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Page 1: 普及センターだより 平成29年3月20日発行 ½ ^ Ë : …ˆ分名 DBN DCMU グルホシネート及びグルホシネートP タイプ 土壌散布除草剤 土壌散布除草剤

( 1 )第60号 普及センターだより 平成29年3月20日発行

一月二十五日(木)、高萩市総合

福祉センターにおいて、常陸太田地

域農業改良推進協議会研修会「水田

における土づくりの基礎と省力低コ

スト施肥技術セミナー」を開催し、

JA常陸管内の生産者や関係者百十

名が参加しました。研修会では、J

A全農関東営農資材事業所の金子文

宜先生を講師に招き、農耕地土壌の

実態や土づくりの必要性と、流し込

み施肥について講演頂きました。

はじめに、金子先生から「自分の

ほ場の土をよく観察するとともに、

土壌診断に基づいた土づくりを行い、

千年先まで水田として維持できるよ

うにして欲しい」との話があり、生

産性を高めるための改善策について

話していただきました。また、流し

込み施肥については、全国各地の取

り組み事例をもとに、成功させるポ

イントを詳しく説明して頂きました。

研修会開催後には、土壌診断や

堆肥に関する問合せや、流し込み施

肥技術を導入したいという声も聞か

れ、有意義な研修会となりました。

今後も経営・普及部門では、良食

味米生産や飼料用米の増収による所

得確保に向けて、土づくりや施肥技

術等の導入を支援していく予定です。

水田における

土づくりセミナーを開催

Page 2: 普及センターだより 平成29年3月20日発行 ½ ^ Ë : …ˆ分名 DBN DCMU グルホシネート及びグルホシネートP タイプ 土壌散布除草剤 土壌散布除草剤

( 2 )第60号 普及センターだより 平成30年3月20日発行

◆健康な土づくりで気象条件に左右されにくい農作物生産を実現しよう◆

県北地域は、中山間地を多く

抱えており、一筆ごとの面積が

平場に比べて小さい一方、法面

の面積が広く段差も多いことか

ら、除草作業の負担が大きい状

況にあります。手軽に利用でき

る刈払い機は、不注意等から思

わぬ事故につながることもあり

ます。そこで、労力軽減が可能

な水田畦畔除草剤の効果的な使

い方を紹介します。

・概要

土壌散布除草剤と茎葉散布

除草剤という、「新たな雑草の

発芽を抑制する効果」と「繁茂

した雑草を枯死させる効果」の

特徴が異なる除草剤を順番に使

うこと(体系処理)と混ぜて使

うこと(混用同時散布)の組み

合わせにより、刈払い機に比べ

て作業回数四回→二回、作業時

間三分の一になります(図1)。

・使用上の注意点(表1参照)

①DBN剤は、春期(雑草発生

前~始期)に散布します。県

北では二月中旬~三月上旬

頃です。

②斑点米カメムシ類による籾の

吸汁・加害を軽減するために

は、DCMU剤とグルホシ

ネート及びグルホシネート

P剤の混用散布が有効です。

時期は、抑草期間約五五日を

出穂期から逆算して決めま

すが、県北では六月上旬~下

旬頃です。

③DCMU剤とグルホシネート

及びグルホシネートP剤の

混用薬液作成は、DCMU剤

から先に入れて混ぜます。ダ

イロンゾルは沈殿しやすい

のでよく撹拌します。カー

メックス顆粒水和剤は泡立

ちやすいので移し替えの吹

きこぼれ等に注意します。薬

液の作り置きはしません。

④水田畦畔での年間使用回数

は、「DBNを含む農薬」が

総使用回数1回、「DCMU

を含む農薬」が総使用回数1

回、「グリホシネート及びグ

ルホシネートPを含む農薬」

が総使用回数二回以内です。

・作業時間と費用試算

年間の作業時間は刈払処理

と比べて、約三〇%に減ります

(表2)。労働費を加えると費用

は刈払処理と比べて、約七〇%

に減ります(表3)。

水田畦畔除草剤の

効果的な使い方

 

  △ ◎   

時  期 12月 1月 2月3月

上 中 下

9月

下 上 中 下

収穫期

中齢期老齢期

羽化

上 中 下 上

(雑草へ移動)

出穂期 (登熟期) 成熟期

孵化期若齢期

落水▼ ●

穂肥

下 上 中

7月

中下

8月4月 5月 6月

上 中 下上 中

斑点米カメムシ類 (林地等で越冬中) (越冬世代活動開始)(林地から雑草地へ移動)

水 稲 の 生 育

2.2葉期(稚苗)

活着期 分げつ期 幼穂形成期

播種 移植

出芽● ○ ▲

(前世代の増殖期) (雑草から移動)成虫飛来

産卵

茎葉散布除草剤

効果的な除草剤土壌散布除草剤

(DBN)土壌+茎葉散布除草

畦畔管理(刈払機) 刈払い 刈払い 刈払い 刈払い

畦畔管理(除草剤) 茎葉散布除草剤 茎葉散布除草剤

畦畔雑草の発生 春雑草 夏雑草 春雑草 春雑草 夏雑草

成分名 DBN DCMU グルホシネート及びグルホシネートP

タイプ 土壌散布除草剤 土壌散布除草剤 茎葉散布除草剤ダイロンゾル ザクサ液剤

カーメックス顆粒水和剤 バスタ液剤

特徴種子の発芽を抑え,多年生雑草にも効果が高い。

光合成を阻害して,雑草の生育を抑制。 植物の代謝を阻害して,雑草を枯死させる。

メリット 長期間効果を発揮し,裸地状態を維持。雑草発生前~発生始期の処理で長期間効果を発揮。

ほぼ全ての種類の雑草を枯死させる。土壌に残留・蓄積しない。地上部のみを枯死させ,畦畔が崩れにくい。

デメリットイネ科雑草や大きくなった雑草は効果が劣る。

キク科や多年生イネ科雑草,大きくなった雑草は効果が劣る。

散布液がイネに付着した場合は薬害を生じる。

主な商品名 カソロン粒剤6.7

体系処理及び混用同時散布

除草作業の

年間作業時間年4回

1回30分程度

年3回

1回20分程度

年2回

1回20分程度(時間/10a・年)

畦畔管理手法 刈 払 機除 草 剤

茎葉散布のみ

※一人での作業の場合で,傾斜0度,畦畔率10%(畦畔面積100㎡)  と仮定して算出

体系処理及び混用同時散布

刈払い 127分 ― ―

薬剤施用 ― ― 19分

薬剤散布 ― 51分 19分

合計 2.1時間 0.9時間 0.6時間

労働費 2,112円 854円 638円

燃料費 396円 ― ―

薬剤費 ― 1,110円 1,076円

合計 2,508円 1,964円 1,714円

※1時間当たりの労働費を1,000円で計算した。

労働時間

畦畔管理手法 刈 払 機

除 草 剤

茎葉散布のみ

費用

図1 水田畦畔除草剤の効果的な使い方

表1 使用する除草剤の特徴

表2 労力軽減効果(年間の水田10aあたり) 表3 費用試算(年間の水田10aあたり)

Page 3: 普及センターだより 平成29年3月20日発行 ½ ^ Ë : …ˆ分名 DBN DCMU グルホシネート及びグルホシネートP タイプ 土壌散布除草剤 土壌散布除草剤

( 3 )第60号 普及センターだより 平成29年3月20日発行

◆農薬は使用基準に従い正しく使いましょう◆

gと低く、普通畑の改善目標値

五㎎/一〇〇gを一部を除き下

回っているのが現状となってい

ます(図1~3)。基本に立ち

返り、地力向上のため、堆肥施

用(牛ふん堆肥の場合、〇・六

~一・五t/一〇aが目安量)

を行いましょう。

②播種時期

「常陸秋そば」の県北山間地

の播種適期は八月一〇~一五日

です。これは、生育適温(表1)

と日長感応性(表2)から判断

されています。草丈一mの「常

陸秋そば」の花数は一個体あた

り約六〇〇花ですが、結実率は

約一〇%しかありません。結実

率の変動要因は第一に作期(結

実期の温度)、第二に倒伏(開

不要な花を咲かせないよう

にして貯蔵養分の浪費を抑える

ことが、良果生産には重要です。

短果枝では、枝ごとの目標着

果数を考慮して、花芽整理を行

います。真上・下向きの花芽や

着果予定以外の花芽、貧弱な花

芽を指でかき取ります。しょう

が芽状になっている短果枝は、

向きの良い充実した芽を一~二

一芽座に対し花穂の着いた

芽が一つになるように整理しま

す(図2)。花穂の着いた芽が

複数ある場合、基部に近いもの

を残します。その後の誘引がし

やすいように、横向きの芽をな

るべく残します。 

芽かきの時期は、樹勢の弱い

そばの安定生産には「湿害回

避」が最も重要ですが、次に重

要なのが「土づくり」と「播種

時期」です。そばの生理と管理

の基本を確認して栽培しましょ

う。

①土づくり(特に地力向上)

そばの土づくりにおいては、

堆肥等の有機物の投入が最も大

切ですが、実際は労力のかかる

堆肥施用は少なく、代わりに麦

類等の緑肥の導入が増えていま

す。しかし、県北地域のそば圃

場で地力の目安となる可給態窒

素は二・〇~五・一㎎/一〇〇

「常陸秋そば」の

地力向上対策

ナシの花芽整理・

摘蕾作業

ブドウ(短梢栽培)

の芽かき作業

芽残してせん除します。

長果枝では、花芽を取ってし

まうと葉が出にくくなるため、

下芽を取る程度とし、摘蕾で対

応します。

摘蕾は、花梗が折れやすい時

期(開花七日前頃~開花直前)

に、花芽を上から軽くたたき、

蕾を落とす方法が省力的です

(図1)。

02468

10121416

~1.0

1.1~

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15.0

15.1~

図1 県北地域畑圃場(98圃場)の可給態窒素

表1 そばの生育適温適温(℃) 発芽 生育 開花 結実

25~30 20~31 18~25 17注1

注1)結実は26℃以上で雄しべ発育不全により不稔を助長。

注2)「農業技術体系」(農文協)より抜粋。

表2 そばの日長感応性型

秋型

中間型

夏型

日が短くなると花がつく性質。春に播くと花があまりつかずに生育を続ける。

内容

秋型と夏型の中間的な性質(「常陸秋そば」は秋型に近い中間型)。

日の長さにあまり関係なく花が咲く性質。夏に播くと草丈低いまま少ない花がつく。

~1.0

1.1~

2.0

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図3 県北そば圃場(そば単作20圃場)の可給態窒素

5.0㎎

-4-202468

10121416

-4-2

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15.1~

図2 県北そば圃場(緑肥導入18圃場)の可給態窒素

02468

10121416 改

5.0㎎

花期に倒さない)、第三に栄養

状態(リン酸・カリが重要)と

されていますので、適期播種を

心がけましょう。

(注)県農業研究所:土壌環境基礎調査

3巡目(H元~5年)より

図1 省力的摘蕾法   (たたき落とし法)

(注)普及センター調査(H29年)より

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( 4 )第60号 普及センターだより 平成30年3月20日発行

一月三十一日に、県庁講堂

において「茨城県農業青年プロ

ジェクト発表会」が開催されま

した。県内の後継者クラブ員が

一堂に会し、それぞれの経営や

地域の課題解決に向けた取組を

発表しました。常陸太田普及セ

ンター管内からは、高萩地区農

業研究クラブ連絡協議会の鈴木

政紀さんが「肥育牛への飼料米

給与による肉質改善の取組み」

について発表をしました。

鈴木さんは、日立市で肥育

牛と水稲の複合経営をしていま

◆農機具等による農作業の事故には十分注意しましょう◆

す。肥育牛の有利販売のために、

炊飯米を肥育牛に給与すること

で肉質の改善に結びつけるプロ

ジェクト活動を行ないました。

出荷三ヶ月前から通常の濃厚飼

料の十%を炊飯米に代替し、そ

の牛の肉を買い戻して、官能評

価と理化学分析を実施しまし

た。官能評価からは風味が良く

なる結果、理化学分析からは、

その割合が高いほど口どけが良

くなるとされているオレイン酸

が若干高いという結果が出まし

た。

茨城県GAP第三者確

認制度

茨城県では、二〇二〇年のオ

リンピック・パラリンピック東

京大会への食材提供のための制

度として、昨年の十二月より、

「茨城県GAP第三者確認制度」

の運用を開始しました。対象者

は県内で農産物を生産する個人

または団体で、対象品目は、野

いばらき農業

アカデミーを開催

樹は早く、強

すぎる樹では

やや遅くし、

新梢が一〇㎝

程度になるま

でには終わら

せます。新梢

は、三〇㎝間

隔で主枝一m

当たり六本残

します。

鈴木政紀さんが

プロジェクト

発表会にて発表

茨城県では、農業経営者や中

核的な農業者、新規就農者等を

対象として、本県が持つ恵まれ

た教育、研修、研究環境を活か

し、農業経営者育成講座や先進

農業技術講座などの幅広い学び

の場を設定し、産地を支える経

営感覚に優れた経営体を育成す

るため、H29年度から「いばら

き農業アカデミー」を開講しま

した。

二五講座を実施し、五、

一三六名が受講し、講座に対す

る受講者の平均満足度が四.二

審査員からは「飼料米を導入

することで、飼料費はどれだけ

削減できるか」などの質問があ

り、審査の結果、「優良賞」を

受賞しました。

菜、果樹、穀類です。確認は、

現地調査と審査委員会による審

査により行われ、「茨城県GA

P規範」に基づき、県が定める

点検項目に適合することが必要

です。申請料は無料ですが、中

間調査を実施する必要があり、

また、有効期間二〇二〇年九月

末までとなっています。制度の

詳細や取得についての詳細は県

北農林事務所経営普及部門まで

お問合せください。

(五点満点)と高評価を得てお

ります。

県北農林事務所主催の講座

では、牛の飼育管理など基礎的

な知識を学ぶとともに、地域と

連携した新たな和牛繁殖経営の

担い手を育成するための「新規

繁殖和牛経営入門講座」や法人

化した場合の経営・財務管理、

労務管理、具体的な法人化の手

続きについて学ぶ「法人化促進

講座」を開催しました。

H30年度も同様の講座を継

続して開催する予定なので、い

ばらき農業アカデミー事務局の

ホームページをごらんになり、

積極的にご参加下さい。

図2 芽かき前(左)と芽かき後(右)の様子