ロシア：「東シベリア・太平洋シア 東シ リア 太平洋(ESPO)」パイプラインの稼働開

始と北東 ジ 市場 望始と北東アジア市場の展望

2010年2月18日

調査部

本村真澄本村真澄

1

極東への新しい石油ガス・フローの出現 1極東への新しい石油ガス・フロ の出現 1

ESPOパイプライン建設までの経緯ESPOパイプライン建設までの経緯

1998年2月：ユコス－CNPCで大慶PL合意1998年2月： コス CNPCで大慶PL合意

2001年7月：Transneftが太平洋PLを提唱

府2001年7月：大慶PLの政府間合意

2003年1月：小泉訪露「日露行動計画」2003年1月：小泉訪露「日露行動計画」

同年5月：ロ政府「大慶支線＋太平洋PL」

2004年2月：バイカル湖北側ルートへ変更

2006年4月：北方ルートへ変更し工事開始2006年4月：北方ル トへ変更し工事開始

2008年10月：Talakanまで完成、逆走利用

2009年10月：全区間完成、10/26充填完了3

ナホトカのコズミノ石油輸出タ ミナルナホトカのコズミノ石油輸出ターミナル 2

ズミノからのESPO原油の出荷状況3

No

コズミノからのESPO原油の出荷状況3

No. タンカー 出荷日 販売石油会社 販売先 価格$/bbl 行先

1 MoscowUniversity 12月29日 Rosneft IPP Oy (フィ

ンランド)Dubai+0.5 香港

2 Libya 1月4日 TNK-BP Trafigura(スイス) +0 5 麗水(韓国)2 Libya 1月4日 TNK BP Trafigura(スイス) +0.5 麗水(韓国)3 Ashada 1月5日 Surgutneftegaz Gunvor 麗水

4 PacificEnergy 1月10日 Rosneft － 香港

5 Moscow1月11日 Rosneft －5 University 1月11日 Rosneft －

10 Esteem 1月31日 Gazprom Neft Petro Diamond GS Caltex

11 2月6日 TNK-BP BP

2月9日 Rosneft Petro Diamond -1 302月9日 Rosneft Petro Diamond 1.30

2月13日 Rosneft Crudex -1.25 BungaKelana 4 2月16日 Rosneft Vitol 0.02 Kapolai,HawaiiT

esoro2月19日 Rosneft Petronas 0.20 月 9日2月22日 Rosneft Crudex 0.25

2月27-28日 GazpromNeft ExxonMobil 東燃ゼネラル

3月2日 Rosneft Crudex 0.29

東シベリア・太平洋（ESPO）パイプラインの始動 4東シベリア 太平洋（ESPO）パイプラインの始動

2009年12月28日からナホトカ南東部のコズミノ・ターミナ

4

ルから10万トン級タンカーによる原油輸出を開始。

輸出先は韓国、日本、ハワイの製油所および、韓国麗水原油貯蔵基地の原油貯蔵基地。

2010年の輸出量見込みは、1,200万トン（日量24万bbl）、2011年からは1 500万トン（日量30万bbl）2011年からは1,500万トン（日量30万bbl）

供給原油は、東シベリアのVankor油田（能力24万bbl/日）Verkhnechon油田(5万bbl/日) Talakan油田（8万bbl/日）、Verkhnechon油田(5万bbl/日)、Talakan油田（8万bbl/日）

の３油田、これに西シベリアからの原油が「応援」。

油種は「ESPO原油」という新規のブランドとして認定 中油種は「ESPO原油」という新規のブランドとして認定。中質・低硫黄という特徴からDubai原油に比べプレミアム。

原油輸出税・原油抽出税が免除され、開発インセンティ原油輸出税 原油抽出税が免除され、開発インセンティブあり。

ESPO原油と主な輸出との性状比較5ESPO原油と主な輸出との性状比較5

油 種 API比重 硫黄分(%) 価格(12月)( 月)

ESPO 35.0 0.60 $76.0Dubai 31 0 2 04 $75 5Dubai 31.0 2.04 $75.5Brent 37.5 0.46 $74.74U l (バルト海) 31 8 1 40 $73 57Urals(バルト海) 31.8 1.40 $73.57Minas 35.0 0.08Sokol (ｻﾊﾘﾝ-1) 37.9 0.23Vityaz (ｻﾊﾘﾝ-2) 38.0 0.18Vityaz (ｻﾊﾘﾝ 2) 38.0 0.18

ESPO原油の第１四半期出荷計画 6

第1四半期出荷計画 (万t) 供給油田

ESPO原油の第１四半期出荷計画 6

第1四半期出荷計画 (万t) 供給油田

Rosneft 180Vankor

Rosneft 180Verkhnechon

S t ft 60 T l kSurgutneft 60 TalakanTNK-BP 50 Verkhnechon5 VerkhnechonGazprom Neft 10 （トムスク）Bashneft 10 (西シベリア)

合 計 310合 計 310

7石油抽出税の免税措置石油抽出税の免税措置 （東シベリア）（東シベリア） 7石油抽出税の免税措置石油抽出税の免税措置 （東シベリア）（東シベリア）

厳しい自然環境下にあり、インフラが未整備な東シベリア地域における新規油田開発の促進に向けて導入ける新規油田開発の促進に向けて導入

対象地域

東シベリア【サハ共和国（ヤクーチア）、イルクーツク州、クラスノヤルスク地方】内に全域または一部が位置する新規油田

開始時期2007年1月１日～

適用期間 （いずれかの早い時期）石油累積生産量が2 500万ｔに達するまで石油累積生産量が2,500万ｔに達するまで生産ライセンス付与から10年、探鉱・生産ライセンス付与から15年

※2007年1月1日以前にライセンスが付与されている鉱床で 埋蔵※2007年1月1日以前にライセンスが付与されている鉱床で、埋蔵量産出量5％以下の鉱床は、2007年1月1日から10年以内の適用あり

8石油輸出税の免税措置①石油輸出税の免税措置① 8石油輸出税の免税措置①石油輸出税の免税措置①2009年7月16日付けの政令（＃574）により、ロシアの石油輸出

関税法の改正が決定され Putin首相がこれに署名関税法の改正が決定され、Putin首相がこれに署名。

新たな関税（商品）コード：TN VED 2709 00 900 1新たな関税（商品） ド20℃で、原油比重：694.7～872.4kg/㎥（API比重：71°～31°）かつ 硫黄含有率 0 1 1 0％かつ、硫黄含有率：0.1～1.0％

対象油田東シベリアにある13鉱床 ≪次ページ参照≫東シ リアにある13鉱床 ≪次ペ ジ参照≫

適用期間9ヶ月間【実際には油価の状況を見ながら、通常の石油輸出税と同様に1 月毎の見直しとされた】税と同様に1ヶ月毎の見直しとされた】

↓

2009年12月1日より施行（11/26付け政令＃ 954 ）

9東シベリアにおける東シベリアにおける

9

石油輸出税の免税対象鉱床石油輸出税の免税対象鉱床

鉱床名 開発者戦略鉱床 所在地鉱床名 開発者 鉱床 所在地

1 Vankor油田 Rosneft ● クラスノヤルスク地方

2 Talakanskoye油田 Surgutneftegas ● サハ共和国（ヤクーチア）

3 Alinskoye油田 Surgutneftegas サハ共和国（ヤクーチア）

4 Verkhnechonskoye油田 TNK-BP＆ Rosneft ● イルクーツク州

5 北Talakanskoye Surgutneftegas サハ共和国（ヤクーチア）5 北Talakanskoye Surgutneftegas サハ共和国（ヤク チア）

6 東Alinskoye Surgutneftegas サハ共和国（ヤクーチア）

7 Pilyudinskoye Surgutneftegas イルクーツク州

8 Stanakhskoye Surgutneftegas サハ共和国（ヤクーチア）

9 Verkhnepeleduyskoye Surgutneftegas ● サハ共和国（ヤクーチア）

Yurubcheno-10

YurubchenoTokhomskoye Rosneft ● クラスノヤルスク地方

11 Kuyumbinskoye Slavneft ● クラスノヤルスク地方

12 Dulisminskoye Urals Energy ● イルク ツク州12 Dulisminskoye Urals Energy ● イルクーツク州

13 Sredne-BotuobinskoyeTaas-Yuryakh Neftegasdobycha ● サハ共和国（ヤクーチア）

10石油輸出税の免税措置②石油輸出税の免税措置② 10石油輸出税の免税措置②石油輸出税の免税措置②導入の流れ●2009年12月19日 関税同盟の統 関税変更に併せ 2010年1月19日より●2009年12月19日：関税同盟の統一関税変更に併せ、2010年1月19日より

新たな関税コード「 TN VED 2709 00 900 2 」の適用が決定される●2010年1月28日付けの政令（＃32）により、2010年2月1日より適用される

石油輸出税が定められ この中で新たな関税コード「 TN VED 2709 00石油輸出税が定められ、この中で新たな関税コード「 TN VED 2709 00 900 2 」の「ゼロ」関税が認められた

●財務省は反発

新たな関税コード：TN VED 2709 00 900 220℃で、原油比重：694.7～887.6kg/㎥（API比重：71°～28°）

硫黄含有率かつ、硫黄含有率：0.04～1.5％対象油田

東シベリアにある22鉱床 ≪次ページ参照≫東シベリアにある22鉱床 ≪次ペ ジ参照≫

適用期間1ヶ月毎の見直し（当面３月まで免税）

11東シベリアにおける東シベリアにおける

11

石油輸出税の免税対象鉱床（追加石油輸出税の免税対象鉱床（追加99鉱床）鉱床）

戦略鉱床名 開発者

戦略鉱床 所在地

14 Yaraktinskoye INK イルクーツク州

15 Danilovskoye INK イルクーツク州15 Danilovskoye INK イルクーツク州

16 Markovskoye INK イルクーツク州

17 Zapadno-Ayanskoye INK イルクーツク州

18 Tagulskoye TNK-BP ● クラスノヤルスク地方

19 Suzunskoye TNK-BP クラスノヤルスク地方

20 Yuzhno-Talakanskoye Surgutneftegaz サハ共和国（ヤクーチア）20 y g g サハ共和国（ヤク チア）

21 Vakunaiskoye GazpromNeft イルクーツク州

22 Chayandinskoye Gazprom ● サハ共和国（ヤクーチア）

12≪≪参考参考≫≫ロシアロシアににおける石油輸出税（おける石油輸出税（ /t/t）） 12≪≪参考参考≫≫ロシアロシアににおける石油輸出税（おける石油輸出税（ /t/t））

$500.00

$400.00

$

原油

白物製品

黒物製品

$300.00

黒物製品

＄37/bbl

$200.00

$0 00

$100.00

$0.00

2006/2/1

2006/4/1

2006/6/1

2006/8/1

2006/10/1

2006/12/1

2007/2/1

2007/4/1

2007/6/1

2007/8/1

2007/10/1

2007/12/1

2008/2/1

2008/4/1

2008/6/1

2008/8/1

2008/10/1

2008/12/1

2009/2/1

2009/4/1

2009/6/1

2009/8/1

2009/10/1

2009/12/1

2010/2/1

ESPOで２件の原油漏れ事故 13ESPOで２件の原油漏れ事故 13

Mogdinsky鉱区で新規油田の発見Mogdinsky鉱区で新規油田の発見14

大慶支線の動き大慶支線の動き2005年1月：Rosneftが中国から$60億融資、見返りに1,000万t/年×6年の原油輸出

2008年：輸出油価Brent-$3→Brent-$2 3252008年：輸出油価Brent-$3→Brent-$2.325

2008年10月：大慶支線建設で両首相合意

2009年4月：支線建設、CNPC向け原油輸出（1,500万t×20年）、Rosneftへの$150億出（1,500万t 20年）、Rosneft の$150億、Transneftへの$100億低利融資で合意。

4月 ロシア側工事開始 5月 中国側開始4月：ロシア側工事開始、5月：中国側開始

2010年11月15日：大慶支線稼働開始年 月 大慶支線稼働開始

2011年：CNPC向け1,500万t原油輸出開始 17

ESPOパイプラインに関する評価 15ESPOパイプラインに関する評価

トランスネフチ：コズミノまでの輸送の実現

15

トランスネフチ：コズミノまでの輸送の実現により、Dubai原油に匹敵する原油になる

国際エネルギ 機関（IEA） 欧州もロシ国際エネルギー機関（IEA）：欧州もロシア原油を巡ってアジアと競争に

Lawrence Eagles(JP Morgan Chase ):ロシアは西と東の両市場に原油供給ができるは西と東の両市場に原油供給ができる

ESPOパイプラインの建設コストはロシア西部 倍 パイプ イ 操業 損失補填部の3-4倍。パイプライン操業の損失補填

が必要で、ロシアにとって戦略的に有益なプロジェクトでないとの懸念が一部あり。

北東アジアへの新しいソ ス 16北東アジアへの新しいソースSakhalin-2

16

– 石油: 1999年生産開始, 3万bbl/d →（2008年）10万bbl/d

– LNG: 2009年3月生産開始 960万 t/年LNG: 2009年3月生産開始, 960万 t/年

Sakhalin-1– 石油: 2006年10月輸出開始, 平均生産量 20万bbl/d石油: 2006年10月輸出開始, 平均生産量 20万bbl/d– ガス: 当面随伴ガスのみ。約20億m3/年

ESPO (東シベリア-太平洋East Siberia-Pacific Ocean)– 稼働開始: 2009年12月28日

輸出量 第１期30万bbl/d 第２期 100万bbl/d– 輸出量：第１期30万bbl/d, 第２期 100万bbl/d

北東アジア・エネルギー安全保障への寄与– 約３日で供給（中東は20日） チョークポイントなし– 約３日で供給（中東は20日）、チョークポイントなし– ロシア原油は日本の製油所で歓迎

日本の原油輸入とロシア 17日本の原油輸入とロシア 17