インバータのノイズ対策について -...

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E6580981 インバータアプリケーションマニュアル インバータのノイズ対策について © Toshiba Schneider Inverter Corporation 2001 All rights reserved. 本資料に掲載してある技術情報は、製品の代表的動作・応用を説明するための もので、その使用に際して当社、及び第三者の知的財産権その他の権利に対す る保証または実施権の許諾を行うものではありません。

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E6580981

インバータアプリケーションマニュアル

インバータのノイズ対策について

© Toshiba Schneider Inverter Corporation 2001

All rights reserved.

本資料に掲載してある技術情報は、製品の代表的動作・応用を説明するための

もので、その使用に際して当社、及び第三者の知的財産権その他の権利に対す

る保証または実施権の許諾を行うものではありません。

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- 目次 -

 1.ノイズとは                              2  1.1.EMC(電磁両立性)                      2  1.2.インバータから発生するノイズ                  3  1.3.ノイズの種類と伝播経路                     4   1.3.1.伝導ノイズ                        4   1.3.2.誘導ノイズ                        4   1.3.3.放射ノイズ                        4  1.4.インバータに関するノイズの規格・規制              5

  2.ノイズ対策                              6  2.1.ノイズ対策の基本                        6  2.2.ノイズ対策の詳細                        9   2.2.1.配線方法                         9   2.2.2.接地方法                        12   2.2.3.制御盤                         13   2.2.4.インバータのPWMキャリア周波数            14  2.3.ノイズ対策品                         16   2.3.1.ノイズフィルタ                     16   2.3.2.電源変圧器                       19   2.3.3.電磁シールド材                     19   2.3.4.シールド線                       20  2.4.ノイズを受ける側での対策                   21  2.5.インバータが他の機器に与える影響と対策            22   2.5.1.AMラジオへの影響                   22   2.5.2.電話器への影響                     23   2.5.3.近接スイッチへの影響                  23   2.5.4.圧力センサへの影響                   24   2.5.5.位置検出器(パルスエンコーダ)への影響         25

 3.SB3適用時の注意事項                       26  3.1.配線について                         26  3.2.ノイズフィルタについて                    26   3.2.1.ラジオノイズ低減フィルタ                26   3.2.2.誘導性フィルタ(零相リアクトル)            26   3.2.3.容量性フィルタ(簡易ノイズフィルタ)          27   3.2.4.ノイズを受ける側                    27

 4.ノイズ測定結果                           28  4.1.ノイズフィルタ効果例                     29   4.1.1.内蔵フィルタの効果(VFA7の場合)          29   4.1.2.内蔵フィルタの効果(VFS9の場合)          31   4.1.3.誘導性フィルタの効果                  35  4.2.PWMキャリア周波数効果例                  36  4.3.出力線のシールド効果例                    37

   

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1.ノイズとは

1.1.EMC(電磁両立性)

 高度情報化社会において電磁波障害に関連した電磁環境問題は大きな問題であり、関連機器のEMC(Electromagnetic Compatibility;電磁両立性)は現在IEC(国際電気標準会議)を中心に規格化が進められています。EMCとは電磁妨害波を如何なる機器に対しても与えず、かつその電磁環境において満足に機能する機器及び装置の能力のことを言い、第 1-1図に示すように分類できます。

            EMC( Electromagnetic Compatibility;電磁両立性)      EMI( Elecrtomagnetic Interference;電磁妨害、エミッション)         伝導ノイズ         放射ノイズ      EMS( Elecrtomagnetic Susceptibility;電磁感受性、イミュニティ)         静電気放電         放射性無線周波電磁界         ファーストトランジェント/バースト         サージ         無線周波数誘導伝導妨害 等

第 1-1図 EMCの内容

第1-2図 EMCの概念(電磁妨害/電磁干渉のレベル)

 パワーエレクトロニクス機器は半導体デバイスのスイッチングを使用しており電磁妨害の発生源となる場合があります。ノイズとは電子機器の正常な動作に影響を与え、トラブルを発生する要因となる電気的な雑音であり主にこの電磁妨害を指します。またノイズ問題とは装置から発生した電磁妨害波によって、他の装置の正常動作を妨げることを指します。

    

電磁妨害波放出の許容レベル

 →機器が外部へ放出しても良いノイズの最大レベル

電磁妨害波干渉の許容レベル

 →機器が外部ノイズを受けても影響されないノイズの最小レベル

EMC

マージン

妨害波強度

機 器

電磁妨害波の放出

電磁妨害波の干渉

他の機器

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1.2.インバータから発生するノイズ

 インバータは、コンバータ部で交流(AC)電圧を直流(DC)電圧に変換し、インバータ部の6個のトランジスタのスイッチングによるPWM制御で三相の可変電圧、可変周波数の交流に変換(逆変換)してモータを可変速制御します。このPWM制御に用いるトランジスタの高速のオン/オフによりスイッチングノイズが発生します。高速のオン/オフは、スイッチング毎にインバータ、およびインバータ主回路線の配線ケーブルと大地間やモータの浮遊容量(C)を経由して、ノイズ電流(I)を大地へ放出します。このノイズ電流の大きさは、

         I=C・dv/dt

となり、浮遊容量(C)と、dv/dt(トランジスタのスイッチング速度)に関係します。また、ノイズ電流はトランジスタのオン/オフごとに流れるため、インバータのPWMキャリア周波数にも関係します。一般的に、スイッチング速度が高速になるほど、PWMキャリア周波数が高いほど、ノイズ電流は増加します。

第1-3図 インバータの概略回路

 また、インバータの制御回路電源用のDC/DCコンバータもトランジスタによるスイッチングを行うため、ノイズを発生します。これらのノイズの周波数帯は、およそ30~40MHz以下で、低周波数帯を使用するAMラジオなどに影響を与えます。 ノイズによる影響は、他の機器のノイズ耐量、配線の状態、インバータとの設置距離などにより大きく変わります。ノイズは伝わるルートにより、伝導ノイズ、誘導ノイズ、放射ノイズに分けられ、伝わる状況に応じた対策が必要になります。 また、インバータ主回路線の配線ケーブルが長い場合、ケーブルの浮遊容量やモータの浮遊容量を経由して、漏れ電流が流れ、周辺機器に影響を与えることがあります。漏れ電流については「漏れ電流について(E6580977)」をご参照ください。

コンバータ部 インバータ部

電源 モータ

C C

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1.3.ノイズの種類と伝播経路

 インバータの発生するノイズは、主回路の配線を通して電源側及びモータ側へ伝播され、電源変圧器からモータまでの広い範囲に影響を与えます。ノイズの伝播ルートは、第1-4図に示すようにいろいろありますが、大別すると、伝導ノイズ、誘導ノイズ、放射ノイズの3ルートになります。

1.3.1.伝導ノイズ

 インバータ内で発生したノイズが、導体を伝わって周辺の機器へ影響を与えるのが伝導ノイズです。第1-4図①の主回路を伝わって電源を経由しての伝達があります。アース線を共通接続した場合、1-4図②のルートを経由しての伝達もあります。また、第1-4図③のように、センサの信号線やシールド線を経由するノイズもあります。

1.3.2.誘導ノイズ

 ノイズ電流の流れているインバータの入力側と出力側の電線に周辺機器の電線や信号線を近づけると、電磁誘導や静電誘導によって周辺機器の電線や信号線にノイズが誘導されます。これが第1-4図④の誘導ノイズです。

1.3.3.放射ノイズ

 インバータ内で発生したノイズが、入力側や出力側の電線がアンテナとなって空中に放射され、周辺機器に影響を与えるのが第1-4図⑤の放射ノイズです。放射ノイズは、配線に限らずモータのフレームやインバータの収納盤もアンテナとなることがあります。

第1-4図 ノイズ伝播ルート

電源 モータ

Mインバータ

電子機器 センサ

⑤①

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1.4.インバータに関するノイズの規格・規制

 インバータに代表されるPDS(パワードライブシステム)に関するEMC規格・規制を第 1-1表に記します。下記規格のうち、c-tickマークなしではオーストラリア、ニューシーランドでインバータを販売することはできませんが、他の規格については必ず適合することが要求される強制規格ではありません。しかし、今後各国とも国際電気標準委員会(IEC)を中心とし、規格整備が進み、強制化となると予想されます。インバータはEUのCEマーキングのEMC指令については適合外品ですが、低電圧指令については適合品です。このため、弊社製品に表示してあるCEマークは低電圧指令に適合していることを表しています。

第 1-1表 パワードライブシステム(PDS)についてのEMC規格・規制国 名 規格番号 規格種別 備 考

国 際(国際無線障害特別委員会)

CISPR pub.11(=EN55011) エミッション

E U(欧州連合) EN61800-3 エミッションイミュニティ

CEマーキングEMC指令

オーストラリアニュージーランド

AS/NZS2064(=CISPR pub.11) エミッション EMCフレームc-tickマーク

アメリカ FCC part18 エミッション中 国 GB4824(=CISPR pub.11) エミッション日 本 電波法、電気用品取締法 -(注意) 上記、EUには以下の国々を含みます。  オーストリア、ベルギー、デンマーク、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イタリア、  ルクセンブルク、オランダ、ポルトガル、スペイン、スウェーデン、イギリス

                  

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2.ノイズ対策 ノイズ対策は、強化するほど効果があがります。しかし、適切な対応策であれば簡単な手段で解決できる場合もあり、ノイズの程度や設備の状況に応じた経済的な対策を実施することが必要です。本書に記すノイズ対策は一般的にインバータから発生するエミッションを抑制するための対策ですが、イミュニティを向上させるための対策にもなります。

2.1.ノイズ対策の基本

 ノイズ対策は、インバータを制御盤に収納する場合やシステム設計時点に、事前にノイズに対する配慮が重要です。近年のインバータは、高速スイッチング素子の採用、静音化(PWMキャリア周波数の高周波数化)により発生するノイズが増加しています。一度ノイズに起因するトラブルが発生すると、その解決のための機材や時間など大きな出費が必要となります。 ノイズ対策には、ノイズの伝わるルートに応じた対策と、周辺機器(ノイズの影響を受ける機器)での対策があります。

[ノイズの伝わるルートによる対策例]・ 主回路線(主回路の入力・出力線)と制御信号線などを区別し、距離を離して配線する。  →放射ノイス、誘導ノイズに効果が有ります。・ ノイズフィルタを設置する。  →伝導ノイズ、放射ノイズに効果が有ります。・ 主回路線にシールド線を使用するか、金属電線管に収納し、接地(シールド)する。  →伝導ノイズ、誘導ノイズ、放射ノイズに効果が有ります。・ インバータを金属製制御盤にて覆い、接地(シールド)する。  →放射ノイズ、誘導ノイズに効果が有ります。・ 制御信号線にシールド線、ツイストシールド線を採用する。  →放射ノイズ、誘導ノイズに効果があります。・ 適確な接地工事を施す。  →誘導ノイズに効果があります。・ インバータと他の機器は、別々に接地する。  →誘導ノイズに効果があります。・インバータのPWMキャリア周波数の設定値を下げる。(但し、モータの磁気騒音は増加します。)  →伝導ノイズ、誘導ノイズ、放射ノイズに効果が有ります。

[周辺機器での対策例]・ インバータと別の電源系統にする。  →伝導ノイズに効果があります。・ 電源に絶縁トランスを使用する。  →伝導ノイズに効果があります。・ ノイズフィルタを設置する。  →伝導ノイズ、放射ノイズに効果があります。・ インバータから離して設置する。  →放射ノイズ、誘導ノイズに効果があります。

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第2-1表 ノイズ対策とその効果ノイズの種類

伝導ノイズ 放射ノイズ対 策 内 容 インバータ

入力線接地線 インバータ

本体インバータ入力線

インバータ出力線

誘 導ノイズ

PWMキャリア周波数の設定値を下げる

○ ○ ○ ○ ○ ○インバータ

入出力のアナログフィルタを大きくする

- - - - - △

適確な接地工事を行う - - - - - ○

インバータを金属板へ収納する

- - ○ - - △

電源系統を分離する ○ ○ - - - -

電源線、出力線を最短配線距離にする。

- - - ○ ○ ○

電源線に金属管、またはシールド線を使用する

△ - - ○ - -

設置と配線

出力線に金属管、またはシールド線を使用する

- - - - ○ ○

電源に絶縁トランスを使用する

○ - - △ - -

入力側へ高減衰形ノイズフィルタを接続する

○ - - △ - -

入力側へ容量性フィルタを接続する

○ - - △ - -

入力側へ誘導性フィルタを接続する

△ △ - ○ - -

入力リアクトルを接続する △ - - △ - -

出力側へ誘導性フィルタを接続する

- ○ - - ○ △

ノイズ対策品

出力リアクトルを接続する - ○ - - ○ △

制御線にシールド線、またはツイストペア線を使用する

- - △ △ △ ○

制御線に誘導性フィルタを接続する

- - △ △ △ △

インバータ本体や主回路線と離して設置する。

- - ○ ○ ○ ○

インバータと同一の接地をとらない

- - - - - ○

並行配線、束線をしない - - △ △ △ ○

相手側機器

遮へい板を使用する - - △ △ △ △

○ :効果有り△ :効果少ない-:効果なし

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第2-1図 ノイズ対策例

主回路線と30cm以上離す。同一ダクト内に収納する場合には、金属セパレートで弱電線と強電線を分離する。弱電線をツイストする。

シールドは一点接地

場合によっては専用接地

ノイズフィルタ

電源

電子機器

インバータ

ノイズフィルタ

制御盤筐体

専用接地最短

最短

モータ

金属電線管プリカチューブシールドケーブル など

センサ信号操作信号

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2.2.ノイズ対策の詳細   インバータドライブの構成に際してのトラブル防止の方法を示します。

2.2.1.配線方法

 インバータ主回路線や制御線はノイズのアンテナとなり、外部にノイズを放射しますので、配線の際には適確な処理が必要になります。特にインバータとモータ間の配線は強力なノイズ源となりますので、下記の方法を十分考慮に入れ施工してください。

 ① 主回路線は入力側と出力側を分離し、シールド線を使用する、もしくは金属電線管を採用しシールドする。しかし、シールド線や金属電線管を使用し、主回路線が長くなる場合は、配線からの漏れ電流により、インバータ電源側に接続の漏電遮断器(ELCB)が動作する場合があります。

第2-2図 主回路線の処理例

②主回路線にシールド線または金属電線管を使用する場合の接地接続はメタルコンジット(ケーブルグランド)や市販の電気工事用金属サドル相当品を用いて、インバータ近くで最短で行う。また、制御盤より主回路線が外部にでる場合、接地位置は盤から10cm以内のところで行う。

                   第2-3図 金属サドルを使用してのシールド線の接地例

モータインバータ

電源

金属電線管 金属電線管

シールド部分

電気工事用金属サ

ドル相当品

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第2-4図 メタルコンジット(ケーブルグランド)を使用してのシールド線の接地例

③インバータとノイズフィルタとの接続線は50cm以下となるように接続する。④主回路線と制御信号配線、主回路線の入力と出力とは分離して布線する。 これらは少なくとも30cm以上離す。主回路配線、制御回路配線の束線はもちろん、並行配線にもならないように 注意する。⑤制御線は盤内で配線する。制御線を盤外に出す場合はシールド線を使用し、シールド線のシールドアースは必ず一 点のみを接地し、多点接続によるループの形成を避ける。

                                       

                                      

第2-5図 シールド線の接地方法

⑥制御線にフェライトコアを使用する。フェライトコアは機器から10cm以内に取りつける。⑦インバータの主回路線(出力側または入力側)に誘導性ノイズフィルタを挿入する。⑧エンコーダケーブルは一括シールドペア線を使用し、シールドアースはインバータ、エンコーダ両側で接地する。 ケーブル長さは50cm以下とする。⑨制御盤内部で配線する場合は、空中配線を避け、金属板に沿って行う。⑩インバータ端子台付近の配線をツイストペアする。ツイストペアは3-5cm間隔を目安にする。

相手

機器

インバータ ○

相手

機器

インバータ

×

ケーブルグランド

シールドなしの部分は短くすること

接地するシールド部分(A)は短くする

シールド線のシールド部分に銅テープ等

の伝導性テープを巻き処理する

未塗装の接地された金属板(B)

シールド線

(注 意) シールド線のシールドアースは(A)部

  分を接地するか、ケーブルグランドと取付けた金

  属板(B)を接地する。

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第2-6図 ツイストペア線の撚り線間隔

⑪制御線はツイストペア線、又はシールド線を使用する。 特にアナログ信号線はダブルシールド線を使用することが望ましく、微少信号を扱う場合には、芯線を撚った2芯シ ールド線を使用する。⑫制御線は信号毎に別々にツイストする。⑬インバータ配線と相手機器との配線は10-20cm以上離して配線する。同一ダクト内で相手機器弱電線とインバ ータ主回路線がやむをえず一緒に配線する場合は、金属セパレートの設ける。

第2-7図 主回路線との遮へい方法

⑭モータへの配線は4芯を使用し、そのアースはインバータ側で行う。 ⑮制御線が長くなる場合、中継端子を設け、確実にシールド線のシールドアースを接地する。

第2-8図 シールド線のシールド処理

3-5cm

金属セパレート

インバータの入力線と出

力線は分離する弱電線

遮へい板(鋼板)

インバータ インバータ

中継端子

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2.2.2.接地方法

 接地は漏電による感電防止はもちろん、ノイズの侵入、放射防止の効果があります。接地工事は、主回路電圧に応じて電圧200VクラスはD種接地(旧第3種接地)、400Vクラスは C種接地(旧特別第3種接地)とし、各接地配線は専用接地を設けるか、接地点までおのおの別々に布設します。① 接地線は極力太い接地線を使用し、極力インバータの近くで接地する。② 接地線は主回路線、制御信号線から離す。③ インバータと他の機器の接地は、別々の専用接地が望ましい。他の機器と共用接地を行う場合は、接地点まで専用 の接地線で接地する。④ モータ、トランス等の一本での接地線を共通で使用するのは避ける。

                                   

                                     

                                     

第2-9図 接地の方法

インバータ 他の機器

インバータ 他の機器

インバータ 他の機器

×

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2.2.3.制御盤

 インバータを制御盤に収納することにより、インバータ自体から発生する放射ノイズを遮へいすることができます。

① 制御盤は腐食しない金属製を使用する。② 盤の扉と本体の接合部分にはEMIガスケット・導電性パッキンなどで接合する。また盤と扉とを平角線など太く て短い線で接続する。③ 盤の天板、側板などの接合部分は隙間がないように、溶接またはネジ止めする。接合間隔は10cm以下。 また、通風用穴など盤面にある開口部の穴径は10cm以下。これ以上の穴がある場合は、金属の板もしくはパン チングメタルで塞ぐ。このような場合、塗装面どうしでの接続をするなど、電気的接続が不十分な金属・導体がな いようにする。

④ ノイズフィルタ取付けの場合、取りつけ面は塗装面をマスキングするか、メッキ化して、盤のアースとノイズフィ ルタ本体とを接続する。盤面とノイズフィルタ本体を確実に接触させる。盤内の機器取りつけ板も確実に接続する。⑤ 制御機器のアース端子と盤内アース端子は太く短い線で接続する。⑥ 盤は太く短い線で接地する。⑦ インバータなどドライブ系統の盤と信号制御機器などの盤を分ける。⑧ 同じ制御盤内にプログラマブルコントローラなど他の電子機器を設置する場合には、各機器の配置に十分注意し、 場合によってはインバータ本体と周辺機器の間に遮へい板を設けるなどの処置を行う。

金属製制御盤

EMI ガスケット伝導性パッキン EMI ガスケットや導電性

パッキンとの接触部分は塗装を剥ぐなど、導電処理を行う

接地は確実にとる

開口部分には金属製板やパンチングメタルで塞ぐ

第2-10図 制御盤のノイズ対策例

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2.2.4.インバータのPWMキャリア周波数

 伝播する(発生する)ノイズのレベルは、インバータのPWMキャリア周波数によっても変化し、PWMキャリア周波数が高くなるほどノイズの発生レベルも高くなります。 PWMキャリア周波数の変更ができるようになっているインバータでは、駆動時の電動機騒音レベルとの兼ね合いで、 キャリア周波数を下げることにより、ノイズの発生を低減することができます。

① インバータのPWMキャリア周波数を低く設定する。 インバータのPWMキャリア周波数を低く設定できる機種があり、インバータ自身から発生するノイズの量を低減することができます。なお、この設定を低くすると、モータ騒音が大きくなります。 インバータのPWMキャリア周波数の設定パラメータは機種により異なりますので、インバータ本体の取扱説明書にて確認の上、設定変更してください。

インバータと他の電子機

器は極力離す。

他の

電子機器

インバータ

主回路端子

制御端子

ノイズ

フィルタ

出力線

入力線

へい

電源線等

センサ等

遮へい板は接地する

インバータ主回路線と他

の電子機器との相先は

極力離す。

制御盤より外部へ配線

を出す場合、シールド線

の接地を行う。

インバータとノイズ

フィルタ間の配線

は最短にする。

主回路線にはシ

ールド線か電線管

を使用する

離して配線し、絶対に束線しない。

並行配線する場合は 30cm 以上離す。

第2-11図 制御盤内のノイズ対策例

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モータ

IM

G/ECC

RR

PP

R/L1

S/L2

T/L3

U/T11

V/T2

W/T3

CC

F

Ry

周波数計

MC

RSTFM

CC

OUT1

P24

G/E

エンコーダ

外部ボリウム

ノイズフィルタ

R0

S0

回生制動抵抗器

PA PB

CC

第2-12図 インバータ制御線の処理例

II

エンコーダ用ケーブルはシールド

線を使用し、両端で接地する。

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2.3.ノイズ対策品

 電路を伝導するノイズや主回路配線から空中け放射されるノイズを低減するにはノイズフィルタや電源変圧器を採用します。 ノイズフィルタには、電源ラインに並列接続する容量性フィルタ、直列接続する誘導性フィルタなどのフィルタと、ラジオノイズ規制に対処するための本格的なフィルタ(LCフィルタ)があり、ノイズ低減効果に応じて使い分けます。電源変圧器にも、一般的な絶縁変圧器、シールドトランス、ノイズカットトランスなどがあり、ノイズ伝播を阻止する効果が異なります。

2.3.1.ノイズフィルタ

(1)容量性フィルタ(簡易型フィルタ)  コンデンサにより構成されるフィルタで、インバ  ―タ入力とアース間に接続し、高周波電流をバイ  パスさせます。フィルタの接続線が長くなると、  フィルタ効果が悪くなるので、配線を極力短くす  ることが必要です。  本フィルタは数MHz以下の範囲で効果があるので、  AMラジオ帯域に対して減衰性がありますが、コン  デンサ形のために漏れ電流が増加します。  電源側に漏電遮断器(ELCB)が設置されている場合  には多数使用すると漏れ電流により誤動作する恐れがあります。

(2)誘導性フィルタ(零相リアクトル)  フェライトコアを使用したフィルタです。  インバータ主回路線をコアに3相一括で同一方向に  4ターン程度巻きつけて、配線の零相インピーダン  スを大きくし、高周波ノイズ電流を低減します。  このフィルタは、入力線、出力線の両方に使用でき  ますが、特にインバータ出力線にシールド線、金属  電線管を使用できない場合に、ケーブルからの放射  ノイズ抑制、及び漏れ電流低減に有効です。  インバータから発生するノイズでAMラジオ帯域から  10MHz以下の周波数帯に対して減衰性があります。  なるべくインバータに近い場所に取り付けてください。  電線ケーブルが22mm2以上の場合は、巻きつけずに  貫通させて使用してください。(4個以上)

電源 モータインバータ

容量性

フィルタ

最短距離

最短距離

第2-13図 容量性フィルタ

(a)出力側への接続

モータインバータ

電源

誘導性

フィルタ

最短距離

(b)入力側への接続

第2-14図 誘導性フィルタ

モータインバータ電源

誘導性

フィルタ

最短距離

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第2-15図 誘導性フィルタへの配線方法

第2-16図 誘導性フィルタへの配線の貫通方法

(3)LCフィルタ(高減衰形フィルタ)  L(インダクタンス)とC(コンデンサ)により  構成されるフィルタです。  電源ライン(入力側)に接続します。  インバータから発生するノイズでAMラジオ帯域から  10MHz以下の周波数帯に対して減衰性があります。  フィルタの入力線/出力線は、離して設置してください。

 (4)ノイズフィルタ取りつけ時の注意事項  ①インバータとノイズフィルタとの接続線は50cm以下となるように接続する。  ②ノイズフィルタの入力線と出力線とは分離して布線する。これらは少なくとも30cm以上離す。   また束線はもちろん、並行配線にもならないように注意する。

    

モータインバ ター電源LCフィルタ

第2-17図 LCフィルタ

電源入力線

出力線

インバータ筐体

LCフィルタ

入力線

出力線

インバータ筐体

LCフィルタ

ノイズ電源

第2-18図 LCフィルタの入力と出力の分離

○ ×

30cm 以上

○ × × ×

線サイズ22mm2以

上の場合は、巻きつ

けずに貫通させる。

×○

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   ③ノイズフィルタの入力線、出力線の引き回しは極力短くする。

         

   ④ノイズフィルタの接地インピーダンスは極力小さくする。

  

  ③ノイズフィルタの接続はインバータ主回路電源だけでなく、制御電源も含んだ位置にする。

電源

入力線最短にする

出力線

インバータ筐体

LCフィルタ 入力線

出力線

インバータ筐体

LCフィルタ

ノイズ

電源

○ ×

第2-19図 LCフィルタの取りつけ位置

電源入力線 出力線

インバータ筐体

LCフィルタ

入力線 出力線

インバータ筐体

LCフィルタ

接地点まで遠い

電源

第2-20図 LCフィルタの筐体の接地点統一

○ ×

インバータ

R/L1

S/L2

T/L3

R0

S0

主回路電源

制御電源

×○

LCフィルタ

ノイズフィルタの接続位置は制御電源も含んだ位置

にする

ノイズフィルタとインバータの間は 50cm 以下にす

る。

第2-21図 ノイズフィルタ接続位置

50cm 以下

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2.3.2.電源変圧器

 ノイズ防止対策に、電源側に電源変圧器を接続することがありますが、電源変圧器は、「絶縁トランス」、「シールドトランス」、「ノイズカットトランス」の 3 種類に分類され、それぞれ構造と作用が異なります。このため、実際のノイズ対策に適した変圧器を選定することが必要です。それぞれのトランスの特性を第2-2表、第2-3表に示します。 ノイズカットトランスは全ての高周波ノイズを防止することは出来ますが、シールドトランスでは比較的低い周波数のコモンモード成分しか防止できません。また、絶縁トランスでは、高周波ノイズは防止できません。ノイズカットトランスは高価であるため、インバータの電源側に接続されることは少なく、ノイズ被害を受ける電子機器の電源回路に使用される場合が多いです。

第2-2表 電源変圧器の種類とノイズ抑制効果1種 別 構 造 作 用

絶縁トランス 1次コイルと2次コイルのが間絶縁されていて、1次側の電圧電流が2側に直接伝導するのを防止する。

1次/2次間の伝導なし

低周波帯域のコモンモードをわずかに防止する。

シールドトランス

絶縁トランスの構造にコイル間や外周に静電遮へい板を巻いて、1次側の電圧電流に含まれる高周波ノイズが2側に伝播するのを防止する。

1次/2次間の伝導、静電結合なし

低周波帯域のコモンモードを防止する

ノイズカットトランス

絶縁トランスの構造に、コイルや外周に多重の包覆電磁遮へい板を設け、かつコイル相互に高周波磁束が鎖交しないようにコア・コイルの材質・形状を工夫して、1次側の電圧電流に含まれる高周波ノイズが2側に伝播するのを防止する。

1次/2次間の伝導、静電結合、高周波電磁誘導なし

コモンモードおよびノーマルモードを防止する.。

第2-3表 電源変圧器の種類とノイズ抑制効果2ノイズ防止の効果

コモンモード ノーマルモード種 別 高調波 低帯域

ノイズ高帯域ノイズ

高調波 低帯域ノイズ

高帯域ノイズ

絶縁トランス ○ △ × × × ×

シールドトランス

○ ○ △ × × ×

ノイズカットトランス

○ ○ ○ × ○ ○

2.3.3.電磁シールド材

 電磁シールドのつなぎ目を電磁的に接続するために、ガスケットを用います。ガスケットの種類には、金属細線織物、導電性ゴム、プラスチック、フィンガーなどがあります。

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              第2-4表 ガスケットの種類と材質種 類 材 質

金属編み線ガスケット

金属細線を編んだもの(編組線、メッシュ、ウェブ)

メッシュガスケット

芯材にシリコンゴムを用い、メッシュで包む

メッシュ埋め込み型ガスケット

モネルやアルミ線をエラストマーに埋め込む

導電性エラストマーガスケット

シリコンゴムやプラスチックの中に金属粉を混入分散

フィンガーガスケット

ベリリウム銅等をフィンガーに加工

2.3.4.シールド線

 主回路線や制御線に使用するシールド線には、シールド部分の処理方法・材質により、銅テープの重ね巻き、軟銅線編組線、錫めっき軟銅線など数種類あります。主回路にシールド線を使用する場合は、漏れ電流により漏電遮断器ELCBが誤動作する場合があります。この場合は、シールド線は使用せず、通常のケーブルを使用し、誘導性フィルタを接続する等、ケーブルからの漏れ電流を低減するなどの対策を施してください。漏れ電流については「漏れ電流について(E6580981)」をご参照ください。

                    第2-22図 シールド線の外皮処理例

金属線を編み込んだもの

金属テープのうえに金属線を巻いたもの

金属テープを巻いたもの

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2.4.ノイズを受ける側での対策

 インバータと同一の制御盤内や周辺に設置された電子機器自体での耐ノイズ性の強化も大切です。 これらの機器の信号線には、ノイズフィルタやシールド線、ツイストシールド線を使用し、ノイズの侵入を阻止すると共に、①信号回路に入出力端子部にコンデンサや抵抗器を並列接続し、回路インピーダンスを低くする。② 信号回路に直列にチョークコイルを挿入したり、フェライトコアビーズに貫通させるなど、ノイズに対し、高イン ピーダンスとする。

   などの処置をします。また、信号基準線(0Vライン)や接地線を太くすることも有効なノイズ対処法です。

 周辺に設置された機器が発生するノイズによりインバータが影響を受ける場合もあります。インバータの運転周波数が不安定な場合は、③ インバータの入力フィルタ時定数を大きくする。 インバータで外部よりの電圧又は電流の周波数設定信号の入力部内蔵フィルタ定数をパラメータで設定できる機種 があります。ノイズの影響により安定した運転ができない場合は、このフィルタ時定数と大きく設定してください。 なお、この設定値を大きくすると周波数指令の応答性が低くなります。の処置を行います。

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2.5.インバータが他の機器に与える影響と対策

 ここではインバータが既に設置されている電子機器やインバータと同一システムに組みこまれた機器に与える影響及び対策について紹介します。インバータを運転することにより発生したノイズトラブル対応の具体的例については、社団法人 日本電機工業会(JEMA)発行の『インバータの上手な使い方(電気ノイズについて)』を御参照ください。

2.5.1.AMラジオへの影響

 インバータを運転すると近くのAMラジオに雑音が入る場合があります。(FMラジオ、テレビにはほとんど影響を与えません)。インバータから放射されるノイズをラジオが受信することが考えられますので、インバータの電源側にノイズフィルタを設置するなどの対策が効果的です。

現  象 対  策 ポイント1 インバータを運転するとAMラジオ放送(500~1500kHz)に雑音が入る。

<推定原因> インバータの電源側及び出力側配線からの放射ノイズをAMラジオが受信した。

①インバータの電源側にLCフィルタを設置します(簡易的には容量性フィルタを設置する場合もあります)。②モータとインバータ間を金属管配線します。

注意)LCフィルタとインバータ間は極力短くします(1m以内)。

① 配線の放射ノイズを低減します。② 電源側への伝導ノイズを低減します。またはシールド配線します。

注意) 山間部など電波の弱い地域では十分な改善が期待できない場合があります。

2 インバータを運転するとAMラジオ放送(500~1500kHz)に雑音が入る。

<推定原因> インバータの電源側及び出力側配線からの放射ノイズをAMラジオが受信した。

① インバータの入力側、出力側に誘導性フィルタを入れます。

インバータと誘導性フィルタの配線は極力短くします(1m以内)。② 更に改善が必要な時は、LCフィルタを設置します。

①配線の放射ノイズを低減します。

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2.5.2.電話器への影響

 インバータを運転すると通話中の電話に雑音が入り内容が聞き取りにくくなる場合があります。インバータ及びモータから放射される高周波漏れ電流が電話ケーブルのシールド線に入り込んで雑音が発生するものと考えられますので、モータの接地端子を共通接続し、インバータの接地端子に戻すと効果的です。

現  象 対  策 ポイント①モータの接地端子を共通接続して、インバータ盤に戻し、インバータの入力端子と接地間に1μFのコンデンサを入れます。

① 音声周波数成分のため誘導性フィルタやLCフィルタは効果が期待できない場合があります。② 電源トランスがV結線で 200V 系の場合、対地電位が異なるため下図の様にコンデンサの接続には注意が必要です。

1 換気扇をインバータで駆動したら40m離れた民家の電話に雑音が入る。

<推定原因> インバータ及びモータの高周波漏れ電流が柱上トランスの接地を通して戻る途中、電話ケーブルのシールドアース部に流れ、静電誘導により雑音が入った。

2.5.3.近接スイッチへの影響

 インバータを運転すると近接スイッチ(静電容量形)が誤動作する場合があります。静電容量形近接スイッチの耐ノイズ性が低いことが原因として考えられますので、インバータの入力端子にフィルタを接続したり、近接スイッチの電源の処理を変更することが効果的です。また、磁気式などのノイズ耐量が高い近接スイッチに交換する対策もあります。  またインバータ出力線からの漏れ電流が、近接スイッチのコモンを介し悪影響を与え、近接スイッチが誤動作する場合があります。この場合、インバータ出力線に誘導性フィルタ(零相リアクトル)を接続することで対策できる場合があります。

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現  象 対  策 ポイント1 近接スイッチが誤動作する。

<推定原因> 静電容量形近接スイッチはノイズ耐量が低いため、電路伝導ノイズ、放射ノイズに弱いことが原因。

① インバータ出力側にLCフィルタを設置します。② インバータ入力側に容量性フィルタを設置します。③ 近接スイッチのDC電源の 0V(コモン)線を機械の筐体にコンデンサを介して設置します。

① インバータ側の発生ノイズを低減させます。

② ノイズ耐量の高い近接スイッチ(磁気式など)を使用します。

2.5.4.圧力センサへの影響

 インバータを運転すると圧力センサが誤動作する場合があります。アース線を介してノイズが信号ラインに侵入することが考えられますので、インバータの電源側にノイズフィルタを設置する、または配線処理を変更するなどの対策が効果的です。 またインバータ出力線からの漏れ電流が、圧力センサのコモンを介し悪影響を与え、圧力センサが誤動作する場合があります。この場合、インバータ出力線に誘導性フィルタ(零相リアクトル)を接続することで対策できる場合があります。

現  象 対  策 ポイント1 圧力センサが誤動作する。

<推定原因> 筐体からシールド線を経由してノイズが回り込み、圧力センサの信号が誤動作している。

① インバータ入力側にLCフィルタを設置します。② 圧力センサのシールド線を機械の筐体から、圧力センサ 0V線(コモン)へ接続変更します。

① センサ信号のシールド線は、その系統の共通点へ接続します。

② インバータからの伝導ノイズを低減します。

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2.5.5.位置検出器(エンパルスコーダ)への影響

 インバータを運転するとパルス変換器からの誤パルスで停止位置ずれが発生する場合があります。モータ主回路線とエンコーダの信号線が一緒に束ねられているときに発生しやすくなりますので、主回路線とエンコーダの信号線を20cm以上分離し、誘導ノイズ、放射ノイズの影響を下げることができます。また、インバータの入出力端子にノイズフィルタを設置することも対策として効果があります。

現  象 対  策 ポイント1 パルス変換器からの誤パルス出力でクレーンの停止位置ずれが発生した。

<推定原因> モータ動力線とエンコーダの信号線が一括に束ねて配線されているため、誘導ノイズにより誤パルスを出力した。

① インバータ入力側に、LCフィルタと容量性フィルタを設置します。② インバータ出力側にLCフィルタを設置します。

① 動力線と信号線を分離できない場合の対策事例です。② インバータ出力側の誘導ノイズ、放射ノイズを低減します。

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3.SB3適用時の注意事項 高調波抑制ユニットSB3を設置してインバータを駆動した場合、インバータだけでなく、SB3もノイズの発生源となります。インバータの取扱説明書のEMC対策欄をご熟読いただくとともに、SB3が設置されている場合は以下の点をご注意ください。尚、詳細内容については「高調波抑制ユニットSB3 適用の留意事項」(E6580924)を参照願います。

3.1.配線について

 SB3入力側とインバータ出力側の主回路配線は極力分離(20cm以上)して、並行配線しないでください。制御配線は入出力の主回路配線と分離してください。漏れ電流を抑制するため対地浮遊容量の小さい主回路ケーブル(CVケーブル等)を使用してください。対地浮遊容量が大きくなる主回路シールド線や金属配線管は避けてください。もし主回路シールド線を使用する場合、シールド部分は接地せず絶縁するようにしてください。 その際には、接触して感電しないように確実に絶縁してください。

3.2.ノイズフィルタについて

3.2.1.ラジオノイズ低減フィルタ

 インバータがノイズフィルタ内蔵のVFA7(200Vクラス7.5kW以下、400V クラス15kW以下)の場合、SB3から直流入力する場合は内蔵のノイズフィルタは接続されませんので、SB3の電源側に高減衰形ラジオノイズ低減フィルタ(LCフィルタ)の取付を検討ください。高減衰形ラジオノイズ低減フィルタは、下記誘導性フィルタや容量性フィルタの機能を兼ね備えています。

3.2.2.誘導性フィルタ(零相リアクトル)

 漏れ電流の関係上、インバータの主回路線にシールド線や金属電線管を使用できない場合は、誘導性フィルタ(零相リアクトル)をインバータ出力側とSB3入力側(第2-23図参照)に設置すると効果があります。電線は誘導性フィルタに4ターン以上巻きつけてください。電線が22mm2以上で巻きつけられない場合は4個以上に貫通させてください。推奨誘導性フィルタは下記の3種類がありますが、特にL(インダクタンス)値の大きいF11080GBは効果が大きくなります。

形  式 メーカ 参考L値(μH) at 100kHzF11080GB 日立金属 11.27~20.93RC5078 双信電機 7.53~12.24RC9129 双信電機 3.7~6.5(誘導性フィルタは接地線、筐体、大地等を通るコモンモードノイズ低減に有効です。)

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3.2.3. 容量性フィルタ(簡易ノイズフィルタ)

 容量性フィルタ(簡易形フィルタ)を接続するときは、第3-1図の位置に接続ください。(容量性フィルタは音響機器などへの電波障害防止に効果があります。)

3.2.4. ノイズを受ける側

 ノイズを受ける側(センサ、アナログ信号回路等)には、事前にフィルタの設置、ディジタル化等の耐ノイズ性の強化を推奨します。

I.M.

電源トランス

直列リアクトル

進相コンデンサ

ノイズカットトランス

MCCB

LCフィルタ(高減衰形フィルタ)

電磁接触器

誘導性フィルタ(零相リアクトル)

    

     容量性フィルタ(簡易形フィルタ)

高周波フィルタ用リアクトル

    高周波フィルタ用コンデンサ

入力リアクトル

高調波抑制ユニットSB3

インバータ(直流リアクトルは接続不要)

    

    制動抵抗器/制動ユニット

誘導性フィルタ(零相リアクトル)

出力リアクトル/モータ端サージ電圧抑制フィルタ(MSF)

    /正弦波フィルタ

誘導電動機

第3-1図 高調波抑制ユニットSB3接続時の結線図

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4.ノイズ測定結果(対策による効果例) ノイズ対策は、強化するほど効果があがります。しかし、適切な対応策であれば簡単な手段で解決できる場合もあり、ノイズの程度や設備の状況に応じた経済的な対策を実施することが必要です。本章では、1. インバータ内蔵のノイズフィルタの効果2. ノイズフィルタ内蔵インバータの入力側にノイズフィルタを接続した場合の効果3. インバータ出力線に誘導性フィルタを接続した場合の効果4. インバータのPWMキャリア周波数を低減した場合の効果5. インバータ出力線にシールド線を使用した場合の効果

   について、伝導ノイズ、あるいは放射ノイズの測定結果を示しました。   伝導ノイズデータは、150kHz~30MHzの周波数範囲、また放射ノイズデータは垂直偏波で、30MHz~   80MHzの周波数範囲のデータです。   伝導ノイズ、放射ノイズは使用ケーブル種類・長さ、機器の設置状況、配線方法・処理等により異なりますので、以下   のデータは対策効果の参考例として、御参照ください。

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4.1.ノイズフィルタ効果例

4.1.1.内蔵フィルタの効果(VFA7の場合)

① VFA7-2037PL と VFA7-2037PL(内蔵フィルタなし)

 インバータ内蔵のフィルタにより、インバータから発生するノイズ(伝導ノイズ)を大幅に低減します。ノイズ対策として、従来機種ではオプションの別置形フィルタが必要でしたがVFA7単体で対応できます(フィルタ内蔵機種のみ)。VFA7の内蔵フィルタによって、周波数帯域150kHz~1MHzで約30dBμV、1MHz~10MHzで約20dBμVのノイズを低減し、ヨーロッパ規格EN55011 Gr.1 class Aに適合します。しかし、内蔵フィルタに使用のコンデンサから漏れ電流が流れますので、漏電遮断器(ELCB)の誤動作を避けるため感度電流を上げてください。

第4-1図 VFA7の内蔵フィルタの効果例(伝導ノイズ、VFA7-3027PL)

VFA7-2037PL

VFA7-2037PL(内蔵フィルタ無し)

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② VFA7-2037PL と EMIフィルタ(FN258-30/07)

 ノイズフィルタ内蔵機種の VFA7とEMC指令適合EMIフィルタと組み合せた場合、周波数帯域150kHz~1MHzで約40dBμV、1MHz~20MHzで約30dBμVのノイズを低減し、更に優れたノイズ低減効果が得られます。しかしEMIフィルタ接続により漏れ電流は増加しますので、漏電遮断器(ELCB)の誤動作を避けるため感度電流を上げてください。

第4-2図 EMIフィルタの効果例(伝導ノイズ,VFA7-2037PL)

VFA7-2037PL

VFA7-2037P+EMI フィルタ

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4.1.2.内蔵フィルタの効果(VFS9の場合)

① VFS9S-2022PL と VFS9S-2022PL(内蔵フィルタなし)

 インバータ内蔵のフィルタにより、インバータから発生するノイズ(伝導ノイズ)を大幅に低減します。ノイズ対策として、従来機種ではオプションの別置形フィルタが必要でしたがVFS9単体で対応できます(PLタイプのフィルタ内蔵機種のみ)。VFS9のPLタイプの内蔵フィルタによって、周波数帯域150kHz~2MHzで約30dBμV、2MHz~10MHzで約15dBμVのノイズを低減し、ヨーロッパ規格EN55011 Gr.1 class Aに適合します。しかし、内蔵フィルタに使用のコンデンサから漏れ電流が流れますので、漏電遮断器(ELCB)の誤動作を避けるため感度電流を上げてください。

第4-3図 VFS9のPLタイプ内蔵フィルタの効果例(伝導ノイズ,VFS9S-2022PL)

VFS9S-2022PL

VFS9S-2022PL(内蔵フィルタ無し)

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② VFS9S-2022PL と EMIフィルタ(EMFS2025DZ)

 PLタイプのノイズフィルタ内蔵機種の VFS9とEMC指令適合EMIフィルタと組み合せた場合、周波数帯域150kHz~2MHzで約30dBμV、2MHz~3MHzで約20dBμVのノイズを低減し、EMC指令適合EMIフィルタと組み合せた場合、更に優れたノイズ低減効果が得られます。しかしEMIフィルタ接続により漏れ電流は増加しますので、漏電遮断器(ELCB)の誤動作を避けるため感度電流を上げてください。

第4-4図 EMIフイルタの効果例1(伝導ノイズ、VFS9S-2022PL)

VFS9S-2022PL

VFS9S-2022PL+EMI フィルタ

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③ VFS9-2037PM と VFS9-2037PM(内蔵フィルタなし)

 インバータ内蔵のフィルタにより、インバータから発生するノイズ(伝導ノイズ)を低減します。VFS9のPMタイプの内蔵フィルタによって、周波数帯域1MHz~2MHz、8MHz~20MHzで約10dBμVのノイズを低減します。しかし、内蔵フィルタに使用のコンデンサから漏れ電流が流れますので、漏電遮断器(ELCB)の誤動作を避けるため感度電流を上げてください。

第4-5図 VFS9のPMタイプ内蔵フィルタの効果例(伝導ノイズ、VFS9-2037PM)

VFS9-2037PM

VFS9-2037PM(内蔵フィルタ無し)

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④ VFS9-2037PM と EMIフィルタ(EMF4022DZ)

 PMタイプのノイズフィルタ内蔵の VFS9とEMC指令適合用EMIフィルタと組み合せた場合、周波数帯域150kHz~3MHzで約30dBμV以上のノイズを低減し、ヨーロッパ規格EN55011 Gr.1 class Aに適合します。しかしEMIフィルタ接続により漏れ電流は増加しますので、漏電遮断器(ELCB)の誤動作を避けるため感度電流を上げてください。

 

第4-6図 EMIフイルタの効果例2(伝導ノイズ、VFS9-2037PM)

VFS9-2037PM

VFS9-2037PM+EMIフィルタ

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4.1.3.誘導性フィルタの効果    

  インバータ出力線に誘導性フィルタ(零相リアクトル:形式F11080GB、4ターン)有無の放射ノイズの違いです。誘導性フィルタを接続すると、周波数帯域30MHz~40MHz、55MHz~60MHzで約5dBμV/m

のノイズを低減します。

 

第4-7図 誘導性フィルタ有無による放射ノイズの違い(VFS9S-2022PL)

Frequency [MHz]

Noise level [dBμ

V/m]

フィルタ接続有り

フィルタ接続無し

40 50 60 70 8030

40

30

20

70

60

50

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4.2.PWMキャリア周波数効果例

 インバータのPWMキャリア周波数を低減することで、インバータから発生するノイズ(伝導ノイズ、放射ノイズとも)を低減することができます。PWMキャリア周波数を 12kHzから 2kHzへ低減することで、周波数帯域150kHz~30MHzで約10dBμVの伝導ノイズ、また30MHz~65MHzで5dBμV/mの放射ノイズを低減することができます。PWMキャリア周波数の設定を低くすると、モータ騒音が大きくなりますので、ご注意ください。

 第4-8図 PWMキャリア周波数による伝導ノイズの違い(伝導ノイズ,VFS9-2037PM)

PWM キャリア周波数 12kHz

PWM キャリア周波数 2kHz

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第4-9図 PWMキャリア周波数による放射ノイズの違い(放射ノイズ、VFS9S-2022PL)

70 8060504030

Frequency [MHz]

70

60

50

40

30

20

Noise level [dBμ

V/m]

PWM キャリア周波数 12kHz

PWM キャリア周波数 2kHz

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4.3.出力線のシールド効果例

 インバータ出力側ケーブルにシールド線を使用する場合、シールド接地をすることで、出力側ケーブルから発生する放射ノイズを低減することができます。シールド線の接地の有無で伝導ノイズに大きな差異はありませんが、周波数帯域30MHz~40MHz、及び65MHz~75MHzで5dBμV/m以上の放射ノイズを低減することができます。主回路にシールド線を使用する場合は、漏れ電流により漏電遮断器ELCBが誤動作する場合がありますのでご注意ください。

第4-10図 出力線(シールド線使用)の接地の有無による違い(伝導ノイズ、VFS9S-2022PL)

出力側シールド線の接地有り

出力側シールド線の接地無し

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第4-11図 出力線(シールド線使用)の接地の有無によるの違い(放射ノイズ、VFS9S-2022PL)

60 70 80504030

Frequency [MHz]

70

60

50

40

30

20

Noise level [dBμ

V/m]

出力側シールド線の接地無し

出力側シールド線の接地有り