ニ ラ - maff.go.jp...258 ニラ 除草...

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256 ニラ ニ ラ ユリ科 露地栽培 目標収量 4,000 (kg/10a) 1年目 2年目以降 播種   ◎定植  収穫   栽培型 上 中 下 1月 上 中 下 2月 上 中 下 3月 上 中 下 4月 上 中 下 5月 上 中 下 6月 上 中 下 7月 上 中 下 8月 上 中 下 9月 上 中 下 10月 上 中 下 11月 上 中 下 12月 栽培暦 【苗床施肥例】 播種方法 地温は18℃以上が望ましい。条間10cmの条播 きとする。覆土は5mm程度行う。播種後、板等 で軽く鎮圧する。その後十分に灌水してから敷き ワラをして保温と乾燥防止を図る。育苗日数は 100~120日程度である。 播種後の管理  発芽適温は20℃前後で、10℃以下の低温ではほ とんど発芽しない。また、25℃以上の高温及び乾 燥は発芽不良となるので注意する。播種後10~14 日で発芽する。発芽が始まったら敷きワラを早め に除去する。遅れると苗が伸びすぎ、敷きワラ除 作型の特徴 多年生で株は盛んに分けつするため、一度定植 した株で2~3年収穫できる。1年間に4回程度の収 穫が可能であり、春収穫ほ場と秋収穫ほ場を設置 することで長期収穫が可能である。露地栽培では 生産に要する経費が少なく、栽培は比較的容易で、 女性や高齢者でも気軽に取り組める。 品種と特性 パワフルグリーンベルト 葉色は濃く、葉身はやや細身であるが分げつは 多い。草勢は強く草姿は立性のため収穫調整しや すい。抽台しにくいので夏期の栽培にもよい。株 腐細菌病の発生が少ない。 たいりょう 葉幅は2cm前後になり、葉肉も厚いが葉色は淡 い。分げつは少なめ。高温期になると生育が弱く なり、葉先が黄化するため春収穫向きである。 栽培方法 ■1年目の栽培管理 □育苗(露地育苗) 種子の準備 播種量は10a当たり1Lの種子を必要とする。 播種床の準備 本畑10a当たりの播種床は約1.0~1.2a程度必 要である。酸性に弱いため土壌pHは6.0~6.5程度 に矯正する必要がある。播種1ヶ月前には堆肥と苦 土石灰を散布して耕起し、2週間前に基肥を施用し て再び耕起する。 成分量(kg/a) チッソ リンサン カリ 苗床施肥量 3.0~3.5 2 2.8~3.0 施肥量(kg/a) 肥料名 施用量 備考 完熟堆肥 苦土石灰 高度化成 400 30 20 (16-10-14) 稲ワラ(1㎝位) 覆土は5㎜程度 条間10㎝程度 草丈が1㎝程度に なったら1㎝程度の 間隔に間引く

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  • 256 ニラ

    ニ ラユリ科

    露地栽培

    目標収量

    4,000 (kg/10a)

    1年目

    2年目以降

    ●播種   ◎定植  □□収穫  

    ● ◎

    栽培型 上 中 下

    1月

    上 中 下

    2月

    上 中 下

    3月

    上 中 下

    4月

    上 中 下

    5月

    上 中 下

    6月

    上 中 下

    7月

    上 中 下

    8月

    上 中 下

    9月

    上 中 下

    10月

    上 中 下

    11月

    上 中 下

    12月

    栽培暦

    【苗床施肥例】

    播種方法

    地温は18℃以上が望ましい。条間10cmの条播

    きとする。覆土は5mm程度行う。播種後、板等

    で軽く鎮圧する。その後十分に灌水してから敷き

    ワラをして保温と乾燥防止を図る。育苗日数は

    100~120日程度である。

    播種後の管理 

    発芽適温は20℃前後で、10℃以下の低温ではほ

    とんど発芽しない。また、25℃以上の高温及び乾

    燥は発芽不良となるので注意する。播種後10~14

    日で発芽する。発芽が始まったら敷きワラを早め

    に除去する。遅れると苗が伸びすぎ、敷きワラ除

    作型の特徴多年生で株は盛んに分けつするため、一度定植

    した株で2~3年収穫できる。1年間に4回程度の収

    穫が可能であり、春収穫ほ場と秋収穫ほ場を設置

    することで長期収穫が可能である。露地栽培では

    生産に要する経費が少なく、栽培は比較的容易で、

    女性や高齢者でも気軽に取り組める。

    品種と特性パワフルグリーンベルト

    葉色は濃く、葉身はやや細身であるが分げつは

    多い。草勢は強く草姿は立性のため収穫調整しや

    すい。抽台しにくいので夏期の栽培にもよい。株

    腐細菌病の発生が少ない。

    たいりょう

    葉幅は2cm前後になり、葉肉も厚いが葉色は淡

    い。分げつは少なめ。高温期になると生育が弱く

    なり、葉先が黄化するため春収穫向きである。

    栽培方法

    ■1年目の栽培管理

    □育苗(露地育苗)種子の準備

    播種量は10a当たり1Lの種子を必要とする。

    播種床の準備

    本畑10a当たりの播種床は約1.0~1.2a程度必

    要である。酸性に弱いため土壌pHは6.0~6.5程度

    に矯正する必要がある。播種1ヶ月前には堆肥と苦

    土石灰を散布して耕起し、2週間前に基肥を施用し

    て再び耕起する。

    成分量(kg/a)

    チッソ リンサン カリ

    苗床施肥量 3.0~3.5 2 2.8~3.0

    施肥量(kg/a)

    肥料名 施用量 備考

    完熟堆肥 土

    苦土石灰

    高度化成

    400

    30

    20 (16-10-14)

    稲ワラ(1㎝位)

    覆土は5㎜程度

    条間10㎝程度

    草丈が1㎝程度に なったら1㎝程度の 間隔に間引く

  • キュウリ

    メロン

    スイカ

    小玉スイカ

    カボチャ

    ズッキーニ

    トマト

    ミニトマト

    ナス

    ベイナス

    シシトウ

    ピーマン

    パプリカ

    オクラ

    イチゴ

    スイートコーン

    エダマメ

    サヤエンドウ

    サヤインゲン

    ソラマメ

    キャベツ

    ハクサイ

    ブロッコリー

    カリフラワー

    レタス

    リーフレタス

    ホウレンソウ

    シュンギク

    チンゲンサイ

    コマツナ

    ナバナ類

    ミズナ

    アスパラガス

    ネギ

    タマネギ

    ニラ

    ニンニク

    モロヘイヤ

    食用ギク

    ミョウガ

    セリ

    切ミツバ

    ダイコン

    カブ

    ニンジン

    ゴボウ

    ジャガイモ

    サツマイモ

    サトイモ

    ナガイモ

    ツクネイモ

    山ウド

    クサソテツ(コゴミ)

    モミジガサ(シドケ)

    ミヤマイラクサ(アイコ)

    イヌドウナ(ホンナ)

    フキ

    ジュンサイ

    タラノメ

    ギョウジャニンニク

    257ニラ

    去時にニラを痛めるので注意する。

    間引き

    草丈が3cm位(本葉1枚頃)の時に1cm程度の間

    隔に間引く。本葉が生長してくると根が伸びて引

    き抜きにくくなるので、早めに行う。

    灌水

    土の状態を見て、表土が白くなったら灌水する。

    追肥

    生育の状況を見てチッソ成分で2kg/10a程度を2

    回行う。

    第1回目:5月10日頃

    第2回目:6月10日頃

    □本畑準備土壌に対する適応性は広く土質を選ばない。浅

    根性であるが乾燥には強い。しかし過湿には弱い

    ため、排水がよく通気性の高い有機質に富んだ肥

    沃な土壌が適する。

    土壌改良

    酸性土壌では生育が抑制されるので土壌pH6.0

    ~6.5を目安に改良する。土壌改良資材は定植30

    日前に施用し耕起する。品質のよいニラを生産す

    るためには草勢を収穫終了まで維持する必要があ

    り、根が広く深く張るように堆肥は多めに投入し、

    深耕を行う。

    施肥

    定植2週間前までに元肥を施し、再び耕起する。

    10月下旬頃には肥効が切れるよう、緩行性肥料

    は100日タイプ(単純溶出型)を用いる。

    【定植時の施肥例】

    □定植定植時期

    7月上~中旬に定植し、梅雨明け前に活着するよ

    うにする。高温干ばつ時に定植すると著しく活着

    や初期生育が劣るので、雨の続きそうな日を選ん

    で植え付ける。

    栽植様式

    株間30~35cm、条間35cmとし、排水の悪いほ場

    は畝幅60cm、高さ10cm程度の畝を作る。

    苗取り

    根を切らないようにホーク等で苗を掘り起こし

    土を落とす。掘り取り後は、直射日光を避け、濡

    れむしろなどをかけて乾燥しないように保管し、

    掘った日に植える。苗の大きさは本葉6枚位、草丈

    15~20cm程度が望ましい。

    定植方法

    1株当たり大苗は5~6本、小苗は7~8本植えと

    する。

    かためて植えるより、1センチ程度離したほうが

    分げつの発生がよく、弱小分げつが少なくなる。

    深さ15cm位の溝を切り、根が出ない程度の浅植え

    にする。定植後2~3週間で活着する。定植する溝

    が浅いと1年目は生育が早いが、2年目以降鱗茎が

    地表面付近に上がってきて乾燥や冬期間の被害を

    受けやすい。

    □定植後の栽培管理定植直後に乾燥にあうと根の伸びが悪いので、

    灌水し活着を促す。活着後は2回程度にわけて土も

    どしを行い、最終的に平らな状態にする。深く土

    もどしをすると分げつ力が弱まり、初期生育が緩

    慢となり、株養成が遅れるので注意する。また、

    敷きワラをすると乾燥防止と雑草の発生防止にな

    る。

    成分量(kg/10a)

    チッソ リンサン カリ

    基 肥

    追 肥

    16

    6

    28

    6

    16

    6

    施肥量(kg/10a)

    追肥 肥料名 基肥 備考

    完熟堆肥 土

    苦土石灰

    ようりん

    緩効性肥料

    高度化成

    高度化成

    4,000

    200

    100

    50

    50

    (14-12-14)

    (16-4-16)

    (15-6-9) 20

  • 258 ニラ

    除草

    定植後、各剤の使用方法にしたがって除草剤を

    散布する。

    灌水

    土壌の乾燥状態を見て行う。水田転換畑の場合

    は畝間灌水が効果的である。

    追肥

    生育を見ながら8月中旬・9月中旬頃チッソ成分

    で3.0kg/10a相当になるように追肥する。

    休眠時期の管理

    10月中旬頃、気温が5℃以下で休眠に入る。11

    月中旬頃、葉が完全に黄化したら地際からきれい

    に茎を刈り取り除去する。この時、除草も併せて

    行う。排水の悪い所では、周囲に溝をほって排水

    を図る。

    □2年目の栽培管理収穫ローテーション

    春収穫区と秋収穫区に分ける。

    さらに次の方法の組み合わせにより収穫期を調

    整する。

    ① 消雪・マルチ・トンネル設置等による萌芽促進

    ② 捨て刈りの実施

    ③ 品種の組み合わせ

    消雪・マルチ・トンネル

    面積が大きい場合、生育に差をつけないと収穫

    期が集中するので、一部を消雪やマルチ(古ビニ

    ール等のベタ掛け)、不織布等によりトンネル被覆

    して生育を早め、収穫期の分散を図る。

    土壌改良

    消雪時に完熟堆肥、苦土石灰、ようりんを施用

    する。

    追肥

    春収穫区は草丈が10cm位になったら、3kg/10a

    程度追肥し、生育促進を図る。以後、刈り取るた

    びに同様に施肥する。秋収穫区についても、捨て

    刈り後草丈が10cm程度になったら追肥を行い生育

    促進を図る。また、秋収穫した株は、収穫期と

    根・鱗茎への貯蔵養分の蓄積時期とが重なり、貯

    蔵養分を蓄積できない状態で越冬することになる

    ので、収穫終了後の追肥を忘れずに行い、休眠前

    までに草勢の回復に努めて貯蔵養分の蓄積をはか

    る。

    【2年目以降の施肥例】

    ※刈り取りを三回とした場合

    (1回当たりの成分量は3.0-0.8~1.0-3.0となる)

    灌水

    高温乾燥期に、乾燥が続くと生育が遅れるので、

    灌水を行い生育を促進する。また、生育が遅れた

    ときに灌水と同時に液肥を施用すると生育が回復

    するので生育をみながら行う。

    摘蕾

    ニラは高温・長日条件下で花芽分化が進む。抽

    台すると収量・品質が低下するため、秋収穫区で

    は摘蕾を行う。

    株の更新

    収穫3年目以降になると株の内部が混み合い、茎

    が細くなるため品質が低下する。株の様子を見な

    がら収穫2~3年目を目安に株の更新に努める。

    □収穫・調整収穫の時刻は葉露のある早朝や蒸散作用が盛ん

    な日中は避けて、朝の涼しい時間帯に行う。ニラ

    が濡れていると収穫調整に手間取ることや出荷後

    成分量(kg/10a)

    チッソ リンサン カリ

    追肥 12.0 3.2~4.0 12.0

    施肥量(kg/10a)

    肥料名 施用量 備考

    完熟堆肥 土

    苦土石灰

    ようりん

    高度化成

    2,000

    100

    20

    追肥

    80 (16-4-16)

    〔定植後の土もどし方法〕

    12~15cm 定植時

    1回目土もどし 2回目土もどし

  • キュウリ

    メロン

    スイカ

    小玉スイカ

    カボチャ

    ズッキーニ

    トマト

    ミニトマト

    ナス

    ベイナス

    シシトウ

    ピーマン

    パプリカ

    オクラ

    イチゴ

    スイートコーン

    エダマメ

    サヤエンドウ

    サヤインゲン

    ソラマメ

    キャベツ

    ハクサイ

    ブロッコリー

    カリフラワー

    レタス

    リーフレタス

    ホウレンソウ

    シュンギク

    チンゲンサイ

    コマツナ

    ナバナ類

    ミズナ

    アスパラガス

    ネギ

    タマネギ

    ニラ

    ニンニク

    モロヘイヤ

    食用ギク

    ミョウガ

    セリ

    切ミツバ

    ダイコン

    カブ

    ニンジン

    ゴボウ

    ジャガイモ

    サツマイモ

    サトイモ

    ナガイモ

    ツクネイモ

    山ウド

    クサソテツ(コゴミ)

    モミジガサ(シドケ)

    ミヤマイラクサ(アイコ)

    イヌドウナ(ホンナ)

    フキ

    ジュンサイ

    タラノメ

    ギョウジャニンニク

    259ニラ

    に荷いたみしやすく、トロケ症が発生しやすいこ

    となどから水洗いは絶対にしない。土及びゴミは

    よく取り除く。葉先の枯れているものは摘み取る。

    □病害虫防除白斑葉枯病

    葉にはじめ白色小斑を生じ、のち長紡鐘形から

    楕円となる。健全部との境界は不明瞭である。枯

    死部に小黒粒を形成する。露地栽培では4月~5月

    に降雨が続く年に多発しやすい。排水対策に努め

    る。

    株腐細菌病

    主に葉に発生する。萌芽期に、はじめ外側の茎

    葉が生育不良となり、萌芽してくる茎葉が次々と

    しおれ内側に巻き込むように腐敗する。感染して

    も発病しなかった茎葉は、収穫後日持ちが悪くな

    り、輸送中や店頭で外側の茎葉から腐敗する。ネ

    ダニの寄生は傷口(感染口)が多くなるため被害

    を増加させる。

    萌芽期に多発するため、春先は排水に注意する。

    発病株からは収穫時の刃物で次々と伝染するため、

    発病株は最後に収穫する。

    ネダニ

    鱗茎の基部に寄生し葉先の曲りや黄変葉、生育

    不良をひきおこす。高温多湿条件下で多発しやす

    い。1世代は10~14日で、年間10世代以上くり返

    す。連作によって被害が増大するので、発生の多

    いほ場では連作を避ける。酸性土壌に発生が多い

    ので、石灰を施用し、酸度を矯正する

    ネギコガ

    6~9月に幼虫が葉肉中や葉の内側に潜入して食

    害する。

    □生理障害葉先枯れ

    カルシウム欠乏による場合とその他の原因によ

    る場合がある。

    カルシウム欠乏に対しては定植前に石灰質資材

    を十分に施用するとともに、追肥にカルシウムを

    含む液肥等を使用する。

    トロケ症

    土壌の過湿条件で栽培された場合や収穫時の水

    分の付着、袋詰め後の高温などで出荷後に切り口

    や傷口から腐敗する。高温期の降雨時に発生しや

    すい。

    ほ場の排水を良くし、水切りを良くするととも

    に調整時に特に切り口の乾燥を徹底し、低温出荷

    体制をとる。

  • 260 ニンニク

    ニンニクユリ科

    露地栽培

    目標収量

    1,500 (kg/10a)

    露地栽培

    ◎定植  □□収穫

    ◎ ~ ◎

    栽培型 上 中 下

    9月

    上 中 下

    10月

    上 中 下

    11月

    上 中 下

    12月

    上 中 下

    1月

    上 中 下

    2月

    上 中 下

    3月

    上 中 下

    4月

    上 中 下

    5月

    上 中 下

    6月

    上 中 下

    7月

    栽培暦

    作も比較的できるが、病害虫の発生が見られる場

    合は作付けほ場を変更する。

    土壌改良

    有機物の施用効果が高い品目であるが、未熟堆

    肥では生育障害を招くので、必ず完熟堆肥を使用

    する。

    土壌pHが5.5以下では生育が不良となるので

    pH6.0~6.5にする。リンサンもやや多めの方が生

    育が良い。

    耕起

    20cm以上深耕して耕盤を破壊し、砕土率の向上

    を図るとともに根域の確保に努める。特に転作初

    年度は土塊が大きいので、何度も耕転をし砕土率

    を高める。

    また未熟堆肥の投入はネダニやタマネギバエの

    被害にあいやすいので注意する。

    施肥

    多肥栽培は球割れやさび病などの発生を誘発す

    るので、土質や前作など畑の肥沃程度によって加

    減する。

    施肥方法はマルチ栽培の場合、緩効性肥料を使

    用した全面施用となる。

    【施肥例】

    作型の特徴土壌の種類はあまり選ばないが、乾燥に弱いの

    で保水性の高い有機質に富む肥沃な土壌が適する。

    栽培当初の種子代がかかるが、その後の経費は

    それほどかからない。栽培が比較的容易で労働力

    も比較的かからない。

    機械化省力栽培体系もできており、大規模栽培

    が可能である。

    品種と特性寒地系ホワイト六片種

    寒地に栽培されている品種で、葉は幅広く大き

    く10枚位つき、りん片は6個内外で、乾燥球で

    50g程度の大玉となる。外皮が白く、市場性が高い。

    栽培方法

    □種球の準備種球選別

    10~15gが適当である。15gを超えると複数萌

    芽する株の発生率が増加し、小球では収量が上が

    らない。

    栽植密度は18,000~24,000株/10aが標準で、

    種球は約260~300kgが必要となる。

    種球消毒

    黒腐菌核病などを予防するため植え付け前に殺

    菌剤を湿粉衣する。

    □本畑準備畑の選定

    排水性、保水性ともに良いほ場を選ぶ。また湿

    害を起こさないよう暗渠、明渠などの対策を講じ

    ておき、畝間に長時間滞水しないようにする。連

    成分量(kg/10a)

    チッソ リンサン カリ

    基 肥

    追 肥

    8~9

    10~12

    16~20

    3~5

    6~8

    10~12

    施肥量(kg/10a)

    追肥 肥料名 基肥 備考

    完熟堆肥 土

    苦土石灰

    ようりん

    緩効性高度化成

    高度化成

    2,000

    200

    60

    60

    (15-15-15)

    (16-4-16) 75

  • キュウリ

    メロン

    スイカ

    小玉スイカ

    カボチャ

    ズッキーニ

    トマト

    ミニトマト

    ナス

    ベイナス

    シシトウ

    ピーマン

    パプリカ

    オクラ

    イチゴ

    スイートコーン

    エダマメ

    サヤエンドウ

    サヤインゲン

    ソラマメ

    キャベツ

    ハクサイ

    ブロッコリー

    カリフラワー

    レタス

    リーフレタス

    ホウレンソウ

    シュンギク

    チンゲンサイ

    コマツナ

    ナバナ類

    ミズナ

    アスパラガス

    ネギ

    タマネギ

    ニラ

    ニンニク

    モロヘイヤ

    食用ギク

    ミョウガ

    セリ

    切ミツバ

    ダイコン

    カブ

    ニンジン

    ゴボウ

    ジャガイモ

    サツマイモ

    サトイモ

    ナガイモ

    ツクネイモ

    山ウド

    クサソテツ(コゴミ)

    モミジガサ(シドケ)

    ミヤマイラクサ(アイコ)

    イヌドウナ(ホンナ)

    フキ

    ジュンサイ

    タラノメ

    ギョウジャニンニク

    261ニンニク

    無マルチ栽培で追肥を行う場合は、基肥を全面

    施用量の半分程度とし、残りを翌春の消雪後とり

    ん片分化期(4月下旬~5月上旬)の10日後頃に追

    肥する。

    畝立て

    通路を含めた畝幅は140~150cm、マルチ面は

    100cm前後とする。株間は15cm、条間25cm、条

    数は4条(並列)が一般的である。畝の高さは

    10cm程度とするが、排水が悪い転換畑などでは高

    畝とする。

    マルチ

    マルチなしでも栽培は可能だが、マルチによっ

    て越冬後の乾燥害が防げる。また肥料の流亡防止

    や雑草の発生を抑える効果もあるため、マルチ栽

    培を行なった方が収量が多い。黒マルチまたはグ

    リーンマルチを使用する。

    □定植越冬前の生育が進みすぎると積雪による葉の損

    傷が大きく病害の原因となる。マルチ栽培では越

    冬前の葉数を3~4葉確保するのが望ましい。

    植え付け時期は9月中旬から9月下旬が適してい

    る。遅くとも10月5日までには終えるようにする。

    遅植えでは越冬率の低下と減収に結びつく。

    植え付け方法

    植え付けはりん片の発根部を下にして、逆や横

    向きにならないように畝に挿し込み覆土する。植

    え付けの深さは3~5cmが適当である。極端な深植

    えでは萌芽や生育が悪くなり、反対に浅いと凍害、

    裂球(乾燥害)、ネダニの被害を受けやすくなる。

    □植え付け後の管理越冬前管理

    植え付け後、2週間目頃から萌芽が始まるが、芽

    がマルチ下にもぐる場合がある。見回ってマルチ

    穴から芽を出してやる。

    除草

    黒マルチを利用するとマルチ内に雑草の発生は

    ほとんどないが、通路にはかなり発生するため除

    草剤を使用する。

    除けつ

    越冬後、草丈が10cm位に伸びた頃、一つの植え

    穴から2本以上芽が出ている場合は、除けつして1

    本にする。残す方の株元を抑えて、いらない株を

    抜き取る。

    追肥

    地上部の生育は4月頃から旺盛になり、6月中旬

    頃まで急速に進み、その後は緩慢となる。

    1回目の追肥は消雪後できるだけ早い時期に行

    う。遅れると初期生育が劣り、風害や乾燥に弱く

    なる。

    2回目の追肥は5月上旬までに終える。遅い追肥

    や多量の追肥は球割れや、病害の多発を招く。

    とうの摘み取り

    5月下旬頃とうが出てくる。とう摘みを行うと肥

    大が良くなるので、花茎が葉鞘から完全に抜け出

    栽 培密度( 4条植え)

    25cm

    3~5cm

    100cm

    150cm

    15cm

    25cm

    15cm

    植 え

    この辺を 押さえる

    引き裂くようにして 取る

    土を掘る

    取る株

    残す株

    追肥施肥例(kg/10a)

    チッソ リンサン カリ

    1回目

    成分量

    2回目

    6~7

    4~7

    2~3

    1~2

    6~7

    4~5

    栽培密度(4条植)

    植付けと球形

  • 262 ニンニク

    してから行う。

    □収穫・調整収穫適期の判定

    収穫時期は6月下旬から7月上旬である。

    収穫期の判定は茎葉の黄変程度を目安とする。

    茎葉が30~50%黄変した時が収穫適期とされる

    が、マルチ栽培では球の肥大が早いため黄変が進

    まなくても裂球するものがみられる。このため、6

    月下旬に入ったら随時球の肥大状況を確認して球

    の盤茎部と鱗片の尻部がほぼ水平になった時に収

    穫する(茎葉が20~30%枯れ上がったころが目

    安)。

    収穫が早過ぎると球の充実が充分でなく、貯蔵

    中の減量も大きく腐敗も多い。逆に遅過ぎると乾

    燥調整中の裂球、裂皮が多く、色沢が悪い。

    なお、次年度の種球用ニンニクは、販売用の収

    穫から5~7日くらい遅らせて収穫すると種球が充

    実する。

    収穫方法

    掘り取り後は球の部分を葉で覆って直射日光を

    避け、2~3日ほ場に放置すると取り扱いやすくな

    る。

    また生球出荷の場合は、生育の良い大玉の物か

    ら順次収穫する。

    株を倒すようにして抜き取るが、大面積の場合

    は掘取機(トラククーにセット)を使用すると能

    率があがる。

    収穫の時に種球の表皮に傷がつくと傷口から腐

    敗菌が侵入し、貯蔵中に乾腐病が発生したり、翌

    年の軟腐病の原因となったりするので注意が必要

    である。

    □乾燥調整自然乾燥

    通風が良く、直射日光のあたらない軒下や作業

    小屋などの場所で乾燥させる。乾燥期間は30~50

    日程度。

    十分乾燥した後に汚れた外皮を剥ぎ、茎の長さ

    を1cmほどに切り落として出荷する。

    機械乾燥

    パイプハウス内に棚を組み、暖房機や換気扇を

    設置して、温風をダクトを利用して循環させる。

    この装置の設置面積は栽培面積10a当り10㎡程度

    必要である。

    直射日光による緑化を避けるため、ハウス全体

    を寒冷紗などで覆う。

    コンテナなどに茎を10cm程度に切断したニンニ

    クを入れ( 詰め過ぎると通風が悪くなり腐敗や乾

    燥ムラとなりやすい)棚に置く。

    35℃程度で乾燥を行う。40℃以上ではニンニク

    が高温障害を受ける。

    温風の送風を連続して行うと球皮が破れ、商品

    価値を低下させるので、日中9~11時間程度の送

    風をした後、13~15時間は余熱により乾燥する。

    数日毎にコンテナの向きを変え、蒸れたり乾燥ム

    ラが発生しないようにする。

    収穫時の70~80%重量になったら乾燥を終了す

    る。

    調整

    根をきれいに取り除き、茎を2cm内外に切り取

    って、外皮を1~2枚剥いできれいに仕上げて調整

    し、規格板を使って選別する。

    跡地整理

    残さは次作の病害虫の発生源となるので、でき

    るだけほ場から持ち出し堆肥化するか、土中深く

    (50cm以上)すき込む。

    □病害虫防除越冬前は特に病害虫防除は必要ないが、越冬後

    は病害虫の発生が多くなるので、薬剤散布を4月中

    旬から定期的に行う。

    なお薬剤が付着しにくいので展着剤を加える。

    葉枯病

    病斑は紡錘形または不正円形で赤紫色を帯び、

    後に黒色すす状のカビを密生する。多発すると葉

    が枯れ上り、球の肥大、品質に影響を与える。ネ

    ギの黒斑病に類似している。

    高温多雨条件で発生が多く、草勢が衰えると発

    生しやすくなるので防除を徹底する。

    さび病

    紡錘形で橙黄色のやや隆起した小型病斑を生じ

    る。多発すると株全体の葉に斑点ができ、赤橙黄

    色の粉におおわれて黄白色に変色し、ついには枯

    死する。年によっては多発し、りん茎の肥大が阻

    害され、品質が低下する。

    収穫後の被害残さをほ場に放置しないで速やか

  • キュウリ

    メロン

    スイカ

    小玉スイカ

    カボチャ

    ズッキーニ

    トマト

    ミニトマト

    ナス

    ベイナス

    シシトウ

    ピーマン

    パプリカ

    オクラ

    イチゴ

    スイートコーン

    エダマメ

    サヤエンドウ

    サヤインゲン

    ソラマメ

    キャベツ

    ハクサイ

    ブロッコリー

    カリフラワー

    レタス

    リーフレタス

    ホウレンソウ

    シュンギク

    チンゲンサイ

    コマツナ

    ナバナ類

    ミズナ

    アスパラガス

    ネギ

    タマネギ

    ニラ

    ニンニク

    モロヘイヤ

    食用ギク

    ミョウガ

    セリ

    切ミツバ

    ダイコン

    カブ

    ニンジン

    ゴボウ

    ジャガイモ

    サツマイモ

    サトイモ

    ナガイモ

    ツクネイモ

    山ウド

    クサソテツ(コゴミ)

    モミジガサ(シドケ)

    ミヤマイラクサ(アイコ)

    イヌドウナ(ホンナ)

    フキ

    ジュンサイ

    タラノメ

    ギョウジャニンニク

    263ニンニク

    に処分する。秋季発生を抑制するため、早植えを

    避け、植付け適期を守る。越冬後に発生をみたら

    直ちに薬剤を散布する。薬液には必ず展着剤を添

    加し、葉の両面に十分にかかるように散布する。

    春腐病

    細菌性の病害で葉身、葉鞘など各部から発病し、

    進展すると球まで軟化腐敗し、被害も大きい。

    発病は3~4月からみられ、降雨時に腐敗が進展

    し、晴天時には病斑部が乾いて病勢が停止すると

    いう経過を繰り返す。銅剤を散布する。

    黒腐菌核病

    土壌病害で下位葉から上位葉へ黄化が進み生育

    不良となる。はなはだしい株は枯死する。

    球の表面にゴマ粒状、またはカサブタ状の黒色

    菌核が多数形成される。被害株を抜き取り焼却す

    る。

    予防として殺菌剤による種球粉衣が有効である。

    紅色根腐病

    生育の旺盛な時期には症状は現れないが、生育

    後期の6月になって葉の枯れ上りが早い株を抜き取

    ってみると根が紅色で腐敗している。土壌伝染性

    の病害で、菌は25~30℃の比較的高温で生育しや

    すいため、マルチ栽培では被害が大きくなる。病

    害発生が多い場合はほ場を変えるか収穫終了後に

    土壌消毒を行う。

    モザイク病

    4~5月に葉に黄緑色の斑入りや条斑を生じ、モ

    ザイク症状を呈する。時には葉が扁平となり波状

    やネジレを生じたり、株全体が萎縮するものもあ

    る。

    病原ウイルスはリーキイエローストライプウイ

    ルス(LYSV)とニンニクダニ伝染モザイクウイルス

    (GMbMV)が知られている。LYSVはアブラムシ伝

    染し、GMbMVはチューリップサビダニにより伝

    搬される。

    ウイルスフリー種球を利用するとともに、媒介

    するアブラムシ類やチューリップサビダニの防除

    を行う。

    イモグサレセンチュウ

    被害は種子として植え付けられた鱗片の腐敗、

    生育初期の枯死株の多発による欠株の増加、収穫

    後、貯蔵中の鱗球の腐敗等として現れ、収量、品

    質の両面に大きな影響を与える。収穫後速やかな

    根の除去、被害症状の見られる鱗片を除去し、処

    分する。植付け前に土壌消毒を行う。

    チューリップサビダニ

    本種が寄生した鱗片を植え付けた場合は、新芽

    がねじれたり、湾曲する。鱗片に対する被害は赤

    斑が生じたり、ひどい場合には褐変してコルク化

    することもある。

    適期に収穫する。割れ玉は別にして保管する。

    できるだけ涼しい場所に保管する。

    ネギコガ

    葉に白く透けた幅のある食痕をつくる。葉の表

    面に目の粗いまゆを作る。

    タマネギバエ

    発根部付近に白色のウジが寄生して食害すると

    生育不良を生じ枯死する場合もある。被害株は抜

    き取り処分する。

    ネダニ

    根や茎盤部、枯死した葉鞘の内側などにケシ粒

    のような乳白色の光沢のある虫が寄生して食害し、

    生育が不良となり根が腐敗してくる。被害株を見

    つけたら早めに抜き取り処分する。

    □生理障害5月頃に葉先枯れが見られる場合は、リンサンを

    主体とした葉面散布を5~7日毎に2~3回行うと効

    果がある。

    また乾燥や過湿で養分の吸収阻害が主たる原因

    であるため、乾燥時には畝間灌水を行うとともに、

    多雨時には溝切りなどで排水に努め、適度な水分

    状態にして根の回復を図る。

  • 264 モロヘイヤ

    モロヘイヤシナノキ科

    ハウス栽培

    早出し

    普 通

    目標収量

    300 (㎏/100㎡)

    ●播種  ▲鉢上げ  ◎定植  □□収穫 

    ● ▲ ◎

    ● ◎ ● ◎ ▲

    栽培型 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中

    3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月

    栽培暦

    である。

    床土の準備

    播種床、仮植鉢の用土は市販培土か土壌消毒し

    た無病の用土を使う。

    播種

    288穴のセルトレイを使い、播種床には電熱線を

    3.3㎡あたり250W配線にし、3~4日前から通電

    し、地温を25~27℃に上げておく。

    1穴1粒播種とし、5mm程度の覆土後25~

    30℃の温水を灌水し、濡れ新聞紙をベタ掛けして、

    一定の湿度を保つ。2~3日で発芽したら、夕方に

    新聞紙を取る。発芽後は日中25℃、夜間20℃で管

    理する。

    鉢上げ

    本葉2枚出たら7.5cmポットに、根切れしないよ

    うに、また深植えにならないように鉢上げする。

    鉢上げ直後に強い光が当たらないように、活着

    まで寒冷紗等で遮光する。

    日中25℃、夜間20℃を目安に温度管理する。

    開花、着莢、分枝は低温や短日長で誘発される。

    花芽分化すると苗質が悪くなるので、20℃以下

    にはしない。

    播種から定植まで夜間温度を下げないように注

    意する。10℃以下にあえば花芽分化するとの報告

    もあり、トンネルにやや厚めの被覆資材をかけて

    保温する。但し朝に被覆資材を取り忘れて、日照

    不足になると花芽分化を誘発するので、合わせて

    注意すること。

    育苗後半、葉と葉が重なってきたら、鉢をズラ

    シて鉢間の間隔を順次あける。

    作型の特徴収穫期間は長いが、軽量野菜で作業が比較的軽

    労働のため高齢者でも栽培できる。高温を好み、

    いずれの作型もハウス栽培であるが、普通栽培は

    水稲育苗後のハウスを利用できる。

    朝早く収穫し、速やかに調整し出荷するので、

    労働力を勘案して栽培面積を決める。特に水稲の

    収穫作業との労働力競合がないようにすること。

    水を好むので、水回りと日当たりの良いところ

    が望ましい。また強風や冷風を嫌うので、風が気

    になる時は目合い1mmのネットを張るとよい。

    連作には強く連作障害の報告はない。

    品種と特性特定の品種はない。種子会社や輸入国の違いに

    より、草姿が異なる2系統がある。特に異なるのは

    主枝に対する側枝(分枝)の開帳角度、節間長の

    長短等が上げられる。分枝の角度が鋭角なものは

    側枝数が少なく節間が長く、分枝の角度が鈍角な

    ものは側枝数が多く節間も短い。

    収穫時の作業性や栽培環境にも関連してくるが、

    ここでは収量性の高い、分枝角度の鈍角なものを

    基準にした。

    栽培方法

    □育苗種子の準備

    種子量は100㎡当たり、350粒程度(約1.5g)

    である。

    播種時期

    早出し栽培では3月中旬、普通栽培では4月中旬

  • キュウリ

    メロン

    スイカ

    小玉スイカ

    カボチャ

    ズッキーニ

    トマト

    ミニトマト

    ナス

    ベイナス

    シシトウ

    ピーマン

    パプリカ

    オクラ

    イチゴ

    スイートコーン

    エダマメ

    サヤエンドウ

    サヤインゲン

    ソラマメ

    キャベツ

    ハクサイ

    ブロッコリー

    カリフラワー

    レタス

    リーフレタス

    ホウレンソウ

    シュンギク

    チンゲンサイ

    コマツナ

    ナバナ類

    ミズナ

    アスパラガス

    ネギ

    タマネギ

    ニラ

    ニンニク

    モロヘイヤ

    食用ギク

    ミョウガ

    セリ

    切ミツバ

    ダイコン

    カブ

    ニンジン

    ゴボウ

    ジャガイモ

    サツマイモ

    サトイモ

    ナガイモ

    ツクネイモ

    山ウド

    クサソテツ(コゴミ)

    モミジガサ(シドケ)

    ミヤマイラクサ(アイコ)

    イヌドウナ(ホンナ)

    フキ

    ジュンサイ

    タラノメ

    ギョウジャニンニク

    265モロヘイヤ

    □本畑準備畑の選定

    日当たりがよく、風の弱い、保水力のある、排

    水のよい畑がよい。

    土壌改良

    石灰、ようりん、堆肥を2週間まえに全面に散布

    し耕起する。土壌酸度はpH6.5~7.0が適する。

    基肥

    施肥量は土壌の肥沃度により加減する。定植1

    週間前に行い、耕起して定植後速やかに肥料が効

    くようにする。

    【施肥例】

    畝作り

    耕起、畝立て後灌水チューブを配置した上に、

    グリーンマルチを張る。

    畝には十分水を含ませてからマルチを行う。乾

    燥状態でマルチすると、活着を遅らせ、その後も

    生育遅延となる。

    1週間前にマルチを行い、土壌の温度を高めてお

    く。ハウス湿度を下げるためにも全面マルチを行

    う。

    □定植栽植密度(cm)

    株間35cm、条間60cm、300本/100㎡を基準

    とする。

    温暖な日を選んで本葉5~6枚の苗を定植する。

    老化苗は活着が悪い。

    畝が乾いている時は、植え穴に25℃くらいの温

    水を十分に灌水する。

    鉢を20~25℃の温水に十分浸けてから、ていね

    いに浅植えする。深植えは避ける。

    定植後、低温が続く時はトンネル被覆して保温

    に努める(夜間は15℃程度に保温する)。

    被覆資材を掛けっぱなしにすると、短日条件と

    なり花芽分化を誘発するので注意する。

    株もとはマルチを土で押さえ、植え穴から熱風

    が出ないようにする。

    □定植後の管理温度・換気管理

    本格的な換気は、摘心の頃からとし、目標温度

    は日中30~35℃、夜間15℃以上とする。換気の

    位置はできるだけ高くし(肩換気)、ハウス全体を

    換気する。

    夜間ハウス内に溜まった水分は、室温が20度に

    なったら、できるだけ早く外に排出する。

    換気に伴って害虫の侵入があるので、目合い

    1mm程度のネットを張り防ぐ。

    灌水

    本格的な灌水は、摘心の頃から側枝の発生を促

    すため開始する。乾燥しすぎると、肥効が落ちる

    ので、3~5日間隔で天候を見て、午前中に十分灌

    水する。また通路に溢れないように、ゆっくり行

    う。灌水しすぎると葉肉が軟らかくなりトロケ症

    状を起こすことがあるので注意する。また通路灌

    水は室内の湿度を高めるので望ましくない。

    整枝と摘心

    草丈100~120cmになったら、収穫を兼ねて生

    長点から30cm下を摘心する。茎の伸びの良い、太

    い側枝を収穫するため、、地際から40cm位までの

    側枝は1節、それより高いところは2節残して収穫

    する。また9月以降は側枝1節を残して収穫する。

    7月中旬に地際から20cmまでの側枝を整理し、

    風通しを良くする。

    追肥

    生育状況や葉色(ツヤ)を見ながら、穴肥や液

    肥かん注を追肥する。

    □収穫・調整収穫は原則的に早朝涼しい時間に、また調整は

    明るいところで行い、速やかに予冷庫に入れる。

    出荷規格に従って収穫調整する。

    施肥例(kg/100㎡)

    チッソ リンサン カリ

    基 肥

    追 肥

    2.0

    1.5

    2.0

    2.0

    1.5

    施肥量(kg/100㎡)

    追肥 肥料名 基肥 備考

    完熟堆肥 土

    苦土石灰

    ようりん

    緩効性高度化成

    高度化成

    200

    15

    5

    13

    (15-15-15)

    (16-4-16) 9

    35

    60

    100 100

    60

  • 266 モロヘイヤ

    □病害虫防除ハウスの開閉管理や土壌、施肥、灌水管理等を

    適切に行って、耕種的防除に徹する。

    葉ぶくれ病

    病菌はカビの一種で植物に寄生し組織の肥大や、

    変形(葉にデコボコの瘤ができる)。病葉に胞子を

    白粉状に多数形成し、これが飛散し伝染する。

    高温多湿な環境下では、病原菌の生育適温が

    30℃付近であること、また葉が軟弱になることか

    ら発生を助長しやすい。高温でも湿度が低いと病

    徴が現れにくい。

    病葉は伝染源となるので、見つけしだい掻き取

    ってハウス外で処分する(病株や残さもハウス外

    に出す)。

    換気に努め室内が加湿にならないようにする。

    全面マルチ、植え床灌水とし、室内が過湿になら

    ないようにする。

    黒星病

    9月中旬以降の多湿な気象で発生しやすく、油断

    するとハウス全体に広がる。主に葉に黒褐色の斑

    点が生じる。

    夜間はハウスを閉めて、湿った空気が入らない

    ようにし、朝にハウスを開けて換気を行い、湿度

    を下げること。また残さはハウス外で焼却するこ

    と。

    ハダニ類

    葉に寄生するのはナミハダニもあるが、主にカ

    ンザワハダニ(赤ダニ)である。高温乾燥で、初

    めハウスの一部の場所で発生し、次第にハウス全

    体に広がる。室内を頻繁に見回り、葉裏を良く観

    察する。極少ない発生の時は葉や株を肥料袋等に

    入れて、口を硬く縛ってハウス外に出して処分す

    る。

    ハダニ類が寄生している場合は、収穫時の作業

    で衣服に付着して、まき散らすことになるので注

    意する。周辺に野菜畑がある場合は防除を徹底し、

    周辺の除草に心がける。

    その他の病害虫

    コガネムシ類、クロウリハムシ、アザミウマ類、

    モロヘイヤ苗立枯病、モロヘイヤ炭そ病、モロヘ

    イヤ灰色かび病などがある。

    整枝方法

  • キュウリ

    メロン

    スイカ

    小玉スイカ

    カボチャ

    ズッキーニ

    トマト

    ミニトマト

    ナス

    ベイナス

    シシトウ

    ピーマン

    パプリカ

    オクラ

    イチゴ

    スイートコーン

    エダマメ

    サヤエンドウ

    サヤインゲン

    ソラマメ

    キャベツ

    ハクサイ

    ブロッコリー

    カリフラワー

    レタス

    リーフレタス

    ホウレンソウ

    シュンギク

    チンゲンサイ

    コマツナ

    ナバナ類

    ミズナ

    アスパラガス

    ネギ

    タマネギ

    ニラ

    ニンニク

    モロヘイヤ

    食用ギク

    ミョウガ

    セリ

    切ミツバ

    ダイコン

    カブ

    ニンジン

    ゴボウ

    ジャガイモ

    サツマイモ

    サトイモ

    ナガイモ

    ツクネイモ

    山ウド

    クサソテツ(コゴミ)

    モミジガサ(シドケ)

    ミヤマイラクサ(アイコ)

    イヌドウナ(ホンナ)

    フキ

    ジュンサイ

    タラノメ

    ギョウジャニンニク

    267食用ギク

    食用ギクキク科

    ハウス栽培(春夏どり・夏秋どり)

    春夏どり

    夏秋どり

    目標収量

    250 (㎏/100㎡)

    150 (㎏/100㎡)

    ●親株植付け  ×挿し芽  ▲鉢上げ  ◎定植  □□収穫 

    ● × ▲ ◎ ● 摘心

    × ▲ ◎ × ▲ ◎

    栽培型 上 中 下

    2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月

    上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下

    栽培暦

    注)葉色が淡く、葉が小さく、全体的に生育不良

    の株はわい化病(ウイロイド)に感染している可

    能性があるので使用しない。中位葉や茎にえそ症

    状が見られた場合はトマト黄化えそウィルスに感

    染している可能性があるので株の更新が望ましい。

    必要親株数

    生育の良い株を本畑100㎡当たり200株選択す

    る。

    親株の養成

    採花後の株から親株を選定し、地際から5cmの

    高さで刈込む。その後、脇芽が4~5cm伸びたら芽

    が1~2cmかくれる程度に土寄せし、脇芽及び冬

    至芽の発生を促す。2回目の刈込みは脇芽が20cm

    以上伸長したら行う(花蕾をつけさせないように

    するため)。この期間に病害虫防除を行い無病に努

    めるとともに、生育状態に留意しながら中耕や追

    肥、除草を随時行う。

    ①親株の伏せ込みを行うハウスは、本畑100㎡当

    たり5㎡前後の面積が必要になる。肥沃なほ場では

    無肥料とし、肥沃ではないほ場では伏せ込む15日

    前まで堆肥400kg/100㎡、チッソ・リン酸・カリ

    ウムを成分量で1.0kg/100㎡程度施用する。ハウ

    スは雪解け水等が入り込まないように明渠等で排

    水対策を行う。排水の悪いほ場では高畝とする。

    ②株を伏せ込む場合は10~15cm×10~15cm間

    隔で植え付け、冬至芽を伏せ込む場合は10~

    15cm×5cm間隔で植え付ける。植え付け後は地温

    を10℃以上に保ち活着を促し、活着後は5℃で管

    理する。灌水は植え付ける前に十分行い、植え付

    け後は株と土がなじむように灌水を行う。

    ③挿し芽を行う予定日より30日前に親株の摘芯を

    作型の特徴生育適温は20℃で、生育限界温度は4℃である。

    根圏は40~50cmであり、15~20cmの部分に最

    も多く根が分布するため、湿害及び乾燥に弱い。

    耕土が深く、肥沃で排水の良いほ場であれば特に

    土壌を選ばない。

    栽培管理労力が比較的少なく、また収穫物が軽

    量であり高齢者、女性でも栽培しやすいが、収

    穫・調整に労力がかかるので、収穫時期が集中し

    ないように作型を組み合わせて栽培することが必

    要である。

    夏ギク系統の特性を生かした無加温ハウスによ

    る長期どりは、品質・収量ともに安定している。

    秋に育苗して冬期加温による促成栽培もでき、冬

    期作物としても収益性が高く有望である。

    品種と特性岩風

    夏ギク系の早生種で、花の大きさが中~小型の

    黄色花である。花弁は平弁で、草丈は60~70cm

    程度、分枝も多く花数も多い。

    栽培方法

    □親株の選定と管理親株の選定

    次のような特徴を有している株を選択する

    ①生育の揃いが良いもの

    ②花色や花型の良いもの

    ③収量の多いもの

    ④病害虫の発生がないもの

  • 268 食用ギク

    行い、脇芽の発生を促す。

    ④病害虫防除は定期的に行う。特に白さび病につ

    いては親株の段階で発生すると、栽培期間を通じ

    た発生源となるので予防を図る。採穂2~3日前に

    白さび病の防除を行う。

    □育苗挿し床準備

    挿し床は雨よけハウスやトンネル等を利用する。

    用土は箱出しの場合川砂または川砂+鹿沼土を用

    い、厚さは6~7cmとする。プラグトレイを利用す

    る場合は市販の土を利用し、できれば大きさの違

    う2種類のトレイを準備する。

    挿し芽

    ①採穂作業

    採穂は必ず乾いた状態で行うため、午後からの

    作業が望ましい。長さ6cm程度の脇芽を採穂し、

    必ず手で折り取る。極端に太いものや細いものは

    採穂せず取り除き、ポキッと折れる若々しい緑色

    のものを選ぶ。

    ②水上げ

    水上げは萎れている場合に行うが、通常は行わ

    ない。水上げを行うと腐りが出やすくなり、挿し

    芽後の水上げが悪くなる。挿し床への灌水を十分

    に行う。

    ③挿し方

    挿す前に散水し、挿し床に湿りを持たせておく。

    箱出しの場合の挿す間隔は3×3cmとし、挿す深さ

    は2~3cmにする。プラグトレイ利用の場合は採穂

    した穂木は太いものと細いものに分け、太い穂木

    を大きい穴のトレイに挿し、標準サイズの穂木は

    通常のトレイ(200穴トレイ)に挿す。葉を土中

    に入れたり、土に触れないようにして真っ直ぐ差

    し込む。

    挿し芽後の管理

    挿し芽後は予め平らにした畝の上に置き、その

    後十分灌水する(灌水後の移動は密着が崩れる)。

    トンネル支柱を立てポリまたはビニールを掛ける。

    また、夜間は保温のためもう一枚厚手の保温資材

    を掛ける。ポリまたはビニールを掛けているので

    乾燥しにくいが、土壌状態を確認し灌水する。発

    根が認められた後は乾燥気味に管理し、発根を促

    す。

    ハウス温度は15℃以上をできるだけ確保し、

    25℃以上にはならないように細かく管理する。挿

    し芽後は遮光率70~80%の寒冷紗を利用して遮光

    する。挿し芽4~5日後からは徐々に日光に当てる

    ようにする。

    鉢上げ

    箱出しの場合は鉢上げを行う。根が2cmに伸び

    た時に鉢上げを行う。本畑100㎡当り3号ポリポッ

    ト350鉢位必要である。

    ポットの用土は前年から造成された、田土と完

    熟堆肥を半々に混合してつくられたもの(無病な

    もの)を用いる。

    鉢上げ後の管理

    表面が乾いたら適時灌水を行い、やりすぎに注

    意する。夜間の低温に注意する。

    □本畑準備浅根性で耐湿性が弱いので、排水対策を講ずる。

    特に、転換畑では高畝栽培とし排水対策を万全に

    する。

    土壌改良

    pHは6.0~6.5が適する。定植10日前に改良資

    材を散布し土壌改良を行う。

    施肥

    有機質肥料を主体に施用する。

    【施肥例】

    真っ直ぐに挿し込む

    葉を土中に入れて挿すと腐りやすい

    2cm

    成分量( ㎏/100㎡)

    追肥 肥料名 基肥 備考

    完熟堆肥 土

    苦土石灰

    BMようりん

    有機肥料

    液肥

    200

    20

    6

    窒素1.5

    窒素1.0

    (6-6-6)

    (15-6-6)

  • キュウリ

    メロン

    スイカ

    小玉スイカ

    カボチャ

    ズッキーニ

    トマト

    ミニトマト

    ナス

    ベイナス

    シシトウ

    ピーマン

    パプリカ

    オクラ

    イチゴ

    スイートコーン

    エダマメ

    サヤエンドウ

    サヤインゲン

    ソラマメ

    キャベツ

    ハクサイ

    ブロッコリー

    カリフラワー

    レタス

    リーフレタス

    ホウレンソウ

    シュンギク

    チンゲンサイ

    コマツナ

    ナバナ類

    ミズナ

    アスパラガス

    ネギ

    タマネギ

    ニラ

    ニンニク

    モロヘイヤ

    食用ギク

    ミョウガ

    セリ

    切ミツバ

    ダイコン

    カブ

    ニンジン

    ゴボウ

    ジャガイモ

    サツマイモ

    サトイモ

    ナガイモ

    ツクネイモ

    山ウド

    クサソテツ(コゴミ)

    モミジガサ(シドケ)

    ミヤマイラクサ(アイコ)

    イヌドウナ(ホンナ)

    フキ

    ジュンサイ

    タラノメ

    ギョウジャニンニク

    269食用ギク

    耕起・畝立て・マルチング

    20cm位の深耕を行い、排水性を考えて高畝とす

    る。黒マルチを利用した全面マルチとし、マルチ

    下に灌水チューブを設置する。

    □定植株間30cm、条間40cmの2条植え

    (700株/100㎡)。

    □定植後の栽培管理灌水

    土壌水分を保つように十分灌水する。特に活着、

    生育初期並びに花芽、出蕾期の水分不足に注意す

    る。

    花芽分化期から出蕾期に水分不足になると草丈

    の伸長が抑制されるとともに花芽の発育にも影響

    する。

    追肥

    2週間に1回程度の間隔で灌水チューブを利用し

    て液肥を施用する。

    温度管理

    最低夜温5℃以上に保つ。高温期にはハウスの換

    気を行い、適温管理(15~25℃)に努める。

    支柱立て・ネット張り

    1.5~2.0m間隔で支柱を立て、60cm幅(20cm

    角×3マス)のフラワーネットを張る。早めに2段

    張りを行い生育に合わせてネットを上げる

    □収穫・調整7~8分咲きとなり形の揃った花を摘みとる。花

    弁花托に病虫害があるものは除く。

    □病害虫防除白さび病

    葉の裏側に白い斑点があらわれ、表側は淡黄色

    となる。白斑は拡大して円形~やや不正円形で白

    色のやや隆起した小斑点になり、のちに橙色に変

    色する。発生が多くなると葉の生育を抑制し、葉

    が巻上がったり、いびつになり、枯死する場合も

    ある。盛夏期前後(発病適温:10~20℃前後)の

    湿度が高い時期に発生する。

    罹病したキクから菌が飛散して発生するので、

    病葉や病株は見つけしだい取り除く。また発病し

    た親株や収穫したあとの株が伝染源となるので、

    ほ場に放置せずていねいに処分し、親株として使

    用しない。肥料不足や窒素過多にすると発病しや

    すいため、適正な肥培管理を行う。

    花腐病

    主に花の基部が侵され、花弁が褐色に腐敗する。

    花全体が奇形となり、つぼみのうちに発病すると

    黒褐色に変色し、腐敗して開花しない。侵された

    花弁は生育がわるく、正常なものより短いので、

    花弁の長さがふぞろいとなり、花形は奇形になる。

    対策としては通風性の向上があげられる。罹病部

    から菌が飛散して発生するので、発病を認めた花

    はそのまま放置せず、すみやかに切り取って処分

    する。

    花枯病

    ほとんどが開花後に発生し、花弁に発生する。

    60cm 40cm

    30cm30cm

    80cm 40cm

    20 × 3マス目 cm

    1.5~ 2m

  • 270 食用ギク

    はじめは花弁に緑褐色の斑点が生じ、褐色~濃褐

    色に変色し花弁が枯れる。外側の花弁から感染し

    内側へと進行する。発生がひどくなると、花全体

    が枯死する。大、中輪のキクに発生が多い。菌は5

    ~25℃で生育し、最適温度は20℃であり、多湿条

    件が発病を助長する。対策としては通風性の向上

    があげられる。罹病部から菌が飛散して発生する

    ので、発病を認めた花はそのまま放置せず、すみ

    やかに切り取って処分する。

    萎凋病

    初期生育が不良気味であり、葉色が悪く茎葉が

    枯れる。株の地際部付近が水浸状となり、その後

    褐色となり、病勢が進むと下葉から枯れ上がり枯

    死する。茎の腐敗は外側から始まり、導管部分だ

    けでなく他の部分も褐変する。立枯病と萎凋病の

    外見上の差はほとんど無く、地際部の茎の維管束

    に褐変が見られる場合は萎凋病である。どちらの

    場合も病原菌が被害残さとともに土壌中で越年す

    る。

    前年発病して枯れなかった株を親株として冬至

    芽を採取すると、苗のころから発生しやすい。対

    策として連作を避ける。発生した株は抜き取り、

    被害残さを畑に残さないようにする。発生の多い

    ほ場では、土壌還元消毒、蒸気消毒等土壌消毒を

    行う。

    アブラムシ類

    高温・乾燥時に発生が多い。葉や茎、花弁のす

    き間に寄生して品質を低下させるので、早期に防

    除する。増殖力が大きい虫であるが、媒介するウ

    イルスはあまり重要なものもなく、基本的には薬

    剤防除で比較的容易に防除できる。

    風通しの悪い状態の畑で発生が多いため、整枝

    を早めに行うとともに、窒素過多に注意し、適宜

    整枝を行う。シルバーマルチや光反射テープ、ハ

    ウスの間口や側面をネットで囲むなどしてハウス

    への侵入を防ぐ。適期防除に努めるが、収穫中の

    薬剤散布は避ける。

    アザミウマ類

    成虫は花に集まる性質があり、生育期は新芽に

    寄生するが、出蕾とともに成虫が飛来し、膜割れ

    後は蕾のなかに入り花弁を加害する。加害部はし

    み状に脱色され、後に褐変する。多発すると花弁

    の伸長が乱れ、花が汚れたように褐変する。盛夏

    期にかけて発生が多くなる。

    施設の被覆に紫外線カットフィルムを用いると

    虫の侵入が抑えらる。シルバーマルチや光反射テ

    ープ、ハウスの間口や側面をネットで囲むなどし

    てハウスへの侵入を防ぐ。周辺雑草の除草を徹底

    する。

    □生理障害柳芽(やなぎ芽)

    生長点が一度花芽分化し、その後再び栄養生長

    に戻って起こる現象。やなぎ芽の花蕾は花首が徒

    長し、花も奇形になる。発生の原因としては挿し

    芽時期と花芽発達期の高温ながが主である。

    下葉の枯上がり

    摘芯から開花までの期間が長く根の活力が低下

    することで発生する。また排水不良ほ場やほ場冠

    水等によっても発生する。根の障害による症状の

    ため、被害が甚大な場合は根の不活性化により植

    物体全体の萎凋や要素欠乏症状が見られる。対策

    は挿し芽時期の変更、生育期の追肥、排水対策な

    どがあげられる。

    図 アザミウマ類の生活環

  • キュウリ

    メロン

    スイカ

    小玉スイカ

    カボチャ

    ズッキーニ

    トマト

    ミニトマト

    ナス

    ベイナス

    シシトウ

    ピーマン

    パプリカ

    オクラ

    イチゴ

    スイートコーン

    エダマメ

    サヤエンドウ

    サヤインゲン

    ソラマメ

    キャベツ

    ハクサイ

    ブロッコリー

    カリフラワー

    レタス

    リーフレタス

    ホウレンソウ

    シュンギク

    チンゲンサイ

    コマツナ

    ナバナ類

    ミズナ

    アスパラガス

    ネギ

    タマネギ

    ニラ

    ニンニク

    モロヘイヤ

    食用ギク

    ミョウガ

    セリ

    切ミツバ

    ダイコン

    カブ

    ニンジン

    ゴボウ

    ジャガイモ

    サツマイモ

    サトイモ

    ナガイモ

    ツクネイモ

    山ウド

    クサソテツ(コゴミ)

    モミジガサ(シドケ)

    ミヤマイラクサ(アイコ)

    イヌドウナ(ホンナ)

    フキ

    ジュンサイ

    タラノメ

    ギョウジャニンニク

    271ミョウガ

    ミョウガショウガ科

    露地栽培

    普通栽培 1年目 2年目以降

    早どり栽培 2年目以降 (1年目は普通栽培に同じ)

    目標収量

    700 (㎏/10a)

    ◎植え付け  ●敷きわら  ▲~▲べたがけ期間  ◆萌芽  ▼畝間引き  □□収穫 

    ◎ ◎ ● ● ▼ ◆ ~

    ~ ~

    ● ● (間引き株使用)

    ● ▲ ▼ ▲ ◆

    栽培型 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中

    3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月

    栽培暦

    特に、水田転換畑では弾丸暗渠により耕盤破砕

    を行ったり、補助暗渠の施行、ほ場周辺の溝切り

    などの明渠を行うことが重要である。

    土壌改良

    一度植え付けると同一ほ場で長年栽培するので、

    植え付け前の深耕(30cm程度)により土壌改良を

    下層土まで確実に行う。土壌pHは6.0~6.5を目標

    にする。

    施肥

    基肥は植え付けの10~15日前には施用し、深耕

    しておく。

    【植え付け年の施肥例】

    種茎(地下茎)の準備

    10a当たり必要な種株本数は2年養成した種株

    で、300~400株、150~200kg(約10,000本)

    を用意する。

    生育の良い無病株を堀り上げ、1~2芽をつけ約

    作型の特徴本作型は、資材費、肥料代などの経費が比較的

    少なく、省力的であるため、高齢者や婦人が取り

    組みやすい。

    春先に被覆資材のべたがけによる早出し栽培と

    組み合わせることで7月中旬から10月上旬までの

    出荷が可能である。収穫・調整作業が最も労力を

    要し、収穫可能面積が適正栽培面積となる。

    連作に伴って根茎腐敗病が蔓延すると致命的な

    被害を受けるため、総合防除に努めることが必要

    である。

    品種と特性県内各地域在来のミヨウガ、長野系統(諏訪2

    号・3号等)、群馬系統(陣田早生等)がある。

    栽培方法

    □本畑準備畑の選定

    半日陰を好むため、南面傾斜のほ場や日射量の

    多いほ場を避ける。周囲が林地のほ場、南西側に

    樹木があり夕方西日の当たらないほ場がよい。

    また、乾燥や過湿、急激な土壌水分の変化に弱

    いため、乾燥しやすいほ場や湛水するほ場を避け

    る。

    腐植が多く、保水力のある膨軟な土壌が適する。

    排水対策

    降雨の多い年や干ばつにより灌水が必要な年は、

    地温の上昇と過湿により根茎腐敗病が多発するの

    でほ場の排水対策は万全にする。

    成分量(植え付け年) (kg/10a)

    チッソ リンサン カリ

    基 肥

    追 肥

    8

    5~6

    15

    0

    8

    5~6

    施肥量(kg/10a)

    追肥 肥料名 基肥 備考

    完熟堆肥 土

    苦土石灰

    ようりん

    緩効性高度化成

    二成分複合化成

    3,000

    100

    60

    100

    20

    (8-18-8)

    (23-0-23)

  • 272 ミョウガ

    15cmに切断した地下茎を種茎とする。

    ※種茎(地下茎)調整の手順

    ① 掘り取り株を水道水で洗い、病害株を取り除く

    等の粗選別を行う。

    ② 株元から剪定ハサミなどで切り取る。 その際、

    根や養分貯蔵根は切り除く。

    ③ 切り取った地下茎の頂芽の大・小を選別し、

    15cm程度に長さを調整する。

    ④浸漬消毒し、風乾する。植え付け時まで極端に

    乾燥しない場所で保存する。

    □定植植え付け時期

    種茎(地下茎)を定植する場合は、芽が動きだ

    す前の4月上旬に行う。

    間引き株の場合は梅雨期で活着が見込める6月下

    旬に行う。

    畝立て

    畝幅100~120cmで、高畝栽培(30cm程度)

    とする。通路(30~40cm)を設け、排水や風通

    しを良くし病害の抑制を図る。

    栽植様式

    条間30cm、株間15cmで2条植えする。栽植密

    度は10a当り10,000本であるが、頂芽の大きさに

    より調節する。

    植え溝を6~8cm掘り、種茎を植え覆土する。

    □定植後の管理(初年目)敷きわら

    雑草の抑制、乾燥防止、夏期の地温上昇抑制の

    ため行う。

    初年度はほとんど収穫しないため、敷き込みの

    厚さは5cm程度と厚めに行う。

    追肥

    5月上旬、6月中下旬頃に、チッソ、カリを成分

    量で10a当り1回2~3kg施す。

    灌水

    土壌が乾いている場合は適量を灌水する。多量

    灌水は病気を招くので避ける。

    □2年目以降の管理施肥・追肥

    2年目以降の施肥は、敷きわら作業の前に初年目

    の半量を施し、追肥も生育を見て7月上~中旬にチ

    ッソ、カリ成分で10a当り4~5kg施す。

    3年目以降の追肥では株が混みあい、倒伏するする

    おそれがあることから、チッソ分の含まれた肥料

    は避けて、10a当りケイ酸カリ60kg程度を施用す

    る。

    【2年目以降の施肥例】

    敷きわら

    初年度と同様に施肥後、4月中旬にほ場10a当り

    水田30a分の稲わらを敷く。

    間引き

    植付け後4年以上の畑では、茎が混みあうと倒伏

    したり、収量の減少や色付き・太りが悪くなるほ

    か、根茎腐敗病の誘因になるので畝間引きと株間

    引きを必ず行う。

    (畝間引き)

    4年以降のほ場では、畝の一部を間引きし通路に

    する。これまで通路のあった所を、耕起し堆肥や

    資材を施用して畝にする。資材の投入量は植え付

    け畝と同量を施す。

    (株間引き)

    3年目以降は、過繁茂となるので6月中旬(6葉

    成分量(2年目以降)(kg/10a)

    チッソ リンサン カリ

    基 肥

    追 肥

    5

    5

    10

    00

    5

    5

    施肥量(kg/10a)

    追肥 肥料名 基肥 備考

    苦土石灰 土

    ようりん

    緩効性高度化成

    二成分複合化成

    40

    60

    60

    20

    (8-18-8)

    (23-0-23)

  • キュウリ

    メロン

    スイカ

    小玉スイカ

    カボチャ

    ズッキーニ

    トマト

    ミニトマト

    ナス

    ベイナス

    シシトウ

    ピーマン

    パプリカ

    オクラ

    イチゴ

    スイートコーン

    エダマメ

    サヤエンドウ

    サヤインゲン

    ソラマメ

    キャベツ

    ハクサイ

    ブロッコリー

    カリフラワー

    レタス

    リーフレタス

    ホウレンソウ

    シュンギク

    チンゲンサイ

    コマツナ

    ナバナ類

    ミズナ

    アスパラガス

    ネギ

    タマネギ

    ニラ

    ニンニク

    モロヘイヤ

    食用ギク

    ミョウガ

    セリ

    切ミツバ

    ダイコン

    カブ

    ニンジン

    ゴボウ

    ジャガイモ

    サツマイモ

    サトイモ

    ナガイモ

    ツクネイモ

    山ウド

    クサソテツ(コゴミ)

    モミジガサ(シドケ)

    ミヤマイラクサ(アイコ)

    イヌドウナ(ホンナ)

    フキ

    ジュンサイ

    タラノメ

    ギョウジャニンニク

    273ミョウガ

    期)に株を間引きする。

    間引きは3.3㎡当り250本を目安に行う。

    通路除草

    萌芽したり雑草が発生しやすいので5月上旬と7

    月上旬に管理機で中耕を行う。しかし、1回目の中

    耕後に敷きわらを行う場合は2回目を省略しても良

    い。

    灌水

    乾燥に弱いため、雨が少ない年は灌水が必要で

    ある。特に花芽分化期(本葉7~8枚7月上旬~中

    旬)の乾燥は花蕾の発生が遅れるので灌水が必要

    となる。高温時の灌水は根茎腐敗病の原因となる

    ので、土壌の乾燥程度をみて3~4日置きに早朝1

    時間程度の灌水を行う。

    早どり栽培(被覆資材利用によるベタガケ)

    収穫を早めるため、4月上旬に敷わらの上にパス

    ライトや、古ビニールなどで保温する。

    4月下旬以降は高温になりやすいのでビニール資

    材使用時は注意する。

    畑の所々に芽が出てきたら資材を除去する。

    □収穫・調整1年目は花蕾の発生が遅いうえに少ないため、本

    格的な収穫は植え付け2年目からとなる。2年目以

    降は本葉12~13葉となる7月下旬から収穫が始ま

    る。(早どり栽培は7月中旬から)

    花蕾の先端が開かずとがっているうちに収穫す

    る。

    過熟したものや病害虫に犯されたものを除き、

    良く水洗いし、水切りを完全に行ない、花蕾柄を

    2cm以内に揃える。

    □病害虫防除根茎腐敗病

    葉鞘や根茎が侵され、地上部は枯死する。多湿

    条件では病斑部にうすい白色綿毛状のカビを生ず

    る。

    土壌病害で7月上旬以降に高温・多雨条件が続い

    たり、干ばつの高温年に灌水をしすぎると多発す

    る。

    排水不良地で発病しやすいので、排水対策の徹

    底を図る。連作で多発したところは5~6年の輪作

    を行う。

    葉枯病

    株の頂部付近の軟らかい展開中の新葉に白色斑

    点が生ずる。その後、葉脈方向へ拡大した大型白

    色病斑になる。

    排水不良畑や肥料切れ、暴風雨後に発生しやす

    くなる。

    発病初期からの防除が必要である。

  • 274 セリ

    セ リセリ科

    露地・ハウス栽培

    目標収量

    1,500 (kg/10a)

    2,000 (kg/10a)

    夏秋どり

    秋冬どり

    ▲仮植  ◎定植  □□収穫

    露地

    ハウス

    ◎ ◎

    栽培型 上 中 下

    4月

    上 中 下

    5月

    上 中 下

    6月

    上 中 下

    7月

    上 中 下

    8月

    上 中 下

    9月

    上 中 下

    10月

    上 中 下

    11月

    上 中 下

    12月

    上 中 下

    1月

    上 中 下

    2月

    上 中 下

    3月

    栽培暦

    苗床(畑)

    育苗は、転作田などの畑で行い、6月中旬頃親株

    を植え付けるため、その前に畑の準備を行う。

    本畑10a当たり3aの苗床が必要で、日当たり、

    風通しの良い場所を選ぶ。

    苗の植付け10~15日前には、基肥を全面散布し

    て耕起し、畝をつくる。

    親株仮植

    親株は、本畑10a当り750~800株必要となる。

    親株定植前に植え付け溝へ十分灌水し、畝幅50~

    60cm、株間 25~30cmで植え付けする。定植後

    根元に2cm位覆土し株元に灌水し、その後に全面

    敷わらをするか、定植前にマルチングしておく

    (アブラムシ対策を考慮すれば、銀色を含む黒マル

    チ等が適する)。

    親株管理

    親株の活着と生育を促し、ランナーの繁殖を旺

    盛にするため適切な灌水、除草、病害虫防除を行

    う。特に、干ばつ年はランナーの伸びが不十分に

    なりやすいので注意する。また、生育状態をみて

    葉色が淡くなった場合には追肥を行う。3aに対し

    て1回当たりN成分で200g程度を施用する。なお、

    追肥は降雨直前に行うか降雨のない時は追肥後に

    十分灌水する。

    作型の特徴気象条件の適応性は広い。生育適温は20℃で、

    10℃以下では生育停止する。根出葉は高温・長日条

    件下ではランナー(ほふく枝)の発生が多くなる。

    栽培条件としては、冬期間一定水温(15℃前後)

    の清らかで豊富な水が必要となる。

    夏どりでは西日の当らないほ場で水温20℃程度

    の所が適する。

    品種と特性改良三関

    湯沢市三関地区内の集落の母本から系統選抜し

    た良質多収品種である。草姿は直立型、茎葉色青

    緑、肉質柔らかく低温期に茎基部のアントシアン

    の発現はなく、根部の色は白い。生育は湛水期ま

    での草丈の伸びが緩慢で、湛水後は急速に草丈が

    伸びる。

    栽培方法

    □育苗親株準備

    親株(種ゼリ)は前年栽培した中から良質な株

    を残して使用する。

    【苗床施肥例】   (㎏/3a)

    資材名 施用量

    完熟堆肥 土 500

    15

    12

    6~9

    石炭

    ようりん

    有機配合肥料

    ①草型が直立性であること

    ②茎(葉柄)がガッチリしたもの

    草丈は20~25cm程度

    ③茎(葉柄)が青緑色、根元は真白で水サビ

    などで褐変のないもの

    ④萎黄病やウイルス病、さび病等に侵されて

    いない無病株であること

  • キュウリ

    メロン

    スイカ

    小玉スイカ

    カボチャ

    ズッキーニ

    トマト

    ミニトマト

    ナス

    ベイナス

    シシトウ

    ピーマン

    パプリカ

    オクラ

    イチゴ

    スイートコーン

    エダマメ

    サヤエンドウ

    サヤインゲン

    ソラマメ

    キャベツ

    ハクサイ

    ブロッコリー

    カリフラワー

    レタス

    リーフレタス

    ホウレンソウ

    シュンギク

    チンゲンサイ

    コマツナ

    ナバナ類

    ミズナ

    アスパラガス

    ネギ

    タマネギ

    ニラ

    ニンニク

    モロヘイヤ

    食用ギク

    ミョウガ

    セリ

    切ミツバ

    ダイコン

    カブ

    ニンジン

    ゴボウ

    ジャガイモ

    サツマイモ

    サトイモ

    ナガイモ

    ツクネイモ

    山ウド

    クサソテツ(コゴミ)

    モミジガサ(シドケ)

    ミヤマイラクサ(アイコ)

    イヌドウナ(ホンナ)

    フキ

    ジュンサイ

    タラノメ

    ギョウジャニンニク

    275セリ

    □定植本田の準備

    本田は、水利に便利で用水のきれいなほ場がよ

    い。更に耕土が深く(20cm以上)、冬期間も用水

    が十分確保できる場所を選ぶ。

    本田のつくり方は、基本的には通し苗代(水苗

    代)と同じである。

    土壌改良

    6月初旬、荒起しの時、全面散布する。堆肥は完

    熟のものを使うほか、石灰窒素を施用する。

    施肥

    定植15日前に化成肥料で80~100kgを施用する

    が、本田の地力によって増減する。

    耕起

    春から定植までの間3~5回耕起・代かきを行

    う。特に最後の耕起時(定植10~15日前)は化成

    肥料を入れて、水苗代状態になるようにする。そ

    の後、畝畔に添い周囲を浅く溝切りする。

    あぜ塗り、整地

    畝畔を30~40cmの深水管理できる状態にする

    ため畝畔を高めにする。また、漏水防止のための

    あぜ塗りをする。定植数日前に代掻き後のように

    ならし棒を引き、地面が均平になるように整地す

    る。

    定植時期

    収穫目標時期で定植時期を決定する。通常は9月

    上中旬に行う。

    長日高温条件では、ランナーの発生や花茎の抽

    だいなどが起こるため、7月中旬~8月中旬定植で

    は、ツルゼリ(生殖生長)になりやすい。

    【定植期】 → 【収穫期】

    8月初旬 → 8月下旬

    8月中旬 → 9月上旬

    8月末旬 → 9月下旬

    9月中旬 → 10月中旬

    9月下旬 → 11月 (ハウス

    ※8月中旬定植で収穫まで25日前後、9月以降の定

    植は30日~35日かかる、定植が遅くなると40日

    以上必要となる。

    なお、最近は冬期間の品質向上と労働環境の改善

    を図る意味からハウス栽培による冬期収穫の作型

    が増えているが、この場合は9月下旬以降の定植と

    する。

    苗の準備

    苗は普通苗と発酵苗(発酵ランナー苗)の2種類

    があるが、普通苗が一般的である。

    ①普通苗

    定植前に、育苗畑から親株を引き抜き、葉、花

    茎をとり、ランナーを引き裂き、その後一定の長

    さに切りそろえて苗として定植する。

    ②発酵苗(発酵ランナー苗)

    定植5~6日前にランナーを鎌等で刈り取り、切

    り口を揃え、20cm位の束にして、風通しがよく日

    の当たらない場所に50~60cm位の高さに積み上

    げ、水を十分にかけ、ヌレムシロ等で覆いをかけ、

    乾かさないようにして芽出しする。

    発根まで注意しなければならないことはムレを

    防ぐことと、斉一な発根を促すための朝夕の散水、

    2日おきに積み替えることである。発根を始めた

    ら上下に積み替え、根が1cm位伸びた時が植え付

    け適期である。

    芽が出たら十分水洗いし、葉等をとりランナー

    だけにして苗とする。

    植え付け方法

    種ゼリは10a当たりで1,200~1,500kg必要で、

    バラ播き(キザミ苗)の場合は20~30%多くする。

    代かき2~3日後に、2cm位の水を張り植え付け

    る。植え方には2通りある。

    バラ播き定植が能率的であるが、生育にムラが

    生じやすく、苗(ランナー)も多く必要とするこ

    とから、品質の良い物をとる上では平行並べ植え

    が一般的である。

    ①平行植え(並べ播)

    発根したランナー40~60cmに切り、3~5cm間

    【土壌改良資材施用量】 (㎏/10a)

    資材名 施用量

    完熟堆肥 2,000

    40石灰窒素

    【施肥例】            (㎏/10a)

    チッソ リンサン カリ 基 肥

    成分量 6~9 6~9 6~9

    4~5 間隔 cm

    平行植 え 一 般 的方法 バラ 播き (並 べ播) 3 間 隔 に1本の割 合 cm

  • 276 セリ

    隔に交互に並べ平行に植え付けする方法で、根元

    からの萌芽が旺盛となるので、ランナー(第1次

    ランナー、第2次ランナー)の並べ方、間隔のとり

    方を丁寧に行う。また、ランナーは2~3回水(土)

    にぬらしてから植え付けると活着(萌芽)がよい。

    ②バラ播き(キザミ苗)

    節をつけ長さ6~10cm位に切った苗(切断ラン

    ナー)を畝畔からバラ播く方法で、苗の間隔は3

    cmを目標にする。

    □植え付け後の管理遮光(夏ゼリの管理)

    7~8月(長日、高温期)に植え付けする場合は、

    西日が当たるセリ田や水温が水口で20℃、水尻で

    25℃を超える時、遮光を行う。遮光期間は植付け

    後10日間位とするが、高温が続く場合は若干延長

    する。

    遮光方法は、図のように苗代にパイプハウスを

    建て、上面をダイオシート(遮光率75%程度)で

    覆う。高温が続く場合はダイオシートの上から1日

    2~3回散水して気温を下げる。

    水管理

    植え付け当初は発芽・発根を促すため、床面が

    乾かないように湿りを保つ。灌水は水が走る程度

    に止め、酸素の供給による根群の十分な発達と初

    期の生育促進に努める。

    ランナーが流れないように根が張るまでは、か

    け流しをしないようにする。

    活着(発根)後は生育に合わせて水深を調整す

    る。水深の目安としては、草丈10cmで水深3cm、

    その後は草丈の半分位を目標にする。深水にする

    時期が早すぎると茎葉が伸びすぎて倒伏するので、

    深水は降霜低温期頃からとする。

    早穫りする場合は、収穫10日前から深水灌水に

    するとよい。

    水管理は、①倒伏防止、②軟白、③防寒、④品

    質保持が目的であり、管理の適否が商品価値に大

    きく影響する。

    追肥

    追肥は生育状態をみて行うが、葉色が退色して

    きた頃に行う(草丈10~20cm頃)。追肥が遅れる

    と葉色が赤褐色や淡い色になり品質低下が甚だし

    くなる。

    追肥は肥料による葉焼けを防止するため、晴天

    で露のない時や降雨直前に行うようにする。

    □病害虫防除菌核病やモザイク病、萎黄病等が発生したら、

    その株を早期に抜き取り焼却する。

    現場で発生する病害では葉腐病と思われる症状

    がよく見られる。耕種的防除としては、ほ場の水

    をよどませないようにかけ流ししたり、乾かした

    り等の水管理に注意することや肥料切れをおこさ

    ないように肥培管理に注意する等が大切となる。

    登録農薬が極めて少ないことから、薬剤散布に

    あたっては十分注意する。

    □収穫植え付け後25~45日、草丈25~35cm位(定植

    時期の項参考)で収穫期となる。根も商品である

    ので丁寧に扱う。

    収穫後は泥や枯れ葉を除く。風味、香りは11月~

    12月頃が最も良いが、現在はハウス栽培により真冬

    でも品質の良いセリが収穫できるようになった。

    ダイオシート

    cm3~ 5

    1~2 収穫時 のみ深水 cm

    やや 浅水 やや 浅水 積積 雪期間深 水 積 雪期間深 水

    植 活 収 根 収 付 5~6日 着 25~35日 穫 雪 穫 け 始 水面 から葉 が 終

    め 2~3 出る程 度 り cm

    収 穫しない場 合 はやや浅水 とす る

    収穫適期

    cm10

    25〜35 ㎝

  • キュウリ

    メロン

    スイカ

    小玉スイカ

    カボチャ

    ズッキーニ

    トマト

    ミニトマト

    ナス

    ベイナス

    シシトウ

    ピーマン

    パプリカ

    オクラ

    イチゴ

    スイートコーン

    エダマメ

    サヤエンドウ

    サヤインゲン

    ソラマメ

    キャベツ

    ハクサイ

    ブロッコリー

    カリフラワー

    レタス

    リーフレタス

    ホウレンソウ

    シュンギク

    チンゲンサイ

    コマツナ

    ナバナ類

    ミズナ

    アスパラガス

    ネギ

    タマネギ

    ニラ