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Title サブカルサプリ第15回 : 2046年7月、埼玉　夏の思い出

Author(s) 山村, 高淑

Citation 埼玉新聞

Issue Date 2011-08-28

Doc URL http://hdl.handle.net/2115/50315

Type column

Note 埼玉新聞2011年8月28日版、特集「サイタマニア」、p.2

File Information 20110828Saitamania subcul supple No.15.pdf

Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP

柳蕊mHiJ雲霞受洞リｒ

・獄．…。

綴霧翻②（１０）２０１１年（平成２３年）８月２８日（日曜日）

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山村高淑の

、プロフィールやまむら・たかよし：北海道大学観光学高等研究センター准教授。埼玉県アニメツーリズム検討委員会座長。

司

アニメや漫画の舞台地が多いサブカル王国。埼

玉。その魅力を「アニメツーリズム」の専門家、

山村高淑氏が紹介する。

夏の風景って何故か心に残りませんか？

例えば、夏休みが永遠に続くと思ってい

た小学校低学年のころに見た入道雲。蝉の

声や風鈴の音、夕立の音と匂いとか。この

時期、そうした風景を「夏休みが終わって

しまう！」という当時のちょっと寂しい気

持ちとともに、鮮烈に思い出します。

そして、素敵な映像作品を見ている時に、

ふとそうした夏の記憶、感覚が切なく蘇る

時があります。私にとって、新海誠監督の

アニメ作品『ほしのこえ』（２００２）と『彼

女と彼女の猫』（１９９９）がそれです。監

督が個人制作したことで話題になりました

が、実はいずれも背景に埼玉の風景が描か

れています。

『ほしのこえ』は約妬分のフルデジタル・

カラー作品。２０４７年『国連宇宙軍の一

員として宇宙に旅立ったミカコと、地球（埼

玉！）のノボルが、携帯メールで連絡を取

り合うが、ミカコが地球から光年単位で離

れるにしたがって、メールが届く時間も年

単位になっていく：．という話。全編にわた

り埼玉の風景が印象的に描かれているので

2046年７月、埼玉頁の思い出Q‘幻像や玲侭●幻侭や分盆ゆわ③小心侭@か韓今牟俄④わ密や心鋸やわ能、⑥ロウか偲執傘錦④かGB⑤分銅軟分俄執あ代⑤年忌＠秒②Ob側、｡需敏ゆ③｡今偏④母●⑬尋宰ｄか｡⑪ゆ⑨＠か詮⑨心■α心弗ｅわ全律今密ａＣ認含か忠ｄｂＣ島α○星α心容α心＄企む■α塔窮｡

すが、特に冒頭部分、ミカコが宇宙へ旅立

つ前の２０４６年７月、ノボルと一緒に過

ごした夏の埼玉の景色は、私の中では埼玉

を描いたアニメシーンの最高傑作のひとつ

です。駐輪所から一一人で見上げる入道雲、

その中を抜けて進んでいく宇宙船リシテア

号。夕焼けと電線とＪＲ貨物。階段坂（新

座市）と夕立。さいたま交通「階段上」バ

ス停での雨宿り…埼玉の夏の景色の中で、

二人が静かに語りあう約２分半のシーンで

す。そしてこのシーン以降は、二人は宇宙

と地球に離れ、メールのやり取りとそれぞ

れのモノローグという形で話が展開します。

この対比もまた、埼玉の夏のシーンを切な

いものにしています。なお監督はツイッター

で「『ほしのこえ』が埼玉なのは、制作当時

に埼玉に住んでいたからなんです」と明か

しています。

一方の『彼女と彼女の猫』は監督が会社

員時代の作品。一人暮らしの女性と彼女に

拾われた一匹の猫との約１年を猫の視点で

語る形をとっています。モノクロ約５分。

こちらの作品も夏の埼玉のシーンが非常に

美しいんです。ＪＲ高架線（看板に浦和保線

区とあります）とその周辺の野原、蝉の声、

雲Ｊ風が静かに描かれています。特にカッ

ト割りの良さと作画の丁寧さが、モノトー

ンであることの良さを最大限に引き出して

いて、極めて芸術性の高い作品になってい

ます。この作品は『ほしのこえ』ＤＶＤの特

典映像に含まれています。

両作品ともそうなんですが、台詞のみな

らず、演出の仕方全般がとても詩的です。

言葉ではうまく言い表せないのですが、視

覚的にリズムがあるというか、詩的なカッ

ト割りとか構図ってあると思うんですよね。

と言うのも、よく深夜に音声を消してアニ

メを流していることがあるのですが、妙に

魅かれる画面ってあるんです。まさに今日

ご紹介した２作品はそんな作品です。個人

制作だからこそ、その作家性が強く伝わっ

て鳥るのかもしれませんね。

埼玉が舞台のアニメの奥深さを感じさせ

る傑作です。夏休み課題図書ならぬ課題ア

ニ非として是非どうぞ。

（’’一

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