イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたipm生物資材の特性...3...

279
1 イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性 アリスタライフサイエンス株式会社 日本・アジア・ライフサイエンス事業本部 開発・登録部 山中 聡 1.害虫防除に利用される生物農薬 (1) ハダニ類防除 ミヤコカブリダニ製剤(商品名:スパイカル) ハダニ類の幼虫・若虫を好むが、♀のミヤコカブリダニ成虫は全ステージを捕食する Tetranychus 属(ナミ・カンザワハダニ)だけでなく、Panonychus 属(ミカンハダニ等)も捕食する。 チリカブリダニより飢餓耐性が高いすなわち、ハダニがいないときはアザミウマやカ ビ・樹液なども食べて生き延びるので圃場における定着性がよい。 作物名 適用害虫名 使用量 使用時期 野菜類 (施設栽培) 500mL/10a (約 2000 頭) 果樹類 ハダニ類 12~60mL/樹 (約 48~240 頭) 発生初期 チリカブリダニ製剤(商品名:スパイデックス) 体色は赤く、ナミハダニ、カンザワハダニを専門的に捕食するカブリダニ。ハダニの密 度の比較的高い場合に利用すると効果的である。 作物名 適用害虫名 使用量 使用時期 野菜類 果樹類 500-1500mL/10a (約 2000-6000 頭) いんげんまめ ばら シクラメン カーネーション ハダニ類 500mL/10a (約 2000 頭) 発生初期 (2) アブラムシ類防除 コレマンアブラバチ製剤(商品名:アフィパール) 40 種以上のアブラムシに寄生。ただし、大型のヒゲナガアブラムシ類に対する寄生効果 は低い。できるだけ発生初期の放飼が効果的で、アブラムシの発生前にバンカープラン トによる増殖を併用させる。 作物名 適用害虫名 使用量 使用時期 使用方法 野菜類 (施設栽培) アブラムシ類 2瓶 (約 1,000 頭)/10a 発生初期 放飼 ショクガタマバエ剤(商品名:アフィデント) アフィデント(ショクガタマバエ)は比較的高温を好み、20~27℃が最適な温度条件 であるため、施設内で優れた活動性を示します。処理のタイミングは、アブラムシ発生

Upload: others

Post on 10-Aug-2020

1 views

Category:

Documents


0 download

TRANSCRIPT

Page 1: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

1

イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性

アリスタライフサイエンス株式会社 日本・アジア・ライフサイエンス事業本部

開発・登録部 山中 聡

1.害虫防除に利用される生物農薬

(1) ハダニ類防除

① ミヤコカブリダニ製剤(商品名:スパイカル)

ハダニ類の幼虫・若虫を好むが、♀のミヤコカブリダニ成虫は全ステージを捕食する

Tetranychus 属(ナミ・カンザワハダニ)だけでなく、Panonychus 属(ミカンハダニ等)も捕食する。

チリカブリダニより飢餓耐性が高いすなわち、ハダニがいないときはアザミウマやカ

ビ・樹液なども食べて生き延びるので圃場における定着性がよい。

作物名 適用害虫名 使用量 使用時期

野菜類 (施設栽培)

500mL/10a (約 2000 頭)

果樹類

ハダニ類 12~60mL/樹 (約 48~240 頭)

発生初期

② チリカブリダニ製剤(商品名:スパイデックス)

体色は赤く、ナミハダニ、カンザワハダニを専門的に捕食するカブリダニ。ハダニの密

度の比較的高い場合に利用すると効果的である。

作物名 適用害虫名 使用量 使用時期

野菜類

果樹類

500-1500mL/10a (約 2000-6000 頭)

いんげんまめ

ばら

シクラメン

カーネーション

ハダニ類 500mL/10a (約 2000 頭)

発生初期

(2) アブラムシ類防除

① コレマンアブラバチ製剤(商品名:アフィパール)

40 種以上のアブラムシに寄生。ただし、大型のヒゲナガアブラムシ類に対する寄生効果

は低い。できるだけ発生初期の放飼が効果的で、アブラムシの発生前にバンカープラン

トによる増殖を併用させる。

作物名 適用害虫名 使用量 使用時期 使用方法

野菜類 (施設栽培)

アブラムシ類 2瓶

(約 1,000 頭)/10a

発生初期 放飼

② ショクガタマバエ剤(商品名:アフィデント)

アフィデント(ショクガタマバエ)は比較的高温を好み、20~27℃が最適な温度条件

であるため、施設内で優れた活動性を示します。処理のタイミングは、アブラムシ発生

Page 2: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

2

初期段階のコロニーが形成されつつある時期が望ましい。

作物名 適用害虫名 使用量 使用時期 使用方法

野菜類 (施設栽培)

アブラムシ類 2瓶

(約 2,000 頭)/10a

発生初期

放飼

(3) アザミウマ類防除

① ククメリスカブリダニ製剤(商品名:ククメリス)

体長 0.2~0.3mm、ベッコウ色のアザミウマ捕食性カブリダニ。アザミウマ類幼虫、ハ

ダニ卵、コナダニ等の施設で発生する微小害虫、花粉を摂食して予防的に導入するこ

とが可能。花が多い作物での定着が良い

作物名 適用害虫名 使用量 使用時期 使用方法

野菜類 (施設栽培)

シクラメン (施設栽培)

アザミウマ類

50~100 頭/株

ほうれんそう (施設栽培)

ケナガコナダニ 200~400g/10a

発生初期

放飼

② タイリクヒメハナカメムシ製剤(商品名:タイリク)

日本土着のアザミウマ捕食性ハナカメムシ。捕食対象アザミウマは、ミナミキイロ、ミ

カンキイロ、ヒラズハナなど。他にアブラムシ、ダニ類も捕食する。休眠が浅く、日長

10 時間の短日条件下でも 100%の産卵率を保つ。

最適温度は 16~35℃。発育零点は卵 11.4℃。雌幼虫 11.0℃、雄幼虫 10.4℃。飛翔能力

は高い。明るいと施設から飛び出して行くことがある。

作物名 適用害虫名 使用量 使用時期 使用方法

野菜類 (施設栽培)

アザミウマ類 500~2000ml/10a (約 500~2000 頭)

発生初期 放飼

③ ボーベリア・バッシアーナ製剤(商品名:ボタニガード ES)

昆虫寄生性糸状菌の胞子を有効成分とし、胞子懸濁液を散布することによりオンシツコ

ナジラミ、アザミウマなどが感染死亡する。実際には 80 種類以上の昆虫種に対して病

原性を有する。

作物名 適用害虫名 希釈倍数 使用量

使用時期 使用方法

野菜類 (施設栽培)

コナジラミ類

アザミウマ類

コナガ

500 倍

200~300L/10a

発生初期

散布

(4) コナジラミ類防除

① オンシツツヤコバチ製剤

オンシツコナジラミ、シルバーリーフコナジラミ、タバココナジラミに寄生する。最適

Page 3: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

3

温度は 25℃前後で、活動温度 15~30℃。湿度 75%。

作物名 適用害虫名 使用量 使用時期 使用方法

野菜類 (施設栽培)

ポインセチア (施設栽培)

コナジラミ類

25~30 株あたり 1カード

発生初期

放飼

(5) 鱗翅目害虫防除

① スタイナーネマ カーポカプサエ剤

マルチ内に分散したハスモンヨトウ老齢幼虫に対して灌水チューブ、或いは株元処理な

どで有効。

作物名 適用害虫名 使用量 使用時期 使用方法

イチゴ ハスモンヨトウ 2 億 5,000 万頭/10a

老齢幼虫発生初期

1㎡当り 0.5~2L 土壌灌注

2.病害防除に利用される生物農薬 (1) 灰色かび病・うどんこ病防除

バチルス ズブチルス剤(商品名:ボトキラー他)を利用する。特にダクト処理を行う

と懸濁液の散布に比べて天敵昆虫類の葉面からの離脱がなく、また湿度の過剰な上昇

を防ぐことができ病害発生頻度も減少する。

(2) 炭疽病防除 タラロマイセス フラバス剤(商品名:バイオトラスト)を利用することができる。

3.施設栽培における生物防除を補完する資材 (1) ダクト散布用送風機

通常、暖房機を利用してボトキラー水和剤のダクト処理を行うが、暖房機がない施設

や使用しない時期には専用の散布器を使用する。大型(50a)、小型散布器(10a)があり、どのような施設であってもダクト散布が可能となった。

(2) バンカープラントとアフィバンク プランターにムギ 5g程度を播種し本葉が出たらムギクビレアブラムシ(アフィバン

ク)を飼育する。これにアフィパールを入れて増やす。ムギは 2ヶ月程度毎に入れ替

える。夏場は高次寄生により効果がなくなる場合があるのでマミーをよく観察し注意

する。

(3) 粘着トラップ(商品名:ホリバー他) 害虫の視覚が感知する波長(色調)をベースに粘着剤を塗布したトラップで、アザミウマ類に対して青色、アブラムシ類、コナジラミ類に対して黄色のトラップが市販され

ている。粘着トラップの設置により施設内及び施設外からの侵入害虫密度を減少させ

る効果があるとともに、トラップされる害虫の種類、時期、場所などを特定すること

ができる。IPM栽培においてはモニタリング(観察)が重要な役割を果たすが、粘着板

Page 4: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

4

をモニタリングに利用すると非常に便利である。なかでもホリバーは天敵の誘引を引

き起こさないよう作成されているので、IPM栽培では重要な資材となる。 (4) 防虫ネット

各種の目合いのネットを設置することにより害虫の施設内への侵入を防止できる。最

近のネットは糸が細いために風速遮蔽率は向上している。 目合い(㎜) 侵入を防げる害虫の種類

1.0 コナガ、アブラムシ類、ハモグリバエ、ミカンキイロアザミウマ 0.6~0.8 スリップス、オンシツコナジラミ、ハモグリバエ類、キスジノミハムシ、

チャノキイロアザミウマ 0.4 シルバーリーフコナジラミ

(5) 循環扇(ボルナドファン)

施設内の温度の上昇を防ぎ、温度ムラがなくなり作物の生育がそろう。暑い時期に使

うと、作物の体感温度は低下し、生育が順調になる。暖房機とともに使うと、加温の

効率があがり、暖房費の節約にもなる。灰色かび病など多湿条件で出やすい病気の対

策になり、農薬の使用回数を減少させる。また、風がそよぐことによって、葉面境界

層(葉の表面の動きにくい空気の層)が薄くなり、炭酸ガスを取り込みやすくなって

光合成速度が高まるとともに風の刺激でエチレンなどのホルモンが作られ作物の耐

病性が高まる。

Page 5: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

イチゴを中心とした天敵利用によるIPM技術の現状と課題生物資材の特性

2006年8月3日アリスタライフサイエンス(株)

山中 聡

Page 6: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

2

化学的防除

生物学的防除

物理学的防除

害虫防除

病害防除

拮抗微生物

菌食性糸状菌

抗生物質生産菌

昆虫病原性微生物

捕食性天敵昆虫類

昆虫生理活性物質

ウィルス細菌糸状菌線虫

昆虫ダニ

病害虫防除手法と生物農薬の分類

粘着トラップネット展張循環扇温湿度計設置

(選択性殺虫剤)(殺菌剤)

Page 7: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

3

IPMに利用できる生物農薬製品商 品 名種 類カテゴリー生物的防

病害防除

害虫防除

TMボトキラー水和剤、セル苗元気、モミ元気、バイオキーパー、ベジキーパー

細菌拮抗微生物

アフィデント、アフィパール、エルカード、エンストリップ、

マイネックス、マイネックス91カゲタロウ、アリガタ、タイリク、

昆虫

スパイデックス、スパイカル、ククメリスダニ捕食性・寄生性天敵昆虫類

バイオセーフ、バイオトピア線虫

ボタニガード、マイコタール、バータレック糸状菌

クォークフロアブル細菌

ハマキ天敵ウィルス

昆虫病原性微生物

Page 8: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

4

IPMに利用する天敵・微生物農薬等の導入

各種天敵生物・微生物の紹介

Page 9: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

微小害虫(ハダニ、コナジラミ、スリップス、

アブラムシ、コナダニ、ハモグリバエ等)

寄生蜂等(アブラバチ、ヒメコバチ等)

捕食性天敵(タイリク、ククメリス等)

生態系ピラミッド

天敵昆虫は底辺の害虫がいないと増えません。

Page 10: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

天敵昆虫は大きく2種類(寄生性、捕食性)

寄生性天敵・・・ハチの仲間が一般的。害虫(寄種)に卵を産みつけて、害虫の中で天敵が育ちます。

天敵農薬の種類

Page 11: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

7

寄生性天敵の仲間

アブラムシ防除アフィパール

アフィデント

ハモグリバエ防除

(ハモグリコマユバチ+イサエアヒメコバチ)

コナジラミ防除

エルカード

エンストリップ

寄生性天敵の仲間

アフィデントショクガタマバエ

エンストリップオンシツツヤコバチコナジラミ類

イサエアヒメコバチ・ハモグリコマユバチ

サバクツヤコバチ

コレマンアブラバチ

天敵昆虫種

マイネックス・

マイネックス91ハモグリバエ類

エルカード

アフィパールアブラムシ類

アリスタ標的害虫種

Page 12: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

捕食性天敵・・・ダニの仲間やカメムシ類が挙げられます。文字通り、害虫をむしゃむしゃ食べる天敵です。

カゲタロウ

捕食性天敵の仲間

Page 13: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

ククメリスカブリダニ(ククメリス)

タイリクヒメハナカメムシ(タイリク)ヤマトクサカゲロウ(カゲタロウ)

捕食性天敵の仲間

チリカブリダニ(スパイデックス)

ハダニ防除 アザミウマ防除

アブラムシ防除 アザミウマ防除

Page 14: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

10

有効成分 :チリカブリダニ学 名 :Phytoseiulus persimilis製 剤 : 2,000頭/500mlボトルその他成分:おがくず

カーネーション

シクラメン

ばら 500mL/10a(約2000頭)

いんげんまめ

500-1500mL/10a(約2000-6000頭)

野菜類

発生初期ハダニ類

果樹類

使用時期使用量適用害虫名作物名

適用内容

スパイデックス

Page 15: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

11

スパイデックス

チリカブリダニの特徴

ナミハダニ、カンザワハダニを専門的に捕食するカブリダニ。体色は赤で、ハダニよりも若干小さい1.捕食量が多い・・・・20℃の条件下では一日あたり

ハダニの卵か幼虫では20頭ハダニ成虫は5頭を捕食する。

2.発育期間が短い

19日15℃

5日20℃

3.5日30℃

卵から成虫までの期間温度

Page 16: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

12

スパイカル• 有効成分 :ミヤコカブリダニ• 学 名 :Amblyseius californicus• 製 剤 :2000頭/500mlボトル• その他成分:おがくず

500mL/10a

(約2000頭)

野菜類

(施設栽培)発生初期

12~60mL/樹

(約48~240頭)

ハダニ類

果樹類

使用時期使用量適用害虫名作物名

適用内容

Page 17: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

13

スパイカルの性質

• ハダニ・アザミウマ捕食性(広い捕食範囲)• 草本・木本ともに分布• 北米・南米・地中海の熱帯・亜熱帯地域• 日本(本州)• 2003年6月3日登録取得• 若虫と成虫は乳白色ハダニ類を捕食→背中にオレンジ色X字模様

• 胴長約300μm• 好適環境は25~32℃、湿度は60%以上。• 葉裏に産卵、増加する。

Page 18: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

14

• ハダニ類の幼虫・若虫を好むが、♀のミヤコカブリダニ成虫は全ステージを捕食する

• (ミヤコ幼虫はハダニ卵、ミヤコ若虫は ハダ

ニ卵・幼虫・若虫を捕食する)

• Tetranychus属(ナミ・カンザワハダニ)だけでなく、Panonychus属(ミカンハダニ等)も捕食する

• チリカブリダニより飢餓耐性が高いすなわち、ハダニがいないときはアザミウマやカビ・樹液なども食べて生き延びる

スパイカルの捕食行動

Page 19: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

15

スパイカルの放飼方法

※ 防除効果を発揮させるには、害虫の発生前から放飼し、圃場内に定着させておくことが大切。作物栽培直後から準備を始める。害虫が多発生していれば、一度農薬散布をしておく。

A-作物の上から振りかけるB-① 果樹などではコップに米ぬかと籾殻を入れて、その中にスパイカルを入れて吊す。

② 湿度保持のため、コップにはたまに水を補給する。

③ 果樹では茶袋やティッシュペーパー等にくるんで、枝の隙間に挟んでおく。

Page 20: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

16

スパイカルの定着促進方法/確認方法

・定着促進方法

①新藁を敷く。

②畝上に米ヌカ塊またはフスマ塊を作る。これを藁で覆っても良い。

③作物によって加減する。

④畝間に籾殻、そば殻、藁を敷く。

⑤ベンチ上に藁を敷く。藁は太陽熱消毒しておく。

・定着確認方法

①観察による。

②日中、葉の上、葉裏の葉脈に沿って観察する。

③定着していれば、慌しく動く成虫と卵が確認できる。

④成虫はハダニを捕食すると赤くなり、X字型の背中が見える。

Page 21: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

17

+++高温時の効果

+++増殖能力

+-低湿度時の効果

+-飢餓耐性

4.76.1

+++生育スピード

156.2503.15.67.3

1.10捕食量 (幼虫期)

(第一若虫期)

(第二若虫期)

(成虫♀期)

スパイカルスパイデックス

スパイデックスとスパイカルの比較(チリカブリダニ) (ミヤコカブリダニ)

Page 22: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

18

•有効成分:オンシツツヤコバチ•学 名 :Encarsia formosa•含有量 : 50頭/カード/50カード/ケース•50カード/セロファン袋・紙箱

ポインセチア(施設栽培)

放飼発生初期

25~30株あたり1カード

コナジラミ類

野菜類(施設栽培)

使用方法使用時期使用量適用害虫名作物名

エンストリップ

Page 23: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

19

エンストリップの性質

○最適温度は25℃前後。活動温度15~30℃。湿度75%。○オンシツコナジラミ、シルバーリーフコナジラミ、タバココナジラミに寄生する。

○雌1頭あたり、16卵/日、約300卵産卵する。○1頭あたり150頭のコナジラミ幼虫から体液吸汁する。○飛翔能力は気温に左右される。

Page 24: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

20

エンストリップの放飼方法

①トマトの場合、30株に1カード程度の割合でカードを取り付ける。②天敵到着後、直ちに取り付ける。多少羽化していてもOK。③マミーカードは日陰の位置。

④コナジラミ3齢幼虫のいるであろう位置・高さに設置。⑤放飼量は、コナジラミの発生量により変える。

⑥低温時期には数を増やすことがある。

⑦多発生の時には、化学農薬を散布して密度を下げる。

Page 25: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

21

エンストリップの定着促進方法

①葉裏に形成されたマミーを持ち出さないようにする。このため摘葉後は10日程度は畝の上に静置しておく。

②化学農薬を散布しない。

③ボトキラー水和剤のダクト散布法へ移用する。

④最低温度17℃以上に最高温度を30℃までとする。⑤コナジラミの多いところに多く放飼する。

⑥防虫ネットと併用する。

⑦ホリバーと併用する。

Page 26: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

22

①20℃以上の管理では放飼後14日後くらいに、黒いマミーが観察される。

②20日を過ぎると次世代成虫が認められるようになる。

③昼間17℃以下では効果が低下する。④ホリバーによる誘殺推移と併用することが基本である。

⑤黄色い粘着板に誘察されるので、誘殺されない製品を選択する。

エンストリップの定着確認方法

マミー

マミーが形成された葉

Page 27: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

23

アフィパール

40種以上のアブラムシに寄生。ただし、大型のヒゲナガアブラムシ類には効果が劣ります!

有効成分・含有量:コレマンアブラバチ(500頭/100mlボトル)

中央アジア、インドが原産地とされ、ヨーロッパ、南米、アフリカ、オーストラリアに広く分布する寄生蜂

対象作物:野菜類(施設栽培)

→アフィデント・バータレックを マミー

Page 28: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

24

アブラムシの発生状況に応じて導入量・放飼方法を決定

葉裏にアブラムシが見える程度→1本/10a(蓋を開けてハウスの

中心に置いておく)

茎部分までアブラムシの発生が見られる→2本/10a(紙コップに小分けして

発生個所へ)

このあたりに散見

されるときは1本で大丈夫

茎にビッシリついたらスポット防除後の導入がお勧め

使用方法

アフィパール

Page 29: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

25

アフィパールの効果アフィパールはアブラムシの発生後でも駆除効果あり。しかし効果が表れるまでの期間を考えると、できるだけ発生初期の放飼が効果的。バンカープラントによる増殖を併用させる。

アブラムシを効果的に駆除します。

こうなる前に放飼すれば

Page 30: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

26

定着促進方法

市販アフィバンク

プランターに「ムギ」5gを播種↓1-2週間後、アフィバンクを用いてムギクビレアブラムシを接種する。↓アブラムシの増殖後、アフィパール(コレマンアブラバチ)を放飼ムギ・アブラムシは2ヶ月ごとに更新する夏場は高次寄生により効果がなくなる場合があるのでマミーをよく観察し注意する

Page 31: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

27

1.最終放飼後の2週間後

マミーが観察され、アブラムシの増加が緩慢であれば、放飼効果が現われています

2.最終放飼の4~6週間後→アブラムシの7割程度がマミーになっていれば大成功!

→マミーが増えずにアブラムシが増えている場合は

スポット散布を行う(チェス水和剤・粘着くん)

アフィパール

導入後の調査

Page 32: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

28

有効成分:ククメリスカブリダニ

学 名 :Amblyseius cucumeris

含有量 : 50,000頭 /100g(1瓶)=500mlボトル

ク ク メ リ ス

200~400g/10aケナガコナダニほうれんそう(施設栽培)

シクラメン(施設栽培)

放飼発生初期

50~100頭/株アザミウマ類

野菜類(施設栽培)

使用方法使用時期使用量適用害虫名作物名

Page 33: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

29

○活動適温 :15~30℃15℃以下もしくは35℃以上では活動が低下するので注意乾燥に弱い→湿度60%以上OK籾殻などを入れて湿度を高めると定着性Up

○25℃における卵から成虫までの発育期間 :6~9日○捕食量: 1日当たりの約6頭のアザミウマを捕食○生涯産卵数:50卵○導入タイミング

定植時に粒剤との同時放飼がもっともオススメ

体長0.2~0.3mm、ベッコウ色のアザミウマ捕食性カブリダニアザミウマ類幼虫、ハダニ卵、コナダニ等の施設で発生する微小害虫、花粉を摂食して予防的に導入することが可能。花が多い作物での定着が良い

○ククメリスカブリダニ

ククメリスとは?

Page 34: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

30

ククメリスの放飼方法※ 防除効果を発揮させるには、害虫の発生前から放飼し、圃場内に定着させておくことが大切。作物栽培直後から準備を始める。害虫が多発生していれば、一度農薬散布をしておく。

A-作物の上から均一に振りかける。B-①コップに米ヌカと籾殻を入れて、その中にククメリスを入

れて吊るす。

②湿度保持のためコップにはたまに水を補給する。

③生息を確認するためエビオス錠を1粒入れておくとこれを観察するたけで、生息の有無が

分かる。

カップ放飼

Page 35: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

31

ククメリスの定着促進方法/確認方法

・定着促進方法

①畝上に米ヌカ塊を作り、藁で覆う。

②量は作物によって加減する。

③畝間には、籾殻と米ヌカを敷く。米ヌカの代わりにフスマを敷いてもよい。

・定着確認方法

①観察による。

②日中葉の上、葉裏の葉脈に沿って観察する。

③定着していれば、あわただしく動く成虫と卵が確認できる。

~ 使用上の注意事項 ~

○湿度が55%以下に低下すると、生殖場所を求めて、移動。

○低温、著しい高温では効果低下。

米ぬか配置

Page 36: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

32

• 有効成分:タイリクヒメハナカメムシ成虫• 学 名 :Orius atrigicollis• 含有量:250頭/250mlボトル

放飼発生初期

500~2000ml/10a(約500~2000頭)

アザミウマ類野菜類

(施設栽培)

使用方法

使用

時期

使用量適用

害虫名

作物名

タ イ リ ク

Page 37: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

33

タイリクの性質・特徴

①日本土着のアザミウマ捕食性ハナカメムシ

②休眠が浅く、日長10時間の短日条件下でも100%の産卵率を保つ。③最適温度は16~35℃。発育零点は卵11.4℃。雌幼虫11.0℃、雄幼虫

10.4℃。②捕食対象アザミウマは、ミナミキイロ、ミカンキイロ、ヒラズハナなど。他にアブラムシ、ダニ類も捕食する。

③1頭あたり15頭/日のアザミウマ成虫を捕食する。刺し殺して遊ぶこともある。

④飛翔能力は高い。明るいと施設から飛び出して行くことがある。

⑤130個以上、産卵する。

タイリク 卵

Page 38: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

34

タイリクの放飼方法

①防除効果を発揮させるには、アザミウマの発生初期、花あたり0.5~1頭以上のアザミウマ密度で導入放飼する。

②放飼は、露のない夕方に行うとよい。

③ボトルをよく回転させてから蓋を開けて放飼する。効果が確認できるのは20日後からである。

④発生している付近に2~3ボトルを放飼すること。

⑤成虫は寿命が短いので入手後は直ちに使い切る。

⑥卵放飼法も合理的である。

放飼実施例

Page 39: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

35

タイリクの定着促進方法

①産卵部位を持ち出さないこと。ナスは展開葉の葉脈、ピーマンは第2と3節の茎の分岐部に産卵。これを摘葉しても2-3週間程度は畝の上に静置しておく。これをしないとハウス内で増加しない。

②クモ類の巣、コモリグモなどが定着したら駆除する。

③温度を20℃に保つと増加しやすい。④14日後くらいに幼虫が認められる。⑤餌場を作るとよい。

⑥卵放飼法を導入する。

幼虫 卵

Page 40: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

36

タイリクの定着確認方法

①20℃以上の管理では放飼後14日後くらいに幼虫が観察される。

②20日を過ぎると次世代成虫が認められるようになる。③15℃程度では30日以上必要となる。④花に0.5頭いれば高い効果が期待できる。⑤100花に2~3頭以上いれば効果の出始めである。

花中のタイリク

Page 41: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

37

ボタニガードES

有効成分:ボーベリアバシアーナGHA株分生子

学 名 : Beauveria bassiana

含有量: 1.6x 1010spore/ml

性 状: 淡褐色懸濁油状液体

作物名 適用害虫名 希釈

倍数

使用

使用

時期

本剤及び

ボーベリア・バシアーナを

含む農薬の

総使用回数

使用

方法

野菜類 コナジラミ類

アザミウマ類

コナガ

500 倍

200~

300L/

10a

発生

初期 - 散布

Page 42: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

38

有効成分のボーベリア・バシアーナが昆虫に寄生して殺します。

1.ボタニガード散布

3.分生子が発芽

ボタニガード 作用機作

2.昆虫表面に付着

6.感染虫から発達した分生子が他の虫に付着

4.発芽した分生子が昆虫体内に侵入

5.Beauveria bassianaが虫体内で増殖

Page 43: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

39

使い方 と 効果

1.ボタニガードを500倍に希釈する。

2.散布(200~300L/10a)

散布は夕方に!

3.ハウスサイドを閉め切る

湿度を高めて!!

4.翌朝開放

散布後は朝まで閉め切り

アザミウマへの感染 コナジラミへの感染

Page 44: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

40

ボトキラーとは

有効成分:バチルスズブチルス

学 名 : Bacillus subtilus

含有量 : 1 x 1010 CFU/g

シクラメンダクト内投入

10~15g/10a/日灰色かび病

野菜類

使用方法希釈倍率適用病害虫名作物名

かんきつ

うどんこ病

灰色かび病ぶどう

発病前~発病初期1000倍

灰色かび病野菜類

使用時期希釈倍率適用病害虫名作物名

Page 45: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

41

• 施設園芸における生物農薬

• IPMにおける化学合成殺菌剤使用量の削減• 灰色カビ病・うどんこ病剤への抵抗性回避

• 作物残留回避(短期栽培作物)

• 施設園芸における生物農薬

• IPMにおける化学合成殺菌剤使用量の削減• 灰色カビ病・うどんこ病剤への抵抗性回避

• 作物残留回避(短期栽培作物)

散布すると

バチルス菌芽胞が葉面上を覆う

胞子の侵入を阻止!!

病原菌 胞子

ボトキラーとは

Page 46: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

42

うどんこ病 胞子

葉面上のバチルス菌の電子顕微鏡写真

バチルス菌の集団

ボトキラーの作用機作

Page 47: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

43

TMボトキラーダクト散布法

①ボトキラー水和剤を粉体のまま、暖房機ダクトに投入して

暖房と同時に散布する方法。②1日に10~15gを暖房機または散布器に投入する。③1日数回~20回程度送風を行う。④暖房機が稼働しない時期でも、送風のみにより散布する。⑤暖房機がない場合はダクト散布器を使用する。⑥ボトキラーの粉体は暖房機チャンバーまたはダクト内に粉体のまま投入する。

⑦タイマーで制御すれば散布時間は1日数秒で完了する。

ダクト配置例

Page 48: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

44

イチゴ高設ベンチでのダクト配置イメージ

二重カーテンが望ましい

ダクトには3m間隔に、上向きに吐出口をあける.径3~5cm.

暖房機

高設ベンチ

ダクトは中央のベンチ間に配置する

Page 49: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

45

ダクト散布の効果と意義

①ダクト散布法は水を使用しないため、湿度を上げない、施設の温度を下げないという基本的な問題を解決した。

②圧の高い水を散布しないので天敵が死なない。従って、生物防除の使用環境のベースを作り出した。

③水を利用しないので作物体上の微生物農薬や化学農薬を洗い流さない。

④毎日、微量を散布するため新たに生育した芽にも散布ができ、防除効果が化学農薬並みに高まる。

⑤ボトキラーはトマト・キュウリ・ナスなどの花弁で増加する。このため花弁の灰色かび病や茎に出るつる枯病などの発生が著しく少なくなる。

NA平板散布確認 ダクトの結合

キュウリ イチゴ

Page 50: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

46

生物農薬は使用環境に配慮がいる

生物農薬は使用環境に配慮がいる

生物農薬は効果の発現がマイ

ルド

生物農薬は効果の発現がマイ

ルド

1作を通しての病害虫の発生状況を

把握しておく

1作を通しての病害虫の発生状況を

把握しておく

天敵の天敵は化学農薬

天敵の天敵は化学農薬

天敵は自身の子孫繁栄のために活動

天敵は自身の子孫繁栄のために活動

生物農薬は生き物である

生物農薬は生き物である

生物農薬への理解

生物農薬への理解

生物農薬・防除資材を有効に活用するためには

Page 51: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

47

生物資材の効果を引き出すためのハウス環境整備を行う

従来のハウス

害虫の進入路(風の流れ)

ハダニの進入路

Page 52: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

48

防虫ネットサンサンネット

ホリバーロール

雑草の管理

サイド天窓(天井、妻面)入り口

ハウス外部の環境整備

Page 53: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

49

•天敵の増殖、定着を促進するために、バンカープラント、イナワラ、モミガラを利用する。•ハウス内に充分な有用微生物殺菌剤(ボトキラー水和剤)の効果を最大限に発揮させるため、ダクト送風機を設置する。

•天敵(ククメリスカブリダニ、ミヤコカブリダニ)の定着促進のため、カップを設置して天敵を放飼する。

•モニタリングを行うため、ホリバー(板)の設置する。•病害発生を抑制する環境作りのため、ボルナドファンを設置する。•人やモノの搬入時に害虫の進入防止のため、入り口に向かって扇風機で送風する。

ハウス内部の環境整備

バンカープラント(大麦など)イナワラモミガラ天敵用カップ

ボルナドファンダクトホリバー

ダクト送風機扇風機

Page 54: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

50

IPMに利用できる化学農薬

オオタバコガ、ハスモンヨトウクォーク・ゼンターリ(BT)

対象病害虫薬剤名

オレート液剤

トリガード液剤

カスケード乳剤

カウンター乳剤

ベストガード粒剤

アプロード水和剤

チェス水和剤

オルトラン粒剤

アブラムシ類、シルバーリーフコナジラミ

マメハモグリバエ

オオタバコガ、ミナミキイロアザミウマ、マメハモグリバエ

マメハモハリバエ、アブラムシ類、シルバーリーフコナジラミ

オンシツコナジラミ

オンシツコナジラミ、アブラムシ類

アブラムシ類、オンシツコナジラミ(マメハモハリバエ、アザミウマ類)

Page 55: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

・長期間の効果皆様の代わりに天敵が働いてくれます。

・薬剤の抵抗性がつきません天敵は害虫を捕食したり、害虫に寄生したりして密度を減らします。

・散布(放飼)方法が簡単です天敵の放飼は10aあたり、短いものでは1分以内、長いものでも30分程度で終わります。

天敵導入の利点

Page 56: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

52

保存不可。到着当日に使用する

日中暑いところにボトルを放置しない

使用直前にボトルを振る(上下に10回、横に10回)夕方放飼がお薦め

天敵は害虫がいそうなところに振る

天敵利用前・天敵利用中の農薬使用は注意!

天敵類取り扱いの一般的な注意事項

Page 57: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

化学殺虫剤散布による天敵の密度低下、死滅に注意。スペクトラムの広い農薬の散布には特に注意し、天敵への影響の有無、あるいは残効日数を確認して使用する。

1.殺虫剤の影響

天敵導入後の注意点

*天敵導入の失敗例の大半が薬剤の影響によるもの。

導入前に対象害虫ごとの使用可能薬剤を準備し、防除スケジュールを立てる。

Page 58: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

害虫初期密度が高くなってしまった場合には、①天敵を導入する前影響のない殺虫剤で初期密度を下げてから天敵を放飼

②天敵を導入していた場合天敵の追加放飼を行う。

2.害虫密度の影響

天敵導入後の注意点

Page 59: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

55

現場における心構え

観察・・・害虫、天敵ともにじっくり見て

環境・・・天敵が生活しやすい環境づくり

農薬・・・併用する化学農薬にはご注意

Page 60: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

まとめ

・各種防除資材で、病害虫の発生を抑制する。

•栽培期間を通じて、病害虫の発生動向を把握し、発生初期に必ず抑えるようにする。

•病害虫防除に利用する生物農薬の種類、性質を把握し、的確に対応できるようにしておく。

•病害虫防除に利用する化学農薬の種類と生物農薬への影響性を把握し、選択的に利用する。

Page 61: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

- 1 -

研修資料(平成 年8月3,4日)18平成 年度「高度先進技術研修」イチゴを中心とした天敵利用等によるIPM技術の現状と課題18

イチゴの主要害虫の 体系IPM九州沖縄農業研究センター

イチゴ周年生産研究チーム

上席研究員 柏尾具俊

1.はじめに

食の安全・安心志向が高まる昨今、病害虫防除における合成農薬の使用量の削減は避けては通れない課

。 、 、 、 、題となっている とりわけ 施設栽培ではアブラムシ ハダニ アザミウマ等が多発しやすいことから

。 、 、農薬の多用が余儀なくされてきた しかし 薬剤抵抗性の発達や海外からの侵入害虫の増加の問題も生じ

生物農薬、フェロモン剤、物理的防除資材やこれらを合理的に組み合わせた総合的害虫管理( )技術のIPM開発が強く求められている。こうした背景のもとで、近年、わが国においても天敵昆虫や天敵微生物等の

生物農薬が数多く登録され、イチゴ、ナス、ピーマンなどの施設野菜を中心としてその実用的な利用が始

まりつつある。しかし、作目や作型が多岐にわたる施設栽培において、品質、収量を損なわずに安定した

防除効果を得ることのできる防除体系を構築するには問題も多い。

ここでは、施設野菜の代表的な作目であるイチゴを例にとって、利用可能な生物農薬の開発状況、天敵

類を利用した 防除体系の概要と今後の課題について述べる。IPM

2.利用可能な生物資材

イチゴの重要害虫としてはハダニ類、ワタアブラムシ、ミカンキイロアザミウマ、ハスモンヨトウ、オ

オタバコガが挙げられる。これらの害虫に対して利用可能な天敵は、ハダニ類に対するチリカブリダニと

ワタアブラムシに対するコレマンアブラバチであり、既に一部の地域では実用的な利用が始まっている。

また、ハダニ類の新しい天敵としてミヤコカブリダニが 年に農薬登録され、その効果的な利用法が2003検討されつつある。この他、ミカンキイロアザミウマに対しては天敵製剤としてククメリスカブリダニや

タイリクヒメハナカメムシ、微生物農薬として 剤が登録されている。Beauveria bassianazai

3.促成栽培イチゴにおける主要害虫の 体系IPMチリカブリダニ等の生物資材を用いたイチゴ主要害虫の 体系の概要を第1図に示した。イチゴはIPM

定植時期や栽培終了の時期が地域によって異なるが、概ね、促成栽培に準じる作型で栽培される。また、

栽培条件は育苗期と本圃の二つに大きく分けられる。さらに、本圃では定植後の約1か月間は露地条件で

栽培され、その後、ビニールが被覆され、施設下での栽培に移る。そのため、イチゴの は育苗期、IPM定植後の露地栽培の時期、その後の施設栽培条件の時期に分けて組み立てる必要がある。

育苗期

育苗期には、ハダニ類、ハスモンヨトウ、コガネムシ類に対して薬剤防除を徹底し、害虫の寄生してい

ない苗の確保する。

定植時~露地栽培期

定植時にはネオニコチノイド系粒剤を植穴処理し、ワタアブラムシやオンシツコナジラミの発生を抑制

する。ビニール被覆期のマルチ設置直前に粒剤を株元処理する方法は省力的であり、普及が期待されてい

る。また、この方法では、翌年の3月までアブラムシの発生を抑制できる。

また、定植後の露地条件下では、ハダニ類とハスモンヨトウに対して薬剤防除を徹底し、ビニール被覆

Page 62: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

- 2 -

後にこれらの害虫を持ち込まないようにすることが重要である。

ビニル被覆期以降

ビニール被覆直後には、ハダニ類の発生が認められない場合でも薬剤による予防防除を実施し、発生源

をほぼ完全に断ち、この時期を起点として天敵類や微生物資材を利用した体系がスタートする。ハダニ類

に対しては、発生有無にかかわらずチリカブリダニ(またはミヤコカブリダニ)を 月~ 月にスケー11 12ジュール放飼を行う。その後は、ハダニに発生に留意し、2月~3月に1、2回の追加放飼を行うことに

より栽培終了時まで高い効果が得られる(第2図 。福岡県においてはほぼこれに準じる方法で平成 年) 15に 戸の農家(約 )で、ハダニ類に対するチリカブリダニの利用が行われている(福岡県農業総580 115ha合試験場・病害虫部 嶽本弘之氏私信 。)

6~8月 9月 11月 12月 1月 2月 3月 4月

育苗期 定植

ハダニ類     チリカブリダニ   チリ     チリ

ワタアブラムシ        植穴処理   

ハスモンヨトウ     BT剤  

 

うどんこ病  硫黄くん煙

灰色かび病  バチルス・ズブチリス

炭疽病 雨よけ育苗

萎黄病 育苗棚 太陽熱土壌消毒

ハダニ類に対するチリカブリダニはミヤコカブリダニに置き換えできる。

ミカンキイロアザミウマ

植穴処理 : ネオニコチノイド系粒剤     : 薬剤防除 :薬剤のスケジュール防除

  露地条件

       コレマンアブラバチ

   IGR剤                                ククメリスカ

            タイリクヒメハナカメムシ

 第1図 暖地の促成栽培イチゴでの天敵類を利用したIPM体系

病害虫の種類

10月

ビニール被覆・マルチ        加温(8-10℃)

Page 63: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

- 3 -

ワタアブラムシが2~3月に再発した場合には、コレマンアブラバチを放飼することで高い効果が得ら

れる(第3図 。また、ネオニコチノイド系の粒剤を処理しない体系ではビニール被覆直後からのコレマ)

ンアブラバチの放飼によってワタアブラムシの防除は可能である。

Beauveriaミカンキイロアザミウマに対しては、ククメリスカブリダニ、タイリクヒメハナカメムシ、

剤等の利用を試みたが、3~4月期の防除効果は実用的にみると十分でなく、さらに改善が必bassianazai要である(第4図 。関東以北の寒冷地で問題となるオンシツコナジラミについては、オンシツツヤコバ)

チの利用が検討されつつある。

0

1

2

0

50

1000

1

2

0

50

1000

1

2

0

50

1000

1

2

0

50

100

●:ワタアブラムシ

■:寄生率

コレマンアブラバチ

2004

P

AC

A A

AC

AC

AC

IPM区1

化学農薬区

IPM区2

IPM区3

     Sep      Oct  Nov Dec Jan Feb Mar   Apr            2003

第3図.コレマンアブラバチを利用したハウス栽培のイチゴのアブラムシ防除

ワタアブラムシの数/株

寄生蜂による寄生率(%)

0

0.5

1

0

0 .005

0 .01

0 .015

0 .02

0

0.5

1

0

0 .005

0 .01

0 .015

0 .020

0.5

1

0

0 .005

0 .01

0 .015

0 .02

0

0.5

1

0

0 .005

0 .01

0 .015

0 .02

●:ハダニ

■:カブリダニIPM区1

第2図. ミヤコカブリダニまたはチリカブリダニを利用したハウス栽培イチゴのハダニ防除

2003 Sep      Oct  Nov Dec Jan Feb Mar   Apr            

2004

ミヤコカブリダニM

E

B

A AK

IPM区3

IPM区2

化学農薬区

チリカブリダニ

ミヤコカブリダニ ミヤコカブリダニ

チリカブリダニ

チリカブリダニ

ハダニの数/株

カブリダニの数/株

M: コロマイト水和剤  B : マイトコーネフロアブル E :アファーム乳剤A : アーデント乳剤 AC :モスピラン粒剤       F : カスケード乳剤 R : マッチ乳剤       S : スピノエース顆粒水和剤 P : チェス水和剤N : ベストガード水溶剤

Page 64: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

- 4 -

4.ミヤコカブリダニの利用

ミヤコカブリダニはハダニ類の有力な天敵で、わが国にも生息する土着性の天敵である。本種の発育期

間(卵から成虫まで)は、 ℃下においてカンザワハダニの卵を餌とした場合、 日で、チリカブリダ25 5.1ニの発育期間(約5日)と大きな違いは見られない。カンザワハダニを餌とした場合の1雌当たり最大捕

食数(/日)は、卵で 個、幼虫で 頭、第2若虫で 頭である。雌成虫を餌とした場合の捕食14.6 16.6 9.0数は最大で 頭(/日)と少ないが、試験中に産下された卵に対する捕食が認められる。これらの結果1.2から、ハダニ類に対する捕食能力はチリカブリダニに比べるとやや劣ると考えられる。しかし、イチゴの

カンザワハダニに対する密度抑制効果について検討した結果、ハダニを抑制能力はチリカブリダニと大き

な違いは見られなかった(第5図 。)

ミヤコカブリダニとチリカブリダニを同時に放飼した場合に、種間で競合が起きるかどうかについて検

討した結果、ミヤコカブリダニとチリカブリダニを同時に放飼した場合のイチゴのナミハダニに対する抑

、 ( )、制効果は ミヤコカブリダニまたはチリカブリダニをそれぞれ単独で放飼した場合と同等であり 第6図

イチゴ株上で両種の生息が認められたことから、これら2種のカブリダニを同時に放飼しても種間の競合

は起きないと考えられた。また、ミヤコカブリダニを用いた体系について検討した結果、チリカブリダニ

と同等の効果が得られている(第1図 。一方、ミヤコカブリダニはチリカブリダニに比べると餌不足の)

条件での生存力が高いとされており、チリカブリダニよりも使い易い天敵ではないかと考えられる。

ミヤコカブリダニはチリカブリダニに比較すると高温条件での発育や捕食能力が高いことが知られてお

り、高温期に適した天敵と考えられている。しかし、本種の低温条件下での天敵としての有効性について

は詳細な検討事例がない。そのため、秋期から春期の低温期に栽培されるイチゴにおける本種の有効性を

明らかにするため、冬期の低温条件下でのハダニに対する密度抑制効果を検討した。その結果、ミヤコカ

ブリダニはイチゴのハダニ類に対して、最低温度を8~10℃とする栽培条件下においても有効である。た

だし、低温条件では密度を抑制するまでの期間が長くなるので、予防的な放飼を心がける必要がある。

0

5

10

15

20

25

30

0

2

4

6

8

10

0

5

10

15

20

25

30

0

2

4

6

8

100

5

10

15

20

25

30

0

2

4

6

8

10

0

5

10

15

20

25

30

0

2

4

6

8

10

タイリクヒメハナカメムシ

2004

E

R

S AA

ボーベリア・バシアーナ菌

F

R

R

F

F

F

R化学農薬区

IPM区2

IPM区3

2003 Sep      Oct  Nov Dec Jan Feb Mar   Apr            

アザミウマの数/10花

ボーベリア・バシアーナ菌

ボーベリア・バシアーナ菌

IPM区1

第4図. タイリクヒメハナカメムシとボーベリア・バシアーナ菌を利用したハウス栽培イチゴのミカンキイロアザミウの防除

ヒメハナカメムシの数/10花

Page 65: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

- 5 -

また、ミヤコカブリダニはハダニ類の他、チャノホコリダニや花粉なども食べる広食性の天敵であるこ

とが知られている。そこで、この他の害虫に対する捕食の可能性について検討した結果、イチゴの重要害

虫であるミカンキイロアザミウマ、ミナミキイロアザミウマ、ヒラズハナアザミウマの1齢幼虫も捕食す

ることが明らかになった(第8図、第9図 。アザミウマ類に対する本種の捕食量は、アザミウマ類の生)

物農薬として実用化されているククメリスカブリダニとほぼ同等であり、本種はハダニ類の天敵としてだ

けでなく、アザミウマ類との同時防除にも利用できる可能性があると考えられる。

0

20

40

60

80

100

120

0

20

40

60

80

100

120

0

20

40

60

80

100

120

0

20

40

60

80

100

120

4  7      14     21      28     35 

4  7      14     21      28     35 4  7      14     21      28     35 

ハダニ:カブリダニ

5:1

●:ミヤコカブリダニ区     ●:チリカブリダニ区  ▲:無放飼区

4  7      14     21      28     35

ハダニの数/株

第5図. イチゴのカンザワハダニに対するミヤコカブリダニとチリカブリダニの密度抑制効果 (平均気温 18.8℃)

ハダニ:カブリダニ

30:1ハダニ:カブリダニ  10:1

ハダニ:カブリダニ

20:1

カブリダニ放飼後の日数

0

20

40

60

80

100

0

100

200

300

400

500

600

700

ミヤコ区-ハダニ

ミヤコ区-ミヤコ

ミヤコ区-チリ

無放飼区ーハダニ

0

20

40

60

80

100

ミヤコ区-ハダニ

ミヤコ区-ミヤコ

チリ区-ハダニ

チリ区-チリ

ハダニ♀

・ カブリダニ/株

 第6図 イチゴのナミハダニに対するミヤコカブリダニとチリカブリダニを同時に放飼した場合の密度抑制効果 

 2004年11月9日~12月21日  平均気温:22.5℃ 平均最低気温:16.8℃

0 7 14 21 28 35 42(日)0 7 14 21 28 35 42(日)

ミヤコカブリダニ、チリカブリダニの単独放飼区(2頭/株)

ミヤコカブリダニとチリカブリダニの同時放飼区(1頭+1頭/株)

無放飼区のハダニ♀

/株

Page 66: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

- 6 -

6.今後の課題

以上のように、促成栽培イチゴの主要害虫のなかで、ハダニ類とアブラムシ類に対しては、チリカブリ

ダニ、ミヤコカブリダニ、コレマンアブラバチなどを利用し、農薬の使用量を必要最小限に削減した防除

体系を組み立てた。今後は、防除の安定化と経費削減をさらに進める必要がある。また、ハスモンヨトウ

については、生物資材の利用という立場に立てば、BT剤の利用が可能であるが、経費と散布回数の増加

という面では、さらに有効な資材の探索あるいは技術の開発が必要である。一方、ミカンキイロアザミウ

マに対しては、現時点では、生物資材の利用は実用的ではなく、有効な技術開発が必要である。さらに、

今後は、重要病害に対しても、生物資材を利用した技術開発、あるいは、その実用化のための研究が必要

。 、 、 、 、 、である これが達成されれば 安全で 省力的で 低コストで 安定したイチゴ病害虫IPMが確立され

また、普及が進むものと考えられる。

0

20

40

60

80

100

120

0

50

100

150

200

250

300

ミヤコ 30:1

チ リ 30:1

無放飼区

0

20

40

60

80

100

120

0

50

100

150

200

250

300

ミヤコ 10:1

チ リ 10:1

無放飼区

 第7図 イチゴのカンザワハダニに対するミヤコカブリダニの放飼効果 

 平均気温:14.3℃ 平均最低気温:10.9℃

放飼区のハダニ♀/株

 2003年 12月5日~2004年2月6日

  7      14     21   28    35 42 49 56 63(日)

無放飼区のハダニ♀/株

  7      14     21   28    35 42 49 56 63(日)

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

餌密度(頭数/容器)

食頭

数/

24

時間

ミカンキイロ ミナミ ヒラズ

1 2 4 8 16 32

図8 ミヤコカブリダニによるアザミウマ類1令幼虫の捕食量 第9図 ミカンキイロアザミウマの1齢幼虫を捕食しているミヤコカブリダニ雌成虫

Page 67: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

イチゴを中心とした天敵利用等によるIPM技術の現状と課題

九州沖縄農業研究センター

イチゴ周年生産研究チーム

上席研究員 柏尾具俊

イチゴ主要害虫のIPM体系

Page 68: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

イチゴの重要害虫

ナミハダニ

ワタアブラムシ

ハスモンヨトウ

カンザワハダニ

ミカンキイロアザミウマ

Page 69: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

利用可能な生物資材

ショクガタマバエ

ナミヒメカメムシ

ククメリスカブリダニ

アリガタシマアザミウマ

タイリクヒメハナカメムシアザミウマ類

ミヤコカブリダニ

コレマンアブラバチアブラムシ類

ナミテントウ

ヤマトクサカゲロウ

チリカブリダニハダニ類

ハモグリミドリヒメコバチ

サバクツヤコバチ

イサエアヒメコバチハモグリバエ類

ハモグリコマユバチ

オンシツツヤコバチコナジラミ類

15種29製剤

ボーベリア・バシアーナ

バーティシリウム・レカニ微生物製剤

6種6製剤

Page 70: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

チリカブリダニ コレマンアブラバチ

Page 71: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

タイリクヒメハナカメムシ ヤマトクサカゲロウ

Page 72: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

ククメリスカブリダニ

Page 73: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

ハダニ類に対するチリカブリダニの放飼方法

発生初期の放飼(モニタリング)

◎ハダニ発生前の放飼(秋期、スケジュール)

ゼロ放飼、秋期放飼、定期的放飼

Page 74: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

施設栽培イチゴにけるハダニ類とチリカブリダニの個体数の変動

0

1

2

0

0.1

0.2

0.3

0.4

IPM-1

0

1

2

0

0.1

0.2

0.3

0.4

IPM-2

0

1

2

3

4

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0

20

40

60

0

0.1

0.2

0.3

0.4

化学区

9 1997

10 11 12 1 1998

2 3 4 5

ハダニ♀/葉

チリカブリダニ

ハダニ

TP PY

CF

チリカブリダニ/葉

チリカブリダニ

無散布区

Page 75: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

0

1

2

0

5

10

IPM-1

0

1

2

0

0.05

0.1

IPM-2

0

1

2

0

5

10

0

50

100

150

0

5

10

9 1997

10 11 12 1 1998

2 3 4 5

コレマンアブラバチ

TP AC ACM MCFPY

150

100

50

0

IM

AC

AC

無散布区

化学区

アブラバチ

アブラムシヤマトクサカゲロウクサカゲロウ

アブラムシ

施設栽培イチゴにけるワタアブラムシとアブラバチの寄生率の個体数の変動

アブラムシ成幼虫数/葉

寄生率%

Page 76: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

0

5

10

0

0.1

0.2

0.3

IPM-1

0

5

10

0

0.1

0.2

0.3

IPM-2

0

5

10

0

0.1

0.2

0.3

0

5

10

15

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

9 1997

10 11 12 1 1998

2 3 4 5

アザミウマ

AC ACM MCFPY

0.3

0.2

0.1

00

5

10

15

化学区

無散布区

施設栽培イチゴにけるミカンキイロアザミウマの個体数の変動

アザミウマ成幼虫数/花

ヒメハナカメムシ成幼虫数/葉

ナミヒメハナカメムシナミヒメ(成虫)

ナミヒメ(幼虫)

Page 77: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

0

10

20

30

40

9 1997

10 11 12 1 1998

2 3 4 5

ハスモンヨトウ幼虫数/株

ハスモンヨトウ 幼虫BT

0

10

20

30

40

TF

0

10

20

30

40

0

10

20

30

40

BT

TB

TB

TF

TF

IPM-2

IPM-1ヤマトクサカゲロウ

化学区

無散布区

施設栽培イチゴにけるハスモンヨトウ幼虫の個体数の変動

Page 78: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

9 10 11 12 1 2 3 42001-2002

コレマンアブラバチ

チリカブリダニ

BT剤

ククメリスカブリダニ

タイリクヒメハナカメムシ

IGR剤

ワタアブラムシ

ハダニ

ハスモンヨトウ

ミカンキイロアザミウマ

9 10 11 12 1 2 3 42000-2001

コレマンアブラバチ

チリカブリダニ

BT剤タイリクヒメハナカメムシ

ワタアブラムシ

ハダニ

ハスモンヨトウ

ミカンキイロアザミウマ

9 10 11 12 1 2 3 41997-1998

栽培時期(月)と天敵、薬剤の処理時期

防除効果

コレマンアブラバチ

チリカブリダニ

BT剤、IGR剤ナミヒメハナカメムシ

ワタアブラムシ

ハダニ

ハスモンヨトウ

ミカンキイロアザミウマ

天敵の種類害虫の種類

9 10 11 12 1 2 3 42001-2002

コレマンアブラバチ

チリカブリダニ

BT剤

ククメリスカブリダニ

タイリクヒメハナカメムシ

IGR剤

ワタアブラムシ

ハダニ

ハスモンヨトウ

ミカンキイロアザミウマ

9 10 11 12 1 2 3 42000-2001

コレマンアブラバチ

チリカブリダニ

BT剤タイリクヒメハナカメムシ

ワタアブラムシ

ハダニ

ハスモンヨトウ

ミカンキイロアザミウマ

9 10 11 12 1 2 3 41997-1998

栽培時期(月)と天敵、薬剤の処理時期

防除効果

コレマンアブラバチ

チリカブリダニ

BT剤、IGR剤ナミヒメハナカメムシ

ワタアブラムシ

ハダニ

ハスモンヨトウ

ミカンキイロアザミウマ

天敵の種類害虫の種類

表3 促成栽培イチゴでのIPMの事例と各種害虫に対する防除効果

AC

AC

AC

RF RF FF

Page 79: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

6~8月 9月 11月 12月 1月 2月 3月 4月

育苗期 定植

ハダニ類   チリカブリダニ   チリ     チリ

ワタアブラムシ      植穴処理   

ハスモンヨトウ    BT剤  

    IGR剤

うどんこ病  硫黄くん煙

灰色かび病  バチルス・ズブチリス

炭疽病

萎黄病 育苗棚 太陽熱土壌消毒

ミカンキイロアザミウマ

植穴処理 : ネオニコチノイド系粒剤     : 薬剤防除 :薬剤のスケジュール防除

雨よけ育苗

  露地条件

コレマンアブラバチ

                  

 タイリクヒメハナカメムシ

 暖地の促成栽培イチゴでの天敵類を利用した減農薬防除体系

病害虫の種類10月

ビニール被覆・マルチ        加温(8-10℃)

ククメリスカブリダニ

Page 80: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

ミヤコカブリダニ ボーベリア・バシアーナ

Page 81: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

0

20

40

60

80

100

120

0

20

40

60

80

100

120

0

20

40

60

80

100

120

0

20

40

60

80

100

120

4  7      14     21      28     35 

4  7      14     21      28     35 4  7      14     21      28     35 

ハダニ:カブリダニ

5:1

●:ミヤコカブリダニ区     ●:チリカブリダニ区  ▲:無放飼区

4  7      14     21      28     35

ハダニの数/株

第1図. イチゴのカンザワハダニに対するミヤコカブリダニとチリカブリダニの密度抑制効果 (平均気温 18.8℃)

ハダニ:カブリダニ

30:1ハダニ:カブリダニ  10:1

ハダニ:カブリダニ

20:1

カブリダニ放飼後の日数

Page 82: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

0

1

2

3

4

5

6

7

8

9

餌密度(頭数/容器)

食頭

数/

24

時間

ミカンキイロ ミナミ ヒラズ

1 2 4 8 16 32

図1 ミヤコによるアザミウマ類1令幼虫の捕食量

Page 83: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

0

20

40

60

80

100

120

0

50

100

150

200

250

300

ミヤコ 30:1

チ リ 30:1

無放飼区

0

20

40

60

80

100

120

0

50

100

150

200

250

300

ミヤコ 10:1

チ リ 10:1

無放飼区

 第7図 イチゴのカンザワハダニに対するミヤコカブリダニの放飼効果 

 平均気温:14.3℃ 平均最低気温:10.9℃

放飼区のハダニ♀/株

 2003年 12月5日~2004年2月6日

  7      14     21   28    35 42 49 56 63(日)

無放飼区のハダニ♀/株

  7      14     21   28    35 42 49 56 63(日)

Page 84: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

0

20

40

60

80

100

0

100

200

300

400

500

600

700

ミヤコ区-ハダニ

ミヤコ区-ミヤコ

ミヤコ区-チリ

無放飼区ーハダニ

0

20

40

60

80

100

ミヤコ区-ハダニ

ミヤコ区-ミヤコ

チリ区-ハダニ

チリ区-チリ

ハダニ♀

・ カブリダニ/株

 第6図 イチゴのナミハダニに対するミヤコカブリダニとチリカブリダニを同時に放飼した場合の密度抑制効果 

 2004年11月9日~12月21日  平均気温:22.5℃ 平均最低気温:16.8℃

0 7 14 21 28 35 42(日)0 7 14 21 28 35 42(日)

ミヤコカブリダニ、チリカブリダニの単独放飼区(2頭/株)

ミヤコカブリダニとチリカブリダニの同時放飼区(1頭+1頭/株)

無放飼区のハダニ♀

/株

Page 85: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

0

0.5

1

0

0 .005

0 .01

0 .015

0 .02

0

0.5

1

0

0 .005

0 .01

0 .015

0 .020

0.5

1

0

0 .005

0 .01

0 .015

0 .02

0

0.5

1

0

0 .005

0 .01

0 .015

0 .02

●:ハダニ

■:カブリダニIPM1区

第2図. ミヤコカブリダニまたはチリカブリダニを利用したハウス栽培イチゴのハダニ防除

2003 Sep      Oct  Nov Dec Jan Feb Mar   Apr            

2004

ミヤコカブリダニM

E

B

A AK

IPM3区

IPM2区

化学区

チリカブリダニ

ミヤコカブリダニ ミヤコカブリダニ

チリカブリダニ

チリカブリダニ

ハダニの数/株

カブリダニの数/株

M: コロマイト水和剤 B : マイトコーネフロアブル E :アファーム乳剤A : アーデント乳剤 AC :モスピラン粒剤 F : カスケード乳剤R : マッチ乳剤 S : スピノエース顆粒水和剤 P : チェス水和剤N : ベストガード水溶剤

Page 86: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

0

5

10

15

20

25

30

0

2

4

6

8

10

0

5

10

15

20

25

30

0

2

4

6

8

100

5

10

15

20

25

30

0

2

4

6

8

10

0

5

10

15

20

25

30

0

2

4

6

8

10

タイリクヒメハナカメムシ

2004

E

R

S AA

ボーベリア・バシアーナ菌

F

R

R

F

F

F

R化学区

IPM2区

IPM3区

2003 Sep      Oct  Nov Dec Jan Feb Mar   Apr            

アザミウマの数/10花

ボーベリア・バシアーナ菌

ボーベリア・バシアーナ菌

IPM1区

第4図. タイリクヒメハナカメムシとボーベリア・バシアーナ菌製剤を利用したハウス栽培イチゴのミカンキイロアザミウの防除

ヒメハナカメムシの数/10花

Page 87: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

0

1

2

0

50

1000

1

2

0

50

1000

1

2

0

50

1000

1

2

0

50

100

●:ワタアブラムシ

■:寄生率

コレマンアブラバチ

2004

P

AC

A A

AC

AC

AC

IPM1区

化学区

IPM2区

IPM3区

     Sep      Oct  Nov Dec Jan Feb Mar   Apr            2003

第4図.コレマンアブラバチを利用したハウス栽培イチゴのアブラムシ防除

ワタアブラムシの数/株

寄生蜂による寄生率(%)

Page 88: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

今後の普及に当たって• 分かりやすく、安定的な体系の確立• ハダニチリカブリダニ、ミヤコカブリダニ

→ ゼロ放飼、リセット(ダニ剤)

ハダニに有効な粒剤の探索と登録

物理的殺虫剤の利用(スケージュール散布)

• アブラムシ粒剤処理(定植時、マルチ前)

コレマンアブラバチ(臨機放飼)

Page 89: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

新しい取り組みミカンキイロアザミウマに対して

Typhlodromips swirskii アカメガシワクダアザミウマ

Page 90: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

• ハスモンヨトウ(オオタバコガ)1.BT剤、IGR剤→ (薬剤散布回数多)

2.核多核体ウイルス

幼虫寄生蜂(Microplitis manirae)3.黄色灯

Page 91: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

イチゴ苗の処理

試作した温湯処理装置

Page 92: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

温湯浸漬法

48℃-5分50℃-1分

50℃-1分

48℃-1分

ハスモンヨトウ(2齢)

48℃-1分50℃-1分

50℃-30秒

48℃-2分

ワタアブラムシ

53℃-3分47℃-3分

47℃-7分50℃-3分

48℃-2分50℃-1分

防除効果(100%)の温度と時間

50℃-7分45℃-5分致死温度と時間

カンザワハダニ

ミカンキイロアザミウマ

48℃、5分と50℃、3分でイチゴ苗への直接的な障害、その後の 生育、開花への影響はない。

うどんこ病菌は、45℃、3分30秒、50℃、30秒で完全に 不活化する(小板橋・西村:2001)

複数の病害虫の同時防除法として期待される。

Page 93: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

温湯消毒用装置 福岡県専技 藤吉 原図

Page 94: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

- 1 -

普及技術としてのイチゴ主要害虫の 体系の構築上の課題IPM(福岡県の促成栽培イチゴにおけるカブリダニを核とした )IPM

福岡農総試・嶽本弘之

1 ハダニ類に対するカブリダニ類のスケジュール放飼の効果(下表)

①チリカブリダニを 月、 月、 月、 月にスケジュール放飼し、マイトコ11 12 1 2ーネフロアブルで補完すると、ハダニ類を長期間抑制する(上段)

②ミヤコカブリダニを 月に、その後はチリカブリダニを放飼すると、チリカブリ11ダニだけの放飼と同等か優れた効果を示す(下段)

0

1

2

3

4

5

6

9/下

10/上

10/中

10/下

11/上

11/中

11/下

12/上

12/中

12/下1/上1/中1/下2/上2/中2/下3/上3/中3/下4/上4/中4/下5/上5/中5/下

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8チリ

ミヤコ

ハダニ

小葉当たりハダニ数

小葉当たりカブリダニ数

チリスケジュール放飼(平成17年度)

MKO A5.2 5.2 5.2 5.2

0

1

2

3

4

5

6

9/下

10/上

10/中

10/下

11/上

11/中

11/下

12/上

12/中

12/下1/上1/中1/下2/上2/中2/下3/上3/中3/下4/上4/中4/下5/上5/中5/下

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8チリ

ミヤコ

ハダニ

ミヤコ+チリスケジュール放飼(平成17年度)

O AK M

小葉当たりハダニ数

小葉当たりカブリダニ数

5.2 5.2 5.25.2

A

チリカブリダニ放 ミヤコカブリダニ放飼

M マイトコーネアカリタッチ N ニッソラン O オサダン

P ピラニカ B バロック K コロマイト N 粘着くん

(数値は㎡当たりの放飼頭数)

Page 95: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

- 2 -

2 福岡県の促成栽培イチゴにおけるカブリダニを核とした (下表)IPM①ミヤコカブリダニまたはチリカブリダニを 月に、チリカブリダニを 月、111 12

11 12 4000 /10a月および2月にスケジュール放飼する 放飼頭数は 月と 月は約 頭。

1月と2月は 頭 とする。2000 /10a②カブリダニ放飼前のハダニをできるだけ抑えておく。そのためには、下表に示す

ようにカブリダニに影響の少ない薬剤で防除する。

③放飼後にハダニが増えた場合には、直ちに、選択的薬剤(マイトコーネフロアブ

ルが最も効果的)で補完防除する。

④放飼後は、他の病害虫に対してもカブリダニに影響の少ない選択的薬剤だけを用

いる。ワタアブラムシにはコレマンアブラバチを使用することが望ましい。

Page 96: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

- 3 -

5月

中 収穫終了

4月

3月

2月

1月

12月

11月

上 玉だし

10月

上 マルチ被覆

中 ビニル被覆

下ミツバチ搬入ジベ処理

9月

中 定植

月 旬 管理作業等 防除の考え方と使用する防除資材

オオタバコガ・ハスモンヨトウの重点防除

チリカブリダニ

コレマンアブラバチの放飼適期

アブラムシの発生に気付いたら、すぐに放飼を始める

アザミウマ類の予防的防除

天敵類に影響の少ないマッチ・カスケードを使用する

仕上げ防除

アザミウマ類に重点を置き、アーデント・スピノエース・モスピランを使用する

天敵への影響は考える必要ない

チリカブリダニ

ミヤコカブリダニ

または

チリカブリダニ

チリカブリダニ

コロマイト

アカリタッチ

オサダン

カブリダニに影響の少ない薬剤でハダニの密度を抑える

アザミウマにも効果のある薬剤を選択

Page 97: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

普及技術してのイチゴ主要害虫のIPM体系を構築する上での課題

福岡県におけるカブリダニを核としたIPM

福岡県農業総合試験・病害虫部

コレマンアブラバチ

2006年8月3日

Page 98: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

施設栽培野菜での防除の現状と課題

農業生産環境は病害虫防除を助長する

効果の判定が容易使用方法が簡単 コストが低い

品質を重視した品種選定 病害虫抵抗性の欠落

施設化による周年栽培 微小害虫の発生

外観を重視した市場評価 過剰な防除の助長

貿易の自由化 侵入病害虫の発生

病害虫防除は農薬に大きく依存している

農薬使用量の削減が求められている

安全・安心な農産物(消費者の要望)

労力削減・薬剤抵抗性対策(生産者の利点)

Page 99: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

総合的病害虫管理(IPM)

生物的防除法 天敵昆虫類・微生物など

化学的防除法

物理的防除法

その他防除法

選択的農薬など

防虫ネット・黄色蛍光灯など

交信攪乱フェロモンなど

農薬使用を如何にして削減するか

農薬への依存をいかに減らすか

Page 100: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

主要な害虫に登録のある天敵の種類数

アブラムシ類

コナジラミ類

ハモグリバエ類

アザミウマ類

ハダニ類

Aphid

Thrips

Spider mite

Whitefly

Leaf miner

2種類

5種類

5種類

6種類

2種類

登録種類数害虫名

Page 101: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

どうやって使うか、全然分らない

さあ、実際に天敵を使ってみよう!

主な登録天敵の使用方法

天敵の種類 使用量 使用時期 使用回数

2000頭/10aチリカブリダニ 発生初期 -

コレマンアブラバチ

タイリクヒメハナカメムシ

500~1000頭/10a

500~2000頭/10a

発生初期

発生初期

もっと具体的な使用方法を確立し、普及に移す必要がある

Page 102: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

こりゃ簡単で、よく効くね

安全で安心な農産物の提供産地の強化・

活性化

誰でもできるIPM

天敵昆虫類

拮抗微生物

防虫ネット

黄色蛍光灯

選択的農薬

利用技術の確立技術のマニュアル化

総合病害虫管理の普及戦略

Page 103: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

チリカブリダニ

対象病害虫

ハダニ類

生物農薬 技術確立状況

コレマンアブラバチ

マニュアル作成

普及状況

福岡県の施設野菜における生物農薬の技術確立と普及状況

アブラムシ類 マニュアル作成 ×

アザミウマ類

イチゴ ククメリスカブリダニ、

タイリクヒメハナカメムシボーベリア・バシアーナ

未確立 ×

アザミウマ類 タイリクヒメハナカメムシ 未確立 ×

アブラムシ類 コレマンアブラバチ ほぼ確立 ×

コナジラミ類 ツヤコバチ類等 未確立 ×

ハモグリバエ類 ハモグリミドリヒメコバチ マニュアル作成 ×

コナジラミ類 オンシツツヤコバチ マニュアル作成 ×

トマト

Page 104: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

~平成11年度

野菜茶試久留米:イチゴでのチリカブリダニの放飼技術を確立

福岡県でのチリカブリダニ導入・普及の経緯

平成12年度

福岡農総試:チリカブリダニの放飼技術(年内からのスケジュール放飼)の有効性を現地圃場で実証し、利用マニュアルを作成

月旬 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下 上 中 下

管理作業等

防除資材

9月 10月 11月 12月 5月1月 2月 3月 4月

定植

マルチ被覆

ビニル被覆

収穫終了

チリカブリダニ

チリカブリダニ

チリカブリダニ

チリカブリダニ

スケジュール放飼

2000~3000頭/10a

Page 105: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

0

5

10

15

20

25

30

9中 9下 10上 10中 10下 11上 11中 11下 12上 12中 12下 1上 1中 1下 2上 2中 2下 3上 3中 3下

↓ ↓ ↓ ↓

ハダニ類の密度

戦略:年内から定期的に放飼する(↓)

無放飼思惑どおりにいくのか?

放飼

9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月

ハダニ類の密度

無放飼

放 飼

年内からのスケジュール放飼

生産者がハダニの発生を把握するのは困難

チリカブリダニの利用戦略

Page 106: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

0

2

4

6

8

10

9中 9下 10上 10中 10下 11上 11中 11下 12上 12中 12下 1上 1中 1下 2上 2中 2下 3上 3中 3下 4上 4中

ハダニ類の密度

↓ ↓↓

↓ ↓ ↓

圃場A:年内放飼

圃場B:年明け放飼

放飼数:約2000頭/10a

ハダニによる被害発生株率

年内放飼 圃場A: 5% 圃場B: 0%

年明け放飼 圃場B:40% 圃場D:20%

9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月

ハダニ類の密度

チリカブリダニの現地実証試験(平成12年度)

Page 107: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

0

5

10

15

20

25

30

9中 9下 10上 10中 10下 11上 11中 11下 12上 12中 12下 1上 1中 1下 2上 2中 2下 3上 3中 3下

↓ ↓ ↓ ↓

ハダニ類の密度

戦略:年内から定期的に放飼する(↓)

無放飼思惑どおりにいくのか?

放飼

9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月

ハダニ類の密度

無放飼

放 飼

年内からのスケジュール放飼

生産者がハダニの発生を把握するのは困難

チリカブリダニの利用戦略

Page 108: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

平成13年度

普及センター・防除所:展示圃や天敵普及事業を活用し、チリカブリダニの利用マニュアルの有効性をさらに実証

平成14~15年度

JA部会:国庫圃場事業を活用し、チリカブリダニを組織的に導入

0

20

40

60

80

100

120

140

12年度 13年度 14年度 15年度 16年度

0

100

200

300

400

500

600

700

12年度 13年度 14年度 15年度 16年度

利用面積(ha) 利用農家戸数

Page 109: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

年度

11年

12年

13年

14年

15年

16年

17年

農総試

県単特別研究(イチゴIPM)

経常・生物機能プロ(イチゴIPM)

普及センター・JA

ふくれん実証圃

6普及センター

輸入農産物対策事業

病害虫防除所

天敵農薬等普及推進事業(実証圃:5)チリカブリダニコレマンアブラバチ

チリカブリダニ

マニュアル

コレマンアブラバチ

イチゴにおける天敵推進の取り組み

輸入農産物対策事業

スケジュール放飼

ふくれん実証圃

JA南筑後・宗像などのイチゴ部会(70戸)

6普及センター

Page 110: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

①天敵の必要性が極めて高い

○農薬に対する抵抗性の発達

チリカブリダニが普及した要因

②天敵が使いやすい

○使い方が単純(マニュアル化できる)

○比較的コストが低く、効果が長い

③推進体制が整っている

○関係機関の協力

○生産部会の組織的取り組み

○天敵以外の有効な資材の欠如

Page 111: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

平成16年度~

あまおうへ全面的に品種更新

ハダニが多発 育苗期~本圃初期(年内)の発生が多い

0

5

10

15

20

25

9-5 10-2 10-5 11-2 11-5 12-3 1-2 1-5 2-2 2-5 3-2 3-5 4-2

ハダニ寄生株率(

%)

平年値

2003年度

2004年度

2005年度

ハダニの寄生株率の年次推移(福岡県病害虫防除所)

Page 112: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

現在(平成16年度以降)の取り組み

あまおうでのIPM体系の確立

殺ダニ剤の有効な利用法

薬剤感受性検定(病害虫防除所)

チリカブリダニの放飼体系の見直し

スケジュール放飼の再評価

ミヤコカブリダニを組み込んだ体系のの評価

ハダニ以外の病害虫の合理的な防除

気門封鎖型薬剤の評価

アザミウマ・チョウ目害虫・うどんこ病に対する農薬代替資材の利用法の確立

再び、現地実証試験に挑戦

Page 113: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

圃場B 圃場C圃場A

12/10

11/12

放 飼月 日

1/ 7

11/19

3.5

3.5

チリ単独 ミヤコ+チリ

3.5

3.5

3.5

3.5

1/14 3.5

現地試験(平成16年度、八女市)の概要

合 計 14.0 17.5

2.8

2.8

5.0

3.7

3.7

3.7

14.0 16.1

4.8

2.4

2.4

2.4

4.8

4.8

14.4 14.4

チリ単独 ミヤコ+チリ チリ単独 ミヤコ+チリ

2/10

3.5

3.5

2.8

2.8

4.8

2.4

注)青はチリ、黄はミヤコの放飼を示す。数字は㎡当たりの放飼頭数。

Page 114: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

7.0

8.0

9.0

10.0

11/上11/中11/下12/上12/中12/下1/

上1/

中1/

下2/

上2/

中2/

下3/

上3/

中3/

下4/

上4/

中4/

下5/

上5/

中5/

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

1.4

1.6

1.8チリ

ミヤコ

ハダニ

A AAM 小葉当たりカブリダニ数

小葉当たりハダニ数

チリ単独;第2棟

圃場A:チリカブリダニ単独放飼区

A:アカリタッチ乳剤 M:マイトコーネフロアブル

:チリカブリダニ

Page 115: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

小葉当たりカブリダニ数

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

6.0

7.0

8.0

9.0

10.0

11/上11/中11/下12/上12/中12/下1/

上1/

中1/

下2/

上2/

中2/

下3/

上3/

中3/

下4/

上4/

中4/

下5/

上5/

中5/

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6チリ

ミヤコ

ハダニOA A M

ミヤコ+チリ:第5棟

小葉当たりハダニ数

小葉当たりカブリダニ数

圃場A:ミヤコ+チリカブリダニ放飼区

:ミヤコカブリダニ :チリカブリダニ

A:アカリタッチ乳剤 M:マイトコーネフロアブル O:オサダンフロアブル

Page 116: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

11/上11/中11/下12/上12/中12/下1/

上1/

中1/

下2/

上2/

中2/

下3/

上3/

中3/

下4/

上4/

中4/

下5/

上5/

中5/

0.0

0.5

1.0

1.5

2.0

2.5

3.0

3.5

4.0チリ

ミヤコ

ハダニ

小葉当たりカブリダニ数

チリ単独

AA M AA A

小葉当たりハダニ数

圃場B:チリカブリダニ単独放飼区

A:アカリタッチ乳剤 M:マイトコーネフロアブル

:チリカブリダニ

Page 117: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

0.0

1.0

2.0

3.0

4.0

5.0

11/上11/中11/下12/上12/中12/下1/

上1/

中1/

下2/

上2/

中2/

下3/

上3/

中3/

下4/

上4/

中4/

下5/

上5/

中5/

0.0

0.1

0.2

0.3

0.4チリ

ミヤコ

ハダニ

ミヤコ+チリ

A AAMA A

小葉当たりハダニ数

小葉当たりカブリダニ数

圃場B:ミヤコ+チリカブリダニ放飼区

:ミヤコカブリダニ :チリカブリダニ

A:アカリタッチ乳剤 M:マイトコーネフロアブル

Page 118: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

1)多発条件でもカブリダニ類のスケジュール放飼と選択的薬剤を組み合わせるとハダニに対する効果が高い

2)チリカブリダニにミヤコカブリダニを組み合わせると、ハダニ類の増減が少なく、防除効果が安定する傾向がある

3)選択的薬剤として、マイトコーネフロアブル、アカリタッチ乳剤、ニッソラン水和剤、オサダンフロアブルが有効である

結果の要約(平成16年度)

今後の対策と課題

カブリダニの効果の向上導入前のハダニ類を抑制する

初期放飼数を増やす

カブリダニの放飼コスト削減

ハダニが増えたら、すぐ補完防除

1回多数放飼の効果

Page 119: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

処理月日 第1棟 第2棟 第3棟 第4棟 第5棟 第6棟9月29日 オサダン オサダン オサダン オサダン オサダン オサダン10月16日 粘着くん 粘着くん 粘着くん アカリタッチ アカリタッチ アカリタッチ10月19日 コロマイト コロマイト コロマイト コロマイト コロマイト コロマイト11月4日 アカリタッチ

チリカブリダニ(2.6頭/㎡)

チリカブリダニ(2.6頭/㎡)

チリカブリダニ(2.6頭/㎡)

チリカブリダニ(2.6頭/㎡)

チリカブリダニ(2.6頭/㎡)

チリカブリダニ(2.6頭/㎡)

チリカブリダニ(2.6頭/㎡)

チリカブリダニ(2.6頭/㎡)

2月14日

12月8日

1月17日

ミヤコカブリダニ(5.2頭/㎡)

チリカブリダニ(5.2頭/㎡)

チリカブリダニ(5.2頭/㎡)

チリカブリダニ(5.2頭/㎡)

チリカブリダニ(5.2頭/㎡)

チリカブリダニ(5.2頭/㎡)

チリカブリダニ(5.2頭/㎡)

11月8日

ミヤコカブリダニ(5.2頭/㎡)+チリカブリダニ(5.2頭/㎡)

ミヤコカブリダニ(10.4頭/㎡)

ミヤコカブリダニ(5.2頭/㎡)

現地試験(平成17年度、八女市)の構成

①放飼前にコロマイト水和剤でハダニの密度を下げておく

放飼体系の改良ポイント

②年内の放飼頭数を従来の2倍に増やす

③1回多数放飼の効果を評価する

Page 120: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

0

1

2

3

4

5

6

9/下10/上10/中10/下11/上11/中11/下12/上12/中12/下1/

上1/

中1/

下2/

上2/

中2/

下3/

上3/

中3/

下4/

上4/

中4/

下5/

上5/

中5/

0.00

0.10

0.20

0.30

0.40

0.50

0.60

0.70

0.80

チリ

ミヤコ

ハダニ

(A) M

平成17年度:ミヤコ+チリ1回放飼(第1棟)

小葉当たりハダニ数

小葉当たりカブリダニ数

5.2

5.2

O N K

A

チリカブリダニ放 ミヤコカブリダニ放飼 M マイトコーネアカリタッチ N ニッソラン O オサダン

P ピラニカ B バロック K コロマイト N 粘着くん

(数値は㎡当たりの放飼頭数)

Page 121: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

0

1

2

3

4

5

6

9/下10/上10/中10/下11/上11/中11/下12/上12/中12/下1/

上1/

中1/

下2/

上2/

中2/

下3/

上3/

中3/

下4/

上4/

中4/

下5/

上5/

中5/

0.00

0.10

0.20

0.30

0.40

0.50

0.60

0.70

0.80

チリ

ミヤコ

ハダニ

平成17年度:ミヤコ1回放飼(第2棟)

小葉当たりカブリダニ数

小葉当たりハダニ数

10.4

O N K

A

チリカブリダニ放 ミヤコカブリダニ放飼 M マイトコーネアカリタッチ N ニッソラン O オサダン

P ピラニカ B バロック K コロマイト N 粘着くん

(数値は㎡当たりの放飼頭数)

Page 122: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

0

1

2

3

4

5

6

9/下10/上10/中10/下11/上11/中11/下12/上12/中12/下1/

上1/

中1/

下2/

上2/

中2/

下3/

上3/

中3/

下4/

上4/

中4/

下5/

上5/

中5/

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8チリ

ミヤコ

ハダニ

平成17年度:ミヤコ+チリ複数回放飼(第4棟)

O A K M

小葉当たりハダニ数

小葉当たりカブリダニ数

5.2 5.2 2.62.6

A

チリカブリダニ放 ミヤコカブリダニ放飼

M マイトコーネアカリタッチ N ニッソラン O オサダン

P ピラニカ B バロック K コロマイト N 粘着くん

(数値は㎡当たりの放飼頭数)

Page 123: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

0

1

2

3

4

5

6

9/下10/上10/中10/下11/上11/中11/下12/上12/中12/下1/

上1/

中1/

下2/

上2/

中2/

下3/

上3/

中3/

下4/

上4/

中4/

下5/

上5/

中5/

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

チリ

ミヤコ

ハダニ

小葉当たりハダニ数

小葉当たりカブリダニ数

平成17年度:チリ複数回放飼(第5棟)

MKO A5.2 5.2 2.6 2.6

A

チリカブリダニ放 ミヤコカブリダニ放飼 M マイトコーネアカリタッチ N ニッソラン O オサダン

P ピラニカ B バロック K コロマイト N 粘着くん

(数値は㎡当たりの放飼頭数)

Page 124: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

0

1

2

3

4

5

6

9/下10/上10/中10/下11/上11/中11/下12/上12/中12/下1/

上1/

中1/

下2/

上2/

中2/

下3/

上3/

中3/

下4/

上4/

中4/

下5/

上5/

中5/

0

0.1

0.2

0.3

0.4

0.5

0.6

0.7

0.8

ミヤコ

チリ

ハダニ

平成17年度:チリ複数回放飼(6棟目)

KO A MA

2.62.65.25.2

A

チリカブリダニ放 ミヤコカブリダニ放飼 M マイトコーネアカリタッチ N ニッソラン O オサダン

P ピラニカ B バロック K コロマイト N 粘着くん

(数値は㎡当たりの放飼頭数)

Page 125: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

あまおうでのカブリダニ放飼体系(暫定)

○ スケジュール放飼法の改良

①放飼約2週間前にコロマイト水和剤、直前にアカリタッチ乳剤

を散布し、ハダニの密度を下げておく

②カブリダニを11月、12月、1月、2月にスケジュール放飼する。

第1回放飼にはミヤコカブリダニまたはチリカブリダニ、その後はチリカブリダニを用いる

③放飼頭数は年内では4~5頭/㎡、年明け後は2~3頭/㎡

とする。

④ハダニが増えたら、直ちにマイトコーネフロアブルで補完する。

○ 一回多数放飼法

①は上と共通

②ミヤコカブリダニをビニル被覆後(11月上旬頃)に約10頭/

㎡放飼する。

③ハダニが増えたら、直ちにマイトコーネフロアブルで補完する。

Page 126: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

0

10

20

30

40

50

60

70

放飼区

無放飼区

10月 11月 12月 1月 3月2月 4月

アブラムシ密度

(複葉当たり

天敵放飼(500頭/10a)

図1 アブラムシに対するコレマンアブラバチの密度抑制効果(平成14年)

注)キャッツアグリシステムズのコレマンアブラバチを試験に用いた

1.4頭/複葉

チェス水和剤(3000倍)

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

放飼区

無放飼区

10月 11月 12月 1月 3月2月 4月

寄生

(マミー

)率 

(%

図2 試験圃場における寄生(マミー)率の推移(平成14年)

天敵放飼(500頭/10a)

注)寄生(マミー)率=マミー数/(マミー数+アブラムシ数)×100

アブラムシの発生初期に放飼すれば、翌春までほぼ完璧にアブラムシの発生を抑制する

ワタアブラムシに対するコレマンアブラバチの効果(平成14年、場内試験)

Page 127: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

1.4

10/下11/上11/中11/下12/上12/中12/下 1/上

1/中

1/下

2/上

2/中

2/下

3/上

3/中

3/下

4/上

4/中

4/下

5/上

5/中

ハウス内

ハウス外

0.0

0.2

0.4

0.6

0.8

1.0

1.2

1.4

10/下11/上11/中11/下12/上12/中12/下 1/上

1/中

1/下

2/上

2/中

2/下

3/上

3/中

3/下

4/上

4/中

4/下

5/上

5/中

0.0

0.4

0.8

1.2

1.6

2.0

2.4

10/下11/上11/中11/下12/上12/中12/下 1/上

1/中

1/下

2/上

2/中

2/下

3/上

3/中

3/下

4/上

4/中

4/下

5/上

5/中

0.0

0.4

0.8

1.2

1.6

2.010/下11/上11/中11/下12/上12/中12/下 1/上

1/中

1/下

2/上

2/中

2/下

3/上

3/中

3/下

4/上

4/中

4/下

5/上

5/中

A圃場

C圃場

D圃場

B圃場

(頭

/

/

ップ

促成栽培イチゴでのアザミウマの発生消長

調査場所:八女市の4ハウス

調査方法:ハウス内外に設置した粘着トラップへのアザミウマの捕獲数

調査結果:

①秋期(一番花の開花期)にハウスに侵入②ハウス内で越冬し、2月下旬頃より増加③春季のハウス外からの侵入は4月下旬以降

秋期の侵入防止が重要

Page 128: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

月 旬 管理作業等 防除の考え方と使用する防除資材

9月

中 定植

10月

上 マルチ被覆

中 ビニル被覆

下ミツバチ搬入ジベ処理

11月

上 玉だし

12月

1月

2月

3月

4月

5月

中 収穫終了

オオタバコガ・ハスモンヨトウの重点防除

チリカブリダニ

コレマンアブラバチの放飼適期

アブラムシの発生に気付いたら、すぐに放飼を始める

アザミウマ類の予防的防除

天敵類に影響の少ないマッチ・カスケードを使用する

仕上げ防除

アザミウマ類に重点を置き、アーデント・スピノエース・モスピランを使用する天敵への影響は

考える必要ない

チリカブリダニ

ミヤコカブリダニ

または

チリカブリダニ

チリカブリダニ

コロマイト

アカリタッチ

オサダン

カブリダニに影響の少ない薬剤でハダニの密度を抑える

アザミウマにも効果のある薬剤を選択

促成栽培イチゴでのIPM

ハダニ:

カブリダニのスケジュール放飼放飼前の薬剤によるハダニ抑制

アブラムシ:

コレマンアブラバチ放飼又はモスピラン・バリアード

アザミウマ:

侵入時期(秋期)・増殖開始時期(2月下旬)、急増期(4月中下旬)の薬剤防除又は光反射シート、防虫ネット

ヤガ類幼虫:

IGR剤、BT剤又は黄色蛍光灯、緑色蛍光灯

Page 129: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

福岡県八女地域での

イチゴの天敵利用

福岡県八女地域農業改良普及センタ-國 武 孝 浩

イチゴのIPM技術の普及にあたっての問題点とノウハウ(1)

-福岡県での事例-

Page 130: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

八女地域の概要

2市4町2村

標高5~700mに位置する

年平均 13.5~16℃

降水量 1800mm

茶・キク・イチゴ・トマト

キウイフルーツなど多くの

品目で県内のトップ産地

Page 131: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

八女地域のイチゴ生産概況

◎ 品種 「あまおう」

◎ 部会員 586戸、 127ha (17年産)

◎ 平均経営面積 600坪前後、 収量 3.8t/10a

◎ 60才以上が30 %と高齢化が進展

◎ 高設採苗・棚式育苗施設の導入が40 %以上、高設栽培が10%前後

Page 132: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

高設採苗施設 棚式育苗施設

高設栽培施設

Page 133: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

八女地域のイチゴ生産の流れ

○ U

 U 鉢上げ、 ○ 定植、 □ 収穫

6 79 10 11 812 1 2 3 4 5

収穫開始

後片付け

定植

収穫終了

ビニル被覆

加温開始

加温終了

ミツバチ導入

親株定植

苗鉢上げ

株冷・夜冷入庫

Page 134: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

問題になっている病害虫(薬剤防除回数が多いもの)

炭疽病、うどんこ病ヨトウ・タバコガ類、アザミウマ類、ハダニ類

ハダニについては、薬剤の散布回数が多くても、結果的に多発してしまうほ場が多い

多発要因は・ 忙しくて防除が遅れている・ 開花・収穫ピークでは、果実への影響から防除を控える・ 薬剤が、葉裏にキチンにかかっていない・ 高齢者は、被害が発生して初めて発生に気づいている・ 薬剤抵抗性の発達

Page 135: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

天敵の導入状況

カブリダニ類15年産では、すでに200戸で導入(推定)16年産 チリカブリダニ 1300本 ミヤコカブリダニ 240本17年産 チリカブリダニ 900本 ミヤコカブリダニ 160本

→ チリカブリダニ篤農家だけが導入しているのではなく、高齢者も導入

→ ミヤコカブリダニ16年産から導入、特性がよく理解されてない

コレマンアブラバチ単発で導入 → 発生してからの化学薬剤防除で間に合っ

ているので、単品でのメリット少ない

Page 136: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

天敵の導入経過

◎ 13年度に、IPM普及推進事業(県単)が実施され、各普及センターで現地実証ほを設置

良好な成績で、導入がすすんだ

◎ 16年度に、天敵農薬等普及推進事業(県単)が実施され、現地実証ほを設置

当初から、「天敵利用マニュアル」に基づいた資料を作成し、講習会などで説明

Page 137: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

カブリダニ類の推進

福岡県農総試で作成された「天敵利用マニュアル」に沿った、スケジュール散布が基本

◎ 低密度時から、予防的にスケジュール放飼

◎ 少ない放飼量で、回数を多くして定着を向上

◎ 発生消長をもとに、ポイントの時期に放飼し、ハダニ類が見えない高齢者も活用できる

Page 138: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

生産者にとって、病害虫防除はあくまで栽培の一部分普及指導員・JA指導員にとっても、あくまで栽培指導の

一部分で、天敵そのものへのこだわりはない

結果的に導入して効果がなかったと判断した場合は、次作から導入しないという農家もいるが、現実に毎作これだけの本数が導入されている

導入の効果が確実に評価されている

Page 139: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

現在の全体指導は

◎ 講習会資料には、要点をまとめた資料で必ず説明◎ 試験場などの成果を、講習会などで説明◎ 現地試験の実施・ 導入したことがない人には、ほ場で実際に見せると効果

高い・ 試験結果をもとに、さらに資料の改訂

導入ほ場が多く、とても全戸は回れない誰が、いつ購入しているかの把握も困難

個別に相談がなければ、一般の現地講習会などで巡回した際に指導する程度 → 既に位置付けは基幹技術

Page 140: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

講習会資料

ハダニ類(ナミハダニ、カンザワハダニ)の卵・若虫・成虫を餌とするチリカブリダニ

を低密度時から放飼することで、長期間ハダニ類の発生を抑えることができる。(不安定な

場合もある)

【 放飼時期 】

パターン1(年内薬剤防除 + 年明け天敵によるダニ防除) 1回目 2回目

10 月 11 月 12 月 1月 2月 3月 4月

パターン2(年内天敵放飼) 1回目 2回目 3回目 4回目 ~~ ~

10 月 11 月 12 月 1月 2月 3月 4月

【 放飼量 】 1回当たり 10aに1ボトル(2000 頭)を均一に散布するのが基本であるが、パター

ン1では1回目、パターン2では1~2回目に、2ボトル/10a(4000 頭)放飼する

のが望ましい。

また、多発傾向の年や、ハダニ発生後に導入する場合、ハダニが急激に増加し始める

1 月中~下旬の放飼などは少し多めに放飼するなど、状況に応じて放飼量を増減する。

Page 141: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

【 ミヤコカブリダニ 】 ミヤコカブリダニは、チリカブリダニと比較して饑餓耐性が強く(ハダニがいなくても

花粉を食べて生存)、高温にも強いが、捕食量は少ない。

よって、ハダニ類が低密度であるパターン2の1回目放飼には有効であるが、厳寒期や

すでにハダニの発生が確認される状態では、必ずチリカブリダニを放飼する。

【 使用上の注意 】 ・ 天敵であるので即効性はなく、ハダニ類の密度が高くなってからでは効果が期待で

きないので、ハダニ類の密度が増加する前から予防的にスケジュ-ル散布する。 ・ チリカブリダニを放飼する前や、ハダニが増加傾向で追加放飼する場合には、必ず

薬剤防除でハダニ密度を低下させてから放飼すること。 密度が高い場合:マイトコーネフロアブル---影響なし、即時放飼可能 コロマイト水和剤 ---影響あり、14日以上放飼を避ける 密度が低い場合:アカリタッチ乳剤 ---影響なし、即時放飼可能

Page 142: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

・ チリカブリダニを放飼後でも、ハダニ類が増加傾向にあれば、早めに影響の少ない薬

剤でハダニ密度を低下させることが望ましい。 ・ チリカブリダニは、温度が高いほど生育日数は短くなり捕食量は多くなるが、35℃

以上では捕食を停止する。 ・ 発注から届くまでに1週間程度かかるので、早めに手配する。 到着したらすぐ放飼するが望ましいが、当日放飼できない場合は冷暗所で保管し、

翌日早めに放飼する。 ・ 放飼前後の農薬使用には十分注意する。特に殺虫剤には注意が必要である。

ロディ乳剤 84日、アディオン・アグロスリン84日、ランネート28日

マブリック水和剤42日、ディプテレックス乳剤14日

アーデント水和剤 近縁種では21日以上、コロマイト水和剤14日以上

Page 143: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

・ チリカブリダニに影響が少ない殺虫剤は以下のとおりである。

殺菌剤については、トップジンM水和剤、ベンレート水和剤、モレスタン水和剤以外

であれば影響はない。

チリカブリダニ放飼中でも散布できる殺虫剤 対象害虫名 農薬名

ハスモンヨトウ

レピタームフロアブル、ゼンターリ顆粒水和剤、 デルフィン顆粒水和剤、フローバックDF カスケード乳剤、アタブロン乳剤、ノーモルト乳剤

プレオフロアブル

ハ ダ ニ 類 マイトコーネフロアブル、アカリタッチ乳剤 ニッソラン水和剤、オサダンDF

アブラムシ類 チェス水和剤、バリアード顆粒水和剤、 モスピラン水溶剤

ミカンキイロアザミウマ マッチ乳剤、カスケード乳剤、モスピラン水溶剤、 スピノエ-ス顆粒水和剤

Page 144: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

現在の指導のポイント

◎ 必ず低密度時に導入

導入前に、一律薬剤防除も検討

◎ 導入していても、ハダニが増加していると感じればすぐに補正防除を実施

安心しない・よく観察する・早目に手を打つ少し増加: アカリタッチ多発時: マイトコーネ、コロマイト

◎ いつまで天敵主体でもたせればよいのかを考える無駄な追加放飼はしない

場合によってはあきらめも肝心・・・

Page 145: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

天敵導入のメリットを整理すると

◎ 導入していれば多発少ない、もしくは増加が遅い→ 低密度時に手を打つ・薬剤抵抗性ないので安定

◎ 開花・収穫時期に薬剤散布がないので、果実の品質向上

◎ 化学合成農薬の使用量低減

◎ 省力化になる

残念ながら、現状ではコスト低減になるとはいえない

Page 146: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

導入ほ場での事例

増加箇所に目印 調査データーをほ場で記録

スポット的な多発部分はあきらめる 生産者自作のコレマンアブラバチバンカー

Page 147: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

天敵導入での問題点 1

天敵主体で最後までハダニをおさえられない場合あり

◎ 苗からの持込みが多く、育苗期・初期生育期の防除も重要

◎ 放飼後の薬剤散布には注意しているが、放飼前の薬剤散布には以外と無頓着(ロディ・ランネートなど)

◎ ハダニ密度が高いのに、よく観察しないで放飼

◎ 放飼後の観察がない場合が多い特に高齢者は、状況確認せずスケジュールどおり放飼

Page 148: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

◎ 殺虫剤の使用量低減で、通常あまり問題にならない害虫が多発したりする

◎ アザミウマ類の多発で、終了する場合あり

◎ 株が立性の品種「あまおう」に更新され、以前より

ハダニの増殖が早い?

◎ 現状では、必要に応じて補正防除が必要補正防除の目安が難しいという意見も多い

◎ 高温になる、4月以降の効果が不安定

Page 149: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

問題点 2

導入した効果が、適正に評価されていない

導入後の観察が不十分なため、天敵が定着したのか、本

当に効果があったのかおさえられてない結局、最終的にハダニが多発したか、しなかったかだけ

での判断になっている

○ 結果的にハダニが多発した場合は、原因は不明のまま、それ以降の天敵導入なし○ 技術の向上がない○ フィードバックできる情報が少ない

Page 150: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

問題点 3

現状では、天敵を使用していても、販売面でのメリットがない

・ 効果の面から、最後まで天敵中心でいけない場合もある・ ハダニ以外の防除回数も多い・ 防除回数が、○回が○回に減らせるともいえない・ 部会員が多く、全体での取り組みになりにくい

よって天敵を使用していることを、販売面での宣伝に使えない

Page 151: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

問題点 4

慣行防除より、コストがかかる

慣行防除でのハダニ・アブラムシ防除試算 (10a 当たり 200 リットル散布の場合 ) 9 月 ハダニ コテツフロアブル 2000 倍 2016 円

10 月 ハダニ バロックフロアブル 2000 倍 1734 円 ハダニ アファ-ム乳剤 2000 倍 2044 円 11 月 ハダニ サンマイトフロアブル 1000 倍 2520 円 ハダニ コロマイト水和剤 2000 倍 1728 円 アブラムシ チェス水和剤 3000 倍 745 円 12 月 アブラムシ モスピラン水溶剤 4000 倍 1612 円 2 月 アブラムシ モスピラン水溶剤 4000 倍 1612 円 3 月 ハダニ マイトコ-ネフロアブル 1000 倍 1675 円 ハダニ オサダンDF 2000 倍 1356 円 4 月 ハダニ コロマイト水和剤 2000 倍 1728 円 アブラムシ チェス水和剤 3000 倍 745 円 合計 19、515円 散布時間計 24h

Page 152: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

天敵導入でのハダニ・アブラムシ防除試算 (10a当たり 200 リットル散布の場合) 9月 ハダニ コテツフロアブル 2000倍 2016円

10月 ハダニ バロックフロアブル 2000倍 1734円 ハダニ コロマイト水和剤 2000倍 1728円 11月 ハダニ チリカブリダニ 2000頭 5800円 アブラムシ コレマンアブラバチ 500頭 5800円

アブラムシ コレマンアブラバチ 500頭 5800円 12月 ハダニ チリカブリダニ 2000頭 5800円 1月 ハダニ チリカブリダニ 2000頭 5800円 2月 ハダニ チリカブリダニ 2000頭 5800円

合計 40、278円

散布時間計 7.6h

※ 散布薬剤は、代表的な薬剤を選定し試算した。 ※ 散布時間は、慣行薬剤1回当たり2h、チリカブリダニ 0.25h、アブラバチ 0.05hとした。

Page 153: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

生産者にすすめる際には・・・

カブリダニ類は、ハダニ類が多発しないための保険

天敵は、化学農薬を減少させ、省力化になる、ハダニ類防除のひとつの手段

導入していれば多発は少ない・遅らせるが、現状では必ず最後まで天敵だけでハダニの増加をおさえられるものではなく、状況によって補正防除が必要

生産者は、コストがかかっていることもあり、導入したら固執したがるが、保険と考えて多発したら途中から慣行防除に移行してもメリットはある

Page 154: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

今後の方向・要望など

◎ さらに安定して効果があがるよう技術を改良

導入ほ場への現地指導には、時間的に限界がある

現在は、ほ場の観察が不可欠であり、状況によって補正防除が必要 → そこでの判断も難しい

補正防除の回数を減らす・化学合成農薬の回数低減

誰が使用しても、完全スケジュール散布で効果が安定する技術を確立する

Page 155: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

◎ IPMの構築アザミウマ類の技術確立ができれば、害虫はメドがつくそうなれば、天敵類や黄色蛍光灯もさらに導入増加天敵類への影響が不明の薬剤をなくす

◎ 価格が安くなれば・・・導入ほ場・回数は増加し、技術も早く確立する

◎ 大規模農家にすすめられるか?省力化になり、導入していれば多発少ない・遅いもっと効果が安定できれば、大規模化への一つの大き

な方策になる

Page 156: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

- 1 -

イチゴの 技術普及にあたっての問題点とノウハウ(2)IPM- 宮城県での事例 -

亘理農業改良普及センター

技術主査 小野寺康子

1.亘理地域の産地背景

宮城県東南端に位置する亘理地域(亘理町、

山元町)は仙台市の南に位置し、南は福島県に

接している。また、東は太平洋に面し、西は阿

武隈山系に長く連なっている。気象条件は夏に

は涼しい海洋性気候、冬は温暖で降雪量も少な

く比較的日射量が多い。年間降水量 、1,230mm年平均気温 ℃と県内では最も温暖な地域で11.6施設園芸作物には適した気候である。このよう

な条件を生かし、イチゴでは東北最大の産地を

形成している。この地域でのイチゴ栽培面積は

ha、栽培者数は 人ほどで年間 t100 450 4,000。 、を地元仙台や北海道へ出荷している 亘理地域でのイチゴ栽培は昭和 年代から始まり20

昭和 年代にパイプハウスの普及が進み「ダナー」の株冷栽培から施設を利用した本格30的なイチゴ栽培が始まっている。その後は「麗紅 「女峰」などの品種が導入され、現在」

は栽培面積の が「とちおとめ 、 を「さちのか」が占めている。60% 40%」

2.亘理地域における天敵利用

防除管理と病害虫の発生イメージ :化学農薬による防除 :天敵製剤による防除

化学農薬防除 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月

いちご栽培管理 定植 開花ミツバチ導入

収穫

ウドンコ

スリップス

コナジラミ

ハダニ

Page 157: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

- 2 -

現在亘理地域で発生が見られる害虫はハダニ、オンシツコナジラミ、スリップス、ホ

コリダニ、アブラムシである。これまでの化学農薬のみを使用した防除体系では、ハダ

ニの防除は農薬、使用回数に制約をうけることが多かった。また、害虫の中では薬剤抵

抗性がつきやすいことなどから、天敵を利用した防除技術の導入が始まった。イチゴで

( 、 )の天敵利用は主にハダニを対象としたカブリダニ チリカブリダニ ミヤコカブリダニ

による防除が主体である。いずれも農薬的使い方よりも、天敵生物の増殖を待ち、ハウ

ス内で害虫と一緒に共存させて防除する使用方法である。

1)チリカブリダニの利用

平成8年頃から生産者一人に集中して定着後の観察と防除の指導を行った。試験場、

JA担当職員と一緒にハウス内の天敵と害虫の密度を観察しながらハダニの効果的な防

除を検討した。技術的なノウハウを蓄積した平成 年頃から徐々に地域的な広がりを持12たせる取り組みを始めた。試験場からの勧めもあって成功事例の多い「春放飼」から天

敵の利用を地区の生産者数名に研修会などで勧めた。水稲の作業が始まる農繁期にハダ

ニの防除効果が見え、口コミで利用者が増えたが、導入のタイミングが難しいので利用

者は少しずつしか増えなかった。

2)ミヤコカブリダニの利用

平成16年に栽培現地と試験場でも同時に導入を行った。飢餓耐性が高いことなどか

ら予防的に利用できる特徴を生かし、主に秋放飼を行いハダニ防除を行った。導入は各

部会毎に展示的な圃場を設け、定期的に観察を行い担当生産者や、部会員の関心を高め

た。展示圃は1つの部会に対して複数生産者に対して設け、天敵防除を行っている生産

者同士の情報交換ができるようにした。継続して観察した結果はまとめて部会の検討会

等に常にフィードバックし、生産者に報告するようにした。チリカブリダニと違い「ハ

ダニがいない時に放飼」することとし、天敵導入に関する指導も単純化することができ

た。利用者は短期間で増えた。

天敵秋放飼による防除 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月

ハダニ

天敵(ミヤコカブリダニ)

天敵春放飼による防除 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月 4月 5月 6月

ハダニ

天敵(チリカブリダニ)

Page 158: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

- 3 -

3.天敵防除技術の普及手段

天敵防除技術を導入するに当たって普及センターは、試験場、生産者、JAと情報を

共有する橋渡し役となるべき。特に地域で初めての技術導入時は成功事例となるよう放

飼前の防除スケジュールを組むなど指導の徹底をはかることが必要。また、現地の状況

を生産者や周囲の関係者に研修会等を通じて常にフィードバックすることが普及拡大に

つながる。

1)生産者同士の口コミ

生産者自身の天敵防除の効果の実感をもってもらう。栽培者同士の話は最も波及効果

が高い。たとえ天敵防除が失敗してもうまくいかなかった原因がわかれば、生産者は天

。 。敵の利用を続ける場合が多い 普及員はその原因を一緒に考えられるようになるとよい

2)レンズを通した観察と予察

簡単に生産者が天敵を見られるよう工夫する。焦点が合わせやすいレンズをわたして

見てもらう。定期的な観察を続けていくとうまくいけば天敵が害虫を食べているシーン

。 。 、 、 。がある 効果を実感できる最も効果的な場面である 卵 幼虫 ハダニの観察ができる

防除薬剤の検討も実際の生育ステージを可能な限り生産者に見せながら説明すると理解

しやすい。

3)パンフレット作成と配布

天敵に関する情報を載せたパンフレットを用いる。収穫期間が長いため、作型全体の

天敵を利用した防除イメージがつかめるパンフレットを作成した。配布は普及員または

農協の窓口にて随時行った。 パンフレットに現場での事例を載せることにより、より説

得力のある話ができる。多数の人に説明するのに有効 (次ページ図参照)。

4)関係機関( ・試験場)との連携JA天敵は生き物であるために注文、配達、放飼等の面で農薬とは扱いが異なる。担当職

員のやり方次第で失敗することもある。生産者への普及と同時に指導者同士の情報交換

。 。も密にしておくべき 試験場での天敵に関するバックデータがあると指導上参考になる

現場で解決できない疑問を試験場に要望としてあげることも今後の技術開発に有効。各

関係機関との連携があると普及は速い。

Page 159: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

- 4 -

Page 160: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

- 5 -

4.今後の天敵防除の普及と技術上の問題点

1)他の害虫防除と化学農薬防除剤の使用

天敵を利用した場合問題になるのが他の害虫防除に使用できる薬剤の選択である。使

用できるダニ剤もそう多くはない。今後はオンシツコナジラミの防除が問題になると思

われる。カブリダニを利用した場合防除に使用できる農薬はほとんどない。天敵を利用

するようになると有機燐系の殺虫剤の使用がないため、これまで同時防除されていた他

の害虫(ホコリダニ等)の発生が見られる。

2)栽培技術との関連性

。 。作型により草勢が異なる 基本的には正常に生育している株にハダニの発生は少ない

ハダニの被害は何らかの原因による草勢が低下している株に多い。ハダニ発生の初発は

苗による持ち込みがほとんどである。

栽培品種による葉の形態や堅さと関連があるのではないか?天敵の定着のしやすさを

順にあげると「とちおとめ」>「さちのか」≒「もういっこ」 となるようである。※

※「もういっこ :宮城県で育成した新品種。大果でうどんこ病に強い。」

3)天敵利用で観察力を引き出す

レンズを通した観察により生産者自身が自ら防除を組み立てられるようになる。薬剤

の特徴が理解できていれば可能である。普及員が生産者と一緒に丁寧な観察を行うこと

により、普及員自身の観察力もつく。虫だけではなく、周辺の状況、花の状態などこれ

まで見ていなかった部分が見えてくる。

Page 161: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

イチゴのIPM技術普及にあたっての問題点とノウハウ(2)宮城県での事例

宮城県亘理農業改良普及センター宮城県亘理農業改良普及センター

技術主査技術主査 小野寺康子小野寺康子

Page 162: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

1.亘理地域の産地背景1.亘理地域の産地背景

Page 163: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

イチゴ生産の概要イチゴ生産の概要

生産者450名、生産者450名、 面積面積100ha、100ha、 生産額40生産額40

億億

品種は「とちおとめ」、品種は「とちおとめ」、「さちのか」「さちのか」

水稲と労力が競合水稲と労力が競合

Page 164: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

取り組みのきっかけはハダニの薬剤抵抗性取り組みのきっかけはハダニの薬剤抵抗性発達発達

天敵を圃場に定着させて世代交代をすすめ、天敵を圃場に定着させて世代交代をすすめ、要防除水準を上回らないようにする方法要防除水準を上回らないようにする方法

2.亘理地域における天敵利用2.亘理地域における天敵利用

Page 165: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

栽培管理と防除体系栽培管理と防除体系

Page 166: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

1)チリカブリダニの利用1)チリカブリダニの利用

1.特定の生産者に集中し定期的に調査を行い1.特定の生産者に集中し定期的に調査を行いながら観察、防除薬剤の選択、情報提供を行ながら観察、防除薬剤の選択、情報提供を行うう

2.JA担当者の理解2.JA担当者の理解

一緒に観察、調査を行い、防除の事例やパ一緒に観察、調査を行い、防除の事例やパターンを覚えてもらうターンを覚えてもらう

農薬取締法改正(H15年)農薬取締法改正(H15年)

Page 167: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

○春放飼により作つけ期間の○春放飼により作つけ期間の

一部を防除一部を防除

Page 168: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

チリカブリダニの利用実績チリカブリダニの利用実績

020040060080010001200

H11 H12 H13 H14 H15 H16年次

面積

0

10

20

30

40

50

戸数

面積(a)

戸数(戸)

Page 169: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

2)ミヤコカブリダニの利用2)ミヤコカブリダニの利用

1.各部会組織に展示圃設置を働きかけ、複数1.各部会組織に展示圃設置を働きかけ、複数名の生産者に導入名の生産者に導入

2.定期的に調査を行いながら観察、防除薬剤2.定期的に調査を行いながら観察、防除薬剤の選択、情報提供を行うの選択、情報提供を行う

3.JA担当者と一緒に観察、調査を行い、防除3.JA担当者と一緒に観察、調査を行い、防除の事例やパターンを覚えてもらうの事例やパターンを覚えてもらう

4.調査結果を部会活動を通して報告し、結果4.調査結果を部会活動を通して報告し、結果を広く公表するを広く公表する

5.生産者同士の口コミで普及5.生産者同士の口コミで普及

Page 170: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

○秋放飼による作つけ期間全体の防除○秋放飼による作つけ期間全体の防除

Page 171: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

ミヤコカブリダニの利用実績ミヤコカブリダニの利用実績

020040060080010001200

H11 H12 H13 H14 H15 H16

年次

面積

0

10

2030

40

50

戸数

面積(a)

戸数(戸)

Page 172: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

3.天敵防除技術の普及手段3.天敵防除技術の普及手段

Page 173: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

○JA・部会に働きか○JA・部会に働きかけて展示的に使用けて展示的に使用してもらうしてもらう

○各地域で核となる○各地域で核となる使用者を複数名育使用者を複数名育てるてる

1)生産者同士の口コミ1)生産者同士の口コミ

○効果の実感を持ってもらう→口コミで広がる○効果の実感を持ってもらう→口コミで広がる

Page 174: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

2)レンズを通した観察と予察2)レンズを通した観察と予察

Page 175: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

○焦点の合わせやすいレンズを使用し○焦点の合わせやすいレンズを使用し

観察してもらう観察してもらう

対象:20代~50代の生産者(女性も含む)対象:20代~50代の生産者(女性も含む)

「見たい」という気持ちを持ってもらう「見たい」という気持ちを持ってもらう

○レンズをすぐに使えるようにしておく○レンズをすぐに使えるようにしておく

見てもらうべきシーンを逃さない見てもらうべきシーンを逃さない

食餌の場面、害虫と天敵の形態観察、生育ス食餌の場面、害虫と天敵の形態観察、生育ステージテージ

○天敵は暖かい日の昼頃であれば初心者でも○天敵は暖かい日の昼頃であれば初心者でも観察しやすい観察しやすい

Page 176: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

3)パンフレット作成と配布3)パンフレット作成と配布

Page 177: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

○多くの人に共通の内容で比較的短時間で説○多くの人に共通の内容で比較的短時間で説明できる明できる

○使用者にわかりやすい内容とし、現場の事例○使用者にわかりやすい内容とし、現場の事例を載せるを載せる

○防除のパターンを単純化する○防除のパターンを単純化する

わからないとき人に聞くのがおっくうわからないとき人に聞くのがおっくう

天敵使用に最低限必要な情報をのせる天敵使用に最低限必要な情報をのせる

○天敵を使用している場合でも使える農薬の○天敵を使用している場合でも使える農薬の情報は必ずつける情報は必ずつける

Page 178: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

天敵に影響の少ない天敵に影響の少ない農薬に関する情報農薬に関する情報

Page 179: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除
Page 180: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

普及センター普及センター

JA・営農担当者JA・営農担当者生産者生産者

試験場試験場

4)関係機関との連携4)関係機関との連携

メーカーメーカー

Page 181: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

○使用者に対して適正な情報伝達○使用者に対して適正な情報伝達

○天敵防除を行う生産者の仲間づくり○天敵防除を行う生産者の仲間づくり

○指導機関の共通認識○指導機関の共通認識

Page 182: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

4.今後の天敵防除の普及と技術上4.今後の天敵防除の普及と技術上の問題点の問題点

オンシツコナジラミオンシツコナジラミ

県育成品種:「もういっこ」県育成品種:「もういっこ」

Page 183: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

1)他の害虫防除と化学農薬1)他の害虫防除と化学農薬防除剤の使用防除剤の使用

オンシツコナジラミ対策オンシツコナジラミ対策

Page 184: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

2)栽培技術との関連性2)栽培技術との関連性

○栽培品種との関連○栽培品種との関連

ととちちおとめ>さちのおとめ>さちのかか

○天敵防除の使いやすさは作型と関連○天敵防除の使いやすさは作型と関連

使いにくい使いにくい 超促成<促成超促成<促成 使いやすい使いやすい

≒もう≒もういっこいっこ

Page 185: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

3)天敵利用で観察力を引き出す3)天敵利用で観察力を引き出す

Page 186: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

○他の病気、害虫を含めた観察力・予察力○他の病気、害虫を含めた観察力・予察力がつくがつく

○土着天敵の発見○土着天敵の発見

○生産者と普及指導員との対話○生産者と普及指導員との対話

Page 187: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

まとめまとめ

○生産者と普及指導員との対話により関心○生産者と普及指導員との対話により関心を高める(一緒に観察し、理解度を高める)を高める(一緒に観察し、理解度を高める)

○生産者へ情報をフィードバックする○生産者へ情報をフィードバックする

○組織の利用○組織の利用

○関係機関との連携○関係機関との連携

Page 188: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

おわり

Page 189: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除
Page 190: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除
Page 191: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除
Page 192: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除
Page 193: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除
Page 194: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除
Page 195: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除
Page 196: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除
Page 197: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除
Page 198: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

カブリダニの簡単な見分けかたわが国の農生態系で優占するカブリダニの同定

果樹研究所リンゴ研究拠点

豊島真吾

Page 199: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

本日の流れ1.標本を作るホイヤー氏液の作り方プレパラートの作り方

2.カブリダニを同定する

Page 200: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

本日の流れ2.カブリダニを同定する分類学的位置の確認外部形態の基本形同定キーの名称同定キーの位置

Page 201: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

本日の流れ2.カブリダニを同定するカブリダニ科の分類農生態系のカブリダニ簡単な見分け方

Page 202: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

ホイヤー氏液の作り方

・蒸留水 25g 50g・アラビアゴム 15g 30g・飽水クロラール 100g 200g・グリセリン 8ml 16ml

1.三角フラスコにスターラーバーを入れる2.蒸留水を入れる3.スターラーバーを回転させながら,飽水クロラールを入れて溶かす4.アラビアゴムを3分割(5g x 3か10g x 3)にし,まずは5g(または10g)を入れて,1晩または1日攪拌する

5.アラビアゴムがおおむね溶けていたら,次の5g(または10g)を入れて,さらに1日攪拌する

6.アラビアゴムがおおむね溶けていたら,最後の5g(または10g)を入れて,さらに1日攪拌する

7.アラビアゴムがおおむね溶けていたら,グリセリンを加える8.アラビアゴムが完全に融けるまでスターラーバーで攪拌する9.完全に融けたらスターラーバーを止めて取り出し,1週間以上静置して不純物を沈降させ,上澄みをバルサム瓶などに移して使用する

200mlの三角フラスコ

300mlの三角フラスコ

Page 203: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

2.カブリダニを同定する

Page 204: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

マツナミのスライドグラス(薄いほうが良い)マツナミカバーグラス(18mm丸が良い)

1.ホイヤー液1滴をスライドグラス中央に垂らす2.カブリダニをホイヤー液に沈める萼体部が手前になるように配置する・背面を上にして包埋する

(複数頭いる場合には,腹面を上にして包埋する標本も作製)スライドグラス1枚に1頭が望ましい・複数等包埋する場合は,検鏡しやすいように配置する

3.カバーグラスをかぶせる注意点:空気(泡)を追い出すようにかぶせる

4.カバーグラスにサンプルの位置を油性マーカーなどで記す1頭の場合には丸で囲む・複数頭いる場合には,サンプルの近くに点などを記す

5.スライドグラス左に,採集日,採集者,採集場所,寄主植物などの採集記録を明記する6.スライドグラス右に,種名を記す.

採集日採集者

採集場所寄主植物等

フツウカブリダニ 2♀イチレツカブリダニ 2♀トウヨウカブリダニ 1♂

Page 205: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

カブリダニの検索に必要な名称は・・・

検索表に出てくる同定キーの頻度

用語 頻度 用語 頻度

背面観 腹面観

j1 2 胸板 3

j3 5

j4 1 腹肛板 11 うち・・・,

j5 1 腹肛板の小孔 3

j6 3

前肛毛 17 うち・・・,

z2 3 JV1 2

z3 1 JV2 7

z4 4 JV3 1

z6 1 ZV2 2

JV4 1

s4 6

s6 5

内部器官

r3 3

R1 3 周気管 3

受精嚢 6

J2 3

S2 4 脚

S4 8

S5 6 I脚巨大毛 1

II脚 1

Z1 2 IV脚巨大毛 18

Z4 11

Z5 13

毛の名称

胴背毛の名称は,Garman(1948)を使用していたが,近年個体発生における毛の相同性を重視した名称に変更された.背面についてはRowell et al. (1978),腹面についてはChant and Yoshida-Shaul (1991)の名称が使用されている.

Page 206: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

カブリダニの分類学的位置とボディプラン

節足動物門

三葉虫亜門 鋏角亜門 大顎亜門

カブトガニ綱 ウミサソリ綱 ウミグモ綱クモ綱

サソリ亜綱 ダニ亜綱クモ亜綱

生物学辞典第4版

Page 207: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

ダニ亜綱

カニムシ目 ヒヨケムシ目 ダニ目 ザトウムシ目

背気門(アシナガダニ)

亜目

カタダニ亜目

前気門(ケダニ)亜目

後気門(マダニ)亜目

中気門(トゲダニ)亜目

無気門(コナダニ)亜目

隠気門(ササラダニ)

亜目

カブリダニの分類学的位置とボディプラン

生物学辞典第4版

植物ダニ学

Page 208: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

顎体部

前胴体部

中胴体部

後胴体部

Page 209: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

顎体部

前胴体部

中胴体部

後胴体部

脚体部

胴体部

Page 210: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

顎体部

前胴体部

中胴体部

後胴体部

後体部

前体部

Page 211: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

顎体部

前胴体部

中胴体部

後胴体部

肢体部

Page 212: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

ダニ亜綱

カニムシ目 ヒヨケムシ目 ダニ目 ザトウムシ目

背気門(アシナガダニ)

亜目

カタダニ亜目

前気門(ケダニ)亜目

後気門(マダニ)亜目

中気門(トゲダニ)亜目

無気門(コナダニ)亜目

隠気門(ササラダニ)

亜目

カブリダニの分類学的位置とボディプラン

生物学辞典第4版

植物ダニ学

Page 213: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

カブリダニの分類学的位置とボディプラン

中気門亜目

多背板団 トゲダニ団 イトダニ団ケルコメギスツス団

ムシノリダニ団

ヤドリダニ科

カブリダニ科

ハエダニ科

ハエに寄生

マヨイダニ科

ヘギイタダニ科

ミツバチに寄生

ワクモ科

ニワトリに寄生

その他15科

植物ダニ学

Page 214: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

カブリダニの同定ポイントを理解して憶えよう!

Page 215: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

検索表に出てくる同定キーの頻度

用語 頻度 用語 頻度

背面観 腹面観

j1 2 胸板 3

j3 5

j4 1 腹肛板 11 うち・・・,

j5 1 腹肛板の小孔 3

j6 3

前肛毛 17 うち・・・,

z2 3 JV1 2

z3 1 JV2 7

z4 4 JV3 1

z6 1 ZV2 2

JV4 1

s4 6

s6 5

内部器官

r3 3

R1 3 周気管 3

受精嚢 6

J2 3

S2 4 脚

S4 8

S5 6 I脚巨大毛 1

II脚 1

Z1 2 IV脚巨大毛 18

Z4 11

Z5 13

前背板

後背板

背板

周気管板

周気管

気門

Page 216: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

肥厚板

前背板

後背板

胸板

生殖板

腹肛板

背板

周気管板

周気管

気門

受精嚢

生殖口

Page 217: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

板間膜

胸板

生殖板

腹肛板

Page 218: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

トゲダニ類の肥厚板の変異

♀背面観

♀腹面観

♂腹面観

Page 219: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除
Page 220: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

胸板

生殖板

腹肛板

受精嚢

生殖口

Page 221: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

腹肛板

五角形 花瓶形

しずく形

腹肛板

Page 222: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

検索表に出てくる同定キーの頻度

用語 頻度 用語 頻度

背面観 腹面観

j1 2 胸板 3

j3 5

j4 1 腹肛板 11 うち・・・,

j5 1 腹肛板の小孔 3

j6 3

前肛毛 17 うち・・・,

z2 3 JV1 2

z3 1 JV2 7

z4 4 JV3 1

z6 1 ZV2 2

JV4 1

s4 6

s6 5

内部器官

r3 3

R1 3 周気管 3

受精嚢 6

J2 3

S2 4 脚

S4 8

S5 6 I脚巨大毛 1

II脚 1

Z1 2 IV脚巨大毛 18

Z4 11

Z5 13

j1

j3

j4

j5

j6

z2

z3

z4r3

s4

s6

z5

z6

Z1

J2

J5

Z5

Z4

Z3

S2

R1

S4

S5

カブリダニ背面観

Page 223: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

ダニ亜綱

カニムシ目 ヒヨケムシ目 ダニ目 ザトウムシ目

背気門(アシナガダニ)

亜目

カタダニ亜目

前気門(ケダニ)亜目

後気門(マダニ)亜目

中気門(トゲダニ)亜目

無気門(コナダニ)亜目

隠気門(ササラダニ)

亜目

カブリダニの分類学的位置とボディプラン

生物学辞典第4版

植物ダニ学

Page 224: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

カブリダニの分類学的位置とボディプラン

Lindquist-Evans system (1965)

体節制と毛式

トゲダニ団の

Page 225: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

j1

j3

j4

j5

j6

z2

z3

z4r3

s4

s6

z5

z6

Z1

J2

J5

Z5

Z4

Z3

S2

R1

S4

S5

カブリダニの分類学的位置とボディプラン

Lindquist-Evans system (1965)Rowell et al. (1978)

Page 226: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

j1

j3

j4

j5

j6

z2

z3

z4r3

s4

s6

z5

z6

Z1

J2

J5

Z5

Z4

Z3

S2

R1

S4

S5

カブリダニの分類学的位置とボディプラン

Lindquist-Evans system (1965)Rowell et al. (1978)

Page 227: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

j1

j3

j4

j5

j6

z2

z3

z4r3

s4

s6

z5

z6

Z1

J2

J5

Z5

Z4

Z3

S2

R1

S4

S5

カブリダニの分類学的位置とボディプラン

Lindquist-Evans system (1965)Rowell et al. (1978)

Page 228: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

j1

j3

j4

j5

j6

z2

z3

z4r3

s4

s6

z5

z6

Z1

J2

J5

Z5

Z4

Z3

S2

R1

S4

S5

ST1

ST2

ST3MS

ZV1

ZV3ZV2

JV1

JV2

JV3 JV4

JV5

Rowell et al. (1978) Chant and Yoshida-Shaul (1991)

Page 229: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

j

J

Page 230: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

z

Z

Page 231: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

s

S

Page 232: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

r

R

Page 233: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

ST

Page 234: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

MS

Page 235: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

JV

Page 236: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

ZV

Page 237: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

para-anal setapost-anal seta

Page 238: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

前肛毛

Page 239: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

j1

j3

j4

j5

j6

z2

z3

z4r3

s4

s6

z5

z6

Z1

J2

J5

Z5

Z4

Z3

S2

R1

S4

S5

ST1

ST2

ST3MS

ZV1

ZV3ZV2

JV1

JV2

JV3 JV4

JV5

Rowell et al. (1978) Chant and Yoshida-Shaul (1991)

憶えておきたい毛

Page 240: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

検索表に出てくる同定キーの頻度

用語 頻度 用語 頻度

背面観 腹面観

j1 2 胸板 3

j3 5

j4 1 腹肛板 11 うち・・・,

j5 1 腹肛板の小孔 3

j6 3

前肛毛 17 うち・・・,

z2 3 JV1 2

z3 1 JV2 7

z4 4 JV3 1

z6 1 ZV2 2

JV4 1

s4 6

s6 5

内部器官

r3 3

R1 3 周気管 3

受精嚢 6

J2 3

S2 4 脚

S4 8

S5 6 I脚巨大毛 1

II脚 1

Z1 2 IV脚巨大毛 18

Z4 11

Z5 13

Page 241: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

受精嚢

受精嚢

U字形

V字形

ロート状 管状

杯状

Page 242: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

I

II

III

IV

基部転節

腿節

膝節

脛節

基跗節

跗節(末跗節)

Page 243: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

I

II

III

IV

基部転節

腿節

膝節

脛節

基跗節

跗節(末跗節)

巨大毛

Page 244: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除
Page 245: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

国内産カブリダニ

3亜科16属85種

Page 246: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

カブリダニ科の分類学的位置

中気門亜目

多背板団 トゲダニ団 イトダニ団ケルコメギスツス団

ムシノリダニ団

ヤドリダニ科

カブリダニ科

ハエダニ科

ハエに寄生

マヨイダニ科

ヘギイタダニ科

ミツバチに寄生

ワクモ科

ニワトリに寄生

その他15科

Page 247: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

カブリダニ科の分類 Ehara and Amano (1998) 77種

カブリダニ科

Amblyseiinae亜科 Phytoseiinae亜科 Typhlodrominae亜科

Amblyseius属

Amblyseiulella属

Paraphytoseius属

Indoseiulus属

Phytoseius属 Chanteius属

Paraseiulus属

Kuzinellus属

Typhlodromus属

Page 248: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

カブリダニ科の分類 Ehara and Amano (1998) 77種

Amblyseiinae亜科

Amblyseiinii族 Indoseiulini族

Amblyseius属

Euseius亜属

Amblyseius亜属

Neoseiulus 亜属

Proprioseiopsis亜属

Okiseius亜属

Kampimodromellus亜属

Indoseiulus属

Amblyseiulella属

Paraphytoseius属

Page 249: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

カブリダニ科の分類 Ehara and Amano (1998) 77種

Amblyseiinae亜科

Amblyseiinii族 Indoseiulini族

Amblyseius属

Euseius亜属

Amblyseius亜属

Neoseiulus 亜属

Proprioseiopsis亜属

Okiseius亜属

Kampimodromellus亜属

Indoseiulus属

Amblyseiulella属

Paraphytoseius属

43種

(21)

(12)

(3)

(2)

(1)

(1)

(1)

(2)

(1)

Page 250: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

カブリダニ科の分類 Ehara and Amano (1998) 77種

Amblyseiinae亜科

Amblyseiinii族 Indoseiulini族

Amblyseius属

ナラビカブリダニ属

Amblyseius亜属

Neoseiulus 亜属

ニセムチカブリダニ属

モリカブリダニ属

Kampimodromellus亜属

キイカブリダニ属

コンボウカブリダニ属

ウルマカブリダニ属

43種

(21)

(12)

(3)

(2)

(1)

(1)

(1)

(2)

(1)

ウスカブリダニ属

ミツカブリダニ属

ヤマトカブリダニ属

ムチカブリダニ属

Page 251: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

カブリダニ科

ムチカブリダニ亜科 ホンカブリダニ亜科 カタカブリダニ亜科

ウスカブリダニ属

ミツカブリダニ属

ヤマトカブリダニ属

ムチカブリダニ属

ナラビカブリダニ属

コンボウカブリダニ属

ニセムチカブリダニ属

モリカブリダニ属

ウルマカブリダニ属

キイカブリダニ属

ホンカブリダニ属 ミナミカブリダニ属

ヒサゴカブリダニ属

ケブカカブリダニ属

カタカブリダニ属

ケウスカブリダニ属

カブリダニ科の分類 Ehara and Amano (2004) 85種

(11)

(14)

(1)

(10)

(3)

(2)

(2)

(2)

(3)

(1)

Page 252: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

Phytoseiidae カブリダニ科 Amblyseiinae ムチカブリダニ亜科 Neoseiulus ウスカブリダニ属 ミヤコカブリダニ ミヤマカブリダニ コヤマカブリダニ ヤノカブリダニ ニセコヤマカブリダニ イナバカブリダニ ヘヤカブリダニ マクワカブリダニ ケナガカブリダニ ヒノキカブリダニ ホオノキカブリダニ Typhlodromips ミツカブリダニ属 パラキカブリダニ オチカブリダニ タイリクカブリダニ ササカブリダニ ラデマッヘルカブリダニ ミチノクカブリダニ イシカワカブリダニ タカネカブリダニ アイヌカブリダニ サロベツカブリダニ キタカブリダニ オキナワカブリダニ

エゾカブリダニ カントンカブリダニ Typhlodromalus ヤマトカブリダニ属 ヤマトカブリダニ Amblyseius ムチカブリダニ属 ニセラーゴカブリダニ コクフカブリダニ イシヅチカブリダニ ニセトウヨウカブリダニ ナンゴクカブリダニ ニセオニカブリダニ オニカブリダニ シボリカブリダニ トウヨウカブリダニ シガカブリダニ Euseius ナラビカブリダニ属 イチレツカブリダニ コウズケカブリダニ トウナンカブリダニ Proprioseiopsis ニセムチカブリダニ属 ゲンヤカブリダニ サイタマカブリダニ Okiseius モリカブリダニ属 シマモリカブリダニ ハマナスカブリダニ Amblyseiulella コウボウカブリダニ属 ナンポウカブリダニ デイリカブリダニ

Page 253: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

Paraphytoseius ウ ル マ カ

ニ セ ウ ル マ カ

É E É ã É } É J É E É ã É } É JIndoseiulus É L É C É J É É L É C É J É u

Page 254: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

わが国の農耕地および周辺の自然植生でよく観察されるカブリダニ天野(1998)を改変

ムチカブリダニ亜科ムチカブリダニ属ニセラーゴカブリダニ Amblyseius eharaiトウヨウカブリダニ Amblyseius orientalis

ナラビカブリダニ属イチレツカブリダニ Euseius finlandicusコウズケカブリダニ Euseius sojaensis

ウスカブリダニ属ケナガカブリダニ Neoseiulus womersleyiマクワカブリダニ Neoseiulus makuwaミヤコカブリダニ Neoseiulus californicusコヤマカブリダニ Neoseiulus koyamanus

ミツカブリダニ属ミチノクカブリダニ Typhlodromips tsugawaiオキナワカブリダニ Typhlodromips okinawanus

ホンカブリダニ亜科ホンカブリダニ属ケブトカブリダニ Phytoseius nipponicusシコクカブリダニ Phytoseius capitatus

カタカブリダニ亜科カタカブリダニ属フシカブリダニ Typhlodromus serrulatusフツウカブリダニ Typhlodromus vulgaris

Page 255: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

カブリダニを区別する

雌成虫を区別する

Page 256: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

21対以下

Page 257: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

カブリダニの特徴21対以下

受精嚢

Page 258: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

カブリダニの3亜科を区別する

ムチカブリダニ亜科ホンカブリダニ亜科カタカブリダニ亜科

Page 259: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

側列毛 4本 → ムチカブリダニ亜科5~6本

ホンカブリダニ亜科か

カタカブリダニ亜科

側列毛に含めない

Page 260: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

側列毛 4本 → ムチカブリダニ亜科5~6本

(1) Z1, S2, S4, S5がない

→ ホンカブリダニ亜科

(2) Z1, S2, S4, S5のいずれか1本がある

→ カタカブリダニ亜科

Z1

S2

S4

S5

Page 261: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

わが国の農耕地および周辺の自然植生でよく観察されるカブリダニ

ムチカブリダニ亜科ムチカブリダニ属ニセラーゴカブリダニ Amblyseius eharaiトウヨウカブリダニ Amblyseius orientalis

ナラビカブリダニ属イチレツカブリダニ Euseius finlandicusコウズケカブリダニ Euseius sojaensis

ウスカブリダニ属ケナガカブリダニ Neoseiulus womersleyiマクワカブリダニ Neoseiulus makuwaミヤコカブリダニ Neoseiulus californicusコヤマカブリダニ Neoseiulus koyamanus

ミツカブリダニ属ミチノクカブリダニ Typhlodromips tsugawaiオキナワカブリダニ Typhlodromips okinawanus

ホンカブリダニ亜科ホンカブリダニ属ケブトカブリダニ Phytoseius nipponicusシコクカブリダニ Phytoseius capitatus

カタカブリダニ亜科カタカブリダニ属フシカブリダニ Typhlodromus serrulatusフツウカブリダニ Typhlodromus vulgaris

Page 262: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

Z4

Z5

s6

r3

s4

j3

j1 ホンカブリダニ属

ケブトカブリダニシコクカブリダニ

胴背毛が太い

R3の起点が背板上にある

後胴体部に胴背毛が少ない

Page 263: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

ホンカブリダニ属

ケブトカブリダニ1本が長い

シコクカブリダニ3本とも同じような長さ

脛節基跗節

Page 264: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

わが国の農耕地および周辺の自然植生でよく観察されるカブリダニ

ムチカブリダニ亜科ムチカブリダニ属ニセラーゴカブリダニ Amblyseius eharaiトウヨウカブリダニ Amblyseius orientalis

ナラビカブリダニ属イチレツカブリダニ Euseius finlandicusコウズケカブリダニ Euseius sojaensis

ウスカブリダニ属ケナガカブリダニ Neoseiulus womersleyiマクワカブリダニ Neoseiulus makuwaミヤコカブリダニ Neoseiulus californicusコヤマカブリダニ Neoseiulus koyamanus

ミツカブリダニ属ミチノクカブリダニ Typhlodromips tsugawaiオキナワカブリダニ Typhlodromips okinawanus

ホンカブリダニ亜科ホンカブリダニ属ケブトカブリダニ Phytoseius nipponicusシコクカブリダニ Phytoseius capitatus

カタカブリダニ亜科カタカブリダニ属フシカブリダニ Typhlodromus serrulatusフツウカブリダニ Typhlodromus vulgaris

Page 265: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

カタカブリダニ属

フシカブリダニフツウカブリダニ

背板上の側列毛が5本以上ある

Page 266: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

フシカブリダニ フツウカブリダニ

Page 267: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

わが国の農耕地および周辺の自然植生でよく観察されるカブリダニ

ムチカブリダニ亜科ムチカブリダニ属ニセラーゴカブリダニ Amblyseius eharaiトウヨウカブリダニ Amblyseius orientalis

ナラビカブリダニ属イチレツカブリダニ Euseius finlandicusコウズケカブリダニ Euseius sojaensis

ウスカブリダニ属ケナガカブリダニ Neoseiulus womersleyiマクワカブリダニ Neoseiulus makuwaミヤコカブリダニ Neoseiulus californicusコヤマカブリダニ Neoseiulus koyamanus

ミツカブリダニ属ミチノクカブリダニ Typhlodromips tsugawaiオキナワカブリダニ Typhlodromips okinawanus

ホンカブリダニ亜科ホンカブリダニ属ケブトカブリダニ Phytoseius nipponicusシコクカブリダニ Phytoseius capitatus

カタカブリダニ亜科カタカブリダニ属フシカブリダニ Typhlodromus serrulatusフツウカブリダニ Typhlodromus vulgaris

Page 268: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

ムチカブリダニ属

ニセラーゴカブリダニトウヨウカブリダニ

ムチ状に伸びた長い胴背毛がある

s4

Z4

Z5

Page 269: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

ニセラーゴカブリダニ トウヨウカブリダニ

Page 270: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

ニセラーゴカブリダニ トウヨウカブリダニ

Page 271: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

わが国の農耕地および周辺の自然植生でよく観察されるカブリダニ

ムチカブリダニ亜科ムチカブリダニ属ニセラーゴカブリダニ Amblyseius eharaiトウヨウカブリダニ Amblyseius orientalis

ナラビカブリダニ属イチレツカブリダニ Euseius finlandicusコウズケカブリダニ Euseius sojaensis

ウスカブリダニ属ケナガカブリダニ Neoseiulus womersleyiマクワカブリダニ Neoseiulus makuwaミヤコカブリダニ Neoseiulus californicusコヤマカブリダニ Neoseiulus koyamanus

ミツカブリダニ属ミチノクカブリダニ Typhlodromips tsugawaiオキナワカブリダニ Typhlodromips okinawanus

ホンカブリダニ亜科ホンカブリダニ属ケブトカブリダニ Phytoseius nipponicusシコクカブリダニ Phytoseius capitatus

カタカブリダニ亜科カタカブリダニ属フシカブリダニ Typhlodromus serrulatusフツウカブリダニ Typhlodromus vulgaris

Page 272: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

ミチノクカブリダニ オキナワカブリダニ

s4

Z4

Z5 Z5

Page 273: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

わが国の農耕地および周辺の自然植生でよく観察されるカブリダニ

ムチカブリダニ亜科ムチカブリダニ属ニセラーゴカブリダニ Amblyseius eharaiトウヨウカブリダニ Amblyseius orientalis

ナラビカブリダニ属イチレツカブリダニ Euseius finlandicusコウズケカブリダニ Euseius sojaensis

ウスカブリダニ属ケナガカブリダニ Neoseiulus womersleyiマクワカブリダニ Neoseiulus makuwaミヤコカブリダニ Neoseiulus californicusコヤマカブリダニ Neoseiulus koyamanus

ミツカブリダニ属ミチノクカブリダニ Typhlodromips tsugawaiオキナワカブリダニ Typhlodromips okinawanus

ホンカブリダニ亜科ホンカブリダニ属ケブトカブリダニ Phytoseius nipponicusシコクカブリダニ Phytoseius capitatus

カタカブリダニ亜科カタカブリダニ属フシカブリダニ Typhlodromus serrulatusフツウカブリダニ Typhlodromus vulgaris

Page 274: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

イチレツカブリダニ コウズケカブリダニ

Page 275: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

わが国の農耕地および周辺の自然植生でよく観察されるカブリダニ

ムチカブリダニ亜科ムチカブリダニ属ニセラーゴカブリダニ Amblyseius eharaiトウヨウカブリダニ Amblyseius orientalis

ナラビカブリダニ属イチレツカブリダニ Euseius finlandicusコウズケカブリダニ Euseius sojaensis

ウスカブリダニ属ケナガカブリダニ Neoseiulus womersleyiマクワカブリダニ Neoseiulus makuwaミヤコカブリダニ Neoseiulus californicusコヤマカブリダニ Neoseiulus koyamanus

ミツカブリダニ属ミチノクカブリダニ Typhlodromips tsugawaiオキナワカブリダニ Typhlodromips okinawanus

ホンカブリダニ亜科ホンカブリダニ属ケブトカブリダニ Phytoseius nipponicusシコクカブリダニ Phytoseius capitatus

カタカブリダニ亜科カタカブリダニ属フシカブリダニ Typhlodromus serrulatusフツウカブリダニ Typhlodromus vulgaris

Page 276: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

ケナガカブリダニ

毛が長い!

Page 277: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

マクワカブリダニ

受精嚢が大きい!

Page 278: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

受精嚢の連結部が明瞭

→ コヤマカブリダニ

受精嚢の連結部が不明瞭

→ ミヤコカブリダニ

Page 279: イチゴ栽培に利用される天敵を中心としたIPM生物資材の特性...3 IPMに利用できる生物農薬製品 生物的防 カテゴリー 種類 商品名 除 病害防除

実際に顕微鏡で観察しましょう