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© 2012 Microchip Technology Inc. DS00951A_JP - p. 1 AN951 はじめに 組み込みシステムでは、アプリケーション環境で発生 するイベントを検出するために、各種のセンサを使い ます。これらのセンサは、アナログ コンディショニン グ回路内でどのように作用するかに応じて分類できま ( 電圧源、電流源、抵抗、静電容量 ( 周波数による 検出 ) )。本アプリケーション ノートでは、電流セ ンサのように機能する高インピーダンス センサ向け のアナログ コンディショニング回路について解説し ます。 電流センサは、電流を電圧に変換するトランスイン ピーダンス アンプに接続します。本書で紹介するオペ アンプを使った設計アプローチは、4 つの設計ステッ (DC、安定化補償、閉ループゲイン、ノイズ削減 ) で構成されます。 本書では、原理を解説するために、 PIN フォトダイオー ( 光検出器 ) を使った回路を例として取り上げます。 また、説明した理論を裏付けるために、計測結果も提 示します。 本書の末尾には、補足情報も記載しています。これに は、関連文献の一覧を掲載した「参考資料」と、補遺 A: 「オペアンプの安定性解析」 および補遺 B: 「セット アップの概要」( 回路の計測で使ったツールに関する 説明 ) を含みます。 回路設計 1 に、トランスインピーダンス アンプと高インピー ダンス電流源の等価回路を示します。I S は、電流源の 出力電流を表します。C S は、電流源の出力静電容量 とオペアンプの入力静電量を合計した静電容量を表し ます。抵抗 R F とオペアンプの組み合わせにより、I S を電圧に変換します。 周波数が低い場合、オペアンプの反転入力はグランド 電位となり、 I S は全て R F に流れます。この場合、抵抗 +オペアンプ部の出力電圧は I S R F となります。 周波数が高くなると、コンデンサが回路の挙動に影響 します。電流センサの出力静電容量は、オペアンプの フィードバック ループの安定性に大きく影響します。 この影響の解析と、コンデンサ (C F ) を使ったトランス インピーダンス アンプの補償には、ボード線図が役立 ちます。これらの静電容量は、トランスインピーダン アンプの帯域幅も制限します。 R N C N は出力ノイズを低減します。フィードバック ループの過補償を避ける事によっても出力ノイズを抑 制できます。 1: トランスインピーダンス アンプの等価回路 ステップ 1: DC この設計ステップでは、適正動作を確保するためにDC ゲインとバイアス点を設定します。DC オフセットに も配慮します。 高インピーダンス センサは、有限の出力抵抗を持ちま す。ほとんどのトランスインピーダンス アンプ アプ リケーションでは、電流源の出力抵抗を無視できます ( この抵抗は R F に比べて非常に大きいため )前述のように、電流源からの電流によって生じる DC 出力電圧は次式で表せます。 オペアンプは、下式のように出力の DC オフセット電 圧に影響します。 I S に対して高いゲインが得られるようにフィードバッ ク抵抗値を選択する必要があります。一般的に、I S 最大値の時にオペアンプの出力電圧レンジの大部分を 使えるように、ゲインを十分に高く設定します。 過大な DC オフセットの発生を避けるために、オペア ンプの V OS I B は十分に低い事が必要です。下式を 満たせるようにオペアンプを選択します。 Author: Kumen Blake and Steven Bible Microchip Technology Inc. R F C F R N C N C S I S V OUT + V OUT I S R F = V OS I B R F + output offset voltage = V OS = オペアンプの入力オフセット電圧 I B = オペアンプの入力バイアス電流 I B V OS R F + < acceptable error in I S 高インピーダンス センサ用増幅回路の設計 フォトダイオードを使った事例 注意 : この日本語版文書は参考資料としてご利用ください。最新情報は必ずオリジ ナルの英語版をご参照願います。

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Page 1: ナルの英語版をご参照願います。 AN951ww1.microchip.com/downloads/jp/AppNotes/00951A_JP.pdf · 図1 の回路内のコンデンサ(cs とcf) は、下記の各種 静電容量を複合した等価静電容量を表します。

AN951高インピーダンス センサ用増幅回路の設計

フォトダイオードを使った事例

注意 : この日本語版文書は参考資料としてご利用ください。最新情報は必ずオリジナルの英語版をご参照願います。

はじめに

組み込みシステムでは、アプリケーション環境で発生するイベントを検出するために、各種のセンサを使います。これらのセンサは、アナログ コンディショニング回路内でどのように作用するかに応じて分類できます ( 電圧源、電流源、抵抗、静電容量 ( 周波数による検出 ) 等 )。本アプリケーション ノートでは、電流センサのように機能する高インピーダンス センサ向けのアナログ コンディショニング回路について解説します。

電流センサは、電流を電圧に変換するトランスインピーダンス アンプに接続します。本書で紹介するオペアンプを使った設計アプローチは、4 つの設計ステップ (DC、安定化補償、閉ループゲイン、ノイズ削減 )で構成されます。

本書では、原理を解説するために、PIN フォトダイオード ( 光検出器 ) を使った回路を例として取り上げます。また、説明した理論を裏付けるために、計測結果も提示します。

本書の末尾には、補足情報も記載しています。これには、関連文献の一覧を掲載した「参考資料」と、補遺A:「オペアンプの安定性解析」および補遺 B:「セットアップの概要」( 回路の計測で使ったツールに関する説明 ) を含みます。

回路設計

図 1 に、トランスインピーダンス アンプと高インピーダンス電流源の等価回路を示します。IS は、電流源の出力電流を表します。CS は、電流源の出力静電容量とオペアンプの入力静電量を合計した静電容量を表します。抵抗 RF とオペアンプの組み合わせにより、ISを電圧に変換します。

周波数が低い場合、オペアンプの反転入力はグランド電位となり、IS は全て RF に流れます。この場合、抵抗+オペアンプ部の出力電圧は ISRF となります。

周波数が高くなると、コンデンサが回路の挙動に影響します。電流センサの出力静電容量は、オペアンプのフィードバック ループの安定性に大きく影響します。この影響の解析と、コンデンサ (CF) を使ったトランスインピーダンス アンプの補償には、ボード線図が役立ちます。これらの静電容量は、トランスインピーダンス アンプの帯域幅も制限します。

RN と CN は出力ノイズを低減します。フィードバックループの過補償を避ける事によっても出力ノイズを抑制できます。

図 1: トランスインピーダンス アンプの等価回路

ステップ 1: DCこの設計ステップでは、適正動作を確保するためにDCゲインとバイアス点を設定します。DC オフセットにも配慮します。

高インピーダンス センサは、有限の出力抵抗を持ちます。ほとんどのトランスインピーダンス アンプ アプリケーションでは、電流源の出力抵抗を無視できます( この抵抗は RF に比べて非常に大きいため )。前述のように、電流源からの電流によって生じる DC出力電圧は次式で表せます。

オペアンプは、下式のように出力の DC オフセット電圧に影響します。

IS に対して高いゲインが得られるようにフィードバック抵抗値を選択する必要があります。一般的に、IS が最大値の時にオペアンプの出力電圧レンジの大部分を使えるように、ゲインを十分に高く設定します。

過大な DC オフセットの発生を避けるために、オペアンプの VOS と IB は十分に低い事が必要です。下式を満たせるようにオペアンプを選択します。

Author: Kumen Blake and Steven BibleMicrochip Technology Inc.

RF

CF

RN

CNCSISVOUT

+

VOUT ISRF=

VOS IBRF+ output offset voltage=

VOS = オペアンプの入力オフセット電圧IB = オペアンプの入力バイアス電流

IB VOS RF⁄+ < acceptable error in IS

© 2012 Microchip Technology Inc. DS00951A_JP - p. 1

Page 2: ナルの英語版をご参照願います。 AN951ww1.microchip.com/downloads/jp/AppNotes/00951A_JP.pdf · 図1 の回路内のコンデンサ(cs とcf) は、下記の各種 静電容量を複合した等価静電容量を表します。

AN951

ステップ 2: 安定化補償

多くの場合、トランスインピーダンス アンプを安定化する必要があります。この設計ステップでは、比較的単純な方法で安定化を図る方法について説明します。

図 1 の回路の安定性は、CS、RF、CF、オペアンプ間の相互作用によって決まります。CS、RF、オペアンプは既に選択したため、トランスインピーダンス アンプの安定化には CF を使います。補遺 A:「オペアンプの安定性解析」 に、安定化の理論を記載しています。

背景

図 1 の回路内のコンデンサ (CS と CF) は、下記の各種静電容量を複合した等価静電容量を表します。

下記の定義により、オペアンプの安定性に関する表現を単純化します。

これらのパラメータに対して、下記の制約が重要となります。

ノイズゲインは下式で表せます。

オペアンプの開ループゲインは下式により近似します。

クロスオーバー周波数(fXVR)は、GN(2π fXVR) = A(2π fXVR)となる周波数です。位相マージンはこの周波数で定義します。補遺 A.1「ループゲイン」を参照してください。

以降の説明では、図 1 の回路の安定性を評価するためにボード線図を使います ( ボード線図については補遺A.2「ボード線図」で解説しています )。設計は CC = 0を初期値として始める事に注意してください。

ノイズゲイン – ケース 1図 2 に、下記の関係が成立する場合のボード線図を示します。

このケースの特徴を以下に挙げます。

• このような設計条件の回路は安定していると考えられる

• CS は比較的小さい

• fXVR において、GN(ω) の傾きはゼロであり、大きさは GN1 に等しい

• fXVRにおいて、|A(f)|と |GN(f)|の傾きは20 dB/decade異なる

• CC の選択 : - CS が十分に小さければ追加しない

- 位相マージンが小さい場合は追加する

図 2: ボード線図 – ケース 1

CSEN = センサの出力静電容量

CCM = オペアンプのコモンモード静電容量

CDM = オペアンプの差動モード静電容量

CC = 補償コンデンサ (RF と並列に配置 )CRF = RF の寄生容量

CS = CSEN + CCM + CDMCF = CC + CRF

fGBP = オペアンプの利得帯域幅積 (GBWP)GN1 = 低周波ノイズゲイン

= 1 V/VGN2 = 高周波ノイズゲイン

= 1 + CS/CFfNZ = ノイズゲインがゼロとなる周波数

= 1 / (2πRF(CF + CS))fNP = ノイズゲインの極周波数

= 1 / (2πRFCF)

fNZ > fGBPfXVR ≈ fGBP

fNPfNZ--------

GN2GN1---------- 1≥=

GN s( ) GN11 s ωNZ⁄+1 s ωNP⁄+--------------------------=

A s( )ωGBP

s--------------≈

Gain (dB)

f (Hz),

|A(f)|

|GN(f)|GN2

0

fGBP fNZ fNP

fXVR

log scale

DS00951A_JP - p. 2 © 2012 Microchip Technology Inc.

Page 3: ナルの英語版をご参照願います。 AN951ww1.microchip.com/downloads/jp/AppNotes/00951A_JP.pdf · 図1 の回路内のコンデンサ(cs とcf) は、下記の各種 静電容量を複合した等価静電容量を表します。

AN951

ノイズゲイン – ケース 2図 3 に、下記の関係が成立する場合のボード線図を示します。

このケースの特徴を以下に挙げます。

• このような設計条件の回路は安定性に劣る

• CS は中程度

• fXVR において、GN(ω) は正の傾きを持ち、大きさはGN1 と GN2 の間にある

• fXVRにおいて、|A(f)|と |GN(f)|の傾きは40 dB/decade異なる

• 下記のために CC を追加する必要がある

- 位相マージンを改善する

- 傾きの差を小さくする

図 3: ボード線図 – ケース 2

ノイズゲイン – ケース 3図 4 に、下記の関係が成立する場合のボード線図を示します。

このケースの特徴を以下に挙げます。

• この設計条件の回路は良好な安定性を持つ

• CS は比較的大きい

• fXVR において、GN(ω) の傾きはゼロであり、大きさは GN2 に等しい

• fXVRにおいて、|A(f)|と |GN(f)|の傾きは20 dB/decade異なる

• CC の選択 : - 十分に小さければ変更しない

- fNP << fGBP/GN2 の場合、ノイズ性能を改善するために小さくする ( ただし fNP < fGBP/GN2 を維持する必要がある )

図 4: ボード線図 – ケース 3

補償コンデンサの選択

補償コンデンサ (CC) の選択においては、回路の状態が前記のノイズゲイン ケース 1~ 3のいずれに該当するのかが重要です。ケース 1 ( 図 2) の場合、補償コンデンサを追加する必要はないと考えられます。これ以外のケースでは、トランスインピーダンス アンプの安定性を維持するために、CC を十分に大きくする必要があります。つまり、fNP を fXVR よりも低くする必要があるという事です ( 図 4 参照 )。出力ノイズを最小限に抑えるには、fNZ を可能な限り高くするために、安定性を維持できる範囲で十分に小さな CC を選択する必要があります。これらの条件を満たす回路を設計するために下式を使えます。

上記を考慮して Cc を選択した後に、CF、GN2、fNZ、fXVR を計算し直します。最終的なボード線図は図 4 のようになる必要があります。

上記のように CC を選択した場合、-3 dB 帯域幅は概ねfXVR と同じになります。

ループゲインのシミュレーション

マイクロチップ社のオペアンプ マクロモデル(www.microchip.com からダウンロード可能 ) は、ループゲイン応答をシミュレートするためのツールです。補遺 A.4「ループゲインのシミュレーション」に、ループゲインのシミュレーションに使った回路を記載しています。

ステップ 3: 閉ループゲイン

トランスインピーダンス アンプは、安定であっても期待通りに動作しない場合があります。この設計ステップでは、安定性を犠牲にせずに性能を改善する方法について説明します。

図 5 に、代表的な回路の閉ループ応答を示します。この図は、未補償 (CC = 0) と補償後 (CC > 0) の特性を示しています。ゲインにピークを持つ未補償の特性曲線は、ステップ応答で非常に大きなオーバーシュートとリンギングが生じる状態に相当します。補償後の特性曲線は、ステップ応答でオーバーシュートとリンギングがほとんど生じない状態に相当します。

fNZ < fGBPfNP > fGBP/GN2

fXVR ≈ (fNZfGBP)1/2

fNP < fGBP/GN2fXVR ≈ fGBP/GN2

Gain (dB)

f (Hz),

|A(f)|

|GN(f)|

GN2

0

fGBPfNZ fNP

fXVR

log scale

CC = 0, fNZ > 10fGBPCC ≈ 2 (1/(2π fXVRRF)) – CRF, fNZ < 10fGBP

Gain (dB)

f (Hz),

|A(f)|

|GN(f)|GN2

0

fGBPfNZ fNP

fXVR

log scale

© 2012 Microchip Technology Inc. DS00951A_JP - p. 3

Page 4: ナルの英語版をご参照願います。 AN951ww1.microchip.com/downloads/jp/AppNotes/00951A_JP.pdf · 図1 の回路内のコンデンサ(cs とcf) は、下記の各種 静電容量を複合した等価静電容量を表します。

AN951

図 5: 閉ループゲイン

SPICE 内でマイクロチップ社のオペアンプ マクロモデルを使って、回路の応答性を改善します。CC を大きくすると、帯域幅とゲインのピークが減少します。CC を大きくしすぎると、fNZ が低くなりすぎて、必要な帯域幅内の出力ノイズが過大となる可能性があります。

最終的に得られた閉ループ帯域幅が小さすぎる場合、下記の対策が考えられます。

• より高速なオペアンプを選択する

• 寄生容量が小さいフィードバック抵抗を使う( 例 : SMD 0603 抵抗 )

• 高インピーダンス センサをバイアスして静電容量を下げる( 例 : フォトダイオードを逆バイアスにする )

• トランスインピーダンス ゲイン (RF) を下げる

ステップ 4: ノイズの削減

最後の設計ステップでは、トランスインピーダンス アンプの出力におけるランダムノイズを低減します。通常、ノイズは簡単な手順で低減できます。

最も重要なのは、RF をできるだけ大きくするという事です。つまり、ノイズを低減するには、トランスインピーダンス ゲイン ( この抵抗で発生する電圧 ) をできるだけ大きくする必要があるという事です。後段の回路でゲインを稼ぐ事はできますが、それではノイズ性能を良好に改善する事はできません。

ノイズ電圧密度とノイズ電流密度が低いオペアンプを選ぶ事も大切です。

RC ローパスフィルタ (RN と CN) を使って、総合的な信号帯域幅を低減すると効果的な場合もあります。この出力フィルタの極周波数は下式で表せます。

可能であれば、fRCN をノイズゲインがゼロになる周波数 (fNZ) よりも低く設定します。これにより、周波数の増加にともなうノイズゲインの増加 ( すなわち出力ノイズ電圧密度の増加 ) を抑える事ができます。

回路例

図 6 に、デモ用に設計した回路を示します ( 補遺 B:「セットアップの概要」の図 B-1 参照 )。ノイズと DC誤差を最小限に抑えるために、フォトダイオード D1は光起電モードでバイアスしています。PICmicro® マイクロコントローラ内のA/Dコンバータ (ADC)を効率的に使うために、出力電圧はほぼレールツーレールで変動する事が必要です。

図 6: トランスインピーダンス アンプ

安定化補償を適用する前の回路

D1 にはPanasonic® PNZ334 PINフォトダイオード [2]を使います。その CSEN は、逆バイアスの 0 V で概ね24 pF です。最大出力電流 (IS) は、入射照度 10,000 lx時に 70 µA です。最小出力電流 (IS) は、入射照度 0 lx時に 0 µA です。出力電流は、入射照度に対してほぼ線形です。

オペアンプには、コンパクトな SOT-23-5 パッケージの MCP6001U [3] を使います。このオペアンプの仕様は fGBP = 1 MHz、CDM = 3 pF、CCM = 6 pF です。このオペアンプは CMOS 入力段を備え、室温におけるバイアス電流は非常に低く抑えられています。

全ての抵抗とコンデンサには SMD 0805 品を使います。

R1 は 64.9 kΩ です。これにより、 最大 IS 時に VOUT ≈4.5 V、最小 IS 時に VOUT ≈ 0 V が得られます。この抵抗は SMD 0805 タイプの金属抵抗であるため、寄生容量 CRF は約 0.2 pF です。

良好な電源バイパス特性を得るために、C3 には 0.1 µFのコンデンサを使います。

未補償の回路特性は概ね下記の通りとなります。

これは前記のケース 2 ( 図 3) に相当し、従って補償コンデンサ CC (C1) を追加する必要があります。

1.E+03

1.E+04

1.E+05

1.E+06

1.E+04 1.E+05 1.E+06

Frequency (Hz)

Tran

sim

peda

nce

Gai

n (V

/A)

10k 100k 1M1k

10k

100k

1M

AfterCompensation

BeforeCompensation

RepresentativeDesign

fRCN1

2πRNCN---------------------=

CS= 24 pF + 3 pF + 6 pF = 33 pFCF= 0 pF + 0.2 pF = 0.2 pF

GN1= 1 V/VGN2= 1 + (33 pF)/(0.2 pF) = 166 V/VfNZ= 1/(2π(64.9 kΩ)(33 pF + 0.2 pF)) = 73.9 kHzfNP= 1/(2π(64.9 kΩ)(0.2 pF)) = 12.2 MHz

fXVR≈ ((73.9 kHz)(1.0 MHz))1/2 = 272 kHz

U1D1

R1

C1

R2

C2

C3

+5V

VOUT

PNZ334MCP6001U 0.1µ

DS00951A_JP - p. 4 © 2012 Microchip Technology Inc.

Page 5: ナルの英語版をご参照願います。 AN951ww1.microchip.com/downloads/jp/AppNotes/00951A_JP.pdf · 図1 の回路内のコンデンサ(cs とcf) は、下記の各種 静電容量を複合した等価静電容量を表します。

AN951

安定化補償を適用した後の回路

C1 の設計値は下式により求めます。

これに最も近い標準値として 18 pF を採用して再計算した回路特性は、下記のようになります。

これはケース 3( 図 4) に相当するため、良好な安定性が得られます。また、fNP は fGBP/GN2 から離れすぎていないため、ノイズ特性も妥当なレベルです。

回路のノイズ削減

ノイズ特性を改善するとともに、A/D コンバータ用のアンチエイリアシング フィルタを形成するために、R2と C2 を選択します。カットオフ周波数は、ノイズゲインがゼロになる周波数 (fNZ: この回路では約 48 kHz)よりも低い事が必要です。A/D のサンプリング レートは 5 kSPS であるため、ナイキスト周波数は 2.5 kHzです。これら 2 つの要件は、ローパスフィルタの極周波数を約 500 Hz に設定する事により、達成できます。

これに最も近い標準値として 33 pF を採用し、下記が得られます。

表 1 に、図 6 の回路に補償を適用した後の最終的な回路設計値を示します。

表 1: 回路部品の特性

トランスインピーダンス ゲインの計測値

図 7 に、トランスインピーダンス アンプの周波数応答の計測に使った回路を示します。入力電圧 VX として、10 VP-P の正弦波電圧を印加しました。抵抗 RX の抵抗値は 10.0 MΩ、寄生容量 (CX) は 0.15 pF でした(HP4285A LCR メータで計測 )。出力のクリッピングを防ぐために、フォトダイオードを十分に光源に近付けて、出力電圧 (VY)を 202 mVまでバイアスしました。

トランスインピーダンス アンプに入力された電流は、VX と RX から下式により求まります。

これらの条件におけるトランスインピーダンス ゲインの計測値は下式により求まります ( ゲインの単位はV/A)。

図 7: トランスインピーダンス ゲインの計測

図 8 に計測結果を示します。未補償回路 (C1 = 0) の特性曲線には 7.4 dB のピーキングが見られ、この種の回路では安定性に重大な問題が生じると考えられます。補償済み回路 (C1 = 18 pF) の特性曲線のピーキングは0.1 dB しかなく、良好なステップ応答を示すと考えられます。

図 8: 周波数に対するゲイン特性

C1 ≈ 2 (1/(2π (272 kHz)(64.9 kΩ))) – (0.2 pF)= 17.8 pF

CF = 18 pF + 0.2 pF = 18.2 pFGN2 = 1 + (33 pF)/(18.2 pF) = 2.81 V/VfNZ =

=1/(2π(64.9 kΩ)(33 pF + 18.2 pF))47.9 kHz

fNP = 1/(2π(64.9 kΩ)(18.2 pF)) = 135 kHzfXVR ≈ (1.0 MHz)/(2.81 V/V) = 356 kHz

R2 = 10.0 kΩC2 ≈ 1/(2π(500 Hz)(10.0 kΩ)) = 32 nF

fRCN = 1/(2π(10.0 kΩ)(33 nF)) = 482 Hz

部品特性値 /製品型式

サイズ / パッケージ

C1 18 pF, ±5% SMD 0805C2 33 nF, ±10% SMD 0805C3 0.1 µF, ±10% SMD 0805D1 PNZ334

PanasonicPlastic Through-hole,

100 mil pitchR1 64.9 kΩ, ±1% SMD 0805R2 10.0 kΩ, ±5% SMD 0805U1 MCP6001U SOT-23-5

IX ≈ (VX / RX) (1 + sRXCX)≈ (1 µAP-P) (1 + s/(2π(106 kHz)))

VY/IX ≈ VY / [(1 µAP-P) (1 + s/(2π(106 kHz)))]

MCP6001UD1

R1

C1

C3

+5V

VY

RXVX

IX

CX

1.E+03

1.E+04

1.E+05

1.E+06

1.E+04 1.E+05 1.E+06

Frequency (Hz)

Tran

sim

peda

nce

Gai

n (V

/A)

10k 1M1k

100k

1M

C1 = 18 pF

C1 = 0

100k

10k

© 2012 Microchip Technology Inc. DS00951A_JP - p. 5

Page 6: ナルの英語版をご参照願います。 AN951ww1.microchip.com/downloads/jp/AppNotes/00951A_JP.pdf · 図1 の回路内のコンデンサ(cs とcf) は、下記の各種 静電容量を複合した等価静電容量を表します。

AN951

計測データ

下記の条件にて、2 種類 ( 白熱灯と蛍光灯 ) の計測を実施しました。

• サンプリング レート = 5.0 ksps (5,000サンプル/秒)• サンプル数 = 8192• A/D コンバータ = PIC16F684、10 ビット分解能

• VDD = 5.0 V• ボードとソフトウェア : 補遺 B:「セットアップの概

要」参照

この回路による照度の計測値は下式により求まります。

Panasonic社製フォトダイオードのデータシート[2]には、光電流の製造ばらつきと温度依存性に関する情報が記載されています。以下の推測は、これらのデータに基づきます。

25℃おける光電流(IS)は、製造ばらつきにより約±30%変動します。温度変化 (-25 ~ +85 ℃ ) による IS 値の変動は -15 ~ +50% (typical) です。正確な計測を行うには、製造ばらつきと温度の影響を修正するために、校正が必要です。

R1の許容誤差 (1%)もVOUTの計測精度に影響します。この誤差は、フォトダイオードの誤差に比べると非常に小さいですが、フォトダイオードを校正する際に一緒に校正できます。

白熱灯の計測

図 9 に、バッテリを電源とする白熱灯の近くで計測したデータのヒストグラムを示します。出力の平均値は366.7 LSb (1.791 V)、RMS 誤差 ( 標準偏差 ) は、0.47 LSbRMS (2.3 mVRMS) でした。これは、理想状態の ADC 誤差 (1.4 mVRMS) に近い良好な状態であると言えます。このデータから推定される照度は 3942 lx、RMS 誤差は 5 lxRMS です。回路の絶対精度は校正していません。

図 9: ADC 出力コード

蛍光灯の計測

図 10 に、蛍光灯の近くで計測したデータのヒストグラムを示します。出力の平均値は 176.7 LSb (0.863 V)、RMS 誤差 ( 標準偏差 ) は、8.10 LSbRMS (39.6 mVRMS)でした。これは、理想状態の ADC 誤差 (1.4 mVRMS)に比べて非常に大きな値です。このデータから推定される照度は 1900 lx、RMS 誤差は 87 lxRMS です。回路の絶対精度は校正していません。

図 10: ADC 出力コード

図 10 のヒストグラムの形状は、正弦波の干渉が存在する事を示唆しています。サンプリングしたデータをFFT 解析したところ、120 Hz に大部分のエネルギが集中している事が示されました。これは、蛍光灯のバラストの「ゼロ交差」現象の周波数に一致します。1 つの方法として、PICmicro® マイクロコントローラで計測値を平均化する事により、120 Hz のノイズを低減できます。

まとめ

高インピーダンス電流センサは、良好なノイズ特性を維持しながら電流を電圧に変換するために、多くの場合トランスインピーダンス アンプに接続されます。その出力信号は、ADC によってデジタル値に変換されます。本アプリケーション ノートでは、オペアンプを使ってトランスインピーダンス アンプを実装しました。その方法として、4 ステップ (DC、安定化補償、閉ループゲイン、ノイズ削減 ) の設計アプローチを紹介しました。その説明では、PIN フォトダイオードを使った回路を例として取り上げました。

L = 照度 (lx)= (VOUT/R1) (10,000 lx / 70 µA)

0%

10%

20%

30%

40%

50%

60%

70%

355

360

365

370

375

380

ADC Output Code (LSb)

Per

cen

tag

e o

f O

ccu

rren

ces 8192 Samples

0%1%2%3%4%5%6%7%8%9%

10%

165

170

175

180

185

190

ADC Output Code (LSb)

Per

cen

tag

e o

f O

ccu

rren

ces 8192 Samples

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参考資料

[1] AN723, “Operational Amplifier AC Specificationsand Applications”, DS00723, Bonnie C. Baker,Microchip Technology Inc., 2000.

[2] PNZ334 (PN334) PIN Photodiode, Data Sheet,Panasonic, Mar. 2001.

[3] MCP6001/2/3/4 Data Sheet, “1 MHz BandwidthLow Power Op Amp,” Microchip Technology Inc.,DS21733, 2003.

[4] Jerald Graeme, “Op-amp feedback circuits Part1:Feedback plots offer insight into operationalamplifiers,” EDN, Jan. 19, 1989, pp. 131-140.

[5] Jerald Graeme, “Op-amp feedback circuits Part2:Bode plots enhance feedback analysis ofoperational amplifiers,” EDN, Feb. 2, 1989, pp.163-172.

[6] Jerald Graeme, “Phase compensation extends opamp stability and speed,” EDN, Sept. 16, 1999,pp. 181-192.

[7] Michael Steffes, “Embedded gain superchargesFET-transimpedance amplifier,” EDN, May 22,1977, pp. 129-143.

[8] “Signal Analysis PICtail™ Daughter Board User’s Guide”, DS51476, Microchip Technology Inc.,2004.

[9] “PICkit™ 1 Flash Starter Kit User’s Guide”,DS40051, Microchip Technology Inc., 2004.

[10] PIC16F684 Data Sheet, “14-Pin Flash-Based,8-Bit CMOS Microcontrollers with nanoWattTechnology”, DS41202, Microchip TechnologyInc., 2004.

[11]“Photodiode PGA PICtail™ Daughter Board User’s Guide”, DS51514, Microchip Technology Inc.,2004.

[12] MCP6S21/2/6/8 Data Sheet, “Single-Ended, Rail-to-Rail I/O, Low-Gain PGA”, DS21117,Microchip Technology Inc., 2003.

[13] MCP6S91/2/3 Data Sheet, “Single-Ended, Rail-to-Rail I/O, Low Gain PGA”, DS21908,Microchip Technology Inc., 2004.

補遺 A: オペアンプの安定性解析

図 A-1 に、フィードバック ループ内に任意のインピーダンス (ZS と ZF) を持つ一般的なオペアンプ回路を示します。出力電圧は、入力電圧 (VM と VP)、それらが出力 (VOUT) に到るまでのフィードフォワード パス、フィードバックループによって決まります。以下では、フィードバック ループの挙動と、安定性におよぼす影響について説明します。オペアンプ回路補償の基礎となる情報については、参考資料 [1, 4, 5, 6, 7] を参照してください。

図 A-1: 一般的なオペアンプ回路

A.1 ループゲイン

このオペアンプ回路のフィードバック ループを解析するために、まず出力ピンからフィードバック ループを切り離します ( 図 A-2 参照 )。そして、このフィードバック回路に信号 (VX) を入力します。ループゲインは、切り離したループの総ゲインの負数 (-VOUT/VX) となります。

図 A-2: ループゲインの解析

全ての閉ループ伝達関数は、下式の分母を持ちます。

ZFVOUTVM

ZS

VP

T s( ) β s( )A s( )=

β(s) = フィードバック ゲイン = ZS / (ZS + ZF)

A(s) = オペアンプの開ループゲイン

VX

VOUT = -VXβ(s)A(s)VXβ(s)

ZFZS

D s( ) 1 T s( )+=

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安定した負のフィードバックを得るために、この分母は下記の条件を満たす必要があります。

位相 ∠T(f) は連続的です (0 Hz で 0°、360° で不連続に変化しない )。安定性の指標として、一般的に位相マージン (PM) とゲインマージン (GM) を使います。これらの値は、上記の不等式がどの程度成立しているのかを表します。

図 A-3 に、ループゲインの大きさと位相を示します。図にはGMとPMが何を意味するのかも示しています。

図 A-3: ループゲイン

GM と PM は、共に正の値の時に絶対値が大きいほど、フィードバック ループは安定します。大部分のオペアンプ アプリケーションでは、PM > 60°、GM > 10 dBを確保します。

A.2 ボード線図オペアンプ自体とフィードバック回路の影響を分離して表示する事により、フィードバック ループの解析と安定化がより容易に行えます。フィードバック ゲインのかわりにノイズゲインを使うとさらに便利です。ノイズゲインはフィードバック ゲインの逆数であり、オペアンプの非反転入力における信号源からオペアンプの出力までのゲインを表します。

そのように作成したボード線図を図 A-4 に示します( 図 A-3 と同じ状態 )。

図 A-4: ボード線図

各ゲインとループゲインの関係を下式に示します。

通常、オペアンプのデータシートには、周波数に対するオープンループ ゲインの関係を示すグラフが記載されています。ボード線図では、位相応答に特に着目します。

クロスオーバー周波数 (fXVR) は、|A(f)| と |GN(f)| の大きさが等しくなる周波数であり、ボード線図から容易に読み取れます。この周波数における位相 (∠T(fXVR))によって、下式のように位相マージンが求まります。

周波数 f180 は、∠A(f) – ∠GN(f) が 180° に一致する周波数です。この周波数 におけるゲイン (|T(f180)|) によって、下式のようにゲインマージンが求まります

おおまかな目安として、fXVR における |A(f)| と |GN(f)|の傾きの差が 20 dB/decade になるようにフィードバック回路を設計します。図 A-4 では、fXVR における|A(f)|の傾きは -20 dB/decade、|GN(f)|の傾きは+20 dB/decade です。従って双方の傾きの差は 40 dB/decadeとなり、安定性に劣ります ( 本文のケース 2 に相当 )。

PM = ∠T(fXVR) + 180°GM = -|T(f180)|、 単位は dB

GN(s) = 1/β(s)= 1 + ZF/ZS

T fXVR( ) 180°–>∠

T f180( ) 0db<

|T(fXVR)| = 0 dB

∠T(f180) = -180°

Gain (dB)

f (Hz),

|T(f)|

fXVR

Phase (°) f (Hz),

∠T(f)

0

-90

-180

f180

GM

PM

log scale

log scale

|T(f)| = |A(f)| - |GN(f)|、単位は dB∠T(f) = ∠A(f) - ∠GN(f)、単位は ° ( 角度 )

PM = ∠A(fXVR) - ∠GN(fXVR) + 180°

GM = -(|A(f180)| - |GN(f180)|)、単位は dB

Gain (dB)

f (Hz),

|A(f)|

|GN(f)|

fGBPfXVR

Phase (°)

f (Hz),

∠A(f)

+90

0

0

-90

∠GN(f)

-180

f180

log scale

log scale

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A.3 フィードバックの安定化

オペアンプ フィードバック回路を安定化する1つの方法は、fXVR におけるノイズゲイン (GN(f)) の傾きを0 dB/decade にする事です。大部分のオペアンプ回路は、ノイズゲインが上記 0dB/decade となるよう正しく設定された領域で使われます。図 A-4 の状態は、ノイズゲインの極周波数をfXVRよりも下げる事によって安定化できます。これは本文で紹介した方法です。

オペアンプのフィードバック回路を安定化する別の方法として、fXVR におけるノイズゲインの大きさではなく位相を変更する方法もあります。この場合、fXVR よりも高い周波数領域にゼロと極の両方またはいずれかを追加します ( もしくは、その周波数領域まで移動させます )。これは本文で紹介した方法とは異なります。

A.4 ループゲインのシミュレーション

SPICE内でループゲインを簡単にシミュレートする方法を図 A-5 に示します。AC 電圧源 (VAC) からのエネルギにより、ループ内の電圧を 0 V ではない状態にします。AC 電圧源の両極間の電圧比の負数 (-VB/VA) がループゲインとなり、この値はシミュレーション結果から簡単に計算できます。VAC はループゲインの計算に含めない事に注意してください。これは閉フィードバック ループに外乱を与える目的でのみ使います。また、ZF = 0 とし、ZS を取り除く ( 短絡ではなく切断する ) 事により、ユニティゲイン バッファをシミュレートできます。

図 A-5: ループゲインのシミュレーション

補遺 B: セットアップの概要

B.1 フォトダイオード PGA PICtail ドータボード

フォトダイオード PGA PICtail ドータボードは、図 B-1 に示すアナログ回路を実装しています。フォトダイオードに入射した光は電流に変換されます。この電流は、オペアンプ ( トランスインピーダンス アンプ )によって電圧に変換されます。この電圧は PGA の CH0に入力されます。PGA はオペアンプの出力を増幅およびバッファし、これをボードから出力します (VOUT)。ボードの電源は「+5V」および「GND」入力から供給します。シリアル ペリフェラル インターフェイス(SPI™) バスにより、ソフトウェアから PGA のゲインと入力チャンネルを設定できます。

図 B-1: フォトダイオード PGA PICTAIL ドータボード ブロック図

ボードはテストポイントを備えるため、入力信号を変更しながら回路内の重要箇所を容易に計測できます。また、このボードをスタンドアロンで使う場合にも利用できます。

•「GND」テストポイント – グランドプレーンに接続されており、各種実験機器の接地点として使えます。

•「+5V」テストポイント – 電源の正極電圧を計測できます。また、実験室の電源装置からボードに電源を供給する場合にも使います。

•「CH0」テストポイント – トランスインピーダンスアンプの出力電圧を計測できます。また、PGA のCH0 入力点でもあります。

•「CH1」テストポイント – ここから PGA に任意の信号を入力できます。

このデモボードの詳細な設定方法は、『フォトダイオード PGA PICtail ドータボードユーザガイド』(DS51514A) [11] を参照してください。

VOUT

ZFZS

VAC

T(s) = -VB/VA

~VB

VA

Incident

CH1 Input

Photodiode

Op AmpMCP6001U

PGAMCP6S22

Photodiode PGAPICtail™ Daughter Board

VOUT

SPI™ Bus

4CH0 Input

+5V

GND GND+5V

Light

Test Point

Test Point

Test Point

Test Point

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B.2 関連ツール

図 B-2 に、フォトダイオード PGA PICtailTM ドータボードがサポートするハードウェアおよびソフトウェア ツールのブロック図を示します。これらのツールの詳細については、本書の「参考資料」に記載した文献を参照してください。

図 B-2: 計測セットアップのブロック図

図 B-3: ボードの接続

B.2.1 PC プラットフォーム

図 B-2 内の PC ( パーソナル コンピュータ ) は、Windows® (98 SE 以降のバージョン ) で動作する必要があります。PC は、使いやすいユーザインターフェイス、他のボードとの通信、USB 経由の電源を提供します。

B.2.2 PICkit™ 1 信号解析 PC プログラム

PICkit™ 1 信号解析 PC プログラムは、PICkit 1 Flashスタータキット上の USB ポートを介して、信号解析PICtail ドータボード上の PIC16F684 PICmicro® マイクロコントローラを設定およびプログラミングします。この解析プログラムは、同じ USB 接続を介してデータをインポートし、そのデータを各種形態のグラフ ( チャート、ヒストグラム、FFT、オシロスコープ )に表示します。データを CSV 形式でエクスポートし、他のプログラムにインポートする事もできます。

PC

USB

Signal Analysis PICtail™Daughter Board

PICkit™ 1Flash Starter Kit

14

Photodiode PGAPICtail Daughter Board

PICkit™ 1 Signal AnalysisPC Program

14

PICkit 1Firmware

PICA2Dlab.hexFirmware

Hardware Software

Signal Analysis

PICkit™ 1 Flash Starter Kit

USB CableExpansionHeader (J3)

PICtail™ Daughter Board

Remove PICmicro® MCU FROMEVALUATION SOCKET

PIC16C745 FIRMWAREVERSION 2.0.2 OR LATER

PHOTODIODE PGAPICTAIL™ DAUGHTER BOARD TEST POINTS

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B.2.3 PICkit 1 FLASH スタータキット

PICkit 1 Flash スタータキット (DV164101) は、PIC16C745 の USB ポートを使って PICkit 1 信号解析PC プログラムと通信して、PIC マイクロコントローラをプログラミングします。このスタータキットには、ヘッダを介して信号解析PICtailドータボードを接続します ( 図 B-3 参照 )。

スタータキットは、+5 V の単電源をドータボードに供給します。この電源は 5 µF まで駆動可能です。静電容量がこれより大きい場合、プログラムのタイミングに影響します。

B.2.4 PICkit 1 ファームウェア

このソフトウェアは、PICkit 1 Flash スタータキットのPIC16C745 マイクロコントローラにプログラミングされています。バージョン 2.0.2 以上を使ってください。

B.2.5 信号解析 PICtail ドータボード

このボードは、マイクロチップ社の開発ツール(AC164120) です。このボードは、PICkit 1 Flash スタータキットを介して PC に接続されます。電源も PCからスタータキット経由で供給されます。このボード上の PIC16F684 が内蔵する 10 ビット ADC を使って、フォトダイオード PGA PICtail ドータボードの出力電圧を変換します。変換結果は、このボード上の25LC640 シリアル EEPROM チップに一時的に保存されます。

PICkit 1 Flash スタータキット ボードからの +5 V 単電源は、1 µF のバルクコンデンサとローカルの 0.1 µF コンデンサを使って各 IC へバイパスされます。

B.2.6 信号解析 PICtail ドータボードのファームウェア

「PICA2Dlab.hex」は、PICkit™ 1 信号解析 PC プログラムをサポートする標準ファイルです。信号解析 PCプログラムを使ってPGAと10ビットADCのコンフィグレーションを設定し、これを PIC16F684 にプログラミングします。プログラミングされた PIC16F684は、SPI™ バスを介してPGAにコマンドを送信します。

B.2.7 インターフェイスの詳細

フォトダイオード PGA PICtail ドータボード と他のボード間のインターフェイスの詳細を図 B-4 に示します。

図 B-4: ボード間のインターフェイスの詳細図

Photodiode

Op AmpMCP6001U

PGAMCP6S22

Photodiode PGAPICtail™ Daughter Board

VOUT

SPI Bus

4

SerialEEPROM

PIC16F684

ADC

Signal AnalysisPICtail™ Daughter Board

GND+5V

GND+5V

PICkit™ 1Flash Starter Kit

4

SPI™ Bus

Incident

CH1 Input

CH0 Input

+5V

GND

Light

Test Point

Test Point

Test Point

Test Point

2PIC16F745

USBto PC

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NOTE:

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マイクロチップ社データシートにある動作仕様書以外の方法でマイクロチップ社製品を使用する事になります。このような行

為は知的所有権の侵害に該当する可能性が非常に高いと言えます。

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ド保護機能とは、マイクロチップ社が製品を「解読不能」として保証するものではありません。

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マレーシア - クアラルンプールTel:60-3-6201-9857Fax:60-3-6201-9859

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ドイツ - ミュンヘンTel:49-89-627-144-0 Fax:49-89-627-144-44

イタリア - ミラノ Tel:39-0331-742611 Fax:39-0331-466781

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11/29/11