バレンシア オレンジ」 - takiif₁dmrサンリッチ オレンジ 」...

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Page 1: バレンシア オレンジ」 - TAKIIF₁DMRサンリッチ オレンジ 」 切り花用ひまわりとして世界初とな 可能です。生により栽培を断念した畑でも栽培がして栽培できます。従来、べと病の発の労力・コストを軽減でき、より安心して強い耐病性をもつため、薬剤散布で発生が確認されているべと病菌に対る、べと病耐病性品種です。

 

ひまわりはガーデンで楽しむ大型の

植物でしたが、1992年に発表され

た「サンリッチオレンジ」の普及により

ひまわりの切り花利用は世界中に広ま

っていきました。そのサンリッチは1

本立ちで、小作りに向く無花粉の切り

花用として改良された品種です。さら

にその端正な花形から日本国内はもち

ろん世界の切り花市場からも愛され、

おかげさまで「サンリッチひまわり」は

今年で誕生から25周年を迎えることが

できました。

 

国内の流通に目を向けると市場流通

量は約5000万本であり、出荷量の

80~90%が父の日を含む6~9月まで

の約4カ月間です。近年、各種切り花

が周年出荷されるようになってきまし

たが、ひまわりは夏の季節花として定

番の切り花となっています。

 

ひまわりの切り花生産をメインに作

付けしている生産者の方はもちろん、

タネまき後約2カ月で出荷できること

から、花卉き

や野菜生産の間作として栽

培されることもあります。この手軽な

作物特性もひまわりの普及に貢献した

一因です。

 

今回ご紹介する「バレンシア50」「DM

Rサンリッチオレンジ」をひまわり作付

けの新たなラインアップに加えていた

だければと思います。

●「F₁サンリッチ

 

バレンシア50」

 

サンリッチシリーズで最も濃いオレ

ンジの花弁の黒芯品種です。これまで

にない新しいタイプの花色が特長です。

花弁数が多く整った花形となり、小作

りから大輪までさまざまな用途に使用

できます。茎は細みでスタイルよく、

葉が濃緑コンパクトで花とのコントラ

ストにすぐれます。開花ぞろいが非常

によいため、日にちをずらして播種す

ることで計画生産ができます。

品種特性

「F₁サンリッチ

バレンシア50」

「F₁DMRサンリッチ

オレンジ」

ひまわり

タキイ研究農場  

池いけ

口ぐち 

英ひで

明あき

千せん

藤どう 

貴たか

博ひろ

2017 タキイ最前線 春種特集号 37

Page 2: バレンシア オレンジ」 - TAKIIF₁DMRサンリッチ オレンジ 」 切り花用ひまわりとして世界初とな 可能です。生により栽培を断念した畑でも栽培がして栽培できます。従来、べと病の発の労力・コストを軽減でき、より安心して強い耐病性をもつため、薬剤散布で発生が確認されているべと病菌に対る、べと病耐病性品種です。

 

タネまきから最短50日で開花するタ

イプですが、従来の「サンリッチ50」シ

リーズに比べ、やや早生で2~3日程

度開花が早くなります。早生種であり

ながらも伸長性にすぐれるため草丈の

確保が容易です。夏の露地開花で草丈

140~150㎝程度にまとまり、強

勢で作りやすい品種です。

 

しなやかにかたくしまった茎は、水

揚げがよく花もちにもすぐれるので、

採花作業や選別作業がスムーズに進み

ます。葉はコンパクトなため、込みあ

うことがなく通気性にすぐれ、病害発

生の軽減にも期待ができます。特に止

め葉が小さいので、縦箱・横箱問わず

葉が花に覆い被さらず見ばえよく出荷

できます。

ひまわり“べと病”とは Plasmopara halstediiという糸状菌による病害です。世界中で発生するひまわりの重要病害の一つで、日本では特に5~6月、9~11月の降雨の後など多湿条件でよく発病します。 葉の表面は葉脈に区切られてモザイク状に色ぬけし、葉裏にはびっしりと白い胞子が吹きます。発病した株は生育が著しく衰え、やがて枯死するため、収穫に至りません。葉裏に発生した胞子は風雨によって飛散して周囲の株に感染します。また、感染した植物の残

ざん

渣さ

とともに菌は土壌中で越冬し、次作の伝染源となります。土壌中の菌は直接根から、もしくは泥とともに跳ね上げられて葉から植物体内に侵入します。 一度発生すると、飛散により広範囲に広がるだけでなく、何年も発病に悩まされます。そのため、まず病気を発生させない予防的な対策が重要となります。

開発STORY

 サンリッチシリーズは「サンリッチ

オレンジ」の発表後、緑芯の「フレッ

シュオレンジ」や暑い夏場にさわやか

な「パイン45」など花色追加によるバ

リエーションを強化しました。さら

に作物特性として到花日数の短縮化

や草丈、葉のコンパクト化など栽培

性の向上を目標に品種の開発を続け

てきました。

 そして、市場からの要望の声が高

かった濃オレンジの花色の「サンリ

ッチ

バレンシア50」、生産面では耐病

性による出荷率、栽培性の向上を目

的とした「DMRサンリッチ

オレン

ジ」が誕生しました。

 サンリッチひまわり初となる濃オ

レンジの「バレンシア50」は、情熱あ

ふれる温暖な大地で育まれたバレン

シアオレンジをイメージして名付け

ました。また、切り花ひまわり世界

初のべと病耐病性となった「DMR

サンリッチオレンジ」は、べと病耐

病性の英語表記D

owny Mildew

Resistance

の頭文字をとって命名

しました。

↑「F₁DMRサンリッチ オレンジ」は切り花ひまわりで世界初のべと病耐病性品種。農薬散布の軽減が期待される品種。

↑「F₁サンリッチ バレンシア50」は濃いオレンジの花弁で葉はコンパクトなため栽培性にすぐれる。

↑葉裏に発生したべと病の胞子。↑べと病多発圃ほ

場。

38 2017 タキイ最前線 春種特集号

Page 3: バレンシア オレンジ」 - TAKIIF₁DMRサンリッチ オレンジ 」 切り花用ひまわりとして世界初とな 可能です。生により栽培を断念した畑でも栽培がして栽培できます。従来、べと病の発の労力・コストを軽減でき、より安心して強い耐病性をもつため、薬剤散布で発生が確認されているべと病菌に対る、べと病耐病性品種です。

●「F₁DMRサンリッチ

 

オレンジ」

 

切り花用ひまわりとして世界初とな

る、べと病耐病性品種です。現在日本

で発生が確認されているべと病菌に対

して強い耐病性をもつため、薬剤散布

の労力・コストを軽減でき、より安心

して栽培できます。従来、べと病の発

生により栽培を断念した畑でも栽培が

可能です。

 

形質は従来の「サンリッチオレンジ」

と同様で、花色はオレンジ色、中心が

黒褐色の55日タイプです。栽培管理も

従来品種と同様に行えるため、品種の

切り替えも容易です。

●播種

 

ヒマワリは直根性の植物であるため

圃ほ

場、ハウスでの直まきが一般的です。

あらかじめ堆た

肥ひ

を施し耕起を行い、土

中の水分をしっかり保ちます。肥料分

はEC0・3~0・5を目安とし、前作

の残肥が多いようなら無施肥とし、不

足分を追肥で補うとよいでしょう。小

輪出荷なら8㎝、中輪なら12㎝間隔の

フラワーネットをあらかじめ畝の上に

張り、ネットのマス目を基準に播種し

ます。発芽のばらつきをなくすために

播種穴の深さは約2㎝を目安に均一に

行うことが重要です。畝のサイドが大

きく育つような環境ではサイドのみ2

粒まきにし、養水分を2株に分散させ

るとよいでしょう。出荷労力を分散さ

せるために、播種は計画的に1週間か

ら10日おきにずらします。適温であれ

ば播種後4日前後で発芽がそろいます。

高温期の播種で発芽適温を大きく上回

る時はハウスの遮光や通気、寒冷紗で

の畝の被覆、潅水量を増やすなどで地

温の上昇を防ぎましょう。

●栽培管理 

 

発芽後から株の生長をそろえるため

に水分管理に注意し、乾湿の差が出な

いように潅水します。施設栽培なら生

育適温である15~30℃を目安に換気や

保温を行います。特に、病害防除や軟

弱化を防ぐためにも十分な換気を心掛

けます。草丈10㎝程度になったらフラ

ワーネットを草丈の伸長にあわせて上

げ、風などによる倒伏を防止します。

発芽後2週間程度はしっかり潅水し、

根の伸長と初期生育を確保しますが、

生育後半は潅水を控えしまった草姿に

仕上げます。下葉が黄化しなければ基

本的に追肥の必要はありません。

●病害虫防除

 

菌きん

核かく

病やうどんこ病、斑は

点てん

細菌病な

どの病気が問題となります。施設では

風通しをよくし、空気中の湿度を下げ

るとともに定期的な薬剤防除を心掛け

ます。また、露地栽培では降雨後に病

害が発生しやすいため雨後の薬剤散布

が効果的です。「バレンシア50」はべと病

の発生がある圃場では作付前の土壌消

毒が必要となります。

 

ヨトウムシ、スリップス、オンシツ

コナジラミ、ハダニなどの害虫の発生

が予見されるため予防的な防除と早期

発見を心掛けてください。

 

また、播種直後のネズミによる種子

の食害や発芽直後のナメクジによる食

害にも注意し、適宜誘殺剤などを使用

します。

●収穫と出荷

 

高温期にはかた切りで、春秋では6

~7分咲きで出荷することをおすすめ

します。出荷規格に合わせて切り花の

長さをそろえ、止め葉3枚程度を残し

葉をすべてかき取り十分に水揚げを行

ってから出荷してください。

栽培のポイント

「サンリッチバレンシア50」「DMRサンリッチオレンジ」作型例

QDMR(べと病耐病

性)品種と従来種の

使い分けについて教えてくだ

さい。A

 

べと病は15~25℃

で、湿度が高いとき

に発病が助長されます。その

ため、DMR品種は早春から

梅雨時期に播種する作型で特

に有効です。また、過去にべ

と病の発生がみられた畑では、

土壌中に菌が残っている可能

性が非常に高いので、こちら

もDMR品種の使用をおすす

めします。

■栽培Q&A

播種 生育期 出荷期

ハウス

ハウス・露地

中間・暖地

3 月 4 月 5 月 6 月 7 月 8 月 9 月 10 月

※べと病の新しいレースや特異なレースに対しては DMR の耐病性が打破されることがあります。

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