ディジタル通信システムの技術と性能の調査 - nict...vol. 29 no.150...

29
Vol. 29 No.150 電波研究所季報 March 1983 pp.355-383 調査・解説 ディジタル通信システムの技術と性能の調査 横山光雄* 久保田文人* (昭和 57 8 26 日受理) SURVEYOFTECHNIQUESANDPERFORMANCEOF DIGITALRADIOSYSTEM By MituoYOKOYAMAandFumitoKUBOTA Forthepastseveralyears,thecomputerageismakingsteadyprogressand the communication usershavebeguntotakeanepoch-makinginterestinthedigitalcommunication,whichhas forced tosetupthenewprojectonthedevelopmentofthespectrumefficient digital radio system for landmobilecommunications Atthebeginningofthisproject,allthecapablesystemsofdigital modulation schemes have been reviewedandsomeofthemaresummarizedinthispaper. Sincethepapersconcerningthe same category were already published and an explanatory article on digital modulation entitled A SurveyofDigitalModulation Techniques ,,印刷 istobe published in the next issue, we hopethe readerswillreferalsotothepapers[1], [2]and[88]. Thepurposeofreviewingwill be attained byreferringtothepapers[l], [2]and[88]inadditiontothispaper. Thispapercommentsfirstonthetechniquesandmodelsusedineach part of the digital com municationsystem. In thesecondplace, various modulation schemes arereviewedwithrespect tomodemconfiguration,spectralproperties,idealperformance;e ects on performance ofbandli- miting,interferenceandfading;and experimentalresults.Finally, this paperis concludedwitha briefsummary. ].まえがき 世界的i ζ通信形態がアナログからディジタ J レ形式で行 われるよう変革を求めている現象に呼応し,陵上移動通 信の分野もそれと例外なく,ディジタル通信への変革が 各方面から強く求められている.これは信号をディジタ ル化するととにより,音声以外の情報も一元化した通信 系で伝送できるようになり,その結果移動体から通話と 同時に直接計算機利用や画像伝送も可能になるといった 多くの利点が発生するからである. 一方国際的には,今期(1978-1982 年)の CCIRSG 8 において陸上移動業務におけるディジタル通信方式の 研究が開始されており,また,圏内では電波技術審議会 において諮門第 2 号の 3 として「陸上移動業務の技術的 *通信機器部通信方式研究室 355 諸問題のうち,テーィジタル通信方式の技術的条件」を明 らかにするよう求められている. 乙のような社会的,国際的,行政的諸要因から電波研 究所では昭和 56 年度より,プロジェクト 56126 として 「ディジタル陸上移動通信方式の研究開発」に着手し た. 本資料は現在のディジタル通信、ンステムに使用されて いる技術を調査し,陸上移動通信i と適用可能と思われる 幾つかの変復調方式について性能調査を行い,今後の研 究におけるデータハンドブック又は文献索引として使用 するものである.しかし最近話題の変復調方式について は,次号の季報l ζ 「最近のディジタル変調方式」酬とし て解説が予定されているので本稿では重複を避けるため それらの解説を除色資料集としての立前をとった. ディジタ J レ通信方式の性能比較が,既l ζ文献(1 )にまと

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Vol. 29 No.150 電波研究 所 季 報 March 1983

pp.355-383

調査・解説

ディジタル通信システムの技術と性能の調査

横山光雄* 久保田文人*

(昭和57年8月26日受理)

SURVEY OF TECHNIQUES AND PERFORMANCE OF

DIGITAL RADIO SYSTEM

By

Mituo YOKOYAMA and Fumito KUBOTA

For the past several years, the computer age is making steady progress and the communication

users have begun to take an epoch-making interest in the digital communication, which has forced

to set up the new project on“the development of the spectrum efficient digital radio system for

landmobile communications”.

At the beginning of this project, all the capable systems of digital modulation schemes have been

reviewed and some of them are summarized in this paper. Since the papers concerning the same

category were already published and an explanatory article on digital modulation entitled “A

Survey of Digital Modulation Techniques,,印刷 is to be published in the next issue, we hope the

readers will refer also to the papers [1], [2] and [88]. The purpose of reviewing will be attained

by referring to the papers [l], [2] and [88] in addition to this paper.

This paper comments first on the techniques and models used in each part of the digital com・

munication system. In the second place, various modulation schemes are reviewed with respect

to modem configuration, spectral properties, ideal performance; e任ectson performance of bandli-

miting, interference and fading; and experimental results. Finally, this paper is concluded with a

brief summary.

].まえがき

世界的iζ通信形態がアナログからディジタJレ形式で行

われるよう変革を求めている現象に呼応し,陵上移動通

信の分野もそれと例外なく,ディジタル通信への変革が

各方面から強く求められている.これは信号をディジタ

ル化するととにより,音声以外の情報も一元化した通信

系で伝送できるようになり,その結果移動体から通話と

同時に直接計算機利用や画像伝送も可能になるといった

多くの利点が発生するからである.

一方国際的には,今期(1978-1982年)の CCIRSG

8において陸上移動業務におけるディジタル通信方式の

研究が開始されており,また,圏内では電波技術審議会

において諮門第2号の3として「陸上移動業務の技術的

*通信機器部通信方式研究室

355

諸問題のうち,テーィジタル通信方式の技術的条件」を明

らかにするよう求められている.

乙のような社会的,国際的,行政的諸要因から電波研

究所では昭和56年度より,プロジェクト 56126として

「ディジタル陸上移動通信方式の研究開発」に着手し

た.

本資料は現在のディジタル通信、ンステムに使用されて

いる技術を調査し,陸上移動通信iと適用可能と思われる

幾つかの変復調方式について性能調査を行い,今後の研

究におけるデータハンドブック又は文献索引として使用

するものである.しかし最近話題の変復調方式について

は,次号の季報lζ 「最近のディジタル変調方式」酬とし

て解説が予定されているので本稿では重複を避けるため

それらの解説を除色資料集としての立前をとった.

ディジタJレ通信方式の性能比較が,既lζ文献(1)にまと

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電波研究所季報356

RZ

ディジタル通信システムの構成

音声符号化

波形符号化ー一一一!一一一情報源符号化

200 “3224169.68.0 1.2 4.8 2.4 1.2 o:so.os(Kh/s)

Broadcast Quality: Toll Communications Synthetic Quality : Quality : Quality i

第1図

第2図 'IX声符号化131. 情報伝送速度(スケールは非線形)と品質の関係を示す.品質は日本語の定義がないので英語そのもので記述しである.

ーt

一一一・-NRZー・白”ー--Bi-Phase

一一一一ーーーDelayModulation (Miller Code

ディジタル信号波形山

2.0 1. 6 1. 8

2.6 2.4 2.2

世封 2.0 4担1.8

三1.6 ~ 1.4 て,1.2

兵L事!!' o.副→=” 1 韮0.61

0.4 0.2

0

められ,更に動向が文献(2)にまとめられている.本資料

は陸上移動通信に適用可能な変復調技術の性能調査に重

点をおいたので,ディジタル通信の技術現状を知るに

は,前述の季報の解説側と文献(1)及び文献(2)が必要に

なる.とのようなととから,ハンドブック及び文献索引

としての機能は,文献(1),(2)及び側との併用により完成

するととを意図している.

本資料に掲載した函商は,原図から数値を読みとり,

必要とする部分だけを再プロットしたものである.その

ため若干グラフが不正確な部分もあるので,参考として

見るにとどめ,正確な読みとりには,引用文献の原図を

参照されたい.更に,各データに現れる記号は,著者ど

とに定義や使用法が異なり統一するととは困難なので,

意味がよくわからない場合は原典を参照していただくこ

とを原則とした.

第4図

献(3)を参照されたい.

ディジタル信号に変換された信号は,第3図に示すよ

うな波形{引を使用して表現される.乙れらの信号のスベ

クトル分布算出法は,文献(4)のpp.16-21に示されてい

る.それらのうち,代表的な波形のスペクトルを第4図

lζ示す.NRZの場合は直流分に重要な成分を含むが,

Bi-Phaseの場合は高域に重要成分を含む.Delay Mo-

dulationの場合,帯域の節約が図られている.

2.2 誤り制御符号

ディジタル通信におけるシステム構成図を第1図11:示

す.以下に図を参照しながら,各機能別どとにそこで使

用される技術や解析用のモデルについて簡単に解説す

る.

2. 1 アナログーディジタル相互変換技術

音声情報源から発生したアナログ信号をディジタル信

号に変換する,あるいは,その逆にディジタル信号から

アナログ信号を再生する方法は大別して二つに分類され

る.その一つは波形符号化(waveform coding)で,

他の一つは情報源符号化(source coding)である.情

報伝送速度から分類した両者の区分及び品質は,第2図

に示したような関係iとある.しかし,本項に関する調査

事項は,本資料の主旨ではないので,概要については文

ディジタル通信システムの概要2.

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Vol. 29 No. 150 March 1983

l一巡回符号l一線形符号|

357

|一組織符号| lー非巡回符日lープロック符号一| 1-JI・線形符号! lー非組織符号

誤り制御符号-:! 「組織符号ー笠込みね号一|

|ー非組織ね号

第5図誤り制御利号の体系

乙の分野は,既に多くの解説記事t引m聞により動向が

注目されているが,個々の符号についての詳細は,成書

一例えば文献(9)~問ーなどから知るととができる.

また,乙れらの技術をフェージング回線への適用及び

応用面から概観した記事カ主それぞれ文献闘及び叫に掲

載されている.

本稿では,符号理論の文献を読むにあたって知ってお

くべき符号の体系と用語の解説にとどめる.

誤り制御符号を体系化すると第5図のようになる.

プロック符号(blockcode)は,ブロックごとに符号

化を行うもので,他のブロックとはそれぞれ独立した

関係にある.一方,畳込み符号(convolutionalcode)

は,数ブロックにわたる演算結果を各ブロックiζ付加す

る形の符号法である.組織符号(systematiccode)は,

情報を担うピットと誤り制御のための検査ビットが区別

し得る符号であり,非組織符号(norトsystematiccode)

は,その区別ができない符号である. プロック長がn

で,情報ビットがh,そして検査ビットが (n-k)の

符号を (n, k)符号と呼ぶ.畳込み符号の場合,拘束

長(constratintlength) lビットという言葉がでてく

るが,これはプロック長nlC.(n-k〕個の検査ビッ

トによってチェックされるプロック数 mを乗じたもの

である (17).ブロック符号は, m=Iの畳込み符号といえ

る.しかし,拘束長の定義は,著者により異なる場合が

あるので注意が必要である. nとhの関係を, R"ニk/n

として符号の能率(又は速度,情報率,符号化率, rat疋)

などと呼んでいる.線形符号 (linearcode)は発生方

法が線形演算iζ基づくもので, 2進(0,1〕の場合は,

任意の符号語lζ対応するビットごとに法2 (mod 2)の

加法演算を行うと,再び符号語となる性質を持つ.巡回

符号(cycliccode)は符号語を巡回置換したものも符

号語であり,多項式で表現が可能で,生成多項式(酔-

nerator polynomial〕と呼ばれる数式表現がわかれば,

符号の発生方法から誤り制御の性能までわかるという性

質がある.

誤り制御符号は適切な利用法により,フェージングの

ある回線において,ダイパーシチより優れたフェージン

グ対策効果を発揮する場合もあり l山,今後十分検討すべ

き技術である.ただし,冗長度を付加することにより帯

域増加をもたらすので,周波数有効利用の点を十分考慮

して検討する必要がある.

2.3 パルス護形

信号伝送IC.際し,

(1)各信号波形が定められた時間軸内にf1jlし込められ

ていて,そこからはみ出さないこと

(2)信号の所要帯域は,できるだけ狭帯域であること

が必要である.(1)は符号間干渉 (ISI=intersymbolin-

terference)を避けるためであり,(2)は周波数有効利用

をはかるためである.これらの要求をそれぞれ独立に実

現した場合の周波数応答と時間応答を第6図(叫と(凶ζ示

す.条件(1)を満たすには,第6図(司より広帯域が必要と

なり,(2)の条件は第6図(紛より矩形スペクトJレにする乙

とで時間応答波形に過去にさかのぼっての振動が発生す

るためかなりの遅延時間を必要とし,実際には実現不可

能である.乙の両者の妥協を図るためナイキストは,時

間軸 t=nTの各標本点、における ISIを避け,帯域をで

きるだけ広がらない条件をナイキスト基準(Nyquist

critarian)として求めたU引は町{山.具体的には,第6図

(同の周波数紬/ニ±1/2Tにおける立上り,立下りをそ

の周波数軌を中心に左右奇対称な特性を持たせ,なだら

かにする乙とで各標本点における ISIを避け, 帯域を

有限に押さえようとするものである.その際ロールオ

フ率(rollo任 factor)という用語で帯域のはみ出し分

を,元の帯域で規格化し,特性を定量化している.第6

図(c)には,二乗余特性を持つフィルタによるノf;レス整形

の例を,ロールオフ率二 1の場合について示した.

ナイキスト基準は, ISiそ避ける方法であるが,逆に

ISiを有限の時間軸内IC.故意lζ発生させ,それを積極的

に利用する方法がある.この方法はパーシャル・レスポ

ンス(partialresponse)方式と呼ばれておりテ‘ュオバ

イナリイ(duobinary)などの例がある. この方式の特

徴は使用伝送路の特性により,直流近辺のひずみや伝送

速度の変動がある程度大きくなっても標本値に影響しな

いようにできるなどの利点も発生するが,その代償に大

きな SN比を必要とする欠点もある乙とである.詳しく

は,文献(17), (I自を参照されたい.

2.4 変調と復調

パルス整形されたデータを搬送波に重畳又は内包さ

せるには,搬送波の振幅か,位相か,周波数を変調信号

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358 電波研究所季報

1 T

f

(a)

一号"'-..-十。

’o

L o I 2T 2T

(c)

ー一汀一T

トノ手3、T

-T/2 0 T/2

1 T

f 。

f 2T T

{) T 2T

第6図 パルス整形.(吋パJレス波形を一定時/Ill内にwし込めた場合.(ωパルス波形のスペクトル分布を一定

帯域内lζ押し込めた場合.(c) ナイキスト基準IC基づく波形整形を行った場合(ロールオフ率=l)

p=l 1

p=l 。

(a)理想、伝送路

1 p

(c) 2進消去伝送路

p 1

。 。 。

(b) 2進対称伝送路

1 p

。 。

第 7図 記憶のない伝送路のモテソレ.(a)現地1伝送路,(b) 2進対称伝送路,(c) 2逃消去伝送路,(d)決定的伝送路

(d)決定的伝送路

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Vol. 29 No.150 March 1983

に応じて変化させる必要があり,それぞれ AM,PM,

FMと呼ばれる.それぞれの変復調器の構成法と性能に

ついては3.で示すので省略する.

2.5 伝送路

伝送路(channel)は第1図に示したように変調器出

力から復調器入力までの区間と定義されるが,解析に使

用されているモデルにはその定義と一致しないものもあ

る.ととではあらゆるモデルを羅列して説明する.

(1)帯域制限伝送路(bandwidth-limitedchannel)

と電力制限伝送路(power-limitedchannel〕

文字どおりの意味で,情報理論の符号化の効率

や,電力と帯域の互換性の説明mk使用される.帯

域lζ制限がない場合の伝送路のととを,無限帯域伝

送路 (infinit-bandwidthchannel) 1聞と呼ぶ場合

もある.

(2)記憶のない場合とある場合の伝送路(171

i.記憶のない伝送路(channelwithout memory,

memoryless channel) n町

一番実現性の高い伝送路で次のような型に分類

される.第7図にそれぞれのモデルを示す.図中

ρとqは,実線で示したパスが発生する確率を示

す.

①理想伝送路 (idealchannel):誤りなく伝送

される理想的な伝送路.

② 2進対称伝送路(binarysymmetric chan-

nel):最も一般的な伝送路で,誤り判定により

別の符号として検出される場合が発生する.

③ 2進消去伝送路(binaryerasure channel) :

非常に高い SN比がとれ,誤り判定を起とすと

とはないが,何等かの障害により途中で伝送不

能になりデータが消失してしまうような伝送

路.テープレコーダで,テープの傷によりデー

タ欠損を起とす場合などがとの例にあたる.

④決定的伝送路(deterministicchannel):あ

らゆる情報が同ーの内容に変換されてしまう伝

送路.位相変調なのに包絡線検波で情報を取り

出すとか, AM変調信号を飽和増幅器を通して

伝送する場合などが該当する.

ii.記憶のある伝送路(channelwith memory)

ある状態(state)をとると, その影響が尾を

引くような伝送路の乙と.影響の度合により, n

重マルコフ過程としてモデル化できる.パースト

発生のある伝送路はその典型であるが,それをモ

デル化した第8図の Gilbertモデル酬は有名で

ある.

(3)加法性伝送路と乗積性伝送路

359

Pl 1

p/0

G:良い状態, B:惑い状態P, Q, p, q,は確率で,分母iζ1がでるときは送信シンボルが誤るととを窓味し, 0のときは正しい.

第8図記憶のある伝送路のモデル1201

s (t)

i (t)

(a)加法性伝送路

n 路送伝

①1H鮒

乗一

D

S

i (t);干渉雑音

f (t);フェージング n (t);受信機雑音

第9図加法性と乗積性の伝送路.(a)加法性伝送路,(b)乗積性伝送路, i(t);干渉雑音, n(t); RCVR雑音, f(t);

フェージング

加法性雑音とも言うが,と乙では伝送路の特性と

して分類した.

i.加法性伝送路(additivechannel)

最も一般的な線形伝送路で,第9図(酬と示すよ

うに,外乱は加法演算で表される.

ii.乗積性伝送路(multiplicativechannel)

フェージングが発生するような伝送路で,外乱

は第9図(4)1C:::示すように,乗積で影響する.

(4)線形伝送路と非線形伝送路

i.線形伝送路 (linearchannel)

入力と出力の聞に一対ーの対応関係が成立する

最も一般的な伝送路である.乙の伝送路の特性は

振幅特性と位相特性ですべてが記述できる.

ii.非線形伝送路(nonlinearchannel)担割

入力と出力の聞に一対ーの対応がつかない場合

で, TWTやリミタが挿入されている伝送路が該

当する.モデル化の代表例として第10図に二と

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電波研究所季報360

選択合成

10

40

宅30峨?

案、ト

·~ 20 ・"'、、ケ~

10

振幅非線形

s (t)

(A)TWTJ~幅器のAM/PM非線形モデル(お)

L: 可J

+ w.(t)

(b)幣域通過非線形性の同中日/底交表現

的な構成や形状からダイパーシ

チの形態がわかる方式.

Implicit diversity :信号の性質を利用し,受信信号

のフェージングによる劣化を受

けない部分より信号を復元し,

ダイパーシチ効果を発揮できる

ようにする方式.

Explicit diversityで各ダイパーシチ枝から得られた

受信信号を合成するには,次の方法がある(21).

(1)選択合成(selectioncombining)

(2)最大比合成(maximal-ratiocombining)

(3)等利得合成(equal-gaincombining)

第 12図ICレイリーフェージング発生時における受信

電界強度から累積分布を求め, 中断率(outagerate)

を設定し,ダイパーシチ受信していないものと,してい

るものとの電界強度差をダイパーシチ利得と定義して得

られたものを示す山.

2.7 等化

等化はフィルタの理想、特性からのずれや,時変伝送路

の特性変化を補償する操作である.補償を行うには,理

想特性からの偏差分を逆特性として有するフィルタを実

現ずればよい.伝送路はタップ付き遅延線でモデル化で

きるので,それをそのままハード化し,逆特性が実現で

きるようタップ重みづけの調節を行う.乙の原理で初め

て自動等化器が実現されたが,歴史的な背景・,自動等化

器の構成,原理,及び性能などについては,文献(17)1ζ詳

しく述べられている.更にとのタップ付き遅延線は

implicit diversityを実現する RAKE受信機削に応

用されたり,カルマンフィルタとの組合せで適応受信

機聞を実現するなど,等化がフェージン夕、やひずみの

発生している伝送路を理想的な伝送路に変換する能力を

持っているので応用面は非常に広い.

第 10図非線形伝送路モテりレ.(a) TWT 地隔器のAM/PM

非線形モデル1231, (b)帯域通過非線形性の同相/直交表現<241

ーs (t)

タップ付き遅延線伝送路モデノレ1251

おりの方法を示す.

第 10図(a)は Herrman馴らのモデルで振幅の

変化分が O(A)という関数に変換され,それが位

相変調-AM-PMーを起こし,更に振幅の非線形

変換を起乙す.

第 10図(b)は Kayeら削のモデルで入力信号

を同相成分と直交成分に分離し,各々が独立に変

換操作を受けた後合成されて出力されるものであ

る.

(5) タップ付き遅延線伝送路間<I附

帯域が制限された信号は標本化定理により完全に

数式表現できるととは周知のととである その表記

法をそのまま伝送路IC当てはめたのが,タップ付き

遅延線伝送路(tapped-delay-linechannel)で,

時間関数による表現が可能である.第 11図に伝送

路の低域表現の場合を示した.応用面は広くあらゆ

る解析やハード構成に使用されている.

2.6 ダイバーシチ

ダイノてーシチ技術は伝送路で分散した信号を複数の独

立した受信点(ダイパーシチ枝)で集め,信号の消失区

聞をなくす技術で,大別して次の二つに分類できる側.

Explicit diversity : アンテナを複数使用して受信波

を合成する,というように物理

第 11図

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Vol. 29 No.150 March 1983

cos (2.r/ct)

(a)BPSK変拠調器

(b)QPSK変復銅器

第13図 BPSKとQPSKの変復調器構成図(周期検波における復調器の構成のみ示す).(叫 BPSK変復調器,(b) QPSK変復調恭

3. 各変復調システムの特性

本章では陸上移動用に適用可能と恩われる変復調方式

について,多少の変更はあるが次の項目に従って調査結

果を示す.

(1)変復調器の構成

(2) スペクトル分布

(3) 誤り率特性

(4)帯域制限効果の影響

(5)干渉特性(CW干渉,同一チャネル干渉,隣接チ

ャネル干渉)

(6) フェージング特性

(7)実験例

(8) その他

なお,データ出典となった文献は明記しであるので,

不明な箇所は原文献を参照されたい.

3.1 BPSKと QPSK

(1)変復調器の構成

BPSK (Binary Phase Shift Keying)と QPSK

(Quaternary Phase Shift Keying)の基本的な変復

調器の構成法を第13図IL示す.復調器は間期検波の場

合のみ示した.復調器の構成,特に周期回路の構成法iと

はいろいろのものが提案されているが,それらの詳細は

文献(4)や闘を参照されたい.

(2) スペクトル分布

帯域制限をしない場合の規格化した等価低域系におけ

るスペクトル分布は次式のようになる.ただし, Tはデ

ータの 1ビット時間幅である.

「.( fT、12BPSKの場合: SBPSK(/)=1~I

L n:/T 」

361

緯音

第14図解析に使用されたモデル1311

QPSKの場合: SQPSK(/)=「豆区?!!IJll2L 2πIT 」

送信側で帯域制限をする場合,そのフィルタ特性を上

述のスペクトルに乗ずればよい.

(3) 誤り率特性

1情報ピットあたりの SN比を rbとすると,同期検

波の場合,ピット誤り率 Pe.bはBPSK及び QPSKに

ついては次のようになる聞.

九 b=十r制侃)

rを検波器入力の総合 SN比と定義し,記号誤り率

(Symbol error rate) Pe.sとして求めると次のように

なる印刷.

「EEEEE」

、、,,,一。,“-v’

1

J

f

u

v

一r-Jr

k

d一川

M

K

f‘、一ヤd

f

ωー一4

e

k

-一2urhHL

==

x

a

s

Aロ

A口

場の

K

K

S

S

D

A

D

A

B

Q

(4)帯域制限効果の影響

Jones刷は第14図のモデルを使用し,帯域制限効果

の影響を解析的に求めた.

送{言及び受信フィルタなしで同期検波を行い,最後の

データフィルタとして単極 RCフィルタと, 2極バタ

ーワースフィルタを用いた場合のピット誤り率を第15

図(吋と(酬と示す.それぞれBを 3dB帯域幅とした場

合, BT=0.75及びBT=l.O近辺iζ最適値が存在する.

更に Jones刷は,送信フィルタの帯域制限の効果を

検討した.モデルは, O.ldBリップルを持つチェピシ

ェフフィルタで送信信号の帯域制限を行い,受信データ

フィルタ IC積分・放電フィルタと, BT=lとした2極

バターワースフィルタの2種類を使用したものである.

第 16図にピット誤り率を 10-e得るのに必要な SN比の

劣化量を示した. W=l/Tとし, W/Bを変化させて

特性を調べると, W!B:<:::0.4では必ずしも積分・放電

フィルタを使用した場合の特性が良くなるとはかぎら

ず,単なるバターワースフィルタの方が劣化量が少なく

なっている.

Davies聞は BPSKのガウスフィルタによる帯域制

限効果をピット誤り率Pe.b=I0-3を得るのに必要な CN

比と帯域の関係として求めた.第17図(吋は受信フィル

タのみの特性で,第17図(b)は送信と受信に同一特性の

ガウスフィルタを挿入した場合である.第17図(防よ

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電波研究所季報362

10-•

10-・

n

u

n

u

4ω仏ば剛岳誕ムヘsUM

10 '

10-•

10-• 0

10-•

10-•

戸0or 10-' 且4

事骨三了、

き10-・号、

10-•

10-•

10-• 0 0 .5 1.0 1.5 2 .0 2 .5

BT= (3dB帯域幅)×(データ lピット時間)

(a)単極 RCフィルタ (b) 2極パターワースフィルタ

第 15図 BPSK及び QPSKのデータフィルタの違いによる誤り率特性別}

0 .5 1.0 1.5 2 .0 2 .5

BT= (3dB帯域幅)×(データ lピット時間)

干渉信号に対する劣化特性を求めている.計算は,希望

信号は波形ひずみなしの理想状態で伝送され,受信機で

は同期検波が行われるという条件で行っている.両氏の

得た結果は同じで,それを第 18図に示す.図は記号誤

り率 Pe.sを,搬送信号対干渉雑音比(CI比〕をパラ

メータとして求めたもので, BPSKと QPSKの場合を

それぞれ第 18図(a)と(b)に示す

理論f直実験値

22

71ーー積分放電フィルタの場合 送信すィ矛吾 川1

会 ι「一月,バターワース・データ川棚.1i-diJ/.L買っ | フィルタ,BT=i I ーι」'1-dr!il品 ~I I I I I I I d」Fβドん

!JI I I I I I l~'!!Zi'i¢

。一ーーーーーー一

(a)

3

送信フィノレタなしで,受信フィノレタのみの場合

1 2

(受信側3dB帯t,;£1p{.i)l (ピット速度)

。。

20 。。18

R

v

a伎

L

n

υ

唱E4

4

(凶MV)起.20Q綿騒思

0 .1 0 .2 0 .3 0 .4 0 .5 0 .6 0. 7 0 .8 0 .9 1.0

WI B= 1 /BT=シンボル速度I3 dB RF帯域幅

第16図 BPSKと QPSKの送信波を帯域制限した場合の劣化ia11. W=l/T.送信フィノレタは 0.1dBリップノレを

持つチェピシェフフィルタを使用. 位+tiは直線を仮定しである.

8

4 0

6

り,最適値はガウスフィルタの 3dB帯域幅がビット速

度の 1.27倍であるととが示される.

乙のほかに, Prabhu側は送信フィルタなしで受信フ

ィルタとして3極 RFフィルタを使用後, リミタを通

し位相検波するモデルで BPSKと QPSKlζ対する帯

域制限効果と誤り率J持性の関係を求めている.

(5) 干渉特性

Rosembaum刷及び Prabhu側は同一帯域内の cw

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363

10-•

10-2 句。

且噌

髄ト

長10'

Of(' 凡J,,,,.

10-'

1983 March No.150 Vol. 29

(国

3

2

m

m

M

(門

hwh別濃川H

J

ど縫穏や寝相判権

州国制司占

hUMG混hム『

Tト県出串}\(択担割再叫刑岨草}

14

12

10→

10・-

8

18 16 12 14

CN比(dB)

10 10‘

8

3

(防送信フィルタも受信フィルタも同一特性

第 17図 BPSKのガウスフィルタによる帯域制限効果!321.

Peo=I03を得るIC必要な CN比と帯域幅の関係

I 1 I 2 !

(各フィルタの3dB帯域幅)/(ピット迷度)

(b) QPSK

同一チャネノレ cwer渉特性<3411351

を持つ場合の計算結果を第19図に示した.

2極バターワースフィルタの場合第四図(叫参照

4極バターワースフィルタの場合第四図(b)参照

2極チェビシェフフィルタ( 1 dBリップル)の場合

第 18図Prabhu 1361は BPSKの隣接チャネル干渉についても

検討を行った.計算のモデJレは送信側で帯域制限なしで

信号送出を行い,隣接チャネルは希望信号の搬送周波数

んに対し,±ん離れた搬送周波数を持つ等電力の2信

号とした.ただし, PSK信号のフレーム開始,又はデ

ータビットの開始時間は各信号とも一致しているという

特殊な条件を付けている.受信側のフィルタが次の特性 第四図(c)参照

なお,図の横軸 SNの比は10log(T/2Ns)と定義さ10-•

WeqT=l. 2

10・~

唱E

0..

S許

務員L

?、

出 10s

10 '

nU

U

1

1

3仏.録。議常UM

10-•

16 12

SN比(dB)

10-• 8 10

2極パターワースフィルタ(a)

14 12

(dB)

10

CN!t

(a) BPSK

8

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364 電波研究所季報

10 3

Wcq T=l. l

10-• I ¥ ¥I\\、/〈レ I /0:10-2

~ ml叫|ト 10 ¥ 10-• ユ』

to 's

10->

b 10-•

信社

=-車E..L..

?、出

10-•

10-•

10 12

SNlt

(b) 4極ノぜターワースフィルタ

Weq T=l. 2

16

(dB)

8 10 12 14 16

SNJ:t (dB)

(c) 2 ~Viチェピシェフフィ Jレタ

第 19図 2BPSK信号にする隣接チャネル干渉団酌

れている.Tはパルスの 1ピット時間幅, N,は片側雑

音電力スベクトル密度, Weqはフィルタの等価雑音帯

域幅である.

(6) フェージング特性

Miyagakiら同町は,フェージングモデルとしてm 分

布フェージングを仮定し,聞をノマラメータに,平均誤り

率,中断率,ダイパーシチ利得を求める計算式を完成し

た.第20図(叫と(紛にそれぞれ, BPSKとQPSKにおけ

10-•

10・:J

10-•

!”v " 0...

1緋長 10-•nit' 凡J

$' 信ト lo-•

10-•

10

(叫 BPSKの場合

10 15 20 25 30

平均CN比(dB)

(b) QPSKの場合

第20図 m分布フェージングlζ対する誤り if,i<37に m:フェージング指数

る平均記号誤り率を示す.中断率,ダイパーシチ利得に

ついてのデータは文献闘を参照されたい.

(7)実験例

花沢ら側による移動における BPSKの伝送実験例が

ある.実験は室内でフェージング・シミュレータを用い

て実施された.帯域制限は5次ベッセJレのアクティブフ

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Vol.29 No.150 March 1983

10-• クロック周波数r.=lOkb/sP~L雑音帯域幅B.=1600Hzr.:フェージング・ピッチ帯減制限 BT=l.044

(B: 3dB帯域幅T:繰返し周期

一一一一一-~·-":~担一一

義10・,ι.-

" :ii

~ .

10-•

10-•

10”

ω

10-•

10-•

一一誤り訂正あり

70 80 90 100 110 C/N,(dBHz)中央値

(吋 クロック速度; IOkbpsの場合

クロック周波数r.=5 kb/s PLL雑音帯域幅BN=1600Hzt,:フェージングピッ千帯域制限 BT=l.044

(B: 3dB帯域幅T:繰返し周期

且.10 3 \不::::一一一一一一一回E

、〈:\、~~~一一一一____ 4QHzーー持

\ミ~~一一一一・2哩z - z、軍Eム 10-•

\ \ ‘ー‘・・‘・・... lOHz "

三』

10 • 理論正\

\ 一一・繰り訂正なし \

10-·~一一一誤り訂正あり \

\ 10-1

60 70 80 90 100 C/N, (dBHz)中央値

(b) クロック速度; 5kbpsの場合

110

第21図 BPSKの速いレイリーフェージングにおける誤り率

特性【as1.C/No:搬送波電力対雑育活力密度比

イルタを使用し,岩垂符号の効用も確かめている.実験

結果を第21図(同と(b)Iζ示す.軽減不能の誤りは位相同

期ループ(PLL)の同期はずれが原因で,その対策には

パースト誤り訂正能力のある符号を採用すると効果的で

あるζとが述べられている.

3.2 DPSKと DQPSK

365

(a) DPSK

(b) DQPSK

第22図 DPSKとDQPSKの復調器プロック図1171

DPSKと DQPSKは,それぞれ変調データが差動符

号化(Differentialconding)側された後で PSK及び

QPSKされた信号であるととを意味する.

(1)変復調器の構成

変調器の構成は, BPSK及び QPSKと同じである.

ただし,変調をする前に,差動符号化が行われている点、

が異なる.

復調法は3.1(1)で示した基準搬送波との乗積による周

期検波もあるが,乙乙では級送波再生を行わない遅延検

波のみを対象とする.乙の場合の DPSKとDQPSK復

調器の構成法聞を第22図iと示す.

(2) スペクトル分布

DPSK及び DQPSKのスペクトル分布は,それぞれ

BPSK及び QPSKのスペクトル分布と同じである.

(3) 誤り率特性

rを検波器入力の総合 SN比とすると,記号誤り率

は次のようになる.

DP誌の場合U川:九・=を叫<-r)

DQPSKの場合U71:九.古田Pl-r(1--L1ll ¥ ./2/J

(4)帯域制限効果の影響

Shirnboら(391は第23図に示すモデルを用い,帯域制

限の効果を計算した.

フィルタの特性は7極のバターワースフィルタとし,

第23図 DPSKのフィルタ効果の解析モデル<39’

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366 電波研究所季報

lQ I 10 I

ト向。 Worstcase DPSK (符号間干渉あり) ーーーO=o・Best case DPSK (符号間干渉なし)

ペミミド 10-•

BPSK(符号閑干渉なし) L''~ ', ~ I CI比(担)

"' \/|司、 '-...rBPSK (符号間干渉あり)£ 10 3

告許事幹s:- z、

事a$10-• 需E九~ lσ4 時凡J•

10→ 10 5

10-• 5 7 9 11

c N比(dB)

第24図 BPSKとDPSKの帯域制限による誤り率の劣化(39)

帯域幅は

BPFの3dB帯域幅=1.2/T

LPFの3dB帯域幅=1.14/T

とした.第24図に解析結果を示す.図ICは参考のため,

帯域制限をしない場合(without intersymbol inter-

ference)の特性とそれぞれに対応した BPSKの特性も

示しである.

BPSKと DPSKの特性は,どちらも同じような傾向

を示している.

(5) 干渉特性

cw波による同一チャネル干渉特性を, Rosembaum

(34)が求めている. DPSKの場合は,

0=2πC/i-fs)T

ただし,

fi=干渉信号の搬送周波数

fs=希望信号の搬送周波数

T=データの 1ピット時間幅

と 0を定義し, CI比をノfラメータ l乙第25図(叫に示す

ような誤り率特性を得ている.

一方, DQPSKについては,。を干渉効果が最低の場

合と最悪の場合に分けて, CI比をノfラメータに第25図

(b)に示す結果を得ている.

(6) フェージング特性

宮垣ら(40)は非選択性高速レイリーフェージングを仮

定し,多値 DPSKの誤り率特性を求めている.結果を

第26図に示す.

13 1σ6 8 10 14 16

DPSK,記号誤り率

(u) DPSK

10-•

10 2

"' £10-•

ハHV

EA

dp絡耽旧制

10-・

18 20

CN 比(dB)

DQPSK,記号誤り率

22

(b) DQPSK

第 25図 同一チャネJレ干渉特性1341

図中, Mは相数, lXG は1タイムスロット聞の雑音の

相関係数, b1はフェージング相関係数に関係したパラ

メータそして a2はスペクトルの形に依存するパラメー

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維ti'

ジタル FMとして FSKと区別した ディスクリミネ

ータを使用しないものは, FSKの項で扱った.

(1)変復調器の構成

入力ディジタル信号を多値レベルに変換して, FM伝

送する方式の変復調器の構成を第28図に示す. この方

法iζよる被変調信号は,一定振幅で位相の連続な信号と

なる.

(2) スベクトル分布(171

FM信号と変調信号をそれぞれ

S(トAc仲c山 dtX(<)dr+B}

x(t)= I: a品・fJ(t-nT)

と記述する ここでAは振l隔, Weは搬送周波数, Wdは

60

367

DPSKとDQPSKのダイパーシチ効果<411

ディジタノレ FM変復調総締!戊lヨ

垂直ホイップアンテナ

a.=Jo (2πBoT),向=7?

10-•目立ヨf旦20 30 40 50

l枝のピットあたりのCN比(dB)

第27図

10-•

10-2

A

U

n

U

ハU

τE目.

E目

E目

(剖柑固特)蜘凶。{

M附{ν州給恥旧阿AW附柑

n島吠岨

ι九.

hJ

10-1

デタ(2値)

タである.b,=o, a2ニポのときは垂直モノポールアン

テナによる受信時で, ドプラスペクトルが対称形をして

いる.一方, b,ニ4,a2ニ2のときは非対称ドプラスペク

トルの場合である.Enはドプラスペクトルの帯域幅を

示す.

宮垣らは

i. 誤り率は次のような原因別重畳の形をとる

包絡線フェード十ランダム FM

ii. ドプラスペクト Jレの形は軽減不能誤り率に直接

関係し,アンテナ指向性パターンの整形により誤

り率改善が期待できる(第26図の③,④,⑤を

比較されたい)

iii. DPSKと同期検波を行う BPSKとの性能比較

では,包絡線フェードによる原因で DPSKの方

が3dB劣るが, PLL動作とのかねあいで, DPSK

方式が良い特性を示す領域がある.

などを結論としている.

更に宮垣ら l41lは,ダイパーシチ合成受信時の誤り率

を求め(第27図参照),包絡線フェードの改善,及びラ

ンダム FMの改善が,ダイパーシチ技術により可能で

あることを述べている.更にこの改善効果は,ダイパー

シチの枝数をLとすると,非ダイパーシチ誤り率のL乗

IC比例することを計算で求めている.

3.3 ディジタル FM

データを FM変調し,送信したものを受信する際,

ディスクリミネータを用いて復調するものを,特ICディ

60

e

-8

-g

J

一∞-b

-b

一b

一ω一M

E一仏一一一一仏一n

晶一,r

-h

一φ

一2一ポ一。

50 (dB)

多値 DPSKの誤り率1401

①|肝持② I 2 lo.311 ~ ③I 4 I o I q

④ I 4 I ,, I 4

⑤I 4 I q I o ⑥I 8 I • I。

40

均 SN比

1983 March

30

第26図

No.150 Vol. 29

nu nL

s

nu ’EA

ω

£ 10-•

傑z、車Eo)l' 10 ' 凡Jl!TIU

10 I

10・

1

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368

L=2の場合

n6

A

“. A

U

Mmm相会ム

o. 00 0 0.5 1.0 1.5

規格化周波数, wT/2π

(吋 2値ディジタJレFM

o. 80

L=4の場合

06

d

AU

M

閣制ムニ

,,,. o. 95

πT

0.16

0.00 0 0. 5 1. 0 1. 5

規格化周波数, wT/2π

(ゆ 4値ディジタJレFM

第 29図 多値ディジタノレ FM信号のスペクトル([71

周波数偏移, Oは搬送波位相, h はL値をとるべース

パンド信号そして g(t)はOからT秒続く振幅1の矩形

波パルスである.すなわち anについては

lln=2kー(L+l〕,ただし k=l,2,…, L(L

は偶数)

と表される.乙のとき F M信号の等価低域系における

スベクトル分布は次のようになる.

l1 , v-1 !22 1 2 . ---Ll -Ca(WdT)e-i2柑 J’

ICα(wdT) I <1 l1上 1 I /sin q "-I 2 "

2'2irl"-一子ー/|す [o0-2nπ)

一日, ICα(wdT) I =1

Si!'M(/) 一一互2y--

電波研究所季報

2.0

ただし,

I,=く(号L)2). h=く(今!le-iu))

Q=(wーω吟 ~=w•去, I.= wT+π

n Lノ2

Cb(wdT) =一手-I: cos {wdT(2k-1)) L k=I

Pe[・]は[・1の実数部分を意味し, <・>

は・の平均をとることを意味する.

L=2及び4の場合のスペクトルを第29図(司と第29

図(酬と示す.

2値又は4値の場合, Wd/π=l/LTの関係を満たす

とスベクトルが狭帯域になるととが図より示される.

このような関係における,定常周波数(具体的な仇

の値IL対し, s(のがあたかも特定の周波数で発振してい

るcw波のように見なせる.そのときの周波数を意味

する)のうち,最大と最小は次のようになる.

1 f L-1 ¥ fM.ix=fc+一一l-一一l

2T ¥ L I

1 fL-1¥ fMJN=fc一一一一(一一一l2T ¥ L I

ゆえにレベル聞の周波数 dfは

df=型住とこ笠l=_f_型主二f担主=」一2ir (L-1) LT

となる.

(3) 誤り率特性

FMのビット誤り率計算式は非常に複雑で,使用する

フィルタより変化する.送信側は帯域制限をしないで送

信し,受信側は BPFlとより帯域制限を行うというモデ

ルを使用し Pawula1叫が2値 FMの誤り率計算式を

求めている.

2.0 10 I

10-・ Gaussian Filter

占10-'

時三〉

帯E占 10-•〉、

~

10」

旦弘一_J__π2T

10 • 6 8 10 12 14

1ピットあたりのSN比, r,

第 30図 2値 FMにおける誤り率<421

16

dB

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Vol. 29 No.150 March 1983

。-10

-20

-30

-40

-50

重-60

賢一70

• -80

-90

-100

-110

-120 0

ロールオフ率=0.4

0.5

f/f b

(a)

m= 1.0

1. 0

且4

髄トc、思Ealt'

10°

ロールオフ率=0.4

10-・

~ 10-•

10-• 4 6 8 10 12 14 16 18

lピットあたりのSN比: E〆N。(b)

369

第 31図 4値 FMにおけるスペクトノレ分イIiと誤り率特性1441. (吋 スペクトル分布,(b) 誤り率特性m=2・tJf・ T,,ただし tJf=入力レベルの最同値IC:対する周波数偏移, T,=シンボノレ時間長,

及びf・=ピット速度

Wd _ 1 rr 2T

の条件のもとに,受信フィルタとしてガウスフィルタ

(Bを近似的な 3dB帯域幅とする)を使用し, ディス

クリミネータ出力後,積分一放電フィルタで検波したと

きの誤り率は第30図に示したような結果になる.

一方, 2よりも大きな値をとる多値 FMの場合, CN

比が十分高いとき記号誤り率は次のように近似され

るll71.

P ~ 1 {唱_ 1 ¥ cot(π/2L) 0-20 sin2(,/2LI

・・・--;;三円 TJ-;7芯荷主ず.

ただし, Lは多値数(>2〕, pは受信機入力の搬送波

対雑音電力比(CN比)である.この式の誘導では,信

号は帯域制限lとよりひずみが発生しないという条件を前

提としている.フィルタ特性を考慮した最適化について

は,文献(I札闘に示されている.

(4) i帯域制限効果の影響

ディジタJレFMの帯域制限については, 文献142),(431

及び(44)等で扱われている.

第31図lζ文献(4制ζ示されているシミュレーションで

求められたスペクトJレ分布と誤り率を示す.乙のシミュ

レーションでは,矩形パルスを一様平坦スベクトルを持

つ信号に変換後,送信側と受信側に均等IC特性配分を行

った二乗余弦波フィルタでローJレオフ特性を実現してい

る.

第 31図(幼から明らかなように変調指数(m)を小さ

くすると狭帯域化が図れる.これに対し,第31図(幼か

らは変調指数(m)を小さくすることは誤り率を劣化さ

せる関係にある乙とが示される.このように変調指数を

小さくして狭帯域化を図るのと,変調指数を大きくして

誤り率を良くするのは互いに反対の条件なので,設計に

あたっては指針を明らかにしてパラメータを選択する乙

とが必要である.

(5)干渉J持性

同一特性を有する 2値 FM信号を希望波の両側に二

つ並べ,希望波との周波数間隔と誤り率の関係を Tan

v叫が検討し, Weeら酬が実験的な確かめを行ってい

る.第32図ICWeeらの求めた結果を示す.パラメー

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(6) フェージング特性

Akaiwaら{叫の実験データを第33図に示す.パラメ

ータは第31図のデータを求めた場合と同じ条件に従っ

ている.

3.4 FSK

(1)変復調器の構成

ディスクリミネータを用いない場合,陸上移動用とし

て多周波数を使用する FSK方式はほとんど例がないの

で,ことでは2周波数を使用する FSK方式のみを対象

とする.変調器は第28図に示したものと同じ構成法を

とるものと,周波数の異なる独立した発振器を2台用意

しておき,データに応じて切り替える構成法の2種類が

ある.

復調器の構成は非同期検波方式と周期検波方式があ

り,具体例を第34図に示す1301.

(2) スベクトル分布

FSK信号を nTs-TsJ2<t<nTs+Ts/2の区間で

rA cos(2πf1t+01):マークの場合S(t) = ~

lA cos(2πf2t+ 02):スペースの場合

と表す.データの変化点で信号の位相lζ連続性がない場

合,スベクトルは次のようになる{附.

SFSK(か子{oCf-/1)+0小ん)}

+ム主「豆主主立二五辺_ltl_8π2 L Cfー/1)2

+豆記~(王土f斗1l!l_Cf+ f2)2

+豆~(之二右主主L(/-/2)2

+坐立-r:J.l土左近企LlCf+ /2)2 」

ただし, fs=l/Ts

第35図iζ位相が不連続の場合の FSK信号のスベク

トルを示す.

霞波研究所季報

実測{直

~ =..Q,1_ n: T

一一一 理論f直ロ Jf・T=l. 4

Llf・T=l. 6

Llf・T=l.8

Jf・T=oo

-K

370

10-1

10-・

~ 10-•

悌s::、車E..I- 10-•

" ー以

10 6

2

10 s

16 4 6 8 10 12 14 1ピyトあたりのSN!t:E,,/N。(dB)

データ

第32図隣接チャネル干渉(2値 FMの希望波の両側IC等レ

ベJレの干渉波が存在する場合)の誤り率特性【461

10 2

411直FMロールオフ率=0.4

ーレ介。グン日ンエ仁ptttt1

A

U

A

U

唱E

EA

3内

h-蝶叫4haUM

10-•

70 10-•

20 30 40 50 平均 E.IN。(dB)

第33図高速レイリーフェージングにおける 4値 FMの誤り率特性1441

60 10

テ’ータ

タは次のとおりである.

l/T=ピット速度

Wd/7r=O. 7T

B=受信 BPF帯域幅=l/T

11/=両チャネル聞の周波数差第34図 FSK 信号の復調誌の構成1301

(a)」1・|司JVJ検彼方式,(b) 同期検波方式

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371

10 I

1983

1. 6 00

March

100

No.150

00

Vol. 29

2.0

1. 8 (』)語”や

~

0..

ぎr事E..L.

〉、

:出10-•

2: f 2ーf,X。=ーァー一‘S

(fJ

~i< ~:~

1. 4

ME細£ム

h

てd円

B: 3dB帯域幅WT=l.5

3.0 1.0 f-fc x=---y;-

第35図 位相が不直続の場合の FSK伝号のスベクトルメ,=搬送周波数, f,=I/T,=クロック局波数

2. 0

10 11 12 13 14 1ピァトあたりのSN!t:九

第37図 FSK非同期検波方式における誤り率<481 (BPFとLPFの影響)

9 rn-·~

影響するかを,理論的iζ検討した.第36図に BPFの

特性を矩形特性とし,各々の BPFの等価雑音帯域幅を

2Wとした場合の誤り率特性を WTをノfラメータとし

て示す.ただし, Tは1ビットの時間幅を表す.この図

iζ点線で非同期検波方式の誤り率特性(前項(3)で示した

誤り率特性)をプロットしておいた.WT=0.5の場合,

理想、伝送路特性で得られる誤り率よりよい結果が得られ

ているが,乙れは BPFの狭帯域化により, 7 ーク又は

スペースの RF入力波形がひずんでいることを Kwon

らが計算に考慮していないためであろうと思われる.

Milsteinら酬は包絡線検波器前の BPFの雑音等価

待域幅 (=2W)のパラメータを WT=I.5として,

LPFの形状と帯域隔を変えて誤り率特性を求めた. Tb

=15dB K固定して,最良の特性が得られるものは単極

RCフィルタの場合 BT=0.42(ただし B=3dB帯域

l隔), 2極バターワースフィルタの場合 BT=0.52であ

った.乙れらのパラメータを使用して求めた誤り率特性

を第37図IL示す.

(5)干渉特性

Wangl<91は波形ひずみの発生などがない理想、状態で,

非同期 FSKの cw干渉における誤り率を計算した.

結果を第38図iζ示す.計算に使用したパラメータは次

のとおりである.

R1=総合干渉電力対信号電力比

ニ (P1・1+P1・2)/Pn

fこだし,

P1・1=CWの干渉波1の電力

PI・2=CWの干渉波2の電力

Pn=希望信号の電力

一方,データの変化点で位相に連続性のある場合に

は,ディジタル FMのところで示したスペクトル計算

式が使用できる.

(3) 誤り率特性

伝送路が理想的で波形ひずみなどがないとした場合,

ビット誤り率特性は次のようになる印刷.

非同期検波の場合: Pe.b=texp(--?)

同期検波の場合:九寸erfc(作)SN比である.

第36図 FSK非同期検波方式における誤り率<471 (包絡線検波器ii可の BPFの帯域幅の影響)

ただし, Tbはlビットあたり

(4)帯域制限効果の影響

陸上移動では非同期方式が一般的なので,この方式の

帯域制限効果についてのみ示す.

Kwonら附は第34図の非同期検波方式の構成で,標

本化を行う前の LPFK積分一放電フィ Jレタを使用し,

包絡線検波器前の BPFの帯域幅が誤り率にどのように

10'

ハυ

A

u

n

u

l

:仏像待。諮ムトhu

4 10一言

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372

io-'

10-•

~ 10 •1- R,=ー15d8. Cl.

主幹>:"'

巡ム 10-•〉、

6

1

一ーー lcwc1二渉波

一一等’屯力の2CW干渉放

-・・-3dB電力差のある2CW干渉波

17

(dB)

第38図非同期 FSK方式の cw干渉特性1491

(6) フェージング特性

遅い非選択性レイリーフェージングに対する平均誤り

率は,解析的i乙次のように求められている山.Tbは1ピ

ットあたりの平均 SN比である.

非同期検波の場合: Pe・b=ーユー2+Tb

周期検波の場合: Pe・b=引1一「よーl~ 1+~

I b

選択性フェージングの場合,小西ら 150)が受信データ

の前後5ピットに干渉があることを仮定して計算式を求

めている.小西らの計算では周波数相関を

R(f)=~- ーー

としている.ただし, σ2は振幅lの単一正弦波をとれ

らのチャネルl乙送信したとき受信される信号の平均電

力, Beは相関手持域幅で, R(f)が R(0)=2σ2の lie

になる周波数間隔である.非同期 FSKで2信号の周波

数間隔を 1/Tとした場合の計算結果を第38図に示す.

3.5 MSK

(1)変復調器の構成

MSK (Minimum Shift Keying)は変調指数o.sの

位相連続 FSKで, FFSK(Fast FSK)とも呼ばれ,

定包絡線を持ちスベクトル集中性がよい刷叶56).

電波研究所季報

BcT=0.5

1. 0

10 I

2.0

1~ 仏

主102

J...

?、

~

fJ Eト

10-•

ーーーー遅い非選択性レイリーフェージング(=l/(2+y.))

一一一一選択性フェージング10→I ) I I

10 20

1ピットあたりの平均SN比:冗

第 39 図非同)~] FSK方式のフェージングにおける誤り率特性1so1. B,は相関干苦域師

第40図 MSKの変復調総構成図

MSK信号は次式で表される.

s(t) = Vc(f)・cos(...!!.!__)cos(2げ cf)¥ 2T I

+v,(t)・sin(-竺土)sin(2π/ct)¥2T I

ただし, Vc(t), Vs(t)は, I, Q各チャネJレの矩形ノf

Jレス(QチャネルはT秒遅延されている)を示し, fc

は搬送周波数である.

MSK変復調器の基本的な構成法を第40図 lζ示す.

変復調器の動作は上述の MSK信号を数式どおりに発

生するようブロック構成される.復調器は周期検波の場

合のみ示したが,遅延検波や周波数検波も可能である.

変復調器の構成にはいろいろのものが提案されている

が,それらの詳細は文献岡~(聞などを参照されたい.ま

た, MSKや OQPSKなどの直交変調波相互の関係に

ついては文献闘が参考になる

(2) スベクトル分布

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vol. 29 No.150 March 1983

第41図 MSKの帯域制限効果の計算モデル152!

3

(国司)

ーーー一- MSK

一一一ーOQPSK

92u

’A

調ど綜.怠非骨pd縄岬和設け一

ua仏

0 0.5 1. 0 1. 5

規格化チャネル帯域幅BT (Hz/bps)

第42図 MSK, OQPSKの帯域制限による誤り率特性劣イヒ《521

帯域制限をしない場合, MSK信号の等価低域系にお

けるスペクトル分布は,

16T 1 cos2πfT¥2 SMsx(f)=一一h-寸言万有)2 ¥1-16/2T2/

で表される刷.ただし, Tは1ピット時間幅そしてf

は周波数である.第58図にスペクトル分布を示した.

(3)誤り率特性

MSKの理想誤り率特性は MSK信号が直交した 4

相信号で表される乙とから QPSK信号の訳り率特性と

原理的に等しい. したがって, ピット誤り率特性は

QPSKの誤り率特性を参照されたい.

(4)帯域制限効果の影響

Gronemeyerら聞は,第41図に示したモデルについ

373

て帯域制限効果を計算機シミュレーションによって求め

た.図中フィルタ No.1と No.2の特性はいずれも 7

極のチェピシェフフィルタとした.

第42図はフィルタ帯域幅(等価雑音帯域幅)に対す

る性能劣化を求めたもので, OQPSKと比較して示され

ている.

送信ベースパンドで帯域制限を加えた場合については

3.7 GMSKの項を参照されたい.

。.。仏

10-•

nu

句目目

. 除。桜ムトUM

10 BT=0.55

(吋受信フィルタ: 2極バターワース型干渉波:希望波と同ピットレート

10-•

2.0

19-•

c.. • 10-•

悌!:'、

南E_,_ F、ユJ10-•

BT=0.55

10-• 5 6 7 8 9 10 11 12

s N比(dB)

(同受信フィルタ: 2極パターワース型干渉波:希望波の2倍のピットレート

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374

10-•

10-•

.. . 仏

まr帯EFι 予、

10-•

BT=0.55

10-• 5 6 7 8 9 10 11 12

s N比(dB)

(c)受信フィルタ: 3極バターワース型

干渉波:希望波と同ピットレート

10-•

10”S

n

u

n

u

唱』

1‘

3仏

dp日経ムhh」

BT=0.55

10-• 5 6 7 8 9 10 11 12

s N比(dB)

ω受信フィルタ: 3極バターワース型ニi二渉波::希望波の2倍のピットレート

第43図 MSKの同一チャネル干渉特性1671(I)

(5)干渉特性

Cruzら酬は,直交変調波について白色ガウス雑音,

符号間干渉,同一チャネル干渉iζ対する誤り率特性を計

算した.第43図(晶)ー(d)は同一チャネル干渉の SI比を

パラメータに, SN比に対する誤り率特性を示したもの

である.(乱), (b)図は受信フィルタ I<::2極バターワース型

(BT積は 0.551<::設定)を用いた場合で,(a)は干渉波

.. 0: 10-•

軍hE、車EMι r、ユ』

10-•

~

~'ii 1.2 ・8,ι 品

·;~ 4出ふ』~ 1.0 3 ト

E盤、

電波研究所季報

10-•

10-•

10-• 14 16 18 20 22 24 26

s I比(dB)

第44図 同一チャネルーl二渉特性1s11 (II)

1. 8

1. 6 k

k

m

Q

u

n可

M

O

1. 4

0.8

0.6

0.4 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6

規格化帯域幅

BT (Hz/bps)

第45図帯域制限を行った場合の所要チャネルl削隔1521

が希望波と同じピットレートの場合,(b)は2倍の速度の

場合である.(c), (d)図は同じく 3極バターワース型フィ

ルタの場合である.第44図は, SN比を一定(11dB)

にした場合の SI比に対する誤り率の変化を示したもの

で, OQPSK及び SFSK1721聞と比較している.

Gronemeyerら聞は帯域制限を行った場合の所要チ

ャネル間隔を,搬送波対隣接チャネル干渉 (CIA)比が

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Vol. 29 No.150 March 1983

\ CJ比=∞

10-2Lll

fnT=O. 01

|ぶ\情トz、事Eu乙.

" 出 10-• ~」~ Eト

10 s

10 ' 0

ー一一一一ー遅延検j皮I¥¥'

20 40 平均CN比(dB)

。_ 001I

もとνιー斗

60

(a) フェージング迷度 CfnT)Iζよる特性変化

10-•

10-2

時 10-•宮〉

事Eー£ー

r、ユJ

雪l~ト io-•

10→L

10 ' 0

1"'--~ー!

fuT=O. 001

一ーーーーー遅延検j皮

2ビy ト遅延検波

10 20 30 40 平均CN比(dB)

(b) CI比による特性変化

375

\ に〉\

\ 、、、、、、50dB

50 60

第46図 MSKの誤り率特性(理論他)【681

25dBと35dBについて求め,第45図のように示した. ト聞の重みづけ平均により決定される.

(6)フェージング特性 すなわち,入力データが次式で定義されるとき

Hiradeら(68)は,レイリーフェージング下における

MSK遅延検波方式の誤り率特性を求め, 更に生越(71)

は差動符号化2ビット遅延検波方式についても求めた.

第 46図(a)はフェージング周波数をパラメータ ICし,(b)

は平均 CI比をパラメータにした場合の誤り率特性を示

している.

また,安達ら{聞はディジタル FMの検波後選択ダイ

ノてーシチ効果を論じた際iζ,高速レイリーフェージング

下での MSK周波数検波と遅延検波の誤り率特性を理

論的に導いている.それILよれば, ランダム FM雑音

による軽減不能な誤り率に対しては,周波数検波が遅延

検波より優れることが予想されており, GMSK方式で

一部確かめられている(3.7, (6)参照).

3.6 TFM

(1) 変復調器の構成

TMF (Tamed FM)は変形 MSKの一種であり,

位相遷移特性を滑らかにする乙とによってスベクトルの

広がりを抑えたパーシヤル・レスポンス FM方式であ

る.TFMの位相変化は,入力データの連続する 3ピ町

a(t) = I; an・o(t-nT),an=+l又は-1n=ー。。

MSKの位相は

り(mT+T)-<jJ(mT)ニ f・an

で表されるのに対し, TMFの場合は次のようになる.

。(mT+T) ゆ(mT)=三{恒ユ+三笠ー+生土')2¥4 2 4}

TFMの変復調器の基本的な構成法を第47図に示す.

詳細については文献同,聞を参照されたい.

(2) スペクトル

TFMのスペクトル分布は入力データによって変化す

る.平均的なスベクトノレ分布t叩(7引を計算したものを第

58図に示す.

l/T .,

第 47図 TFM の変復調~~織成図

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10-• .. . 0..

冊ト事許~

市Ez、

ム 10' 議 10-•

守、J...

·~ ?、

~ト~ ユJ

10-• TFM

10一‘

10 s

376

10-1

10-• 0 5 10

1ピットあたりのSN比(dB)

tli48図 TFMの誤り率特性174)175)

(3) 誤り率特性

TFMの誤り率特性は次式で表される(叩 175).

九 b=terfc(. .,ri)寸erfc( 明 )

ただし, rは帯域幅 l!Tの受信機入力における SN比

である.との誤り率をグラフに示したものが第48図で

ある.TFMは符号間干渉があるため, PSKの理想特

性より約ldBの劣化がある.

(4) フェージング特性

Muilwijkげ引は, レイリー・フェージング・シミュレ

ータを用いた実験例を報告している.第49図はこれを

示したもので,搬送波オフセット ±600Hz,ドプラ周

波数0.5~4Hzの場合に得られた最大と最小の誤り率

特性が実線で示され,理論値が点、線でプロットされてい

る.

3.7 GMSK

(1)変復調器の構成

GMSK (Gaussian-filtered MSK)は,送信ベースノマ

ンドでガウス型 LPFによって帯域制限を加えた変形

MSKである. MSKの特徴である定振幅性と同期検波

の適用性を維持しつつ,一層のスペクトルの狭帯域化を

実現している 176)叶78!,

周期検波の場合の GMSK変復調器の構成を第50図

電波研究所季報

10->

測定条件:搬送波オフセット土600Hzドップラ周波数0.5~4H忽

15

三ヘ¥ "'i'R1J定結果

、l(…一)PSK '・ フェージング特性;、(J里論依) \

10 20 30 40 1ピットあたりの平均SN比(dB)

¥PSK理想特性

10 s

0 50

第49図 TFMのフェージング特例:シミュレーション実験結果175)

平デ

第50図 GMSK の変復調~構成図

第51図糸動符号化 GMSK2ビット迎延検波方式の構成図

iζ示す. GMSKはスペクトルの狭帯域化と引換えに無

限の時系列にわたる符号間干渉を伴う.そのため特に遅

延検波に対する劣化が甚だしい.生越ら(79)はその対策

として2ピット遅延検波方式を提案しており,その場合

の変復調器の基本構成を第51図に示す.

(2) スベクトル分布

GMSKのスペクトルを解析的に求めるととは困難で

あるため,室田らによる計算機シミュレーションの結果

が文献聞などに示されている.帯域制限フィルタのBbT

積 (Bbは3dB帯域幅)が0.25と0.4の場合を第58図

IC示す.

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377

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7

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(伺且』\

NZ)

R

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墜霊ム「,廿ト・J

早川叫」ど縫製FLVMm制ヱヘU

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1983 March

0 0

No.150 Vol. 29

3

2

(国司)州明記訳語詑待pd袷

0-:-4

隣接チャネル干渉特性実験結果!801

0.2

第 54図

¥

I I Io、

口、\、\口、 o』』

\ 、、、 ーo-ーーーーーーo_.、、A、 、ローーーロA、、、 u-------o

、、 tr-ーー&一ー一ーーー-A

一o P ••• =10‘ 。

20』

GMSKの帯域flji)I.岐による性能劣化!761第 52図

4

3

2

(凶甘)酬明ど総山一主主梼pd時

io-• ロOb.

10 2 .I:>. 凶ぺ3

0

z 、10←[.Ll

1. 6 0. 4 0. 8 1. 2

受信フィルタ帯域幅 BT

GMSKの受信帯域幅による誤り率特性劣化良1761

(3) 誤り率特性

GMSK同期検波のピット誤り率特性は, 種々の符号

パターンの生起確率を考慮して次式のように表現され

る(761.

第53図

30

幅(3dB幅)は送信フィルタ帯域幅と無関係に BT積

0.6となる.

(5)干渉特f生

室田ら{回}はビット誤り率 10-aを得るのに必要な信号

電力より 6dB高い希望電力を設定し,干渉波による影

響が無視できるチャネル間隔を実験で求めた.その結果

を第54図に示す.横軸は送信フィルタ帯域幅, 縦軸は

ビット速度(16kbps〕で規格化した隣接チャネルとの

周波数間隔を表し, IC比は干渉信号対希望信号比であ

l 20

同一チャネノレ干渉特・tif:二実験結果!811

Cl比(dB)

上10

第 55図

。。Pe.b=2Pr(l-Pr)

ただし, Prは実効識J.ll]SN比を, N倒標本して得ら

れたれ, i=l,2,…, N より次のような関係式で求め

られる.

(4)帯域制限効果の影響

室田ら(76)は,送信ガウスフィルタの帯域帽による符

号間距離の減少を求め,乙れを基IC::帯域制限による誤り

率特性の劣化を第52図のように示した. また,受信フ

ィルタ l乙同じくガウスフィルタを用いたときの誤り率特

性の劣化量を計算し第53図のように示した.最適帯域

噌 N

Pr=~ I; erfc(、/五)2N i=1 '

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50

(7)実験例

GMSK方式については,フェージングシミュレータ

によるシミュレーション実験結果(前項)に加え,実際

の伝搬路における走行実験も報告されている.室田らは

市街地及び郊外で920MHz帯を用いて,信号速度16~256kbpsで各種復調方式について走行時の平均誤り率

特性,パースト誤り特性などについて測定を行ってい

る.第57図に信号速度16kbpsの場合の結果を示す.

詳細については文献刷,闘を参照されたい.

前章までに陸上移動通信lと通用するζ とを考慮しなが

ら既存のディジタル変復調方式と関連技術の調査結果

を示した.最後に乙れまで述べた変復調方式の特性につ

(防周波数検波と 2ピット遅延検波18211831

第56図 GMSKのフェージングにおける誤り率特性.シミュレーションによる実験結果

E、、、h、

フエージング\下\fo=40Hz て、.、、

、・・・、

ーーーー-- .ロ2ピット遅延検波

電波研究所季報

計算値実験f氏ー一一一一.。周波数検i皮

40

I F一一ー非フェージング

10 20 30 c N比(dB)

すむ

4.

nυ e

nU

唱EA胴

lQ I

10-•

世辞z、軍E・4ι

" ~ 事FEト

10-・

る.図中点線の結果は無変調信号による干渉の場合を示

す.

第55図は同じく同一チャネル干渉特性の実験結果を

示している(81). 横軸の CI比 iζ対し,縦軸は誤り率

10「 10-a,10-2を得るために必要な 1ビットあたりの

所要 SN比(品/No)を示している.CI比が15dB以

上では所要 Eb/Noが一定となり,干渉信号の影響はな

くなる.

(6) フェージング特性

Murotaら(77)は準定常的な遅いレイリー・フェージ

ング下での GMSK周期検波における誤り率特性を次式

で示した.

Pe.b(Tb)~-!-{i-.J~),,,,_!_ 2¥ • aTb+l 1-4arb

ただし, Tbは1ピットあたりの SN比 (Eb/N0),a

は最小信号間距離の劣化から導いた定数で, BbT=0.25

(Bbは送信側ガウスフィルタの3dB帯域幅)の GMSK

の場合は a~0.68 である.第 56 図(乱)に上述の誤り率特

性を点線で示した.図の実線はフェージングシミュレー

タによる実験結果であり,実際のフェージング下では軽

減不能の誤りが生じるととを示している.また,三木

ら附酬は遅延検波及び周波数検波についてのフェージ

ング特性を計算及び実験により求めている.第56図(同

はその一例である.

'70

~己主←\ 'l

20 30 40 50 1ピットあたりの平均SN比(dB)

波1771検期同

手ドフェージング

(a.)

10 10・b

10-•'

378

n

u

n

u

梼P磁占?出窓時

io-•

10-•

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Vol. 29 No.150 March 1983

10-•

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言Eム

号、

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10 • 0 10 20 30 40 50 60 70 80

平均CN比(dB)

第57図 GMSK (16 kbps)の誤り率特性〔走行実験結果)1841

-60

-80_ 0 o. 5 1. 0

規格化周波数 fT

第58図 各種交調方式のスベクトノレ分布

いて簡単に注釈を行い,全体のむすびとする.

(1)陸上移動通信では,周波数スペクトルの有効利用

上から狭帯域変調方式が志向されている.各変調方式の

スペクトル分布を第58図にまとめて示し, その所要帯

域幅を第1表に示す.信号速度で規格化した占有周波数

帯域幅は TFMと GMSKの場合1以下である.その

379

第l表所要帯域幅

所要帯域幅

変 調 方 式 | メローイフえ・ ||制占有高周(99波%数)|I 99. 9釧日

(B/bit rate)

B恥帯域自肌)| 2. 0 20. 56 ~200

QPSK ( 1. 0 10.28 ~100

MSK ( 1. 5 1. 18 2. 78

TFM o. 79 1. 02

GMSK (Bb…5) I BT=0.6 o. 96 1. 09

文献(29)(63) (77)による。

IO I

IO '

IO '

2 4 6 8 IO 12 14

1ピットあたりのSN比: E,/N。(dB)

第 59函各種変復調方式の誤り率静特性(理論値)

ため乙れらの変調方式を採用すると信号伝送速度が 16

kbpsの場合,現行の 25kHzチャネル間隔で占有周波

数帯幅 16kHzの陸上移動 FM方式と等価な技術基準

の適用が可能である.しかもとれらの方式は FMの一

種なので定振幅性を持ち,非線形電力増幅器を用いるこ

とも可能である.

乙れに対し PSKでは,そのままではスペクトルの広

がりが大きいため帯域制限を行う必要がある.その場合

残留振幅変動を生じ,非線形電力増幅器は適用しにくい

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380

という問題がある.

(2) 各変調方式の誤り率特性を第59図lこ示す. フェ

ージングのない理想状態では PSK同期検波方式が最も

優れており MSKも同等の性能を有する. しかし,狭

帯域化を実現した方式ではこれよりも性能が劣化してお

り,スペクトJレ集中性のよさが誤り率特性を犠性にして

得られていることがわかる.

(3)陸上移動通信での大きな問題点は,フェージング

による性能劣化である.各変復調方式について理論的検

討,シミュレーション実験,走行実験が行われている

が,フェージングに対して特別に優れたJ持性を示す方式

はない.そのため性能向上には,ダイパーシチなどのフ

ギージング対策技術の適用が必要である.

以上のように周波数有効利用をはかる目的から狭帯域

で定振幅を有する変調方式がほぼ完成されているが,変

復調のみでフェージング克服を達成できるものはまだな

周波数有効利用を更に促進するには,効率よい符号化

によるデータ速度の一層の低速度化,又は稼動させるシ

ステム全体で対処する方法(例えばマルチ・チャネル・

アクセス側)などが考えられ,一方,フェージング克服

には多数のアンテナを使用してダイパーシチを実現する

のが最も簡単で正統的な行き方である.しかし,変復調

の研究を行っている者にとって,とれらの解決策ILは不

満であり,最終的には近年の著しい発展を遂げつつある

信号処理技術をとり入れた変復調段階での周波数有効利

用の実現とフェージング克服を行うことに夢を抱いてい

る.これらについては,別の機会に詳細を述べたい.

なお,本文の執筆は, 1.から 3.4までを横山が, 3.5

から 4.までを久保田が担当した.

謝 辞

資料をまとめるにあたり,御意見をいただいた岡本通

信機器部長並びに海洋通信研究室の近藤主任研究官に謝

意を表します.

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