ハンガー反射現象の痙性斜頸患者への医療応用 -...
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ハンガー反射現象の痙性斜頸患者への医療応用Application of Hanger Reflex to Cervical Dystonia
JSTさきがけ 「情報環境と人」研究領域,電気通信大学 梶本裕之
痙性斜頸
痙性斜頸:首の運動を伴う運動障害の一種全国に推定1万人程度
従来の治療法
ボツリヌス毒注射,選択的末梢神経の切断,脳深部刺激
ハンガー反射
同じく原因不明の首回旋現象1995年バラエティ番組で初めて紹介
痙性斜頸による回旋を相殺可能?
ツボはどこか
頭周に圧力分布センサを巻き,ハンガーを少しずつ回転させながら装着,頭部回転を測定
ツボはどこか
ツボはどこか
(a) ハンガー角度55°の際の頭部圧力分布
(b) ハンガー角度360°の際の頭部圧力分布
ツボを押すためだけのハンガー
ツボを押すハンガー的装具
1c 装具
2 外層部
7 圧迫器
7a 圧迫器
11 頭部7b 圧迫器
1c 装具
可動
71 接触部72a 第1の弾性体
7a 圧迫器
75a 固定部
75b 固定部74 調整部
73a 第1の調整板
73b 第2の調整板
72b 第2の弾性体
プラスチックギブスの弾性を利用。ハンガー反射のツボを押す
ツボを押す,痛くないハンガー的装具
(準)量産
CFRPによる弾性最適化・強度向上、量産
治験・開発体制
• 電気通信大学:装具の開発、症状スコアリング等• 吉田義肢装具研究所:装具の開発• 富山大学附属病院:治験の取りまとめ• 順天堂大学医学部付属順天堂病院:治験• 順天堂大学医学部付属浦安病院:治験• 山口大学医学部附属病院:治験• 東京女子医科大学附属病院:治験
現場的視点
(1)患者を集めるのが(意外に)大変 目立たない(と思っていた)ハンガーデバイスも装着に抵抗感.ボツリヌス
毒注射の方が人気. 現在のハンガーでは首の回転3軸のうち,1軸(左右回転)しか対応でき
ない⇒患者の約1/3のみ対象
(2)スコアリング(症状評価)が大変 首の角度(3軸),首の移動(3軸),肩の上がり方等で計測. 測定時間が長い.測定の基準姿勢が曖昧で数値に再現性が無い. 可動範囲,振戦(ふるえ)の定量化が難しい 15度刻みの点数付け⇒デバイス装着による影響を定量的に示しにくい
(2)症状スコアリングの自動化
• 短時間,正確なスコアリングへ• 医師のスコアリングとの比較による検証
評価
V.S.
Kinect:すべての軸において、十分な精度医師:得意不得意な軸が存在
ハンガー反射のメカニズム(仮説の一つ)
1. 皮膚圧迫を外力として誤認
2. 首姿勢を安定化する働きが無意識に生じる(反射的運動)
3. 自分の運動を認識,外力が与えられていると理解(誤解)
一つの錯覚現象の中で,無意識的錯誤と,意識的錯誤が組み合っている?
① ② ③
デモ概要
ハンガー×10,痙性斜頸用装具×5(サイズ違い),ハンガーマシン,症状スコアリングシステム