廃止措置における核種分析 - robot.t.u-tokyo.ac.jp · ge半導体検出器ではエ...
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廃止措置における核種分析
東京大学
高橋浩之
廃止措置に向けた課題
• プラントの安定状態維持・継続
• 発電所全体の放射線量低減・汚染拡大防止
⇒ 遠隔操作技術
• 使用済燃料プールからの燃料取り出し
• 燃料デブリ取り出し
⇒ 核種分析技術、遠隔操作技術
• 原子炉施設の解体、放射性廃棄物処理・処分核種分析技術
放射線計測によるデブリ分析(東大・九州大・富山高専)オフサイト高感度分析(東大・京都大)
燃料デブリ:不規則形状、高硬度、多成分、多孔質(ペレット燃料と鋼材が溶融)模擬材料 :セラミックスと炭素鋼材より作成
レーザー照射による燃料デブリ(模擬材料)の切断・破砕
ガレキ、伐採木等の性状把握
JAEAにおいて行われている研究
放射性廃棄物分析法
SR Disk
:固相抽出剤
β・X線計測
β線スペクトロメトリ 質量分析(ICP-MS)
α線スペクトロメトリ質量分析
(レ-ザ-共鳴電離)
質量分析(AMS)(ICP-MS)
γ線計測(多重γ線測定)
129l
分離精製
分離精製
UTEVATRU・TEVA
232Th238U
237Np
244Cm
41Ca
分離精製
14C36Cl
3H 79Se 90Sr99Tc Ni
Sr Disk
Tc Disk Ni Resin
アルカリ溶融加熱
マイクロ波加熱分解
酸浸漬加熱蒸留
・金 属 ・溶融固化体・濃縮廃液(スラッジ)
・セメント固化体・焼却灰
59,63
Pu238,239
240,242Am
241,242m243
152,154Eu,166mHo
94Nb,108mAg,133Ba60Co,137Cs
ろ過・再分解
マイクロ波加熱分解法
α・β核種の分離
放射線計測(β線測定)
原子力機構で構築された簡易・迅速な分析法
原子力機構研究報告書「JAEA-Technology 2009-051」
多機能計測プローブ
• Bluetooth WIFI
• in-door localisation
• 2.4 GHz
• visual navigation
• Robot ( Salamanda ) swimming pool
遠隔機器との組み合わせ
使用済み核燃料のCT
耐放射線性に優れた検出器
SiC検出器
• SiC 密度 3.26 抵抗率 8.2 x 10^9 Ω cm
• Wide bandgap/ 高い熱伝導率/損傷に強い
• B-10 を打ち込んだ中性子検出器が作られている(50 keV 10^15/cm2)熱中性子ピーク検出効率: ~17% 0.78mm2
• 高温(500度) での動作が可能?
本研究で設定する課題
• オンサイト・オフサイト分析システム
• 高線量で狭隘・複雑な極限環境で調査・作業箇所にアクセスし、必要な調査・作業を遠隔操作によって実施するための技術を開発する。
• オンサイト分析は、ガンマ線CT等を基盤として、遠隔操作との総合的システム化
• オフサイト分析は、遠隔操作により微量サンプリングされた極微量試料を高精度で分析するシステム(ハヤブサ的分析)
核種分析オフサイト分析
遠隔機器探査
核種分析ガンマ線CT
位置特定
遠隔機器サンプリング
サンプリング・分析手法検討オフサイト分析
部位決定
・ 廃止措置に関する他の技術開発への波及効果も期待
放射線計測によるデブリ分析の検討
• 2光子同時計数型ガンマ線CT(オンサイトにおけるデブリ位置特定)60Coのように、2光子をほぼ同時に放
出する核種をコリメータ付きの検出器により測定することで位置を同定
東京大学
•有機放射線線量計(オンサイトにおけるデブリ位置特定)
有機半導体による印刷可能な柔らかい放射線線量計によりオンサイト放射線分布測定
富山高専
• TES型マイクロカロリメータ超高エネルギー分解能のTES型マイクロカロリメータによりPuと241AmのLX線を分解することで、Puのオフサイト定量分析
九州大学
60Co
2509
1332
0
1st Gamma
2nd Gamma
‐
0.9ps
Collimators
Gamma‐ray Detectors
• 核燃料物質Puなどの超ウラン元素からはα線とともに微量のLX線が放出
• 現在はα線や質量分析法で測定、試料の分離・化学処理が必要
• LX線は対象物質の外部から分析可能。Ge半導体検出器ではエネルギー分解能が不足、241AmからのLX線との識別が不可能
• 高分解能検出器であるTES型マイクロカロリメータを用いて、Puなどの超ウラン元素を分離定量
•有機半導体を用いた柔らかい放射線線量計
•任意の面上に放射線線量計を印刷成型
•本技術は廃止措置で求められる放射線分布の計測に有効に用いることができる。
有機半導体を用いた放射線センサ 柔らかい放射線線量計は任意の形状にすることができ、分布計測に適する。
2光子同時計数型ガンマ線CT(Emission CT)• PETでは消滅ガンマ線を用いてコインシデンスを用いた高いSN比でのイメージング
• 他にも2光子をほぼ同時に放出するような核種を用いることで、バックグラウンド存在下で、選択比の高い計測が実現できると考えられる。
• 対象核種としては、2光子を放出するものであり、廃棄物処分で代表的な核種としてはCo‐60があげられる。他の核種については、Co‐60をKey 核種として推定することが可能であるが、高エネルギーのガンマ線核種では対生成により生じた陽電子の消滅ガンマ線が生成するため、対向する検出器からはこの情報が得られるほか、Cs‐134など2光子を放出する核種ものもあるので、2光子放出に絞ったガンマ線CTを行うことで、廃棄物の内部情報を詳細に得ることが可能である。
Single Photon Emission CT (SPECT)Double Photon Emission CT (DPECT)
Collimators
Gamma‐ray Detectors
X‐Y直交型コリメータを用いるので検出効率は低いが再構成は容易である。
高エネルギー用積層型シリコン検出器
ガンマ線
散乱線
透過γ線は検出器に直接入射
5cm
奥行きを5cmとして検出効率を高くとる(従来の検出器は250μm)各チャンネルはパルス読み出しで散乱線を落とす
新しい信号処理方式を用いたパルス読み出し方式により、低エネルギー散乱線の影響を低減 時間ベースのASICを投入
コリメータ
専用集積回路ASIC
検出器
検出器システムsubstrate(1.5 mm )+Si Strip検出器(0.5 mm )+タングステン板(0.5 mm)1モジュール: 20 層+ 50枚タングステンコリメータ
ToT ASICボードENC: 510 electronsRise time: 12ns閾値: DACによる制御
時間幅読出しASICを用いた試験セットアップと全体構成
Risetime:100~150 ns.ToT signal width: 100~500 ns
-0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4-0.02
0
0.02
0.04
0.06
Pre
amp
(mV
)
time width (s)-0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4
-1
0
1
2
3
4
ToT
(V
)
-0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4-0.02
0
0.02
0.04
0.06
0.08
Pre
amp
(mV
)
time width (s)-0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4
-1
0
1
2
3
4
ToT
(V
)
-0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4
0
0.05
0.1
Pre
amp
(mV
)
time width (s)-0.5 -0.4 -0.3 -0.2 -0.1 0 0.1 0.2 0.3 0.4
-2
0
2
4
ToT
(V
)
検出器とASICの接続試験
• Cs‐137 source, Time=500 s
• Sr‐90 source, Time=200 s
Threshold ~ 300 keV.
0 1002000
000
000
000
0 1002000
2000
4000
6000
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2000
4000
6000
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4000
6000
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4000
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2000
4000
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3000
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15000
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1000
20000 100200
0
500
000
500
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500
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1500
0 1002000
1000
2000
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500
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15000 100200
0
500
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500
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500
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0
1
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1000
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0
1
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200
300
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500
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1500
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0
1
0 100200-1
0
1
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1000
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0
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1
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3000
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2000
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1000
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3000
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0
1
0 100200-1
0
1
0 1002000
500
1000
1500
0 1002000
1000
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2000
4000
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500
1000
0 100 2000
1
2
3x 10
4
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500
1000
1500
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0 100 2000
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1000
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1500
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3000
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1000
2000
3000
0 100 2000
2000
40000 100 200
0
2000
4000
0 100 2000
2000
4000
0 100 2000
2000
4000
0 100 2000
2000
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0 100 2000
1000
2000
3000
0 100 2000
2000
4000
0 100 2000
1000
2000
3000
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1000
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3000
0 100 2000
2000
4000
6000
0 100 2000
2000
4000
0 100 2000
2000
40000 100 200
0
2000
4000
0 100 2000
2000
4000
0 100 2000
1000
2000
3000
0 100 2000
2000
4000
0 100 2000
1000
2000
3000
0 100 2000
1000
2000
3000
0 100 2000
500
1000
1500
0 100 200-1
0
1
0 100 200-1
0
1
0 100 2000
1000
2000
0 100 2000
500
1000
0 100 2000
500
10000 100 200
-1
0
1
0 100 2000
200
400
600
0 100 200-1
0
1
0 100 2000
200
400
600
0 100 2000
500
1000
0 100 2000
500
1000
0 100 200-1
0
1
0 100 200-1
0
1
0 100 2000
500
1000
0 100 2000
1000
2000
3000
0 100 2000
500
1000
0 100 2000
500
100048 本のストリップに接続
検出器とASICの接続試験
ガンマ線源を用いたイメージング
Cs‐137線源を用いたタングステンのイメージング
Detector 1
channel No
Ste
p N
o
5 10 15 20 25 30 35 40 45
2468
0.1
0.2
Detector 2
Channel No
Ste
p N
o
5 10 15 20 25 30 35 40 45
2468
0.05
0.1
0.15
Co‐60線源を用いたイメージング
Detector 1
Channel No.
Ste
p N
o.
5 10 15 20 25 30 35 40 45
2468
1012
0.050.1
0.15
0.2
0.25
Detector 2
Channel No.
Ste
p N
o.
5 10 15 20 25 30 35 40 45
2468
1012
0.05
0.1
0.15
0.2
1.33MeV
ComptonGamma‐ray Detectors
60Co
2509
1332
0
1st Gamma
2nd Gamma
‐
0.9ps
1.17MeV
Collimator‐less Double‐Photon Gamma‐ray ECT
Compton eventを介して入射角情報の得られる検出器
ComptonGamma‐ray Detectors
線源の推定位置
64ch高集積ASIC
1chのschematic
1chのレイアウト
シミュレーション波形(2fC入力)
CSA(プリアンプ)テレスコピック型カスコード回路
コンパレータ回路Rail-to-Railの入力で動作可
64ch ASICのレイアウト
TSMC 0.25 umCMOS
Cs‐137線源とCdTe検出器によるエネルギースペクトル
遠隔装置によるガンマ線CTの検討
• 複数の遠隔装置の協調作業
• ガンマ線CT
の融合により、3次元的に線源位置の推定が可能
1.33MeV
ComptonGamma‐ray Detectors
1.17MeV
Compton eventを介して入射角情報の得られる検出器と遠隔装置の融合
線源の推定位置 ComptonGamma‐ray Detectors
複数ロボットの協調作業
(オンサイト分析システム例)
原子計数法によるオフサイト高感度分析
• 加速器質量分析法負イオン生成および高エネルギー加速による原子分子反応を利用した質量分析
東京大学
• レーザー分析高エネルギー分解能レーザーによる電子遷移を利用した元素・同位体レベルでの分光分析
京都大学
0%
5%
10%
15%
20%
25%
13060% 13080% 13100% 13120% 13140% 13160% 13180% 13200%
Analyzing%Magnet%Field%[G]
Arbitrary%Unit
235 236 238
• 誘導結合プラズマ質量分析さまざまな元素に対して同時に複数同位体を測定可能な汎用的質量分析
遠隔操作での微量試料採取の検討
• 遠隔操作による微量サンプリング技術
• 試料前処理の簡便化
• 高感度分析
の融合によりオフサイト分析での被ばくおよび取扱放射性物質の低減
微量サンプリング技術
前処理の最小化 高感度分析
各種プローブつき遠隔装置
オフサイト分析での被ばく低減化に必要な技術
(オフサイト分析システム例)
JAEAモックアップ試験施設の利用
試験棟
遠隔操作機器実証試験エリア
<概要規模>試験棟 :幅60m×奥行80m×高さ40m研究管理棟:幅35m×奥行25m×高さ20m
試験棟内の配置例
研究管理棟
① 現実環境に近い状況での問題摘出および把握② 総合工学としての俯瞰的視野の育成③ モックアップを利用した現場実践プログラム
まとめ
廃止措置における課題と本研究において開発しようとする核種分析の概要について紹介した。
• オンサイト分析
• オフサイト分析
高放射線場における遠隔操作と分析技術の融合をめざしたい。