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セカンドライフ マネープラン セカンドライフ マネープラン ver.3

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Page 1: セカンドライフ の マネープランe-fuji.or.jp/book/peep/secondlife.pdf1 はじめに セカンドライフのマネープランの課題は年金・医療・介護の問題です。

セカンドライフのマネープラン

富士社会教育センター

セカンドライフの

マネープラン

セカンドライフの

マネープラン

発行:公益財団法人富士社会教育センター〈201410-3d-3000〉       定価 : 667円+税

ver.3

Page 2: セカンドライフ の マネープランe-fuji.or.jp/book/peep/secondlife.pdf1 はじめに セカンドライフのマネープランの課題は年金・医療・介護の問題です。

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はじめに

セカンドライフのマネープランの課題は年金・医療・介護の問題です。

現在 50 歳のサラリーマンが 15 年後の 65 歳になると、人口の3割は 65 歳以上とな

り、75 歳以上が人口の2割弱になると予想されています。

当然のことながら、このことは年金財政を直撃します。寿命が延びることは年金給付

が増えることです。現在の日本の年金は働く世代の保険料で高齢者の年金を賄う「賦課

方式」をとっています。

〈2004(平成 16)年の年金改正〉 マクロ経済スライドの導入と所得代替率の確保

マクロ経済スライドの仕組みは、少子化の影響による被保険者数の減少分と平均余命

の伸び率分を毎年度の年金率に反映することで、給付水準の抑制をはかるものです。つ

まり年金財政が危機的状況になると見込まれる場合は、自動調節が働く仕組みです。

所得代替率の確保とは、標準的な世帯の年金額が、働く現役世代の平均的な手取り賃

金(39.5 万円)に対して、59.3%でした。所得代替率は、賃金の上昇率と年金積立金

の運用利回りの上方修正により代替率を押し上げます。また出生率の低下と寿命の延び

で代替率はマイナスとなります。公的年金制度は5年に1度、財政再計算されます。

2009 年に再計算された所得代替率は 62.3%でした(上昇した理由は、今回の平均手取

り賃金が 35.8 万円に低下したため)。今後、年金財政は想定をはるかに超えるスピード

で悪化していく可能性が高いのです。現在 30 歳の人が 65 歳以降に受取る年金額は現

在の水準に換算して8割ぐらいになりそうです。現在 50 歳の人が 65 歳以降に受取る

年金額は現在の水準を維持できそうです。しかし、今後の 10 年間で日本の財政が破綻

した場合、ハイパーインフレとなり、定年後の生活は最悪の状況になります。そのとき

に困る人は、将来の年金生活世代になります。その意味でセカンドライフの第一の課題

は、将来のインフレに対しての生活防衛です。そのためには、資金を流動性資金と安全

性資金とインフレ対応資金に分散積立をすることが重要です。将来のインフレに対する

資金の目減り対策は、ドルコスト平均法(期間を分散して積立てる方法で投信の価額か

下がったときは多く、上がったときは少なく買い付ける)で投資信託を少しずつ積立を

する「積立型投資信託」がベターな方法です(国がインフレの責任賠償を取ることはあ

りません)。

次に医療費の問題ですが、厚生労働省の資料によれば、2012 年度は 39 兆 2117 億円

となりました。国民一人当たりの金額では、65 歳未満が 17 万 7100 円で、65 歳以上

が 71 万 7200 円です。今後さらに高齢化による医療費の財源問題は深刻になります。

医療費の財政問題は、公的保険給付の内容や範囲の見直しを含め、産科や小児科、地方

の医師不足、病院の経営危機による受診機会の喪失、救急医療体制の対応不能などの問

題をさらに深刻にしています。

我が家のセカンドライフの医療問題は、地域の医療現場の高齢者療養情報を把握して

家族の病気に備えることや、世帯を分離して医療費負担の軽減措置を図ること、そして

後期高齢者の場合は標準負担額減額認定を受けることが大切です。

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目 次

はじめに 1

セカンドライフのマネープラン 25 の質問 5

第 1章 セカンドライフは設計図が必要 6

第1節 セカンドライフの家計収支の現状 6

1.高齢夫婦無職世帯の家計収支 6

2.60 歳以上の単身無職世帯の家計収支 7

3.我が家のセカンドライフの家計収支 8

第 2 節 健康保険料・介護保険料の決め方と納め方 9

1.国民健康保険料の計算方法 9

2.職場の医療保険と介護保険の場合 10

3.65 歳以上の1号介護保険料 10

4.我が家の健康保険料と介護保険料を確認してみよう 11

第3節 セカンドライフの経済設計 12

1.経済設計の7つのポイント 12

2.我が家の経済設計を明確してみよう 13

第2章 セカンドライフの公的医療保険と公的年金 14

第1節 セカンドライフの公的医療保険 14

1.退職後の公的医療保険 14

2.高額療養費の自己負担限度額 15

第2節 公的年金はいくらもらえるか 15

1.老齢厚生年金 15

2.我が家の年金がいくらもらえるか記入してみよう 17

3.遺族厚生年金 18

4.我が家の遺族厚生年金 18

5.在職老齢年金 21

6.高年齢雇用継続給付金 21

7.65 歳以後の在職老齢年金 22

8.我が家の在職老齢年金を計算してみよう 22

第3章 税金と国民健康保険と介護保険のシミュレーション 23

第1節 所得税・住民税・公的年金控除 23

1.所得税 23

2.住民税 23

3.公的年金等控除 24

第2節 シミュレーション計算してみよう 25

第4章 退職金は退職一時金か企業年金か 28

第1節 退職一時金の税金について 28

1.退職一時金の控除額 28

2.確定拠出年金の運用 28

3.退職金と企業年金はどちらが得か 29

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第5章 75歳からの後期高齢者医療制度 31

第1節 後期高齢者医療制度の保険料 31

1.保険料 31

2.均等割額の計算 31

3.所得割額の計算 32

第2節 75 歳からの介護保険料 32

1.1号介護保険料の計算 32

第6章 セカンドライフの生活資金は手堅く運用しよう 34

第1節 セカンドライフの経済設計 34

1.セカンドライフの経済設計 34

2.お茶の間の経済学 34

第2節 手堅い資金運用 35

1.間接型と直接型 35

2.セカンドライフの資金運用 36

第3節 資金運用の考え方 36

1.投資信託と資金分散 36

第 4 節 我が家の退職金の資金分散 37

第7章 セカンドライフの生命保険 39

第1節 セカンドライフの遺族の生活費 39

1.知らないと損する生命保険 39

2.遺された遺族の生活費 39

3.我が家のセカンドライフの生命保険 40

4.医療保険はムリをしない 40

5.民間の介護保険 40

第8章 介護サービスと介護費用 41

第1節 介護認定と費用負担 41

1.デイサービスの費用負担 41

第2節 実際のデイサービスの費用 42

第3節 施設の種類と費用 43

第4節 特別養護老人ホームの申込み方法 44

第9章 有料老人ホームの選択 46

第1節 有料老人ホームの選択 46

1.選択のチェックポイント 46

2.チェックポイントの内容 46

第 2 節 セカンドライフの高齢者住宅の選択 48

1.ケアハウス 48

2.軽費老人ホームA型 48

3.高齢者向け優良賃貸住宅 48

第 10章 固定資産税と都市計画税 49

第1節 固定資産税と都市計画税 49

1.固定資産税 49

2.都市計画税 49

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第 11章 65歳からの働き方 50

第1節 シルバー人材センター 50

第2節 ハローワーク 50

第3節 65 歳からの能力開発 51

第 12章 葬儀の費用と手順 52

第1節 一般葬(家族葬)の費用 52

第2節 葬儀の手順 52

1.葬式の手順 52

2.葬儀後の手続き 52

第 13章 相続税・贈与税 53

第1節 相続税 53

1.相続人と法定相続分 53

2.相続の承認と放棄 53

3.遺言 53

4.遺留分と減殺請求 53

5.相続税の計算 54

6.配偶者の税額軽減 54

7.みなし相続財産の非課税金額 54

第2節 贈与税 55

1.贈与税の基礎控除 55

2.贈与税の配偶者控除 55

3.相続時精算課税制度 56

4.住宅取得に関する贈与税の活用 56

5.教育資金の一括贈与の非課税措置 56

第 14章 セカンドライフの落とし穴 57

第1節 資金運用の落とし穴 57

第2節 住宅ローンと連帯保証人 57

第3節 悪徳商法から身を守る 58

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第1章 セカンドライフは設計図が必要

第1章は我が家のセカンドライフの家計収支の課題です。最大のポイントは 65 歳からの国民

健康保険料と介護保険料の問題です。国民健康保険料はすべて住民税と連動していることを理解

することが大切です。3節では経済設計の7つのポイントを明確にしています。我が家のポイン

トを明確にしましょう。そしてライフイベントと純資金確認表の作成もしてみましょう。

第1節 セカンドライフの家計収支の現状 現役時代と定年後では収入は大幅に減少し、支出が変わります。

セカンドライフの収入は年金収入が基本になります。また、現役時代の交際費は減少し、

地域の冠婚葬祭の費用が多くなります。

生命保険文化センターの調査によると、現役時代の世帯年収が 300 万から 500 万円程度

の人が、夫婦二人で暮らしていくための最低限の日常生活費は 22 万 5000 円、ゆとりある

生活をしようと考えるなら 36 万 5000 円程度かかるようです。

あなたはセカンドライフの収支計画はいくらをお考えですか。

問題なのは非消費支出です。所得税や住民税や国民健康保険料・介護保険料、さらに自

分の家の固定資産税や都市計画税があるのです。

それでは〈平成 22 年度総務省家計調査〉を参考に考えてみてください。

1.高齢夫婦無職世帯の家計収支 (総務省)

(夫 65歳以上、妻 60歳以上)

あなたは消費支出を減らす対策を考えますか?

それとも実収入 4万円(月額)を増やす対策を考えますか?

生活費は可処分所得の 19万 3000円で現状の支出と節約支出を比較してみましょう。