キユーピー グループ全体の業務の見える化に貢献し...

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ソリューション概要 ○プロファイル 株式会社トウ・ソリューションズは、キユーピー グループ企業の情報システムの構築、運用を担っ ている会社です。システムの企画から、設計、開発、 運用、開発支援まで一気通貫で提供する高い技 術力と食品製造のノウハウを活かし、最近ではク ラウド型の生産管理システム「FOODPROCS-Lite ( フードプロックス ライト) 」をリリースするなど、 外部企業へのソリューション提供にも力を入れて います。 ○導入製品とサービス Microsoft Azure - HDInsight ○導入メリット ・約 7,500 台の PC の操作ログを高速に解析 ・全社員の PC の操作を可視化して、業務改善に 貢献 ・システム導入の効果やシステム クローズの影響 が測定可能に ・新しいシステムへのビッグ データ活用基盤とし ても期待 ○ユーザー コメント 「システム移行では、Linux のシェル スクリプト PowerShell に変えましたが、それ以外はほぼ そのまま流用できましたので、ほとんど苦労しま せんでした 」 株式会社トウ・ソリューションズ システムソリューション部 ソリューション課 金子 昌史 株式会社トウ・ソリューションズ 導入背景とねらい グループ全体の業務改善プロジェクトに PC 操作ログのビッグ データ解析を提案 株式会社トウ・ソリューションズ ( 以下、トウ・ソリューションズ ) は、キユーピー株式会社 ( 以下、 キユーピー ) およびアヲハタ株式会社の筆頭株主である株式会社中島董商店の IT 事業部門と キユーピーの情報部門が 2005 年に統合されて設立された企業です。キユーピー グループ企業に 対して、システムの企画から、設計、開発、運用、開発支援まで一気通貫で提供する一方、グループ 外の企業にも、業務コンサルティングやシステム開発、運用などのサービスを提供しています。 クラウドやビッグ データなど、最新の IT 技術の研究、開発にも積極的です。特に数年前から、 大量のデータを手軽に分散処理できるオープンソースの Hadoop には注目していたと、株式会社 トウ・ソリューションズ システムソリューション部 ソリューション課 松尾 俊秀 氏は次のように 語ります。 「もともと、3 年ほど前に Hadoop の研究会に参加したことをきっかけに、ビッグ データ解析 の研究、開発は進めていました。徐々に見通しが立ってきたことで、キユーピー本社の IT 部門 に対して、『ビッグ データ解析がかなり使えるレベルになってきた』といろいろな機会に提案し ていました 」 ( 松尾氏 ) キユーピー グループ全体の業務の見える化に貢献し、 将来のビッグ データ活用への道を切り拓いた Azure HDInsight 株式会社トウ・ソリューションズは、キユーピー グループ企業に対して、システムの企画から設計、 開発、運用、開発支援までを一気通貫で提供している企業です。グループ全体で推進される業務 改善プロジェクトに対し、同社は PC 操作ログのビッグ データ解析を提案。約 7,500 台もの PC の操作ログを Microsoft Azure HDInsight で解析することにより、グループ全体の業務の見え る化に貢献しました。 キユーピー グループ企業の情報システム構築、運用だけでなく、グループ外の企業に対しても、そのノウハウを活かした 生産管理システム FOODPROCS-Lite などを販売しています

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ソリューション概要

○プロファイル株式会社トウ・ソリューションズは、キユーピー グループ企業の情報システムの構築、運用を担っている会社です。システムの企画から、設計、開発、運用、開発支援まで一気通貫で提供する高い技術力と食品製造のノウハウを活かし、最近ではクラウド型の生産管理システム「FOODPROCS-Lite (フードプロックス ライト)」をリリースするなど、外部企業へのソリューション提供にも力を入れています。

○導入製品とサービス・ Microsoft Azure - HDInsight

○導入メリット・約 7,500 台の PC の操作ログを高速に解析・全社員の PC の操作を可視化して、業務改善に 貢献・システム導入の効果やシステム クローズの影響 が測定可能に・新しいシステムへのビッグ データ活用基盤とし ても期待

○ユーザー コメント「システム移行では、Linux のシェル スクリプトを PowerShell に変えましたが、それ以外はほぼそのまま流用できましたので、ほとんど苦労しませんでした」

株式会社トウ・ソリューションズシステムソリューション部ソリューション課金子 昌史 氏

株式会社トウ・ソリューションズ

導入背景とねらいグループ全体の業務改善プロジェクトにPC 操作ログのビッグ データ解析を提案

株式会社トウ・ソリューションズ (以下、トウ・ソリューションズ ) は、キユーピー株式会社 (以下、キユーピー ) およびアヲハタ株式会社の筆頭株主である株式会社中島董商店の IT 事業部門とキユーピーの情報部門が 2005 年に統合されて設立された企業です。キユーピー グループ企業に対して、システムの企画から、設計、開発、運用、開発支援まで一気通貫で提供する一方、グループ外の企業にも、業務コンサルティングやシステム開発、運用などのサービスを提供しています。

クラウドやビッグ データなど、最新の IT 技術の研究、開発にも積極的です。特に数年前から、大量のデータを手軽に分散処理できるオープンソースの Hadoop には注目していたと、株式会社トウ・ソリューションズ システムソリューション部 ソリューション課 松尾 俊秀 氏は次のように語ります。

「もともと、3 年ほど前に Hadoop の研究会に参加したことをきっかけに、ビッグ データ解析の研究、開発は進めていました。徐々に見通しが立ってきたことで、キユーピー本社の IT 部門に対して、『ビッグ データ解析がかなり使えるレベルになってきた』といろいろな機会に提案していました」 (松尾氏 )

キユーピー グループ全体の業務の見える化に貢献し、将来のビッグ データ活用への道を切り拓いた Azure の HDInsight

株式会社トウ・ソリューションズは、キユーピー グループ企業に対して、システムの企画から設計、開発、運用、開発支援までを一気通貫で提供している企業です。グループ全体で推進される業務改善プロジェクトに対し、同社は PC 操作ログのビッグ データ解析を提案。約 7,500 台もの PC

の操作ログを Microsoft Azure の HDInsight で解析することにより、グループ全体の業務の見える化に貢献しました。

キユーピー グループ企業の情報システム構築、運用だけでなく、グループ外の企業に対しても、そのノウハウを活かした生産管理システム FOODPROCS-Lite などを販売しています

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株式会社トウ・ソリューションズ

こうした活動は、2014 年、キユーピー グループ全体を対象に始まった業務改善プロジェクトで実を結ぶことになります。

「 も と も と、 古 い ノート PC を 6 台 並 べ、Cloudera Manager で

Hadoop 環境を構築して、PC の操作ログを解析する検証を行っていました。これを全社展開すれば、業務改善につながるさまざまなムダを発見できるだろうと提案したところ、非常に好評で、正式に開発、運用することが決まったのです」 (松尾氏 )

導入の経緯6 台のノート PC で構築したビッグ データ解析環境をMicrosoft Azure に移行

ただし、PC 台数はグループ全体で約 7,500 台にもなるため、検証用に使っていた 6 台のノート PC では、とても対応できません。そこで、Hadoop が利用できるクラウド サービスとして、Microsoft Azure、Amazon Web Services、IIJ GIO の 3 つをピックアップし、比較検討を行いました。

「まず、初期導入コストとランニング コストをチェックし、操作性と処理性能も比較しました。また、これまで 6 台のノート PC で使っていた検証環境の移行が容易かどうかも重要なポイントでした。いずれの点でも Azure の Hadoop 機能である HDInsight の評価が高く、Azure に決定しました」 (松尾氏 )

さらに、もう 1 点、重要な決め手となったのがサポートです。株式会社トウ・ソリューションズ システムソリューション部 ソリューション課

金子 昌史 氏は、次のように強調します。

「HDInsight のエンタープライズでの活用例がまだ少なく、不安もあったので、マイクロソフトの担当者には何度も足を運んでいただき、話を聞いてもらいました。最終的には、この手厚いサポートが決め手になったのです」 (金子氏 )

こうしてシステムの Azure への移行がスタート。スクリプトの一部の修正は必要でしたが、それ以外はほぼそのまま流用するだけで移行は完了し、2014 年 4 月から、本格運用がスタートしました。

導入の成果業務の見える化でさまざまな分析が可能となり、業務改善に貢献

毎日、約 7,500 台の PC の操作ログがデータセンターのサーバー上に収集されています。1 週間分のデータが蓄積されると Azure のストレージに送信され、HDInsight で解析、集計。キユーピー本社の情報システム部門は、その結果にアクセスし、さまざまな角度からデータを分析する仕掛けです。新しいシステムの効果は、すぐに現れました。

「エクスプローラーの操作を分析したとろ、1 日平均で約 30 分が『ファイルを探すこと』に費やされていることがわかりました。グループ全体で 1 日約 4,000 時間が使われています。こうした情報は業務改善プロジェクトの会議でも活用されますし、社員にメールで伝えられることもあります」 (松尾氏 )

もちろん、これは一例にすぎません。その他にも、利用されているアプリケーションの種類、時間別の操作の傾向、新入社員とベテラン社員の操作の違いなど、さまざまな角度から分析が行われています。全社員の

PC 操作が見える化されたことで、新しいシステムの効果測定やシステム クローズ時の活用にも期待が集まっています。

「このシステムを使うと、なんらかのしくみを導入したあと、そのしくみがどれくらい使われているかを客観的に知ることができます。逆に、システムをクローズするとき、実際にどれくらい使われているかを確認し、クローズ後に問題が発生しないように役立てることもできると思います」

(金子氏 )

株式会社トウ・ソリューションズシステムソリューション部 ソリューション課松尾 俊秀 氏

株式会社トウ・ソリューションズシステムソリューション部 ソリューション課金子 昌史 氏

株式会社トウ・ソリューションズシステムソリューション部 ソリューション課 課長石川 知敬 氏

システム構成図

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今後の展開新たなビッグ データ活用の基盤としても期待が集まる

本格稼働からまだ半年ですが、既に多くの成果が現れつつあります。今後、データがさらに蓄積されれば、さらにさまざまな分析が可能になるでしょう。蓄積されるデータが増えるのに伴って、システムの改変も検討されています。株式会社トウ・ソリューションズ システムソリューション部 ソリューション課 課長 石川 知敬 氏は次のように説明します。

「現在は、ログを収集するサーバーがデータセンターにあるため、データセンターに 1 週間分のログ データを集めたあと、週次で Azure に送っています。月にすると約 20 ~ 25 GB 程度のデータになります。しかし、データセンターのストレージのことを考えると、Azure に直接データを送った方が、コスト的にも有利ですし、運用管理も楽になると考えています」

(石川氏)

また、今回のシステムの成功を受けて、新たなシステムへの応用にも期待が高まっています。

「現在は、受発注システムの予測に活用できないかと考えています。たとえば、新商品を発注する際、従来のシステムだと、過去の実績がないため発注数を出すことができません。しかし、過去の受発注データや天気、気候などの外部のデータを組み合わせることで、発注数の予測が可能ではないかと考えています。また、災害時などだれも出社できない状況でも、コンピューターに予測させて発注処理を止めないしくみも実現できるのではないかと思います」 (松尾氏)

現在、ビッグ データ活用は、多くの企業にとって重要なテーマです。「データはあるのに、どう使ったらよいかわからない」という企業が少なくない中、Azure を活用したトウ・ソリューションズの取り組みは、キユーピー

グループ全体のビッグ データ活用にも、大きな影響を及ぼすことになりそうです。

株式会社トウ・ソリューションズ

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導入についてのお問い合わせ本ケース スタディは、インターネット上でも参照できます。http://www.microsoft.com/ja-jp/casestudies/本ケース スタディに記載された情報は制作当時 (2015年 7 月 ) のものであり、閲覧される時点では、変更されている可能性があることをご了承ください。本ケース スタディは情報提供のみを目的としています。Microsoft は、明示的または暗示的を問わず、本書にいかなる保証も与えるものではありません。製品に関するお問い合わせは次のインフォメーションをご利用ください。■インターネット ホームページ http://www.microsoft.com/ja-jp/■マイクロソフト カスタマー インフォメーションセンター 0120-41-6755(9:00 ~ 17:30 土日祝日、弊社指定休業日を除く )※電話番号のおかけ間違いにご注意ください。*記載されている、会社名、製品名、ロゴ等は、各社の登録商標または商標です。*製品の仕様は、予告なく変更することがあります。予めご了承ください。

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