広葉樹資源の有効利用を目指したナラ枯れの低コスト防除 技術 … ·...

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広葉樹資源の有効利用を目指したナラ枯れの低コスト防除 技術の開発(研究紹介) 誌名 誌名 研究紹介 著者 著者 農林水産技術会議事務局, 巻/号 巻/号 2015年 掲載ページ 掲載ページ p. 133-134 発行年月 発行年月 2015年7月 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat

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Page 1: 広葉樹資源の有効利用を目指したナラ枯れの低コスト防除 技術 … · 技術の開発(研究紹介) 誌名 研究紹介 巻/号 2015 掲載ページ p. 133-134

広葉樹資源の有効利用を目指したナラ枯れの低コスト防除技術の開発(研究紹介)

誌名誌名 研究紹介

著者著者 農林水産技術会議事務局,

巻/号巻/号 2015年

掲載ページ掲載ページ p. 133-134

発行年月発行年月 2015年7月

農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センターTsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research CouncilSecretariat

Page 2: 広葉樹資源の有効利用を目指したナラ枯れの低コスト防除 技術 … · 技術の開発(研究紹介) 誌名 研究紹介 巻/号 2015 掲載ページ p. 133-134

農林水産業・食晶産業科学技術研究推進事業(実用技術開発ステージ)/研究紹介2015

広葉樹資源の有効利用を目指したナラ枯れの低コスト防除技術の開発

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林業ー森林保謹 全国

1 研究の背景・目的・目標

〔研寛グループ〕独立行政法人森林総合研究所、長野県林業総合センタ一、山形県森林研究研修センター、和歌山県農林水産総合技術センター林業試験場、独立行政法人農業環填技術研究所、サンケイ化学株式会社〔研究総括者〕独立行政法人森林総合研究所 所雅彦

〔研究タイプ〕現場ニーズ対応型

〔研究期間〕平成24年~26年(3年間)

ナラ枯れは、力シノナガキクイムシによって媒介される病原菌による伝染病であり、ミズナラ・コナラなどナラ

類に加え、近年ではシイ・力シ類でも集団枯損が多発し、地域の広葉樹資源に損害を与えている。このため、

低コスト・簡便・高性能な防除法と被害材利活用システム、常緑樹林における被害防止技術、ナラ枯れのリ

アルタイム被害発生予測技術を開発する。これにより、ナラ枯れによる枯損を防止して多様な機能を発揮で

きる森林を保全するとともに、山村振興に寄与する。

2 研究の内容・主要な成果

①枯死を予防する樹幹注入用殺菌剤を微量化することにより、コストを半分に減らすとともに、多くの立木へ

容易に処理できる“殺菌剤微量注入法”を開発した。

②伐倒したナラ丸太を大量集積して多量の力シノナガキクイムシを穿孔させ、その丸太をチップ化して製紙等

で利用して駆除し、伐倒後のナラ林を広葉樹林として更新させる“大量集積型おとり丸太法”を開発した。

③和歌山県の備長炭用ウバメガシに穿孔した力シノナガキクイムシを駆除するには、穿孔を受けた翌年の4

月までに伐倒し、そのまま残置するだけでよいことを解明し、低コストで実用的な駆除を可能とした。

④ナラ枯れ被害の現状と拡大予測を、リアルタイムで生成し、閲覧が可能な“ナラ枯れリアルタイム被害予測

システム”を開発した。

公表した主な特許・晶種・論文

①農薬登録“微量注入用ウッドキングDASH"(農林水産省代 23301号)、2013年7月10日

②農薬適用拡大“微量注入用ウッドキングDASH”、対象・スダジイ、2014年7月23日

③Kondoh, H. et al. Development of a hazard map for oak wilt disease in Japan. Agricultural and Forest Entomology 001:10目1111/afe.12098,(2014).

3 開発した技術・成果の実用化・普及の実績及び取り組み状況

①これまでに、ナラ枯れに対処している青森県から静岡県におよぶ8県で、合計18回、殺菌剤微量注入法、

大量集積型おとり丸太法、ナラ枯れリアルタイム被害予測システムについての研修を行った。

②従来の樹幹注入用殺菌剤、および新開発の微量注入用殺菌剤について、ミズナラ、コナラ、スダジイへの

農薬登録上の適用拡大を行い、防除に使用できる状況を整えた。

4 開発した技術・成果が普及することによる国民生活への貢献

①守りたいナラ林は殺菌剤微量注入法で低コストに防除し、伐倒可能なナラ林は大量集積型おとり丸太法で

広葉樹林を活用しながら被害拡大も防ぐことで、多様な機能を発揮できる森林を低コストで保全できる。

②ナラ枯れリアルタイム被害予測システムにより被害の現状と拡大予測マップが瞬時に生成・閲覧できること

で、迅速な被害防除計画の策定が可能になる。

③備長炭用ウバメガシ林の力シノナガキクイムシを低コストで駆除することで、高品質な備長炭の生産と購入が維持され、地域振興に貢献できる。

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“殺菌剤微量注入法”で防除コスト半減

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備長炭用ウパメガシに穿孔したカシノナガキクイムシは、伐倒・残置で駆除

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“大量集積型おとり丸太法”で、駆除、広葉樹林の利用、更新を三位一体で実施

ナラ林伐採でカシナガを醗引するおとり丸太の

大量集積

チップ利用で駆除も収益も

萌芽で更新

“ナラ枯れリアルタイム被害予測システム”で現状と予測をリアルタイム閲覧

ナラ枯れリアルタイム被害予測システム

~ 被害の現状と予測マップの自動生成

携帯電話の写真を送信するだけで・.

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低コストでの多機能な森林の保全

備長炭等林産物による山村振興

問い合わせ先 :(独〉森林総合研究所研究情報科相談窓口 TEL 029 829 8377

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