『ウィルス性慢性肝炎の...

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『ウィルス性慢性肝炎の 診断と最新治療』 静岡県肝疾患診療連携拠点病院 浜松医科大学附属病院 肝臓内科・肝疾患連携相談室 小林良正

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Page 1: 『ウィルス性慢性肝炎の 診断と最新治療』kanen-support.jp/pdf/shizuoka_slide2.pdf肝がん死亡者数の年次推移 肝細胞癌による死亡者数は年間3万3千人と多い。(人)

『ウィルス性慢性肝炎の診断と最新治療』

静岡県肝疾患診療連携拠点病院浜松医科大学附属病院

肝臓内科・肝疾患連携相談室小林良正

Page 2: 『ウィルス性慢性肝炎の 診断と最新治療』kanen-support.jp/pdf/shizuoka_slide2.pdf肝がん死亡者数の年次推移 肝細胞癌による死亡者数は年間3万3千人と多い。(人)

肝がん死亡者数の年次推移

肝細胞癌による死亡者数は年間3万3千人と多い。

(人)

(年)

女性

男性

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HCV 76.0%

HBV

16.7%その他

7.3%

肝硬変 75%

慢性肝炎11%

肝線維化7%

正常肝6%

B型肝炎ウィルス(HBV)やC型肝炎ウィルス(HCV)の

持続感染による慢性肝疾患とくに肝硬変に肝細胞がんは発生しやすい。

肝細胞がんになりやすい人とは?

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42 nm

HBs抗原

HBV DNA

HBc抗原

HBV

実際のHBV電子顕微鏡写真

B型肝炎ウイルス(HBV)とは?

血液、体液を介して感染する。

母子感染(1985年以前)、輸血・血液製剤(1972年以前)

性交渉、汚染した注射針やピアスの穴開けの使用、入れ墨

世界で3億5千万人~4億人、わが国で130~150万人のウィルスキャリアがいる。

8つの遺伝子型(A~H)がある。

日本/アジア:遺伝子型 C/B 欧米: 遺伝子型 D/A「日本のHBVキャリアの

遺伝子型」

A (1.7%)

B (12.2%)

C (84.7%)

D (1.0%)

Mixed (1.0%)

ヘパドナウィルス科

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HBs抗原

HBV DNA

HBV感染を調べる方法は?

• HBs抗原– HBVの表面抗原でDane粒子以外にも小型球形粒子や桿状粒子にも存在

•HBV DNA– Dane粒子中に1本存在し、ウイルス量を反映する

小型球形粒子

桿状粒子

HBVの潜在感染:HBs抗体、HBc抗体

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B型肝炎とは?

無症候性ウィルスキャリア

無症候性ウィルスキャリア

10%

慢性肝炎

肝硬変

肝細胞がん

肝炎急性発症

60%

90%

40%

急性肝炎

(性交渉など)

遺伝子型が欧米型(A)では、慢性化5-10%

年率0.1-0.4%

年率3%

年率0.5

0.8

%

不顕性感染

70-80%20-30%

治癒

(水平感染)≧90%

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HBV DNA量に対する肝硬変および肝がん発症率

ウィルス量を4 log copies/mL未満することにより肝細胞がんの発現は抑制されると考えられる。

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危険度n(%)

HBV DNA量 [log copies/mL]

<4 4 -<5 ≥5

HBs抗原量[IU/mL]

<1001.00

785(41.0%)

1.5369(11.4%)

5.6438(4.3%)

100-9992.91

537(28.0%)

4.17257(42.5%)

11.10180(20.2%)

≧1000 5.66

593(31.0%)

6.06279(46.1%)

13.27673(75.5%)

HBs抗原量・HBVDNA量と肝発癌

HBVDNA量が同じでもHBs抗原量が多いほど肝発癌しやすい。

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B型慢性肝炎治療の目標

HBV増殖の持続抑制と肝病変の改善であり、最終治療目標は肝硬変、肝不全、肝癌への進展を防ぐ。

ALTの正常化

HBV DNAの陰性化( RT-PCRで検出感度以下)

(HBe抗原のセロコンバージョン)

線維化した肝組織の改善

短期目標

HBs抗原の消失長期目標

現在、上記の治療目標を長期間にわたり達成できる治療法は、IFN療法と経口核酸誘導体療法である。

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メリット デメリット

IFN

・免疫賦活作用をもつ

・投与中止が容易である

・有効例では治療中止後も効果が持続する

・耐性ウイルス出現はない

・非経口投与である

・発熱などの副作用が必発である

・ジェノタイプにより有効性が異なる

核酸

アナログ

・経口投与である

・副作用がほとんどない

・強力なウイルス増殖抑制

・ジェノタイプによる有効性の差はない

・投与中止が困難なことがある

・治療中止後の再燃が高頻度である

・耐性ウイルスが出現する

・投与中断や耐性の出現により、

時に致死的な増悪をきたす

B型慢性肝炎の抗ウィルス療法【インターフェロン】• インターフェロンα、インターフェロンβ

•ペグインターフェロンα2a

【 核酸アナログ製剤】• ラミブジン (2000年9月)•アデフォビル (2004年10月)•エンテカビル (2006年7月)•テノフォビル (2014年5月)

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HBVワクチンによる感染予防

厚生労働省『B型肝炎について(一般的なQ&A)』(改訂第2版)より

HBs抗体検査HBs抗原抗体検査

<HBVワクチン接種対象者>• HBs抗原・抗体陰性者• 母子感染予防のため、

HBs抗原陽性妊婦からの出生児• HBV感染ハイリスクグループ

第1ハイリスクグループHBVキャリアを配偶者とする人、HBVキャリアと同居する人

第2ハイリスクグループ医師、看護師、検査技師など医療従事者

第3ハイリスクグループ消防士、救急救命士、警察官

3回接種のHBs抗体獲得率:95%3回接種1-2か月後HBs抗体陰性例に対する追加接種の抗体獲得率:25-50%

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C型肝炎ウィルス(HCV)とは?

1b型 75.4%

2a型13.7%

2b型4.4%

3b型0.4%

混合型1.0%

検査不能5.2%

「日本のC型肝炎ウィルスの遺伝子型」

フラビウィルス

50nm

エンベロープ:外殻

一本鎖プラス鎖RNA(9.6キロベース)

ヌクレオカプシド:コア粒子

1988年 米国カイロン社Chooらにより発見

血液や体液を介して感染する。-1994年以前の輸血や血液製剤による感染。-針刺し事故や入れ墨、覚醒剤乱用時の汚染針による感染。-母子感染や性行為による感染率は低い。

世界で1億7千万人、わが国で150~200万人のウィルスキャリアがいる。

6つの遺伝子型(1~6型)があり、インターフェロン療法の反応性に違いがある。

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HCV検査

HCV抗体検査

陰性陽性

HCVRNA検査(TaqMan PCR法)

現在HCVに感染している現在HCVに感染していない可能性が極めて高い

検出(+) 検出(-)

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C型肝炎とは?

慢性肝炎軽度(F1) 中等度(F2) 高度(F3)

肝硬変(F4)

急性肝炎AH

年発癌率 0.5% 1.5% 3.0% 7.0%

10 20 30 年

20

15

10

5

0

x 104

GPT

血小板数

慢性化率60~80%

慢性肝炎の自然治癒率0.2%以下緩徐に進行し肝硬変に進展

血液や体液を介して感染

血小板数 13万/mm3以下

輸血、血液製剤、覚醒剤、入れ墨など

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C型肝炎の進行度、血小板数、肝発がん率の関係

腹部超音波検査3~6ヶ月に1回

腹部CT、MRI検査6~12ヶ月に1回

腫瘍マーカーの測定1〜2ヶ月に1回

慢性肝炎軽度

中等度重度

肝硬変

肝線維化の程度

年発がん率 血小板数

0.5%1.5%3.0%7.0%

15~18万13~15万10~13万10万以下

血小板数は、肝発がんの高危険群の指標

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(Gut 56:738, 2007)

ALT<30 IU/L 30<ALT<40 IU/L

肝線維化

(stage)

壊死・炎症反応

F2-4

22.1%

F0-1

77.9%

A2-3

16.8%

A0-1

83.2%

F2-4

30.4%

F0-1

69.6%

A2-3

18.8%

A0-1

81.2%

(activity)

C型慢性肝炎におけるALT(GPT)正常例の肝組織所見と肝発癌

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C型慢性肝炎の年齢別肝発癌率

Asahina Y et al. Hepatology 2010; 52: 518-527

30

20

10

0

(%)

累積肝発癌率

0 2 4 6 8 10 12 14 16 (年)

治療終了後経過年数

65歳以上(552例)

65歳未満(1614例)

P <0.001log-rank test

対象:インターフェロン療法を施行したC型慢性肝炎患者2166例方法:年齢で層別化し、インターフェロン療法終了後経過年数毎の肝発癌例数をもとに累積肝発癌率を求め、各群の累積肝発癌率を

ログランク検定により比較した。

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•腹部画像検査にて肝癌スクリーニング• GPT値、血小板数などで肝障害の程度を把握する

肝腫瘍(-)

GPT ≦ 30IU/L

血小板数≧15万/mm3

肝腫瘍(-)

GPT > 30IU/Lまたは血小板数 < 15万/mm3

肝腫瘍(+)

2~4ヶ月毎肝機能検査6~12ヶ月毎腹部画像

C型慢性肝炎の診療

HCVRNA陽性

肝癌の精査抗ウィルス療法

66歳以上

65歳未満

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インターフェロン(注射薬)

従来型インターフェロン製剤 ペグインターフェロン製剤

直接作用型抗HCV剤(飲み薬)

プロテアーゼ阻害剤 NS5A阻害剤 ポリメラーゼ阻害剤

プロテアーゼ

NS5A

ポリメラーゼ

抗ウィルス状態の誘導

免疫を誘導

C型肝炎の抗ウィルス療法

リバビリン(飲み薬)

薬剤耐性ウィルスの存在が

治療効果を決める

体質が

治療効果を決める

IL28

遺伝子多型

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C型肝炎の抗ウィルス療法インターフェロン• 従来型インターフェロン• ペグインターフェロン

リバビリン

直接作用型抗ウィルス剤(DAA)• テラプレビル• シメプレビル• バニプレビル

• アスナプレビル• ダクラタスビル

PegIFN

PegIFN RBV+

PegIFN RBV+ + DAA

DAA + DAA

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C型肝炎に対する抗ウィルス療法の治療効果判定

治療期間観察期間

(治療終了後24週間)

無効(NVR)

再燃(relapse)

著効(SVR)検出不能

治療開始

HC

V R

NA(lo

g I

U/m

L)

0

治療終了

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C型肝炎のIFN療法

主にウィルス型(セログループ、ゲノタイプ)、ウィルス量、予測される副作用に応じてIFNの種類と治療期間を決定する。

1b型はIFN治療抵抗性である。2a型、2b型はIFN治療が効きやすい。低ウィルス量はIFN治療が効きやすい。

IFN単独療法(8~96週間投与、自己注射可能) ペグIFN単独療法(24~48週間投与) ペグIFN・リバビリン併用療法(24~72週間投与) IFNβ・リバビリン併用療法(24~72週間投与) ペグIFN・リバビリン・テラプレビル併用療法(24週間投与) ペグIFN・リバビリン・シメプレビル併用療法(24週間投与) ペグIFN・リバビリン・バニプレビル併用療法(24週間投与)

1b型 75.4%

2a型13.7%

2b型4.4%

3b型0.4%

混合型1.0%

検査不能5.2%

「日本のC型肝炎ウィルスの遺伝子型」

1b型・高ウィルス量:IFN難治例

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Genotype 1 Genotype 2

高ウイルス量

5.0 log IU/mL

以上

ペグインターフェロン・リバビリン・

シメプレビルまたはバニプレビル併用療法(24週間)

ペグインターフェロン・リバビリン

併用療法(24週間)

インターフェロンβ・リバビリン

併用療法(24週間)

低ウイルス量

5.0 log IU/mL

未満

従来型インターフェロン

(24週間)

ペグインターフェロン

(24-48週間)

従来型インターフェロン

(8-24週間)

ペグインターフェロン

(24-48週間)

C型慢性肝炎に対するIFN療法(初回治療)

うつ病・うつ状態の副作用が予測される場合は、インターフェロンβ・リバビリン併用療法を選択する。

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Genotype 1 Genotype 2

高ウイルス量

5.0 log IU/mL

以上 ペグインターフェロン・リバビリン・

シメプレビルまたはバニプレビル併用療法(24週間)

ペグインターフェロン・リバビリン・テラプレビル併用療法(24週間)

ペグインターフェロン・リバビリン

併用療法(36週間)

インターフェロンβ・リバビリン

併用療法(36週間)

低ウイルス量

5.0 log IU/mL

未満

C型慢性肝炎に対するIFN療法(再治療)

うつ病・うつ状態の副作用が予測される場合は、インターフェロンβ・リバビリン併用療法を選択する。

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日本のC型肝炎に対する遺伝子型別・ウィルス量別IFN療法の治療効果

50%

88%

50

0

(%)

2000年 2005年

2a・2b 高ウィルス量100

10070%

80%

50

0

(%) 1b 低ウィルス量80% 80%

50

0

(%)

2000年 2005年

2a・2b 低ウィルス量100

2000年 2005年

100

5%

50%50

0

(%)

2000年 2005年

1b 高ウィルス量

70%

2012年

TPV

併用療法

PegIFN・RBV併用療法

従来型IFN療法

90%

SMV

or

VPV

併用療法

2013年

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中期症状(1~8週に発現)

消化器症状 食欲不振、嘔気、口内炎

皮膚症状 発疹、皮膚掻痒感、注射投与部位の局所反応

精神神経症状 不眠、イライラ感、うつ症状、味覚障害

検査値異常 白血球減少(好中球減少)、血小板減少、貧血、尿蛋白

初期症状(1週間以内に発現)

インフルエンザ様症状 悪寒、発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感

IFN療法の副作用

後期症状(2ヶ月以降に発現)

呼吸器疾患 間質性肺炎

代謝・内分泌疾患 甲状腺機能異常、糖尿病、高脂血症、月経異常

自己免疫疾患 関節リウマチ、自己免疫性肝炎

その他 脱毛、眼底出血、脳出血

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正常

F1

(軽度)

F2

(中等度)

F3

(重度)

F4

(肝硬変)

肝癌

20万 13万17万 15万 10万以下

血小板数

IFN療法の適応

IFN療法の適応

糖尿病、高血圧、腎障害、貧血、眼底異常脳血管障害、甲状腺疾患(バセドウ病、橋本病)

間質性肺炎、心疾患(虚血性心疾患、不整脈)

自己免疫疾患(関節リウマチ、自己免疫性肝炎)

精神疾患(うつ病、統合失調症)、妊娠

併存疾患の検索

推奨例 非適応例

WBC >4000/mm3 <1000/mm3

Seg >2000/mm3 <500/mm3

Plt >12万/mm3 <5万/mm3

リバビリン併用時

Hb >13g/dL <8.5g/dL

年齢併用療法:70歳以下単独療法:75歳以下

肝炎進展度併存疾患、社会背景

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Genotype 1bのC型慢性肝炎におけるIFN不適格/不耐容、前治療無効例に対する

アスナプレビル・ダクラタスビル併用療法の治療ガイドライン

IFN不適格/不耐容例

高ウイルス量5.0 Log IU/mL以上

アスナプレビル+ダクラタスビル(24週間)

低ウイルス量5.0 Log IU/mL未満

前治療無効例

平成26年B型C型慢性肝炎・肝硬変治療のガイドライン

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SV

R24達成割合

70/87118/135 188/222

(%)

Kumada H, et al. Hepatology. 2014; 59(6): 2083-2091

IFN不適格未治療/不耐容患者

IFN治療無効患者 合計

IFN+RBV併用療法無効例及びIFN治療不適格未治療例/不耐容例である

1b型・高ウィルス量のC型慢性肝炎患者を対象としたアスナプレビル・ダクラタスビル併用療法

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有害事象及び臨床検査値異常(Grade3/4)IFN不適格未治療

/不耐容例n = 135 (%)

前治療

無効例n = 87 (%)

合計n=222 (%)

重篤な有害事象 9 (6.7) 4 (4.6) 13 (5.9)

有害事象, 全Grade (>10%)

鼻咽頭炎 40 (29.6) 27 (31.0) 67 (30.2)

頭痛 18 (13.3) 17 (19.5) 35 (15.8)

ALT増加 24 (17.8) 11 (12.6) 35 (15.8)

AST増加 18 (13.3) 10 (11.5) 28 (12.6)

発熱 12 (8.9) 15 (17.2) 27 (12.2)

臨床検査値異常, Grade3/4 (>3%)

ALT上昇 12 (8.9) 4 (4.6) 16 (7.2)

AST上昇 10 (7.4) 2 (2.3) 12 (5.4)

ヘモグロビン減少 6 (4.4) 1 (1.1) 7 (3.2)

Kumada H, et al. Hepatology. 2014; 59(6): 2083-2091

1b型・高ウィルス量のC型慢性肝炎に対するアスナプレビル・ダクラタスビル併用療法

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投与開始前の薬剤耐性関連変異ウィルスの検出頻度

NS5A領域 NS3領域(%)

Kumada H, et al. Hepatology. 2014; 59(6): 2083-2091

アスナプレビル・ダクラタスビル併用療法

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Y93H耐性変異の有無別ウイルス学的効果

Y93H耐性変異なし(184例)

SVR24達成

SVR24達成せず

16(8.7%)

投与後

投与前

投与後

168

(91.3%)

17

(56.7%)

13

(43.3%)

30(14.0%)

184

(86.0%)

合計*

(214例)

Y93H耐性変異あり(30例)

SVR24達成

SVR24達成せず

*未同定の8例を除く

Y93H耐性変異あり

Y93H耐性変異なし

ダクルインザ錠 総合製品情報概要

アスナプレビル・ダクラタスビル併用療法

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C型慢性肝炎におけるIFN療法後の肝発癌

IFN治療開始時の年齢が65歳以上の場合肝発癌リスクが急激に上昇する。SVR例でも肝発癌率は高い。

(Asahina Y et al Hepatology 52:518-527, 2010)

SVR SVR

Non-SVR

Non-SVR

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C型慢性肝炎におけるIFN療法後の肝発癌リスク因子

IFN治療後にALTやAFPが高値を示す症例は、肝発癌率が高い

(Asahina Y et al Hepatology 58:1253-1262, 2010)

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肝炎治療特別促進事業ウイルス性肝炎は国内最大の感染症で、感染が持続すると慢性肝炎から肝硬変や肝がんへ進行することがある。肝硬変や肝がんへの進行を予防するため、経済的負担の軽減等により、抗ウィルス療法を必要とする肝炎患者に治療の機会を確保するとともに、相談・検査から治療まで継ぎ目のない仕組みを構築するなど、総合的な肝炎対策を推進する。

階層区分 自己負担限度額(月額)

B世帯の市町村税(所得割)課税年額が235,000円未満の場合(参考目安:年収約720万円未満)

10,000円

C世帯の市町村税(所得割)課税年額が235,000円以上の場合(参考目安:年収約720万円以上)

20,000円

B型慢性肝炎患者に対するインターフェロン(IFN)治療費助成制度

B型慢性肝炎・肝硬変患者に対する核酸アナログ製剤治療費助成制度

C型慢性肝炎・代償性肝硬変患者に対するIFN治療費助成制度

C型慢性肝炎・代償性肝硬変患者に対するIFNフリー治療費助成制度

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