（革新的技術緊急展開事業のうち）

カンキツのβ-クリプトキサンチン含量等の 品質を保証した果実供給の実現に向けた取り組み

攻めの農林水産業の実現に向けた革新的技術緊急展開事業 （うち産学の英知を結集した革新的な技術体系の確立）

技術体系⑦（かんきつ） 果樹の省力化・軽労化及び安定生産を可能とする技術体系

革新的技術（カンキツ）コンソーシアム 農研機構 近畿中国四国農業研究センター 傾斜地園芸研究領域

根角 博久

（資料４）

1

貯蔵庫 棚方式の貯蔵 （規模拡大の 制限要因）

（作業時間50%短縮）

簡易貯蔵

大規模経営にも対応した 高品質果実の供給システム

簡易貯蔵 棚貯蔵

作業

時間

/800

ｋｇ

果実品質保証のための低コストで省力的な生産・供給技術と機能性成分含量の保証技術の開発

低コストなシート資材

マルチシート ・抑草効果 ・耐久性

簡易貯蔵のため のシート

マルドリ方式栽培による高品質化

β-クリプトキサンチン含量の 非破壊推定

保証できる成分量を示して 消費者に提供

産地ブランド力の向上

分析値

光センサによる 推定値

雨よけ；袋かけを省略 マルドリ方式；高品質生産 （かん水管理を検証）

露地栽培では 袋かけが必要

省力的なプレミアム果実生産

低コスト・省力的高品質安定生産 規模拡大と品質保持の両立 成分を保証した果実の供給

採収

出庫 選果

入庫

（分）

2

カンキツに含まれるβ-クリプトキサンチンの 機能性研究の成果

β-クリプトキサンチンはミカンのオレンジ色の色素

β-クリプトキサンチン HO

ミカンを食べれば食べるほど身体の中に溜まる。

オレンジには、ミカンの1/10程度しか含まれない。

ミカン産地の住民を対象にした疫学調査（三ヶ日町研究）から

動脈硬化

肝機能障害 インスリン抵抗性

メタボリックシンドローム

喫煙・飲酒による酸化ストレス

骨粗しょう症

(農研機構果樹研究所）

血中β-クリプトキサンチン濃度が高い人では、様々な生活習慣病のリスクが低いことが判明。 毎日およそ3，4個のミカン（β-クリプトキサンチン3,4mg程度）で効果が期待できる。

Atherosclerosis 2006; 184(2): 363-369. J Epidemiol 2006; 16(2): 71-78

Br J Nutr 2009; 102(8): 1211-1219.

J Epidemiol 2005; 15(5): 180-186. Diabetes Res Clin Pract 2006; 71(1): 82-91.

Osteopros Int 2008; 19(2): 211-219. Osteopros Int 2011; 22(1): 143-152. PLoS ONE 2012; 7(12): e52643.

Br J Nutr 2008; 100(6): 1297-1306.

メカニズムの検証 ヒト介入試験の推進

H24補正予算機能性食品開発プロ

J Health Sci 2002; 48(4): 350-353. J Nutr Sci Vitaminol 2004; 50(3): 196-202.

Food Sci Tech Res 2004; 11(1): 13-18.

科学的エビデンスの確立 3

H24補正予算機能性食品開発プロでの取り組み

１．カンキツ類に多いβ-クリプトキサンチンの多様な生体調節機能（抗メタボ作用等）をヒトを対象とした栄養疫学研究と介入研究、更には細胞・実験動物を用いたメカニズム研究で明らかにする。

２．β-クリプトキサンチンを高含有化させるための栽培・貯蔵技術を確立し、高品質で健康に役立つカンキツを消費者に提供する。

作用メカニズムの解明細胞・動物実験 遺伝子発現レベル

観察疫学研究 ミカン産地住民を対象にしたコホート研究

ヒト介入試験 β-クリプトキサンチンの抗メタボ作用等

β-クリプトキサンチンの 生体調節機能が明らかに

エビデンスの確立 機能性情報の普及

β-クリプトキサンチン高含有カンキツ 西南のひかり（2.3mg/100g） 高品質・高機能なβ-クリプトキサンチン

高含有カンキツ・加工品を消費者に普及

３．β-クリプトキサンチンを周年的に摂取できるようにカンキツ加工食品を全国レベルで事業化するためのシステムを構築する。

4

機能性表示制度に向け、産地と協力した取り組み （JAみっかび・果樹研究所・静岡県果樹研究センター）

0.8

1.0

1.2

1.4

1.6

1.8

2.0

2.2

8.0 10.0 12.0 14.0

β-クリプトキサ

ンチン含

量

（m

g/10

0g）

糖含量（g/100mL）

ノンブランド果実 ブランド果実

y=0.1718x-0.39 R2 = 0.6964**

β-クリプトキサンチンの含有量はミカンの糖度と相関する（果樹研究所）

β-クリプトキサンチン含有量の分布を測定し、等級・出荷時期によるバラツキを検証（JAみっかび・果樹研究所）

近赤外線を用いた非破壊選果機によるβ-クリプトキサンチン含有量の推定 （JAみっかび・静岡県果樹研究センター）

0

5

10

15

20

25

30

0.85 0.89 0.91 0.95 0.99 1 1.01 1.06 1.1 1.2 1.21 1.31 1.4 1.45 1.46 1.52 1.62 1.7 1.75 1.81.0 1.2 1.4 1.6

β-クリプトキサンチン含量（mg/100g）

度数

95%の信頼区間でβ-クリプトキサンチン含有量の幅を示す。

等級・出荷時期別に含有量を検証

近赤外選果機で等級分けされた各ミカンのβ-クリプトキサンチン量を推定し、信頼性の高い含有量としての表示を可能にする。

近赤外スペクトルを測定 CRY含量の測定

CRY含量の推定

5

機能性表示制度に向け、エビデンスの収集・安全性評価 （JAみっかび・果樹研究所）

試験方法 試験結果

オレンジ色素（主色素はβ-クリプトキサンチンの脂肪酸エステル）について、ラットに対して混餌（0.18, 0.55, 1.66, 5.0%）を13週間反復投与した。

検体投与に起因する毒性学的影響は認められなかった。無毒性量は、最高用量である2.5ｇ※１/㎏/day以上であると考えられる。

安全性に係る科学的根拠

出典：古川ほか 厚生省平成９年度食品添加物安全性再評価等の試験、オレンジ色素の亜慢性毒性試験、国立医薬品食品衛生研究所

食経験の長いミカンには、常識的な量を摂取している限り、毒性学的影響は殆ど無い。留意すべき点としては食べ過ぎによるカロリーの過剰摂取のみと考えられる。

6

機能性表示制度に向け、エビデンスの収集・安全性評価 （JAみっかび・果樹研究所）

機能性に係る科学的根拠 試験方法 試験結果

ヒト介入研究 β-クリプトキサンチン高含有果汁の投与により血中アディポネクチン値が上昇。 出典： Iwamoto et al. Lipids in Health and Disease 2012, 11: 52

ヒト介入研究 β-クリプトキサンチン高含有果汁の投与により肝機能（γ-GTP, ALT）が改善。 出典： 大島ら 日本食品科学工学会誌 2010, 57: 114

観察研究 （前向きコホート研究）

β-クリプトキサンチンの血中濃度が高い閉経後の女性は、血中濃度が低い人に比べて骨粗しょう症の発症リスクが有意に低い。 出典： Sugiura et al., PLoS ONE 2012, 7: e52643.

観察研究（横断研究） β-クリプトキサンチンの血中濃度が高い男女は、インスリン抵抗性・メタボのリスクが有意に低い。 出典： Sugiura et al., J Epidemiol 2006, 16: 71. Sugiura et al., Br J Nutr 2008, 100: 1297.

観察研究（横断研究） β-クリプトキサンチンの血中濃度が飲酒者は、血中γ-GTP、ALT値が有意に低い。 出典： Sugiura et al., J Epidemiol 2005, 15: 180.

観察研究（横断研究） β-クリプトキサンチンの血中濃度が高い男女は、動脈硬化のリスクが低い。 出典： Nakamura et al., Atherosclerosis 2006, 184: 363.

7

機能性表示制度に向けた検討（表示のイメージ） （JAみっかび）

温州みかん【β-クリプトキサンチン】

本品はβ-クリプトキサンチンを含み、骨の健康を保つ食品です。更年期以降の女性の方に適しています。毎日、3，4個を目安にお召し上がり下さい。

機能性及び安全性については国が検証したものではありません。

温州みかん【β-クリプトキサンチン】

本品はβ-クリプトキサンチンを含み、肝臓の健康を保つ食品です。お酒をよく飲む人、メタボが気になる方に適しています。毎日、3，4個を目安にお召し上がり下さい。

機能性及び安全性については国が検証したものではありません。

機能性表示食品（届出受理番号）

機能性表示食品（届出受理番号）

栄養成分（100g当たり） エネルギー●kcal たんぱく質●ｇ 脂質●ｇ 炭水化物●ｇ ナトリウム●mg カリウム●mgビタミンC●mg 1日当たりの摂取目安量：１日当たり3，4個を目安にお召し上がり下さい。 1日当たりの摂取目安量あたりの機能性関与成分の含有量：β-クリプトキサンチン3，4mg/3.4個 摂取する上での注意事項：本品は、疾病の診断、治療、予防を目的としたものではありません。疾病に罹患している方は医師に相談の上で摂取して下さい。医薬品を服用している方は医師、薬剤師に相談した上で摂取して下さい。体調に異常を感じた際は速やかに摂取を中止し医師に相談して下さい。食生活は、主食、主菜、副菜を基本に、食事にバランスを。 事業者名：△▲ お問い合わせ先：●○ 機能性や安全性に関する詳しい情報：

H27年度産のミカンから表示出来るように申請のための準備に取り組み始めている。

8