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トレカ ® クロス工法技術資料 炭素繊維シート接着工法によるコンクリート構造物の補修・補強 2011年5月 東レ株式会社

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トレカ®クロス工法技術資料

炭素繊維シート接着工法によるコンクリート構造物の補修・補強

2011年5月

東レ株式会社

Page 2: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

トレカクロス工法技術資料

-目次-

1章 工法概要

1.1 トレカクロス工法 ・・・・・・・・・・・・ 1-1

1.2 工法の特長 ・・・・・・・・・・・・ 1-1

1.3 工法の適用範囲 ・・・・・・・・・・・・ 1-2

2章 材料編

2.1 トレカクロス ・・・・・・・・・・・・ 2-1

2.2 プライマー ・・・・・・・・・・・・ 2-2

2.3 不陸修正材 ・・・・・・・・・・・・ 2-4

2.4 含浸接着樹脂 ・・・・・・・・・・・・ 2-6

2.5 CFRP の引張試験結果 ・・・・・・・・・・・・ 2-11

2.6 CFRP とコンクリートの付着試験結果 ・・・・・・・・・・・・ 2-15

2.7 CFRP の継手強度 ・・・・・・・・・・・・ 2-18

2.8 曲率がトレカクロスの引張強度に与える影響 ・・・・・・・・・・・・ 2-21

2.9 CFRP(TS レジン)とコンクリートと接着試験結果 ・・・・・・・・・・・・ 2-22

2.10 CFRP の耐久性評価試験 ・・・・・・・・・・・・ 2-25

2.11 CFRP の熱特性 ・・・・・・・・・・・・ 2-26

2.12 価格表 ・・・・・・・・・・・・ 2-27

3章 設計編

3.1 曲げ補強設計 ・・・・・・・・・・・・ 3-1

3.2 せん断補強設計 ・・・・・・・・・・・・ 3-4

3.3 橋脚耐震補強設計 ・・・・・・・・・・・・ 3-9

3.4 床版補強設計 ・・・・・・・・・・・・ 3-14

3.5 設計例 ・・・・・・・・・・・・ 3-16

4章 施工編

4.1 使用材料 ・・・・・・・・・・・・ 4-1

4.2 施工手順 ・・・・・・・・・・・・ 4-3

4.3 トレカクロス工法における安全の留意点 ・・・・・・・・・・・・ 4-16

5章 その他

5.1 歩掛り ・・・・・・・・・・・・ 5-1

5.2 トレカクロス工法の第3者評価 ・・・・・・・・・・・・ 5-12

5.2 下地処理材・仕上げ材 ・・・・・・・・・・・・ 5-15

5.3 主な技術資料 ・・・・・・・・・・・・ 5-16

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1-1

1章 工法概要

1.1 トレカクロス工法

トレカクロス工法とは、従来材料である鋼材等にかわって、先端材料である炭素繊維

“トレカ®”を織物に加工したトレカクロスを使い、含浸接着樹脂でコンクリート表面に

含浸・接着・硬化させるコンクリート構造物の補修・補強工法である。

1.2 工法の特長

トレカクロス工法の特長を以下に示す。

(1) 炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の特長

・ CFRP の密度は、約 1.6g/cm3 と鉄の約 1/5 程度であり、補強による重量増加はほとん

ど生じない。

・ 高強度型トレカクロスの引張強度は 3,400 N/mm2 以上であり、鋼材の 10 倍以上である。

・ 補強後の厚みが薄いため、補強によるコンクリート躯体の形状変化は、従来材料に比

べ、非常に少ない。

(2) 補強効果

・ 炭素繊維が 1 方向に配列されているトレカクロス 1 方向タイプは、トレカクロスのも

つ優れた強度特性が最大限に発揮され、高い補強効果が得られる。

・ トレカクロスは 1 方向のみ補強効果を発揮するので、必要とする方向のみを補強する

ことができる。また、トレカクロス 2 方向タイプは 2 方向に炭素繊維が配向されてい

るので 2 方向に効果が発揮できる(主に剥落・ひび割れ対策で使用)。

・ CFRP は積層することが可能である。要求補強量に対し、積層数の調整により経済的・

効率的な補強が可能である。

(3) 施工性

・ トレカクロスを常温硬化の含浸接着樹脂で含浸・接着する簡単な施工で、少人数かつ

短工期で済む。

・ 軽量で手作業だけで施工が可能であり、重機が不要で施工スペースに制約されない。

・ トレカクロスは、構造物の複雑形状に柔軟に対応でき、また自由にカットできる。

・ 軽量で運搬性に優れ、搬入が容易であり、高所・狭い場所での作業にも適する。

・ トレカクロス1方向タイプにはガラス糸が挿入されており、樹脂の含浸状況を目視で

確認することができる。(トレカクロス G 工法として NETIS 登録済み:KT-090053-A)

(4) 耐久性、耐食性

・ 炭素繊維シートと含浸接着樹脂のみを用いる補強工法のため、ほとんどの環境で腐

食・劣化に対して安定である。また、材料自体は既往の研究などから疲労に対しても

鋼材以上の耐久性を発揮する。

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1-2

(5) コスト

・ 工事費はトレカクロスの層数によって変化するが、一般的に低コストである。

・ 付帯工事費、工期等を含めて総合的コストで有利となる。

1.3 工法の適用範囲

トレカクロス工法の適用範囲はコンクリート構造物全般である。その適用例について、

土木用途と建築用途に分けると以下のようになる。

①土木用途例 ・・・ 道路橋・鉄道高架橋の橋脚の耐震補強、

地下鉄中柱の耐震補強、道路橋 RC 床版の補修・補強、

道路橋等桁の曲げ補強・せん断補強、

トンネル、ボックスカルバートの補修・補強など

②建築用途例 ・・・ 柱・壁の耐震補強、梁・床等の補修・補強・たわみ防止、

RC 煙突の耐震補強など

【適用範囲】

橋脚 桁・梁 床版

煙突 柱 トンネル

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2-1

2章 材料編

2.1 トレカクロス

トレカクロスの性能一覧表を下表に示す。

(なお、下表はカタログ値であり、保証値を示すものではない。)

表 2.1-1 トレカクロス性能一覧表

クロス物性 CFRP 物性

ヤング係数 kN/㎜2 [kgf/㎝2] ※3

類 品 番

繊維

重量

g/㎡ ※1

設計厚み

㎜ ※2

密度

g/㎝3

引張強度

N/㎜2 ※3

[kgf/㎝2] 建築 ※4 土木 ※5

UT70-20G 200 0.111 1.80 3,400

[35,000]

230 [2.34×106]

245

[2.50×106]

UT70-30G 300 0.167 1.80 3,400

[35,000]

230 [2.34×106]

245

[2.50×106]

UT70-40G 400 0.222 1.80 3,400

[35,000] -

245

[2.50×106]

UT70-45G 450 0.250 1.80 3,400

[35,000] -

245

[2.50×106]

UT70-60G 600 0.333 1.80 3,400

[35,000] -

245

[2.50×106]

UM46-30G 300 0.163 1.84 2,400

[25,000]

440 [4.45×106]

440

[4.45×106]

UM46-34G 340 0.185 1.84 2,400

[25,000] -

440

[4.45×106]

性 UM46-40G 400 0.217 1.84

2,400

[25,000] -

440

[4.45×106]

BT70-20 タテ 100

ヨコ 100

タテ 0.056

ヨコ 0.056 1.80

タテ 2,900

ヨコ 2,900

[タテ 30,000]

[ヨコ 30,000]

230 [2.34×106]

245

[2.50×106]

度 BT70-30

タテ 150

ヨコ 150

タテ 0.083

ヨコ 0.083 1.80

タテ 2,900

ヨコ 2,900

[タテ 30,000]

[ヨコ 30,000]

230 [2.34×106]

245

[2.50×106]

※1.単位面積あたりの炭素繊維重量であり、目付量ともいう。

※2.炭素繊維の実断面積から設定した値。樹脂を含めた施工後の厚さは一層当たり 0.6~1.5 ㎜。

※3.引張強度は平均-3σとした値、ヤング係数は平均値を示す。

※4.(財)日本建築防災協会、平成 11 年 9 月「連続繊維補強材を用いた既存鉄筋コンクリート造及び鉄骨鉄

筋コンクリート造建築物の耐震改修設計・施工指針」に記載のヤング係数。

※5.建設省土木研究所構造橋梁部橋梁研究室/炭素繊維補修・補強工法技術研究会、平成 11 年 12 月「コ

ンクリート部材の補修・補強に関する共同研究報告書(Ⅲ)-炭素繊維シート接着工法による道路橋

コンクリート部材の補修・補強に関する設計・施工指針(案)-」に記載のヤング係数。

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2-2

2.2 プライマー

トレカクロス工法では、標準プライマーとして以下の4種類がある。

①TSP400(東レ㈱)

②ショーボンドネオプライマー(ショーボンド化学㈱)

③ボンドE810L(コニシ㈱)

④トーホーダイトCF5(㈱東邦アーステック)

(1) TSP400(東レ㈱)

表2.2-1 TSP400の種類

品名

項目 TSP400S TSP400W 備 考

硬化物比重 1.00~1.30 JIS K 7112

混合比(重量) 主剤:硬化剤=2:1

使用温度 15℃~35℃ 5℃~20℃

すべてJAIA F☆☆☆☆に登録済み

表2.2-2 TSP400の温度と可使時間

品 名 TSP400S TSP400W

温 度 (℃) 15 20 25 30 35 5 10 15 20

指触硬化時間(時間) 24 16 12 8 6 32 24 16 10

可使時間(分) 120 60 45 25 15 120 90 60 40

(2) ショーボンドネオプライマー(ショーボンド化学㈱)

表2.2-3 ショーボンド ネオプライマーの種類

品名

項目 ショーボンド ネオプライマー 備 考

液比重 1.00±0.10 JIS K 5600

混合比(重量) 主剤:硬化剤=1:1

使用温度 5℃~35℃

JAIA F☆☆☆☆に登録済み

表2.2-4 ショーボンドネオプライマーの温度と可使時間

品 名 ショーボンド ネオプライマー

温度(℃) 5 10 20 30

混合物粘度(mPa・s) 20

指触硬化時間(時間) 8 6 2 1

可使時間(時間) 10 8 6 4

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2-3

(3) ボンドE810L(コニシ㈱)

表2.2-5 ボンドE810Lの種類

品名

項目

ボンド

E810L S

ボンド

E810L W 備 考

硬化物比重 1.10±0.10 JIS K 7112

混合比(重量) 主剤:硬化剤=5:2

使用温度 15℃~35℃ 5℃~20℃

すべてJAIA F☆☆☆☆に登録済み

表2.2-6 ボンドE810Lの温度と可使時間

品 名 ボンド E810L S ボンド E810L W

温 度 (℃) 10 20 30 5 10 20

混合物粘度(mPa・s) 1,600 600 300 2,500 1,500 500

指触硬化時間(時間) 15 6 3 15 8 5

可使時間(分) 120 60 30 120 60 30

(4) トーホーダイトCF5(㈱東邦アーステック)

表2.2-7 トーホーダイトCF5の種類

品名

項目

トーホーダイト

CF5

トーホーダイト

CF5 W 備 考

硬化物比重 1.20±0.10 JIS K 7112

混合比(重量) 主剤:硬化剤=2:1

使用温度 15℃~35℃ 5℃~20℃

すべてJAIA F☆☆☆☆に登録済み

表2.2-8 トーホーダイトCF5の温度と可使時間

品 名 トーホーダイト

CF5

トーホーダイト

CF5 W

温 度 (℃) 10 20 30 5 10 20

混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700

指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26 13

可使時間(分) 110 60 30 150 110 35

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2-4

2.3 不陸修正材

トレカクロス工法では、標準不陸修正材として以下の4種類がある。

①TSF600(東レ㈱)

②ボンドE395(コニシ㈱)

③ショーボンドネオパテF(ショーボンド化学㈱)

④トーホーダイトS901(㈱東邦アーステック)

(1) TSF600(東レ㈱)

表2.3-1 TSF600の種類

品名

項目 TSF600S TSF600W 備考

硬化物比重 1.40±0.10 JIS K 7112

混合比(重量) 主剤:硬化剤=2:1

使用温度 15℃~35℃ 5℃~20℃

すべてJAIA F☆☆☆☆に登録済み

表2.3-2 TSF600の温度と可使時間

雰囲気温度(℃) 5 10 15 20 30 35

TSF600S - - 120 90 45 15 可使時間

(分) TSF600W 120 90 60 40 - -

(2) ボンドE395(コニシ㈱)

表2.3-3 ボンドE395の種類

品名

項目

ボンド

E395S

ボンド

E395W 備考

硬化物比重 1.50±0.10 JIS K 7112

混合比(重量) 主剤:硬化剤=2:1

使用温度 15℃~35℃ 5℃~20℃

すべてJAIA F☆☆☆☆に登録済み

表2.3-4 ボンドE395の温度と可使時間

雰囲気温度(℃) 5 10 20 25 35

E395S - 140 70 35 25 可使時間

(分) E395W 90 50 30 - -

(3) ショーボンドネオパテF(ショーボンド化学㈱)

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2-5

表2.3-5 ショーボンドネオパテFの種類

品名

項目

ショーボンド

ネオパテF(S)

ショーボンド

ネオパテF(W) 備考

硬化物比重 1.40±0.10 JIS K 7112

混合比(重量) 主剤:硬化剤=2:1

使用温度 15℃~35℃ 5℃~20℃

表2.3-6 ショーボンドネオパテFの温度と可使時間

品 名 ショーボンド

ネオパテF(S)

ショーボンド

ネオパテF(W)

雰囲気温度(℃) 20 25 30 5 10 15

可使時間(分) 60 40 30 60 40 30

(4) トーホーダイトS901(㈱東邦アーステック)

表2.3-5 トーホーダイトS901の種類

品名

項目

トーホーダイト

S901

トーホーダイト

S901 W 備考

硬化物比重 1.60±0.10 JIS K 7112

混合比(重量) 主剤:硬化剤=2:1

使用温度 15℃~35℃ 5℃~20℃

表2.3-6 トーホーダイトS901の温度と可使時間

品 名 トーホーダイト

S901

トーホーダイト

S901 W

雰囲気温度(℃) 10 20 30 5 10 20

指触硬化時間(時間) 24 14 6 16 14 8

可使時間(分) 110 90 45 140 120 45

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2-6

2.4 含浸接着樹脂

トレカクロス工法では、標準含浸接着樹脂として以下の4種類がある。

①TSR800(東レ㈱)

②ショーボンドCE (ショーボンド化学㈱ ) ③ボンドE2500(コニシ㈱)

④トーホーダイトCF5P(㈱東邦アーステック)

また、エポキシ系含浸接着樹脂の品質基準の一例を表 2.4-1 に示す。

表2.4-1 エポキシ系含浸接着樹脂の品質基準

規格値

試験項目 単位 試験条件

一般用 冬用

試験方法

外観 異常がないこと JIS K6833

硬化物比重 23℃ 7 日 表示項目 JIS K7112

可使時間 分 5 または 23℃ 表示項目 温度上昇法

粘度 Pa×s 5 または 23℃ 表示項目 JIS K7117/JIS K6833

初期硬化性 N/mm2 5 または 23℃ 表示項目 JIS A6024

引張強さ N/mm2 23℃ 7 日 30 以上 JIS K7113

曲げ強さ N/mm2 23℃ 7 日 40 以上 JIS K7171

圧縮強さ N/mm2 23℃ 7 日 70 以上 JIS K7181

圧縮ヤング係数 N/mm2 23℃ 7 日 1500 以上 JIS K7181

引張せん断接着強さ N/mm2 23℃ 7 日 10 以上 JIS K6850

低温時曲げ接着強さ N/mm2 5℃ 14 日 3 以上 JIS A6024

質量 % 5 以下 JIS A6024

加熱変化

体積 % 5 以下 JIS A6024

※発注者によって、要求される品質基準は異なりますので、事前に確認が必要です。

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2-7

(1) TSR800(東レ㈱)

表 2.4-2 TSR800 の種類と測定値

試験結果 試験項目 単位

TSR800S TSR800W

外観 異常なし

硬化物比重 1.13 1.14

可使時間 分 60(20℃) 60(10℃)

粘度 Pa×s 6.8(20℃) 12.2(10℃)

初期硬化性 N/mm2 7.9 8.9

引張強さ N/mm2 53.2 48.9

曲げ強さ N/mm2 81.3 72.0

圧縮強さ N/mm2 92.1 84.5

圧縮ヤング係数 N/mm2 2,750 2,680

引張せん断

接着強さ N/mm2 22.4 19.9

低温時の

曲げ接着強さ N/mm2 - 6.7

質量 % 2.33 3.04 加熱変化

体積 % 1.89 2.90

混合比(重量) 2:1

すべて JAIA F☆☆☆☆に登録済み

表2.4-3 TSR800の温度と可使時間

品 名 TSR800S TSR800W

温 度 (℃) 15 20 25 30 35 5 10 15 20

混合物粘度

(mPa・s) 9,600 7,200 5,600 4,800 4,300 17,600 12,200 8,300 6,300

指触硬化時間

(時間) 24 16 12 8 6 32 24 16 10

可使時間(分) 60 45 25 15 10 120 60 45 20

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2-8

(2) ショーボンドCE(ショーボンド化学㈱)

表 2.4-4 ショーボンドCEの種類と測定値

試験結果

試験項目 単位 ショーボンド

CE(S)

ショーボンド

CE(W)

外観 異常なし

硬化物比重 1.12 1.10

可使時間(23℃) 分 37 22

粘度(23℃) Pa×s 13.6 7.2

初期硬化性 N/mm2 12.8 13.9

引張強さ N/mm2 47.4 40.5

曲げ強さ N/mm2 72.9 62.2

圧縮強さ N/mm2 79.6 73.4

圧縮ヤング係数 N/mm2 2,620 2,400

引張せん断

接着強さ N/mm2 30.3 25.9

低温時の

曲げ接着強さ N/mm2 - 7.8

質量 % 1.6 2.7 加熱変化

体積 % 1.6 2.8

混合比(重量) 7:3

すべてJAIA F☆☆☆☆に登録済み

表2.4-5 ショーボンドCEの温度と可使時間

雰囲気温度(℃) 5 10 15 20 25 30

CE(S) - - 65 50 40 30 可使時間

(分) CE(W) 50 40 30 20 - -

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2-9

(3) ボンドE2500(コニシ㈱)

表 2.4-6 ボンド E2500 の種類と測定値

試験結果

試験項目 単位 ボンド

E2500S

ボンド

E2500W

外観 異常なし

硬化物比重 1.17 1.19

可使時間(20℃) 分 66 40

粘度(20℃) Pa×s 19.0 8.4

初期硬化性 N/mm2 4.6 10.8

引張強さ N/mm2 54.1 46.9

曲げ強さ N/mm2 95.4 75.9

圧縮強さ N/mm2 100.9 94.6

圧縮ヤング係数 N/mm2 2,800 2,800

引張せん断

接着強さ N/mm2 16.7 17.3

低温時の

曲げ接着強さ N/mm2 - 7.4

質量 % 3 3 加熱変化

体積 % 3 3

混合比(重量) 2:1

すべてJAIA F☆☆☆☆に登録済み

表2.4-7 ボンドE2500の温度と可使時間

雰囲気温度(℃) 5 10 15 20 25 30

E2500S - - 150 90 65 35 可使時間

(分) E2500W 150 80 50 40 - -

Page 14: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

2-10

(4) トーホーダイトCF5P(㈱東邦アーステック)

表 2.4-8 トーホーダイト CF5P の種類と測定値

試験結果

試験項目 単位 トーホーダイト

CF5P

トーホーダイト

CF5PW

外観 異常なし

硬化物比重 1.16 1.16

可使時間(20℃) 分 32 20

粘度(20℃) Pa×s 11.7 5.15

初期硬化性 N/mm2 14.1 9.0

引張強さ N/mm2 43.1 39.5

曲げ強さ N/mm2 68.8 58.6

圧縮強さ N/mm2 84.6 70.5

圧縮ヤング係数 N/mm2 2,840 2,260

引張せん断

接着強さ N/mm2 24.8 21.6

低温時の

曲げ接着強さ N/mm2 - 8.2

質量 % 2.3 4.3 加熱変化

体積 % 2.2 4.3

混合比(重量) 2:1

すべてJAIA F☆☆☆☆に登録済み

表2.4-9 トーホーダイトCF5Pの温度と可使時間

品 名 トーホーダイトCF5P

温 度 (℃) 10 15 20 25 30 35

混合物粘度(mPa・s) 26,000 19,300 14,400 10,300 8,700 7,200

指触硬化時間(時間) 24 23 16 9 6 5

可使時間(分) 170 120 50 30 20 15

表2.4-10 トーホーダイトCF5PWの温度と可使時間

品 名 トーホーダイトCF5PW

温 度 (℃) 5 10 15 20

混合物粘度(mPa・s) 14,800 11,000 7,500 5,700

指触硬化時間(時間) 33 23 17 13

可使時間(分) 120 100 50 30

Page 15: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

2-11

2.5 CFRPの引張試験結果(当時JIS K7073、現在JIS A1191準拠)

(トレカクロス×TSR800,ショーボンドCE ,コニシE2500)

(1) 目的

炭素繊維シートの0°引張試験を実施し、引張強度、ヤング係数の特性値を確認する。

(2) 試料

トレカクロスとTSR800、ショーボンドCEおよびコニシE2500を使って作成された試験片

の引張試験を行った。

表2.5-1 試料の組み合わせ

※1:同等品のUT70-20,UT70-30,UT70-40,UM46-30。

(3) 試験方法

・試験方法 JIS K 7073に準拠

・試験片形状 図2.5-1の通り

図2.5-1 引張試験片

クロス クロス 含浸接着樹脂

性能 品番 TSR800 ショーボンド CE E2500

[東レ] [ショーボンド化学] [コニシ]

UT70-20G ○ ○※1 ○※1

UT70-30G ○ ○※1 ○※1 高強度

UT70-40G - - ○※1

高弾性 UM46-30G - ○ ○※1

Page 16: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

2-12

(4) 引張試験データ(例)

a) 高強度クロスの引張試験データ

① TSR800使用

炭素繊維シート:UT70-20G

含浸接着樹脂 :TSR800

積層枚数 :1枚

サンプル数 :48

引張強度

N/mm2

ヤング係数

kN/mm2

平均値 X 4,257 246.1

標準偏差 σ 252.4 13.54

X-3σ 3,499 -

(引張強度規格値)X-3σ:3,400N/mm2以上

炭素繊維シート:UT70-30G

含浸接着樹脂 :TSR800

積層枚数 :1枚

サンプル数 :47

引張強度

N/mm2

ヤング係数

kN/mm2

平均値 X 4,640 241.8

標準偏差 σ 241.8 12.15

X-3σ 3,915 -

(引張強度規格値)X-3σ:3,400 N/mm2以上

②ショーボンドCE使用

炭素繊維シート:UT70-20(UT70-20Gと同等品)

含浸接着樹脂 :ショーボンドCE

積層枚数 :1枚

サンプル数 :50

引張強度

N/mm2

ヤング係数

kN/mm2

平均値 X 4,535 246.1

標準偏差 σ 265.4 9.50

X-3σ 3,739 -

(引張強度規格値) X-3σ:3,400 N/mm2以上

0%

5%

10%

15%

20%

25%

3000 3500 4000 4500 5000 5500

引張強度 (N/mm2)

発現

頻度

 (%

規格

X-3

σ=3,4

99

0%

5%

10%

15%

20%

25%

3000 3500 4000 4500 5000 5500

引張強度 (N/mm2)

発現

頻度

 (%

規格

X-3σ

=3,9

15

Page 17: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

2-13

炭素繊維シート:UT70-30(UT70-30Gと同等品)

含浸接着樹脂 :ショーボンドCE

積層枚数 :1枚

サンプル数 :50

引張強度

N/mm2

ヤング係数

kN/mm2

平均値 X 4,887 249.7

標準偏差 σ 453.5 9.09

X-3σ 3,527 -

(引張強度規格値) X-3σ:3,400 N/mm2 以上

炭素繊維シート:UM46-30G

含浸接着樹脂 :ショーボンドCE

積層枚数 :1枚

サンプル数 :50

引張強度

N/mm2

ヤング係数

kN/mm2

平均値 X 3,518 458.8

標準偏差 σ 186.0 13.0

X-3σ 2,960 -

(引張強度規格値) X-3σ:2,400 N/mm2 以上

③ボンドE2500使用

炭素繊維シート:UT70-20(UT70-20Gと同等品)

含浸接着樹脂 :ボンドE2500

積層枚数 :1枚

サンプル数 :54

引張強度

N/mm2

ヤング係数

kN/mm2

平均値 X 4,576 253.7

標準偏差 σ 358.3 11.31

X-3σ 3,501 -

(引張強度規格値) X-3σ:3,400 N/mm2以上

0%

5%

10%

15%

20%

25%

30%

2000 2500 3000 3500 4000 4500

引張強度(N/mm2)

発現

頻度

(%)

規格

X-

3σ

=2,9

60

Page 18: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

2-14

炭素繊維シート:UT70-30(UT70-30Gと同等品)

含浸接着樹脂 :ボンドE2500

積層枚数 :1枚

サンプル数 :58

引張強度

N/mm2

ヤング係数

kN/mm2

平均値 X 4,504 243.2

標準偏差 σ 265.3 10.02

X-3σ 3,708 -

(引張強度規格値) X-3σ:3,400 N/mm2 以上

炭素繊維シート:UT70-40(UT70-40Gと同等品)

含浸接着樹脂 :ボンドE2500

積層枚数 :2 枚

サンプル数 :30

引張強度

N/mm2

ヤング係数

kN/mm2

平均値 X 4,753 261.0

標準偏差 σ 198.0 6.2

X-3σ 4,159 -

(引張強度規格値) X-3σ:3,400 N/㎜2 以上

b) 高弾性クロスの引張試験データ

①ボンドE2500使用

炭素繊維シート:UM46-30(UM46-30Gと同等品)

含浸接着樹脂 :ボンドE2500

積層枚数 :2 枚

サンプル数 :30

引張強度

N/mm2

ヤング係数

kN/mm2

平均値 X 3,331 433.0

標準偏差 σ 205.0 1.6

X-3σ 2,716 -

(引張強度規格値) X-3σ:2,400 N/㎜2 以上

Page 19: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

2-15

2.6 CFRPとコンクリートの付着試験結果

(1) 目的

トレカクロスを貼り付けたコンクリートの引張試験を実施し、コンクリートとCFRPの付

着強度を求める。

(2) 試料

試料の組み合わせは表の通り

炭素繊維シート 含浸接着樹脂

1方向クロス UT70-30

(300g/㎡)

(UT70-30Gと同等品)

東レ(株)製

含浸接着樹脂

(3) 試験方法

付着試験の試験体は図2.6-1に示す材軸方向中央にノッチ(幅15mm、深さ7.5mm)を有し

た断面10cm角、長さ60cmのコンクリートブロックの材軸方向両面に幅40mmのトレカクロス

を貼り付けたものである。

図2.6-1 付着試験体の形状と寸法

Page 20: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

2-16

(4) 試験結果

トレカクロスUT70-30を貼り付けた試験体は、いずれも補強材の剥離によって終局状態

に至った。試験結果を表2.6-1及び 図2.6-3に示す。

表2.6-1 最大荷重と付着強度の一覧

*1)付着強度fcf =Pu/{Lj(貼り付け長さ)×4cm×2}

=Pu/{Acf(貼り付け面積)×2}

*2)実験での軸方向変位から求めた付着長さ(有効付着長さLe)

*3)有効付着長さLeを用いて求めた付着強度

*4)有効付着長さとは図2.6-2の変位モデルに基づく、付着切れ範囲を除いた区間の長さである。

*5)LSは夏用(S)、LWは冬用(W)を用いて貼り付けた試験体を示す。

試験体 最大荷重Pu

N (㎏f)

最大

変位δu

mm

付着強度*1

N/㎜2

(㎏f/㎝2)

定着 *2

長さLe

cm

付着強度*3

N/㎜2

(㎏f/㎝2)

最大測定歪

(×10-6 )

LS15-1 18,721(1,909) 0.85 1.56 (15.9) 7.48 3.13 (31.9) 2,756/6,018

LS15-2 16,828(1,716) 0.59 1.40 (14.3) 9.29 2.27 (23.1) 3,229/3,479

LS15-3 16,014(1,633) 0.33 1.33 (13.6) 11.81 1.70 (17.3) 1,112/2,384

平均 17,188(1,753) 0.59 1.43 (14.6) 9.53 2.37 (24.1)

LS20-1 21,702(2,213) 1.78 1.35 (13.8) 6.09 4.45 (45.4) 3,415/5,373

LS20-2 19,309(1,969) 1.44 1.21 (12.3) 7.39 3.27 (33.3) 4,641/4,665

LS20-3 20,976(2,139) 1.20 1.31 (13.4) 10.42 2.52 (25.7) 4,278/5,930

平均 20,662(2,107) 1.36 1.29 (13.2) 7.97 3.41 (34.8)

LS25-1 21,839(2,227) 2.11 1.09 (11.1) 8.54 3.20 (32.6) 6,657/5,216

LS25-2 20,800(2,121) 1.92 1.04 (10.6) 9.29 2.79 (28.5) 6,442/4,702

LS25-3 17,554(1,790) 1.04 0.88 (9.00) 15.07 1.45 (14.8) 2,208/4,595

平均 20,064(2,046) 1.69 1.00 (10.2) 10.97 2.48 (25.3)

LW15-1 19,133(1,951) 0.87 1.60 (16.3) 7.73 3.09 (31.5) 4,057/3,072

LW15-2 19,496(1,988) 1.07 1.63 (16.6) 6.15 3.96 (40.4) 2,710/4,595

LW15-3 20,800(2,121) 1.32 1.74 (17.7) 4.70 5.53 (56.4) 5,546/2,117

平均 19,810(2,020) 1.09 1.66 (16.9) 6.19 4.19 (42.8)

LW20-1 19,760(2,015) 0.93 1.24 (12.6) 12.46 1.98 (20.2) 1,655/4,165

LW20-2 18,270(1,863) 1.20 1.14 (11.6) 9.33 2.45 (25.0) 1,468/4,597

LW20-3 18,593(1,896) 1.19 1.17 (11.9) 9.61 2.42 (24.7) 4,404/3,398

平均 18,874(1,925) 1.11 1.18 (12.0) 10.47 2.28 (23.3)

LW25-1 21,565(2,199) 1.71 1.08 (11.0) 12.03 2.24 (22.8) 2,562/5,773

LW25-2 19,447(1,983) 1.39 0.97 (9.92) 13.35 1.82 (18.6) 1,780/2,969

LW25-3 21,339(2,176) 1.81 1.07 (10.9) 11.10 2.40 (24.5) 2,404/3,648

平均 20,784(2,119) 1.64 1.04 (10.6) 12.16 2.15 (22.0)

Page 21: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

2-17

図2.6-2 変位モデル

図2.6-3 付着強度と貼り付け長さ

(5) 考察

なお、表2.6-1から有効定着長さを用いて求めた付着強度は、「日本建築学会・鉄筋コ

ンクリート構造計算基準・同解説」で求めたコンクリートの短期せん断強度 1.03N/㎜2

〔10.5㎏/㎝2=1.5×(5+Fc/100)〕をほぼ下限値とした値になっており、コンクリート

とCFRPの付着強度はコンクリートのせん断強度と同等以上である。

Page 22: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

2-18

2.7 CFRPの継手強度

(1) 目的

トレカクロス繊維方向の重ね継ぎ手部長さがL=10㎝で充分であることを確認する。

多くの設計指針等で「継手長は 低10㎝は必要であり、安全率を2.0として、20㎝とす

る。」という規格が示されており、その実証を目的とした。

(2) 試料

以下の試料により、確認試験を実施した。

クロス繊維方向 クロス品番 含浸接着樹脂

UT70-30

(UT70-30Gと同等品) E2500[コニシ]

1方向

UT70-45G TSR800[東レ]

2方向 BT70-30 E2500[コニシ]

(3) 試験方法

試験片の作成は、離型フィルム上でトレカクロスに接着樹脂を含浸させる。さらに2枚

目を10㎝重ねてセットする。その上に接着樹脂を重ね塗りし、硬化板を作成する。この基

準面に沿ってGFRPタブを貼り付け、養生硬化後、基準面に沿って平行に短冊加工した。

・試験方法 土木学会 (JSCE-E 542-2000)に準拠

・継手長 10㎝ (建築防災協会・土木研究所等の継手長基準による)

・試験装置 インストロン社製 Model 1185

・測定温度 23℃

・引張速度 2mm/min

Page 23: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

2-19

(4) 判定基準

a) 既往の研究成果

炭素繊維シートの貼り合わせ部の一体性を確保できる継ぎ手長さは、図2.7-2のように6

㎝の継ぎ手長さがあれば十分と考えられている。

図2.7-1炭素繊維シート同士の付着試験 図2.7-2 炭素繊維シートの貼合わせ長さの影響

b) 規格値

(鉄道総研 炭素繊維シートによる地下鉄RC柱の耐震補強工法設計・施工指針)

項 目 合否判定基準とする規格値 試験方法

継手強度試験 継ぎ手部引張強度が母材引張強度以上で、

母材破断すること。

・1方向:3,400N/㎜2 (35,000㎏f/㎝2)

・2方向:2,900N/㎜2 (30,000㎏f/㎝2)

JSCE-E

542-2000

に準拠

(JISA1191)

引張力

L=20,40,60

80,100mm

引張力 引張力(N)

3000

重ね合わせ長さ(cm)

素材強度

2

2000

1000

0

4 6 8 10

Page 24: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

2-20

(5) 試験結果

a) 1方向 UT70-30(UT70-30Gと同等品)×ボンドE2500 n=10

No 引張強度 N/㎜2(㎏f/cm2) No 引張強度 N/㎜2(㎏f/cm2)

3,883 (39,600)

3,991 (40,700)

4,021 (41,000)

4,001 (40,800)

3,991 (40,700)

3,805 (38,800)

4,158 (42,400)

3,942 (40,200)

3,893 (39,700)

4,089 (41,700)

最 小 値 3,883 (39,600)

規 格 値 3,400 (35,000)以上

c) 1方向 UT70-45G×TSR800 n=5

No 引張強度 N/㎜2(㎏f/cm2)

3,620 (36,900)

3,963 (40,400)

4,179 (42,60)

4,092 (41,800)

4,042 (41,200)

最 小 値 3,620 (36,900)

規 格 値 3,400 (35,000)以上

c) 2方向 BT70-30×ボンドE2500 n=5

No 引張強度 N/㎜2(㎏f/cm2)

3,432 (35,000)

3,099 (31,600)

3,226 (32,900)

3,432 (35,000)

3,962 (40,400)

最 小 値 3,099 (31,600)

規 格 値 2,900 (30,000)以上

Page 25: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

2-21

2.8 曲率がトレカクロスの引張強度に与える影響

(1) 目的

炭素繊維シートを用いて、コンクリート構造物を補修・補強する際にコーナー部は炭素

繊維の折れ曲がりによる強度低下を引き起こすので、R加工が必要となる。トレカクロス

高強度1方向タイプにつき、曲率半径の大きさと引張強度の関係を試験によって確認した。

(2) 試験方法

a) 試験片

炭素繊維シート:トレカクロス UT70-30

含浸接着樹脂 :ショーボンドCE(ショーボンド化学(株))

※試験片はあらかじめ試験を実施するそれぞれの曲率半径に合わせて作製し、鉄製ピン

タブを付け、片側を固定した(試験片幅;12.5mm)。

b) CF引張方法(測定治具)

試験半径(R;5、10、20、30mm)

図2.8-1 試験状況概略図

(3) 試験結果

10R以上にて保証強度の3,400N/㎜2以上となった。従ってトレカクロスを構造補強とし

て用いる場合のコーナー部曲率は10R以上とした方がよい。

*本実験は日米共同研究の(Hybrid)のFRPーHibrid委員会(主査 東京理科大学 松崎育弘 教授)の下で行われたものである。

R 治具(R=5,10,20,30,100mm)

ピンタブ(鉄)

破断箇所

250mm

2mm/min 荷重

アルミタブ

100mm 150mm

ピン

Page 26: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

2-22

図 2.8-2 試験結果分布図

2.9 CFRP(TSレジン)とコンクリートとの接着試験結果

(1) 目的

トレカクロス/TSレジンとコンクリートとの接着強度を確認した。なお不陸修正材はコ

ニシ(株)製E395を使用し、通常の全面接着の他、悪条件下として部分浮きを想定した試

験体(故意に10%の不接着部を設置)も作製し試験を行った。

(2) 試験内容

a) 使用材料:使用した材料は次のとおり。

A.炭素繊維シート:[東 レ]トレカクロスUT70-30(300g/㎡)

B.プライマー :[東 レ]TSプライマー(W)(主剤:硬化剤=3:1)

C.不陸修正材 :[コニシ]ボンド E395W(主剤:硬化剤=2:1)

D.含浸接着樹脂 :[東 レ]TSレジン(W)(主剤:硬化剤=3:1)

E.コンクリート :歩道用コンクリート平板ブロック(当時JIS A 5304)

(現 JIS A 5371)

b) 未接着部分の大きさ:未接着部分の大きさは次のとおりとした。

水準 ① ②

未接着部分の大きさ なし 12.5×12.5

接着面の面積に対する割合

(40×40㎜) 0% 10%

※未接着部分は、上記大きさに切ったガムテープをコンクリートの上に貼付けて模擬した。

c) 試験体数:各水準で、n=4

(N/mm2)

5,000

4,000

3,000

2,000

1,000

0 10 20 30 40

引張強度 3,400(N/mm2)

R:曲率半径(mm)

Page 27: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

2-23

d) 試験方法:当時JIS A 5400 (現在JIS A 6909)

建研式接着試験(試験機:LPT-1500[山本扛重機(株)製])

(3) 試験方法

a) 試験体作製手順

試験体作製手順は次のとおり。

コンクリート平板の

ディスクサンダー掛け

ガムテープ貼付け

プライマー塗布

不陸修正材塗布

含浸樹脂塗布

1層目

トレカクロス貼付け

樹脂含浸

含浸接着樹脂塗布

2層目

トレカクロス貼付け

樹脂含浸

含浸樹脂塗布・脱泡

試験体作製 :1997.6.11

試 験 :1997.6.23

養生(室温[25℃程度]、12日間)

b) 建研式接着試験

不陸修正材

Page 28: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

2-24

試験手順は次のとおり。

切込み入れ

アタッチメント装着

試験機取付け

試験

(4) 確認項目

本試験において次の項目を合格基準とした。

a) 接着強度:T/1600=1.5N/㎜2 以上

ただし、T=総接着強度(N)

b) 破壊モード:母材破壊

(5) 試験結果

① 接着強度について、試験の結果は次のグラフの通りであった。

接着強度(平均)は各水準とも3N/㎜2程度で、1.5N/㎜2以上であった。

② 破壊モードはすべて母材破壊であり、浮き率10%という悪条件下でも接着性能に変

化はなかった。

コンクリート平板(JIS A5304)

アタッチメント(4×4cm) 切込み

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2-25

2.10 CFRPの耐久性評価試験

(1) 目的

トレカクロスを使用したCFRP耐久性把握のため、JIS A 1415に準拠してサンシャインカ

ーボンアークランプ促進暴露試験を実施し、所定の時間毎に接着試験及び引張試験により

劣化度の確認をした。

(2) 促進暴露後の接着試験・引張試験結果

促進暴露処理時間 0

時間

500

時間

1000

時間

1500

時間

2000

時間 試験方法

引張強度 (N/mm2)

規格値 3,400 以上

4,047

OK

4,577

OK

4,606

OK

4,273

OK

4,508

OK

促進暴露 JIS A 1415 準拠

引張試験 JIS K 7073 準拠

接着強度 (N/mm2)

規格値 1.5 以上

2.7

OK

3.1

OK

2.7

OK

2.8

OK

2.7

OK

促進暴露 JIS A 1415 準拠

接着試験 JIS A 6069 準拠

(3) 考察

2000時間の促進暴露後においても、CFRPとモルタルとの接着強度及びCFRP本体の引張強

度の低下は認められない。

Page 30: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

2-26

2.11 CFRPの熱特性

(1) 目的

火災後の使用などを想定し、一時的に温度が上昇し、2時間一定温度で加熱した後、常

温に戻った場合を想定し、強度保持率の測定を行った。

併せて、加熱中の強度(熱間引張強度)についても、一定温度で30分間加熱後に測定を

行った。

(2) 温度特性図

図2.11-1 CFRPの熱特性

(3) 試験結果

a) 熱間引張強度

100℃に加熱中に引張強度を測定すると、常温時の引張試験の50%以下に低下する。

→ 耐震補強において、CFRPは地震力のみを負担するので問題無し。

(建築基準法では地震と火災は同時に作用しない前提)

b) 火災後の使用を考慮

加熱温度260℃を2時間維持し、その後常温に冷ました場合に引張強度は当初値に復元す

る。

→ 260℃を越えないような耐火被覆を施すことにより、火災後のCFRPの強度は当初値

を確保できる。(2時間以内に鎮火の場合)

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2-27

2.12 価格表

(1) トレカクロス価格表 2011-4-1現在

品 番 方 向 クロス 寸法

( W ㎝×L m)

価 格

(¥/㎡)

識別

ガラス色糸

UT70-20G

UT70-30G

UT70-40G

UT70-45G

UT70-60G

1方向

1方向

1方向

1方向

1方向

25,33,50×50

25,33,50×50

25,33,50×50

50×50

50×50

5,800

8,800

9,800

11,000

13,200

オレンジ

UM46-30G

UM46-34G

UM46-40G

1方向

1方向

1方向

25×50

25×50

25×50

12,500

14,900

16,500

BT70-20

BT70-30

2方向

2方向

100×50

100×50

6,000

9,500

Page 32: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

2-28

(2) 樹脂価格表 2011-4-1現在

メーカ

ー 品 番 仕 様

出 荷 単 位

(主剤/硬化剤)

価 格

(¥/㎏)

東レ TSP400S

TSP400W

春夏秋用

冬用

10㎏缶セット(6.7㎏/3.3㎏)

10㎏缶セット(6.7㎏/3.3㎏)

3,200

3,200

コニシ ボンドE810L S

ボンドE810L W

夏用

冬用

7㎏セット(5㎏缶/2㎏缶)

7㎏セット(5㎏缶/2㎏缶)

3,700

3,700

シ ョ ー ホ ゙ ン

ド化学 ネオプライマー -

10㎏缶セット(5㎏/5㎏)

10㎏缶セット(5㎏/5㎏)

2,400

2,400

東邦

アーステック

トーホーダイトCF5

トーホーダイトCF5W

一般用

冬用

10㎏セット(6.67㎏缶/3.33㎏缶)

10㎏セット(6.67㎏缶/3.33㎏缶)

3,200

3,200

東レ TSF600S

TSF600W

春夏秋用

冬用

10㎏セット(6.7㎏缶/3.3㎏缶)

10㎏セット(6.7㎏缶/3.3㎏缶)

2,200

2,200

コニシ ボンドE395 S

ボンドE395 W

夏用

冬用

15㎏セット(10㎏缶/5㎏缶)

15㎏セット(10㎏缶/5㎏缶)

2,300

2,300

シ ョ ー ホ ゙ ン

ド化学

ネオパテF(S)

ネオパテF(W)

夏用

冬用

10㎏セット(6.67㎏缶/3.33㎏缶)

10㎏セット(6.67㎏缶/3.33㎏缶)

2,150

2,150

東邦

アーステック

トーホーダイトS901

トーホーダイトS901W

一般用

冬用

10㎏セット(6.67㎏缶/3.33㎏缶)

10㎏セット(6.67㎏缶/3.33㎏缶)

2,300

2,300

東レ TSR800S

TSR800W

春夏秋用

冬用

10㎏缶セット(6.7㎏/3.3㎏)

10㎏缶セット(6.7㎏/3.3㎏)

3,200

3,200

コニシ ボンドE2500 S

ボンドE2500 W

夏用

冬用

15㎏セット(10㎏缶/5㎏缶)

15㎏セット(10㎏缶/5㎏缶)

3,700

3,700

シ ョ ー ホ ゙ ン

ド化学

CE(S)

CE(W)

夏用

冬用

10㎏缶セット(7㎏/3㎏)

10㎏缶セット(7㎏/3㎏)

3,500

3,500

脂 東邦

アーステック

トーホーダイトCF5P

トーホーダイトCF5PW

一般用

冬用

10㎏セット(6.67㎏缶/3.33㎏缶)

10㎏セット(6.67㎏缶/3.33㎏缶)

3,200

3,200

注)エポキシ樹脂は気温に応じた使い分けが必要です。夏用(S)・一般用と冬用(W)の切り

替えは日中の平均気温が15℃位を一応の目安として下さい。

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3-1

3章 設計編

本章は、トレカクロスを用いたコンクリート構造物の補強設計方法の一例を示した

ものである。実際に設計を行う場合、5.3 章の主な技術指針や、それ以外にある既存の

設計指針を十分に理解したうえで、適用用途に応じた設計を行う必要がある。

3.1 曲げ補強設計

(1) 基本的な考え方

曲げを受ける床版・床スラブ・梁・桁などの部材に対して、トレカクロスを部材の

曲げ引張縁に接着させることによって、曲げ応力の一部をトレカクロスに負担させ、

鉄筋の応力を低減することで補強を行う。

(2) 設計

a) 補強量

弾性理論に基づく許容応力度設計法を用いる。基本的に下に示す設計フローに基づ

いて、現況部材に発生する応力が許容応力度以下となるようにトレカクロスのヤング

係数・積層数を決定する。

図 3.1-1 基本的な設計フロー

①トレカクロスの仮選定

はじめに品種・目付量(シート厚み)・積層数を仮定して、部材の補強計算を行う。

トレカクロスは高強度型、高弾性型の2種類のシートがあり、目付量増加によって補

強効果が増大する。また、複数積層によっても補強効果が増大する。したがって、こ

れらをはじめに仮定することで、曲げ補強設計がスタートする。

①トレカクロスの仮選定

②中立軸の算定

③断面二次モーメントの算定

設計条件の整理

START

④各材料の発生応力度の算定お

よび照査

END

OK

NG

ヤング係数・積層数の見直し

Page 34: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

3-2

②中立軸の算定

圧縮縁から中立軸までの距離 x は、平面保持が成立する前提で、次の式で算定する。

bbB2AAx

2 ++-=

hAn'd'AndAnBAn'AnAnA

CFCss

CFCss

××+××+××=×+×+×=

(記号)

As :引張鉄筋断面積(mm2)

As’ :圧縮鉄筋断面積(mm2)

ACF :トレカクロスの断面積(mm2)=tCF×b×nCF

nCF :トレカクロスの積層数(層)

tCF :トレカクロスの設計厚み(mm)

n :鉄筋とコンクリートのヤング係数比(通常は n=15)

nC :トレカクロスとコンクリートのヤング係数比(nC=ECF/Ec)

b :梁の幅(mm)

h :梁の高さ(mm)

d :引張鉄筋の圧縮端からの距離(mm)

d’ :圧縮鉄筋の圧縮端からの距離(mm)

x :中立軸の圧縮端からの距離(mm)

③断面二次モーメントの算定

次の式で算定する。

2223

)()'(')(3

'

xhAndxAnxdAnbxInInInII

CFCSS

CFCSSC

-××+-××+-××+=

×+×+×+=

 

④各材料の発生応力度の算定および照査

各材料の発生応力度は次の式で算定する。この発生応力度が許容応力度以内にある

ことを確認しなければならない。発生応力度が許容応力度内にある場合は合格となる

が、これを超える場合はトレカクロスのヤング係数および積層数を見直し、フロー②

から再度計算しなければならない。

(a)コンクリート xIMσ c ×= ≦ σ ca(N/mm2)

(b)引張側鉄筋 )xd(IMnσS -××= ≦ σ sa(N/mm2)

(c)圧縮側鉄筋 )'dx(IMn'σS -××= ≦ σ sa’(N/mm2)

h

b

AS’

AS

ACF

d

d’ X

CS’

CC

TS

TCF

ε c

図 3.1-2 断面模式図

Page 35: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

3-3

(d)トレカクロス )( xhIMnCCF -××=s ≦ σ CFa(N/mm2)

(記号)

M :曲げモーメント(N・mm)

I :断面二次モーメント(mm4)

σ C :コンクリートの圧縮応力度(N/mm2)

σ Ca :コンクリートの許容圧縮応力度(N/mm2)

σ S :引張側鉄筋の引張応力度(N/mm2)

σ sa :引張側鉄筋の許容引張応力度(N/mm2)

σ S’ :圧縮側鉄筋の圧縮応力度(N/mm2)

σ sa’:圧縮側鉄筋の許容圧縮応力度(N/mm2)

σ CF :トレカクロスの引張応力度(N/mm2)

σ CFa :トレカクロスの許容引張応力度(N/mm2)

b) 定着長

鉄筋コンクリート製の梁や桁等に対するトレカクロス曲げ補強における定着は、補

強を必要とする位置から定着長さ LCF となる範囲まで接着する。

CF

CFCFCFCF τ

tnσL ××=

(記号)

σ CF :トレカクロスの引張応力度(N/mm2)

nCF :トレカクロスの積層数(層)

tCF :トレカクロスの設計厚み(mm)

τ CF :トレカクロスの許容平均付着応力度 0.44(N/mm2)

補強必要モーメント範囲 LCF

図 3.1-3 定着範囲

M-図

LCF

トレカクロス

トレカクロス接着範囲

Page 36: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

3-4

3.2 せん断補強設計

3.2.1 土木

(1) 基本的な考え方

せん断力を受ける矩形・床スラブ・梁・桁などの部材に対して、トレカクロスを部

材の側面に巻き立てることによって、せん断力の一部をトレカクロスに負担させるこ

とで補強を行う。なお、対象躯体は斜めせん断ひび割れの発生していないコンクリー

ト桁を対象とした。

(2) 設計法

基本的に下に示す設計フローに基づいて、現況部材に発生する応力が許容応力度以

下となるようにトレカクロスのヤング係数・積層数を決定する。

図 3.2-1 基本的な設計フロー

①設計条件の整理

せん断補強設計に先立って、設計条件を整理しなければならない。トレカクロスが

負担すべきせん断力を算定し、補強目標を設定する必要がある。

②トレカクロスの選定

せん断補強用途でのトレカクロスは一般的に高強度型を使用する。

③トレカクロスが負担するせん断力の算定と照査

負担できるせん断力と積層数は次の式で算定する。

CF

CFCF

CF

CFCF

ta2A

n

)θcosθ(sindσaS15.1

A

´´=

+×××

=

END

OK

②トレカクロスの仮選定

③トレカクロスが負担する

せん断力の算定と照査

①設計条件の整理

START

NG

ヤング係数・積層数の見直

④定着方法の選定

Page 37: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

3-5

(記号)

S CF :不足せん断力(N)

θ :トレカクロスの繊維方向が部材軸とのなす角(°)

A CF :トレカクロスの必要断面積(mm2)

σ CF :トレカクロスの曲げ補強用設計強度(N/mm2)

設計荷重作用時 S

CFsaCF E

Eσσ ´=

終局荷重作用時 CFCFCF Eε8.0σ ´´=

※σ CF は設計要領書に記載がある場合は、適用を注意すること。

E CF :トレカクロスのヤング係数(N/mm2)

E S :鉄筋のヤング係数(N/mm2)

ε CF :トレカクロスの保証ひずみ

a :トレカクロスの貼付間隔(mm)

d :部材高(mm)

nCF :トレカクロスの積層数(層)

tCF :トレカクロスの設計厚み(mm)

④定着方法の選定

コンクリート桁等へのウェブへの必要定着長 LCF と定着方法は次の式から求める。た

だし、ℓCF<LCF となる場合は、別途定着方法を考えなければならない。

CFCF

CFCF τb

TL

´=

CFCF

CFCF

LL

³´³

2:機械式定着併用

:接着      

(記号)

T CF :トレカクロスが負担するせん断力による

引張力(N)

τ CF :トレカクロスの許容付着応力度 0.44(N/mm2)

bCF :トレカクロスの幅(mm)

ℓCF :ウェブの貼付長(mm)

※機械式定着について

鋼板とアンカーで定着する場合、繊維目付量 200g/㎡の高強度型トレカクロス 2 層ま

でであれば、下の規格を用いてよい *1。

・ 鋼板(SS400)長さ 100cm、幅 15cm、厚さ 9mm 以上

・ アンカーボルト M-20 以上

*1 「コンクリート部材の補修・補強に関する共同研究報告書(Ⅲ),土木研究所他

平成 11 年 12 月」より

トレカクロス

機械式 定着

繊維方向

図3.2-2 せん断補強例

Page 38: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

3-6

3.2.2 建築

(1) 基本的な考え方

せん断力を受ける柱・梁などの部材に対して、トレカクロスを部材の側面に巻き立

てることによって、せん断力の一部をトレカクロスに負担させる補強とする。

(2) 設計法

(財)日本建築防災協会「連続繊維補強材を用いた既存鉄筋コンクリート造及び鉄

骨鉄筋コンクリート造建築物の耐震改修設計・施工指針」の設計法を用いる。基本的

に下に示す設計フローに基づいて、必要終局せん断力を満足するにトレカクロスのヤ

ング係数・積層数を決定する。

図 3.2-3 基本的な設計フロー

①設計条件の整理

せん断補強設計に先立って、設計条件を整理しなければならない。トレカクロスが

負担すべき終局せん断力を算定し、補強目標を設定する必要がある。

②トレカクロスの選定

せん断補強用途でのトレカクロスは一般的に高強度型を使用する。

③トレカクロスが負担するせん断力の算定と照査

負担できるせん断力と積層数は次の式で算定する。

END

OK

②トレカクロスの仮選定

③トレカクロスが負担する

せん断力の算定と照査

①設計条件の整理

START

NG

ヤング係数・積層数の見直

④定着方法の選定

Page 39: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

3-7

■ 柱のせん断終局強度

( )( )  ・σ+・σ+

+・/

+= jbo0.1wyPw0.845

0.12dQFc17.60.053Pt 0.23

þýü

îíì åM

Qsu (N)

å fdPwfwysPwswy ・σ+・σ=・σPw (MPa)

å 10MPawyPw ≦・σ

( ) 3dQM1 ≦・/≦

σo :軸方向応力度(≦7.84)(MPa)

M/Q :せん断スパン(mm)。ただし、ho/2(ho:柱内法寸法)としてよい。

b :補強後の柱断面幅(mm)

d :補強後の柱断面有効せい(mm)

j :応力中心間距離(mm)。ただし、0.8D としてよい。

D :補強後の柱せい(mm)

Pt :引張鉄筋比(%)

Fc :既存部分のコンクリート圧縮強度(MPa)

Pws :既存柱部せん断補強筋の補強後断面に対するせん断補強筋比

Pwf :連続繊維補強材の補強後断面に対するせん断補強筋比

σwys :既存柱部せん断補強筋の降伏点強度(MPa)

σfd :連続繊維補強材のせん断設計用引張強度(MPa)

σfd=min.[Efd・εfd、(2/3)σf]

Efd :連続繊維補強材の規格ヤング係数(=230GPa)

εfd :連続繊維補強材の有効ひずみ度(=0.7%)

σf :連続繊維補強材の規格引張強度(=3400MPa)

2.最低補強量の制限

(Pwf・σfd)は 0.04Fc 以上かつ 0.8MPa 以上とする。

3.トレカクロス補強方法

(1)独立柱

炭素繊維の方向が材軸に対してほぼ直角とな

るように閉鎖型に連続して巻き付ける。

(2)袖壁付き柱

柱際の袖壁にスリットを設けて独立柱の閉鎖型の

補強を行う。

(3)垂壁・腰壁付き柱

柱際の垂壁・腰壁にスリットを設けて柱全体にわたって同量の補強を行う。

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3-8

■ 梁のせん断終局強度

( )( )  ・・σ+

+・/

+= jbwyPw0.845

0.12dQFc17.60.053Pt 0.23

þýü

îíì åM

Qsu (N)

å fdPwfwysPwswy ・σ+・σ=・σPw (MPa)

å 10MPawyPw ≦・σ

( ) 3dQM1 ≦・/≦

M/Q :せん断スパン(mm)。ただし、Lo/2(Lo:梁内法寸法)としてよい。

b :補強後の梁断面幅(mm)

d :補強後の梁断面有効せい(mm)

j :応力中心間距離(mm)。ただし、7/8d としてよい。

D :補強後の梁せい(mm)

Pt :引張鉄筋比(%)

Fc :既存部分のコンクリート圧縮強度(MPa)

Pws :既存梁部せん断補強筋の補強後断面に対するせん断補強筋比

Pwf :連続繊維補強材の補強後断面に対するせん断補強筋比

σwys :既存梁部せん断補強筋の降伏点強度(MPa)

σfd :連続繊維補強材のせん断設計用引張強度(MPa)

σfd=min.[Efd・εfd、(2/3)σf]

Efd :連続繊維補強材の規格ヤング係数(=230GPa)

εfd :連続繊維補強材の有効ひずみ度(=0.7%)

σf :連続繊維補強材の規格引張強度(=3400MPa)

2.最低補強量の制限

(Pwf・σfd)は 0.04Fc 以上かつ 0.8MPa 以上とする。

3.トレカクロス補強方法

(1)矩形梁

炭素繊維の方向が材軸に対してほぼ直

角となるように閉鎖型に連続して巻き付

ける。

(2)T 形梁

炭素繊維シートを閉鎖型に巻き付けられな

い場合は、適切な方法によりトレカクロス

端部を躯体に定着する。

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3-9

3.3 橋脚の耐震補強設計

(1) 基本的な考え方

橋脚の耐震補強は、既設の鉄筋コンクリート橋脚に対して、通常高強度型トレカク

ロスを接着することで、曲げ耐力およびせん断耐力を向上させる補強方法である。

鉄筋コンクリート橋脚の破壊形態は、曲げ破壊型、曲げ損傷からせん断破壊移行型、

せん断破壊型に分類されるが、トレカクロスを用いることで橋脚基部の曲げ破壊型に

破壊形態を移行させることを基本とする。

橋脚耐震補強の場合、大規模地震に対して弱点となる橋脚段落し部補強が主である。

(2) 設計法

主に高速道路株式会社3社の設計要領 *1 に準拠し、下に示す設計フローに基づいて設

計を行う。なお、下図の点線範囲はトレカクロス工法による鉄筋コンクリート橋脚の

耐震補強の標準的な適用範囲である。

図 3.3-1 基本的な設計フロー

*1 「設計要領 第二集 橋梁保全編」

①先行破壊箇所の判定

②段落し部の

破壊形態の判定

設計条件の整理

START

END

OK

曲げ破壊先行

③段落し部の

曲げ破壊照査

⑦基部の

破壊形態の判定

④段落し部の

曲げ補強

補強不要

⑤段落し部の

せん断補強

⑤基部の

せん断補強

基部の

曲げ破壊照査

補強不要 基 部 の 曲 げ 補 強

(別途考慮)

段落し部破壊先行 基部破壊先行

せん断破壊先行 せん断破壊先行

曲げ破壊先行

NG

OK

トレカクロス工法の

標準的な適用範囲

⑥段落し部の耐力の照査

NG

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3-10

①破壊形態の判定

次の式により、破壊形態の判定を行う。

:段落し部破壊先行型

:基部破壊先行型

1.21.2

hMhM

By0By

t0ty

ïþ

ïýü

(記号)

M By0 :躯体下端断面における初降伏曲げモーメント (kN・m)

M ty0 :躯体段落し断面における初降伏曲げモーメント(kN・m)

hBy :躯体下端断面から上部構造の慣性力の作用位置までの高さ(m)

ht :躯体段落し断面から上部構造の慣性力の作用位置までの高さ(m)

②段落し部破壊形態の判定

次の式により、破壊形態の判定を行う。

:せん断破壊先行

:曲げ破壊先行

Sdud

Sdud

PPPP>

£

(記号)

Pud :段落し部の終局水平耐力(kN)

PSd :段落し部のせん断耐力(kN)

③段落し部の曲げ破壊照査

次の式により、破壊形態の判定を行う。

ïþ

ïýü

-××= 0tytBy

0By MhhM

2.1MΔ:曲げ補強不要

:曲げ補強必要

00

£>

(記号)

ΔM :段落とし部の不足モーメント(kN・m)

④段落とし部の曲げ補強

a) 曲げ補強計算

次の式で算定する。

CFCF

CFCF

CFCF

btA

n

dσ87

1000MΔA

×=

×

´=

照査段落とし位置

段落とし部の

降伏抵抗モーメント

基部の終局抵抗モーメント

又は降伏抵抗モーメントの1.2倍

実際の段落とし位置

ΔM

段落し部作用モーメント

曲げ補強範囲 交点 上側への定着

下側への定着

照査位置

図3.3-2 橋脚曲げ補強

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3-11

(記号)

A CF :トレカクロスの必要断面積(mm2)

σ CF :トレカクロスの曲げ補強用設計強度(N/mm2)

d :部材高(m)

nCF :トレカクロスの積層数(層)

tCF :トレカクロスの設計厚み(mm)

bCF :トレカクロスの接着幅(mm)

b) トレカクロスの定着長

ⅰ) 上側定着長

上側定着長は、実際に段落しされた位置から定着長さ LCF となる範囲まで接着する。

ただし、その長さが段落し部降伏抵抗モーメントと作用モーメントとの交点から、ト

レカクロス1枚あたりの定着長さ LCF1 と比較し、LCF が LCF1 より短い場合は LCF を LCF1 ま

で延ばす。

CF

CFCFCFCF τ

tnσL ××=

(記号)

τ CF :トレカクロスの設計用付着強度(N/mm2)

ⅱ) 下側定着長

照査段落し位置から前項式定着長さ LCF となる範囲まで接着する。

⑤基部・段落とし部のせん断補強

次の式で算定する。

CF

CFCF

CF

SCF

t2A

n

)θcosθ(sindσPΔ15.1

A

´=

+××

=

(記号)

ΔPS :不足せん断耐力(kN)

θ :トレカクロスと鉛直軸とのなす角(°)

⑥段落とし部の耐力の照査

a) 補強後の曲げ耐力

補強後の曲げ耐力 Pu が必要曲げ耐力 P0 を上回ることを確認する。

( ){ } ( ){ } t0yCFCF0t0yCFCFu hM1000000dσ87APhM1000000dσ8

7'AP +××=³+××=

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3-12

(記号)

Pu :曲げ補強後の段落とし部の曲げ耐力(kN)

A CF’:トレカクロスの断面積(mm2)

M By0 :躯体下端断面における初降伏曲げモーメント (kN・m)

b) 補強後のせん断耐力

補強後のせん断耐力 PSS が必要せん断耐力 PS0 を上回ることを確認する。

SCFCF0SSCFCFSS P15.1dσAPP15.1dσ'AP +××=³+××=

(記号)

PS :せん断補強前のせん断耐力(kN)

⑦基部の破壊形態の判定

次の式により、破壊形態の判定を行う。

:せん断破壊先行

:曲げ破壊先行

Skuk

Skuk

PPPP>

£

(記号)

Puk :基部の終局水平耐力(kN)

PSk :基部のせん断耐力(kN)

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3-13

(参考)橋脚の耐震補強の比較表

トレカクロス工法 RC 増打ち工法 鋼板接着工法

段落し部 ○

(部分施工可)

(全面施工)

(部分施工可。景観に考

慮する場合は全面施工)

せん断 ○

(部分施工可)

(全面施工)

(部分施工可。景観に考

慮する場合は全面施工)

靭性

(ただし、壁式橋脚の場

合は、中間貫通鋼材等で

拘束度を高める必要あ

り)

(ただし、壁式橋脚の場

合は、中間貫通鋼材等で

拘束度を高める必要あ

り)

(ただし、壁式橋脚の場

合は、中間貫通鋼材等で

拘束度を高める必要あ

り)

基部

×

(RC との併用は実例あ

り)

○ ○

断面積の増加 小 大 小

重量増加 小 大 大

施工スペース 小 大 大

重機の必要性

(工事用道路) 不要 必要 必要

耐久性

(維持管理)

良好

(劣化因子の遮断効果有) 良好 定期的な塗装

導電性 有 無 有

経済性

(巻立て数によって、鋼

板接着工法に比べ有利)

○ △

補強鉄筋

巻立てコンクリート

鋼板巻立て

注入材 トレカクロス

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3-14

3.4 床版補強設計

(1) 基本的な考え方

本節では、床版の疲労耐久性を向上させるためのトレカクロス補強について述べる。

疲労耐久性向上の基本的な考え方は、「コンクリート部材の補修・補強に関する共同研究

報告書(Ⅲ) 土木研究所他 平成 11 年 12 月」に基づいて説明する。

なお、次の補強対象条件から外れる場合は、3.1 曲げ補強設計と同じ考え方で設計を行

う。

(2) 補強対象条件

次の条件を満たす場合、本節の補強を適用できる。

・ 道路橋示方書 S31 年以降の TL-20 荷重で設計された鉄筋コンクリート床版

・ 損傷状態が表 3.4-1 に示す①~④(特に③、④)である場合

表 3.4-1 床版の損傷段階とトレカクロス工法の適用

損傷

段階

損傷度

の目安 床版の損傷状況

トレカクロス工法

の適用

① 健全

[強靭な版構造]

(予防保全)

② Ⅳ

[並列梁構造]

床版コンクリート硬化に伴

う乾燥収縮により橋軸直角方

向に貫通したひび割れが大き

な間隔で発生する段階

(予防保全)

③ Ⅲ

[ニ方向曲げひび割れ]

輪荷重により縦横のひび割

れが増加する段階

Ⅱ初期

(すり磨き

が生じてい

ない)

[ひび割れの細網化、貫通]

輪荷重によるねじりモーメ

ントによって床版上面に橋軸

直 角 方 向 に ひ び 割 れ が 発 生

し、下面に発生したひび割れ

とつながり貫通し、並列の梁

状になる段階

⑤ Ⅱ

[サイコロ状]

貫通したひび割れ面のすり

磨きや浸透水による石灰分の

流出により、ひび割れが拡大

しせん断抵抗を失う段階

(上面増厚工法

と併用)

⑥ Ⅰ

[床版の陥没]

低下した押し抜きせん断強

度を超える輪荷重により抜け

落ちを生じる段階

×

(参考)コンクリート部材の補修・補強に関する共同研究報告書(Ⅲ)

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3-15

(3) 補強設計

トレカクロスの引張剛性(ヤング係数E CF×断面積A CF)が標準補強量 82kN/mm 相当に

なるように決定する。使用するトレカクロスと積層数を表 3.4-2 に示す。

CFCFCFCFCF ntEAE ´´=´

(記号)

E CF :トレカクロスのヤング係数(kN/mm2)

A CF :トレカクロスの断面積(mm2)

tCF :トレカクロスの設計厚み(mm)

nCF :トレカクロスの必要枚数

表 3.4-2 トレカクロスの標準補強量

トレカクロスの積層数 品番

ヤング係数

ECF (kN/mm2)

厚み

ACF (mm)

引張剛性

ECF・ACF (kN/mm) 主鉄筋方向 配力筋方向

UT70-30 245 0.167 81.8 2 2

UM46-34 440 0.185 81.4 1 1

※ 橋梁管理者によって、疲労耐久性向上を目的としたトレカクロス補強量の標準値

が異なります。床版補強設計を行う場合、橋梁管理者へ仕様をご確認いただく必

要がありますのでご注意下さい。

(参考)床版補強工法の比較表

トレカクロス工法 鋼板接着工法

概要

経済性

(直工費)

約 57,000 円/㎡

床版グレード(UM46-34 2 層)

フッ素塗装仕上げ含む

約 65,000 円/㎡

t=4.5mm、SS400

工場製作費含む

施工性 · 重機不要

· 下部スペース条件の影響を受けにくい

· 構造物への追従性良好

· 重機、材料仮置きスペース必要

· アンカー止め作業必要

· 工場加工のため容易にサイズ変更できない

維持管理 · メンテナンスは 小限ですむ

· 変状は鋼板よりわかりやすい

· 定期的な塗り替え必要

· 変状は非常にわかりにくい

増加死荷重 約 4kgf/㎡【1.0】 約 40kgf/㎡【10.0】

※ 価格については、平成 19 年 4 月現在

CFRP

主桁

床版 舗装

主桁

鋼板

床版 舗装

エポキシ注入材

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3-16

3.5 補強設計例

3.5.1 トレカクロスの設計用強度特性値

設計するためのトレカクロスの強度特性値は、一般的に表 3.5-1 を使用する。なお、

特記仕様書等で準拠すべき技術基準等の記載がある場合はこれに準じなければならない。

表 3.5-1 トレカクロスの設計用強度特性

高強度型 高弾性型

建築 土木 土木 項目 単位

一般 一般 橋脚段落し トンネル 一般

弾性係数 kN/mm2 230 245 230 190 以上 440

引張強度 N/mm2 3,400 3,400 3,400 2,400 2,400

3.5.2 曲げ補強設計

(1) 設計条件

道路橋の活荷重変更に伴って、床版の曲げ補強をトレカクロス工法で行う。トレカク

ロスによって既存鉄筋の応力緩和を行うことを目的とする。

荷重条件は以下の通り。

死荷重モーメントM d= 9.05(kN・m)

活荷重モーメントM L=38.66(kN・m)

図 3.5.2-1 検討フロー図 図 3.5.2-2 床版断面図

START

補強量の

設定

照査

死荷重分の

モーメント

活荷重分の

モーメント

END

NG

OK

現況断面

の照査

NG

OK

1,000

220 170

φ16

Page 49: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

3-17

(2) 現況照査

現況照査の結果は以下の通りとなった。したがって、補強が必要である。

コンクリート圧縮応力度σ C=10.3(N/mm2) > σ Ca=7.0(N/mm2)

鉄筋の許容引張応力度σ S=265.0(N/mm2) > σ Sa=140.0(N/mm2)

(記号)

σ Ca :コンクリートの許容圧縮応力度(N/mm2)

σ Sa :引張側鉄筋の許容引張応力度(N/mm2)

(3) 曲げ補強設計

a)補強材料

高弾性型トレカクロス UM46-30(300g 目付)×4 層

炭素繊維シート厚 tCF 0.163(mm)

引張強度σ 2,400(N/mm2)

ヤング係数 ECF 440,000 (N/mm2)

許容引張ひずみ 1000μ

「コンクリート部材の補修・補強に関する共同研究報告書(Ⅲ),土木研究所」

許容引張応力度σ CFa 440(N/mm2)

b) 補強計算結果

3.1 曲げ補強設計に基づいて、表 3.5.2-1 に示すように死荷重モーメント、活荷重モー

メント毎の発生応力度を算出し、死荷重時と活荷重時を足した応力度が許容応力度内に

収まっていることを確認する。

表 3.5.2-1 応力度算定一覧

モーメント

(kN・m)

中立軸

x(mm)

断面 2 次モーメント

I (m4)

コンクリート

σ c(N/mm2)

鉄筋

σ s(N/mm2)

トレカクロス

σ CF(N/mm2)

死荷重分 9.05 62.4 0.01833 1.9 50.3 0.0

活荷重分 38.66 91.5 0.01833 4.9 63.0 227.0

計 47.71 - - 6.8 113.3 227.0

許容応力度 - - - 7.0 140.0 440.0

c) 定着長

)mm(33744.0

163.04227τ

tnσL

CF

CFCFCFCF =

´´=

××=

(記号)

σ CF :トレカクロスの設計用引張強度(N/mm2)

nCF :トレカクロスの必要枚数(層)

tCF :トレカクロスの厚み(mm)

τ CF :トレカクロスの設計用付着強度 0.44(N/mm2)

したがって、設計用定着長は 40cm とした。

Page 50: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

3-18

3.5.3 せん断補強設計

(1) 設計条件

既存桁のせん断耐力が、設計せん断力に対して不足す

るため、この不足分をトレカクロスによってせん断補強

を行う。応力条件は以下の通りである。

設計せん断力S p= 724.9(kN)

桁のせん断耐力S= 554.5(kN)

不足せん断力S CF= 170.4(kN)

図 3.5.3-1 断面図

(2) せん断補強設計

a)補強材料

高強度型トレカクロス UT70-20(200g 目付)

炭素繊維シート厚 tCF 0.111(mm)

補強用設計強度σ CF 2,720(N/mm2)(終局時)

ヤング係数 ECF 245,000(N/mm2)

b) 補強計算結果

3.2 せん断補強設計に基づいて、設計を行う。

(枚)3.0000,1111.02

0.72ta2

An

)mm(0.72)90cos90(sin000,1720,2

000,1400,17015.1)θcosθ(sindσ

aS15.1A

CF

CFCF

2

CF

CFCF

=´´

=´´

=

=°+°´´

´´=

+×××

=

したがって、高強度型トレカクロス UT70-20(200g 目付)1 層で補強できる。

c) 定着長

必要定着長 LCF を求める。

)mm(22344.0000,1

920,97τb

TL

CFCF

CFCF =

´=

´=

(記号)

T CF :トレカクロスが負担する引張力 2,720×72.0÷2 面=97.92(kN)

bCF :トレカクロスの貼付幅 1,000(mm)

τ CF :トレカクロスの設計用付着強度 0.44(N/mm2)

したがって、桁高が必要定着長の 2 倍以上となるため、接着式定着とし、桁側面全面

に接着を行う。

1000

500

Page 51: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

4-1

第4章 施工編

4.1 使用材料

(1) 炭素繊維シート(トレカクロス)

表 4.1-1 トレカクロス 製品一覧表

シート種別 繊維方向 品番 目付量

(g/㎡)

UT70-20G 200

UT70-30G 300

UT70-40G 400

UT70-45G 450

1 方向

UT70-60G 600

BT70-20 200

高強度

2 方向 BT70-30 300

UM46-30G 300

UM46-34G 340 高弾性 1 方向

UM46-40G 400

(2) プライマー、不陸修正材、含浸接着樹脂

トレカクロス施工用に、CFRP としての品質管理試験が済んでいる樹脂類は以下の通り

である。ここに示した以外の樹脂類を使用するときは、あらかじめ品質試験が必要であ

る。

表 4.1-2 トレカクロス施工用樹脂類一覧表

樹脂種別 東レ コニシ ショーボンド

建設

プライマー TSP400 ボンド E810L ネオプライマー

不陸修正材 TSF600 ボンド E395 ネオパテ F

含浸接着樹脂 TSR800 ボンド E2500 CE

注)樹脂には、施工温度に応じて「冬用・春秋用・夏用」等の区別があり、施工時期

を勘案のうえ決定する。

Page 52: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

4-2

(3) 標準樹脂量

トレカクロスの施工用の樹脂類の標準使用量は以下の通りである。

表 4.1-3 トレカクロス施工用樹脂標準使用量

樹脂塗布量(kg/㎡) 樹脂種別

クロス

目付量

(g/㎡) 下塗り 上塗り 合計

プライマー - 1 回塗り 0.20

不陸修正材 - 1 回塗り 1.00

200 0.30~0.40 0.30~0.20 0.60

300 0.40~0.50 0.40~0.30 0.80

340 0.45~0.50 0.40~0.35 0.85

400 0.50~0.60 0.50~0.40 1.00

450 0.55~0.65 0.50~0.40 1.05

含浸

接着樹脂

600 0.60 0.40+0.20 1.20

600g/㎡目付クロスの場合は、上塗りを 2 回にした方が良い。

※ この樹脂量は標準であり、仕上がりの強度を保証するものではない。

ただし標準樹脂量を相当下回った施工の場合、強度不足の可能性が高まる。

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4-3

4.2 施工手順

(1) 施工の流れ

表 4.2-1 施工手順

階 工程 内容 ポイント

断面欠損部修復 樹脂モルタル等で凹を修復 段差1㎜以下を目標

a 断面

復旧※1 ひび割れ注入

幅 0.2 ㎜以上のひ び 割れは

樹脂注入等で処理

見落としは、シート剥

離の原因となる

塗膜・化粧モルタ

ル等の除去 躯体コンクリート面の露出

取り残しは

施工不良の原因

段差1㎜以下を目標 コ ン ク リ ー ト 面

清掃ケレン

コンクリート面を清掃し、サン

ダー等でケレンする 油脂分除去

b 下地

処理工

面取り※1 柱等の出隅を円形に仕上げる R=30 ㎜以上※2

プライマー混合 所定割合でムラなく混合 量と可使時間の確認 c

プライマー

塗布工 プライマー塗布 ムラなく均一に塗布 コンクリート水分8%以下

不陸修正材混合 所定割合でムラなく混合 可使時間確認 d 不陸修正工

不陸修正材塗布 平滑に仕上げる 段差1㎜以下を目標

不陸修正材 硬化確認後 指触硬化状態確認 e 墨出し工

シート割付計画通りに墨出し 継手長確認

f トレカクロス切り出し シート割付計画通りに切断 切断長確認

含浸接着樹脂混合 所定割合でムラなく混合 量と可使時間の確認 g

含浸接着樹

脂下塗り 含浸接着樹脂塗布 ムラなく均一に塗布 可使時間確認

下塗り樹脂上に貼り付ける 墨出し線通り

h トレカクロス貼付脱泡 樹 脂 を ク ロ ス に 含 浸 さ せ 、

気泡を押し出す

ローラーは繊維方向に

しごく

含浸接着樹脂混合 所定割合でムラなく混合 量と可使時間の確認 i

含浸接着樹

脂上塗り 含浸接着樹脂塗布 ムラなく均一に塗布 可使時間確認

j 養生 シート養生等

(最短 1 日以上)

埃付着・水濡れ防止のため、シ

ート養生等を行う

気温5℃以上

水濡れ禁止

※1 この工程については、現場状況により省略可能。

※2 R=30 ㎜は、東レ推奨値、設計者より指示のある場合はそれに従うこと

g~jは、クロス層数分の繰り返し。

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4-4

(2) 施工詳細

施工中の安全に関する注意事項は、4.3 トレカクロス工法における安全上の留意点を

参照すること。

エポキシ樹脂は、湿気を嫌い、また硬化が気温に左右されるので作業環境の共通事項

としては以下の通りとする。

・ 気温 5℃以上、湿度 85%以下:温度計・湿度計による計測

・ コンクリート面の水分 8%以下:コンクリート水分計による計測

a) 断面復旧

① コンクリート躯体の脆弱部、ジャンカ、浮き、欠損等の劣化・損傷部は不良部分

をはつりおとし除去する。

② 鉄筋腐食が認められる場合には、鉄筋の錆を除去して防錆処置を行う。

③ 凹部はコンクリートと同等以上の強度を持つ断面修復材で修復し、平滑に仕上げ

る。

④ 幅 0.2 ㎜以上のひび割れ部はエポキシ樹脂注入等により補修する。

図 4.2-1 断面復旧 標準図

b) 下地処理工

① コンクリート下地表面の脆弱層、レイタンス、汚れ、塗装等、トレカクロスの接

着を阻害するものはディスクサンダー等を用いて十分に除去する。

図 4.2-2 下地処理作業

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4-5

② 下地表面の突起物や型枠による段差等はディスクサンダー等により切削するか、

断面修復材ですり付けて平滑にする。原則として段差は 1mm 以内とし、すり付け

は 1/10 以下に緩くする。

③ 小さな凹部は、断面修復材で埋めておく。

④ 面取り:出隅部はコンクリートカッターやディスクサンダー等により曲面的に面

取り加工をするか、状況により断面修復材等で盛り上げ成形する。

<角が残ると、繊維が破断する可能性がある>

通常の施工では半径Rは 30mm 以上とするが、設計図書に明記されている場合には、

その指示に従う。(例:高速道路会社の橋脚補強では 5cm と指定がある)

図 4.2-3 面取り詳細図

c) プライマー塗布工

① プライマーは可使時間内に使い切る量を想定して、主剤と硬化剤を所定の比率で

容器に取り分け、ムラなく均一になるように混合する。

② ローラー刷毛等を使用し、トレカクロス貼付位置のコンクリート面にムラなく均

一に塗布する。

図 4.2-4 プライマー塗布作業

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4-6

③ コンクリート面の状況によりプライマーの吸い込みにバラツキが生じるので、一

度塗布した後に塗布面の点検を行い、造膜されていない部分は増し塗りを行う。

④ プライマー塗布量の標準は、0.2kg/㎡であるが、設計図書に数量が示されている

場合は、その指示に従う。

d) 不陸修正工

① 不陸修正材は、可使時間内に使い切る量を想定し、主剤と硬化剤を所定の比率で

容器に取り分け、ムラなく均一になるように混合する。

② プライマー塗布後、1 週間以上経過している場合には、プライマー面をサンドペー

パーで目粗しをする。

③ プライマー層の指触硬化状態確認後、コテ・ヘラ・ローラー等を使用し、不陸修

正材をコンクリート面にムラなく均一に塗布する。

④ 下地処理工で処理し切れなかった接着面の段差さ凹部はここで処理し、平滑な接

着面を仕上げる。

⑤ 特に凹部はクロス貼付後に気泡を生じ、ふくれの原因となるので、入念に埋める。

⑥ 不陸修正材の硬化後、水分の付着等で白化した部分を発見した場合には、アセト

ンで拭き取るか、サンドペーパーで削り取る。

※ コンクリート面の状態が良く、プライマー塗布工のみでトレカクロス貼り付け

工に問題ないと判断できる場合は、不陸修正工は省略できる。

e) 墨出し工

① 不陸修正材の表面が指触硬化後、クロス貼付位置の墨出しを行う。

図 4.2-5 墨出し作業

f) トレカクロス切り出し

① 割付図の寸法を確認し、ハサミもしくはカッター等で、切断面がクロスの繊維方

向と直角になるように切断する。

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4-7

g) 含浸接着樹脂下塗り

① 含浸接着樹脂の混合は、材料のラベルに示された配合を確認し、一回の使用量を

想定して、各材料を配合比率通りに取り分けて、素早く均一に混合する。混合は、

電動攪拌器等で全体の色が均等になるまで行う。

② ローラー刷毛等を使用し、前項に示した標準使用量をトレカクロス貼付位置の下

地面にムラなく均一に塗布する。

図 4.2-6 含浸接着樹脂下塗り作業

h) トレカクロス貼付脱泡

① トレカクロスを含浸接着樹脂面に貼り付ける。貼り付け位置、クロスの種類を割

付図で確認し、繊維方向が補強方向に向くように端部を隅に合わせ片押しで貼り

付ける。

※ UT70-60G については、ガラス糸に樹脂が含浸し、透明になるまで養生する。

(目安として30分~1時間程度)

② 表面をゴムヘラ・脱泡ローラー等でしごいて、含浸接着樹脂をクロスの繊維の中

まで、十分に含浸させる。

※ UT70-60G を除く G タイプについては、ここでガラス糸に樹脂が含浸し、透明にな

るまで含浸させる。特に低温時には念入りに含浸させる。

図 4.2-7 トレカ貼付脱泡作業

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4-8

③ ローラー等でしごく方向は繊維方向とし、端部から長手方向に空気を押し出すよ

うにシゴく。なお、シワや曲がりの原因となるので斜めや直角方向にはシゴかない。

※ 2 方向クロスの場合は、縦横各方向に均等回数しごく。

図 4.2-8 ローラー方向標準図

i) 含浸接着樹脂上塗り

① 配合・混合は下塗りの手順と同様である。

② 貼り付け・脱泡後のトレカクロスの表面に均等に含浸接着樹脂を塗布し、クロス

が動かない様にゴムヘラ・ローラーを繊維方向に動かしながら、クロス表面を平

滑に仕上げる。

※ UT70-60G については、さらに30分程度養生した後、含浸接着樹脂を追加塗布

し、その後、ゴムヘラなどでクロス表面を平滑に仕上げる。

j) 養生

① 含浸接着樹脂が初期硬化するまでは水分・ホコリを嫌うので、それらが表面に付

着しないよう、現場状況に応じてシート養生を行う。

② 含浸接着樹脂の初期硬化の目安は以下の通りである。

表 4.2-2 トレカクロス初期硬化養生期間

平均気温 初期硬化までの目安時間

10℃以下 2 日間(48 時間)

10~20℃ 1~2 日間(24~48 時間)

20℃以上 1 日間(24 時間)

③ 強度発現日数

トレカクロスが設計強度を発現するまでの日数は、以下の通りである。この間は、

補強部に余計な外力が働かないようにする。

表 4.2-3 トレカクロス標準養生期間

平均気温 強度発現までの目安日数

平均 10℃ 2 週間(14 日間)

平均 20℃ 1 週間(7 日間)

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4-9

k) 表面仕上げ工

工事により、様々な仕様の表面仕上げ材が設計に含まれている。塗料系、モルタル

系等の種類があり、その材料固有の施工手順が設定されているので仕上げ材メーカー

の手順書に従った施工をする。

(3) 多層施工

a) ひとつの補強箇所に 2 層以上のトレカクロスを貼り付ける場合、下層の含浸接着樹

脂上塗完了後、4 時間以上経過し指触硬化状態になるのを待ってから、次層の含浸接

着樹脂下塗りを開始する。

・ 特に、1 層目と 2 層目の繊維方向を直交して貼り付ける場合には、1層目が動か

ないことを確認してから、2 層目の施工に着手する。このためには、24 時間の経

過を待つことが望ましい。

・ 下層の上塗り含浸接着樹脂と上層の下塗り含浸接着樹脂を合計した量を一度に

塗布し、直ちに上層のトレカクロスを貼り付けるということは、下層のトレカク

ロスがズレたりシワが寄ったりするので、避けなければならない。

・ 2 層以上のトレカクロスを貼り付ける場合、各層の含浸接着樹脂量は適切量を使

用しなければならない。

・ 含浸接着樹脂量の不足は、強度不足の原因のひとつとなり得る。

b) 逆に、施工期間が開いてしまう場合は3日以内が限度であり、それを超える場合に

は、異物を除去し次層の付着力を確保するために、下層の含浸接着樹脂表面をサン

ドペーパーで目粗しする。

(4) トレカクロスの継手

a) 繊維方向の継手

トレカクロスの繊維方向の継手の長さ・位置は補強対象の構造や補強目的によって、

異なるので、設計者の指示に従うこと。

図 4.2-9 トレカクロス 継手長・位置 平面図

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4-10

図 4.2-10 トレカクロス 継手長・位置 断面図(2 層貼り)

表 4.2-4 トレカクロス 標準継手長 一覧表

対象構造物 補強目的 継手長L(㎜) 離れLd(㎜)

一般建築構造物 曲げ・せん断補強 200 以上 集中しない

一般土木構造物 曲げ・せん断補強 200 以上 300 以上

橋梁床版下面※ 疲労耐久性向上 100 以上 同一線上を避ける

トンネル覆工 変状対策 100 以上 100 以上

※ 道路床版でも、疲労耐久性向上目的ではなく、曲げ補強の場合は、一般土木構造

物の基準を適用する。

継手長の規定は明確であるが、継手同士の離れは「集中させない・同一線上に並ばな

いようにする」とする規定が多く、上表の「離れLd」の値は多層貼りの場合の規定であ

る。

継手長・位置に関しては、さまざまな考え方があるので、設計図書で確認すること。

b) 繊維並行方向の重ね代

トレカクロスを並行して貼り付ける方法としては、隣接するクロス同士を突き合せる

か、または若干の重ね代を取る。

この重ね代ℓ0 については、いろいろな事例により ℓ0=0~20 ㎜という幅の範囲とす

る。

突き合わせ(ℓ0=0mm)の場合、施工誤差によりクロス間に隙間が生じることがあるが、

この隙間の許容値は 5mm であり、それ以上の隙間が生じた場合には貼り直し等が必要と

なる。

そのような手間を避けるためには、あらかじめ 10~20 ㎜の重ね代を織り込んだ割付計

画にもとづき施工する。

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4-11

図 4.2-11 トレカクロス 重ね代模式図

(5) 切り欠き部の手当て

補強対象コンクリート面にはコンセントボックスや金具類、小開口等の支障物があり、

トレカクロスを貼り付けることが出来ない箇所がある場合には、支障部のトレカクロス

を切り欠く形で貼り付け、切り欠き部の周囲に同等のトレカクロスを補強シートとして

増し貼りする対策をとる。

この補強シートは、切り欠いたトレカクロスと同質のクロスを同層数分貼り付ける。

補強用クロスの幅は、切り欠き部の高さHと同等以上とする。また貼り付け長の 200

㎜は、継手長と同等である。

以下に、財)日本建築防災協会の提案例を示すが、実際には以下のパターンを複数重

ね合わせる実施例もあり、具体的仕様は設計者の指示による。

a) 縦補強

図 4.2-12 切り欠き部補強図(縦補強)

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4-12

b) 横補強

図 4.2-13 切り欠き部補強図(横補強)

c) 斜め補強

図 4.2-14 切り欠き部補強図(斜め補強)

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4-13

(6) 貼り付け後の不具合の処置

貼り付け状態の判定基準は、次表による。

ただし、設計図書に合否判定基準が明記してある場合においては、そちらに従う。

表 4.2-5 トレカクロス 貼り付け状態合否判定基準(標準)

浮き・膨れの大きさ 対象 合否 対応

10 個未満/㎡ 合格 なし 直径 10 ㎜以上

直径 30 ㎜未満 10 個以上/㎡ 不合格 補修

直径 30 ㎜以上 全て 不合格 補修

(炭補研資料)

a) 初期硬化段階での処置

浮き・膨れ箇所に数箇所の空気穴を開け、1箇所から注射器等で含浸接着樹脂を注入

し、全空気穴から含浸接着樹脂が漏出すれば、空気が抜け切ったと判断できる。

または、浮き・膨れ箇所の表面にカッター等で何本か切り込みを繊維方向に入れ、ヘ

ラ・ハケ等で含浸接着樹脂を塗り込み埋め戻す。

図 4.2-15 浮き・膨れ部処置図(樹脂注射)

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4-14

図 4.2-16 浮き・膨れ部処置図(切り込み方式)

b) 完全硬化後の処置

含浸接着樹脂が完全硬化後に、浮き・膨れ箇所が発見された場合は、切除処置とする。

(パッチング補修)

不合格部を含む箇所をサンダーで削り取り、切除した凹部を不陸修正材で埋め戻して

平滑化し、切除したトレカクロスと同質のクロスを同層数分を貼り付ける。

パッチング補修による貼り付け事例を、下図に示す。

(繊維長手方向は下図によるが、幅方向については「重ね代」と同等とする)

図 4.2-17 浮き・膨れ部処置図(パッチング処置)

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4-15

(7) 品質管理

トレカクロスを使用した補修・補強工事における代表的な品質管理試験としては、引

張試験と接着試験がある。

a) 引張試験

別途「トレカクロス引張試験用硬化板作成要領」に従い、現場で使用するトレカクロ

スと含浸接着樹脂を使用して現場で試験体素材となる CFRP 板を作成する。

その CFRP 板素材を試験機関に送付し、試験機関が試験片として切出加工して引張試験

を行い、トレカクロスの引張強度・ヤング係数等の性能を確認する試験である。

合否判定基準は、設計図書による。

b) 接着試験

同様に「トレカクロス接着試験体作成要領」に従い、実際の材料により接着試験体を

作成して、コンクリートと CFRP の接着強度を確認する試験であり、試験機が簡便なので

「トレカクロス接着試験要領」により現場試験を行う。

やはり合否判定基準は、設計図書による。

(8) 材料の保管と処分

a) 材料の保管

トレカクロスの施工に伴うプライマー、不陸修正材、含浸接着樹脂は、消防法による

「危険物第4類第3石油類、または第4石油類」に該当する危険物である。

現場において、440kg 以上(指定数量 1/5 以上、4類3石の場合)をまとめて保管する

ときは、所轄の消防署に相談すること。

ただし 10 日以内に使い切ってしまう場合は消防署長の承諾により、特別な設備等は不

要とされている。(消防法第十条)

指定数量 第4類第3石油類(非水溶): 2000ℓ(≒2200kg)

第4類第4石油類 : 6000ℓ(≒6600kg)

b) 廃棄物処分

トレカクロスの施工に伴って排出される廃棄物は、産業廃棄物として処理する必要が

あり、収集運搬及び最終処分の各許可業者に依頼して、適正に処分する。

(廃棄処理および清掃に関する法律)

排出材料別の処分方法は下表の通りである。

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4-16

表 4.2-6 産業廃棄物処理方法一覧表

埋め立て処分 廃棄物の種類

安定型 管理型 遮蔽型 焼却処分

樹脂類(液状) × × × ○

樹脂類(硬化物) ○ ○ ○ ○

トレカクロス(未含浸) × ○ ○ ×

トレカクロス(含浸硬化物) ○ ○ ○ ×

樹脂類の空き缶 ○ ○ ○ ×

ダンボール箱等 ○ ○ ○ ○

(繊維補修補強協会 テキストによる)

4.3 トレカクロス工法における安全上の留意点

各使用材料の特徴を十分に熟知すると共に、施工条件、作業環境に十分注意し、安全

の確保に努める。

本工法の使用材料は、炭素繊維シートの他、プライマー、不陸修正材、含浸接着樹脂、

仕上げ材など多種に渡っている。

そのため施工を安全に行うためには、各使用材料の特徴を十分に熟知すると共に、施

工条件、作業環境に十分注意し、以下に示した注意事項を遵守すること。

1)最初に樹脂類添付の MSDS(製品安全シート)をよく読み、使用材料の安全に関する

情報を確認すること。

2)使用材料の使用方法、保管方法および管理方法を十分確認の上、施工を行う。

3)足場、路下状況、その他の作業環境を整備し、また作業に応じて保護マスク、保護

眼鏡、保護手袋、安全帯等を着用する。

炭素繊維シートの切断時等に皮膚がチクチクすることがあるため、保護手袋を使用

する。

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4-17

4)洗浄等に有機溶剤を使用する場合はもちろん、エポキシ樹脂単独の場合でも、閉空

間での作業は換気に十分注意し、関連法規はもとより、必要に応じて送風機やダク

トによる強制換気を行わなければならない。

特に、足場材や養生用シートが思わぬ閉空間を作る場合があるため、有機溶剤やエ

ポキシ樹脂の吸引による事故防止を十分に行う。

5)プライマー、不陸修正材、含浸接着樹脂は一般的にエポキシ樹脂であるが、場合に

よっては人体に有害な影響を及ぼす可能性があり、状況に応じて以下のような対策

処置が必要である。

・ 目に入った場合:多量の流水で 15 分間洗浄し、直ぐに医師の診断を受ける。

・ 皮膚に付着した場合:直ちに石鹸と大量の水で完全に洗う。もし、炎症、かゆ

みなどがでた場合には医師の診断を受ける。

・ 飲み込んだ場合:腔内を洗い、直ちに医師の診断を受ける。

・ 吸入した場合:新鮮な空気に触れさせる。呼吸障害の場合は直ちに、医師の診

察を受ける。

なお、エポキシ樹脂によりかぶれ易い体質の人もいるので、直接エポキシ樹脂に触

れないような作業手順を定めること。

6)炭素繊維は導電性を有するため、飛散した炭素繊維が電動機器を短絡させる場合が

ある。

そのため、機器の開閉部にはガムテープなどでシールし、配線などに繊維が触れな

いようにする。

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4-18

7)世界各国における研究機関により、飛散した炭素繊維は人体に害をもたらさないこ

とが証明されていると言われているが、念のためにこれを体内に吸い込まないよう

防塵マスクなどを着用するのがよい。

8) CFRP 板および接着剤等の廃棄物は、産業廃棄物として法規に従い適切な処理をす

る。

9)火気に十分注意し、火気を取り扱う場合には安全な場所を選択し、また現場に消火

器具などを準備する。

10)樹脂類は一度に大量に混合した場合、発熱し発煙する危険性があるので、少量づ

つ混合する。

混合済みの樹脂が余った場合には、薄く板状に延ばして硬化させ、産業廃棄物と

して焼却処分する。

未混合の樹脂が余った場合には、主剤・硬化剤別に産業廃棄物として焼却処分す

る。

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5-1

第5章 その他

5.1 歩掛り

(1) 標準歩掛り トレカクロス工法の標準歩掛りは、以下の通りとする。

表 5.1-1 標準配置人員

職種 人数

世話役 0.5

特殊作業員 2.0

普通作業員 1.0

上記の配置人員で 1 日(8 時間)の施工数量(施工方向別)は以下の通りである。

表 5.1-2 標準 日施工量

施工数量 工種 単位

横向き 上向き 下向き

清掃 ㎡/日 200 160 222

下地処理工 ㎡/日 25 20 28

面取り工 m/日 25 20 28

プライマー塗布工 ㎡/日 65 52 72

断面修正工 ㎡/日 20 16 22

墨出し工 ㎡/日 400 320 444

400g/㎡未満 ㎡/日 25 20 28

400~450g/㎡ ㎡/日 20 16 22 シート貼

600g/㎡ ㎡/日 14 11 16

足場状況や作業スペースの広さ等の様々な現場要因により、下表の範囲で日施工数量

を低減補正する。

表 5.1-3 歩掛り調整係数

要 因 補正係数

標準 1.0~1.0

障害物、小割 1.2~1.5

車上、移動、撤去 1.1~1.5

狭い・高所 1.2~1.5

多湿・高温・低温 1.5~2.0

Page 70: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

5-2

(2) 土木工事積算事例

下図のような道路橋床版下面に、UM46-30、UM46-40 を各 1 層貼り付ける工事の事例を

示す。工事費は、1 支間当りの直接工事費であり、仮設費・経費等は含まない。

その結果を第 1 号代価表として記載する。

貼付面積 A=3.50×2×10.00=70.00 ㎡ ※ 記載する歩掛りは標準例であり、現場毎の現場条件に応じて変動する。

a) 第 1 号代価表

第1号 代 価 表費目又は項目 工種又は名称種別 種  別 規 格 単 位 数 量 単 価 金  額 摘  要

炭素繊維シート工法

UM46-40  

UM46-30 清掃工 ㎡ 70.00 375 26,250 第11号単価表

上向き 下地処理工 ㎡ 70.00 3,100 217,000 第12号単価表

狭い・高所 面取り工 m 0.00 3,700 0 第13号単価表

  プライマー工 ㎡ 70.00 1,865 130,550 第14号単価表

断面修正工 ㎡ 70.00 6,125 428,750 第15号単価表

墨出し工 ㎡ 70.00 184 12,880 第16号単価表

炭素繊維シート貼付け工① 1層貼 400g/㎡目付 ㎡ 70.00 27,125 1,898,750 第17号単価表

炭素繊維シート貼付け工② 1層貼 300g/㎡目付 ㎡ 70.00 20,850 1,459,500 第18号単価表

   

 

合  計 4,173,680

 

1㎡当り 59,624

東レ株式会社

Page 71: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

5-3

清掃工

第11号 単 価 表

費目又は項目 工種又は名称種別 種  別 規  格 単 位 数  量 単 価 金  額 摘  要

清掃工 160 ㎡当たり

世話役 人 0.500 17,700 8,850

特殊作業員 〃 2.000 16,700 33,400

普通作業員 〃 1.000 14,100 14,100

小計 56,350

 

高圧洗浄機 台 1 1,650 1,650

ガソリン ㍑ 8.0 120 960

油脂類 式 1   192 ガソリンの20%

小計 2,802

消耗品費 式 1 848 3%

計 60,000 375

円/㎡

東レ株式会社

下地処理工

第12号 単 価 表  

費目又は項目 工種又は名称種別 種  別 規  格 単 位 数  量 単 価 金  額 摘  要

下地処理工 20 ㎡当たり

世話役 人 0.500 17,700 8,850

特殊作業員 〃 2.000 16,700 33,400

普通作業員 〃 1.000 14,100 14,100

小計 56,350

ディスクサンダ- 0.59kW 台 2.000 230 460

発電機 2.0kVA 〃 1.000 1,200 1,200

コンプレッサー 0.4kW 〃 1.000 460 460

ガソリン ㍑ 8.400 120 1,008 8.4㍑/台×発電機

油脂類 式 1   202 ガソリンの20%

小計 3,330

ディスクサンドペ-パ- 枚 6.000 150 900 0.3枚/㎡

消耗品費 式 1 1,420 3%

小計 2,320

計 62,000 3,100

円/㎡

東レ株式会社

Page 72: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

5-4

面取り工

第13号 単 価 表  

費目又は項目 工種又は名称種別 種  別 規  格 単 位 数  量 単 価 金  額 摘  要

面取り工 20 m当たり

世話役 人 0.500 17,700 8,850

特殊作業員 〃 2.000 16,700 33,400

普通作業員 〃 1.000 14,100 14,100

小計 56,350

コンクリートカンナ 0.51kW 台 1.000 1,200 1,200

発電機 2.0kVA 〃 1.000 1,200 1,200

ガソリン ㍑ 8.400 120 1,008 8.4㍑/台×発電機

油脂類 式 1   202 ガソリンの20%

小計 3,610

ダイヤモンドカンナ刃     枚 0.400 30,000 12,000 0.02枚/m

消耗品 式 1   2,040 3%

計 74,000 3,700

円/m

東レ株式会社 プライマー工

第14号 単 価 表  

費目又は項目 工種又は名称種別 種  別 規  格 単 位 数  量 単 価 金  額 摘  要

プライマ―工 52 ㎡当たり

世話役 人 0.500 17,700 8,850

特殊作業員 〃 2.000 16,700 33,400

普通作業員 〃 1.000 14,100 14,100

小計 56,350

ハンドミキサー 0.51kW 台 1.000 320 320

発電機 2.0kVA 〃 1.000 1,200 1,200

ガソリン ㍑ 8.400 120 1,008 8.4㍑/台×発電機

油脂類 式 1   202 ガソリンの20%

小計 2,730

プライマー エポキシ系 CF5 kg 10.400 3,200 33,280 0.2㎏/㎡

消耗品 式 1   4,640 5%

小計 37,920

計 97,000 1,865

円/㎡

東レ株式会社

Page 73: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

5-5

不陸修正工

第15号 単 価 表  

費目又は項目 工種又は名称種別 種  別 規  格 単 位 数  量 単 価 金  額 摘  要

断面修正工 16 ㎡当たり

世話役 人 0.500 17,700 8,850

特殊作業員 〃 2.000 16,700 33,400

普通作業員 〃 1.000 14,100 14,100

小計 56,350

ハンドミキサー 0.51kW 台 1.000 320 320

発電機 2.0kVA 〃 1.000 1,200 1,200

ガソリン ㍑ 8.400 120 1,008 8.4㍑/台×発電機

油脂類 式 1   202 ガソリンの20%

小計 2,730

エポキシパテ エポキシ系 S901 kg 16.000 2,300 36,800 1.0㎏/㎡

消耗品 式 1 2,120 3%

小計 38,920

計 98,000 6,125

円/㎡

東レ株式会社 墨出し工

第16号 単 価 表

費目又は項目 工種又は名称種別 種  別 規  格 単 位 数  量 単 価 金  額 摘  要

墨出し工   320 ㎡当たり

世話役 人 0.500 17,700 8,850

特殊作業員 〃 2.000 16,700 33,400

普通作業員 〃 1.000 14,100 14,100

小計 56,350

消耗品費 式 1 2,650 5%

計 59,000 184

円/㎡

東レ株式会社

Page 74: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

5-6

炭素繊維シート接着工①

第17号 単 価 表  

費目又は項目 工種又は名称種別 種  別 規  格 単 位 数  量 単 価 金  額 摘  要

炭素繊維シート接着工① 16 ㎡当たり

世話役 人 0.500 17,700 8,850

特殊作業員 〃 2.000 16,700 33,400

普通作業員 〃 1.000 14,100 14,100

小計 56,350

ハンドミキサー 0.51kW 台 1.000 320 320

発電機 2.0kVA 〃 1.000 1,200 1,200

ガソリン ㍑ 8.400 120 1,008 8.4㍑/台×発電機

油脂類 式 1   202 ガソリンの20%

小計 2,730

接着樹脂 エポキシ系 CF5P kg 16.000 3,200 51,200 1.0㎏/㎡

炭素繊維シート 400g/㎡目付 UM46-40 ㎡ 18.400 16,500 303,600 1.15㎡/㎡

小計 354,800

消耗品 式 1   20,120 5%

計 434,000 27,125

円/㎡

東レ株式会社 炭素繊維シート接着工②

第18号 単 価 表  

費目又は項目 工種又は名称種別 種  別 規  格 単 位 数  量 単 価 金  額 摘  要

炭素繊維シート接着工② 20 ㎡当たり

世話役 人 0.500 17,700 8,850

特殊作業員 〃 2.000 16,700 33,400

普通作業員 〃 1.000 14,100 14,100

小計 56,350

ハンドミキサー 0.51kW 台 1.000 320 320

発電機 2.0kVA 〃 1.000 1,200 1,200

ガソリン ㍑ 8.400 120 1,008 8.4㍑/台×発電機

油脂類 式 1   202 ガソリンの20%

小計 2,730

接着樹脂 エポキシ系 CF5P kg 16.000 3,200 51,200 0.8㎏/㎡

炭素繊維シート 300g/㎡目付 UM46-30 ㎡ 23.000 12,500 287,500 1.15㎡/㎡

小計 338,700

消耗品 式 1   19,220 5%

計 417,000 20,850

円/㎡

東レ株式会社

Page 75: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

5-7

(3) 建築工事積算例

下図のような、柱に UT70-30 を 2 層水平方向に巻き立てる事例を示す。なお、工事費

は、柱 1 本分の直接工事費であり、仮設費・経費等は含まない。

その結果を第 2 号代価表として記載する。

貼付面積 A=3.00×0.80×4=9.60 ㎡

面取り長 L=3.00×4=12.0m

※ 記載する歩掛りは標準例であり、現場毎の現場条件に応じて変動する。

b) 第 2 号代価表

第2号 代 価 表費目又は項目 工種又は名称種別 種  別 規 格 単 位 数 量 単 価 金  額 摘  要

炭素繊維シート工法

UT70-30  

UT70-30 清掃工 ㎡ 9.60 300 2,880 第21号単価表

横向き 下地処理工 ㎡ 9.60 2,480 23,808 第22号単価表

標準 面取り工 m 12.00 3,080 36,960 第23号単価表

  プライマー工 ㎡ 9.60 1,630 15,648 第24号単価表

断面修正工 ㎡ 9.60 5,400 51,840 第25号単価表

墨出し工 ㎡ 9.60 147 1,411 第26号単価表

炭素繊維シート貼付け工① 1層貼 300g/㎡目付 ㎡ 9.60 15,760 151,296 第27号単価表

炭素繊維シート貼付け工② 1層貼 300g/㎡目付 ㎡ 9.60 15,760 151,296 第28号単価表

   

 

合  計 435,139

 

1㎡当り 45,327

東レ株式会社

Page 76: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

5-8

清掃工単価表

第21号 単 価 表

費目又は項目 工種又は名称種別 種  別 規  格 単 位 数  量 単 価 金  額 摘  要

清掃工 200 ㎡当たり

世話役 人 0.500 17,700 8,850

特殊作業員 〃 2.000 16,700 33,400

普通作業員 〃 1.000 14,100 14,100

小計 56,350

 

高圧洗浄機 台 1 1,650 1,650

ガソリン ㍑ 8.0 120 960

油脂類 式 1   192 ガソリンの20%

小計 2,802

消耗品費 式 1 848 3%

計 60,000 300

円/㎡

東レ株式会社 下地処理工

第22号 単 価 表  

費目又は項目 工種又は名称種別 種  別 規  格 単 位 数  量 単 価 金  額 摘  要

下地処理工 25 ㎡当たり

世話役 人 0.500 17,700 8,850

特殊作業員 〃 2.000 16,700 33,400

普通作業員 〃 1.000 14,100 14,100

小計 56,350

ディスクサンダ- 0.59kW 台 2.000 230 460

発電機 2.0kVA 〃 1.000 1,200 1,200

コンプレッサー 0.4kW 〃 1.000 460 460

ガソリン ㍑ 8.400 120 1,008 8.4㍑/台×発電機

油脂類 式 1   202 ガソリンの20%

小計 3,330

ディスクサンドペ-パ- 枚 7.500 150 1,125 0.3枚/㎡

消耗品費 式 1 1,195 3%

小計 2,320

計 62,000 2,480

円/㎡

東レ株式会社

Page 77: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

5-9

面取り工

第23号 単 価 表  

費目又は項目 工種又は名称種別 種  別 規  格 単 位 数  量 単 価 金  額 摘  要

面取り工 25 m当たり

世話役 人 0.500 17,700 8,850

特殊作業員 〃 2.000 16,700 33,400

普通作業員 〃 1.000 14,100 14,100

小計 56,350

コンクリートカンナ 0.51kW 台 1.000 1,200 1,200

発電機 2.0kVA 〃 1.000 1,200 1,200

ガソリン ㍑ 8.400 120 1,008 8.4㍑/台×発電機

油脂類 式 1   202 ガソリンの20%

小計 3,610

ダイヤモンドカンナ刃     枚 0.500 30,000 15,000 0.02枚/m

消耗品 式 1   2,040 3%

計 77,000 3,080

円/m

東レ株式会社 プライマー工

第24号 単 価 表  

費目又は項目 工種又は名称種別 種  別 規  格 単 位 数  量 単 価 金  額 摘  要

プライマ―工 65 ㎡当たり

世話役 人 0.500 17,700 8,850

特殊作業員 〃 2.000 16,700 33,400

普通作業員 〃 1.000 14,100 14,100

小計 56,350

ハンドミキサー 0.51kW 台 1.000 320 320

発電機 2.0kVA 〃 1.000 1,200 1,200

ガソリン ㍑ 8.400 120 1,008 8.4㍑/台×発電機

油脂類 式 1   202 ガソリンの20%

小計 2,730

プライマー エポキシ系 TSプライマー kg 13.000 3,200 41,600 0.2㎏/㎡

消耗品 式 1   5,320 5%

小計 46,920

計 106,000 1,630

円/㎡

東レ株式会社

Page 78: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

5-10

不陸修正工

第25号 単 価 表  

費目又は項目 工種又は名称種別 種  別 規  格 単 位 数  量 単 価 金  額 摘  要

断面修正工 20 ㎡当たり

世話役 人 0.500 17,700 8,850

特殊作業員 〃 2.000 16,700 33,400

普通作業員 〃 1.000 14,100 14,100

小計 56,350

ハンドミキサー 0.51kW 台 1.000 320 320

発電機 2.0kVA 〃 1.000 1,200 1,200

ガソリン ㍑ 8.400 120 1,008 8.4㍑/台×発電機

油脂類 式 1   202 ガソリンの20%

小計 2,730

エポキシパテ エポキシ系 E-395 kg 20.000 2,300 46,000 1.0㎏/㎡

消耗品 式 1 2,920 3%

小計 48,920

計 108,000 5,400

円/㎡

東レ株式会社 墨出し工

第26号 単 価 表

費目又は項目 工種又は名称種別 種  別 規  格 単 位 数  量 単 価 金  額 摘  要

墨出し工   400 ㎡当たり

世話役 人 0.500 17,700 8,850

特殊作業員 〃 2.000 16,700 33,400

普通作業員 〃 1.000 14,100 14,100

小計 56,350

消耗品費 式 1 2,650 5%

計 59,000 147

円/㎡

東レ株式会社

Page 79: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

5-11

炭素繊維シート接着工①

第27号 単 価 表  

費目又は項目 工種又は名称種別 種  別 規  格 単 位 数  量 単 価 金  額 摘  要

炭素繊維シート接着工① 25 ㎡当たり

世話役 人 0.500 17,700 8,850

特殊作業員 〃 2.000 16,700 33,400

普通作業員 〃 1.000 14,100 14,100

小計 56,350

ハンドミキサー 0.51kW 台 1.000 320 320

発電機 2.0kVA 〃 1.000 1,200 1,200

ガソリン ㍑ 8.400 120 1,008 8.4㍑/台×発電機

油脂類 式 1   202 ガソリンの20%

小計 2,730

接着樹脂 エポキシ系 TSレジン kg 20.000 3,200 64,000 0.8㎏/㎡

炭素繊維シート 300g/㎡目付 UT70-30 ㎡ 28.750 8,800 253,000 1.15㎡/㎡

小計 317,000

消耗品 式 1   17,920 5%

計 394,000 15,760

円/㎡

東レ株式会社 炭素繊維シート接着工②

第28号 単 価 表  

費目又は項目 工種又は名称種別 種  別 規  格 単 位 数  量 単 価 金  額 摘  要

炭素繊維シート接着工② 25 ㎡当たり

世話役 人 0.500 17,700 8,850

特殊作業員 〃 2.000 16,700 33,400

普通作業員 〃 1.000 14,100 14,100

小計 56,350

ハンドミキサー 0.51kW 台 1.000 320 320

発電機 2.0kVA 〃 1.000 1,200 1,200

ガソリン ㍑ 8.400 120 1,008 8.4㍑/台×発電機

油脂類 式 1   202 ガソリンの20%

小計 2,730

接着樹脂 エポキシ系 TSレジン kg 20.000 3,200 64,000 0.8㎏/㎡

炭素繊維シート 300g/㎡目付 UT70-30 ㎡ 28.750 8,800 253,000 1.15㎡/㎡

小計 317,000

消耗品 式 1   17,920 5%

計 394,000 15,760

円/㎡

東レ株式会社

Page 80: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

5-12

5.2 トレカクロス工法の第3者評価

Page 81: トレカ クロス工法技術資料CF5 W 温 度 ( ) 10 20 30 5 10 20 混合物粘度(mPa・s) 6,200 1,800 600 3,400 2,400 700 指触硬化時間(時間) 26 15 6 36 26

5-13

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5.3 下地処理材・仕上げ材

(1) 下地処理材

トレカクロス工法に適合する下地処理用材料例を表 5.2-1 に示す。

表 5.2-1 下地処理材例

材料名 製造会社 品 番 荷 姿(備考)

鉄筋防錆材 日本セメント

日本セメント

コニシ

AR 浸透防錆剤

AR 防錆モルタル

カーボニックセメント

(プライマー共)

主剤:20 ㎏/袋

硬化剤:4㎏/缶

断面修復材 マノール

日本化成

(ドクターQ補修用)

ゼロヨン#30

NS+ハイフレックス 1000

ゼロヨン#20

NS+ハイフレックス 1000

20 ㎏/袋

上塗り材

(全面補修用)

広域

日本セメント

日本セメント

コニシ

KSM30#

KSM20#

CATプレミックスモルタル

(プライマー共)

25 ㎏/袋

25 ㎏/袋

主剤:20 ㎏/袋

硬化剤:3.2 ㎏/缶

(2) 仕上げ材

① 土木向け仕上げ材

表 5.2-2 の品質規格を満足する仕上げ材A、B※1 が一般的である。これらは主に橋脚耐震補強

用に用いられているが、状況に応じて他用途への使用も可能である。なお、トレカクロス工法への

適合確認が取れている仕上げ材があるので、詳細は弊社までお問合せをお願いします。

表 5.2-2 仕上げ材の品質規格

種類 仕上げ材A 仕上げ材B

材質 JIS A 6909 建築用仕上げ塗装材の

うち、薄付け仕上げ塗材、複層仕

上げ塗材相当品(ただし、可とう

形、柔軟形を除く)

JIS A 6909 建築用仕上げ塗装材の

うち、厚付け仕上げ塗材相当品

(ただし、可とう形、柔軟形を除

く)

仕上がり厚さ 1mm 以上 10mm 以上

トレカクロスと

の付着強度※2

標準養生後および温冷繰返し後、

1N/mm2以上

標準養生後および温冷繰返し後、

1N/mm2以上

耐候性 JIS K 5400 9.8.1 耐侯形 2種 JIS K 5400 9.8.1 耐侯形 2種

※1 高速道路株式会社「構造物施工管理要領」に基づく仕上げ材

※2 試験方法は、トレカクロス(炭素繊維シート)を貼り付けた JIS A 5371(プレキャスト無筋コン

クリート製品)付属書 2 に規定する平板 N 呼び 300 に仕上げ材を施工した試験体を製作し、簡易

引張試験機(一般的には建研式接着試験機)にて 3箇所試験を行い、試験値は最低値とする。

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② 建築向け仕上げ材

建築向け仕上げ材として、アクリル系、ウレタン系、フッ素系等の多種にわたる仕上げ材があ

る。それぞれ仕上げ材に特徴があり、目的・用途に応じて仕上げ材を使い分ける必要がある。

また、同系の仕上げ材であっても、各メーカーによって材質・成分が異なることがある。その

ため、仕上げ材によってはトレカクロス工法の含浸接着樹脂との接着性能を発揮しにくいものもあ

る。したがって、使用に際して、施工前にトレカクロスとの接着の相性を確認する必要がある。

5.4 主な技術指針

炭素繊維シート接着工法に係る主な技術指針を示す。

(1) 土木

・ 「コンクリート部材の補修・補強に関する共同研究報告書」 建設省土木研究所ほか

・ 「設計要領 第二集 橋梁保全編」 東日本高速道路㈱、中日本高速道路㈱、西日本高速道路

・ 「連続繊維シートを用いたコンクリート構造物の補修補強指針」 土木学会

・ 「既設橋梁の耐震補強工法事例集」 (財)海洋架橋・橋梁調査会

・ 「炭素繊維シートによる鉄道高架橋柱の耐震補強工法設計・施工指針」 (財)鉄道総合技術研

究所

・ 「炭素繊維シートによる地下鉄 RC 柱の耐震補強工法設計・施工指針」 (財)鉄道総合技術研

究所

・ 「コンクリート片はく落防止対策マニュアル」 日本道路公団

・ 「炭素繊維シートによる鋼製橋脚の補強工法ガイドライン」 (財)土木研究センター

・ 「設計要領 第三集 トンネル編」 日本道路公団

・ 「変状トンネル対策工設計マニュアル」 (財)鉄道総合技術研究所

・ 「道路トンネル変状対策工マニュアル(案)」 独立行政法人土木研究所

・ 「FRP によるトンネル覆工剥落対策マニュアル」 トンネル安全対策工法研究会

(2) 建築

・ 「連続繊維補強材を用いた既存鉄筋コンクリート造および鉄骨鉄筋コンクリート造建築物の

耐震改修設計・施工指針」 (財)日本建築防災協会

・ 「既存鉄筋コンクリート造建築物の耐震診断基準・同解説」(財)日本建築防災協会

・ 「連続繊維補強コンクリート系構造設計施工指針案」 日本建築学会

・ 学校施設の耐震補強マニュアル RC造校舎編 文部科学省