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カスタムメイド治療機器に対する 評価指標作成動向 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA) 医療機器審査第二部 鈴木 由香 1回レギュラトリーサイエンス学会学術大会シンポジウム 2011.9.3

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Page 1: カスタムメイド治療機器に対する 評価指標作成動向カスタムメイド治療機器に対する 評価指標作成動向 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)

カスタムメイド治療機器に対する評価指標作成動向

独立行政法人

医薬品医療機器総合機構(PMDA)医療機器審査第二部

鈴木 由香

第1回レギュラトリーサイエンス学会学術大会シンポジウム2011.9.3

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本日の内容

医療機器の薬事規制と審査について

次世代医療機器評価指標について

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医療機器の薬事規制と審査について

Page 4: カスタムメイド治療機器に対する 評価指標作成動向カスタムメイド治療機器に対する 評価指標作成動向 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構(PMDA)

•不具合が生じた場合でも、人体へのリスクが比較的低いと考えられるもの

•(例)MRI装置、電子内視鏡、

• 消化器用カテーテル、超音波

• 診断装置、歯科用合金

•患者への侵襲性が高く、不具合が生じた場合、生命の危険に直結する恐れがあるもの•(例)ペースメーカ、

• 人工心臓弁、ステント

•不具合が生じた場合、人体へのリスクが比較的高いと考えられるもの•(例)透析器、人工骨、• 人工呼吸器、• 心臓血管用バルー• ンカテーテル

•不具合が生じた場合でも、人体へのリスクが極めて低いと考えられるもの

•(例)体外診断用機器

• 鋼製小物(メス・ピンセット等)

• X線フィルム、

• 歯科技工用用品

医療機器の分類と規制

リ ス ク 大小

クラスⅠ クラスⅡ

承認等不要 第三者認証(認証基準があるもの)

大臣承認(総合機構で審査)

規制

クラスⅢ クラスⅣ

一般医療機器 管理医療機器 高度管理医療機器分類

国際分類

(平成17年4月より施行)

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承認審査とは

薬事法第十四条

-医薬品(略)、医薬部外品(略)、化粧品又は医療機器の製造販売をしようとする者は、品目ごとにその製造販売についての厚生労働大臣の承認を受けなければならない。

薬事法第十四条の2

-次の各号のいずれかに該当するときは、前項の承認は与えない。

・・・後略・・・

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承認審査とは-承認拒否要件に合致しないものを承認する-

・申請にかかる医療機器が、その申請に係る効能、効果又は性能を有すると認められないとき

承認のための基本的考え方

申請にかかる医療機器・体外診断薬が、その申請に係る“効能、効果又は性能”を有しており、その“効能、効果又は性能”に比して著しく有害な作用を有していないことを確認する

・申請にかかる医療機器が、その申請に係る効能、効果又は性能に比して著しく有害な作用を有することにより、医療機器として使用価値がないと認められるとき

承認拒否要件(薬事法第十四条第二号抜粋)

リスク・ベネフィットバランスの評価

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医療機器の製造販売承認申請書に添付すべき資料の範囲

○は添付を、×は添付の不要を、△は個々の医療機器により判断されることを意味するものとする。7

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医薬品・医療機器審査の流れ

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試作品の改良

医療機器の開発

フィージビリティ試験

改良品の試作

試作品作成

各種非臨床試験

各種非臨床

試験等

臨床使用

医師による研究・開発

試作品の改良

本臨床試験

開発メーカーにおける開発

医療現場から生まれてくる。使う人の不便さの改善「もっと…」

改良を重ねて製品が開発されていく。一方、アスリピンは今でも現役

技術革新の導入が早い。近年の医工連携で加速

確立された評価法はない。

申請 承認

新規性のあるものほど、審査経験がなく、審査に時間がかかる

新しいものをスムーズに開発するには、評価指標が必要!

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次世代医療機器評価指標について

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医療機器の開発に向けた制度

※次世代医療機器評価指標作成事業本事業は、平成17年度から厚生労働省に「次世代医療機器評価指標検討会」

、経済産業省に「医療機器開発ガイドライン評価検討委員会」を設置し、新規技術を活用した次世代の医療機器について、開発の迅速化及び薬事法審査の円滑化に資する評価指標等について、両検討会を合同開催し、検討を進めている

もの。「次世代医療機器評価指標検討会」(審査WG):国立衛研

「医療機器開発ガイドライン評価検討委員会」(開発WG):産総研

がそれぞれ分担し、評価指標・開発ガイドラインを作成・公表しており、品目審査の指標として使用される場合もある。

テーマは公募され、検討会で審議の上選択される。

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次世代医療機器評価指標の整備

(目的)

IT、バイオテクノロジーなど多様な最先端の技術を用いた医療機器を医療

の場に迅速に提供するため、医療ニーズが高く実用可能性のある次世代医療

機器について、審査時に用いる技術評価指標等をあらかじめ作成し、公表す

ることにより、製品開発の効率化及び承認審査の迅速化を図る。

設計・開発 安全性試験

性能試験

臨床試験

承認

審査

製品開発の効率化治験相談

申請前相談の活用

承認審査の迅速化

評価指標(MHLW)

申請

※ 開発のためのガイドラインをMETIで作成12

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次世代医療機器評価指標の整備平成20年4月公表

○ 次世代型高機能人工心臓

○ DNAチップを用いた遺伝子型判定用診断薬

平成22年1月公表

○ 骨折整復支援装置 ○ 関節手術支援装置

○ 角膜上皮細胞シート ○ 重症心不全細胞治療用細胞シート

平成22年5月公表

○ 角膜内皮細胞シート ○ 軟組織に適用するコンピュータ支援手術装置

平成22年12月公表

○ 関節軟骨再生 ○ 神経機能修飾装置

○ 整形外科用骨接合材料カスタムメイドインプラント

現在、作成中の評価指標案

○ 歯周組織治療用細胞シート

○ カスタムメイド人工股関節

○ コンピューター診断支援装置

○ DNAチップ等を用いる遺伝子発現解析装置

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医療機器開発ガイドライン策定事業

平成19年5月公表

1.DNAチップ

2.高機能人工心臓システム

平成20年6月公表

3.ナビゲーション医療分野共通部分 4.骨折整復支援システム

5.脳腫瘍レーザスキャンシステム 6.次世代(高機能)人工股関節

7.ハイブリッド型人工骨・骨補填剤 8.ヒト細胞培養加工装置の設計ガイドライン

平成22年2月公表

9.ヒト細胞培養加工装置の設計ガイドライン(改訂)

平成22年11月公表

10.ナビゲーション医療機器の位置的性能の品質担保

11.カスタムメード骨接合材料

12.植込み型神経刺激装置

13.除染パスボックス設計審査ガイドライン

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カスタムメイド人工股関節の評価指標

平成22年度 次世代医療機器評価指標事業

カスタムメイド分野 審査WG報告書

審査WG座長

東邦大学医学部 整形外科学教室

勝呂 徹 教授

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WGの開催

平成22年度中に4回のWGを開催し、評価指標を作成

第1回 平成22年9月24日 第2回 平成22年11月11日 第3回 平成22年12月15日 第4回 平成23年2月9日

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評価指標の対象

整形外科用インプラントのうち、人工股関節(人工骨頭を含む)を対象とする

カスタムメイド人工股関節の定義:

既製品を基礎として患者個々の骨形状に応じて不適合な部分が存在する場合に、必要最小限の形状付与(ミニマリーモディファイド)をすることによって、生体適合性、固定性などを向上させた人工股関節

カスタムメイドは多くのバリエーションが考えられる

既存の形状をもとに、必要最小限の形状付与した製品をまずは考えよう

その範囲であれば、安全性、性能評価は規定が可能では?

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評価指標の位置付け

問題点、留意すべき事項を網羅的に示したものではなく、現時点で考えられる点について示したもの

今後更なる技術革新や知見の集積等を踏まえ、改定されるものであり、申請内容等に関して拘束力を有するものではない。

個別の製品の特性を十分に理解してうえで、科学的な合理性をもって柔軟に対応することが必要

本指標の他、国内外のその他の関連ガイドラインを参考にすることも考慮すべき

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承認申請書の記載事項

形状、構造及び原理

カスタムメイド人工股関節を作製し得る範囲を既製品と区別し、明確に記載する。

基礎となる既製品と同等あるいは同等以上の性能を有することを製造記述基準から説明する

使用目的、効能又は効果

以下の場合に使用する

医師が既製品では十分な治療効果が得られないと判断した場合

医師が、既製品を使用した場合と比べ、格段にすぐれた治療効果が得られると判断した場合

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その他

カスタムメイド人工股関節の基礎となる既製品のデータを記載すること

医師が作成する仕様書の様式(案)を添付すること

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評価

製造技術の評価

安全性の評価

力学的安全性の評価

既製品と同等又はそれ以上であることを、説明すること

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市場調査・文献調査

探索的臨床試験

生物学的安全性試験

安定性試験

非臨床試験開発前 臨床試験臨床試験の必要性検討

検証的臨床試験

申請書作成

申請準備

安全性確認相談

申請前相談 治験相談改正前相談区分(2)

性能試験

電気安全性試験

現行(9)

医療機器の開発段階に応じた相談メニューの拡充<開発の各段階における様々なニーズにきめ細かく対応することにより、開発の促進や承認審査の迅速化に寄与>

開発前相談

品質相談

性能試験相談

臨床評価相談

探索的治験相談

治験相談

申請前相談

申請手続相談

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対面助言の際の相談手数料等

(細胞・組織加工製品の手数料等に係る取り扱い)

品質及び安全性に係る相談については、治験薬、治験機器のいずれにおいても、当該手数料は、「医薬品戦略

相談」区分の手数料(1,498,800円)とする。

また、その場合は、同一の治験薬又は治験機器を対象とするものであって、治験計画の届出を行う前に当該製

品の品質及び安全性に係る十分な確認を行うために必要な範囲で、複数日に渡って相談を行う場合であっても

、「医薬品戦略相談」1相談分の手数料とする。

ただし、治験プロトコール等品質及び安全性以外に係る相談を併せて希望する場合には、相談区分に応じた手

数料を別途納付して頂くことになる。この場合、品質及び安全性に係る相談に引き続き併せて治験プロトコール

等に係る相談を行うことは可能。

医薬品戦略相談※1 1相談当たり※2 1,498,800円

医薬品戦略相談(別に定める要件を満たす大学・研究機関、ベンチャー企業)※1 1相談当たり※2 149,800円

医療機器戦略相談※3 1相談当たり※2 849,700円

医療機器戦略相談(別に定める要件を満たす大学・研究機関、ベンチャー企業)※3 1相談当たり※2 84,900円

※1:細胞・組織加工製品は、医薬品戦略相談の手数料を適用。※2:対面助言の1相談当たりの相談時間は2時間程度。※3:体外診断薬は、医療機器戦略相談の手数料を適用。

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「別に定める要件を満たす大学・研究機関、ベンチャー企業」(低額要件適用対象)

原則として、下記の要件をすべて満たすこと。(大学・研究機関) 国から当該シーズに係る研究費を医薬品については9,000万円、医療機器については

5,000万円程度以上受けていないこと 当該シーズに係る製薬企業・医療機器開発企業との共同研究契約等により、当該シーズ

の実用化に向けた研究費を当該企業から受けていないこと(ベンチャー企業) 中小企業であること(従業員数300人以下又は資本金3億円以下) 他の法人が株式総数又は出資総額の1/2以上の株式又は出資金を有していないこと 複数の法人が株式総数又は出資総額の2/3以上の株式又は出資金を有していないこと 前事業年度において、当期利益が計上されていない又は当期利益は計上されているが

事業収益がないこと

(注意事項)ベンチャー企業に係る低額要件適用については、以下の点にご留意下さい。

① 上記のベンチャー企業に関する項目中にある「法人」について、ベンチャー・キャピタルなど投資事業組合等の取扱いについては、関連する法令・基準等の運用に準じて個別に判断します。

② 当期利益に関し、会計処理上、開発費について繰延資産として計上している場合は、仮に費用として処理した場合における当期利益相当額を参考とします。

③ 前事業年度の決算において特別な事情等があり、直近2期における決算状況により判断する必要があると認められる場合には追って当該関連資料を提出いただき確認したうえで判断します。

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【詳しい内容はPMDAホームページでご確認ください】

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ご静聴ありがとうございました

総合機構のウェブサイトをご参照下さい。

・ URL : http://www.pmda.go.jp/PMDA業務情報からアクセスできます。