベルが極端に低下してしまうという問題 が起こっていました。全員が同じナレッジを共有し、誰が対応しても一定品質で回答で きる運用プロセスを実装していくことが求められていました」 定期的なレポート作成に丸一日近い時間が費やされていた 加えて現行のITサービスマネジメントのシステム基盤は、各業務現場の担当者に煩雑 な作業負担を強いていました。例えばサービスデスクでは、顧客ごとに診断レポートを 作成して継続的な改善提案を行っています。しかし、この作業はシステムから必要なデ ータを抽出し、 Excel に取り込んで集計・加工するという、経験とスキルを要する作業で あったため、「常にリーダークラスの人材に依存せざるを得ず、しかも丸一日近い時間 がレポート作成に費やされていました」と織田氏は話します。 このお客様事例は、日本ビジネスシステムズ株式会社 イノベーションサービス統括本部 サービス& サポート本部 サービス企画開発部長 末武祥未氏と、同じくサービス&サポート本部 マネージドサー ビスセンターの織田美樹氏へのインタビューによります。 運用・保守サービスのシステム基盤を刷新 効率化・自動化による工数削減と 業務改善への意識改革を促進 属人化とナレッジの散在の課題を解消し、マネージドサービスの品質強化へ ハイライト マネージドシステムサービス、エンドポイ ントサービス、サービスデスクを支える顧 客向けのITサービスマネジメント基盤を ServiceNowへと移行 組織 日本ビジネスシステムズ株式会社 https://www.jbs.co.jp 業種 システムインテグレーター 本社 東京都、日本 対象地域 日本国内 ソリューション マネージドサービスセンターにおける サービス基盤の刷新 導入期間 ServiceNowCustomer Service Management を 用 い 、サービ ス 基 盤 の構築開始からカットオーバーまで: 4カ月間

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Page 1: Excel 運用・保守サービスのシステム基盤を刷新 効 …...ワークフローで自動化すべく取り組みが 始まりました。そうした中から「業務をこう

お客様事例

www.servicenow.co.jp/

活用にフォーカスし、「属人化している業務(=タスク)をカタログタスクとして実装することで可視化・標準化し、プロセスの整理と効率化につなげていくことができます」と話します。

さらにサービスの企画開発部門でも案件管理に必要な申請情報を登録する機能をサービスカタログで提供するだけでなく、関連システムへのデータ登録・更新までワークフローで自動化すべく取り組みが始まりました。そうした中から「業務をこう変えたい」といったアイデアが各部門から寄せられるようになったといいます。

「皆がこれまで“当たり前”と感じていた日常の無駄な作業を効率化・自動化することで、直接的な工数削減を達成しました。同時に、『与えられたシステムを使うだけの思考』から『業務プロセスを自ら改善する思考』へと向かわせる、従業員の意識改革にも貢献しています」と末武氏は、今回の導入成果を総括します。

<ServiceNow導入の効果>

● メールをServiceNowの該当インシデントに自動蓄積することで102時間/月の作業を削減

● レポート機能とスケジューリング機能の活用でレポート作成工数の40%を削減

● 複数のExcelシートに散在していたナレッジの一元管理とシェアード化を実現

● 属人化している業務(=タスク)をカタログタスクとして実装することで可視化・標準化し、プロセスの整理と効率化を実現

ServiceNowそのものの進化が、より大きな可能性を示してくれる

JBSにおけるServiceNowの活用は始まったばかりであり、これからを“本番”としてさまざまな改善を急ピッチで進めていこうとしています。マネージドシステムサービスにおけるServiceNowと運用監視ツールの連携強化による自動化もその1つであり、その他にも、次のような4つのチャレンジに踏み出していく構想です。

まずは「サービスカタログ化のさらなる推進」です。定型化・定量化、属人化しがちな業務の見える化、業務の自動化によるデリバリの高速化を目指します。2つ目は、「顧客向けポータルサイトの拡大」で、顧客とのコミュニケーションをポータルに一元化することで、メール応対では実現困難な、対応者以外のユーザへの情報共有を可能とします。3つ目は、「Excel台帳の

業務の非効率は、マネージドシステムサービスでも起こっていました。顧客のシステムを監視する同サービスでは、何らかのアラートを検知した場合、そのインシデント情報の登録は必ずオペレーターを仲介させる必要があったのです。

「人間が介在するとその分タイムラグが発生するうえ、登録漏れなどのケアレスミスを起こすリスクを排除できません。このプロセスを自動化する必要があると以前から考えていました」と末武氏は話します。

<ServiceNow導入前の課題>

● 現行のITサービスマネジメントのシステムは機能が不足しており、顧客向けのさらなるサービス拡充ができない

● サービスデスクにおけるレポート作成業務の負荷が高く、経験のある社員でないと対応できなかった

● ITサービスマネジメントと監視システムの連携による業務合理化が困難

ITサービスマネジメントだけにとどまらない汎用的な機能に注目

マネージドサービスセンターが提供するトータルサービスを支える新たなシステム基盤としてJBSが選定したのがServiceNowの「Customer Service Management」です。その選定理由について末武氏は次のように話します。

「ITサービスマネジメントに必要なすべてのプロセスを標準で実装していることはもちろん、それだけにとどまらないBPM(ビジネスプロセスマネジメント)ソリューションとしての汎用的な機能を備えていることに注目し、ServiceNowを選びました」

ソリューション選定においては最終候補を3つまでに絞り、比較検討を行った結果、特に次のようなポイントでServiceNowが優位性を示しました。

その1つがポータル機能です。サービス別や顧客別に実装することが可能でデザインも洗練されている点、そしてFAQやナレッジについてもすべてサービスや顧客別に整理できるといった点がポイントとなりました。

また、レポート機能も評価ポイントの1つでした。「ServiceNowのレポートはすべてのデータとテーブルが完全に統合されているのが特長です。お客様に提出する診断レポートなどレポート作成の機会は多いので、そのカスタマイズ性の良さは重視しました」と末武氏は話します。

そして、汎用的なBPMソリューションとしてServiceNowを活用する上での重要な要件となったのがシステム間連携の機能です。ServiceNowにはREST APIやServlet APIをはじめとする豊富なAPI(Application Programming Interface)や連携モジュールが備わっており、他のクラウドサービス(SaaS)はもちろんオンプレミスの既存システムとも柔軟な接続が可能です。「ワークフローを介したシステム間連携を標準機能だけで実装できるのは、他 のソリューションにはな いServiceNowだけの特長でした」と末武氏は評価します。

JBSでは選定にあたり、独自の作り込みや改修を行うことなく、そのソリューションがもつ機能を最大限に活用することを前提としていました。「独りよがりになりがちな自社流のあるべき姿を描くのではなく、『ベストプラクティスにベストな状態で乗りたい』と考えました」と末武氏はその狙いを語ります。

その意味でも重要な選定ポイントとなったのが、「その製品は本当に世界でベストプラクティスと認められているのか」という実績です。「ServiceNowは多くの調査会社からITサービスマネジメント領域に

さらにサービスデスクの現場では、これまで丸一日を費やしていた診断レポートの作業時間が大幅に短縮されました。可視化したい情報や指標のグラフを簡単にダッシュボード上に作成できるとともに、スケジューリング機能を利用してExcel形式のレポートを指定日時にグループにメール送信するようにしたことで、「定期的に発生する工数を40%削減することができました」と織田氏は話します。

加えて実現されたのが、複数のExcelシートに散在していたナレッジの一元管理とシェアード化です。ServiceNowに移行してからも、しばらくは顧客単位でナレッジを管理するという慣習が続いていましたが、運用を続けているうちにサービスデスクのメンバーの間から徐々に「この顧客のナレッジは別の顧客のナレッジと同じものではないか」という声が上がり始め、まとめられるものは共通ナレッジに集約しようという動きが自然発生的に起こってきたといいます。

あわせてナレッジの検索性が飛躍的に向上したことも、ServiceNow導入により得られた特筆すべき効果です。従来はカテゴリや階層構造を理解していないと目的のナレッジにたどりつくことができなかったのですが、現在は「Google検索する感覚」で簡単かつ高速に検索できます。

「これまでのように業務と直接関係のないシステム依存の余計な基礎知識を身につける必要はなくなり、入社間もない経験の浅いメンバーも即戦力として活躍し、お客様に対して的確な回答を素早くお伝えすることが可能となりました」と織田氏は強調します。

業務プロセスを改善する思考へと従業員を意識改革

一方、末武氏はサービスカタログ機能の

おけるグローバル市場のリーダーとして認められています。なおかつ日本法人設置後、すでに国内で数多くの導入実績を拡大していることが決め手となりました」と末武氏は話します。

<ServiceNowを評価したポイント>

● サービス別や顧客別に実装でき、デザインも洗練されたポータル機能

● レポートを自由にカスタマイズできる使い勝手の良さ

● システム間連携の多くを標準装備のAPIと連携モジュールだけで実現可能

当たり前に感じていた無駄な作業を効率化・自動化し工数を削減

こうしてJBSでは、マネージドサービスセンターの現行のシステム基盤をServiceNowへ移行し、2017年11月より運用を開始しました。現在は引き続き各部門からの要望に応えながら改善を重ねている過程にありますが、すでに実務面でもさまざまな効果が表れています。

まずマネージドシステムサービスでは、これまで顧客とやりとりしたメールを手動でコピー&ペーストすることで行っていた煩雑なインシデント登録・管理の作業が、ServiceNowによって大幅に簡素化・効率化されました。現在では、ServiceNowのメールアドレスをCCに追加して送信するだけで、すべてのメールがServiceNowの該当インシデントに自動で蓄積されるのです。「これによって削減される作業時間は、月平均102時間に及びます」と織田氏は話します。

また、ServiceNowの標準機能を使って、高頻度で発生するアラートのパターンをテンプレート化するとともに、その入力値に応じて緊急度や重要度など特定の項目を自動設定する仕組みを実装しました。

1990年創業のITソリューションベンダーである日本ビジネスシステムズ株式会社(以下、JBS)。同社は、マイクロソフト社のプラットフォームを中核としたITソリューションに強みを持ち、その技術と信頼は「マイクロソフト ジャパン パートナー オブ ザ イヤー」のアワード5年連続受賞(2013年~2017年)の実績にも表れています。

このJBSの強さを根幹から支えている1つが顧客のIT環境の運用・保守をワンストップで支援するマネージドサービスセンターです。24時間365日のサポート体制でシステムの監視や保守を行う「マネージドシステムサービス」、顧客のクライアントPCの導入から返却までをトータルにサポートする「エンドポイントサービス」、そして、エンドユーザーからの問い合わせや障害報告、リクエストなどを受け付け、迅速・正確に対応する「サービスデスク」の3つの機能を擁しています。

このマネージドサービスセンターは、ビジネスにおいて重要な役割を担う一方、その業務体制には課題が顕在化していました。同社のイノベーションサービス統括本部 サービス&サポート本部 サービス企画開発部の部長を務める末武祥未氏は、顧客に提供する運用・保守サービスのシステム基盤について、「お客様向けのサービスをより高度なものにするためには、既存の基盤が有する機能だけでは実現することができませんでした」と振り返ります。

特に抜本的な改善が求められていたのが、顧客に関するナレッジの散在と業務の属人化に起因する課題です。同社 イノベーションサービス統括本部 サービス&サポート本部 マネージドサービスセンターの織田美樹氏は次のように話します。

「例えばサービスデスクにおいて、お客様X社からのお問い合わせには専任オペレーターのAしか対応できず、不在時にはサービスレベルが極端に低下してしまうという問題が起こっていました。全員が同じナレッジを共有し、誰が対応しても一定品質で回答できる運用プロセスを実装していくことが求められていました」

定期的なレポート作成に丸一日近い時間が費やされていた

加えて現行のITサービスマネジメントのシステム基盤は、各業務現場の担当者に煩雑な作業負担を強いていました。例えばサービスデスクでは、顧客ごとに診断レポートを作成して継続的な改善提案を行っています。しかし、この作業はシステムから必要なデータを抽出し、Excelに取り込んで集計・加工するという、経験とスキルを要する作業であったため、「常にリーダークラスの人材に依存せざるを得ず、しかも丸一日近い時間がレポート作成に費やされていました」と織田氏は話します。

このお客様事例は、日本ビジネスシステムズ株式会社 イノベーションサービス統括本部 サービス&サポート本部 サービス企画開発部長 末武祥未氏と、同じくサービス&サポート本部 マネージドサービスセンターの織田美樹氏へのインタビューによります。

運用・保守サービスのシステム基盤を刷新効率化・自動化による工数削減と業務改善への意識改革を促進

属人化とナレッジの散在の課題を解消し、マネージドサービスの品質強化へ

ハイライト

マネージドシステムサービス、エンドポイントサービス、サービスデスクを支える顧客向けのITサービスマネジメント基盤をServiceNowへと移行

組織

日本ビジネスシステムズ株式会社https://www.jbs.co.jp

業種

システムインテグレーター

本社

東京都、日本

対象地域

日本国内

ソリューション

マネージドサービスセンターにおけるサービス基盤の刷新

導入期間

ServiceNowのCustomer Service Managementを用い、サービス基盤の構築開始からカットオーバーまで:約4カ月間

廃止」です。複数のExcelシートに分散して管理している顧客資産の台帳などをServiceNowに統合していき、さらにサービスカタログやワークフローと組み合わせることで台帳の自動更新の実現を図ります。そして最後が、「機械学習やRPA(Robotic Process Automation)との連携」で、機械学習を活用して問い合わせやインシデントの自動分類を実現するほか、ソフトウェアロボットを活用した高度な自動化も検討しています。

「ServiceNowそのものが進化を続けており、私たちにより大きな可能性を示してくれています」と語る末武氏。JBSでは全社レベルで煩雑かつ非効率な業務のさらなる定型化・自動化を進めるとともにレガシーな業務を廃止し、顧客のIT環境のサポート体制のあり方をさらに変革していこうとしています。

Page 2: Excel 運用・保守サービスのシステム基盤を刷新 効 …...ワークフローで自動化すべく取り組みが 始まりました。そうした中から「業務をこう

お客様事例

活用にフォーカスし、「属人化している業務(=タスク)をカタログタスクとして実装することで可視化・標準化し、プロセスの整理と効率化につなげていくことができます」と話します。

さらにサービスの企画開発部門でも案件管理に必要な申請情報を登録する機能をサービスカタログで提供するだけでなく、関連システムへのデータ登録・更新までワークフローで自動化すべく取り組みが始まりました。そうした中から「業務をこう変えたい」といったアイデアが各部門から寄せられるようになったといいます。

「皆がこれまで“当たり前”と感じていた日常の無駄な作業を効率化・自動化することで、直接的な工数削減を達成しました。同時に、『与えられたシステムを使うだけの思考』から『業務プロセスを自ら改善する思考』へと向かわせる、従業員の意識改革にも貢献しています」と末武氏は、今回の導入成果を総括します。

<ServiceNow導入の効果>

● メールをServiceNowの該当インシデントに自動蓄積することで102時間/月の作業を削減

● レポート機能とスケジューリング機能の活用でレポート作成工数の40%を削減

● 複数のExcelシートに散在していたナレッジの一元管理とシェアード化を実現

● 属人化している業務(=タスク)をカタログタスクとして実装することで可視化・標準化し、プロセスの整理と効率化を実現

ServiceNowそのものの進化が、より大きな可能性を示してくれる

JBSにおけるServiceNowの活用は始まったばかりであり、これからを“本番”としてさまざまな改善を急ピッチで進めていこうとしています。マネージドシステムサービスにおけるServiceNowと運用監視ツールの連携強化による自動化もその1つであり、その他にも、次のような4つのチャレンジに踏み出していく構想です。

まずは「サービスカタログ化のさらなる推進」です。定型化・定量化、属人化しがちな業務の見える化、業務の自動化によるデリバリの高速化を目指します。2つ目は、「顧客向けポータルサイトの拡大」で、顧客とのコミュニケーションをポータルに一元化することで、メール応対では実現困難な、対応者以外のユーザへの情報共有を可能とします。3つ目は、「Excel台帳の

業務の非効率は、マネージドシステムサービスでも起こっていました。顧客のシステムを監視する同サービスでは、何らかのアラートを検知した場合、そのインシデント情報の登録は必ずオペレーターを仲介させる必要があったのです。

「人間が介在するとその分タイムラグが発生するうえ、登録漏れなどのケアレスミスを起こすリスクを排除できません。このプロセスを自動化する必要があると以前から考えていました」と末武氏は話します。

<ServiceNow導入前の課題>

● 現行のITサービスマネジメントのシステムは機能が不足しており、顧客向けのさらなるサービス拡充ができない

● サービスデスクにおけるレポート作成業務の負荷が高く、経験のある社員でないと対応できなかった

● ITサービスマネジメントと監視システムの連携による業務合理化が困難

ITサービスマネジメントだけにとどまらない汎用的な機能に注目

マネージドサービスセンターが提供するトータルサービスを支える新たなシステム基盤としてJBSが選定したのがServiceNowの「Customer Service Management」です。その選定理由について末武氏は次のように話します。

「ITサービスマネジメントに必要なすべてのプロセスを標準で実装していることはもちろん、それだけにとどまらないBPM(ビジネスプロセスマネジメント)ソリューションとしての汎用的な機能を備えていることに注目し、ServiceNowを選びました」

ソリューション選定においては最終候補を3つまでに絞り、比較検討を行った結果、特に次のようなポイントでServiceNowが優位性を示しました。

その1つがポータル機能です。サービス別や顧客別に実装することが可能でデザインも洗練されている点、そしてFAQやナレッジについてもすべてサービスや顧客別に整理できるといった点がポイントとなりました。

また、レポート機能も評価ポイントの1つでした。「ServiceNowのレポートはすべてのデータとテーブルが完全に統合されているのが特長です。お客様に提出する診断レポートなどレポート作成の機会は多いので、そのカスタマイズ性の良さは重視しました」と末武氏は話します。

そして、汎用的なBPMソリューションとしてServiceNowを活用する上での重要な要件となったのがシステム間連携の機能です。ServiceNowにはREST APIやServlet APIをはじめとする豊富なAPI(Application Programming Interface)や連携モジュールが備わっており、他のクラウドサービス(SaaS)はもちろんオンプレミスの既存システムとも柔軟な接続が可能です。「ワークフローを介したシステム間連携を標準機能だけで実装できるのは、他 のソリューションにはな いServiceNowだけの特長でした」と末武氏は評価します。

JBSでは選定にあたり、独自の作り込みや改修を行うことなく、そのソリューションがもつ機能を最大限に活用することを前提としていました。「独りよがりになりがちな自社流のあるべき姿を描くのではなく、『ベストプラクティスにベストな状態で乗りたい』と考えました」と末武氏はその狙いを語ります。

その意味でも重要な選定ポイントとなったのが、「その製品は本当に世界でベストプラクティスと認められているのか」という実績です。「ServiceNowは多くの調査会社からITサービスマネジメント領域に

さらにサービスデスクの現場では、これまで丸一日を費やしていた診断レポートの作業時間が大幅に短縮されました。可視化したい情報や指標のグラフを簡単にダッシュボード上に作成できるとともに、スケジューリング機能を利用してExcel形式のレポートを指定日時にグループにメール送信するようにしたことで、「定期的に発生する工数を40%削減することができました」と織田氏は話します。

加えて実現されたのが、複数のExcelシートに散在していたナレッジの一元管理とシェアード化です。ServiceNowに移行してからも、しばらくは顧客単位でナレッジを管理するという慣習が続いていましたが、運用を続けているうちにサービスデスクのメンバーの間から徐々に「この顧客のナレッジは別の顧客のナレッジと同じものではないか」という声が上がり始め、まとめられるものは共通ナレッジに集約しようという動きが自然発生的に起こってきたといいます。

あわせてナレッジの検索性が飛躍的に向上したことも、ServiceNow導入により得られた特筆すべき効果です。従来はカテゴリや階層構造を理解していないと目的のナレッジにたどりつくことができなかったのですが、現在は「Google検索する感覚」で簡単かつ高速に検索できます。

「これまでのように業務と直接関係のないシステム依存の余計な基礎知識を身につける必要はなくなり、入社間もない経験の浅いメンバーも即戦力として活躍し、お客様に対して的確な回答を素早くお伝えすることが可能となりました」と織田氏は強調します。

業務プロセスを改善する思考へと従業員を意識改革

一方、末武氏はサービスカタログ機能の

おけるグローバル市場のリーダーとして認められています。なおかつ日本法人設置後、すでに国内で数多くの導入実績を拡大していることが決め手となりました」と末武氏は話します。

<ServiceNowを評価したポイント>

● サービス別や顧客別に実装でき、デザインも洗練されたポータル機能

● レポートを自由にカスタマイズできる使い勝手の良さ

● システム間連携の多くを標準装備のAPIと連携モジュールだけで実現可能

当たり前に感じていた無駄な作業を効率化・自動化し工数を削減

こうしてJBSでは、マネージドサービスセンターの現行のシステム基盤をServiceNowへ移行し、2017年11月より運用を開始しました。現在は引き続き各部門からの要望に応えながら改善を重ねている過程にありますが、すでに実務面でもさまざまな効果が表れています。

まずマネージドシステムサービスでは、これまで顧客とやりとりしたメールを手動でコピー&ペーストすることで行っていた煩雑なインシデント登録・管理の作業が、ServiceNowによって大幅に簡素化・効率化されました。現在では、ServiceNowのメールアドレスをCCに追加して送信するだけで、すべてのメールがServiceNowの該当インシデントに自動で蓄積されるのです。「これによって削減される作業時間は、月平均102時間に及びます」と織田氏は話します。

また、ServiceNowの標準機能を使って、高頻度で発生するアラートのパターンをテンプレート化するとともに、その入力値に応じて緊急度や重要度など特定の項目を自動設定する仕組みを実装しました。

1990年創業のITソリューションベンダーである日本ビジネスシステムズ株式会社(以下、JBS)。同社は、マイクロソフト社のプラットフォームを中核としたITソリューションに強みを持ち、その技術と信頼は「マイクロソフト ジャパン パートナー オブ ザ イヤー」のアワード5年連続受賞(2013年~2017年)の実績にも表れています。

このJBSの強さを根幹から支えている1つが顧客のIT環境の運用・保守をワンストップで支援するマネージドサービスセンターです。24時間365日のサポート体制でシステムの監視や保守を行う「マネージドシステムサービス」、顧客のクライアントPCの導入から返却までをトータルにサポートする「エンドポイントサービス」、そして、エンドユーザーからの問い合わせや障害報告、リクエストなどを受け付け、迅速・正確に対応する「サービスデスク」の3つの機能を擁しています。

このマネージドサービスセンターは、ビジネスにおいて重要な役割を担う一方、その業務体制には課題が顕在化していました。同社のイノベーションサービス統括本部 サービス&サポート本部 サービス企画開発部の部長を務める末武祥未氏は、顧客に提供する運用・保守サービスのシステム基盤について、「お客様向けのサービスをより高度なものにするためには、既存の基盤が有する機能だけでは実現することができませんでした」と振り返ります。

特に抜本的な改善が求められていたのが、顧客に関するナレッジの散在と業務の属人化に起因する課題です。同社 イノベーションサービス統括本部 サービス&サポート本部 マネージドサービスセンターの織田美樹氏は次のように話します。

「例えばサービスデスクにおいて、お客様X社からのお問い合わせには専任オペレーターのAしか対応できず、不在時にはサービスレベルが極端に低下してしまうという問題が起こっていました。全員が同じナレッジを共有し、誰が対応しても一定品質で回答できる運用プロセスを実装していくことが求められていました」

定期的なレポート作成に丸一日近い時間が費やされていた

加えて現行のITサービスマネジメントのシステム基盤は、各業務現場の担当者に煩雑な作業負担を強いていました。例えばサービスデスクでは、顧客ごとに診断レポートを作成して継続的な改善提案を行っています。しかし、この作業はシステムから必要なデータを抽出し、Excelに取り込んで集計・加工するという、経験とスキルを要する作業であったため、「常にリーダークラスの人材に依存せざるを得ず、しかも丸一日近い時間がレポート作成に費やされていました」と織田氏は話します。

属人化とナレッジの散在の課題を解消し、マネージドサービスの品質強化へ

「ワークフローを介したシステム間連携を標準機能だけで実装できるのは、他のソリューションにはないServiceNowだけの特長でした」

日本ビジネスシステムズ株式会社イノベーションサービス統括本部サービス&サポート本部サービス企画開発部長末武 祥未 氏

廃止」です。複数のExcelシートに分散して管理している顧客資産の台帳などをServiceNowに統合していき、さらにサービスカタログやワークフローと組み合わせることで台帳の自動更新の実現を図ります。そして最後が、「機械学習やRPA(Robotic Process Automation)との連携」で、機械学習を活用して問い合わせやインシデントの自動分類を実現するほか、ソフトウェアロボットを活用した高度な自動化も検討しています。

「ServiceNowそのものが進化を続けており、私たちにより大きな可能性を示してくれています」と語る末武氏。JBSでは全社レベルで煩雑かつ非効率な業務のさらなる定型化・自動化を進めるとともにレガシーな業務を廃止し、顧客のIT環境のサポート体制のあり方をさらに変革していこうとしています。

Page 3: Excel 運用・保守サービスのシステム基盤を刷新 効 …...ワークフローで自動化すべく取り組みが 始まりました。そうした中から「業務をこう

お客様事例

活用にフォーカスし、「属人化している業務(=タスク)をカタログタスクとして実装することで可視化・標準化し、プロセスの整理と効率化につなげていくことができます」と話します。

さらにサービスの企画開発部門でも案件管理に必要な申請情報を登録する機能をサービスカタログで提供するだけでなく、関連システムへのデータ登録・更新までワークフローで自動化すべく取り組みが始まりました。そうした中から「業務をこう変えたい」といったアイデアが各部門から寄せられるようになったといいます。

「皆がこれまで“当たり前”と感じていた日常の無駄な作業を効率化・自動化することで、直接的な工数削減を達成しました。同時に、『与えられたシステムを使うだけの思考』から『業務プロセスを自ら改善する思考』へと向かわせる、従業員の意識改革にも貢献しています」と末武氏は、今回の導入成果を総括します。

<ServiceNow導入の効果>

● メールをServiceNowの該当インシデントに自動蓄積することで102時間/月の作業を削減

● レポート機能とスケジューリング機能の活用でレポート作成工数の40%を削減

● 複数のExcelシートに散在していたナレッジの一元管理とシェアード化を実現

● 属人化している業務(=タスク)をカタログタスクとして実装することで可視化・標準化し、プロセスの整理と効率化を実現

ServiceNowそのものの進化が、より大きな可能性を示してくれる

JBSにおけるServiceNowの活用は始まったばかりであり、これからを“本番”としてさまざまな改善を急ピッチで進めていこうとしています。マネージドシステムサービスにおけるServiceNowと運用監視ツールの連携強化による自動化もその1つであり、その他にも、次のような4つのチャレンジに踏み出していく構想です。

まずは「サービスカタログ化のさらなる推進」です。定型化・定量化、属人化しがちな業務の見える化、業務の自動化によるデリバリの高速化を目指します。2つ目は、「顧客向けポータルサイトの拡大」で、顧客とのコミュニケーションをポータルに一元化することで、メール応対では実現困難な、対応者以外のユーザへの情報共有を可能とします。3つ目は、「Excel台帳の

業務の非効率は、マネージドシステムサービスでも起こっていました。顧客のシステムを監視する同サービスでは、何らかのアラートを検知した場合、そのインシデント情報の登録は必ずオペレーターを仲介させる必要があったのです。

「人間が介在するとその分タイムラグが発生するうえ、登録漏れなどのケアレスミスを起こすリスクを排除できません。このプロセスを自動化する必要があると以前から考えていました」と末武氏は話します。

<ServiceNow導入前の課題>

● 現行のITサービスマネジメントのシステムは機能が不足しており、顧客向けのさらなるサービス拡充ができない

● サービスデスクにおけるレポート作成業務の負荷が高く、経験のある社員でないと対応できなかった

● ITサービスマネジメントと監視システムの連携による業務合理化が困難

ITサービスマネジメントだけにとどまらない汎用的な機能に注目

マネージドサービスセンターが提供するトータルサービスを支える新たなシステム基盤としてJBSが選定したのがServiceNowの「Customer Service Management」です。その選定理由について末武氏は次のように話します。

「ITサービスマネジメントに必要なすべてのプロセスを標準で実装していることはもちろん、それだけにとどまらないBPM(ビジネスプロセスマネジメント)ソリューションとしての汎用的な機能を備えていることに注目し、ServiceNowを選びました」

ソリューション選定においては最終候補を3つまでに絞り、比較検討を行った結果、特に次のようなポイントでServiceNowが優位性を示しました。

その1つがポータル機能です。サービス別や顧客別に実装することが可能でデザインも洗練されている点、そしてFAQやナレッジについてもすべてサービスや顧客別に整理できるといった点がポイントとなりました。

また、レポート機能も評価ポイントの1つでした。「ServiceNowのレポートはすべてのデータとテーブルが完全に統合されているのが特長です。お客様に提出する診断レポートなどレポート作成の機会は多いので、そのカスタマイズ性の良さは重視しました」と末武氏は話します。

そして、汎用的なBPMソリューションとしてServiceNowを活用する上での重要な要件となったのがシステム間連携の機能です。ServiceNowにはREST APIやServlet APIをはじめとする豊富なAPI(Application Programming Interface)や連携モジュールが備わっており、他のクラウドサービス(SaaS)はもちろんオンプレミスの既存システムとも柔軟な接続が可能です。「ワークフローを介したシステム間連携を標準機能だけで実装できるのは、他 のソリューションにはな いServiceNowだけの特長でした」と末武氏は評価します。

JBSでは選定にあたり、独自の作り込みや改修を行うことなく、そのソリューションがもつ機能を最大限に活用することを前提としていました。「独りよがりになりがちな自社流のあるべき姿を描くのではなく、『ベストプラクティスにベストな状態で乗りたい』と考えました」と末武氏はその狙いを語ります。

その意味でも重要な選定ポイントとなったのが、「その製品は本当に世界でベストプラクティスと認められているのか」という実績です。「ServiceNowは多くの調査会社からITサービスマネジメント領域に

さらにサービスデスクの現場では、これまで丸一日を費やしていた診断レポートの作業時間が大幅に短縮されました。可視化したい情報や指標のグラフを簡単にダッシュボード上に作成できるとともに、スケジューリング機能を利用してExcel形式のレポートを指定日時にグループにメール送信するようにしたことで、「定期的に発生する工数を40%削減することができました」と織田氏は話します。

加えて実現されたのが、複数のExcelシートに散在していたナレッジの一元管理とシェアード化です。ServiceNowに移行してからも、しばらくは顧客単位でナレッジを管理するという慣習が続いていましたが、運用を続けているうちにサービスデスクのメンバーの間から徐々に「この顧客のナレッジは別の顧客のナレッジと同じものではないか」という声が上がり始め、まとめられるものは共通ナレッジに集約しようという動きが自然発生的に起こってきたといいます。

あわせてナレッジの検索性が飛躍的に向上したことも、ServiceNow導入により得られた特筆すべき効果です。従来はカテゴリや階層構造を理解していないと目的のナレッジにたどりつくことができなかったのですが、現在は「Google検索する感覚」で簡単かつ高速に検索できます。

「これまでのように業務と直接関係のないシステム依存の余計な基礎知識を身につける必要はなくなり、入社間もない経験の浅いメンバーも即戦力として活躍し、お客様に対して的確な回答を素早くお伝えすることが可能となりました」と織田氏は強調します。

業務プロセスを改善する思考へと従業員を意識改革

一方、末武氏はサービスカタログ機能の

おけるグローバル市場のリーダーとして認められています。なおかつ日本法人設置後、すでに国内で数多くの導入実績を拡大していることが決め手となりました」と末武氏は話します。

<ServiceNowを評価したポイント>

● サービス別や顧客別に実装でき、デザインも洗練されたポータル機能

● レポートを自由にカスタマイズできる使い勝手の良さ

● システム間連携の多くを標準装備のAPIと連携モジュールだけで実現可能

当たり前に感じていた無駄な作業を効率化・自動化し工数を削減

こうしてJBSでは、マネージドサービスセンターの現行のシステム基盤をServiceNowへ移行し、2017年11月より運用を開始しました。現在は引き続き各部門からの要望に応えながら改善を重ねている過程にありますが、すでに実務面でもさまざまな効果が表れています。

まずマネージドシステムサービスでは、これまで顧客とやりとりしたメールを手動でコピー&ペーストすることで行っていた煩雑なインシデント登録・管理の作業が、ServiceNowによって大幅に簡素化・効率化されました。現在では、ServiceNowのメールアドレスをCCに追加して送信するだけで、すべてのメールがServiceNowの該当インシデントに自動で蓄積されるのです。「これによって削減される作業時間は、月平均102時間に及びます」と織田氏は話します。

また、ServiceNowの標準機能を使って、高頻度で発生するアラートのパターンをテンプレート化するとともに、その入力値に応じて緊急度や重要度など特定の項目を自動設定する仕組みを実装しました。

1990年創業のITソリューションベンダーである日本ビジネスシステムズ株式会社(以下、JBS)。同社は、マイクロソフト社のプラットフォームを中核としたITソリューションに強みを持ち、その技術と信頼は「マイクロソフト ジャパン パートナー オブ ザ イヤー」のアワード5年連続受賞(2013年~2017年)の実績にも表れています。

このJBSの強さを根幹から支えている1つが顧客のIT環境の運用・保守をワンストップで支援するマネージドサービスセンターです。24時間365日のサポート体制でシステムの監視や保守を行う「マネージドシステムサービス」、顧客のクライアントPCの導入から返却までをトータルにサポートする「エンドポイントサービス」、そして、エンドユーザーからの問い合わせや障害報告、リクエストなどを受け付け、迅速・正確に対応する「サービスデスク」の3つの機能を擁しています。

このマネージドサービスセンターは、ビジネスにおいて重要な役割を担う一方、その業務体制には課題が顕在化していました。同社のイノベーションサービス統括本部 サービス&サポート本部 サービス企画開発部の部長を務める末武祥未氏は、顧客に提供する運用・保守サービスのシステム基盤について、「お客様向けのサービスをより高度なものにするためには、既存の基盤が有する機能だけでは実現することができませんでした」と振り返ります。

特に抜本的な改善が求められていたのが、顧客に関するナレッジの散在と業務の属人化に起因する課題です。同社 イノベーションサービス統括本部 サービス&サポート本部 マネージドサービスセンターの織田美樹氏は次のように話します。

「例えばサービスデスクにおいて、お客様X社からのお問い合わせには専任オペレーターのAしか対応できず、不在時にはサービスレベルが極端に低下してしまうという問題が起こっていました。全員が同じナレッジを共有し、誰が対応しても一定品質で回答できる運用プロセスを実装していくことが求められていました」

定期的なレポート作成に丸一日近い時間が費やされていた

加えて現行のITサービスマネジメントのシステム基盤は、各業務現場の担当者に煩雑な作業負担を強いていました。例えばサービスデスクでは、顧客ごとに診断レポートを作成して継続的な改善提案を行っています。しかし、この作業はシステムから必要なデータを抽出し、Excelに取り込んで集計・加工するという、経験とスキルを要する作業であったため、「常にリーダークラスの人材に依存せざるを得ず、しかも丸一日近い時間がレポート作成に費やされていました」と織田氏は話します。

属人化とナレッジの散在の課題を解消し、マネージドサービスの品質強化へ

「複数のExcelシートに散在していたナレッジの一元管理とシェアード化を実現し、検索性が飛躍的に向上したことで、今まで以上に素早く回答することが可能となりました」

日本ビジネスシステムズ株式会社イノベーションサービス統括本部サービス&サポート本部マネージドサービスセンター織田 美樹 氏

廃止」です。複数のExcelシートに分散して管理している顧客資産の台帳などをServiceNowに統合していき、さらにサービスカタログやワークフローと組み合わせることで台帳の自動更新の実現を図ります。そして最後が、「機械学習やRPA(Robotic Process Automation)との連携」で、機械学習を活用して問い合わせやインシデントの自動分類を実現するほか、ソフトウェアロボットを活用した高度な自動化も検討しています。

「ServiceNowそのものが進化を続けており、私たちにより大きな可能性を示してくれています」と語る末武氏。JBSでは全社レベルで煩雑かつ非効率な業務のさらなる定型化・自動化を進めるとともにレガシーな業務を廃止し、顧客のIT環境のサポート体制のあり方をさらに変革していこうとしています。

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お客様事例

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属人化とナレッジの散在の課題を解消し、マネージドサービスの品質強化へ

活用にフォーカスし、「属人化している業務(=タスク)をカタログタスクとして実装することで可視化・標準化し、プロセスの整理と効率化につなげていくことができます」と話します。

さらにサービスの企画開発部門でも案件管理に必要な申請情報を登録する機能をサービスカタログで提供するだけでなく、関連システムへのデータ登録・更新までワークフローで自動化すべく取り組みが始まりました。そうした中から「業務をこう変えたい」といったアイデアが各部門から寄せられるようになったといいます。

「皆がこれまで“当たり前”と感じていた日常の無駄な作業を効率化・自動化することで、直接的な工数削減を達成しました。同時に、『与えられたシステムを使うだけの思考』から『業務プロセスを自ら改善する思考』へと向かわせる、従業員の意識改革にも貢献しています」と末武氏は、今回の導入成果を総括します。

<ServiceNow導入の効果>

● メールをServiceNowの該当インシデントに自動蓄積することで102時間/月の作業を削減

● レポート機能とスケジューリング機能の活用でレポート作成工数の40%を削減

● 複数のExcelシートに散在していたナレッジの一元管理とシェアード化を実現

● 属人化している業務(=タスク)をカタログタスクとして実装することで可視化・標準化し、プロセスの整理と効率化を実現

ServiceNowそのものの進化が、より大きな可能性を示してくれる

JBSにおけるServiceNowの活用は始まったばかりであり、これからを“本番”としてさまざまな改善を急ピッチで進めていこうとしています。マネージドシステムサービスにおけるServiceNowと運用監視ツールの連携強化による自動化もその1つであり、その他にも、次のような4つのチャレンジに踏み出していく構想です。

まずは「サービスカタログ化のさらなる推進」です。定型化・定量化、属人化しがちな業務の見える化、業務の自動化によるデリバリの高速化を目指します。2つ目は、「顧客向けポータルサイトの拡大」で、顧客とのコミュニケーションをポータルに一元化することで、メール応対では実現困難な、対応者以外のユーザへの情報共有を可能とします。3つ目は、「Excel台帳の

業務の非効率は、マネージドシステムサービスでも起こっていました。顧客のシステムを監視する同サービスでは、何らかのアラートを検知した場合、そのインシデント情報の登録は必ずオペレーターを仲介させる必要があったのです。

「人間が介在するとその分タイムラグが発生するうえ、登録漏れなどのケアレスミスを起こすリスクを排除できません。このプロセスを自動化する必要があると以前から考えていました」と末武氏は話します。

<ServiceNow導入前の課題>

● 現行のITサービスマネジメントのシステムは機能が不足しており、顧客向けのさらなるサービス拡充ができない

● サービスデスクにおけるレポート作成業務の負荷が高く、経験のある社員でないと対応できなかった

● ITサービスマネジメントと監視システムの連携による業務合理化が困難

ITサービスマネジメントだけにとどまらない汎用的な機能に注目

マネージドサービスセンターが提供するトータルサービスを支える新たなシステム基盤としてJBSが選定したのがServiceNowの「Customer Service Management」です。その選定理由について末武氏は次のように話します。

「ITサービスマネジメントに必要なすべてのプロセスを標準で実装していることはもちろん、それだけにとどまらないBPM(ビジネスプロセスマネジメント)ソリューションとしての汎用的な機能を備えていることに注目し、ServiceNowを選びました」

ソリューション選定においては最終候補を3つまでに絞り、比較検討を行った結果、特に次のようなポイントでServiceNowが優位性を示しました。

その1つがポータル機能です。サービス別や顧客別に実装することが可能でデザインも洗練されている点、そしてFAQやナレッジについてもすべてサービスや顧客別に整理できるといった点がポイントとなりました。

また、レポート機能も評価ポイントの1つでした。「ServiceNowのレポートはすべてのデータとテーブルが完全に統合されているのが特長です。お客様に提出する診断レポートなどレポート作成の機会は多いので、そのカスタマイズ性の良さは重視しました」と末武氏は話します。

そして、汎用的なBPMソリューションとしてServiceNowを活用する上での重要な要件となったのがシステム間連携の機能です。ServiceNowにはREST APIやServlet APIをはじめとする豊富なAPI(Application Programming Interface)や連携モジュールが備わっており、他のクラウドサービス(SaaS)はもちろんオンプレミスの既存システムとも柔軟な接続が可能です。「ワークフローを介したシステム間連携を標準機能だけで実装できるのは、他 のソリューションにはな いServiceNowだけの特長でした」と末武氏は評価します。

JBSでは選定にあたり、独自の作り込みや改修を行うことなく、そのソリューションがもつ機能を最大限に活用することを前提としていました。「独りよがりになりがちな自社流のあるべき姿を描くのではなく、『ベストプラクティスにベストな状態で乗りたい』と考えました」と末武氏はその狙いを語ります。

その意味でも重要な選定ポイントとなったのが、「その製品は本当に世界でベストプラクティスと認められているのか」という実績です。「ServiceNowは多くの調査会社からITサービスマネジメント領域に

さらにサービスデスクの現場では、これまで丸一日を費やしていた診断レポートの作業時間が大幅に短縮されました。可視化したい情報や指標のグラフを簡単にダッシュボード上に作成できるとともに、スケジューリング機能を利用してExcel形式のレポートを指定日時にグループにメール送信するようにしたことで、「定期的に発生する工数を40%削減することができました」と織田氏は話します。

加えて実現されたのが、複数のExcelシートに散在していたナレッジの一元管理とシェアード化です。ServiceNowに移行してからも、しばらくは顧客単位でナレッジを管理するという慣習が続いていましたが、運用を続けているうちにサービスデスクのメンバーの間から徐々に「この顧客のナレッジは別の顧客のナレッジと同じものではないか」という声が上がり始め、まとめられるものは共通ナレッジに集約しようという動きが自然発生的に起こってきたといいます。

あわせてナレッジの検索性が飛躍的に向上したことも、ServiceNow導入により得られた特筆すべき効果です。従来はカテゴリや階層構造を理解していないと目的のナレッジにたどりつくことができなかったのですが、現在は「Google検索する感覚」で簡単かつ高速に検索できます。

「これまでのように業務と直接関係のないシステム依存の余計な基礎知識を身につける必要はなくなり、入社間もない経験の浅いメンバーも即戦力として活躍し、お客様に対して的確な回答を素早くお伝えすることが可能となりました」と織田氏は強調します。

業務プロセスを改善する思考へと従業員を意識改革

一方、末武氏はサービスカタログ機能の

おけるグローバル市場のリーダーとして認められています。なおかつ日本法人設置後、すでに国内で数多くの導入実績を拡大していることが決め手となりました」と末武氏は話します。

<ServiceNowを評価したポイント>

● サービス別や顧客別に実装でき、デザインも洗練されたポータル機能

● レポートを自由にカスタマイズできる使い勝手の良さ

● システム間連携の多くを標準装備のAPIと連携モジュールだけで実現可能

当たり前に感じていた無駄な作業を効率化・自動化し工数を削減

こうしてJBSでは、マネージドサービスセンターの現行のシステム基盤をServiceNowへ移行し、2017年11月より運用を開始しました。現在は引き続き各部門からの要望に応えながら改善を重ねている過程にありますが、すでに実務面でもさまざまな効果が表れています。

まずマネージドシステムサービスでは、これまで顧客とやりとりしたメールを手動でコピー&ペーストすることで行っていた煩雑なインシデント登録・管理の作業が、ServiceNowによって大幅に簡素化・効率化されました。現在では、ServiceNowのメールアドレスをCCに追加して送信するだけで、すべてのメールがServiceNowの該当インシデントに自動で蓄積されるのです。「これによって削減される作業時間は、月平均102時間に及びます」と織田氏は話します。

また、ServiceNowの標準機能を使って、高頻度で発生するアラートのパターンをテンプレート化するとともに、その入力値に応じて緊急度や重要度など特定の項目を自動設定する仕組みを実装しました。

1990年創業のITソリューションベンダーである日本ビジネスシステムズ株式会社(以下、JBS)。同社は、マイクロソフト社のプラットフォームを中核としたITソリューションに強みを持ち、その技術と信頼は「マイクロソフト ジャパン パートナー オブ ザ イヤー」のアワード5年連続受賞(2013年~2017年)の実績にも表れています。

このJBSの強さを根幹から支えている1つが顧客のIT環境の運用・保守をワンストップで支援するマネージドサービスセンターです。24時間365日のサポート体制でシステムの監視や保守を行う「マネージドシステムサービス」、顧客のクライアントPCの導入から返却までをトータルにサポートする「エンドポイントサービス」、そして、エンドユーザーからの問い合わせや障害報告、リクエストなどを受け付け、迅速・正確に対応する「サービスデスク」の3つの機能を擁しています。

このマネージドサービスセンターは、ビジネスにおいて重要な役割を担う一方、その業務体制には課題が顕在化していました。同社のイノベーションサービス統括本部 サービス&サポート本部 サービス企画開発部の部長を務める末武祥未氏は、顧客に提供する運用・保守サービスのシステム基盤について、「お客様向けのサービスをより高度なものにするためには、既存の基盤が有する機能だけでは実現することができませんでした」と振り返ります。

特に抜本的な改善が求められていたのが、顧客に関するナレッジの散在と業務の属人化に起因する課題です。同社 イノベーションサービス統括本部 サービス&サポート本部 マネージドサービスセンターの織田美樹氏は次のように話します。

「例えばサービスデスクにおいて、お客様X社からのお問い合わせには専任オペレーターのAしか対応できず、不在時にはサービスレベルが極端に低下してしまうという問題が起こっていました。全員が同じナレッジを共有し、誰が対応しても一定品質で回答できる運用プロセスを実装していくことが求められていました」

定期的なレポート作成に丸一日近い時間が費やされていた

加えて現行のITサービスマネジメントのシステム基盤は、各業務現場の担当者に煩雑な作業負担を強いていました。例えばサービスデスクでは、顧客ごとに診断レポートを作成して継続的な改善提案を行っています。しかし、この作業はシステムから必要なデータを抽出し、Excelに取り込んで集計・加工するという、経験とスキルを要する作業であったため、「常にリーダークラスの人材に依存せざるを得ず、しかも丸一日近い時間がレポート作成に費やされていました」と織田氏は話します。

廃止」です。複数のExcelシートに分散して管理している顧客資産の台帳などをServiceNowに統合していき、さらにサービスカタログやワークフローと組み合わせることで台帳の自動更新の実現を図ります。そして最後が、「機械学習やRPA(Robotic Process Automation)との連携」で、機械学習を活用して問い合わせやインシデントの自動分類を実現するほか、ソフトウェアロボットを活用した高度な自動化も検討しています。

「ServiceNowそのものが進化を続けており、私たちにより大きな可能性を示してくれています」と語る末武氏。JBSでは全社レベルで煩雑かつ非効率な業務のさらなる定型化・自動化を進めるとともにレガシーな業務を廃止し、顧客のIT環境のサポート体制のあり方をさらに変革していこうとしています。

顧客別の統計をダッシュボードに手軽に表示できるため、そのスクリーンショットをパワーポイントに貼り付けることで、レポート作成にかかる工数を40%近く削減した