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2016年熊本地震で形成された阿蘇カルデラ内 のアースフロー堆積物(速報) Earthflow deposits from earthquake-induced landslide in Aso caldera triggered by the Kumamoto-Oita Earthquake 奥野 充(福岡大)・鳥井真之(熊本大)・西山賢一(徳島 大)・横田修一郎(島根大・名誉)・井口 隆(防災科 研)・高見智之(国際航業)・加藤靖郎(川崎地質)・宮崎 精介(九州地質コンサルタント)・長谷中利昭・北園芳人 (熊本大)・九州応用地質学会WG斜面災害班 M. Okuno, M. Torii, K. Nishiyama, S. Yokota, T. Inokuchi, T. Takami, Y. Kato, S. Miyazaki, T. Hasenaka, Y. Kitazono and the Slope Disaster WG of JSEG Kyushu Branch 東北地理学会 2016年度春季大会 2016514宮城教育大) 430日撮影) 阿蘇火山の地 質図(小野・渡 辺,1985草千里ヶ浜 烏帽子岳 火山研究センター 山王谷川 対象地形イメージの概観 (カシミール3Dで作成) 975 m 京大火山研究センター 約5万円前の溶岩ドーム ローム層の厚さ=約13m (国土地理院,416日撮影)

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Page 1: アースフロー 160514 r1tohokugeo.jp/conference/ppt2_okuno.pdf烏帽子岳西斜面の975 mピーク南麓に 流下したアースフロー堆積物 山王谷川は,975 mピークの北斜面

2016年熊本地震で形成された阿蘇カルデラ内のアースフロー堆積物(速報)Earthflow deposits from earthquake-induced landslide in Aso caldera triggered by the Kumamoto-Oita Earthquake

奥野 充(福岡大)・鳥井真之(熊本大)・西山賢一(徳島大)・横田修一郎(島根大・名誉)・井口  隆(防災科研)・高見智之(国際航業)・加藤靖郎(川崎地質)・宮崎精介(九州地質コンサルタント)・長谷中利昭・北園芳人(熊本大)・九州応用地質学会WG斜面災害班M. Okuno, M. Torii, K. Nishiyama, S. Yokota, T. Inokuchi, T. Takami, Y. Kato, S. Miyazaki, T. Hasenaka, Y. Kitazono and the Slope Disaster WG of JSEG Kyushu Branch

東北地理学会 2016年度春季大会 (2016年5月14日 宮城教育大)

(4月30日撮影)

阿蘇火山の地質図(小野・渡辺,1985)

草千里ヶ浜

烏帽子岳

火山研究センター

山王谷川

対象地形イメージの概観 (カシミール3Dで作成)

975 m京大火山研究センター 約5万円前の溶岩ドーム ローム層の厚さ=約13m

(国土地理院,4月16日撮影)

Page 2: アースフロー 160514 r1tohokugeo.jp/conference/ppt2_okuno.pdf烏帽子岳西斜面の975 mピーク南麓に 流下したアースフロー堆積物 山王谷川は,975 mピークの北斜面

住宅を破壊したユニット1

(5月8日撮影) ユニット1が住宅を破壊した時間?(5月8日撮影)

(4月30日撮影)

ユニット1に覆われる側方崖 擦跡が残されている

(4月30日撮影)

Page 3: アースフロー 160514 r1tohokugeo.jp/conference/ppt2_okuno.pdf烏帽子岳西斜面の975 mピーク南麓に 流下したアースフロー堆積物 山王谷川は,975 mピークの北斜面

ユニット1の南縁から西方を望む

(4月30日撮影)

ユニット3の底部に露出したすべり面(草千里ヶ浜降下軽石)

(4月30日撮影)

(5月8日撮影)

ユニット2内の最終フローブに見られるATと草千里ヶ浜降下軽石

(4月30日撮影)

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ユニット4と火山研究センター 滑落崖と側方崖が見える

(4月30日撮影)

ユニット4中流域の溶岩堤防状の地形(4月30日撮影)

外側から見た溶岩堤防状の地形(ユニット1Cの東側)

(4月30日撮影)

まとめ(京大火山研究センター)

!  京大火山研究センター西側のアースフロー堆積物は,少なくとも4ユニットに区分できる.

!  ユニット1に覆われる斜面に側方崖が認められ,ユニット1の流下中に再度,この付近で地すべりが発生したことを示す.

!  これによって滑ったブロックも,ユニット1に覆われ,ユニット2の流路をとめている.

!  ユニット3は,相対的に低い部分を忠実に流れており,比較的後半にゆっくり流れたものである.

!  ユニット4と1Cは,典型的な地すべり地形を示すが,一部に溶岩堤防状の地形も認められる.

Page 5: アースフロー 160514 r1tohokugeo.jp/conference/ppt2_okuno.pdf烏帽子岳西斜面の975 mピーク南麓に 流下したアースフロー堆積物 山王谷川は,975 mピークの北斜面

山王谷川沿い(国土地理院,4月16日撮影)

橋脚の塞き止め

(5月1日撮影)

(5月1日撮影) (5月1日撮影)

Page 6: アースフロー 160514 r1tohokugeo.jp/conference/ppt2_okuno.pdf烏帽子岳西斜面の975 mピーク南麓に 流下したアースフロー堆積物 山王谷川は,975 mピークの北斜面

(5月1日撮影) (5月1日撮影)

(5月1日撮影)

アースフロー堆積物

斜面崩壊堆積物

土石流堆積物

(5月9日撮影)

Page 7: アースフロー 160514 r1tohokugeo.jp/conference/ppt2_okuno.pdf烏帽子岳西斜面の975 mピーク南麓に 流下したアースフロー堆積物 山王谷川は,975 mピークの北斜面

山王谷川沿いのアースフロー堆積物 (オーバーフロー部)

(5月1日撮影)

下流部のアースフロー堆積物

(5月1日撮影)

アースフローを覆う泥流堆積物 (山王谷川沿い)

(5月1日撮影)

土石流/泥流堆積物

(5月1日撮影)

Page 8: アースフロー 160514 r1tohokugeo.jp/conference/ppt2_okuno.pdf烏帽子岳西斜面の975 mピーク南麓に 流下したアースフロー堆積物 山王谷川は,975 mピークの北斜面

烏帽子岳西斜面の975 mピーク南麓に流下したアースフロー堆積物

山王谷川は,975 mピークの北斜面(5月8日撮影)

2016年堆積物 1つ前?堆積物

2つ前?堆積物

(5月8日撮影)

1つ前?堆積物 2つ前?堆積物

(5月8日撮影)

草千里ヶ浜

烏帽子岳

火山研究センター

山王谷川

975 m

(カシミール3Dで作成)

Page 9: アースフロー 160514 r1tohokugeo.jp/conference/ppt2_okuno.pdf烏帽子岳西斜面の975 mピーク南麓に 流下したアースフロー堆積物 山王谷川は,975 mピークの北斜面

滑落部に露出する草千里ヶ浜降下軽石(一部の層準が粘土化している)

(5月8日撮影)

まとめ(全体)

!  京大火山研究センター西側斜面では,地すべりによってアースフロー堆積物が形成された.

!  山王谷川沿いに分布する土石流堆積物も,アースフロー堆積物であると考えられる.

!  山王谷川の上流でも地すべりが発生しており,それに伴うアースフロー堆積物が分布している.

!  過去のアースフロー堆積物と考えられる地形もあり,これらのイベントを編年できる可能性がある.

!  これらは,厚く堆積したローム層が地震動で滑落し,流動化したもので,一般の土石流や地すべりとは区分すべきである.