元国税が税理士に よく聞かれる 憂希也kachiel.jp/mail/7questions.pdf · 2018. 10....
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久保
憂希也
元国税が税理士に
よく聞かれる
つの質問
7
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~はじめに~
税理士の皆さんは、元国税と話す機会があれば何を質問しますか?
私は元国税調査官の久保憂希也といいます。私が経営する株式会社 InspireConsultingは
税理士事務所・会計事務所の皆様に、年間30回以上のセミナーでの情報提供、また税務
調査対策コンサルティングのサービス提供をしています。弊社の提供内容のほとんどは、
国税側から考えた税務調査の対応方法。いかに税務調査でモメないか、またモメてしまった
税務調査をどう解決するかというものです。
このような仕事をしていますと、税理士さんからよく質問を受けるんです。このレポート
はそんな皆さんから受ける質問のうち、特に税理士として知っておくべき重要な
質問だけ7つをピックアップし、このレポートのためだけに書き下ろしたものです。
ここに書いてある内容は本来、弊社の税務調査対策コンサルティングの会員様、もしくは
弊社主催のセミナーを受講していただいた方のみが知ることができる情報です。では、なぜ
今回「無料」という形で皆さんに公開したのか?それには2つの理由があります。
1つ目の理由は、仕事上税理士の皆さんに会えば会うほど、そのほとんどの方が税務調査
に対するノウハウを「持っていない」という現実を知ったことです。実は、この現実を国税
時代から少しは気になっていました。セミナー後に私のところに相談に来られる方、弊社の
コンサルティングサービスにお申し込みくださった方、仲の良い税理士さんと飲みに行って
話す内容は・・・「やっぱり税理士って国税側の本当のところを知らないんだ。じゃあ私が
情報発信することで、ただ知らないだけで損をする人が減るんだな。」これが
私の本音なのです。
2つ目の理由は、今後、税務調査等で国税との対応でもめる案件が増えてくると予想して
いるからです。会社法の制定による法人の急増、また個人においても多くの人が副業をする
ようになりました。税務調査の対象件数は急増しています。そこに国際取引・ネット取引が
絡み、税法が予定しておらず、かつ裁判・裁決事例がないような事案が数多く出てくること
は当然の流れかと考えています。つまり法律もなく前例がない部分で、国税に対応しなけれ
ばならない。このような時代を迎えるにあたって、武器=知識=ノウハウを持たない税理士
が生き残れるとは到底思えないのです。
さあ、税理士の皆さん!このレポートを熟読していただき、国税に対する正しい武器を
手に入れてください!
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=目次=
(1) 「税務調査は断れますか?」
(2) 「資料を現物・コピー・データで持ち帰りたい
と言われたのですが」
(3) 「反面調査は断れますか?」
(4) 「銀行調査はどこまで?」
(5) 「パソコンを見せてくださいと言われたのですが」
(6) 「是認通知書はもらえますか?」
(7) 「調査官にノルマはあるんですか?」
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(1) 「税務調査は断れますか?」
ご存知の通り、税務調査には受忍義務があります。
税務調査を行う権利は所得税法第 234条、法人税法第 153条で定められています。
納税者は、税務調査に応じる義務(通称税務調査の受忍義務)が課せられているのです。
しかし受忍義務が無条件・無制限で認められるわけではありません。法律上明確な記載は
ありませんが、通常の税務調査はあくまでも任意調査であり、強制調査ではありませんから、
この点を踏まえて考えると受忍義務には条件・制限があって当然です。
受忍義務がある以上、「正当な理由」なしに税務調査を断ることはできません。
では、「正当な理由」とは何でしょうか?法律に明記がない以上推測の域を出ませんし、
税務署もしくは調査官の判断によって変わってくる可能性がありますが、私は下記のような
場合は税務調査を断ることができる(税務調査自体の拒否ではなく実質的な延期)と考えて
います。特に無予告調査の場合は注意してください。
① 社長・事業主が不在の場合
② 営業上重要な約束がある場合
③ 営業に支障をきたすような場合
④ 関係者が体調不良の場合
【実例】
① 社長・事業主が不在の場合
ある法人(同族会社・営業代行サービス業)に、管轄税務署の調査官6名が無予告調査で
入りました。弊社のクライアント様であったため、すぐに私の方に連絡がありました。
その法人の事情を聞くと、当日と翌日は社長が出張のため不在とのこと。現金商売でも
ありませんのでそもそも無予告調査の必要性もありませんし、社長が不在ということで、
別日程で税務調査を仕切り直してもらうようアドバイスしました。その後も調査官は、
長時間粘り続けたそうですが、最終的にその日はお引き取りいただき、後日決めた日程で
対応していただきました。
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② 営業上重要な約束がある場合
ある個人事業主(飲食業で3店舗経営)に、ある日の午前中無予告調査が入りました。
そのタイミングでは事業主がいらっしゃったのですが、午後から仕入先と重要な商談が
控えていて、税務調査の対応はできないとのこと。当初、事業主、その後駆けつけた顧問
税理士が調査官に事情を説明したのですが、調査官が納得してくれないため顧問税理士
から弊社に連絡がありました。私の方から「税務調査に対応するために、午後の商談が
できず、事業が損害を被ることになれば逸失利益を国に請求します」と言うようにアドバ
イス。別日程を約束して調査官は早々に引き下がったそうです。
③ 営業に支障をきたすような場合
ある個人事業主(飲食業で1店舗経営)に無予告調査が入りました。仕込みをしていた
事業主が調査官に対応、その後顧問税理士が到着し、税務調査がスタート。現金監査から
始まったこの税務調査、昼前の営業が始まる時間になっても調査官は引き下がる様子もな
く・・・見かねた顧問税理士が「営業がもう始まります。14時から 17時までの間は店を
いったん閉めますのでその時にまた再開してください」と調査官に言ったところ、
調査官は「営業の邪魔はしませんのでこのまま続けさせてください」と答えました。飲食
店のテーブルで、スーツを着た人間がご飯も食べず帳簿をめくっている、その行為自体が
営業に支障をきたしているのです!実際この日、調査官は営業時間中も構わず税務調査を
続けたそうで、事実上の営業妨害です。この案件はある税理士から調査終了後に、正しい
対応方法を相談受けたのですがヒドい案件です。このような場合は迷わず営業時間外を
指定してください。②と同じく「逸失利益の請求」を盾に取るべきです。
④ 関係者が体調不良
私が調査官時代、ある法人(同族会社・建築業)に税務調査した時の話。当初スムーズに
進んでいた調査が全く進まなくなったのです。経理を担当しているのが社長の奥様(役員)
だったのですが、体調を崩して入院したのです。調査で訪問したいのに、税理士に電話
しても「奥様がいないと対応できない」と申し訳なさそうに言われる始末。後日聞いた話
ですが、奥様は妊娠中で体調不良だったそうです。税務調査を続けることで納税者の負担
になり、体調不良が悪化されても調査官も困ります。私もいったんは「奥様の体調が戻っ
てから税務調査を再開する」と言い張っていたのですが、統括官と相談した結果、「妊娠
期間はまだあるし出産してもすぐに対応できないだろう」との判断で調査を打ち切りにし
ました。
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(2) 「資料を現物・コピー・データで持ち帰りたい
と言われたのですが」
本来、税務調査は会社や事業所で、かつ事業に関する帳票類が存在する場所で行われるも
のです。調査がその場で終わればいいのですが、確認する資料が多すぎて長引く場合、また
反面調査や資料せん収集したい場合、調査官が「資料を税務署に持ち帰らせて欲しい」と
言うケースがあります。
納税者からすると会社にずっといられても困りますので、資料の現物を税務署に持って
いただいても構わないという対応をしたい気持ちはわかります。しかしその場合、資料が
紛失された場合のリスクは全て納税者側にあります。そう調査官に伝えると、「預り証
(借用書)を発行するので大丈夫です」と答えるのですが、領収書の1枚1枚を預り証
(借用書)に記載するわけではありませんので、紛失されても実際には気付かない、もしく
は紛失したのか当初から存在しなかったのかわからない場合がほとんどです。
資料の現物自体を渡すのは、リスクばかりなので拒否すべきです。
また資料をコピーして持ち帰るのは拒否する必要はありませんが、下記はきちんと
伝えてください。
① コピーは調査官が行うこと(コピーする労力を負担する必要はありません)
② 納税者側のコピー機を使用する場合はコピー費用を負担してもらうこと
(通常は1枚10円)
きちんとした調査官であれば、後日持ち運び可能な簡易コピー機を調査先に持ち込み、
コピーを行うことが通例です。
またデータ(会計ソフトから打ち出した Excelファイルや帳票類の生データ)をUSB等
で持ち帰りたいという要請もあるかと思いますが、データは返却がないため、そのまま税務
署に残り、その後何に使用されるかわかったものではありません(データ消去の証明書を
発行してくれるというのであれば話は別ですが)。
データの引き渡しは断った方が無難でしょう。
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(3) 「反面調査は断れますか?」
反面調査は、取引先などの信用を失いかねない行為となることに注意が必要です。
私自身も調査官時代は、調査先に資料をきちんと提示していただいても、言っている事に
信憑性がないだけで反面調査を行っていましたが、今から考えると恐ろしい行為です。
調査先の今後の事業に対する影響など何にも考えていないのですから・・・
税理士としては、納税者の事業における信用に影響しないよう、できる限り調査官が反面
調査を行わないよう主張すべきです(逆に言うと、反面調査をされて困らない範囲は、あえ
て許容した方が調査官の心証が良いことは間違いありません)。
国税庁が昭和51年4月に発表している「税務運営方針」には、税務調査(反面調査を
含む)に関して下記のように記述があります。
税務調査は、その公益的必要性と納税者の私的利益の保護との比較衡量において社会
通念上相当と認められる範囲内で、納税者の理解と協力を得て行うものであることに
照らし、一般の調査においては、事前通知の励行に努め、また、現況調査は必要最低限に
とどめ、反面調査は客観的にみてやむを得ないと認められる場合に限って行うこととする
では、「反面調査は客観的にみてやむを得ないと認められる場合」とは、どのような場合
なのでしょうか?私が判例等から総合的に考えるには、次の要件が必要です。
資料紛失などで納税者本人の調査だけでは内容がわからない、また納税者が他の手段で
事実証明ができない場合
ただしこの要件を満たしたからといって、無条件に反面調査が行われていいものかという
とそうではありません。反面調査は会社の信用にかかわる行為です。下記2点をも満たして
初めて反面調査が行われるべきだと認識すべきです。
・納税者の同意を得ること
・問題となっている必要範囲内に限ること
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納税者・税理士が知らないところで反面調査が行われることが現実的にはよくありますが、
これは不当な反面調査であり、もしこのようなことが起こった場合は、即時に税務署に反面
調査の不当性を訴える必要があります。再び事が起こってからでは遅すぎます。反面調査が
行われそうな雰囲気がありましたら、ぜひ調査官に「同意がない場合の反面調査は、許しま
せん」と釘をさすことをお勧めします。
皆さんは、反面調査の要件として「問題となっている範囲に限る」と言うと、「そんな
こと当り前だろう」と思われるかもしれませんが、調査官の認識は違います。
反面調査において調査官は、取引開始の経緯や、取引金額の大きさ、
また個人的な付き合いまで事情聴取しようとします。
これは、帳簿外のことから不正の端緒を見つけるという調査官の癖でもあります。
反面調査に同意をしても、その調査範囲内に限ることを事前に確認する必要があります。
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(4) 「銀行調査はどこまで?」
税務調査で最も大事な調査対象は現金です。法人の帳簿上正常に見える取引でも、裏では
役員が取引先からバックリベートなどを個人的に受け取っていることがよくあるからです。
また法人・個人事業主の中には、帳簿に載せていない銀行口座を持っていて、たまり(脱税
したため表には出せない金)を隠しているケースがあります。そこで調査官は銀行調査を
行う必要が生じるのです。
銀行は法律の規定から、預金情報等を10年分残しています。調査官が税務署長、または
国税局長が発行した「金融機関等の調査証」を銀行に持参すれば預金情報を調べるのは、
調査官にとっては通常業務となっています。
数年前まで銀行はマイクロフィルムで預金情報を残していたので、調査官はマイクロフィ
ルムに載っている預金情報であれば、調査対象者以外も調べることができました。
この行為は通称:『横目』と呼ばれ、「普遍調査(調査先を特定しない反面調査・銀行調査)」
も実務上は行われていました。
現在は調査先を特定しない銀行調査は難しくなっています。ここ数年で銀行は、預金情報
等を全てデジタルデータで残すようになっており、今は調査官が「金融機関等の調査証」を
銀行本店が管轄する「預金照会窓口」に郵送するだけになっています。つまり調査官自身が
銀行に行くわけではなく、書面での手続きとなっているのです。2~3週間で調査対象者の
預金情報(通帳に載っている全てのデータ)が紙で打ち出されて銀行から返送されてくる
ようになっています。
以前のように銀行に調査官が張り付いて調査するようなことは、現在はかなり減ってき
ていると言えます。
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(5) 「パソコンを見せてくださいと言われたのですが」
まずきちんと認識していただきたいのは、調査官の質問検査権は、「納税者の税務に関す
る調査について必要があるものについて限られており、税務以外のプライベートにかかわる
事に関して権利を有しているわけではない」ということです。
ここで国税側と納税者側に認識の相違が出てきます。調査官は上記の質問検査権の範囲は
理解しています。しかし現実的に税務調査とは、帳簿をパラパラとめくって否認項目を見つ
けるものではありません。決算書から読み解く数字と実際の生活水準に大きな乖離差が見ら
れる、つまり「この社長、あまり役員報酬もとってないし会社に利益も出ていないのに・・・
やけに羽振りがいいな」というアナログ的なことから不正の端緒を見つけたりするものです。
こう思っている調査官は、建前では質問検査権の範囲を理解していながらも、本音では
プライベートを知ることも税務調査の一環だと思っているのです。
では調査官に「パソコンを見せてください」と言われた時の正しい対応方法はどうなので
しょうか?もちろんパソコンを見られてマズいプライベートの情報が入っていない場合は、
ぜひパソコンを見せてください。ただある程度パソコンを私用で使っている場合の拒否の
やり方・・・それは「見たい項目を言ってください。それを画面に出しますのでそれを
お見せします」
経費で落としているからといって無条件でパソコンの内容を全て見ることに同意しなけ
ればならないわけではありません。プライベートで使っているので、使用割合で按分して
経費算入している場合(実際にはほとんどないとしても)はどうなのでしょうか?パソコン
は1台、でも用途は2つ(仕事とプライベート)。この場合でも調査官はパソコンの中身を
全て見ることができるでしょうか?このような場合、パソコンを全て見せるということは、
プライベートの部分も見られる可能性があるということです。
パソコンのみならず、「自宅にあがらせてください」など、プライベートにかかわる要請
があった場合、質問検査権の対象でないことを伝え、きちんと断るべきです。
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(6) 「是認通知書はもらえますか?」
国税庁は平成10年7月より、全国一律で税務調査の結果を書面通知することにし、この
流れで東京国税局は東京税理士会あてに「税務調査結果の通知について」と題する次の文書
を送っています。
国税庁では、納税者サービスを一層充実するため、平成10年7月(来事務年度)から、
税務調査を行って申告内容に全く非違が認められなかった場合に、次のとおり、書面に
よる申告が適正であった旨の通知を行うこととする予定である。
① 通知を行う事案は、調査の結果全く非違が認められない事案とする
② 通知は、納税者から要求があった場合に納税者本人に対し書面で行う
東京国税局から開示された書面(様式であってこれが公式文書そのままということでは
ありません)が下記になります。
[標準的な様式]
平成 年 月 日
住所
氏名
税務署長
調査結果についてのお知らせ
税務につきましては、日頃からご協力いただきましてありがとうございます。
( 年分 税の申告書)
さて,あなたの 税 事業年度 について
調査を実施いたしましたところ、現在までの調査の結果によると,問題とすべき事項はなく、適正な申告と
認められますので、お知らせします。なお,今後とも,適正な申告と納税にご協力をお願いいたします。
自 年 月 日
至 年 月 日
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是認通知書で注意が必要なのは、この通知はあくまでも「この税務調査が終了した時点
での申告是認」であって、その後の課税処分がないという保証ではないのです。
いくつかの裁判例を調べてみましたが、税務署長による「申告是認通知書」は公的な通知
ではありますが、「現在までの調査の結果によると」というものであって、税務署長による
絶対的な税額確定行為ではなく、変更可能な暫定的なものと言わざるを得ません。
全くもってお恥ずかしい話ですが、私は国税時代に是認通知書なるものを見たことがあり
ません。もちろん言葉は知っていましたが・・・つまり国税の実務的に浸透しているもので
はなく、「是認通知書を発行してください」と言ったところで、調査官も発行にかなり消極
的だというのが事実でしょう。
とはいえ、再調査があった場合に効力を発揮する可能性がある是認通知書。発行を受ける
ことで不利になることがないのですから、是認で終わった際には調査官に発行を依頼してみ
るのが、税理士として正しい行為だと言えます。
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(7) 「調査官にノルマはあるんですか?」
これは、税理士さんとお酒を飲みに行くと必ず聞かれる質問です。
ある初老の税理士が税務署を訪れた際に「壁一面に棒グラフで調査官の成績が張り出され
ていた」と言うのです。
しかし成績を貼り出している税務署を私は見たことがありません。まさか署長が「今月の
ノルマ60%しか達成してないぞ!すぐにいって取ってこい。ボヤボヤするな!」とでも調
査官にはっぱをかけているのでしょうか?いえいえ、そんなことはけっしてありません。
金額に対してのノルマは一切ありません。
しかし、何らかのノルマの設定がなければ調査官は怠けてしまいます。金額に対してのノ
ルマを設定しない替わりに件数のノルマを設定しているのです。
通常は、半期で15件から20件の調査件数が割り振られます。これは厳しく管理をされ
ていますので、未達成は許されません。しっかりと報告書も提出しなければなりません。
もちろん調査官の年数やキャリアによっても調査件数は変わってきますが、ほぼ平均すれば
1年間に30~40件の税務調査のノルマを課せられます。
年間に30~40件の調査を行う場合、1年間を52週と考えると年末年始、夏休みなど
の時期を除けば、ほぼ1週間に1件のペースで調査にあたらなければなりません。当然、
短期間で済む案件ばかりではありませんので、長期化が予想される案件は早いうちから調査
を始めないと後になるほど苦しくなります。1週間のうちに複数の調査案件を抱えることも
ありますので、けっして低いノルマではありません。
ノルマに追われた調査官は、家庭を犠牲にするケースも少なくありません。上司から電話
一本、呼び出しがあれば、何時であろうがどこにいようがすぐに駆けつけなければなりませ
ん。さすがに「自分の仕事は国税調査官です。」と友人にも話すこともできませんので、
誰もが人知れず悩みを抱えています。調査官も普通の人間ですから。
このように調査官は、金額に対するノルマはありませんが、調査件数に対して厳しい
ノルマを課せられています。
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~おわりに~
最後までお読みいただき誠にありがとうございました。読み終わっていかがでしたか?
全ての項目で「そんなことわかってるよ!」と言える方がほとんどいないことは知っていま
す。1つでも新たな武器を手に入れていただけたのであれば幸いです。
なおこのレポートには、裁判例などの引用はできる限り避けています。なぜなら皆さんが
知りたいのは元国税が公開するノウハウであって、調べればすぐに出てくる裁判例ではない
でしょう。そのため引用だけで字数がとられてしまう内容はあえて割愛しています。
またここに書いた内容は、私が元国税調査官として得たノウハウに、税務調査対策コンサ
ルティングをしている中で実務上得たノウハウをミックスさせて作ったものです。税務調査
対策コンサルティングをさせていただく以上、裁判・裁決事例をよく読むのですが、あくま
でも過去の事例から学べることを体系化したものであって、私の見解の正当性を保証する
ものではありません。その点は最後によくご留意いただきたいと思います。
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税務調査の交渉術をもっと知りたい方へ
この無料レポートは、セミナー等でお会いした税理士の皆様から頂きました
代表的なご質問に関して、回答をさせて頂いた内容です。
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