パーキンソン病細胞モデル研究 - thermo fisher scientific...transcription...

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パーキンソン病細胞モデル研究 part 3 GeneArt ® Precision TALs テクノロジーを用いた、 パーキンソン病患者ドナー由来 iPSC 株のゲノム編集

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Page 1: パーキンソン病細胞モデル研究 - Thermo Fisher Scientific...Transcription activator–like(TAL )エフェクタータンパク質は、植物病原 菌由来のタンパク質であり、植物への感染時には特定のDNA配列へ結合し

パーキンソン病細胞モデル研究 part 3GeneArt® Precision TALsテクノロジーを用いた、 パーキンソン病患者ドナー由来iPSC株のゲノム編集

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目次研究概要 3パーキンソン病とは 3

共同研究概要 4

手法 5GeneArt® Precision TALsテクノロジー概要 5

iPSCにおけるゲノム編集のワークフロー 6

iPSCコロニーのスクリーニング法 8

GeneArt® Genomic Cleavage Detectionアッセイ 8

TaqMan® SNP Genotyping Assay 9

Ion PGM™シーケンシング 10

オフターゲット編集を検出するための エクソームシーケンシング 12

結果 13MSA細胞株からα-シヌクレインノックアウト株の作製 13

編集されたMSA株におけるオフターゲット編集の スクリーニング 19

PD-3株におけるLRRK2 G2019S変異の修正 20

PD-3株におけるGBA N370S変異の修正 22

まとめ、結論、および今後の展開 24

参考文献 25

製品情報 26

さらに詳しい情報については、当社ウェブサイト www.lifetechnologies.com/parkinsonsをご覧ください。

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3Life Technologies™ | lifetechnologies.com/parkinsons

ドーパミン系

前頭葉

腹側被蓋野

線条体

黒質

パーキンソン病(PD)は進行性の神経変性疾患であり、60歳を超える人口の1%、また全世界で5百万人以上が罹患しています[1]。PDは主に黒質のドーパミン作動性ニューロンが選択的に喪失することによって起こる病気です。黒質ドーパミン作動性ニューロンの喪失により、まず動作障害がおこりますが、進行すると認知機能にも影響を及ぼし、後期には多くの場合認知症を伴います。PDには適切な細胞モデルがなく、これがPD研究の大きなボトルネックになっています。疾患メカニズムおよび薬剤標的を発見するため、また治療法を突き止め、かつ開発するための新規モデルが緊急に必要とされています。このようなニーズへ対応するものとして、疾患に罹患したドナー由来の組織が、in vitroの疾患モデル構築へ向けた強力なツールとなっています。

E s s e n t i a l 8 ™ M e d i u mでビトロネクチン上にて フィーダーフリー培養した人工多能性幹細胞(iPSC)に対し、PSC 4-MarkerImmunocytochemistry Kitを 用いて核DNA(青色)および多能性マーカーSSE A4 (緑色)とOCT4(赤色)の染色を行いました。

パーキンソン病とは

研究概要

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4 Life Technologies™ | Parkinson’s cell models

2012年、私たちはカリフォルニア州サニーベールのパーキンソン研究所と提携し、同研究所で採取した患者皮膚生検由来の線維芽細胞を用いたPDモデルシステムの開発を行ってきました。そして、これらの線維芽細胞から、完全にキャラクタリゼーションされた人工多能性幹細胞(iPSC)を樹立しました。この iPSCから神経幹細胞(NSC)の作成およびキャラクタリゼーションを行いました。また、これらのNSCはドーパミン作動性ニューロン、アストロサイト、またはグリアへ分化可能なことを示しました。私たちは、これらのNSCを用い、PDに関連したフェノタイプを観察できる一連の細胞アッセイを開発しました。本研究シリーズの3番目として、GeneArt

® Precision TALsテクノロジー[2]を用い、一連の細胞株において

行った疾患関連遺伝子の改変を行いました。ここで得られた細胞株により、PD関連遺伝子における特定の変異について、疾患フェノタイプへの関連を調べられるようになります。

α-シヌクレインのレベルが疾患に関連するフェノタイプに及ぼす影響について調べるため、先ず、α-シヌクレインをコードする遺伝子、SNCAの1コピーまたは両コピーを欠失(ノックアウト)した細胞株を、iPSCから作成しました。iPSCは多系統萎縮症(MSA)を患う62歳の女性ドナーから樹立したものです。MSAはパーキンソン病様疾患であり、既知の遺伝的危険因子はなく、レビー小体と呼ばれるα-シヌクレインの蓄積が顕著であるという特徴を持ちます[3]。GeneArt

® Precision TALsテクノロジーを利用し、非相

同末端結合(non-homologous end joining:NHEJ)修復メカニズムによりSNCA遺伝子をノックアウトしました。その結果、2種の細胞株が得られ、これにより患者由来iPSCから分化した細胞が示すPD関連フェノタイプにおけるα-シヌクレイン蓄積の関連を研究できるようになりました。

LRRK2 G2019SおよびGBA N370Sの変異が及ぼす影響を明らかにするため、重度のPD症状を伴う61歳の男性ドナーから、両方の変異を持つiPSC

株を樹立し、各変異を修正して野生型に戻す研究を行いました。LRRK2

(leucine-rich repeat kinase 2)は大きなマルチドメインタンパク質であり、GTPアーゼおよびキナーゼドメインを持つ触媒コアに、タンパク質-タンパク質相互作用ドメインが隣接しています。パーキンソン病におけるLRRK2

遺伝子の役割ははっきりとは解明されていませんが、LRRK2におけるいくつかの変異はPDに関連しており、最も高頻度に見られる変異はG2019Sとされています[4]。GBA遺伝子はグルコセレブロシダーゼをコードしており、このタンパク質は正常なリソソーム機能に関わっています。GBA遺伝子にN370Sなどの変異があると、グルコセレブロシダーゼの酵素活性が大幅に低下または消失し、結果として有害なレベルのグルコセレブロシドおよび関連物質が細胞内に蓄積されます。そして、組織および臓器の障害へとつながります。GBAにおける変異はパーキンソン病と関連しており、変異があると発症する確率が5倍になります[5]。GeneArt

® Precision TALsテクノロ

ジーを使用し、相同組換え修復(homology-directed repair:HDR)を介した遺伝子編集によりLRRK2およびGBA遺伝子のヘテロ接合変異をホモ接合野生型に戻しました。親株および編集したiPSC株から分化させた細胞を用いて今後フェノタイプ研究を行う予定です。

共同研究概要培養エンジニアリング分化キャラクタリゼーション

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5Life Technologies™ | lifetechnologies.com/parkinsons

Transcription activator–like(TAL)エフェクタータンパク質は、植物病原菌由来のタンパク質であり、植物への感染時には特定のDNA配列へ結合し転写調節因子として働きます(図1A)。TALのDNA結合ドメインは、長さが様々なアミノ酸リピートを持ち、各リピート内では、2つのアミノ酸によってターゲットDNAのどのヌクレオチドに結合するかが決まります。モジュールドメイン構造を有し、またアミノ酸-ヌクレオチド間の“結合のコード”が明らかにされているため、様々な機能ドメインに結合したTALを含有する融合タンパク質は、ゲノム上のローカスを非常に特異的にターゲットすることができます。このアプローチを利用したGeneArt

® Precision TALsは、ヌクレ

アーゼ、アクチベーター、リプレッサー、クロマチン修飾因子、ゲノム標識、および架橋結合分子を部位特異的にデリバリーできます。

ここでご紹介するゲノム編集のプロセスでは、truncated FokIヌクレアーゼに融合したTALを使用しています(図1B)。FokIヌクレアーゼはホモダイマーとして機能し、TAL結合部位に挟まれたDNAにおいて二重鎖切断を引き起こします。切断部位を含む領域と相同なDNAが存在しない場合、細胞にもともと備わっている機構がNHEJにより切断部位を修復しようとし、その結果インデルと呼ばれる短い挿入または欠失が起こります。タンパク質コード領域にこのようなインデルがあるとフレームシフト変異を起こし遺伝子破壊(ノックアウト)に至ります。また切断部位を含む領域と相同なDNAが存在する状況下で二重鎖が切断されるとHDRが起こり、添加したDNAが切断部位に組み込まれます。このようにして、特定の塩基または配列を導入することができます。

GeneArt® Precision TALsテクノロジー概要

図1. GeneArt® Precision TALsテクノロジー。(A)TALエフェクタータンパク質は病原性細菌由来のタンパク質であり、植物への感染時には特定のDNA配列に結合し転写調節因子として働きます。(B)TAL-FokIヌクレアーゼ融合体はホモダイマーとして働きDNAを切断します。1対のTAL-FokIがゲノム配列のターゲット部位をはさんで結合するよう設計されており、目的のローカスに二重鎖切断を起こします。この切断部位がNHEJによって修復されインデルが導入された場合、遺伝子のノックアウトが起こります。相同配列を持つドナーDNA

の存在下では、HDR(相同組換え修復)によって切断が修復され、ゲノムに特定の遺伝子を導入することができます。

手法

GeneArt® Precision TALsに関するさらに詳しい情報は、www.lifetechnologies.com/talsをご覧ください。

B

A菌細胞

TALエフェクター

転写物

DNA結合ドメイン 機能ドメイン

相同DNAを添加していない場合:インデルを伴う非相同末端結合 修復 → 遺伝子破壊(ノックアウト)

相同DNAを添加した場合:相同組換え修復(HDR)による DNAの 挿入/置換 → 遺伝子編集

FokI

FokI

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6 Life Technologies™ | Parkinson’s cell models

本研究のために開発したiPSC編集のワークフローを図2Aに示します。まず、フィーダーフリーiPSCに、ドナーDNAのPCRフラグメント存在下または非存在下で、GeneArt

® Precision TAL-FokIコンストラクトをエレクトロポ

レーションしました。エレクトロポレーションの後、リカバリーのため直ちに細胞をマウス胎仔線維芽細胞(MEF)上またはGeltrex

®マトリックスでコートしたディッシュにプレーティングしました。リカバリー後のコロニーをピックアップし、編集が起こったものをスクリーニングしました。目的の編集が起こった細胞の均一かつクローナルな集団を得るためにサブクローニングを行った後、単離したクローンをさらに増殖させ、多能性およびゲノム完全性に関するキャラクタリゼーションを行いました。図2Bにはコロニースクリーニングのワークフローおよびターゲットゲノム部位の解析における重要な第一段階を詳しく示しています。

ワークフローのこの部分は、編集された細胞の同定およびクローナルな集団の単離を行うために非常に重要です。リカバリーしたコロニーのほとんどは、編集された細胞および編集されていない細胞が混ざった集団であるため、コロニースクリーニングのステップを複数回行い、編集された細胞のクローナルな集団を単離する必要があります。

iPSCにおけるゲノム編集のワークフロー

A

iPSCの培養 エレクトロポレーションおよびリカバリー

Electroporation/Recovery

コロニーの スクリーニング

Colony Screening

クローンの増殖 および

キャラクタリゼーション

Clone Expansion/

Characterization

1~2週間 2~3週間 4~6週間

• Neon®トランスフェク ションシステムを使用し、 iPSCにGeneArt® Precision TALsおよび ドナーPCRフラグメント をエレクトロポレー ション

• リカバリーのため、MEF 上またはGeltrex® マトリックスでコート したディッシュに細胞を プレーティング

• iPSCをGeltrex® マトリックスでコート したディッシュ上、Essential 8™ Medium 中で培養

• StemPro® Accutase® Cell Dissociation Reagentで細胞を解離

• EVOS® XL Imaging Systemを使用して コロニーをピックアップ

• GeneArt® Genomic Cleavage Detection Kit、TaqMan® SNP Genotyping Assay、 またはIon PGM™ シー ケンサの結果により コロニーをスクリーニ ング

• MEF上でKnockOut™ iPSC培地を使用して、 またはGeltrex®マトリッ クス上でEssential 8™ Mediumを使用して クローンを増殖

• 多能性マーカー抗体、 TaqMan® hPSC ScoreCard™ Panel、 およびEVOS® FLoid® セルイメージングステーションを使用しクローン をキャラクタリゼーション

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7Life Technologies™ | lifetechnologies.com/parkinsons

図2. iPSCにおけるゲノム編集のワークフロー。(A)Geltrex®マトリックスコートプレート上でEssential 8

™ Medium中にて培養したフィーダーフリーiPSCをthiazovivinで処理した後、

StemPro® Accutase

® Cell Dissociation Reagentにより解離しました。解離させた細胞に、Neon

®トランスフェクションシステムを用いてTALコンストラクトをドナーDNA有りまたは無しでエレクトロポレーションしました。リカバリーのためMEF上またはGeltrex

®マトリックスでコートしたプレート上に低密度でプレーティングしました。1~2週間後、コロニーをピックアップしてスクリーニングを行い、GeneArt

® Genomic Cleavage Detection Kit、TaqMan

® SNP Genotyping Assay、またはIon PGM

™シーケンサの結果に基づいてセレクションしました。最終的に得られたクローンを増やし、キャラクタリゼーションを行って多能性およびゲノム完全性を確認しました。(B)コロニースクリーニングのワークフロー。手作業でコロニーを1/2に分割し、細胞の半量を解析し、残りの半量は解析が終了するまで培養を行いました。GeneArt

® Genomic Cleavage DetectionおよびPGMアッセイによりターゲッ

ト部位における変化を確認するのに必要な感度を得るため、ゲノムDNAのPCR増幅を行いました。得られた産物をここに示した3種類のスクリーニング手法によって解析しました。なお、TaqMan

® SNP Genotypingアッセイは他のアッセイと異なりPCRを不要とする感度を有しています。

手法

StemPro® Accutase®による 処理でiPSCをはがし、 TAL-FokIペアを導入します

十分に分離したコロニーを 得るため低密度で細胞を プレーティングします

1~2週間コロニーを増やし、 ピペットを用いてコロニーを 採取します

各コロニーの半量を解析の ために残し、半量を増殖させます

編集が起こった細胞を含む コロニーを、Accutase®試薬を用いて解離し、低密度でプレー ティングして、スクリーニング の作業を繰り返しクローナルな集団を単離します

解析のサブワークフロー B

Analysis Expansion

解析用の細胞を採取します

ゲノムDNAを抽出します

第1ラウンドのPCR 増幅を行います

第2ラウンドのネス テッドPCR増幅を 行います

Ion PGM™

シーケンシングGeneArt® Genomic Cleavage Detection

TaqMan® SNP ジェノタイピング

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図 3. GeneArt®

Genomic Cleavage Detectionアッセイ。特定のDNA配列におけるインデルまたは変異を検出するため、まず該当する領域を特異的なプライマーを用いて増幅します。2回目のnested PCRにより感度を向上させることができます。サンプルを加熱してPCR産物を再アニーリングさせた後、インデルまたはその他の配列の変化を有するアンプリコンと配列の変化をもたないアンプリコンはヘテロ二重鎖を形成します。これらのヘテロ二重鎖を、特定のエンドヌクレアーゼで処理すると、ミスマッチのあるDNAが切断されます。最終的に長さの異なるDNA断片が2種類生じ、アガロースゲル電気泳動によって変異を検出することができます。

iPSCコロニーのスクリーニング法

GeneArt® Genomic Cleavage Detection Kitを使用し、GeneArt

® Precision

TALsペアによって作成されたインデルの検出、または目的のローカスへ野生型の配列を導入したことによる変異配列の“修復”の検出を行いました。図3に本アッセイを模式的に示しています。本手法は、ヘテロ接合変異を形成する導入変異を高感度に検出します。しかしながら、ヘテロ接合アレルからホモ接合アレルへのわずかな配列変化の検出は難しい場合があります。コロニー中に編集が起こった細胞が少数しかない場合は検出が極めて困難になります。

GeneArt® Genomic Cleavage Detectionアッセイインデル

ミスマッチ

PCR増幅(精製なし)1

変性および再アニーリング2

ミスマッチの切断3

アガロースゲル電気泳動と検出4

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TaqMan® SNP Genotyping Assayは、ゲノムDNAを用いた1塩基多型(SNP)ジェノタイピング解析を迅速かつシンプルに行う手法です。

TaqMan® SNP Genotyping Assay

図4. TaqMan®

SNP Genotyping Assay。(A)TaqMan® SNP Genotyping Assayのワークフロー。TaqMan

® SNP Genotypingアッセイ、およびTALによる編集のターゲット領域を含む

400bpのアンプリコンを用い、QuantStudio® 12K FlexリアルタイムPCRシステムによってジェノタイピングを行いました。結果の解析はTaqMan

® Genotyper

™ Softwareで行いまし

た。(B)TaqMan® SNP Genotyping Assayテクノロジー。2種類のSNPアレルの識別(またはアレル識別)は、それぞれ1種類のアレルに特異的で、異なる蛍光リポータ―を持つ、2種

類のTaqMan®プローブの選択的なアニーリングにより可能になります。PCR増幅の際、プローブが対応するアレルにハイブリダイズすると、分解されて特異的な蛍光シグナルを生じま

す。リアルタイムPCRを行っている間、各レポーターのシグナルは記録され、アレル識別プロットにプロットされます。アレル識別プロットでは、アレル1由来の相対的蛍光シグナルはX軸に沿って、アレル2由来の相対的蛍光シグナルはY軸に沿ってプロットされます。アレル1のホモ接合体のコロニーはX軸に沿って、アレル2のホモ接合体のコロニーはY軸に沿って図示されます。ヘテロ接合体のコロニーは対角線上に図示されます。

手法

ワークフローの模式図を図4Aに示します。2種類のTaqMan®蛍光レポー

ター プローブを使用し、アレルを識別します(図4B)。

A BTaqMan® Genotyping Assayの設計/購入

マスターミックス、アッセイ試薬、 およびサンプルを96ウェルプレート に注入します

リアルタイムPCRを行います

TaqMan® Genotyper™ Software を用いて解析を行います

V F

FV

V F

FV

アレル2のホモ接合体 ヘテロ接合体

テンプレート無しのコントロール アレル1のホモ接合体

アレル識別プロット

アレル1の相対的蛍光シグナル

アレル

2の相対的蛍光シグナル

TaqMan®プローブの選択的なアニーリングによりアレル識別が可能になります

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10 Life Technologies™ | Parkinson’s cell models

図5. Ion PGM™シーケンシングによる編集の検出および確認のためのワークフロー。GeneArt

® Genomic Cleavage DetectionおよびTaqMan

® SNP Genotyping Assayに使用した

400bpのアンプリコンをテンプレートとし、Ion PGM™シーケンシング用に200bpのアンプリコンを作製しました。このアンプリコンから、Ion Plus Fragment Library Kitおよび

Ion Xpress™ Barcode Adapterを用いてライブラリーを調製しました。続いてIon OneTouch

™ 2 SystemおよびIon OneTouch

™ 200 Template Kit v2 DLを用い、ライブラリーからテンプ

レートを調製しました。Ion PGM™ 200 Sequence KitおよびIon PGM

™システムを使用してライブラリーのシーケンシングを行いました。データの解析はIntegrative Genomics Viewer

(IGV)などのソフトウエアで行いました[6]。

TALによる編集を迅速に検出および定量するため、Ion PGM™システムによ

るアンプリコンシーケンス法を開発しました(図5)。この手法では、1サンプルから数千のシーケンスリードが得られ、1回のシーケンスランで最大96サンプルを処理することができます。本手法を用い、単離したiPSCコロニーが

Ion PGM™シーケンシング

目的の変異を持つ細胞を含んでいるか、またそのコロニーがクローナルな細胞集団なのかまたは混合細胞集団であるか、そしてクローナルな細胞集団が変異をホモ接合で持つのかまたはヘテロ接合で持つのかを決定することができました。

増幅したゲノム領域 テンプレートの調製シーケンス解析

(IGVなど)Ion PGM

システムによる Ion Torrent

シーケンシングライブラリーの調製

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11Life Technologies™ | lifetechnologies.com/parkinsons

複数の遺伝学的解析手法を組み合わせることにより、TALによる編集のプロセスをスリム化できます。表1では各手法の長所、短所、および推奨される使用法を比較しています。

手法

表1. 3種類の遺伝学的解析手法の比較

手法 長所 短所 どのような場合に使用するか

GeneArt® Genomic Cleavage Detectionアッセイ• 低コスト• DNAにおけるホモ接合状態のわずかな 変異を検出可能̶NHEJまたはHDR編集

• 非定量的• ヘテロ接合型からホモ接合型への 編集の場合は検出が困難

• NHEJ修復による編集を受けた コロニーの選別

TaqMan® SNP Genotyping Assay• 低コスト• 迅速• アレルステータスの変化を明瞭に識別

• アッセイが設計されたアレル変化のみを検出̶NHEJ修復のインデルを検出しない場合あり

• 相同的組換えによる編集を受けた コロニーの選別

Ion PGM™シーケンシング • 集団中の全ての変化を検出可能• 定量的な結果

• 他の手法に比べ高コスト• ワークフローが長い

• 2次的なアッセイとして最適̶1次 スクリーニングで同定された集団における編集の確認および定量

ビトロネクチン上、Essential 8™ Medium中にて フィー ダ ーフリ ー の 状 態 で 培 養 さ れ た人 工 多 能 性 幹 細 胞( i P S C)にお いて、 PSC4-Marker Immunocy tochemistr y Kit を用い、核DNA(青色)および多能性マーカーのSOX2(緑色)およびTRA-1-60(赤色)を染色しました。

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12 Life Technologies™ | Parkinson’s cell models

オフターゲット編集を検出するためのエクソームシーケンシング

TALベースの編集は、他の手法に比べてオフターゲットの切断が少ないと報告されています。MSA患者ドナーから得た細胞株において、オフターゲット現象の確認を試みました。編集されたiPSC株におけるオフターゲット編集の可能性を評価するため、エクソームシーケンシングを行い、編集された細胞株2種類の全エクソンをその親株と比較しました(図6)。

Ion AmpliSeq™ Exome KitおよびIon Proton

™シーケンサを用いてエクソームシーケンシングデータを取得し、Ion Reporter

™ Softwareで、望ましくな

いオフターゲット切断として最も起こる可能性が高いインデルを同定するためのカスタム解析ワークフローを設計しました。

Ion AmpliSeq™ Exome Kit Ion Proton™ シーケンサ Ion Reporter™ Software

図6. オフターゲット切断スクリーニング用のワークフロー。Ion AmpliSeq™ Exome Kitにより、親株および編集された細胞株のIon AmpliSeq

™エクソームライブラリーを調製し、Ion Proton

™シーケンサでシーケンスしました。シーケンスデータはIon Reporter™ Cloud Softwareにアップロードし解析を行いました。標準的な腫瘍vs正常(生殖細胞系)ワークフ

ローをベースとしてIon Reporter™のカスタムワークフローを設計、実行しました。オフターゲット効果と思われる変異は続いてサンガーシーケンシングによる解析を行いました。

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13Life Technologies™ | lifetechnologies.com/parkinsons

α-シヌクレイン蓄積が他のPD関連フェノタイプに与える影響を研究するための細胞モデル構築を目的とし、GeneArt

® Precision TALsを用いて

SNCA遺伝子を1コピーまたは両コピーとも欠失させた細胞株を樹立しました。翻訳開始点をターゲットとし、SNCA遺伝子のエクソン2に結合するようTALペアを設計しました(図7A)。TALペアをMSA患者ドナーiPSCにエレクトロポレーションし、リカバリーのためMEFフィーダー層に細胞をプレーティングしました。スクリーニングした12のコロニー中、2つのコロニーがGeneArt

® Genomic Cleavage Detectionアッセイによってポジティブクロー

ンと判定され(図7B)、これらはさらにサンガーシーケンシングによる確認をおこないました(データ未掲載)。1つのコロニー(コロニー21)は、片方の

アレル上でコドン4に2bpの欠失を持つ細胞集団を含んでおり、フレームシフト変異により18アミノ酸ペプチドの後にストップコドンが導入されました。もう1つのコロニー(コロニー30)は、片方のアレル上に12bpのインフレーム欠失を持っており、結果としてタンパク質配列のうち、4アミノ酸のみが欠失していました(本研究の目的には適さない変異でした)。コロニー21をさらにサブクローニングし、得られた娘コロニーを再び切断検出アッセイでスクリーニングしました(データ未掲載)。

MSA細胞株からα-シヌクレインノックアウト株の作製

図7. GeneArt®

Genomic Cleavage Detection Kitによるコロニーのスクリーニング。(A)SNCAのTALペア結合サイト。(B)リカバーしたiPSCコロニーからゲノムDNAを調製し、SNCAの編集ターゲット領域をカバーするnested PCRを行いました。PCR産物(約400bp)を変性し、再アニーリングさせました。編集が起こっている場合、ヘテロ二重鎖が形成され、切断が起こります。切断酵素を加えなかったレーンはマイナス記号(–)で、切断酵素で処理されたレーンはプラス記号(+)で示しています。コロニー21および30のサンプルでは、目的のサイズの切断産物がはっきりと見られ、TALによる編集の結果として、ミスマッチの存在が示されています。

結果

A

B

340 350290 300 310 320 330

SNCA エクソン2のターゲティング

Forward SNCA TAL Reverse SNCA TAL

GTGGTGTAAAGGAATTCATTAGCATGGATGTATTCATGAAAGGACTTTCAAAGGCCAAGGGAGTT

10 21 25 30 5 - + - + - + - + - +

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14 Life Technologies™ | Parkinson’s cell models

SNCA遺伝子のコドン4に2bpの欠失を持つiPSCのクローナルな細胞集団を得るため、元となるコロニー21を単離および再プレーティングした後、Ion PGM

™シーケンシングを行いました。図8Aに示す通り、親株では欠失は検出されず、編集が検出されたオリジナルのコロニー21はヘテロ接合体であり、2bpの欠失を示す細胞は5%のみでした。コロニー21を増殖、解離、再プレーティングした後、2bpの欠失を示すシーケンスリードが24%に濃縮されているコロニーを同定しました。Integrative Genomics Viewer(IGV)

Softwareで表示した、編集されていない細胞および編集された細胞のシーケンスリードを図8Bに示します。この時点で、細胞は再び解離、再プレーティング、およびスクリーニングされており、シーケンスリードの50%に2bp

の欠失が見られるクローンがいくつかあり、ヘテロ接合の欠失を持つクローナルな細胞集団が得られたことが示されました。後の継代細胞を再びシーケンスしたところ、同じ欠失を持つクローナルな細胞集団であることが確認されました。

MSA細胞株からα-シヌクレインノックアウト株の作製(続き)

図8. Ion PGM™シーケンシングによる、SNCAへテロ接合型欠失を持つクローナルなMSA iPSC細胞集団のキャラクタリゼーション。(A)コロニースクリーニングの回数を重ねるごとに

編集されたクローンが濃縮され、2bpの箇所の欠失でコールされる塩基の割合が増加しました。(B)IGV Softwareで積み重ね表示したSNCA遺伝子エクソン2のシーケンスリード。黒色の横棒は、特定のリード中で欠失があった箇所を示します。編集されていない親細胞株と比較すると、SNCAの第4アミノ酸における2bp欠失がはっきりと分かります。

シーケンスを行ったサンプル 2bp欠失を示すリードの割合

親株(野生型) 0

編集された細胞プール(コロニー21) 4

娘コロニー 25

解離後の娘コロニー 50

後の継代細胞 50

A

A BIGVで表示した+/- 編集SNCA

編集されたクローン編集されていない

親クローン

SNCA SNCA

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15Life Technologies™ | lifetechnologies.com/parkinsons

SNCAにシングルコピーの2bp欠失を持つこの細胞株を使用し、遺伝子の両コピーが破壊された2種類目の細胞株を作製しました。片アレルに欠失を持つiPSCクローンに、SNCAをターゲットとする前回と同じTALペアを再びエレクトロポレーションし、リカバリーの後スクリーニングを行いました。この時は、特定部位におけるアレル変化を迅速かつ効率的に検出する方法として、TaqMan

® SNP Genotyping Assayを利用しました。

図9. TaqMan®

SNP Genotyping Assayによる、両アレルSNCA欠失を持つクローンのスクリーニング。(A)第1ラウンドスクリーニングのアレル識別プロット。予想通り、第1スクリーニングではほとんどのコロニー(緑色)がヘテロ接合体(欠失なし1コピー、2bp欠失あり1コピー)でしたが、2つのコロニーはホモ接合体(2bp欠失あり2コピー、丸で囲った中の×印)でした。WT control:親株のMSA細胞株(欠失なし2コピー)。Mutant control:SNCAに2bp欠失を持つ(2bp欠失あり2コピー)テンプレート(ドナープラスミドより)。Het control:編集されていないテンプレート50%/変異を持つテンプレート50%(欠失なし1コピー、2bp欠失あり1コピー)。No template:TaqMan

®試薬および水のみ。(B)娘コロニーの第2ラウンドスクリーニングにおけるアレル識別プロット。第1スクリーニングで陽性だったコロニーを解離して低密度で再プレーティングしました。同じSNPジェノタイピングアッセイにより娘コロニーをスクリーニングしました。両アレルに変異を持つクローナルな細胞集団の候補は、プロットの左側、青色の点で示されています。

結果

2bp欠失および野生型の配列を検出するカスタムTaqMan® SNP Genotyping

Assayを設計し、両アレル欠失コロニーのスクリーニングに使用しました(図9A)。野生型のSNCA配列を持たないコロニーを同定した後、このコロニーをサブクローニングし、娘コロニーの解析を行い、SNCAが両コピーとも破壊されたクローナルな細胞集団を単離しました(図9B)。

0.3

0.4

0.9

1.4

1.9

0.8 1.3 1.8 2.3 2.8

Mutant control

SNCA -/- detected

Het control

WT controlNo Template

Mut

ant a

llele

WT allele

++

+ +

+

+ + +

0.3

0.4

0.9

1.4

1.9

0.9 1.4 1.9 2.4

Mutant control

Clonal candidates

Het control

WT controlNo Template

Mut

ant a

llele

WT allele

+++ ++

A B

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16 Life Technologies™ | Parkinson’s cell models

図10. 編集されたSNCA-/-を持つiPSCクローンのIon PGM™シーケンシング。(A)ヌクレオチドの位置ごとに示した、欠失を含むリードの割合。(B)IGV Softwareにより、第2アレルに8bpの欠失があることがはっきりと示されます。

プレーティングごとに行ったTaqMan® SNP Genotyping Assayの結果を解析した後、候補コロニーにおいてIon PGM

™シーケンシングを行い、クロナリティーの評価と第2アレル欠失のキャラクタリゼーションを行いました。最終的に選択されたクローナルな細胞集団では、シーケンシングを行った結果、元々の2bp欠失が全ての細胞に存在し、加えて半数のシーケンスでこれらの2塩基に隣接する6塩基が欠失していることが示されました(図10)。ここで同定された変異はさらにサンガーシーケンシングにより検証しました。

MSA細胞株からα-シヌクレインノックアウト株の作製(続き)

QuantStudio® 12K FlexリアルタイムPCRシステムは、最大限のスループット、柔軟性、およびスケーラビリティを持つよう設計されたオールインワンの装置です。QuantStudio® 12K Flexシステムは、各コロニーにおける特定の変異の検出(図4および図9)、および二重変異体コロニーにおける多能性状態の評価(図11C)に使用されました。より詳細な情報についてはwww.lifetechnologies.com/quantstudio12kをご覧ください。

リアルタイムPCRの最高峰

QuantStudio® 12K FlexリアルタイムPCRシステム

製品ハイライト

ヌクレオチド 欠失の割合

1 51

2 51

3 99

4 99

5 52

6 40

7 39

8 39

A B IGVで表示したSNCA-/-編集8 7 6 5 4 3 2 1

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17Life Technologies™ | lifetechnologies.com/parkinsons

ダウンストリーム実験をさらに行う前に、完全にキャラクタリゼーションされたSNCA+/–およびSNCA–/–細胞株を作製しました。各細胞株は正常な核型を示し(図11A)、SSEA4、Tra-1-81、Tra-1-60、およびOct4といった多能性マーカーを発現していました(11B)。TaqMan

® hPSC Scorecard

™ Panelによる解析

の結果、編集されたクローンは多能性であることが示され、またこれらのクローンに由来する7日目胚様体(EB)は、三胚葉のマーカー遺伝子を全て発現していました(図11C)

図11. TALにより編集されたMSA細胞株のキャラクタリゼーション。(A)編集されたMSAクローン21

(SNCA +/–)およびクローン32(SNCA –/–)における細胞遺伝学的解析の結果。G-バンドレベルの解析では、クローン異常は検出されませんでした。(B)Geltrex

®マトリックスでコートしたプレート上、Essential 8

™ mediumのフィーダーフリーで培養した iPSC(MSAクローン21およびMSAクローン32)

を、PSC 4-Marker Immunocytochemistry Kitを用いてここに示す通りOct4(赤色)、SSEA4(緑色)、Tra-1-60(赤色)、Sox2(緑色)の染色を行い、DAPI(青色)で核DNAのカウンター染色を行いました。

(C)TaqMan® hPSC Scorecard Panelによる多能性の解析。フィーダーフリーのiPSCは、TRI Reagent

®を加え室温で5分間インキュベートし培養プレート上で直接溶解しました。RiboPure

™ RNA Purification Kitを

使用し、ライセートからRNAを単離しました。SuperScript® VILO

™ Master Mixを用いてRNAを逆転写して

cDNAを得ました。cDNAサンプルに TaqMan® Gene Expression Master Mixおよびヌクレアーゼフリー水を

添加し、TaqMan® hPSC Scorecard

™ Panelに加え、QuantStudio

® 12K FlexリアルタイムPCRシステムで測

定しました。

結果

A B

MSA iPSC

Self-renew Ecto Meso Endo

MSA EBs

Self-renew Ecto Meso Endo

MSA.21 iPSCs

Self-renew Ecto Meso Endo

MSA.21 EBs

Self-renew Ecto Meso Endo

MSA.32 iPSCs

Self-renew Ecto Meso Endo

MSA.32 EBs

Self-renew Ecto Meso Endo

CClone 21 (SNCA+/-) Clone 21 (SNCA+/-)—Tra-1-60 Sox2 DAPIClone 21 (SNCA+/-)—Oct4 SSEA4 DAPI

Clone 32 (SNCA-/-)—Tra-1-60 Sox2 DAPIClone 32 (SNCA-/-)—Oct4 SSEA4 DAPIClone 32 (SNCA-/-)

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18 Life Technologies™ | Parkinson’s cell models

染色したiPSCおよびNSCの蛍光画像はEVOS® FLoid®セルイメージングステーションで撮影しました。3カラーチャンネルにより、多重染色の可視化および画像の重ね合わせを簡単に行えます。より詳しくはwww.lifetechnologies.com/floidをご覧ください。

スピーディーに蛍光3色イメージング

EVOS® FLoid®セルイメージングステーション

製品ハイライト

全てのiPSC株からα-シヌクレインタンパク質は検出はできませんでした。そのため、SNCAのノックアウトをタンパク質レベルで確認しました。細胞株を神経幹細胞に分化させてから免疫細胞化学およびウエスタンブロッティングによる解析を行い、両測定法において、SNCA+/–株はその親株に比べてα-シヌクレインタンパク質が減少しており、SNCA–/–株ではα-シヌクレインタンパク質が検出されませんでした(図12AおよびB)。

MSA細胞株からα-シヌクレインノックアウト株の作製(続き)

図12. SNCAノックアウトの確認。(A)Gibco® PSC Neural Induction Mediumを使用

し、フィーダーフリーにてiPSCを神経幹細胞(NSC)へ分化させました。NSCを固定、透過処理した後にα-シヌクレイン(緑色)の染色を行いました。核DNAはDAPI(青色)で染色しました。染色後、EVOS

® FLoid

®セルイメージングステーションを用い、同じ設定の露出時間、輝度、コントラストで画像を取得しました。(B)NSCのペレットはM-PER Mammalian Protein Extraction Reagentに再懸濁しました。各サンプルについて等量のタンパク質をNovex

® 10–20% Tris-Glycine Mini Protein Gelにロードしまし

た。ウエスタンブロッティングにはブロッキング溶液で希釈した1次抗体(2 μg/mL α-

シヌクレインマウスモノクローナル抗体(クローンSyn 211)および0.25 μg/mL GAPDH

マウスモノクローナル抗体 (クローン258))および2次抗体(2 μg/mLヤギ抗マウスIgG(H+L)、アルカリホスファターゼコンジュゲート)を使用し、インキュベート後、BCIP/

NBTによりバンドを検出しました。

A

BGAPDH

α-synuclein

1 2 3 4

1. Unedited (SNCA+/+)2. Edited (SNCA+/-)3. Edited (SNCA-/-)4. Protein ladder

MSA parental MSA SNCA+/-clone 21 MSA SNCA-/-clone 32

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19Life Technologies™ | lifetechnologies.com/parkinsons

Ion Proton™ シーケンサは、TAL編集によるオフターゲット効果の 評価に使用しました。より詳しくはwww.lifetechnologies.com/protonをご覧ください。

微量DNAから、迅速なエクソームシーケンス

Ion Proton™シーケンサ

製品ハイライト

TALベースの編集により、ターゲット部位以外の場所で意図しないインデルが生じていないかを調べるため、Ion Proton

™シーケンサを用いて親株および編集された株の全エクソンをシーケンスしました。Ion Reporter

™ Softwareによりシーケンス結果を解析したところ、編集されたMSA株ではオフターゲット効果

と思われるインデルが6か所のみ見つかり、これらは全てホモポリマー領域に存在していました。これら6か所のシーケンスリードを目視で確認したところ、これらのインデルは誤検出されたものであることが分かりました。サンガーシーケンシングを行った結果、同じ配列が親株および編集されたMSA株の両方に存在することが示されました。結論として、編集された2つのMSA株では、全エクソンにわたりオフターゲットインデルは検出されませんでした。

編集されたMSA株におけるオフターゲット編集のスクリーニング結果

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20 Life Technologies™ | Parkinson’s cell models

PD関連フェノタイプにおけるLRRK2 G2019SおよびGBA N370S変異の役割を研究するための細胞モデル構築を目指し、GeneArt

® Precision TAL

によって編集され、前述の変異を野生型に修正した iP S C株を作製しました。LRRK 2 G2 019 S変異を修正して野生型へ戻すためには相同組換えを介した編集が必要であり、これには変異のある領域を挟むGeneAr t

® Precision TAL sペアと、目的の修正後配列を持つ1kbのド

ナーDNAを使用し、ヌクレオチドの1つをAから野生型のGへ編集します(図13A)。LRRK2修正の第1スクリーニングでは、GeneArt

® Genomic

Cleavage Detectionアッセイにおいて、140個中、2個のコロニー(1.4%)が陽性でした(図13B、コロニー26および27)。これらのコロニーをサブクローニングし、TaqMan

® SNP Genotypingアッセイにより再スクリーニングしま

した(図13C)。陽性コロニーにおいてIon PGM™シーケンシングを行い、細

胞集団のクロナリティーを確認しました。

PD-3株におけるLRRK2 G2019S変異の修正A

B

6080

ATGCTGCCATCATTGCAAAGATTGCTGACTACRGCATTGCTCAGTACTGCTGTAGAATGG

500bp…GCTGACTACGGCATTGCTCAGTACT…500bp(~1kb donor fragment)

ATGCTGCCATCATTGCAAAGATTGCTGACTACGGCATTGCTCAGTACTGCTGTAGAATGGATGCTGCCATCATTGCAAAGATTGCTGACTACAGCATTGCTCAGTACTGCTGTAGAATGG

6030

Forward TAL Reverse TAL

6040 6050 6060 6070

LRRK2 LRRK2

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21Life Technologies™ | lifetechnologies.com/parkinsons

図13. LRRK2 G2019Sを持つPD患者ドナーiPSCから野生型へと修正した細胞株の作製。(A)PD細胞株におけるLRRK2 G2019S領域の配列。TALペア結合サイトは赤の下線で示されています。TALは、野生型のシーケンスとその前後500bpの配列を持つ、1kbの精製PCRフラグメントと共に、細胞へエレクトロポレーションされました。

(B)GeneArt® Genomic Cleavage Detectionアッセイによるコロニーのスクリーニン

グ。スクリーニングを行った140個のコロニーのうち、コロニー26および27ではミスマッチによる切断産物がほとんど見られず、ヘテロ接合変異の大部分がホモ接合野生型へ修正されたことが示されます。(C)TaqMan

® SNP Genotyping Assayの結果、クローン

26、27およびその娘コロニー(赤色)は、アレル識別プロットにおいて野生型コントロール(野生型ドナープラスミドまたはHEK293細胞の野生型テンプレート)と同じ領域にプロットされ、ホモ接合の野生型アレルを持つことが示されました。(D)Ion PGM

™シーケンシングの結果、ヘテロ接合体の親株(53% G)から、コロニー26では修正された塩基が主となり(93% G)、最終的には3種の娘コロニーで、編集された箇所がホモ接合体(100% G)の状態になったことが明らかになりました。

結果

0.3

0.3

0.8

1.3

1.8

2.3

3.3

2.8

0.8 1.3 1.8 2.3 2.8

+

+

+

+ +

+

++

+ ++++

+++

++++++

++

Allelic discrimination plot

Homozygous Mutant – control

Homozygous Wild Type – control

Parental – Heterozygous Mutant

Edited daughtercoloniesconfirmedEdited colonies identified

No Template – negative control

Legend Homozygous Allele 1/Allele 1 Heterozygous Allele 1/Allele 2

Alle

le 2

Allele 1 Homozygous Allele 2/Allele 2 Undetermined

シーケンスを行ったサンプル 野生型(G) 変異型(A)

親株̶ヘテロ接合体 53 47

LRRK2 が編集されたコロニー26 93 7

編集されたコロニーの娘コロニー1 100 0

編集されたコロニーの娘コロニー2 100 0

編集されたコロニーの娘コロニー3 100 0

C

D

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22 Life Technologies™ | Parkinson’s cell models

TALによるGBA N370S変異の野生型への修正にもHDRを利用します。GBAの場合、N370S領域に完全な相同性を持つpseudogene、GBAP1が存在するため編集が困難になります。pseudogeneを避けるため、N370S

ターゲット領域下流の非相同性領域に結合するようTALペアを設計し(図14A)、スクリーニング用にはpseudogeneと非相同的な領域にPCRプライマーを設計してGBAからのアンプリコンのみが生じるようにしました。TaqMan

® SNP Genotyping Assayによる第1スクリーニングでは48個中1個

(2%)のクローンが編集に陽性であり、細胞集団の大半が野生型へと傾いていました(図14B)。

PD-3株におけるGBA N370S変異の修正

図14. GBA N370Sを持つPD患者ドナーiPSCから野生型へと修正した細胞株の作製。(A)PD細胞株におけるGBA N370Sの配列(上)およびpseudogene GBAP1の配列(下)。TALペアの結合サイトは赤の下線で示してあります。野生型の配列およびその前後500bpの配列を持つ1kbの精製PCRフラグメントと共にTALを細胞へエレクトロポレーションしました。(B)TaqMan

® SNP Genotyping Assayによるコロニーのスクリーニング。アレル識別プロットにおいて、1回めにスクリーニングした48コロニー(緑色)のうち、1つのコロニー(コロ

ニー10)がホモ接合の野生型コントロール側へ移動しているように見られました。このクローンをサブクローニングした後、2回めのスクリーニングでは、アレル識別プロットにおいてより多くのコロニーが野生型コントロール(野生型のドナープラスミド)と同じ領域にプロットされました。(C)ヘテロ接合体の親株、第1スクリーニングのコロニー10、コロニー10の娘コロニー、および娘コロニーを継代した細胞において検出された変異の割合を示すIon PGM

™シーケンシングの結果。いくつかの娘コロニーについてはIon PGM™シーケンシングを

繰り返し行いました。クローン10~12では、変異のあった箇所において野生型の塩基Tがほぼ100%を占め、クローナルな細胞集団であることを示しています。

このコロニーをサブクローニングし、クローナルな細胞集団を単離しました。陽性コロニーにおいてIon PGM

™シーケンシングを行い、GからAへの修正株のクロナリティーを確認しました(図14C)。

MSA株と同様に、2つの編集されたPD患者ドナーiPSC株をキャラクタリゼーションし、核型が正常であること、およびすべての多能性マーカーを発現し得ることが示されました(免疫細胞化学、TaqMan

® hPSC Scorecard

Panelによる。データは未掲載)。

A

500bp…GTCCTTACCCTAGAACCTCCTGTACCATGTGGTCGGCTGGACCGA…500bp

Reverse GBA TAL Forward GBA TAL

(1kb donor PCR fragment)

GBAGBAP1

GCGCCTTT GTCT CTTT GCCTTT GTCCTT ACCCTAGAA CCT CCT GT ACCAT GT GGT CGGCT GGACCGA CT GGA A CCTT GCCCT GAA CCCCGAA GGA GGA CCCAA TT GGGT GCGT AA CT T T GT CGA CA GT CCCAT CATT GT A GA CA T CA

GCGCCTTT GTCT CTTT GCCTTT GTCCTT ACCCTAGAA CCT CCT GT ACCAT GT GGT CGGCT GGACCGA CT GGA A CCTT GCCCT GAA CCCCGAA GGA GGA CCCAA TT GGGT GCGT AA CT T T GT CGA CA GT CCCAT CATT GT A GA CA T CAGAGCCTTT GTCT CTTT GCCTTT GT CCTT ACCCTAGAA CCT CCT GT ACCAT GT GGT CGGCT GGACCGA CT GGA A CC-----------------------------------------------------------------------------------------------------------------CAT CATT GT A GA CA T CA

9020 9030 9040 9050 9060 9070 9080 9090 9100 9110 9120 9130 9140 9150 9160

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23Life Technologies™ | lifetechnologies.com/parkinsons

結果

シーケンスを行ったサンプル 変異の割合

親株̶へテロ接合体 56

GBAが編集されたコロニープール 23

編集されたコロニーの娘コロニー 1

後の継代細胞 1

B C

0.4

0.4

0.9

1.4

1.9

2.4

0.9 1.4 1.9 2.4

+

Allelic discrimination plotFirst round

Mutant control

Het control

WT control

GBA +/+ detected(colony 10)

No Template

Legend Homozygous Allele 1/Allele 1 Heterozygous Allele 1/Allele 2

Alle

le 2

Allele 1 Homozygous Allele 2/Allele 2 Undetermined

0.4

0.4

0.9

1.4

1.9

2.4

0.9 1.4 1.9 2.4

+

+

+

++

+ ++

+

+

Allelic discrimination plotSecond round

Mutant control

Het control

WT controlNo Template

Legend Homozygous Allele 1/Allele 1 Heterozygous Allele 1/Allele 2

Alle

le 2

Allele 1 Homozygous Allele 2/Allele 2 Undetermined

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24 Life Technologies™ | Parkinson’s cell models

今回ご紹介した研究では、GeneArt® Precision TALsテクノロジーを使用

し、アイソジェニックなiPSC株パネルを作製しました。親株となったMSA

患者ドナーiPSC株から、α-シヌクレインの発現が低下している細胞、または発現していない細胞の、2種類の派生細胞株を作製しました。これらの細胞株は、MSA疾患モデルの構築に有用なだけでなく、α-シヌクレインのレベルが疾患関連フェノタイプに及ぼす影響をより良く理解するために役立つと考えられます。LRRK2およびGBA遺伝子に変異を持つ2つめの親株からは、これらの変異間の相乗効果が疾患関連フェノタイプに与える影響をより良く理解するため、2つの変異を別々に野生型へ戻しました。今後の研究では、両方の遺伝子を修正して野生型に戻した細胞株の作製があげられ

ます。

今回使用したTALベースの編集手法に加え、最近では他の編集手法がそのコストおよび使いやすさの点から大きな注目を集めています。特にCRISPR

ベースのテクノロジーは、遺伝子ターゲティングコンストラクトのデザインがシンプルであり(ターゲットに対して完全な相補性を持つ比較的短いRNA鎖が切断酵素を目的の部位にガイドします)、サイズの大きいTALコンストラクトに比べると大幅に低いコストで作製可能であることから、高い関心が持たれています。さらに、CRISPRベースの編集はターゲットローカスの切断効率がより高いことが報告されています[7]。実際に、CRISPRシステムを使用してSNCAローカスをターゲットとする検討実験を行ったところ、調べたコロニーの半分以上で目的のローカスに切断が起こっていました。

しかし、現行のCRISPRテクノロジーにどの程度のオフターゲット効果があるかはまだ明らかでなく、本研究においては真にアイソジェニックな細胞株を得ることが重要であったため、細胞株の作製にはTALシステムを採用しました。

まとめ、結論、および今後の展開

作製した細胞株が真に“アイソジェニック”であることを確かにするため、親株のMSA患者ドナー細胞株および2種類の派生細胞株においてエクソームシーケンシングを行い、オフターゲット切断によって生じたインデルの有無をスクリーニングしました。腫瘍サンプルと正常サンプルの比較用に設計されたバイオインフォマティクスのワークフローを使用しました。その結果、全ての細胞株の全エクソンにおいて、SNCA遺伝子内の特定のターゲット部位を除いて、新規のインデルは見られませんでした。LRRK2およびGBAを編集するために使用された相同組換えでもエラーが起こる可能性があるため、今後これらの細胞株においてこのようなオフターゲット効果の調査を行う予定です。

現在私たちは、今回作製した細胞株におけるフェノタイプの違いを比較することに注力しています。これまでに神経幹細胞(NSC)の段階で使用できるアッセイの開発について述べましたが、究極的にはこれらの細胞を中脳ドーパミン作動性ニューロンに分化させてフェノタイプを比較することを目指しています。今回ご紹介した研究では、iPSCに最適化されたTALベースの編集ワークフローを開発し、その中で3種類のゲノム解析手法をコロニーのスクリーニングに利用し、編集されたクローンを効率的に同定しました。また、エクソームシーケンシングを利用し、オフターゲット効果のスクリーニングおよび解析を行いました。私たちは研究コミュニティーにおいてプロトコールおよび知見を広く共有することで、TALベースのiPSCゲノム編集を成功させ、生理学的に意味のあるモデルを構築し、そしていつの日かパーキンソン病などの疾患が治癒されることを願っています。

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25Life Technologies™ | lifetechnologies.com/parkinsons

References

1. Olanow CW, Stern MB, Sethi K (2009) The scientific and clinical basis for the treatment of Parkinson

disease. Neurology 72(21 Suppl 4):S1–S136.

2. Hockemeyer D, Wang H, Kiani S et al. (2011) Genetic engineering of human pluripotent cells using

TALE nucleases. Nat Biotech 29(8):731–734.

3. Burn DJ, Jaros E (2001) Multiple system atrophy: cellular and molecular pathology. Mol Pathol

54(6):419–426.

4. Zhao J, Hermanson SB, Carlson CB et al. (2012) Pharmacological inhibition of LRRK2 cellular

phosphorylation sites provides insight into LRRK2 biology. Biochem Soc Trans 40(5):1158–1162.

5. Murphy KE, Gysbers AM, Abbott SK et al. (2014) Reduced glucocerebrosidase is associated with

increased α-synuclein in sporadic Parkinson’s disease. Brain 137(Pt 3):834–848.

6. Thorvaldsdottir H, Robinson JT, Mesirov, JP (2012) Integrative Genomics Viewer (IGV):

highperformance genomics data visualization and exploration. Brief Bioinform 14(2):178–192.

7. Ding Q, Regan SN, Xia Y et al. (2013) Enhanced efficiency of human pluripotent stem cell genome

editing through replacing TALENs with CRISPRs. Cell Stem Cell 12(4):393–394.

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26 Life Technologies™ | Parkinson’s cell models

ゲノム編集GeneArt® Precision TALs

GeneArt® Genomic Cleavage Detection Kit

NEW GeneArt® CRISPR Nuclease Vector with OFP Reporter Kit

NEW GeneArt® CRISPR Nuclease Vector with CD4 Enrichment Kit

サイズ1 instrument

1 mL

5 mL

500 mL

10 mg

100 mL

500 mL

10 µg

1 mL

500 mL

100 mL

100 mL

100 mL

500 mL

500 mL

500 mL

100 mL

サイズ1 each

50 preps

20 reactions

5,000 reactions

1 instrument

20 gels

1 system

サイズ

20 reactions

10 reactions

10 reactions

製品番号C10227

A1413301

A1413302

A1517001

3845

A1110501

14190144

PHG0264

S1520100

10569010

10082139

11140050

35050061

12660012

10828028

A1647801

15040066

製品番号MPK5000

K310001

450245

4337457

AME3300

G402002

lifetechnologies.com/taqmansnp

4462921

製品番号lifetechnologies.com/tals

A24372

A21174

A21175

1mL A24903Mouse(ICR) Inactivated Embryonic Fibroblasts

コロニーのスクリーニングNeon® Transfection System

PureLink® PCR Purification Kit

Zero Blunt® TOPO® PCR Cloning Kit

BigDye® Terminator v3.1 Cycle Sequencing Kit

EVOS® XL Imaging System

E-Gel® EX Agarose Gels, 2%

Custom TaqMan® SNP Genotyping Assay, Human

Ion PGM™ System (includes Ion PGM™ Sequencer and PGM™ Torrent Server)

iPSC、MEF、およびNSCの培養Countess® Automated Cell Counter

Geltrex® LDEV-free hESC-qualified Reduced Growth Factor Basement Membrane Matrix

Essential 8™ Medium

Thiazovivin

StemPro® Accutase® Cell Dissociation Reagent

D-PBS, Ca2+/Mg2+ free

Basic FGF, Recombinant Human Protein

Gibco® Mouse Embryonic Fibroblasts (Irradiated)

DMEM with GlutaMAX™-I (High Glucose)

Fetal Bovine Serum (FBS), Certified, Heat Inactivated

MEM Non-Essential Amino Acids (NEAA)

GlutaMAX ™-I Supplement

KnockOut™ DMEM/F-12

KnockOut™ Serum Replacement

Gibco® PSC Neural Induction Medium

Versene Solution

製品情報

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27Life Technologies™ | lifetechnologies.com/parkinsons

製品番号A15876

A15870

4471136

AM9738

AM1924

11755250

4369016

AM9914G

A24881

A25526

A25525

78503

78501

78505

EC6135BOX

328100

437000

000105

G21060

製品番号

lifetechnologies.com/quantstudio

lifetechnologies.com/genotyper

http://www.broadinstitute.org/igv

4471252

4474518

4468802

4480285

4474004

4474779

4487084

lifetechnologies.com/proton

lifetechnologies.com/ionreporter

1 L

1 L

サイズ2 x 96-well plates

1 x 384-well plate

1 instrument

100 mL

50 preps

250 reactions

1 x 5 mL (200 reactions)

1 tube (1.75 mL)

1 kit

1 kit

1 kit

25 mL

250 mL

250 mL

1 box

100 µg

100 µg

サイズ

1 system

10 reactions

1 kit

250 reactions

10 reactions

1 kit

1 system

8 exomes

Ion Proton™ System

Ion Reporter™ Software

コロニーのスクリーニング(続き)

QuantStudio® 12K Flex Real-Time PCR System

TaqMan® Genotyper™ Software

Integrative Genomics Viewer (IGV)

Ion Plus Fragment Library Kit

Ion Xpress™ Barcode Adapters 33-48 Kit

Ion Library Quantitation Kit

Ion OneTouch™ 200 Template Kit v2 DL

Ion PGM™ 200 Sequencing Kit

Ion OneTouch™ 2 System

Ion AmpliSeq™ Exome Kit

キャラクタリゼーションTaqMan® hPSC Scorecard™ Panel, Fast 96-well

TaqMan® hPSC Scorecard™ Panel, 384-well

EVOS® FLoid® Cell Imaging Station

TRI Reagent® Solution

RiboPure™ RNA Purification Kit

SuperScript® VILO™ Master Mix

TaqMan® Gene Expression Master Mix

Nuclease-Free Water

PSC 4-Marker Immunocytochemistry Kit

PSC (OCT4, SSEA4) Immunocytochemistry Kit

PSC (SOX2, TRA-1-60) Immunocytochemistry Kit

M-PER Mammalian Protein Extraction Reagent

Novex® 10-20% Tris-Glycine Mini Protein Gels, 1.0 mm, 10 well

Alpha Synuclein mAb, Mouse (Syn 211)

GAPDH Mouse Monoclonal Antibody (clone 258)

Membrane Blocking Solution

Goat Anti-Mouse IgG (H+L), Alkaline Phosphatase Conjugate

Page 28: パーキンソン病細胞モデル研究 - Thermo Fisher Scientific...Transcription activator–like(TAL )エフェクタータンパク質は、植物病原 菌由来のタンパク質であり、植物への感染時には特定のDNA配列へ結合し

のケア、臨床研究、および基礎研究を1施設にまとめた、米国で唯一の独立非営利団体です。我々の在り方が持つ長所ゆえに、最高のケアを提供し、有望な科学を前進させることができ、そしておそらく最も重要な点として、ケアおよび科学とそれをつなぐ全てを統合するためのユニークな体制を我々は備えています。これが、今私たちが「我々の好循環」と呼ぶものであり、私たちの活動の中心にいるのは、パーキンソン病を抱える人たちとそのご家族なのです。

さらに詳しい情報についてはThePI.orgをご覧ください。

Life Technologies™製品についてLife Technologies

™ 製品は、Thermo Fisher Scientificの強力なブランドの一つとして、科学的研究、遺伝子解析、そして応用化学分野の最先端で活躍されるお客様に、高品質で革新的な製品とサービスを提供いたします。

さらに詳しい情報についてはwww.lifetechnologies.comをご覧ください。

パーキンソン研究所・臨床センターについて今から25年前、熱意にあふれたパーキンソン病専門家のグループが、より良いパーキンソン病研究および治療提供を行うことを目指しました。そこでは標準的な医師と患者の関係を超えた医療を行います。患者は治療プランの作成におけるパートナーとなり、ご自身のクオリティ・オブ・ライフを改善し、疾患に立ち向かい疾患を管理するための新しい戦略を見いだします。心のこもったケアと最新の研究を連携させ、答えを探求し、新しい治療・療法を開発し、究極的には治癒を目指すのです。その結果として誕生したのがパーキンソン研究所・臨床センターでした。

その道程で私たちは、他には存在しない唯一のものを築きました。私たちの施設は、パーキンソン病を抱えて生きる人々が治療を受けると同時に、パーキンソン病の科学と医学を確実に変え続けていくであろう研究において重要な役割を果たすことができる場所なのです。我々は、パーキンソン病に関して世界最高

さらに詳しい情報については、当社ウェブサイト www.lifetechnologies.com/parkinsons をご覧ください

ライフテクノロジーズジャパン株式会社本社:〒108-0023 東京都港区芝浦4-2-8

TEL.03(6832)9300 FAX. 03(6832)9580

大阪:〒564-0052 大阪府吹田市広芝町10-28

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www.lifetechnologies.com

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研究用にのみ使用できます。診断目的およびその手続き上での使用は出来ません。記載の社名および製品名は、弊社または各社の商標または登録商標です。標準販売条件はこちらをご覧ください。 www.lifetechnologies.com/TC For Research Use Only.

Not for use in diagnostic procedures. © 2014 Thermo Fisher Scientific Inc. All rights reserved. All trademarks are the property of Thermo Fisher Scientific and its subsidiaries unless otherwise specified.

The Parkinson’s Institute and Clinical Center is a trademark of Parkinson’s Institute. TaqMan is a registered trademark of Roche Molecular Systems, Inc., used under permission and license.

Essential 8 is a trademark of Cellular Dynamics International, Inc. Accutase is a registered trademark of Innovative Cell Technologies.

TRI Reagent is a registered trademark of Molecular Research Center, Inc.

Printed in Japan. GNL135-A1409MS